-太陽の丘特設スタジオ裏-
♪BGM 「疾走あんさんぶる」/COOL&CREATE(原曲「幽霊楽団」)♪
メルラン「後半戦ですね」
ルナサ「ですね。
じゃなくて、本当にどうするの此処の扱い」
メルラン「うーん…一応回線落ちの断片もいくつかあるんだけど、ネタになるようなところも少ないしねえ。
というかここで軽くまとめる程度のことすらできない感じ?」
ルナサ「さとりさんなんか本当にこれからというところだったからなあ。
まあもっとひどいのが紅魔館の…」
メルラン「…あれ一番酷いのはむしろゲートキーパーじゃないかしら。
こぁやフランが弱いとは言わないけど、悪の波動かみくだくの一発で終わるなと…何処まで見かけ倒しなのあれ」
ルナサ「リリカが言ってた気がする…頭パーツは魔法に強くて、体パーツは物理に強いから分離してる方がよっぽど強敵なのに、何故か合体すると全属性に弱くなるとか意味解らん、って」
メルラン「とんだ欠陥品じゃない。
まあ、あのオランピアを見る限りまともなモノはないような気がしなくもないけど」
シュガー「一応開幕殺しの天地双覇掌があるんだけど…まあアレを初手イージスで軽々突破する人間もいるしなあ^^;」
ラウンド5(11/5)
こがさ(フワライド@飛行のジュエル)、ルーミア(ゲンガー@黒いヘドロ)、かせん(ヨノワール@大地のプレート)
他見せ合い…パルスィ(ミカルゲ@黒いメガネ)、ルナサ(ムウマージ@物知りメガネ)、げんげつ(シャンデラ@木炭)
相手(テトラ)
フロウフロウ(ポリゴン2@進化の輝石)、こじろう(ウォーグル@命の珠)
ルナサ「まあ実質的な最後のラウンドなんだけど」
メルラン「あーすいません姉さん、何処からツッコんだらよろしいので」
ルナサ「一応こっちゴースト統一。
向こうノーマルタイプ統一。何か他に質問は」
メルラン「いや私そういうこと聞いてんじゃないけどさー^^;
なにこれ、要するにこれボロクソに負けたってことよね」
ルナサ「私も本来こういう事はあまり言いたくないんだけどー…だけどー…特A級戦犯を挙げるなら、言うまでもなく小傘一択」
メルラン「うわあ^^;」
ルナサ「だってそうじゃない!!><
いさんで出て行って「この私の新★技で絶対大丈夫ですぅ><」とかぬかしやがったクセに結果どうなったと思ってるのよ!!」
…
……
♪BGM 「万年置き傘にご注意を」(東方星蓮船)♪
「いっつあしょーたーいむ!!
さーて、久しぶりにガンガンおどかしちゃいますよ〜!!>ヮ<」
フロウフロウ「(((((;´Д`)))))(トラウマスイッチオン」
ユルール「(((((;´Д`)))))(トラウマスイッチオン」
テトラ「いやいやいや解ります理由は解りますけども^^;」
お燐「あたいだってあの時道連れとばかりに爆死させられてんだよ〜?
流石にそんなことされた身としちゃ、そんな一言で片づけて欲しくないんだけどねえ?(しろめ」
テトラ「いやほら、大爆発は弱体化したから大丈夫ですよ…多分^^;;」
ユーリ「確かに弱体化はしたがなあ」
スマイル「ヒッヒッ…これまでのシリーズは受け側の防御を半分にして算定だから、ある程度攻撃の値が低くても無理矢理持ってくことが可能だったんだけどねえ…。
威力250は決して低くはないのは確かだけど…それでも出て来たってことは、何か策がある、と見るべきじゃあないのかなあ…ヒッヒッヒッ!」
ユーリ「言われるまでもない。
幻想郷という箱庭から解放された故か、妖精たちやああ云う小妖怪たちの向上心の高さ、貪欲さは異様だ。
…どう仕掛けてくる…!」
かごめ「……策があるならと思って特に止めはしなかったけど、大丈夫なのアレ」
諏訪子「うーん…正直、五分五分ってとこじゃないかなー。
そもそも小傘がそういう臨機応変の立ち回りできる才能があるわけじゃないからねー。
歯車がうまく回るかは神のみぞ知る。私達は知らんけど」
かごめ「適っ当だなー^^;
まあ、巧く行ってくれればいいんだけどー」
小傘「まずは第一打ー!
