-秋葉神社特設スタジオ-
♪BGM 「bass 2 bass」/Ryu☆♪
静葉「ここからは3日後半戦になるわね。
実際にゲーム的に見ても面白いラウンドがあったのはここかしら」
早苗「どうなんでしょう?なんかすごいものを見た記憶はあるのですが…」
静葉「確かに凄いモノだったわねあれ。
前に何処かの誰かが似たような事を仕出かした気はするんだけど」
ラウンド3(12.3)
おりこ(ラフレシア@メンタルハーブ)、きょうこ(ゴウカザル@命の珠)、マミ(デンリュウ@達人の帯)
他見せ合い…まどか(ムシャーナ@ゴツゴツメット)、さやか(ハンテール@悪のジュエル)、キリカ(ドリュウズ@鋭いツメ)
相手(テトラ)
やっこ(ハピナス)、カナエ(キュウコン@炎のジュエル)、ネローナ(ギガイアス)
ラウンド4
こいし(エルフーン@食べ残し)、つぐみ(サンダース@光の粉)、むげつ(ブラッキー@黒いメガネ)
他見せ合い…(キングドラ@ピントレンズ)、リリカ(ウルガモス@飛行のジュエル)、ポエット(トゲキッス@広角レンズ)
相手(テトラ)
レモン(ポリゴンZ@達人の帯)、ルシエド(アブソル@気合のタスキ)、アルテマW(ニドキング)
静葉「というわけで」
霊夢「いやいやいやちょっと待ってねえ。
なんか色々ツッコみたいところが満載なんだけど」
静葉「…言いたい事はなんとなくわかるけど…まあ聞きましょうか」
霊夢「……なんか腹立つわね……。
指し当たってまずNN書いてない奴は何なの?自分たちのとこのでしょ?」
静葉「うんまあ…衣玖の話何処までしたっけ?」
霊夢「それが何の関係あんのよ」
早苗「衣玖さんも随分とポケモンが代わってまして…^^;
シビルドンに戻したはいいけど、それ用に用意したキングドラはキングドラで悪い個体ではなかったの一応」
静葉「残すと決めたはいいけど、誰にするかは決まってなかったのよね。
まあこの後グドラと言うか、さやかがまた」
霊夢「……いくらなんでもややこし過ぎるわよ……こいつらどんだけ移り気なのよ」
静葉「勘弁してあげて、この子達だってそれだけ必死だったんだから^^;」
霊夢「あとなんでくっつけてあるの?
まさか、特に見るべきところがないから一気にまとめようとかそういう肚づもりなの?」
静葉「逆よ。
狐野郎の都合で、話の作りやすい形にする為にR3、R4の時間軸を入れ替えて扱ってるの。
…まあスキマあたりの仕業と思ってもらえれば」
霊夢「………………私、余り言えた義理じゃないと思うけどどんだけむちゃくちゃなの」
早苗「解りますマジでわかります^^;
けど、メタ話をすると私らの記憶も既にそういうことになってるわけでして」
みとり「メタ話をするn(ピチューン」
霊夢「……思わず陰陽玉投げちゃったけど今の何?」
早苗「( ̄□ ̄;)ちょおま」
静葉「あらら久々に出てきたと思ったら…暫く出てこないから忘れてたと思うんだけど…^^;」
霊夢「質問の答えになってないっつの。
まあいいや、そういう事はひょっとして、後の方に何かとんでもない事が起きていた、と思っとけばいいのかしら?」
静葉「察し良くて助かるわ。
結果としては敗北戦だったんだけど…あのまま運ゲーが続けばまさかがありえたトンデモ事態が起きたのよ。
これは後の方でまとめて触れるわ」
……
…
薬子「ふっしぎなくすりのーまされてー♪」
テトラ「………ユルールさん、あの人マジ大丈夫なんでしょうか(棒読み」
ユルール「そ、そんなこと私に言われてもねえ」
テトラ「私にしましても流石にあそこまですごいの見せられて正直ちょっと本気でやってほしいんですよ…。
ユルールさんだって見たじゃないですか、余りの出来事にレモンさんが完全に魂抜けちゃってまだ戻ってこないんですよ!?
あのレモンさんがですよどういうことだか解ってますかユルールさん!!><」
レモン「(何故か真っ白に燃え尽きている)」
ローズマリー「…確かに、あの子の底力はすごかったよ。
あたいとしてはあんなの、才能なんてチンケな言葉で片付けたくないね。
大した子だ、正直今のあたいじゃ勝てる気が全くしなかった」
バーミセリ「蛙の子は蛙って奴だな。
あのルシエドとかいう奴も、陳腐な称賛の言葉しか出て来ねえと見えてさっきからだんまりだ。
…まあ何時もの気がするがな」
テトラ「でしょ!?
