ポケモン対戦ログ(2010.3.26) その1後編
あらすじッ!!
ついにパーティをひとつの完成形としたリリカは、宿敵アリスの率いる魔界の超精鋭部隊と激突するッ!!
圧倒的な戦力と戦略の前に圧倒的不利と目されていたリリカだったが、蓬莱人形の放ったトリックルームを逆手に取る形で一気に形勢を握るッ!!!
そしてアリスチーム最大戦力の一角である悪霊の王・魅魔を制したリリカ達に対し、アリスはついに、蓬莱人形の真の力を解放するのであったッ!!!!
(ナレーション:千葉繁)(←ww
♪BGM 「人形裁判 〜人の形弄びし少女〜」(「東方妖々夢」)♪
リリカ「(出せる限りの…!?
それって…いったい)」
こいし「考えてるヒマはないみたいだよ、リリカ。
…あの人形、多分今の術師にとっても手に余るシロモノだと思う」
アリス「言ってくれるじゃない…でも、否定はできないわ。
この子の力を解放する時…私はこの子に殺されかけているんだから…!」
リリカ「なっ!?」
こいし「…何故…今になってそこまで…?」
アリス「あなた達には話しておいてあげるわ。
私は…過去のトラウマが元で、自分の総ての力を出そうとすると、どうしても無意識にブレーキがかけられてしまうの。
…自分の限界以上の力を出し切っても、なお越えられぬ恐怖に出会ってしまったせいで。
……何も出来ず、友達が消えてしまうのを見ているだけしかできなかったせいで」
アリス「………でも、何時の間にか私は、知らず他人の事を見下しているのを…その心の傷の所為にしてたんだと思うわ。
何時の間にか、仲間と強い想いで結ばれるようになったあなたも…何処かで、そんな甘い奴に負けるはずがない、そう思ってたんだと思う」
アリス「…認めるわ。
あなたは…あなた達の強さは、私が目を背けてきたような悲しみや辛さを乗り越えて来た事で手にしたモノだって。
そして…魔理沙が私のところへ戻ってこようとしないのも、きっとあなたのそういうところに惹き付けられたんじゃないかって」
リリカ「アリス…」
アリス「…だから、追い詰められたここからが本番よ。
今の私には、全力で応えると言う事が…その意味がまだよく解らない。
……でも、私も今はあなたに、あなた達に負けたくはないッ!!」
蓬莱人形の魔力が膨張して弾ける!
こいし「きゃっ…!!」
蓬莱は悪の波動の構え!
破壊力ばつ牛ンの一撃!
こいしの気合のタスキが千切れ飛んだ…!
リリカ「こいし!」
こいし「…つつ…すっごい力だ…今までのアリスの技と全然違う…!」
魔理沙「(アリス…お前)」
さとり「…困りましたね…眼の色が今までと全然違う」
レティ「ならば、口ではどう言っても…ここからが正真正銘、アリス=マーガトロイドの真髄。
どうするのさとり、ここからは想定の外よ?」
さとり「ええ、確かに不測の事態。
数の上では有利ですが…力の分は向こうにある。
…あの子達のひらめきに総てがかかっている…ここが正念場ですよ、リリカ、こいし…!」
アリス「…これ以上、魅魔さんを退けたあんたの好きにはさせないわ。
ここで退場してもらうわよ、古明地こいしっ!!」
蓬莱人形に再び凄まじい暗黒の魔力が集中する…!
リリカ「(…相手はポリゴンZ…先手は取れるし、気合玉が入ればどうにかなるかも知れない…でも)」
こいし「…お願い、リリカ。
あいつは私で必ず何とかする。
…だから、何も聞かず私に任せて…!」
リリカ「…こいし!?」
こいしは背後の諏訪子に視線を送る…
僅かに驚きの表情を浮かべる彼女の瞳に、こいしの寂しそうな笑顔が映る
こいし「諏訪子さん…頼めた義理は無いかも知れないけど…あとの事はお願いッ!
復燃“恋の埋火”!」
♪BGM 「リーインカネーション」/ZUN♪
こいしは道連れの構え!
薄い妖気が蓬莱を捉える…!
リリカ「こいし…あなたまさか!」
諏訪子「…その…まさかだ…!
あいつ、自分と引き換えにあの人形を潰す気なんだ…!」
リリカ「そんな!