化傘“超撥水ステルスからかさお化け”!!>ヮ<ノ」
小傘はスペルカードを発動!
小さくなるの効果で小傘の姿が空間からかき消えた!!
フロウフロウ「( ̄□ ̄;)!!??」
ユルール「( ̄□ ̄;)ひゃああああきえたああああああああああ!!??」
テトラ「だからなんでそんなにおどろ…ええーっ!!??( ̄□ ̄;)」
ユーリ「!!??( ゚д゚ )」
スマイル「…落ちつきなよユーリ、君らしくもない。
ヒッヒッ…成程、運任せだがそういうことか…面白い事を考えたねえ…。
以前の環境では不可能だったけど、今なら小さくなるバトンは可能になっているからねえ…挙句、フワライド有効な補助技をい〜っぱい持っている。
ちまちま削って無理矢理持っていくよりは、有効かもねえ」
ユーリ「…補助技バトン特化か!」
小傘「ひょおおおおうみんな驚いてるーいえーい!!\(^0^)/
よーしこの調子でどんどん回避をあg」
フロウフロウ「カサバケコワイカサバケコワイ!!><」
パニックに陥ったフロウフロウはシャドーボールを滅茶苦茶にばら撒き始めた!
広範囲に爆風が巻き起こる!!
小傘にも破壊力ばつ牛ンの一撃!!
小傘「( ̄□ ̄;)ぎゃあああああああああああああああああああああああああ!!??」
ユルール「( ̄□ ̄;)ひゃあああああああああああああああああああああああ落ちついてえええええええええええええええええええええええええ!!」
テトラ「( ̄□ ̄;)いやあんたも落ちつけええええええ!!」
ユーリ「(流れ弾を器用に回避)うわあこの結果は読めなかったな…^^;」
スマイル「(流れ弾を器用に回避)ヒッヒッ…覚が撃退されたのも人間の恐怖心から来る無意識の偶然…感情に関わる妖怪はこういうのに弱いんだよねえ…ヒッヒッ…^^;」
小傘「ちょちょ…こんなの予想外でしたよー!?
えーいこうなったら…ルーミアさんぱーすっ!!><」
ルーミア「( ̄□ ̄;)えちょ!おま!それはちょっとない…ひゃあああああああああ!!?」
小傘はスペルカード「パラソルスターメモリーズ」発動!
バトンタッチの効果でルーミアに小傘の補助効果が総て受け渡さr
ルーミア「=●)´3`)ブーッ」
えた瞬間シャドーボールが激突して致命的な致命傷!!
ルーミアはズタズタにされた!!
早苗&かごめ&諏訪子「( ̄□ ̄;)ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!??」
小傘「は、はあはあ…危ないところで…ってどういうことなになんでこんなことに!!( ̄□ ̄;)」
ルナサ「(ビキビキ)お〜ま〜え〜なあぁ〜!!」
……
…
メルラン「うわあこれ確かにひっどいなあ^^;」
ルナサ「実際はシャドーボール食らって、さらにどくどくまで浴びて、それでもなんとか小さくなる2回と気合溜めまで積んでからバトンタッチ。
ルーミアが一回回避して一発まで耐えて気合玉まで撃ったんだけど、これも一発外れた挙句結局2発目のシャドーボールでアウト」
メルラン「それでもあの立体映像は小傘が責任もって飛ばしているみたいだけど…」
ルナサ「小傘は小傘で殆ど相討ちに近い形で、毒でそのターンに落ちやがったのよ。
華扇さんもかなりあきらめ顔で、それでもなんとか冷凍パンチで望みをつなごうとしてくれたんだけど…H振りのウォーグルなんて一致でもどうかってレベルだからどうにかなるわけないし…ったく、あの傘は〜><」
シュガー「……そもそも回避率の解釈が間違ってる気がするんだよなあ。
杏子の話だと、アレにも攻撃や防御とかの値と同じように「ランク」が存在するらしいんだけど…」
メルラン「あったのそんなの?」
シュガー「相手の命中補正ランクから自分の回避補正ランクを引いた値の分、技の命中率に補正を受けるみたいだ。
例えば影分身を使った場合、相手が命中に補正がかかる技、例えば爪とぎを使ってるわけじゃないならランクは-1。
そうすると相手の命中は25%減(命中3/4)になる。
ランクがマイナスされるたびに3/5、1/2、3/7、3/8という風に命中への補正が大きくなって、最高の-6で命中率は元の技の命中の1/3になるんだ。
