解説 朱異


-学三設定-

長湖生徒会において「湖南の狂犬」と称された猛将にして名将朱桓の妹。朱桓ほどではないが我の強いところはあるものの、その武勇知略も姉譲りのものがあり、従姉の朱拠も幼い頃からその才覚を非常に高く評価していたことでも知られ、ユースの頃に面談した孫権もその肝の据わり具合を非常に喜んだという。
朱然が主導した芍破公園の戦いでも大いに活躍し、東興堤でも丁奉の奇襲と同期して蒼天会の渡河拠点を散々に撃破して勝利に貢献している。その前後から文欽ともただならぬ因縁を持っており、文欽が年下の朱異を甘く見てその守備棟周辺で長湖部所属生徒にカツアゲや暴行など「ナメタ真似」をし始めると一般生徒を装って待ち伏せし、あと一歩のところで飛ばすところまで追い詰めて勇名を上げ、その後偽降伏で誘い込もうとすればあべこべに呂拠と共同で罠を張って待ち伏せするなど、常にその上手を取って翻弄した。
将帥として頭角を現した朱異であるが、やはりその我の強さを遺憾なく発揮し諸葛恪と仲違いして更迭され掛かった一幕もあった。その後も文欽が気に食わないという理由で、寿春棟の包囲を破る理を見いだせなかった彼女は諸葛誕の救援を諦め、自分の一存で軍を返すそのことを論われ、孫綝によって階級章を奪われ放逐された。この時陸抗が孫綝の危険性を説いて制止したが、朱異は己の剛力を頼みに聞き流したというが、孫綝は朱異を危険視しておりそれを抵抗させぬ為に剛力無双の人間を多く集めて備えていたという。リンチに遭った彼女はその後も孫綝を深く恨んでおり、ウワサによれば丁奉が孫綝を粛正した際、丁奉はわざわざ彼女を呼んできて「処刑」を任せたともいう。


-史実・演義等-

朱異 ?~二五七
字は季文。猛将朱桓の息子であり、彼もまた父が高位にあったことから官位につき、朱桓の死後はその軍団を引き継いだ。また朱拠は朱異にとって従父にあたる。
幼い頃に張儼、張純らと朱拠の元へ遊びに出かけた際、朱拠は彼等を試すべく「目に付いたものを即興で(詩を)詠んでみなさい。出来たものから好きな席に着座するように」と申しつけた。張儼は近くに居た犬を、張純は敷物を、朱異は石弩をそれぞれ賦にしたが、いずれも見事なもので朱拠を大いに喜ばせたという。
二四一年、朱然の指揮下で芍破の戦いに従軍した際、その献策を容れられて防衛陣地をことごとく打ち破り、また帰還後に任地に近い位置で対峙していた文欽が、砦を作り降兵を嗾け周辺で略奪を働くのを見て取ると、二千ほどの兵を率いて七つの砦に急襲をかけてその全てを瞬く間に打ち破って平定、この功績により揚武将軍の位を贈られた。孫権はこのあと朱異と戦略について論じ合い、その応対を大いに気に入って、朱拠に「季文が肝の据わった男だと知ってはいたが、話をしてみれば思った以上であった」と話したという。
文欽とは度々因縁があるようで、「二宮の変」の混乱が収まりきらぬ二五〇年、文欽が偽降によって朱異を誘い出そうとした際には、その手紙をわざわざ孫権へ「この申し出を鵜呑みにするべきでは無いと思います」と上表し、それを受けた孫権が「嘘であればそのまま奴を撃滅してしまえ」と、名将呂範の子である呂拠に二万の兵を預けて朱異の元へ送り、防備を固めると果たして文欽はやってこなかった。孫権が亡くなった頃には鎮南将軍に昇進し、東興堤の戦いにおいても魏軍が作り始めていた浮き橋を破壊して勝利に貢献し、これらの戦いぶりを見てもその軍才、猛将ぶりは父である朱桓に勝ると劣らぬものだったことが窺える。
二五七年、諸葛誕が呉に帰順して兵を上げたことに呼応して朱異は支援の軍を率いて寿春に向かうも、王基らの率いる二十六万にも及ぶ魏軍の包囲網を打ち崩せず、軍を引き上げてくるも孫綝によってそのことを論われて処断された。先には諸葛恪が自分の献策を容れなかったことに激昂して暴言を吐き、諸葛恪に更迭されたり、その最期の時も孫綝に注意するよう陸抗に忠告を受けたときも「(岳父である朱拠が公主を娶っていることから)自分と子通(孫綝)殿は身内同士の関係なのだから、何を疑う事があろう」と聞き入れなかったなど、長所も父譲りであればその短所も父譲りであったと言えよう。


-狐野郎が曰く-

良い意味でも悪い意味でも、孫呉を代表する「カエルの子はカエル」。その勇猛さ、知略、性格の荒さまで全て朱桓譲りみたいな人物である。その一方で即興で詩を作れる文才も有していたので、もしその最期の時に陸抗の制止に従っていれば、もしかしたら…というところでもある。その前年には呂拠も破れかぶれになって反逆を試みて失敗してるから、それで少しは「ヤベえ」と思えなかったのだろうか。まあ、諸葛恪に思いっきり牙抜いてるようなところもあるのでどうかなあ、と言うところであるが。
何しろ活躍時期が後期も後期で、あまり取り上げられることもないためかやはり本家デザインというものは存在していないので、朱桓のデザインをもとにしてバンダナというかカチューシャを付けてショートカットにした、活動的なイメージのスポーツ少女、というデザインとしてみた。当初は水泳少女という設定もあったような気がしなくもないが…。