あんなの見せられたら私だってじっとしてられませんよ!?
まして次の相手は百戦錬磨の魔法少女のみなさんじゃないですかああ!?><」
「ったく…さっきから聞いてれば随分じゃないか。
そんなにあたし達は頼りにならないのかい?」
テトラ「…ネローナさん…カナエさん」
ネローナ「流石のあたしもあんなのを見せられたらじっとしちゃいれないさ。
任せな、何処までやれるか解んねえけど、最悪一泡吹かせてきてやっからさ!」
カナエ「私も…もっと自分の力を試して、高めていきたいんです。
自分達より格上の相手と、心行くまで全力をぶつけあえる…自分を変えていくには、それが一番の早道だと思うから」
…
♪BGM 「Decretum」 梶浦 由紀(さやかのテーマ)♪
満身創痍のつぐみ。
魔装を最大解放した彼女は確実な致命打を受けることはないが、しかし彼女ももう既に限界を迎えていた。
挙句…眼前のその魔道兵器に抗する手段を彼女は持っていない…。
「もういい…もういいから!
無理をしないで引いて、つぐみ!」
早苗の言葉もまるで意に介することなく、少女は高速で印を組み咆哮する。
銀色に輝く魔法の風が、その装甲を強かに打ちすえ後退させる…!
-ぐっ…ぐむむ…なんという気迫ッ…!
我が主よ、どうやらこの娘、最後まで己の可能性をかけて臨む気のようだ。
生半可な覚悟では迎え討てぬぞ!!-
テトラは悲痛な表情で唇をかむ。
普段は、母親の影に隠れて目立たないように見えたその少女は、今目の前で鬼気迫る表情で対峙している。
その気迫に押されるかのように、ウェポンの主砲を二度までも紙一重で回避し、一歩間違えば致命打になりうる一撃を加えてきていた。
テトラはそのさらに先、懇願する早苗に腕を引かれながらも、腕を組んだまま微動だにせず娘の姿を睥睨するかごめの表情を見て悟る。
(かごめさん…あなたも、引かせる気はないというんですね…!!)
テトラもまた、覚悟を決めた。
「ウェポン!
あの娘を…あなたの総ての力で薙ぎ払えッ!!」
…
緒莉子「…私にも、解る気がするんです。
この戦いで得るモノは、自分たちが決めること。
純粋に力を競い合うことを楽しむのも、そのはるか先に何かを見定め、全魂魄をかけて臨むのも」
早苗「そういうものなんでしょうか…」
緒莉子「少なくとも、私はそう思います。
…もし私がかごめさんの立場だったとしても…最後までつぐみのやりたいようにやらせてあげると思うから」
「だから、私も何者が相手になろうとも、やれるだけやりきってみたい」
…
……
静葉「まず、後のラウンドの方から入りましょうか。
他の見せ合いはキリキザン、トドゼルガ、ムウマージ。
相変わらずマージは何してくるか解らないけど、流石に夢月の手前出てくる事は難しかったかしら」
早苗「というかこの時もこの次もだけど…こいしさん何しに出てきたのか本当に^^;」
静葉「まあ相手が悪過ぎたとしか^^;
この後の回線落ちではメンタルハーブから挑発され返されてたわね」
霊夢「前回のも見たけど、それとは別の意味ですがすがしいまでの出オチっぷりねあの無意識」
静葉「その意味ではいい仕事をしたのかどうなのか…。
そのあと欠伸であの厨二病を追い返したんだけど、引き際に追い打ちかますか居座り読みで嫌な音かは難しいところと思ったら、あっさり引いてきやがって」
早苗「運用難しいですあの辺り><」
静葉「アリスの台詞じゃないけど、読みよりも対応力じゃないかって気もしなくもないわ。
実際は音と混乱でなんとかあの厄介なアブソルを退けたんだけど、もうこっちも後がなくってねえ」
早苗「でもここからがすごかったんですよね。
不意打ち読みで電磁浮遊して、そのあとヘドロを光の粉で2回連続回避」
霊夢「( ̄□ ̄;)えちょ」
静葉「その挙句、シグナルを一発急所に入れたわね。
正直もう一発食らわせば勝てんじゃないかってくらいの恐ろしい粉補正だったわ。
シグナルで混乱して混乱ダメージからシグナルで落とす展開もアツいけど」
霊夢「そそそ、そんな事されたら私の立場がますますないじゃない!!><
というかあの金髪のちっこいのって、かりちゅまの親玉の娘なんでしょ!?