だから、小さくなる2回だと、2段階アップの2回で4段階。命中100なら、端数切り捨てで命中42相当になる」
ルナサ「それだったら殆ど外れるよ…!?(じろっ)」
シュガー「(びくっ!!)ま、まあ…確かにね…。
あと特性砂隠れとかの補正(20%回避アップ)と、光の粉とかの補正はそれぞれ独立してる。
まず回避ランクの補正入れる前に特性やアイテムの回避入れるから、重複はしてもそこまで補正率は上がらないみたいだけど…」
メルラン「まあ言われてみれば…命中42相当を4発連続なら確率にしておよそ3%強……うん、残念ながら小傘が悪い^^;;;;」
ルナサ「ルーミアもいい迷惑だったわ。
ただでさえ全体的に相性悪いのか、あの子達の時にはロクな目に遭ってないのに…」
メルラン「特に気合玉の命中率が呆れるほど低いのよね。
此間も誰かが触れてたけど、対アリスの時の異様な命中率の分割りを食わされてるのかしら」
ルナサ「否定できそうにないんだよねーそれ。
…なんかアリスに恨みでもあるのかしら、あの子」
シュガー「…どうしてそっちの方向へ話が飛ぶのかなあ…^^;」
メルラン「さーてこれで話できるところは全部かなあ。
実は意外に中途半端なのよね」
ルナサ「流石にこれ一発分しかないとなー。
土曜にこれだけ回線がおかしくなるあたり、いい加減リュウグウノツカイ系の祟りかなんかかしら」
メルラン「いやそれはそんな…ううん、これも否定できない」
シュガー「( ̄□ ̄;)いや流石にそのりくつはなんかおかしくないのかい!?」
ルナサ「そうとしか思えないもの。
……まあその話はいいわ。こうなったら少し禁じ手を使うしかないわね」
メルラン「禁じ手ですか姉さん」
ルナサ「うん。ちょっと予告編という形で次ログの話を」
シュガー「えちょ」
ルナサ「ぶっちゃけると既に、これをやってる時点で次の12月分ログのネタが追加されてるわけよ。
この馬鹿傘の話はまさに、帯に短し襷に長しを地で行ってるから…いざとなれば次の話に少し触れろって許可はかごめと諏訪子さんから出てるのよ」
メルラン「実質あのふたりがログを管理してるんだったら最初から自分でやれって気もするんだけど」
シュガー「そういうものなのかなあ」
ルナサ「というわけでログそのものは以上だから私達の出番はここまで。
ここから先は次の対戦ログ…と言っても、別のところで触れらてたものに関わる話で、私達は直接関連ないんだけどね」
メルラン「要するに穴埋め幕間ですね」
シュガー「ミもフタもないなあ」
ルナサ「こういうのはノリが一番大事なのよ。
では、私達はこれで」
三人「ばーいせんきゅ!><ノ」
………
……
…
-数日後・にとりの工房-
♪BGM 「神々が恋した幻想郷」(東方風神録)♪
「おーいにとりー、ここのパーツどうすんのー?」
「ちょっとまってー」
その地下室では、数人の少女が慌しく作業をしている。
その中心に鎮座ましますは、何故か銭湯の外装そのものの姿をした何か。
家主である河城にとりは、かの対戦の後「カポーン」という名の、その銭湯ロボを引き取っていた。
製作者の気まぐれで生み出されたこのアミューズメントロボットは、余りにも常識を無視したレベルの製作費低予算ぶりであったが、この機体そのものはあくまでデータ取得のプロトタイプでしかなく、このデータをもとにキチンとしたモノが開発されるとのことだった。
しかし、実験機であるこのカポーン・プロトタイプは役目を終えた時点で廃棄されると聞いた時、にとりはどうしてもそれが許せなかった。
故にデータのみをMZDに引き渡してその機体を引き取り…こうして自らの手によって生まれ変わらせる決意をしたのである。
幸いに紫の結界が今まだ残るこの地であれば、他の世界で不要になったモノがいまだ多く流れ着く。
中にはまだ使用に耐えうる廃材や、家電製品にも事欠かない。
それどころか、スペック的に十分現役で通用するPC本体も流れ着く事すらある。
にとり達河童の集落にある先進機器類にも、こうして流れ着いた末に河童たちの手に因ってレストアされたり、あるいはそれを元に「生きている」部品の寄せ集めで再構成されたモノも数多く存在した。
