前半のあらすじッ!!
度重なる死闘を通じ、様々な少女達の想いを目の当たりにしてきたユルールは、かごめに対し「本気のバトル」を要求したッ!
そのユルールの意気に感じ、かごめはその申し出を快諾し、ユルールは仲間たちとの絆を信じてそれに対峙するッ!
しかし、これまでの出来事に伴う激しい戦闘…特にルーミアの堕天使の力による一撃の後遺症が深く残るかごめは、既に立つ力も失いかけているほどの激しい消耗ッ…!
かごめはユルールの心に応えるべく、突如現れた土蜘蛛・黒谷ヤマメの力を借りてそれでもなお戦いの場へ赴くのだったッ!!
並び立たぬ両雄、そして互いの想いと絆と培った力同士が激しく火花を散らすその戦いは、ポケモン知識に一日の長があるかごめサイド有利のまま推移してゆくッ!
果たしてかごめがそのまま押し切ってしまうのかッ!?
それとも…ユルール達の絆がその圧を押し返してゆくのかッ!?
その戦いの先に待ち受ける結末とはッ!!Don't Miss it!!!
早苗「…なんか色々と混ざってませんこれ?
っていうか最後のあれはイニDですよね…?」
さとり「先刻のザブングルネタもですけど…それが解ってしまうあなたも大概ですよ早苗さん」
さとり「さて、ここからが中盤戦です。
恐らくは相手サイドでもトップクラスの攻撃力を持つボーマンダのドラゴンを欠いたところで、本家ポップンでは様々な大人の事情(笑)に泣かされたアッシュさんが獅子奮迅の活躍を見せ始めます」
早苗「アッシュさん…(´;ω;`)
あのアッシュさんは両刀でしたっけ?」
さとり「ポケモン的な意味ではそうですね(にやにや)」
早苗「……いえ私もその意味で言ったんですけど^^;
神速やインファイトだけじゃなくて、確かサイコキネシスも使っていたような」
さとり「別段不思議ではないんですよね。
ルカリオは基本的にACどちらも補正がかからない素早さ補正性格にして、いずれも高い数値と優秀な技が揃う物理特殊まんべんなく使うのが基本の攻撃型ですし。
実際にあの方はかなり厄介ですよ、メイン火力となる格闘技を、さらにプレート補正で高めてますし…ただし技構成的にあるポケモンで完全停止すr」
早苗「そそそ、そんなこと言うひと嫌いですから!!><」
さとり「…なんだかすっかりそのセリフが板についてきましたね早苗さん…まあいいですけど。
咲夜さんとは同速なものの、神速もあるアッシュさんに対しては無理強いも出来ないので美鈴さんに交代するのですが…恩返しのダメージもあったので威嚇込みでも波動弾から神速の流れで何も出来ずに落とされてしまいました」
早苗「なんだかあまり見せ場がありませんでしたねー、美鈴さん」
さとり「遊牧民の中の人にとっては、美鈴さんもかなりのガンだったようですし。
こちらの構成を思い返して頂ければよいのですが、実は攻め手がどちらかと言えば特殊に偏っており、尚且つ積み技からの暴走に入れる美鈴さんを失ってしまったのはかなり痛いです」
早苗「数の上ではまだ有利ですが…大きくアドバンテージを取られた格好ですね」
さとり「レミリアさんは流石に不一致だったおかげでサイコキネシスを耐え、エアスラッシュで反撃しますが…」
♪BGM 「戦乱 荒れ狂う波浪の果て」/古代祐三(SQ3)♪
ユルール「(思った以上にアッシュさんのダメージが大きい…ここは)」
ミノ「…どうやら俺の出番か…!
ルルー様の御前で恥をかくわけにいくまい…娘よ、今はお前を信じてやるぞ!」
ユルール「ミノさん…はい!」
ミノタウロスの凄まじい威圧感がレミリアを襲う…
レミリア「ちっ…だけど私もそろそろ限界なのは一緒だわ。
文、頼むわよ!」
控えていた文はその呼びかけに応える前に、先刻の出来事を思い返す。
打たれた「毒」が効いているかごめのその姿は、普段とあまり変わるところはない。
しかし、文は知っている。
かごめは今この瞬間も、命を削りながら立っているということを。
気持ちの整理はついていたのだ。
かごめが覚悟を決めて立っている以上。
(解っている…それがかごめの「意地」でしかないんだってこと。
…でも…そんなかごめだからこそ、私達も一緒にいたいと思っているんだから…!)