こいし、駄目だよそんなの!そんなことさせられないよ!!」
こいし「…それは聞けない相談だと思うよ…。
この形式も基本的にはスペカのルールと一緒…一度宣言した技の取り消しはできない」
アリス「……成程、やはりそう来たわね。
今の蓬莱は特殊防御力も高いわ。
けど、予測が出来ているなら攻撃技を使わないと言う事も…?」
蓬莱は悪の波動の構えに入っている!
アリス「う、嘘ッ!?
私…指示を出した記憶なんてないのに…まさか、暴走!?」
神綺「落ち着きなさいアリス!
その子は確かにあなたの支配下にある!けど…これは…!」
こいし「そう。
最初に私が何もしていなかったと思った?」
こいしはもう一枚のスペルカードを提示する…
アリス「それ…は!」
こいし「『イドの解放』。
ポケモンの技で言えば挑発に当たるみたいだね。
…私も…このカードを使うのは正直怖かったんだ。
このカードのせいで…私はもう少しで幻想郷そのものを壊してしまうところだったんだから…!」
蓬莱人形の構えた手の中の暗黒魔力が臨界に達し、その放射点がこいしを照準にとらえる
こいしはわざとと大きく手を広げ、その場を動こうとしない…
こいし「さあ、撃っておいで…その代わり、あんたも道連れだ!!」
蓬莱人形の悪の波動がこいしに直撃する!
こいしが倒れると同時に、蓬莱を取り巻く魔力が妖しく光りだしてその魔力を奪いつくす!
こいしと蓬莱人形は裏世界でひっそり幕を閉じた…
吹き飛ばされたこいしの体を、境界操作でその軌道上に現れたさとりが受け止めていた
そして、その帽子は…ゆっくりと諏訪子の目の前に舞い降りる
諏訪子はその帽子をゆっくり拾い上げ、それを目深にかぶると、外した自分の帽子をリリカへと手渡した
諏訪子「…これ、預かっててくれないかな」
リリカ「諏訪子さん…」
諏訪子「…過去はどうあれ、今のあいつは…こいしは、私達の仲間なんだ。
あいつの思いはこの私が…ううん、私達で引き受けるよ、リリカ!」
リリカ「…うん!」
まさかの覚醒ホラーイ登場。
ノーマルポケモンでも屈指の高火力持ちで知られるポリゴンZ、見た目に反して特防も高めで、不一致気合玉ではそもそも命中率の時点で分の悪い勝負です。
なので、顔合わせの段階で挑発をぶち込み、攻撃技を放たせることで道連れで相討ちを取る事に。
素早さは確実にこちらが上なので見事に目論見通りとなり、こいし様と引き換えにホラーイを撃墜。
後の事を考えればここで確実にこいつを潰せたのは大きいと思います。
此処で欲出して気合玉撃たせなくて本当によかったと思う…。
アリス「…くっ…上海!」
諏訪子「そいつがどんな力を持っていようが、今の私には届かねぇよ!
食らえッ、『コバルトスプレッド』!!」
諏訪子はエナジーボールの構え!
破壊力ばつ牛ンの一撃!
上海人形は機能を停止した…
アリス「…そんな…」
諏訪子「これで、残るはただ一人。
あんたを倒せば決着だ…魔界神・神綺!」
♪BGM 「THE GATE OF MAGUS」(「スーパーロボット大戦α外伝」)♪
神綺「そう…四方やこれほどまでとは。
甘く見ていたのは私達も同じ。
想いなどでは決して私達を越えることなど敵わないと思っていたけど…」
アリス「…母様」
神綺「アリス、いかなる結果になろうと、よく見ておきなさい。
いずれ魔界を統べる者として、対等以上の者が現れた時には自ら立たねばならぬと言う時もある。
行くわよ、地上の土着神!」
神綺の放つ手刀が諏訪子の左肩を斬り裂く…!
諏訪子「うっ…!」
魔理沙「な…あれは!?」
レティ「な…なによあれ!?
素手なのに、まるでアレは刀か何かの…」
静葉「…間違いないわ。
魔界創世期に、天上界の神々と戦おうとした…伝説の大魔王の使った技」
レティ「なんですって…!?」
さとり「!
では、アレがそうなのですか!?」
静葉「ええ。
天地魔界比肩しうるもの無き、大魔王バーンの放つ神の手刀…カラミティエンド!」
神綺「あら、知ってる子がいたのね…大魔王バーンは、私の大伯父に当たるの。
もっとも、面識はないから…この技も、文献にあるのを独学で再現したものだけどね…!」
諏訪子「ちち…そうか、特性「肝っ玉」のガルーラやミルタンクの格闘技はゴーストにも通るもんな…!