余談ではあるが、秋葉神社や守矢神社にあるパソコン、全自動洗濯機などと言ったシロモノも、にとりの手に因ってレストアされたモノがほとんどなのである。
人間好きを自称して憚らないにとりではあったが、不要になったらすぐに捨てて新しいものに変えてしまうという人間の行動だけは、どうしても許せなかった。
如何な形であれ、生み出された命を弄ぶべきではない…かつてかごめが、射命丸文の髪の毛を元にしてつくられた式神天狗である文(ふみ)を紫が「処分」しようとした時に、そう言った事を文(ふみ)当人の口から聞いた時、にとりも「自分もきっと同じ事を言った筈だ」と思った。
それが生き物であろうが、機械であろうが、にとりにとっては瑣末なことでしかない。
「…待ってなよ。
私の…ううん、私達の力で、あなたが「生きて」いけるようにしてあげるからね!」
むしろそれが機械であるのならば…それができるのは自分しかいないと。
…
「にとりさん、本当にいいんですか?」
「へ?」
その日、その様子を見に来ていたテトラが、少し申し訳そうにそう言いだした。
「私も…この子がもう捨てられると思った時、助けてあげたいと思いました。
…でも、私には工学の知識も、まして修理する為にかかるお金もないのに」
「あー…」
にとりはさして気にした風もなく。
「私は私で、好きでやってるだけだからね。
それに、「使えるモノ」は幻想郷には事欠かないから、経費もかかんないさ。
頭数も知識もあるしね」
「んあ!?あんたこれあたし達タダ働きさせる気かよ!!」
僅かに気色ばむ金髪の少女…ちゆりが声を荒げる。
「まあ別にいいじゃないか…少なくとも食費は、全額にとり持ちなんだから」
それを宥める赤い髪の少女は、にとりの「姉妹」である赤河童のみとり。
工場の片隅にある箱から大ぶりの胡瓜を一本取り出し、ちゆりに投げ渡しつつも自分もしっかり一本口にくわえている。
投げ渡されたそれを器用に口で捕えながら、ちゆりはなおも続ける。
「大体、これだって「あたし達の仲間」になるわけじゃねえよな。
正直何のメリットがあんのさ」
「少なくとも暇つぶしとしては最高のネタだと思うけどねえ」
「そりゃあそーだけどさー」
胡瓜を噛み砕く軽快な音を立てつつ、釈然としない顔のまま手先では正確に溶接作業を行うちゆり。
「…まあそういう事さ。
私達河童に限ったこっちゃないけど、永く生きた妖怪は常に面白い事がないと生きちゃいけないのさ。
………それに、これは私のわがままでもある」
「えっ?」
「この子はきっと、まだ生きていたいと思ってる気がする。
もしこの子が生き物だったら、そんなのはどうしようもない…でも、この子はロボットだ。
…だったら、力を貸してあげられる私達と出会えたのは、運命なのかもしれないって」
-幕間 「よみがえれ、最強の銭湯ロボ」-
作業は一日、また一日と続き、一週間を過ぎる頃にはその形もほぼ完成していた。
技術の粋、という大袈裟なものでなくとも、にとり達の持てる知識を結集したそのロボットは、その調整を最終段階へ移していた。
「それじゃ、駆動実験するよー」
にとりの声に、見物するテトラやユルール、作業中だったちゆりたちも僅かにその機体から離れ始めた。
周囲の安全を確認すると、にとりはノートパソコンに何やら入力しはじめ、コントローラーのレバーを操作しはじめる。
すると…重い音を響かせながらその四脚は上下に運動をはじめ、上部の銭湯ユニットがゆっくりと前後に回転運動を始めた。
さながら、ゆっくりと準備運動をするかのように。
「おおー」
「制御は完ぺきだねー」
その出来栄えに満足する河童たち。
「…うん、これで私達の仕事はほぼ終わりだね。
あとは…すずちゃんと教授の仕事次第なんだけど」
「へえ、どうやら丁度いいタイミングだったみたいね」
背後の声に振り向くと、赤い髪にこれまた真っ赤なマントを纏った少女と、水色髪の兎族の少女が立っていた。
「例のモノ、こっちも完成したわ。
…まさかこんなシロモノまで流れ着いているなんて、本当に何でもアリなのねこの世界」
そう言って赤い髪の少女…外世界からの異邦人である夢美が、一抱えほどあるそのユニットらしきものをにとりに受け渡した。
そのブラックボックスの一部を開くと、そこから淡い緑の光がにとりの顔を照らす。