かごめ「レミリアの氏名はあんただ。
頼んだよ、文!」
文「…合点承知!
幻想郷最速の天狗、その速さ、篤と観るがいい!!」
文の威嚇でミノの攻撃力が下げられた!!
ミノ「…貴様の如き小娘にこの俺が気押されるなど!
我が誇りある主のため…この一撃で貴様をたおおおおおおおおおおおおおおおす!!」
ミノは恩返しの構え!
しかし文はそれほど堪えてはいない…
ミノ「ぬおっ!?」
文「その程度でこの私を制したつもりか、鈍牛!
速さはただ先の先を行くもののみに非ず、風の敏さの神髄を魂魄に刻みつけるがいい!
鴉天狗奥義、“風神少女”ッ!!」
文はインファイトの構え!
破壊力ばつ牛ンの一撃!
相手のミノタウロスをズタズタにした!!
ミノ「(ば…馬鹿なッ…この俺が一撃で…!!?)」
ルルー「ミノ!!
う…嘘よ…ミノがこうも簡単に…っ!!」
ルシエド「相変わらず凄まじい速さよ…。
我の目では到底追いつけぬ…まさしく、風の化身と呼ぶにふさわしい」
シグマ「あれほどの使い手はホワイトランドにもそうはおらん。
ルーミアを受け入れた今となっても…アレに対抗できる者がいるとすれば、それこそ彼女を含めた四大天使レベルか。
そのルーミアも、同じく四天使の一角を成すポエットも向こうにいる…厳しい展開になってきたか…」
さとり「拘り恩返しも威嚇のお陰で十全に本領を発揮できませんでしたが…」
早苗「とはいえタイプ一致だからかなりの被害ですよね」
さとり「恩返し最大威力だと、威嚇が入ってないと計算上拘りで確定1発になりますからね。
ユルールさんは文さんに対抗すべくツララさんを起用してきますが、こちらもチルノに交代して対応します。
ここまでの状況を見る限りでは、常に優位に立てるメンバーをぶつけてうまく狩っているように見えますが…」
早苗「ここで相手側も、チルノちゃんがシャドーボールを放つのを見越してレモンさんを投入してきましたね。
相手側にとって美鈴さんや文さんがトラウマになっているというなら、こちらにとってはレモンさんやツララさんが目の上のこぶみたいなポジションになるんでしょうか」
さとり「そうかも知れませんね。
どちらも、自陣の主力クラスをそれ単体で封殺できる強力な対抗手段になりますからね…前置きではあのように作りましたが、狐的には八坂様も勇儀さんもどちらも出しにくかったのは、実際のところこの両名を警戒していたからに他なりません」
早苗「それを差し引いても構成的には大分厳しい相手ですよね。
チルノちゃんの頑張り次第、ということになりますが…」
レモン「(大丈夫大丈夫よレモンあなたはやればできる子なんだからそれにあの子がどんなにヤバくても無傷じゃないんだからきっと大丈夫…)」
ヘルメス「…うわぁ…これは拙いんでねーのレモンの奴…。
あのヘタレにしちゃこの局面で逃げ出さずに立ってるだけでも上出来のような気がするが」
ローズマリー「ったく…気持ちも解らんくないけど…ってどうしたの姐さん」
ラ・ターシュ「あ…いや、何でもないさ。
少し席を外させてもらうよ」
廊下に出たラ・ターシュは、その一角にバーミセリが立っているのに気づいて立ち止まる…。
「リーダー…。
……あたしは……ユルールに見たままのことを告げるべきなのかね」
「さあな。
オメエが何を見たのかは知らんが…相手のお嬢もそれだけの覚悟を持ってあの場に立ってるんだ。
俺がオメエの立場なら、出来るならそんな野暮はしてやりたくない」
「…でも」
「ユルールは俺達が考えている以上に聡い娘だ。
俺達をあの子に引き合わせたあの「神様」とやらが何を考えているのかは知らんが…少なくとも、俺は今この場に居合わせた運命とやらに感謝したい気分なんだ…だから、もう少しだけあいつらの好きなようにさせてやりてえ」
「その結果…かごめというあの子が、死ぬことになってもかい…!?
