-秋神社参道内「夜雀酒場」-


♪BGM 「少女が見た日本の原風景」(東方風神録)♪


かごめ「やあ(´・ω・`)
   ようこそ、バーボンハウスへ。
   この舞姫純米大吟醸はサービスだから、まずは飲んで落ち着いて欲しい」


かごめ「うん、これはポケモン白黒が発売する直前の、第四世代最後のログなんだ済まない。
   仏の顔もっていうしね、謝って許してもらおうとも思っていない」


かごめ「でも、このタイトルを見たとき、君は、きっと言葉では言い表せない「ときめき」みたいなものを感じてくれたと思う。
   殺伐とした世の中で、そういう気持ちを忘れないで欲しい。
   そう思って、約二年経過した(執筆時2012年6月)この対戦のログを今更になって作ったんだ。
   …じゃあ、注文を聞こうか」


文「あーすいませんかごめ殿、またこのパターンなんですか?(;^ω^)」
かごめ「いやねー…正直私もこいつの扱いどうしようかと思っていましてですな。
   新環境突入直後のを黒歴史にしちまってたから連動してこれのログ番打ち忘れてて、どう扱ったものか思案している間に時間だけが過ぎていったと」
文「もうシステムそのもんが現在と違っちゃってますから、こんなの本当にさっさと始末しちゃうべきだったんですよ」
かごめ「そうは言うがな大佐。
   元々このログ自体も、現在もちんたら進行中のミラーズリポート完成の後に始末する予定もあったんだよね。
   ところがどっこい、それ自体が全く完成の目処が立たんときたもんだ」
文「そんなこといったら…その後の話だって結構それに噛んでるところ多いじゃないですか。
 かごめ殿に至っては何時の間にかそれまでのタガが外れたというか…」
かごめ「その話はそれこそ、時系列的にはこのログの直後ってことになっちまってるからなあ。
   無茶は承知の上で深くまでは触れねえ気ではいたんだが」
文「それなら今だ終了の目処がつかない話の続きッてんなら、なんでまた今頃になって」
かごめ「それ簡単な話だろ、これ以上触れずに先延ばししたらマジでお蔵入りになりそうだったからだよ(きっぱり」
文「でっすよねー。
 BW緒戦だの初期の数戦だの、狐にしてみりゃそれこそ未来永劫封印しておきたい黒歴史ですもんねー」
かごめ「第一その辺りメモ残ってねーしな。残してねーとも言うが」
文「隠滅する気満々だったんじゃないですか」

かごめ「つーわけで本当に今更観しかないが、今回のログはおまけ2本つけて4本の予定だ。
   最初の話ではこっちのアーモロード組と光の戦士&カメ&御近所番長ドラゴンという非常に香ばしい組み合わせと相成ったアレを」
文「いやいやいやおまけと半々とかふざけてんですか^^;;;;;」
かごめ「ああふざけてるよふざけて悪いか!!
   こんな今更過ぎる話をいちいち取り上げるのって本来はすっげえ苦痛なんだぞこの野郎!!><
文「いやそこで逆ギレされても困りますってばー!
 …おーいおかみさーん、このちょっと半ギレしてる方に何時もの真澄出してあげてー」
ミスティア「あいよー^^;
     ツケはそっちの姐さんでいいんですよねー?」



ラウンド1
自分(カゴメ)
リリカ(ラティアス@オボンの実)、ルーミア(ゲンガー@カムラの実)、チルノ(グレイシア@のん気のお香)、フラン(ボーマンダ@ヤチェの実)、アンナ(エンペルト@ヨプの実)、ポエット(トゲキッス@気合の鉢巻)
相手(アリス)
バッツ(キノガッサ@拘りスカーフ)、レナ(サーナイト)、ファリス(エルレイド)、クルル(ニドクイン)、ギード(カメックス@食べ残し)、バハムート(ボーマンダ@気合のタスキ)