「OSは一応Vistaベースで組んであります。
月製の人工知能を互換するのに大分時間かかっちゃったけど…基本的な事は一通り学習させておきましたから、あとは皆さん次第ですね」
そう言って兎の少女、藤野鈴音…かつて「レイセン」と呼ばれたその少女は、眼の下にクマを作りながら微笑む。
夢美もその隣で欠伸を繰り返している。
恐らく彼女達も、何日も睡眠時間を削りながら作業をこなしてくれたのだろう。
「ありがと、すずちゃん、教授。
こいつを搭載すんの明日にして、今日はもう休んで…」
「なーにいってんの…思い立ったが吉日、その日以降は総て凶日、よ。
こいつを組み込んで…そして動かしてみて…巧く行ったら、ぶっ倒れるまで酒盛りとしゃれこみましょう!」
眠たげながらも無駄にテンションの高い夢美の言葉に、工場は笑いに包まれた。
…
一行は、機体に組み込まれたスキマ発生装置により、高台の守矢神社脇の神湖へと来ていた。
「こいつぁ凄いね、まさか本当に十日そこいらでこれを組み上げたってのかい」
場所の使用許可を出した守矢の主神・八坂神奈子が感心したように呟く。
その視線の先では河童たちが、ブラックボックス…人工知能システムの取り付けと最終調整を行っている…。
「…でもアレよね、GSライドなんて代物を私も初めて見たわ。
あんなの完全にアニメの世界のモノだと思ってたけど」
「えっアレまだ残ってたのかい!?
確か、あん時早苗の力の負荷に耐えきれずに自壊したって聞いてたんだけど…」
夢美の言葉に目を丸くするもうひとりの小柄な神・諏訪子。
「あれねー。
確かに破損が酷くって、Gツールの起動データは完全にぶっ飛んではいたんだけどー」
にとりがそれに応えるかのように、機体の中から飛び出す。
「どういう理屈か解らないけど、何日かほったらかしたら元のGストーンの状態に戻ってたんだよ。
加工自体はそれほど難しくはないから、突貫作業ではあったけどアレをディスク状に再加工して、HDDの心臓にしたのさ。
磁気コートいらないし埃は勝手にはじいてくれるからね、全くアレ発明した連中はどんだけの科学力持ってんのか」
「豪儀だねえ…。
勇者ロボの心を持つ、河童製のアミューズメントロボットなんて、他に何処にも存在しない唯一品だよ」
「そんだけじゃないわ。
私が乗ってきた船から外してだけおいた量子魔力波動エンジンも修繕して積んであるから、魔力濃度の濃いところであれば補給なしでほぼ永遠に活動可能よ。
これでうまく動いてくれなきゃ、カミサマを恨んでもいいレベルだわ」
「オイオイ穏やかじゃないねえ…まあ、軍神のあたしにゃ関係ないか」
夢美の軽口めいた言葉に、同じように軽口で返す神奈子。
その目の前では、にとりがノートパソコンを操作する。
「さあ…私が外から「指示」してあげるのはこれが最初で最後。
あとは、あんたの意思で動き……生きてゆくんだ!」
最後のキーを押してにとりの手が止まる。
それと共に、ジャックされていたコードは勝手に外れ、機体へと収納され…幽かな起動音と共に機体はゆっくりと四本の肢で立ち上がる…!
♪BGM 「Driver's High」/L'Arc〜en〜Ciel♪
「おおー!」
見守っていた少女達から歓声が上がる。
-…全エンジン、及ビボイラー、稼働良好。
各オプション、マニピュレーター、異常ナシ。
システムオールグリーン…銭湯ロボ・カポーン、活動開始シマス!!!-
「よっしゃああああ!!」
そのロボットがゆっくり、自分の意思で歩行を始めた瞬間、胡瓜を放り投げて喜びの声を上げるにとりにみとりとちゆりが思いっきり飛びつく。
その一連の光景に目を輝かせる早苗とユルール。
「こいつはめでてえ!酒だ、酒持ってこーい!!」
諏訪子の声を待たず、本殿に用意されていた食材を少女達がめいめい取りに行くために飛び出してゆく。
少女達の歓声と喧騒に包まれる神湖のほとりで。
-ありがとう、にとり。
私は、君と出会えたお陰で、今一度この世界で生きていくチャンスをもらえた-
そんな声が、にとりに聞こえた気がした。
にとりは新たに生まれ変わったその「生命」へと向き直ると…満面の笑みで頷いた。
……
…
それから数日後。
「畜生ッ!なんだってんだいこいつ!!」
-銭湯継続シマス!