地上最強の手刀…ハッタリじゃねえってか…!」
諏訪子「(ちくしょう…予想以上にダメージが大きい…!
でも、ここで引くわけにはいくか!)
土着神『ケロちゃん風雨に負けず』!」
諏訪子は雨乞いの構え!
フィールドに雨雲が立ちこめ、雨が降り始めた!
神綺「…雨…そう、この環境でならあなたの力を極限まで高められる、ということね」
諏訪子「そういうこった。
そもそもあんたみたいなのを相手に、手を抜いてやるわけにはいくまい!」
神綺「結構。
元より私も手を抜くつもりはない…『神』を名乗る者同士、その名に恥じぬ戦いを!」
諏訪子「洩矢神の名において命じる!
集え、祟り為す輩!大蝦蟇、夜刀神よ、我に従え!
祟神『ミシャグジさま』!」
神綺「魔界神の手刀…天をも裂く我が一撃を受けよ!はああああああああっ!!」
神綺は瓦割りの構え!
諏訪子はハイドロポンプの構え!
神綺の放つエネルギーが、諏訪子の放つ弾幕の隙間を穿ちこじ開ける!
諏訪子「うああっ!?」
神綺「貰ったわ…カラミティエンドッ!!」
致命的な致命傷!
諏訪子はズタズタにされた…!
諏訪子「ちく…ちょうっ…!
…ごめんよ、リリカ…こいしっ…!」
リリカ「諏訪子さんっ!!」
神綺「…紙一重の差ね。
威力が大きくなっていたことで逆に、弾幕同士の間隙も大きく生まれた…巧くいって良かったわ」
「…まだだっ…!
この隙、貰った…魂符『生魂流離の鎌』ッ!!」
技の硬直を狙って小町が猛然と神綺へ妖気を纏った大鎌を振り下ろす!
アリス「…母様、後ろ!!」
神綺「賢しいわね…でも!」
神綺の二本の指に挟まれ、小町の鎌は完全に動きを止められてしまった…!
小町「…うそ…だろ…!?」
神綺「狙いは悪くなかったけど…これが力の差。
…かごめちゃんくらいの相手が本気で斬りかかってきたならともかく、その程度で私の隙を討とうなど千年早いッ!!」
神綺は瓦割りの構え!
破壊力ばつ牛ンの致命的な致命傷!
小町は裏世界でひっそり幕を閉じた…
小町「ちぇっ…あんなバケモノみたいなひとの攻撃真似ろとか…言われても、ね…!
…しくじっちまった…済まん…」
リリカ「小町さんまで…そんな…!」
さとり「(…分の悪い賭けだとは承知していたけど…!)」
静葉「…後続の為に少しでもダメージを稼ぐべきか、それとも博打を打つべきか…。
難しい局面ではあったけど…これでは」
ケロちゃんのエナボでシャンハーイをズタボロにしたところで、いよいよラストのモンスター降臨。
初手で猫だましが飛んできて出鼻を挫かれ、いささかsYレならん威力の瓦割りを耐えたところで雨乞い発動。そして先手からの超破壊力ハイポンで速攻始末しようとしたのですが…
まさかのミスショットでその隙にたたき割られるとか(´・ω・`)
そんな有様で絶対零度とか撃ったところで当たる確率はどう見ても0%です本当にありがとうござました\(^0^)/
絶対有利の状況からこれでポケモンは1対1、しかも体力的にも全くの互角という恐ろしい事に。
…うん…俺の残った手持ちというのだがな…。
神綺「…さて、これで残るはお互い一人づつ…!」
神綺の視線に息をのむリリカ
一拍置いて、振り向いた先にいるのは…気丈にも相手を見据えていながら、僅かに足が震えている大妖精…
大妖精「……残っているのは…私一人…!」
リリカ「コーディ…」
リリカの脳裏に過る苦い記憶
あの時…同じように最後の一人となった彼女が、最後の思い届かず散ったその傷ついた姿
大妖精「…そんな顔をしないでください、リリカさん…!
私は…ここで絶対に引くつもりはないです!
…ううん…私の大好きな友達ならきっと言う筈…」
大妖精は今にも泣きそうな表情で、笑顔を作って応える
大妖精「あとはこの最強のあたいにすべて任せとけ!…って!!」
大妖精はそのまま、身軽な動きでフィールドへ降り立ち、神綺と対峙する
神綺「(…最強、か…)」
大妖精「私は絶対に勝つ!行きますよー!!」
観客席側
「よっしゃ間に合った間に合った^^」
「間に合ったじゃないですよー!!