かごめ「ーったくよーもうやってらんねーよー(一升瓶ラッパ飲みなう)」

文「うーん…アレじゃもう話になんないわね^^;
 仕方ない、いるんでしょはたて?
 丁度いい機会だからあんたちょっと相方頼むわよ」
はたて「(戸口の陰にいた)( ̄□ ̄;)うえっ!?
   ちょちょちょ、そんな話急に言われても…それになんでわかったのよー!?」
文「あんた尾行下手過ぎ。
 山の中腹からあんたがこそこそついてきてたのはバレバレだったのよ、つかこの私を尾行(ツケ)ようなんざ百年早いわ(逃げようとするはたての襟首をがっしり」
はたて「うわーんそんなー><」
文「いい機会だからあんたにもみっちりポケモンのイロハも叩きこんでやるわ。
 おかみー、とりあえず荒縄と熱燗二つお願いねー
ミスティア「(うわあ…^^;)」


〜少女作業中〜


はたて「(椅子に固定されている)…うう…なんでこんな目に('A`)」
文「呪うなら自分の愚かさを呪うことね。
 さて、まずは最初のなんだけど…まあ双方大概なメンバーがそろってるわね相変わらず。
 時間的に世代最後のラウンドになる事は解ってたから、もう完璧自重する気はなかったとしかいえないわ。
 マンダなんかどっちにも1匹ずついるし」
はたて「うー…私にはまだよく分かんないんだけどさー、確かエルレイドってオスしかいなかったとか言ってなかったっけ?
   あのファリスって人間、どう見ても女じゃなかった?」
文「そこが解ってるなら話が早い。
 ありゃあ確かに女よ。同じパーティにいたタイクーン第二王女・レナの生き別れの姉だからね」
はたて「じゃあなんでよ」
文「あんたみたいに知らん奴の為に説明しておくと、タイクーン第一王女サリサことファリスは、物心つかない頃行方不明になって、海賊に拾われて育ったのよ。
 んでもって、成長した彼女は紆余曲折あって海賊団のおかしらになった。
 女だてらに海賊団を率いる身だから、舐められないように男装をしてたようね。もっとも、当人は女であることを隠しているつもりはなかったみたいだけど」
はたて「そーゆーもんなのかしら。
   勇儀さんとか見るからに「女傑」って感じだから、そういう風に振る舞えばいいのに、人間って意外と見栄に拘るのね」
文「性格的なモノもあるんでしょうけどね。
 リリカ達が旅したアーモロードにいた海賊団クロスジャンケのリーダー・ザヴィとか、あるいはミンサガの海賊シルバーなんかは、バリバリの女海賊って感じだったようだし。
 身近な所だと他には、ラ・ターシュさんなんかも姐御肌って感じの人だしねえ」
はたて「むー、言われてみれば」

文「戦力的に言えば、説明するまでもなくチルノは旧チルノ。
 でも実をいうと、この時あいつ最後の最後まで出番が全くなかったのよ。ついでにポエットもだけど」
はたて「えっ」
文「メンバー的には決して繰り出しが厳しいわけではなかったんだけどねえ。
 出しどころがなかったというか
はたて「そーよねー、広範囲に弱点突ける気がするんだけど、なんで?」
文「ぶっちゃけると、後半戦は殆どルーミアとアンナだけで勝負が決まったのよ。
 先発はルーミアだったんだけど、相手の先発もスカーフガッサ。
 スカーフ胞子で眠らされたんだけど、事もあろうにあのそーなのかーは速攻で目ェ覚ましやがって、身代わりでサイキネを受けてそのままシャドボから10万でまずはひとり」
はたて「その時点で十二分にインチキくさい展開よね。
   あの真っ暗妖怪、人形使い相手だとマジで自重しねーって聞いてるけどマジなのね」
文「大マジよ。
 流石にエルレの影打ちばかりはどうしようもないので、そこから龍舞積んで妹様のターンと思いきや」
はたて「思いきや?」
文「事もあろうに龍舞ダイブ耐えられた挙句、カウンターでバッサリと
はたて「えー('A`)」
文「まあフランに関してはねー、レミリアが巧く立ち回るようになってからとばっちり食ったのかどうもねー。
 世界樹でも参戦間もなくに、古海の放浪者の呪い食った状態でジャイアントキルが適用されたから、反動だけで即死なんて華々しいかりちゅまデビューを飾ってるし」
はたて「それもひどい…」
文「流石にあのニド嫁も、下降補正とはいえラティの流星群は耐えないからそのまま押し切って、あのカメェェェには冷凍食らいながらもリアルタスキ発動して電磁波決めて、そこからまひるみ狙ったものあえなく二発目で撃沈」
はたて「メモに「HP1」って書いてあるけど…
文「だからよ。因みに持ち物はオボン」
はたて「そんなことってあるもんなの?」
文「乱数の関係でごく稀にね。
 ラティは特防もかなり高いから、不一致冷凍くらいなら耐えることも普通にあるし。
 あとはここからルーミアとアンナのローテーションで、インファイトをルーミアで受けたり逆鱗をアンナで止めたり。
 まあここから先の説明はいらないでしょ」
はたて「そりゃあそんなことばかり繰り返してたら真っ暗妖怪へのヘイトもたまるというか」



