解説 呂拠


-学三設定-

長湖部の黎明期を支えた功臣呂範の妹。陸凱、丁奉らと同世代で、中等部入学直後から活躍していた丁奉を別格としても、かなり早い時期から中等部枠のエリートとして長湖部に参画しており、孫権引退直前までは朱然や潘濬の元で五𧮾高校の取り締まりや芍破公園決戦などに参戦して研鑽を積み、頭角を現すと特に朱異と作戦行動を共にする機会が多く、半ばコンビとして認知されていた。武勇知略共に優れていることでも朱異と双璧を成すが、どちらかというと直情径行で強情な朱異に対し、やや斜に構えてはいるが内心に強い意志を秘めていると評され、朱然や潘濬らもその才覚を高く買っていたという。
朱然の引退に際し、壮行会の最中長湖が荒れた際、彼女は身一つで長湖周辺に存在する戦闘艇の艫綱を繋ぎとめて回り、その度胸と操船術の高さで、後継者問題とそれに関わる諸々で疲弊しきっていた孫権を喜ばせた。その後権力を握った孫峻とはそこそこうまくやっていたようだが、その従姉妹である孫綝とは非常に折り合いが悪く、お互いに憎悪し合っていたため、孫峻が過労により部を去ったあとに権力を握った孫綝が勝手に孫峻の後継者として振舞っていることに不満を抱いていた。現会長孫亮をも蔑ろにした孫綝が露骨に簒奪の意志を見せ始めると、同じようにして長湖生徒会の行く末を憂いた執行部員の滕牧と計り、武力の行使を前提とした孫綝粛正計画を練るも計画は未然に発覚。彼女は側近達の「蒼天会に身を寄せるべき」という意見を突っぱね、あくまで長湖部員として反孫綝をスローガンとして武力放棄したが、いち早く長湖生徒会の実働部隊を抑えた孫綝に一矢報いることも出来ず処断された。
しかしある記録によれば、このとき彼女の計画はまったく露見しておらず、その決起をいち早く知った丁奉が力づくで呂拠を止めたともいわれるが、秘話の域を出ない。事実としては呂拠と滕牧、そしてその賛同者から孫亮に至るまでが悉く学園を追われた挙句、その多くの者が五体満足では済まない有様となったことである。


-史実・演義等-

呂拠 ?~二五六
字は世議。孫呉旗挙げのころからの功臣呂範の次男。
呂範の病が重くなった頃、郎から副軍校尉へ昇進し、父親の補佐として軍務を補佐した。そして呂範が病のため世を去ると、呂範の長男が既に死んでいたことから次男の彼がその跡を継いだ。その後、潘濬の五谿討伐に従軍して功を挙げ、二四一年の樊城攻略では朱異と共に城外の防衛陣地を打ち破るという戦果を挙げた。その後も中央政府に入り、順調に出世した。二五一年、長江が氾濫した際、呂拠は率先して大船を繋ぎ止め、被害を抑えるべく働いた。この様子を見た孫権は大いに喜んだという。翌年、孫権の死に乗じて魏の大軍が攻めてきたときも、丁奉、留賛、唐咨らと共に東興で迎え撃ち、それを撃退した。二五三年に孫峻が諸葛恪を謀殺した際には、孫峻は呂拠を驃騎将軍に昇進させ、西宮(武昌のことであるといわれる)のことを任せた。
孫峻が死んだ時、呂拠は命によって准水方面へ侵攻していたが、この時孫綝が勝手に孫峻の後事を継いだことを聞いて激怒し、孫綝を誅殺すべく軍を呉へ返した。孫綝は先手を取って詔を発し、帰順して間もない文欽らに呂拠を取り押さえるように命じ、さらに従兄弟の孫憲に軍を与えて江都で呂拠の軍を迎え撃たせた。状況が不利になったことを知った呂拠は、魏に降るべきという側近の言葉を退け、「叛臣になるのは恥だ」と自ら命を断った。二五六年のことで、その死から間もなく呂拠の一族も皆殺しとなった。


-狐野郎が曰く-

彼の父呂範と言えば演義の描写のせいかとかく文官のイメージが強くて、孫策のときからの臣下というイメージが定着している感じもするのだが、実際は孫堅の軍団員のひとりで、生粋の武闘派である。そんな武闘派呂範の子供だけあって、多くの戦功を挙げており、名将の子でそれなりに業績が伝わっていることからも、親の七光りとは言わせない程度に優れた将帥であったといえよう。激動の孫呉にあって孫峻とは協力関係にあるなどその舵取りも決して間違っては居なかったろうが、その孫峻からは呂拠の軍団が整然と統率されていたことから非常にその将器を恐れられていたようだ。孫峻も諸葛恪を除いて政権を掌握したが、完全な悪人とは言えない、むしろプラスの意味で小心者だったと言うべきであるが、それが災いしての心労の故か若くして急死してしまうわけで、その後孫綝に勝手な振る舞いがあった(というどころでは済まされないんだけどな、こいつがやった事は)とはいえ折り合いをうまくできなかったことで、その末路を決定づけてしまったことは本当に惜しいことだと思う。
とりあえず呂範の妹と言うことで、基本的には呂範をベースにしてデザインを考え、髪をアップに纏めたクールそうなキャラを目指してみた。とはいえ「真冬の世の夢」では百戦錬磨の玄人(バイニン)になってると見せかけて、何だか噛ませ犬みたいな扱いに…あれも最初はもっと最後まで呂拠が食い下がる展開だった気がしなくもないんだけど、何時だったか展開を変えたんだよね。排斥計画の件にしても、完全に損な役回りになってるだけのような。無論これは正史に論拠もないのだが、彼女の最期は丁奉に飾ってもらおうと考え、別に攻め滅ぼされたわけではないんだけど、最期に丁奉がこっそり説得に出かけていて…という扱いになっている。別案として文欽が呂拠を打ち倒して、その後に丁奉と文欽がひと悶着起こすというのもあったのだけど、話の着地点が解らなくなってしまうので割愛した。