たまにトバリに顔を出す必要性があるのは解りますけど、よりにもよってこんな日じゃなくたっていいじゃないですかー!!><」
慧音「お!?(;^ω^)
…何時も居る時は最初から居るクセに、今回は重役出勤かお前たちは?」
「仕方あるまい。
名ばかりの宇宙開発公団会長と言っても、たまに重要な会議には顔出せってサターンの野郎が煩えんだよー。
…ったく…綺麗事を言っても金はいるからと思って安請け合いした結果がこれだよ!!!><」
「それこそ仕方ない話じゃないですかかごめ殿…。
ただでさえ、ヒマさえあれば大酒食らってエンゲル係数をマッハにしやがる馬鹿河童が居るんですから…。
もっともアレも、公団の技術開発局に無理矢理放りこんでやりましたけど」
「…ルーミア達も良く食うからな…元気があると言うことは、良いことだと思うがな」
愚痴りながらその隣に陣取るかごめ、文…そして一体のリザードン
「少し前から見てはいたが…。
…現在の世界においても、とうに伝説とまでなった技をこれほどまで目にすることになるとはな…!」
かごめ「…大将、あんた直接は目にしたことない筈だろ?」
ハドラー「……オレはあの戦いが終わるその瞬間まで、魂のみでその場に勇者と共に居たようなのだ。
だから…オレは真なる大魔王バーンの戦いを見ていた。
…とうに死んだはずの身で、我が宿敵の目を借りてあの戦いの目撃者となっていたというのも、オレ自身信じられぬが…」
慧音「…知っているのであれば聞きたい事がある。
あの手刀、一体何なのだ?
ただ、魔力を乗せた手刀のみがあれだけの切れ味を持つなど…」
妹紅「おい慧音、そんなのわざわざ聞くほどのもんじゃないだろう?
私が…その、あいつに見せてもらった絵草子に、達人のコブシは鍛えるごとに重みを増して鈍器となって、やがて切れ味を持つようになるって…」
かごめ「(絵草子って…おま…^^;)」
文「(十中八九、漫画って言うか…バキネタじゃないそれ…^^;
最近永遠亭に入り浸るようになったと聞いてたけど、まさか悪い意味でもあのぐーたらの影響受けてんのかしら…?)」
ハドラー「…馬鹿馬鹿しい話に聞こえるかもしれないが、概ねその通りだろう。
大魔王バーンは「力のみ総て」を信条とし…己自身もかくあるべきと思っていた筈。
違いがあるとすれば…恵まれた肉体と、絶大な魔力の融和により自ずと備わっていたその手刀を最強の剣とした…それだけだ」
かごめ&文「(( ̄□ ̄;)えええええええええええええええ!!?)」
妹紅「ほ、ほら慧音!
私の言った通りだったじゃないか!」
慧音「うむむ…にわかに信じられぬ話であるが…ってかちょっとわずかに違う気もするが^^;」
ハドラー「しかし、それを一言で言っても実現は生半可なモノではない。
オレも真似事くらいはできるだろうが…あれほど出鱈目な威力を出すなど不可能に近い…!
あの男と同じ、神の如き肉体と、全智を越えるほどの魔力があってこそ可能な神技と言うべきモノだ…!」
かごめ「…まぁ、その話はいいとして…。
ところで文、チルノ何処行った?」
文「あやっ!?
…かごめ殿が観ていたのではないのですか?
確か、さっきトイレに行くとか言って…そう言えばそれっきりだったような…」
妹紅「トイレ…って確か、厠のことだっけ?
…自然界の気の凝縮である妖精がそんなところへ行く必要があんのか?」
慧音「まぁ、妖精は人間のすることを真似たがるところはあるが…。
寺子屋でも、私の授業に飽きるとすぐにそれを口実にして逃げようとする事もあったし」
かごめ「んや、前は知らんが今は違うと思う。
あたしもそれ知ってたから、一度無理に引きとめたら…うん、えらいことになって後始末が大変だった^^;」
文「あー…あのときですかー^^;
どうも、かごめ殿と一緒にいた時間が長かったせいか…妖怪化したというより、「妖精」という概念が幻想郷のモノと違ってきはじめてるみたいなんですよねー、あの子」
慧音「何!?