ラウンド2
自分(カゴメ)
リリカ(ラティアス@オボンの実)、ルーミア(ゲンガー@カムラの実)、チルノ(グレイシア@のん気のお香)、フラン(ボーマンダ@ヤチェの実)、アンナ(エンペルト@ヨプの実)、ポエット(トゲキッス@気合の鉢巻)
相手(ユルール)
ユーリ(クロバット)、マタン(サーナイト)、テトラ(ギャラドス)、シュワルベ(オオスバメ)、すずひめ(スイクン)、ウオヲ(ギャラドス)


文「一言で言いましょうか、これはおいしいところ全くないわ
はたて「うわバッサリ逝ったね」
文「ポイントを触れようにも拙いところしか見当たらないんだもの。
 いくら展開重視とはいえ、早々にアンナを使い潰したのがケチのつき始めとしか言えなかったわね。
 そして特殊ギャラとかもうね」
はたて「…ギャラドスって特攻すっごく低いよね?」
文「低いわよ。ひかえめ攻撃逆V無振り特攻V極振りにして、やっとギリギリで特攻(123)>攻撃(117)になる程度」
はたて「そんなんでどーやって特殊メインできるの?
   優秀な特殊の威力アップ技があるとか?」
文「あるわきゃないじゃない、チャージビームすらないわ…ところがその割には高威力の特殊技をいっぱい覚えやがるのよ。
 10万かみなり大文字吹雪ハイドロポンプ、そして第三世代まではギャラドスの代名詞とされることも多かった破壊光線。
 威力120以上の特殊高火力だけで5種類、しかも破壊光線を度外視してもどれも4倍弱点が狙えるし、挙句ギャラドスには優秀な威嚇の特性がある」
はたて「あっ…そう言えば、能力値は兎も角として特殊型のボーマンダみたいだねえ。
   威嚇で出鼻を挫いて、兎に角高威力の技で弱点を狙うんだね?
文「良くできました。
 しかも特性上ミラーマッチには恐ろしく強いわよ。
 物理ギャラはエッジを運任せでぶっぱする以外手がないのに、特殊ギャラは10万やかみなりで4倍弱点を狙いに行ける。
 そして基本的な物理ギャラを機能停止させる鬼火で止まらない。
 此の頃からにわかに環境に湧き始めて、そのヤバさが認識されつつあったっけね」
はたて「ふぇー」
文「しかも面倒なことに、向こうは特殊物理両方のギャラがいるときたもんよ。
 フランはロクすっぽ何もせずにブレバで落とされるし、リリカはリリカでよりにもよってスイクンの冷ビで凍るし。
 それでもリリカはまだ何とか要所要所でスイクンやあのパンク鯉野郎に電磁波ぶち込んで、望みをつなごうと頑張ってたんだけどねー」
はたて「氷精は?」
文「確か…あられ撒いたはいいんだけど、スイクンの波乗りをまともに2発受けて特に何もせずに終わったような。
 なんだかんだで何かやらかした事ばかり印象残るけど、同じくらい空回りで終わったことも多いのよあいつ。
 終わったことにイフは禁物ではあるけど、序盤でアンナを潰さずに残していれば、少なくともオオスバメとクロバットに好きに動き回れる事はなかったでしょうね」