あたし…見たんだよ。
…あの子は…あたし達の知らないくらい昔から、戦いに次ぐ戦いで蓄積したダメージの所為で…!
ヤマメの奴が何かして、無理矢理にあそこに立ってるってことを知っちまったんだ…だから!」
バーミセリは溜息をついて、背を向ける。
「俺は…あのお嬢が何かをユルールの為に伝えてやろうっていう意思を感じた。
…だから、俺も間近で見てみたくなってみたくなっただけさ。
今の話を聞いたら、なおのこと見逃がしたくねえし…止めたくもねえ…!」
バーミセリはそのまま、その場にラ・ターシュを残して去っていく。
取り残されたラ・ターシュは思いつめた表情のまま暫くそこへ残っていたが、彼女もバーミセリが去っていった方向を…ユルールのいるベンチへと向かい始める…。
(チルノ、最初に必ずお前の戦いやすい環境を作れ。
あいつは必ず一撃で仕留めようと狙ってくる…それが出来たら、あとはお前にすべて任せる…!)
チルノ「(どうしてだろう…かごめ、すごく苦しそうだ。
でも…なんでか解らないけど、あたいもこれを止めちゃいけない気がする。
きっと…きっとかごめは大丈夫だ…!だから…!)」
チルノはスペルカードを使った!
凍符“フリーズアトモスフェア”発動!
フィールドにあられが降り始めた!!
ユルール「(これは…!)」
レモン「ここ、こんなのししおどし…じゃなくてこけおどしよ!!><
どどどんなムチャ補正があってもこの私の最強最速の圧縮渦雷に落とせぬモノはなああああああああああい!!!」
レモンは10万ボルトの構え!
エーテル圧縮で極限まで高められた破壊力ばつ牛ンの…
しかしその攻撃は空を切った!!
こいし「雪がくれだ!!」
さとり「よくもこんな局面で…!
何時ものことながら、本当に驚かされますね…!」
レモン「( ̄□ ̄;)うっそおおおおおおおおおおおおおおおん!?」
チルノ「次のターンなんて渡してやんないよ!!
食らえっ、凍符“コールドディヴィニティー”!!」
チルノの最強最速の吹雪が発動!
チルノの吹雪は回避することはできにい!
レモンは雪の中でひっそり幕を閉じた…
ローズマリー「あああああの馬鹿ーッ!!!><」
ヘルメス「こ…この局面でああいうヘマかますか普通…っていうか姐さん何処行ったんだ?
おっさんもそう言えばさっきから見かけねえし」
ローズマリー「知らないよーそんなことー!!><」
さとり「雪がくれ&お香の補正まであれば、まあ大概の攻撃技は外れるわけですけど…この時チルノが持っていたのは気合の鉢巻でしたっけ」
早苗「当たってたら普通にアウトでしたねー。
ここでチルノちゃんが落ちてたらこのまま決まってたくらいの勢いですし」
さとり「向こうもいい加減それは承知の上なので、必中の波導弾で落としにかかってきます。
これはルーミアへの交代で対応するのですが…」
ルーミア「(ここで決めなきゃ後がないっ!)
私のこの手が真っ赤に燃える!お前を倒せと轟き叫ぶ!!
流派東方不敗最終奥義!石!破!天驚けえええええええええええええええええん!!」
ルーミアは気合玉の構え!
アッシュ「(スゲえ気迫ッス…あの子も…それにかごめちゃんも…!)
でも…俺もここで負けるわけにはいかねえええええええええええええええ!!」
アッシュの怒号(ハウリング)で気合玉がかき消される…っ!
ルーミア「そんなっ…!?」
こいし「( ̄□ ̄;)うっそーん!?そんなのありー!?」
パルスィ「ちょ…何なのよアレ!?」
さとり「……まさか……空気の振動であの気を霧散させたというのですか…!?」
ユーリ「(流石だ、アッシュ。
ふっ、だがむしろそのくらいやってもらわねば私の面目もないだろう…!)」
アッシュはそのままサイコキネシスの構え!