一体どういうことだそれは!?」
かごめ「…あたしのいる世界の「妖精」ってのは…確かに自然発生する事もあるけど、生まれてすぐに拠り所となったモノから自分自身の肉体を作ってしまうんだ。
何時からかは知らんけど、あいつもそうなっちまったみたいで」
文「氷の妖精のあの子が、普通に温泉入ってた時はびっくりしましたが^^;
逆上せてノビた氷の妖精とか前代未聞のいい記事が書けたと思いましたが…誰も信じてくれませんでしたしねー…(遠い目)」
慧音「(そうか…ならば納得した。
かつてのルーミアがそうであったように、受肉した「妖精」を幻想郷では「妖怪」と呼ぶようになり、全く別の存在になる。
肉体やそれに宿る妖力、魔力の類を鍛えるには肉体がなければかなわんが…自然の気の塊である妖精は、同じことをしても力そのものが変わるわけではない。
チルノは元々妖精離れしており、妖怪にきわめて近い存在であったと思ったが…紫の一撃を耐えるなど急激に成長した理由も其処にあったのだろうな…)」
ハドラー「まぁそれはいいとして…誰も見ていなかったということは、そのままオレ達があの子の事をすっかり忘れていた、ということで何処もおかしくはなさそうだな…」
かごめ「ったく…概念が変わろうと、オツムは基本的にお気楽な妖精そのまんまだからなあいつ。
ま、カンはいいからそのうちどっかから湧いて出てくるだろ」
通路の何処か
チルノ「おー?
かごめー、あやー、おっちゃーん!何処行ったー!?」
きょろきょろとあたりを見回すチルノ…
チルノ「うー…このあたいを一人置いてきぼりにしてさっさと先に行っちゃうとか酷いなー。
…いいもん、最強のあたいならひとりでも迷わずにみんなのところへ行くくらい朝飯前だもん!><」
チルノ「うん?向こうのほうが騒がしいな。
ということは、あっちの方に行けば広い場所に出るかも…!
広い場所に出れば、かごめ達が先にいってれば解るかも知れない!
それに気づいてしまうあたいってばやっぱり天才ね!!><ノシ」
チルノはぱたぱたと通路の出口へと駆けてゆく…そこで目にしたのは
チルノ「えっ…!?」
神綺の放った手刀
その残酷なまでに鋭い一閃が…大妖精の小さな体を袈裟掛けに切り裂いた…その光景
大妖精「(そん…な…!)」
神綺「……やはり、耐えきることはできなかったようね。
あの氷精は理解しがたい存在であったけど…所詮は妖精…!
妖精が神に抗おうなど…ましてそれを打ち破るなど性質の悪い幻想に過ぎないわ…!」
朦朧とするその意識の中
「だいちゃああああああああああああああん!!
負けるなあああああああああああああッ!!」
彼女の耳には確かにその声が聞こえていた
大妖精「(…チルノ…ちゃん…?)」
そして、観客席のど真ん中
割れんばかりの声で己を勇気づけてくれる、小さな友の姿を…彼女の眼ははっきりと捉えていた
リリカ「ねえ、あなた名前は?」
大妖精「…私、名無しなんです。
チルノちゃんのように、人間達に関わるような事をしたわけじゃないし…精々、湖で他の妖精たちとっちょっと違う程度でしたから…」
リリカ「ふーん…名前がないって、不便だね。
何か呼び名とかないの?
例えばさ…チルノとは仲がいいんでしょ?あの子からはなんて呼ばれてる?」
大妖精「えっと…チルノちゃんは“大ちゃん”って呼んでくれるんです。
他の妖精たちより存在が大きい“大妖精”だから、って。
…だから、そう呼んでいただいても構いませんよ^^;」
リリカ「ふむふむ…ま、あいつらしいね。
あいつだって人間達からしてみれば、他の妖精よりも力の強い大妖精には変わりないのにねぇ。
…それに、なんかちょっと短絡的だねえ」
リリカは腕組みをして考えている…
リリカ「…ねえ、もし良ければ、あなたの名前を私が考えちゃ駄目かな?
折角可愛らしい顔してるんだから、可愛い名前が似合う気がするんだ」
大妖精「え…ええっ!?
そ、そんな妖精の私なんかに、名前なんて…」
リリカ「チルノだって自分の名前もってるじゃん。
その友達のあなたが名無しなんて、ちょっとずるいと思わない?
…そうだねえ…」
自分の部屋の中をきょろきょろと見まわすと、リリカは、本棚におかれた一冊の本を取り出した
リリカ「よし、今日からあなたの名前は“コーデリア”。
コーディ、って呼ばせてもらおうかな!」
大妖精「…コーデリア…?」
リリカ「うん。
この物語のヒロイン…魂になっても、愛する人を想い見守り続けた、とても芯の強い女の子の名前。
チルノが最強を夢見るなら、その友達のあなたには相応しい名前だと思うよ!」
大妖精「(…そうだ…私はここで倒れるわけにはいかない!