ラウンド3
自分(リリカ)
ふはしはん(ドサイドン@先制のツメ)、リグル(モルフォン@拘りスカーフ)、かごめ(ブースター@のん気のお香)、ゆうか(キノガッサ@どくどく玉)、ミニッツ(マリルリ@力の鉢巻)、さとり(サーナイト@気合のタスキ)
相手(アリス)
しゃんはい(スターミー)、Sはくれい(トゲキッス)、3げつせい(ダグトリオ@気合のタスキ)、めでぃすん(ゲンガー@命の珠)、ようむ(ハッサム)、アリス(アグノム)


文「これが正真正銘第四世代最終ラウンドとなるわね。
 システム上はドローなんだけど、実質的には負けラウンド
はたて「相手自爆よね?」
文「ルーリングにもよるけど、自縛大爆発は仕掛けたほうが基本的に負けってルールも多かったわね。
 ちなみに第五世代公式ルールでは、最後の1体が自爆・大爆発・道連れ・命懸けのいずれかを使った場合、使った側が無条件で敗北よ。
 年末にランダム潜ったとき、狐野郎はそれで勝ちを拾わせてもらったこともあったわ。
 相手にしてみればそれを知らなかったのか、回線切断も格好悪いしせめてドローに持ち込もうと悪あがきしたのかもしれないけど」
はたて「でも、ブレイブバードみたいな技でダブルノックアウトの場合とかどうなるの?」
文「……………あんた此の間のログ()見てなかったの?
 反動技で相手を倒して、自分も倒れた場合は反動技使った方の勝ちよ。
 第四世代公式では引き分けだったけど」
はたて「うぐぅ><」
文「まあメタ話になるけど、実際のところアリスサイドとしてみては、此処ではまだゆうかりんを越えるべきではない、という考え方もあったという事もあってね。
 普通に考えれば文字撃たなくたって神通力なりサイキネなりの安定技だってあるわけだし、今は自爆覚悟の全力で仕掛けても幽香には及ばない、みたいな」

かごめ者「………それはあいつ自身が目標を簡単になくしたくなかった以下略〜(ばたり」

文「…………………………ちょっと埋めとこうか(#^ω^)」
みすちー「すとーっぷ、すとーっぷ^^;;;」


文「というわけで推移を見てみましょうか。
 こちらは実はトリル軸のPT。スカーフ持ちのリグル以外はどいつもこいつも素早さに難があるから見りゃなんとなくわかるかもだけど…まあサーナイトのトリル所持率がどの位なのにもよるでしょうし」
はたて「その辺わかんないー」
文「本来、トリックルームは使う奴もどっちかと言えば鈍足。
 サーナイトはS80族だから遅くもなければ早くもない微妙な位置だし、そもそもあの小五ロリは凍える風を持っている。
 撃てば自分のサイドウェポンを実質ひとつ潰した格好になんのよ、今になって思えば」
はたて「よく分かんないな」
文「例えば速度の速い4倍竜を狙い撃つ場合、大体一発じゃ落とせない事も多いから、二発撃つことになる。
 ところが、トリルで上から殴れるようになっても、仮にこご風の追加効果で足を殺して素早さを逆転できたとすれば、トリル下ではその為に先手を取られてしまうという本末転倒な状態になるのよ」
はたて「わお…めちゃくちゃだね」
文「もっとも素早さ無振りだから一段階下げて先手取れるドラゴンなんてそうはいないけど。
 そもそも物理主体の4倍竜相手に一度でも攻撃を許せば、サーナイトの耐久で耐えられるわけがないしね」
はたて「前提条件の時点ですでに破綻してたわけね」
文「そういうこと。
 さて、うんちくはこの辺りにしておきましょう、実際速度的には積極的にトリル撃った方が有利にはなる対戦ではあったから、それを軸に組み立てて行っても問題がなかったわね。
 まずはスターミーと師範の顔合わせだけど、いくらなんでもハードロックとは言え半減実抜きで波乗りなんか耐えるわきゃないという毎度の如くの出オチルート
はたて「うーん。
   でもさ、こいつ猫の草結びでも瞬殺されてなかったっけ?」
文「この時よりもだいぶ後の話にはなるけどねそれ。
 あのときですら大分特防に振っててあのザマだったのに、この時は特防無振りよ。ましてレパルダスよりもずっと特攻が上でタイプ一致の波乗りですもの、無理に決まってるじゃない」
はたて「うわあ…」
文「それでも一撃でなんとかできそうな蛍に交代出しで今度はトゲキッス、これも特防高いからいくら色眼鏡でもダメージは大したことはない。これも物理が脆いからはりキッスの一致燕なんて耐えるわけもないし。
 ただ流石に一致さざめきの火力も馬鹿にならないからブースターの馬鹿力で落としてやったんだけど…今思えば、そこまでしなくても大文字とかでよかった気はするわね」
はたて「うー…でも体力残り少なかったみたいだし、打ち逃げして再度繰り出して仕事できるかは微妙な所じゃないのかなあ」
文「実際その後捨て余裕だったしね。
 電光石火でダグのタスキだけ潰して、マリルリのアクアジェットで止め。
 確か珠ゲンガーまではマリルリで潰している筈だからー…上海人形が10万3回撃ってるのかしら。少なくともさとりが麻痺させられてるからここは運がなかった」
はたて「10%って言っても出るときは出るからねえ
文「けどそれでも置土産から花妖怪でそのまま蹂躙して終わらせるつもりが、交代でターンを使い潰されて大爆発されて終わった。
 勿論ここでサイキネでも飛んでくれば余裕で終わるわね。
 この辺りの事はまあ深く触れないでおけばいいんじゃないかしらね」