破壊力ばつ牛ンの一撃!
ルーミアはひっそりと裏世界で幕を閉じた…
ルーミア「(そんな…ごめんなさい、かごめ…!)」
文「まだ…まだ終わってはいない!
この隙は逃さないわよ、鴉天狗奥義“風神少女”ッ!!」
アッシュ「甘いのはお互い様ッスよ!
この“速の大妖”と称された狼人間(ウェアウルフ)の…「俺」の速さを、ナメんじゃねええええええ!!」
アッシュは神速の構え!
文はインファイトの構え!
文はアッシュの攻撃を受けながらも、そのまま容赦ない連続攻撃を叩きこんで吹っ飛ばした!
アッシュは壁に強かに叩きつけられ、そのままがっくりとうなだれる…!
アッシュ「ぐっ…ちく…しょうっ…!
…すまねえッス…あとは…頼みます……!」
ユルール「アッシュさん…!
…ツララさん、残ったのはあなた一人…でも!」
ツララ「わかってる…解ってるよ、大丈夫。
私も、ユルールさんやかごめさんときっと同じ気持ちだと思う。
だから…」
♪BGM 「戦乱 それぞれの正義」/古代祐三(SQ3)♪
ツララはふわりと文の前へ着地する…
「私が必ずこの勝負を決めてみせる!!」
文「(くっ…やはりこの技も反動が大きいか。
…挙句、相手が彼女とは)」
咲夜「ならば、後手に回っても有利に立ち回せる私の出番。
お下がりなさい、あとは私が引き継ぎます」
文「……仕方ないですね。
あとは頼みました、咲夜さん」
さとり「いよいよ最終局面、こちらの残りはレミリアさん、文さん、咲夜さん、そしてチルノの4名、相手はツララさんを残すのみ。
素早さ上向こう有利ですが、タイプ的に炎・悪タイプである咲夜さん登場でこちらの勝ちはほぼ確定的かと思われましたが…」
早苗「ここから私達も信じられないモノを見ることになりますよね」
咲夜「いかに足掻こうとこれで幕引きになる!
食らいなさい…イミテーション・レッドマジック!!」
咲夜は大文字の構え!
ツララ「まだ…まだ終わっちゃいない!
私と…私達とユルールさんの絆!
この程度で断ち切られてたまるもんですかああああああ!!」
しかしツララの雷がそれよりも速く咲夜を直撃する!
咲夜はかみなりの影響で麻痺して大文字を失敗した!!
咲夜「(何…いったい今、何が…!?)」
レミリア「うそ…そんな…そんなことって…!!
咲夜避けてええええええっ!!」
ツララはさらについげきのかみなり!
咲夜をズタズタにした!!
早苗「まさかとは思いましたが…交代際のかみなりで麻痺させられた挙句、行動不能になるなんて…」
さとり「いえ実は交代際に怪光食らって何も出来ずに落とされたんですが(しれっ」
早苗「( ̄□ ̄;)ちょ!!!」
さとり「まさかとは思いましたが…咲夜さんかみなり一発で落とされたんですよ。
不意打ちを仕掛けて一気に決めようとしたんですが、混乱で行動できず終わったので…ダメージ計算上一発は耐える(低乱2)筈なので、メモには残ってないですが恐らく急所に入ったのではないかと。
咲夜さんの名誉のためにこの辺話作ってますよ」
早苗「そ…そんなことって…('A`)
でも…それではツララちゃんは最速ではないといっても100族よりははるかに速いんですよね…?
それだと、文さん達じゃ」
さとり「電光石火はゴーストに通らないので、何も出来ずに終わってしまう筈です。
実質…この勝負の行方はチルノに託されてしまった」
早苗「所持技を考えれば分の悪い勝負ではありませんが…双方土壇場に強い同士、どう転んでしまうのか…」
ツララのかみなりがチルノを直撃する!
チルノは麻痺して技が繰り出しにくくなった!!
リリカ「そんな…チルノまで」
勇儀「万事急す…か!
(かごめ…お前はこのまま終わって、あの子に花を持たせるつもりでいるのかい…!?