誓ったんだ…チルノちゃんのように…私もリリカさんの為に!)」
♪BGM 「流星、夜を切り裂いて」(「スーパーロボット大戦α外伝」)♪
飛ばされた空中で一回転し、着地するとともに大妖精…コーデリアは強く大地を蹴る
神綺「…何ッ!?」
大妖精「私は…もう二度と、何も出来ないまま倒れない!
最強の二文字を抱いて戦い続ける子の友達として…!
私を信じて、この舞台に立たせてくれたリリカさんの為にッ!!」
コーデリアは滝登りの構え!
破壊力ばつ牛ンの一撃!
神綺の体が大きく後方へ吹っ飛ばされる!!
アリス「母様っ!!?」
神綺「…くうっ…何て一撃なのよ…!
でも…二度目の奇跡はないと心得よ、小さき者よッ!!」
神綺は瓦割りの構え!
しかし、その軌道にたくさんの小さな光がまとわりついて切っ先を鈍らせる…!
神綺「うっ…!?」
神綺の手刀はコーデリアの体を僅かによろめかせただけだった…
しかし、その切っ先は僅かに彼女の額を斬る
そこから…僅かに血が零れ落ちた
さとり「…っ!?
馬鹿な、妖精の彼女に血が!?」
静葉「始まってしまったわね…あの子の、変化が」
魔理沙「変化…だと…!?
待て、妖精が肉体を持つってことは…まさか…」
静葉「…いいえ。
確かに妖精は肉体を持てば自然界から離れ、妖怪と呼ばれるようになる。
でも…ポエットやミニッツのいた世界は…妖精といえど、己の拠り所とする場所から作り出した肉体を持っている。
肉体を持つ妖精は、人間や妖怪と同じで…己の力を磨いていくらでも強くなる事が出来るのよ…そう、チルノのように!」
妖夢「そ…そんなことが起こりうるのですか!?」
幽々子「紫が言っていたことよ、間違いないと思うわ。
直接の原因は多分…かごめちゃんと、レミリアの所為だと思う。
あの子達の…ううん、多分幻想郷全体の「妖精」という概念が…かごめちゃんの世界のそれになるように、レミリアの運命操作で書き換えられて起きた変化。
肉体の概念を持つ者であれば、己の身とその宿る力を鍛え上げ、何処までも強くなれるはず。
チルノが漠然とこれまでやってきた事は…その事により意味を成し始めた」
幽々子「言うなればあの子達は、今までの「妖精」の概念にとらわれない、新しい概念の「妖精」。
妖怪を…いいえ、神すらも越えうる新たな存在なのかも知れないわ」
神綺「(…それにしたって、不可解だわ。
カラミティエンドの軌跡に、一瞬だけ不可思議な光がまとわりついてその切っ先を鈍らせた…あれは、一体)」
コーデリアはリボンを解くと、それを自分の額に巻き直して額に当てる
其処に、流れ出た血が僅かに滲む…
大妖精「…元より、あなた相手に素のままでぶつかっても勝ち目がない事は解りきっています…!
だから、最初の時に使わせてもらっていた技があった…!」
一枚のカードを提示するコーデリア
大妖精「この時の為に、用意した新しいカード…幻精『フェアリーメドリング』。
ポケモンの技で言えば、甘えるという技になるそうです」
アリス「(攻撃力を大幅にダウンさせる技!
交換のできない状況であの技は拙いっ…!)」
神綺「…時間稼ぎのつもり…?
それで…私を倒せるとでも言うの!?」
大妖精「解りません…ここからは、どちらが先に倒れるかの根競べですっ!!」
久々に空気を叩き壊す(ぉ)実際解説。
タイマンを張っちまったのは仕方ありませんが、ならばあとは倒れない用意をしつつの根競べです。
幸いにも交換ができない状況は相手も同じ。
雨は小町の倒れたターンに止んでしまったため、強烈な瓦割りの一撃を受けてしまいますが、そこから甘えるで攻撃力を徹底的に下げ、致命打を貰わないようにしてからタイプ一致の滝登りを仕掛けます。
先に雨を降らせる事も考えましたが、正直間に合うかどうかも微妙、ダメージ量から確定か乱数かは解らなかったけど3発撃ち込めれば決まる状態なのが解ったので、こちらの受けるダメージ量を鑑みてそのまま突っ込むことに。
恐ろしいのは遺伝でカウンターもしくは金縛りを持っていたか、あるいは天候を変えられるかの2点でしたが、運よくいずれのケースでもなかったのか(あとの技は炎のパンチだとか聞いたような…)純粋な殴り合いに持ち込めた点だったでしょうか…そして。
神綺「(この力ッ…これまでの幻想郷の妖精にはなかった、底知れぬ可能性ッ…!!