文「駆け足で振りかえってみたけど大体こんな感じだわ。
 もう日数が忘却の彼方レベルだったし、正直黒歴史にでもして闇に葬ってしまえばよかったんじゃないかって気がするんだけど」
はたて「そもそもログの項数でも忘れられてるしねえ
文「全く持って、一応世代最終戦なんだから語る気残ってるうちにとっととまとめてしまえばよかったのよ。
 もっともBW初戦なんて余りにアレだったのか完全お蔵入り状態ではあるけれど」
はたて「実は語る気がなかったとか?」
文「すっごくメタい話しましょうか。
 実はどう書くか考えているうちに次のログを書く必要に迫られた。
 だから話がまとまるまで後回しにしていく事は既に決めてやがったらしいのよ
はたて「( ̄□ ̄;)えええええええええええええええええええ」
文「結果どうなったのかは御覧の通り。
 結局こうやって駆け足でまとめて、小話に色々紛れ込ませて行こうかみたいなことで済ませたというね。
 …もう実際のところ、遊牧民との最終決戦が世代最終戦という位置付けにされちゃってるのかもしれないわ
はたて「人形使いとは一体何だったのか…」

文「というわけでログそのもの自体は簡単にだけど以上よ。
 後はこの時の裏話の一つをここで明かしてシメとしましょうかね(はたての縄をほどく」
はたて「…んん?」
文「あんたもう無罪放免だし、別に帰ってもいいわよ?
 あの黒髪がああな以上、話し相手が欲しかったから捕まえてただけだし」
はたて「うわそれひどい。
   …だったらこの後も付き合って、その小話とやらの顛末聞いて帰るのも自由よね?」
文「…………そうね、好きになさいな。
 おかみー、酒一升追加(キリッ
ミスティア&はたて「( ̄□ ̄;)多いわ!!!」







……



雲ひとつない星空の下、人の気配のないそのフィールドに二人の少女が向かい合って立っていた。


「…ごめんね。
こうでもしないと、ふたりきりで話す機会もなかった」


バツが悪そうに一方の、柔らかいブロンドの少女がそうつぶやく。
正面に立つ黒髪の少女は、険しい表情のまま応えない。


「今更、キミを散々に振りまわしておいて、ただごめんなさいの一言で済ませられない事は解ってるつもり。
…ボクはどう転んでもボクのままだから…きっと」
「そうかも知れませんね」


長い沈黙を守っていた黒髪の少女が、ふと表情を緩める。


「お互い、難儀な性格で育ったものです。
あなたは知らないかもしれないけど…私はもうこんな成りで、二百年以上も生きている。
…三ツ子の魂百まで、というには、余りにも悪過ぎる冗談」