いや)」
……
…
「文…戦況はどうなってるんだ…!」
その言葉に文は違和感を覚える。
かごめは自分の傍らに「立っている」筈なのだ。
自分の目で見ている筈ではなかったのか…その疑問を口にする前に、彼女の姿を見て絶句する。
かごめの瞳は…既にフィールドを見ていない。
何もない中空に視線をやって、その視線は定まっていないことが見て取れる…!
「かごめ…あなた!」
「…済まん…あたしの眼はもう役に立ってくれそうにない…!
あいつのくれた薬が切れ始めてる…もう…耳もよく聞こえないんだ…!!」
額に脂汗を滲ませながら、かごめはそれでもなお「立って見せて」いたのだ。
ただ、自分たちに心配をかけさせまいとして…否、恐らくは。
「文…説明は後で聞くわ。
どうせ…かごめはやめろと言って聞くような性格はしてないでしょう…!」
「…レミリア…」
同じようにしてその傍らに立つレミリアも、歯を食いしばり涙をこらえながら立っていた。
恐らくは彼女も気づいていたのだろう、その変調を。
「ルーミア…あなたは自分に責任を感じてはいけないわ。
かごめは、自分の心のままに行動し、その責任を自分自身で負っているだけよ。
…それに…あなたは全力を尽くして彼女の心に応えた。
だからもう泣くのはやめなさい…!」
戦う力を失い、ベンチの片隅で声を押し殺して涙するルーミアの姿もある。
彼女はその言葉に頷いて見せながらも、後から溢れる涙を止められずにいた。
文は、かごめの手を取り、風の力を使ってかごめにその言葉を届けるかのようにはっきりと状況を告げ始める。
「…戦況は…かなり拙いわ。
咲夜さんが退けられた以上、チルノを抜かれたらそのまま勝負は決まる…その局面で、チルノもかみなりの余波で動きに影響が出ているわ…!」
「そうか…」
「成す術はない…けど、あなたはチルノに指示をするつもりはないんでしょう…!」
かごめはゆっくりと、しかししっかりと頷く。
「あたしは…信じる。
あたしの持ち得なかった心の強さを持っているチルノを…幻想郷最強の氷の精を…!!」
(そうだ…かごめはきっと、自分の総てを賭けてここに立っているんだ…!
だから…!)
チルノはなおも、かみなりの余波で自由な動きを奪われた体を叱咤して立ち上がろうとする…!
(わかって…知っていたんだ…かごめさんの体が…もう万全じゃないってこと。
お燐ちゃんが言ってた…かごめさんは、見た目普段通り振る舞っているけど、ルーミアちゃんとの戦いで受けたダメージが深すぎて…本来はもう、立っていることも苦痛なんだってこと。
だからもう…こうしてかごめさんを相手に戦うことも出来なくなるんじゃないかって)
その鬼気迫るかごめとチルノから放たれる圧を、ユルールとツララは真っ向から受け止めて返そうとしている。
(だから…そうなる前に戦っておきたかった。
見せておきたかったんだ。
私達が培ってきたものを、かごめさんに)
わずかに振り向いたツララに、ユルールは頷いて返す。
(ツララさん…後は私は何も言わない。
あなたの選択を信じる。
必ず…勝って!!)
「これで…落ちろおおおおおおおおおおおお!!」
その心を受け止めたかのような、天候のエネルギー弾を渾身の力でツララはチルノへと向けて打ち出す。
チルノは体に走る痛みに顔をしかめ、にわかにバランスを失って倒れそうになる…そのとき。
「まだだ!!
まだ終わっちゃいない!!
お前の…幻想郷最強のお前の力!!あたしにもう一度見せやがれええええええええ!!!」
かごめの渾身の叫びが、チルノの耳に届く。
(あたいは…負けない!負けるわけにはいかない!
こんなちっぽけなあたいを、最強だって信じてくれた、認めてくれたかごめの為に!!)