対ドラゴン用スーパーブリザード冷風扇起動!スタンバイファイア!!-
久方ぶりの戦いの場で、やや昂り気味だった魅魔の加減のない破壊光線の一撃を紙一重でかわす、銭湯を模したフォルム。
その反撃に放たれた、冷風扇の冷気がその左肩を捕えた。
魔界帰りのアリス達を待ち受けていたのは、その河童製のスーパー銭湯ロボット・カポーンだった。
「な…な…なんなの、あれっ…!?」
「な、なんだって聞かれても私にも何が何だか」
困惑を隠せないアリスと魔理沙。
「……あんな代物をこさえられるのはそう多くはないだろうが」
「そうね〜…河童かしら?
でも多分、やったとしても一人二人だけじゃないみたいだし…何より」
幽々子の言葉に、眉根を寄せた難しい顔で慧音が頷く。
「あの機械人形は「心」を持っている事は間違いあるまい。
言うなれば…アリスの目標のひとつである「完全なる自立人形」を、河童どもが先んじて作り上げてしまった、ということになるが…いや、むしろアレは一個の「機械生命体」と言うべきか」
「おいィ…ただの機械の寄せ集めが生命体になるとかアニメの見過ぎじゃないんですかねえ…?
空想と現実がごっちゃになるともれなく正確な判断を失うから止めるべきそうs」
「…天人がそれを言うのか。
あとお前、お前がその言葉づかいを始めるとどうもイラッと来てしょうがない。
お前のように色々足らん奴が、謙虚なナイトのモノマネをしたところで何のプラスにもならんぞ」
「っ…なんですってこの半人妖!
私がいちばんブロントさんの近くにいるんだからね!ブロントさんの行動を何時も傍で見てる系天人をディスるとかそれタダのヒガミでしょ確定的に明らかよ!!」
「いいから黙ってろ、ブロントさんの品位まで下がる」
「うぐ…これで勝ったとおm」
「はいはい勝負はとっくについているわ〜^^」
顔を真っ赤にして喚く天子を軽くあしらいながら、幽々子と慧音は視線を舞台へと戻す。
「確か、河童のところにはGSライドと言うモノがあったな。
蓬莱山輝夜の話では、ある物語の中で「勇者」と呼ばれるロボットたちの心であり、動力源として宇宙を救ったと」
「う〜ん…山の巫女が振り回した兵器に搭載されてて、そのとき壊れたとか聞いたけどねえ」
「伝説の「勇者」達の力の源となったモノだ、何が起きていてもおかしくはあるまい。
……ってもこおおおおおおおおおお!!?( ̄□ ̄;)」
目の前で、内部から噴射する鉄砲水に吹き飛ばされる少女の姿に絶叫する慧音を傍目に、幽々子は笑う。
「流石幻想郷の河童の技術力は格が違いましたねーすごいですーあこがれちゃいますー^^」
「それほどでもあるっ。
幻想郷の河童の技術力は世界一ィィィィィィィ!!やっちゃえカポーン!!>ヮ<ノシ」
-了解シマシタ。
カポーンノ使命ハ、皆様ヲ楽シマセルコトニアリマス!
コノ銭湯デユックリシテイッテネ!!!m9( ゚д゚ )-
「出来るかアホー!!!><」
悲鳴を上げるアリス達に対し、大喝采のテトラサイド。
「まあ、私達のやることなんだからこのくらいでちょうどいいのかも知んないね」
「にしても、ちょっとばかり洒落にならない気もするけどねえ。何時もの事だけど。
…さて、そろそろ私達も一戦交えてみますかね。
あのお姫様意外と豆腐メンタルだから、ちょっと黙らせといてお膳立てしておかないとと思ってたけど、丁度いいかしら」
通路の物陰で眺めていたかごめとるり。
「お前それは嫌がらせか^^;
…あたしより、あんたとやりたがってるヤツがもう一人いるんだからそいつで手を打たんか」
「そう言ってつぐみちゃんをぶつける気ならあなたの方が大概じゃない。
……確かにもう一人二人、面倒くさそうなひとには心当たりあるけどさー^^;」
「そういうこった。
まあ、精々頑張ってくれや」
(おわる)