そんな黒髪の少女…藤野杏奈の表情は、ブロンドの少女…マタン=カトルセにとっては初めて見る表情だったかもしれない。


「私は何処で、心の余裕を失くしてしまっていたのか…。
私が私である事を取り戻すまでに、どれだけの時間がかかってしまったのか。
…今の私であれば、あなたと一緒に旅をしたあの時間だって、もっと違うものに見えたかもしれないのに

「アンナ…さん」

アンナは頭を振る。

「いいよ、呼び捨てでも。
私はあなたにそんな呼ばれ方をしてもらえるほど、出来た存在じゃない。
…ううん、あなたは、あんな態度を取った私のことだって」


「友達だって、思ってくれていたんでしょ?」


その表情にマタンは息を飲んだ。
微笑むその表情とは裏腹に、凄まじい圧迫感がアンナから発せられてくる。


「だから、「友達」として私も、あなたに振りまわされた分の仕返しくらいは、しておきたいと思った。
どうあっても、私は私。
きっとこれ一生変わんないと思うんだよ



その言葉とは裏腹に、笑顔のアンナ。

あんまりと言えばあんまりの言葉だった。
しかし…アンナの言葉にはこれまでのような敵意というものは感じられなかった。


「そか、それもそうだよね。
…だったら」


マタンもそれに呼応するかのように表情を改め、腰にしていたその剣を抜き放つ。

樹海行で手にし、かつて機械の王の佩いていた聖剣「デュランダル」。
それが、その少女の新たなる力。


「だったらもう一度立場の違いって奴を思い知らせてやらあ、この生意気三つ編み!!!」
「冗談じゃない、積年の恨みをここでまとめて晴らしてやんよ、腐れ女王ッ!!!」



その怒号を皮切りに、決闘というには余りにも微笑ましい…少女たちの壮絶なケンカの幕が切って落とされる…。



幕間 「フラッパーガールズの道標」



「まーったく、マタンさんは…アンナさんも」

無駄に研ぎ澄まされた剣術と、不必要なくらいに高められた高位攻撃魔法が乱れ飛ぶその光景を高台からそっと眺め、ユルールは呆れたように溜息を吐く。

「馬鹿は死んでも治らん。
あのふたりをみていると…今まであたしゃどうしてあんなことで百年以上も縛られていたのか…すっごく馬鹿馬鹿しくなってくる。
…だが…これからあたしが生きてく世界は、あのくらいで丁度いいんだろうな

その傍らに立つ黒髪の女性が、ユルールにも聞きなれたそのトーンで吐き捨てる。
しかし、その女性…藤野かごめのその表情にも、言葉にも、これまでユルールが感じて居たような淀みは既に消え失せている。


ユルールもまた、ユーリを介してかごめに何が起こったのか…何が起こっていたのか、その総てを聞き及んでいた。

彼女が撃ち果たし、そしてカケラとなりなおも彼女を死に誘い、苦しめ続けていた「永遠」。
死闘の末にそこから解放されたその姿は、何処までも自然体で、引き込まれそうな魅力を放っていた。


(…私は…私も、こんな風になれるのかな?)


その姿に見惚れるでもなく、ユルールは素直にそう思った。


MZDはかつてこう告げた。
今現在「ユルール」と呼ばれるその魂は、目の前のその存在になるべきものであったと。

しかし…目の前の「かごめ」はあくまで「かごめ」であり、自分(ユルール)も自分(ユルール)でしかない。
今の彼女には、それがはっきりと理解できていた。


それでもなお、ユルールの目の前の大きな目標は、この「かごめ」である事もまたひとつの事実。


「…羨ましいな。
あたしも…早くあいつらみたいに戦ってみたい…!」


真に「永遠」から解放され、療養を申し渡されている彼女の疼きのようなものも、ユルールには感じ取れていた。

「もうちょっと、待ってください。
せめて………私があなたの前に立てるくらいになるまで

ユルールは自分でも驚くくらい、その言葉をなんの衒いもなく言い放っていた。
僅かに驚いた表情のかごめの瞳の中に、一片の迷いもない自分の、それでも少し紅潮した笑顔が映る。


