解説 駱統
-学三設定-
孫権がかき集めてきた「長湖部」運営メンバーのひとり。幼い頃に父と死別し、挙句に紆余曲折あって母親が再婚する際に離縁を余儀なくされ、十分に金銭的な援助は受けていたものの天涯孤独の身になるなど苦難に襲われたが、生来の芯の強い真面目な性格でその悲しみを乗り越え、招待学生枠で中等部に入学を果たすと事務において早くから頭角を顕した。その上大人しめの外見に似合わず合気道の達人でもあり、文武両面にも優れていた。同い年の陸遜とは仲が良く、陸遜は彼女を尊敬していたという。
帰宅部連合との夷陵回廊決戦では丁奉とともに陸遜の副官として随行し、大いに功績をあげたことで運営メンバーとしても重きを成すようになるが、長湖部運営についての有用な意見を多く挙げており、気づいたことがあれば幹部会議の時間を待つことなく孫権に意見した。また、部員たちとの個々の交流を持つことが大事であることを孫権に説き、孫権もその意見を容れて行動のモットーにしたという。
最終的には長湖部本部・建業棟に近い濡須棟の棟長を務めるまでになったが、夷陵回廊戦翌年度の夏、実の母親による長年の説得が功を奏して義父に引き取られることになったものの、その条件として転校を余儀なくされ、学園を離れることとなった。そのことは彼女と仲の良かった陸遜を大いに悲しませたという。
なかなかの能弁家でもあったようで、一説には赤壁島戦役直前の大論陣にも参加し、諸葛亮に挑みかかろうとした瞬間に黄蓋の闖入で流されてしまったというエピソードもあるが、その真偽は確かではない。
-史実・演義等-
駱統 一九三~二二八
字は公緒、会稽郡烏傷の人。父の駱俊は字を孝遠といい、文武の才があり、陳国の相にまで出世した人物だが、建安五年頃袁術に逆らって暗殺されてしまった。しかも実母は後に魏の相国となる華歆の側室として奪い去られ、幼かった駱統は、父の正室に育てられ、よく孝養を尽くしたという。
合肥の戦いが行われていた頃、孫権は二十歳になっていた彼を試験的に烏程の相に任じた。烏程の住民はそろって駱統の施政が思いやり深いものであることを賞賛し、孫権は駱統が烏程で治績を上げたことを喜んで彼を中央へ召し寄せ、功曹に任じて騎都尉の職務を任せるとともに、従姉妹の娘を嫁がせた。中央に戻った駱統は、孫権の施策の不足部分を補う事を常に考え、有益な見聞をしたり気づいたことがあれば時を選ばず孫権のもとへ赴き、進言したという。また、常々孫権には、賢者を尊重して立派な人物と親しく交わって、彼らの意見を積極的に求めることと、臣下をもてなすときは彼ら一人一人に個別に面談し、生活の様子を訊ね、彼らの思うべきところを存分に述べられるように心を配り、彼らが主君に心から恩義を感じるようにすることを勧めた。孫権はこの意見を容れて実行に移した。他にも、大掛かりな徴兵を行った時に伝染病が流行したため、民衆の事を慮るよう上言している。
軍才についても優れていたようで、凌統が亡くなるとその軍勢を引き継ぎ、夷陵の戦いで陸遜の副官として随行して大いに功績を挙げた。その直後、曹仁が濡須に攻め寄せてきた際にもこれをよく防ぎ、濡須の督に任じられた。
孫権が帝位を号する前年の二二八年、数え三十六歳の若さで世を去った。
-狐野郎が曰く-
狐野郎が大学で惰眠を貪っていた頃、在籍していた国士舘漫研でも「蒼天航路」読者は多数居るほど三国志に強い者は多数居たはずなのだが、誰一人として彼の名を知る者はいなかった。まあそもそも、当時は丁度渭水の戦いが終わるか終わらないかの頃だったんで未登場だったのもあるんだろうけど、そもそも演義でも諸葛亮先生が孫呉の文官達を相手に煙に巻いていたあのシーンで、発言しようとして黄蓋の乱入で有耶無耶にされてたりするんだよな。読み返してみたら吉川英治三国志にも名前だけは出てるんだよな。結局その程度の出番しかなかったなら誰も覚えてねえよなそりゃあ。「蒼天航路」でもほんの数コマしか登場してないんだけど。
狐野郎もSSでは陸遜とは友達同士でパートナーみたいな感じでよく登場させているが、これは陸遜の小説でも夷陵の戦いのくだりで副官として出番がそこそこあったことからきてるとかきてないとか。伝にも「陸遜は駱統を尊敬していた」と明記しているので、接点がまるでないわけではなかったとは思うけど、登場させたタイミングでは堂々とタメ口であまりデキる感じがしないな。合気道の達人という設定もまるで生きてないし。
結局学三環境でも長湖部ってあまり掘り下げられてないような感じだったので当然こいつも本家にデータがあるわけではなく、これ幸いとばかりにささっと描いたのがお嬢様結びなのに快活そうな女の子、という。SSにおける言動から考えれば、恐らくイメージのベースには「ONE
~輝く季節へ~」のメインヒロイン長森瑞佳があるんだと思う。あとなんか最近になってビートストリームにドハマリしてたなんて設定勝手につけたな。なんかその辺りは狐野郎故人の何かを代弁させているのかもね。