それを手にしたこの子また…「最強」を名乗る資格を手にした…!!)」
アリス「母…様っ…!」
神綺「(負けぬッ!!
負けるわけにはいかぬッ!!!)」
「負けないで、母様ああッ!!」
神綺「我は…我は魔界神・神綺なり!!」
神綺の渾身の力を込めたカラミティエンドがコーデリアめがけて振り下ろされる!
その小さな体が後方へとわずかによろめいた…!
リリカ「…コーディ」
不意に、リリカの肩をたたく諏訪子
諏訪子「馬鹿…ぼさっと見てる場合じゃないだろ…!
あいつが…コーディがあれだけの姿になりながら、あの場に立っている理由を思い出せ!」
リリカ「…うん!」
「コーディ、頑張れええええええッ!!><」
その声に応えるかの如く…洩矢の神の雨がもたらした水の気を纏い、緑の髪の少女が駆けるッ…!
大妖精「いけええええ!!
大妖精『ライジングタイタニア』!!」
滝登りの一撃が緋のドレスに猛然と突き刺さる…!
だが…誰もが決着と見た一撃を、神綺は受け止めていた
誰も、声を上げることはできず…沈黙が場を支配する
「まだよ…!」
「まだ、私は倒れていない…!」
神綺は動けぬままのコーデリアに、その神の一撃を撃ちこもうとする…!
コーデリアは瞬きひとつせず、それを毅然とした態度で見つめる
しかし…それが振り下ろされることはなく…
「…ふ…ふふふ…!
賢い子…もう、私の手には一握りの力も残されていない事…解っていたのね」
「……神綺さん」
神綺は手の型を崩し…そのままコーデリアの体を優しく抱きしめていた
その背からは、彼女の力の発露である六枚の翼が音もなく崩れ落ちる…
「……あなた、名前は?
教えて頂戴…この、魔界最強の私を…仮初の体とはいえ退けたあなたの名を」
「…私は…本来名無しの大妖精…。
でも…リリカさんは、コーデリアと名付けてくれました」
「…いい、名前ね…。
ふふ…見事よ、コーデリア…!」
神綺はそのままゆっくりと、ステージへと崩れ落ちた
それに引きずられるように、コーデリアもステージに座りこまされる格好になる
ハドラー「…見事ッ!」
慧音「…倒した…のか!?
妖精のあの子が…魔界の、神と呼ばれた
妹紅「…夢、じゃ…ねえよな…?」
かごめ「……解らんなら試してやろうか?
いくら不死人でも抓られりゃ痛いだろ(言うが早いか妹紅の左手を思いっきり抓る)」
妹紅「( ̄□ ̄;)だああああああッ!?
なな、何しやがるこの野郎ッ!!」
レティ「や…やっちゃったわ、あの子…!」
さとり「え、ええ…!
神綺さんの心の声は途切れた…この戦い、決着で間違いない…!」
魔理沙「あ、あいつ…ついに…ついに、アリスに…!」
リリカ「勝った…!」
よろめきながらも、しっかりと立ち上がるコーデリア
其処へ、駆け寄るふたつの影…
リリカ「やったよ、コーディ!!」
チルノ「だいちゃああああああああああああああん!><」
大妖精「( ̄□ ̄;)はうっ!?」
チルノとリリカの抱きついてきた勢いで再びステージに転がされてしまうコーデリア
すぐに起き上がり、一瞬茫然と顔を見合わせる三人だったが…再びリリカとチルノはコーデリアの小さい体を力一杯抱きしめた
リリカ「偉い!あなた本当に偉いよ、コーディ!