「そうか………じゃあ競争だな。
あんたがあたしと戦えるようになるのが先か、あたしが戦いの場に立てるのが先か!」
「…はい!」


かごめはこれまでに感じることにできなかった新たな生きがいを、確かに自分の中に刻み込まれた事を感じていた。


それと共に。



「永遠」の呪縛から解放されるそのときに、垣間見たその「前の姿」という桃色髪の少女の事を思い出していた。

その少女は、いまだ彼女の言う「絶望」の中で、誰かに救われる事を希い続けているのだろう。
だが、それができるのは恐らく自分ではない事も…。


(いや)


ユルールを抱き寄せたまま、かごめの掌に確かな決意の力がこもる。


(あたしはきっと、こうしてあたしに寄せられる願いと共に生きていける。
 だから……きっとあたしもあんたを救ってみせる)









どのくらい経っていただろうか。


その中央、砕けた氷山だらけの開けた場所に、お互い荒い息を吐きながら大の字になってぶっ倒れているアンナとマタンの姿がある。


「はー…はー…ちっ…ちくしょうめ…!
なんでそれだけの力もってながら…そんだけできれば、どれだけハイ・ラガードやカントーで助けになったと思ってんだこんにゃろう!」
「ふーっ…ふーっ…あんたのせいだろう…。
次から次へと…みょうちくりんな縛りばかり追加しやがって…いくら私でも、MZDの力には抗えないッ…!
あんなんでおっ死んだら…死んでも死にきれないわ…あんたの気まぐれのせいで…どんだけ必死だったと思ってやがるのよ…!」

アンナはよろよろと立ちあがる…。


「けど…お陰でアーモロードでは自分の限界以上の力…出せた気がする。
…そうでなかったら、私のせいでリリカ達を…大切な仲間達を死なせることになったかもしれない。
その事だけは……感謝してあげるわよ」



総てを出し尽して憔悴しきった筈のその表情なのに、その笑顔は穏やかだった。


「…羨ましいな。
ボクもあの子みたいにもっと素直だったら、もっといい女王様になれたのかな」

立ち上がろうともせず、大の字になったままマタンは寂しそうに笑う。
アンナは小さく頭を振る。

「あなたはあなた。リリカはリリカ。
それに…」

マタンはふと自分の体が軽くなったような感覚に、目線を上に向ける。
そこには困ったような、泣きそうにも見えるユルールの顔がある。

「もう…相変わらずなんですからマタンさんは」

何時の間にか、そこにはロコやシャルロット、テトラの姿もある。
皆恐らく、ずっと黙ってこの様子を伺っていたのだろうという事はすぐに理解できた。

このやり取りもずっと聞かれたのかと思うと、急に何か気恥しくなったのか、マタンは照れ隠しのようにわざと声を荒げる。

「…ちっ…ちくしょう!
みんな見てたんだったら少しぐらい手を貸してくれてもいいじゃん!
どう見たってボクよりもアンナの方がバケモノじみてたじゃないか!!」
「いや…だってほら」
「アンナサンノ戦闘能力ハ低ク見積モッテモアイエイアノスキュレーニ匹敵シマス。
ソノヨウナ相手ニ安易ニ挑ンデ巻キ添エ喰ラウノハ真ッ平御免デス☆」
「(こくこく)」
「お…お…おまえらぁ…!!」

その光景を後ろ目で眺めつつ、ふっと笑うとアンナは踵を返し、立ち去ろうとする。
不死の魔道師である彼女は、既に自分のばら撒いた魔力を再吸収することで回復し、歩けるまでになっていたのだ。


「ちょっと待てアンナこの野郎!!」


マタンの怒号にアンナは再度振り返る。


「キミがどんだけ強かろうが、今度はボクが絶対にけちょんけちょんにしてやる!!
覚えてろっ…キミは絶対ぶちのめしてやらなきゃならない奴であると同時に…ボクの大切な友達なんだからな!!!」



呆気に取られるアンナ。
何時の間にか傍らにいたかごめに肩を叩かれ、アンナはふっと笑い返す。


闇に溶けていく二人の後姿を眺めながら。


「…あのひと達は…みんなすごい人たちばかりだ。
いつか…あんなひとたちをあっと言わせてあげたい…!」
「ええ!」


少女達は新たな決意をしっかりと握りしめていた。



(茶番満了)