チルノの雄たけびと共に、その影から途轍もない力が湧き出して巨大なシャドーボールを作りだす。
ツララの虹色の光球とチルノの漆黒の球が衝突点で大爆発を起こし、双方の体を吹き飛ばす…が。
チルノは地を蹴り、大量のアイシクルフォールを展開して爆風の中をツララめがけて突っ込んでゆく。
「ファイナルアイシクルフォールッ!!いっけええええええええ!!」
放たれた氷の弾幕は、砕け散り幾つもの礫となってツララに残された体力を容赦なく削り取る…!!
(届かなかった…ごめん…ユルールさん…!)
ツララの体がゆっくりと倒れようとした瞬間、ユルールは反射的に飛び出していた。
そして、冷え切ったその体をしっかりと受け止め…そして、その瞳から涙があふれた。
……
…
「決着…か」
涙に暮れるマタンを慰めるロコの横で、ユーリはただそれだけを呟いた。
彼のみならず、この場に居合わせた者は誰しもそう思っただろう。
双方、恥じることなき見事な戦いぶりだったと。
その一方で、ユーリもその結末を予感していなかったわけではない。
その勝敗に関わらず…彼は、それは必ず起こるだろうということを。
しかし…止められなかった。止めたくはなかった。
彼は次の瞬間、そこから猛然と飛翔していた。
「勝った…あたい達…勝ったんだ…!」
肩で息をするチルノは、ユルールに抱きとめられたツララの姿にようやく決着を確信した。
最期の瞬間、彼女はかごめの声に突き動かされるがままに、その総ての力を一撃に込めていた。
もし、その声がなければ…恐らくは自分がそうなっていたのだろうか…そんな考えも一瞬彼女の脳裏を過る。
そして彼女は振り返る。
視線の先に、レミリアと文に支えられ立つかごめの表情がほころぶ。
次の瞬間。
それまで両の足でしっかりと立っていた筈のかごめの体が、力なく崩れ落ちる…!
「え…」
茫然と呟くチルノ。
そして、そのただならぬ雰囲気に顔を上げるユルール。
飛翔するユーリの、愛娘の名を呼ぶ叫び声がこだました。
……
…
予期された事態ではあった。
それ故、八意永琳を伴った八雲紫が姿を見せたのは、かごめが倒れてからほんのわずか後のこと。
一通りの応急処置を終え…永琳の表情は深刻なままだった。
「…思ったより悪いわ。
いくら妖怪とはいえ…限界に近い体に日陰茸の毒を打ち込むなんて、本来正気の沙汰じゃないとは解っていたけど」
その険しい表情に、その無茶を実行した張本人であるヤマメも顔を曇らせる。
「先生さんよ…あまりこいつを責めないでやってくれ。
…あくまで…望んだのはかごめだ」
「………承知しているわ。
恐らく、彼女の代わりに私がそこにいたとしても、同じことをやっているのかも知れない」
そして、背後の紫に目くばせする。
頷く紫。
程なくして、紫の式が形成する結界に包まれたかごめが、先に紫と共にスキマへと飲み込まれてゆく。
「結論からいうわ。
容体はかなり危険な状態…すぐに永遠亭に運んで治療にかかるわ。
…申し訳ないけど、あなた達はこのままそれぞれの意思で解散という形にして頂戴」
それだけをその場に集まった面々に告げ、永琳も残されたもうひとつのスキマへと足を踏み入れようとする。
「待ってください!