まさか、こんなすごい人に勝っちゃうなんて!」
チルノ「流石あたいの自慢の友達だよ、大ちゃんっ!><」
大妖精「えへへ…リリカさんと…チルノちゃんのおかげです…。
ふたりの声がなかったら…きっと、私っ…」
喜び合う少女たちの元に、ゆっくりとアリスが近づいて来る
そして、全力を使い果たして倒れた母親の体を、そっと抱き締めると…三人の方向へ向き直り、手を差し出してきた
アリス「完敗だわ。
あなた達の心の強さ、とても今の私には真似できなかった…!」
リリカ「アリス…」
アリス「きっとあの時、私は全力で…母様の為に叫んでたと思う。
策も、戦略も抜きにして、母様が勝ってくれる事を信じて」
「不思議な感覚だわ。
とても悔しい筈なのに…清々しさしか残ってないなんて…!」
魔理沙「(アリス…)」
さとり「…あんないい顔で、笑う事の出来たひとだったんですね。
ふふ…魔理沙、今なら解りますよ。
あなたが何故、あの子…アリスにこれほどまでに強く惹かれたのかが」
魔理沙「…空気くらい読んでくれよ…この性悪覚」
魔理沙「…確かにお前の言う通りだよ。
昔のアリスは…私の大好きなアリスは解らないなりに、できないなりに一生懸命で、輝いていたよ。
…私が男の子で生まれていたら、絶対に恋に落ちてたと断言できるくらい…私は、あいつが」
さとり「うふふ…その先は、私達が無暗に聞いていい領域じゃありませんね。
ひと段落したら、あなた自身の口から彼女に直接伝えてあげるべきですよ?
…あなたが「生まれ変わる前」から、それを一言も伝えた事など無いでしょう?」
魔理沙「…ちっ……大きなお世話だ、御節介焼きめ」
魔理沙「(でも…今は言えない。
あいつの心にかかった靄を…それを晴らす方法が見つかるまでは、私の存在そのものがあいつにとっての甘えになってしまうって師匠は言った。
だから、今はまだ…帰れないんだ)」
アリス「…今度は、あなたには絶対負けないから…!
私もあなた以上の心の強さを身につけて…私をほったらかした落とし前で、魔理沙に土下座させてやるんだから…!」
リリカ「…へへん!
やれるもんならやってみなさいっ!」
リリカは差しだされた手を握り返し…固く握手した
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かごめ「いやまぁ…大真面目に運だったと思うよー?
ケロ助が猫だましで止められたのは…単純にタイプ一致先制でテンポも狂わされちまうが…どうせタスキじゃなかったんだし問題はねーんだけど」
文「四方や…神同士の戦いも制して、珍しく仕事してたサボマイスターをぶちのめしたほどの方を、妖精のあの子が倒すとは…。
そもそもネオラントってそれほど強いポケモンじゃないですよね?」
かごめ「んだ。強さで言えばガルーラのほうが一段上だな。
しかし重要なところであのケロ公、ハイポン外しやがって…アレ外してなかったら普通に決着だろう常識的に(ry」
文「でもおかげでリアルにドラマチックな展開になったじゃないですかー。
何時ぞやだって、最後に残ったのはあの子だったでしょ。
それが、今度は最後にこの試合を決める立役者となったとなると…うーん、流石に脚色もしたくなりますかー^^」
かごめ「でもさ、しつこいけど運は良かったと思うよ。
ガルーラは遺伝でカウンターとか金縛りもあるし、そんなのがあったら普通にアウトだ。
攻撃力下げていてもダメージ倍返しとか、攻め手封じとか言われてもどうにもなんないし」
文「アンコールとか?」
かごめ「幸いにもそれはない。
踏みつけも遺伝だから、これがあっても怖かったが…まぁ、懸念材料となるべき技がなかったら、あとは根競べしかないからな。
一発以上耐えきれれば、攻撃力は甘えるでどうにかできるし。
遺伝で甘える覚えさせてなかったら詰んでたな」
文「でも、こういう運を引き寄せるのもまた実力のうち。
いいことじゃないですか^^」
かごめ「まぁね」
かごめ「さて…次は遊牧民なんだが…内容的にも結構ギャグっぽいしすぐ終わっちまう気配なんで、次の対戦の伏線とか色々張る形にしておこうかな、とか。
なんか折角開きかけたアリスの心を再び閉ざしてしまうようなそんな感じで」
文「【えっ!?】
確か幽香さんと一戦交えてますよね?
この状態で「今度は私のトラウマを越える!><」的な展開とかそういうわけじゃないんですか!?」
かごめ「残念だが怨恨が深くて流血は避けられぬ事態らしいんだ済まない(´・ω・`)
つーか狐がそう決めやがったらしい。
ドキドキ大冒険もそうだけど…あの腐れ狐、「痕」の楓シナリオのラストとか大好きだからなぁ…(遠い目)」
文「うっわ〜…激しくやな予感しかしねえ…」
(その2に続く)