私も…私も連れて行って下さい…付添人くらいは、いてもいいでしょう!?」
呼びとめられた永琳はユルールへと目をやる。
「私達も行くわ。
重病の介添人として“家族”は当然居るべきでしょ?」
「ああ。
こういう時に他人任せにしてしまっては、父親としての面目も立つまい…!」
泣き腫らした表情のまま傍らに寄り添うつぐみを伴い、紗苗とユーリも進み出る。
溜息をつく永琳。
「…事態が事態だから…大人数は遠慮願いたいわ。
でも…後二、三人くらいはいてくれた方が良いのかもしれない」
永琳の言葉に顔を見合わせる面々。
「それなら」と幾人がその意思を示すが…結局最初に名乗りを上げたユルール、紗苗、つぐみ、ユーリの四名に加え文とルーミア、そしてマタンがその後に続いた。
……
…
さとり「さて最終局面の解説ですが」
早苗「(最早ツッコむ気も起きない)描写を見る限りでは麻痺が入ったようですが」
さとり「実はこのへんマジです(きっぱり)」
早苗「マジなんですか^^;」
さとり「怪光からかみなりの流れで本来天敵に近いタイプである咲夜さんを退けたばかりでは飽き足らず、自重という言葉とは無縁のサンタ娘のかみなりがチルノにクリーンヒットした挙句、麻痺を取って大きなアドバンテージを得てしまいます。
挙句、そのターンは麻痺でチルノが行動不能になるというおまけ付き」
早苗「ちょ^^;;」
さとり「実際確定3発くらいの破壊力だったので、このままかみなりでごり押しされてもう1ターン麻痺とかなったらその時点で投了モノですが、此処で相手側が確実に体力を奪う安全策を取ったことで勝敗の帰趨が大きく変わってしまったようです。
しかも無天候状態のウェザーボールなので、ダメージもかなり小さく済んでチルノに大きなチャンスを与えてしまう結果となったのです」
早苗「ですがさとりさん、向こうのメインウェポンは冷凍ビームですから、いくら一致技でも氷タイプに対して氷技なんて」
さとり「無天候ウェザーボールが威力50、一致冷凍が半減されても威力75程度あるという事実を鑑みてもですか?」
早苗「……あ」
さとり「あるいは麻痺の行動不能をkskする意味で怪光を撃つという選択肢もあったわけです。
こちら側もあまり言えた義理はないですが、どうやらユルールさんは勝負を焦り過ぎてしまったのかも解りませんね」
早苗「でも、結構微妙な局面だったし…そこまでの余裕はあるのでしょうか?
いくら性格が腕白(特攻ダウン補正)でも、実数値は補正なし100族よりもちょっと高いくらいあるチルノちゃんで、しかも弱点を突いて来るシャドーボールがあるんですし」
さとり「確かに、相手にしてみればそれが解ってるだけにさっさと勝ちを決めてしまいたかったというものあったんでしょうね。
実際、チルノのシャドーボールでタスキ発動まで追い込み、返しのターンで礫が決まったので何とか制することが出来ましたが…もし相手が怪光という選択肢を取っていれば解りませんでしたよ。
麻痺単体で行動不能になる確率は25%、2ターン連続で動きが止まる率はわずか6%弱。
これに混乱が絡むと、麻痺及び混乱のどちらかで行動不能になる確率は75%に跳ね上がる…1ターン動きが止まる、と思っても決して大袈裟ではない。
次ターンで混乱が回復する可能性を考慮しても、3割強の確率で2ターン行動不能になるから侮れない数字ですよ」
早苗「え…えっと…それだったらこちらが最初にあられを使う選択肢だって…雪がくれあるし」
さとり「(溜息)…しっかりしてください早苗さん…ユキメノコの特性は何ですか」
早苗「あ…あう…雪がくれ…(´;ω;`)」
さとり「だからチルノにしてみれば終始殴りに行く選択肢しかなく、逆にツララさんはそのままチルノを翻弄してそのまま決めてしまえる可能性もあった」
早苗「そう考えてみるとツララさんにとって、かみなりで麻痺が入ったということは物凄くラッキーだったのでは」
さとり「裏返せば相手が搦め手を重ねてこなかったことが私達にとっての幸運だったということです。
もっとも、狐がツララ側の立場だったとしてもあの局面、怪光をぶちこみにいけるかどうかは怪しいところですがね」
早苗「…というわけで長々続いた今回のログもようやく終わりですね。
何時の間にか私達だけで進行してしまってますが^^;」
さとり「まあその辺は…狐野郎が最終戦を無駄におお事にしてくれやがったんで、此処にその当事者を絡ませるわけにもいかなかったんでしょうし。
ここから先のエピローグは、何時か狐がほのめかしやがった遊牧民関連の話や、どこぞの人形使いの中の人に対するかごめさん事情に対するひとつの回答となる展開になります。
多方面から糾弾されるしかないような内容になってますので、閲覧にはご注意を(キリッ」
早苗「もっとその辺穏便に済ませる手段とかなかったんですか…あ、それではこれで本編はお開きになります^^;
本編で済ませる方はお疲れさまでした、そうでない方は引き続きエピローグをお楽しみくださいね」