一体どんだけの補正かかってんのよあの親子!!」
早苗「えーと…^^;」
静葉「さあ…でもあの親子、個体値合計そのものはそこまで高いわけではないみたいね。
勿論、ダースとしてのポテンシャルは十分よ、攻撃は余計だけど臆病CS持ってて、合計は158ある。
電磁浮遊という奇策を用いてはいるけど、それ以外の構成はわりと基本的よ」
早苗「いやでも、150越えてれば基本的にバケモノレベルではあるんですけど…言っちゃ悪いんですけどねえ^^;」
……
…
♪BGM 「戦乱 荒れ狂う波浪の果て」/古代祐三(SQ3)♪
カナエの放った術式の先に、緒莉子の姿はない。
それどころか、その姿が自分だと解った瞬間に、放った術式の炎が眼前に迫る…!!
「くッ!?」
紙一重で直撃を避けるも、その肩を掠っている…。
テトラ「ど…どういう型なのあのひと…?
ラフレシア…草タイプならとてもキュウコンに対抗できる筈なんてない…ない筈なのに!」
ラ・ターシュ「…多分、そこなんだ。
それがきっと、あの緒莉子って子の狙いなのかもしれない」
テトラ「えっ…?」
バーミセリ「威張るで混乱させ、そして命中精度の比較的高い痺れ粉で動きを封じる。
混乱と何らかの草技…恐らくはギガドレインあたりで耐え凌ぎつつ、相手の疲弊を待つ肚積もりなんだろう。
交代際の混乱なら苦手タイプにも主導権を握れる可能性はある…途轍もなく面倒くせえ相手だぜ」
ラ・ターシュ「でも痺れ粉さえかわせてしまえばいくらでも勝機はある。
大丈夫だ、カナエならきっとやってくれる。
あんたが信じてやれないでどうする!」
緒莉子「(今の私で積極的な攻勢に出る事は難しい。
なら…与えられたスキルをフルに生かして後続に繋ぐ!)」
緒莉子はスペルカードを使った!
惑符「パラライズミスト」発動!
カナエ「そこだっ!!」
カナエは炎の連星術を放った!
大文字の炎が痺れ粉の軌道を伝って迫る!!
こうかは ばつぐんだ
緒莉子「(そんなっ…)」
杏子「十分だ!あとはあたしに任せろ!」
テトラ「…ゴウカザル…?
カナエさんは貰い火だからそれで」
バーミセリ「!!
馬鹿野郎、ひっこめさせろ!
あのポケモンはそんな攻撃範囲の狭いシロモンじゃねえ!!」
カナエが気付いた時には十重二十重に杏子の結界魔法が周囲を取り囲んでいる…!
ほむら「…決まったようね」
さやか「っしゃあああ!!そのまま決めろー!!>ヮ<ノ」
「地の精よ、聖櫃となり彼の者を弔え…“慈悲の石櫃(アーク・オブ・ミゼリコルディア)”!!」
杏子はストーンエッジの構え!
破壊力ばつ牛ンの一撃!
杏子「…あたしの結界にもこんな使い方があるんだ。
ま、滅多にゃやらねーけど」
ネローナ「そうかい、だが使った直後は隙だらけみたいだね!!」
杏子「!?
(ギガイアス…くっ、こいつ頑丈があるからどうあがいても…!)」
しかし次の瞬間、杏子は不意に突き飛ばされてはじき出される…!
杏子「(マミお前…何やってんだよ…!?
そんなことしたら、お前)」
マミ「…問題ないわ。
今の私なら、十分に耐えきれる!」
ネローナ「へんっ、吹っ飛ばしてやるよ!!」
ネローナは地震の構え!
しかしマミはその場に踏みとどまっている…!
マミ「っ…後頼むわよ、杏子!」
そしてそのまま反撃の10万ボルトの構え!
さらに反撃の地震でマミは吹っ飛ばされる…
杏子「くそっ…どうしてそういう無茶ばかりしやがる…どいつもこいつも!
なら」
♪BGM 「コネクト」をオーモーイーガー風にカットイン(♪
「ここで決めなきゃあたしぁどんだけ格好悪いんだよッ!!」
杏子は全力でインファイトの構え!
ネローナを吹き飛ばした!!
薬子「…………すいませんボスー、降参していいっスか?(白旗)」
テトラ「丁度そう思ってたところです(しろめ」
……
…
静葉「ここはギガイアスの対処が総てだった気がするわね。
本音言うと、緒莉子にどうにかしてもらいたかったところなんだけど」
早苗「ええまあ…ハピナスばかりは杏子ちゃんがいないとどうにもなりませんし…。
マミさんに関してはまあ不一致だから一発は受けれると思ってはいたんですけど」
静葉「あの子はそれこそ、一致で補正系の持ち物さえなければそれこそ意地っ張りダルマの地震すら耐えるわ。
一発でも攻撃当てられれば頑丈は消せるし、判断として間違ってはないわね。
逆に言えば、あの子がいなかったら勝ちの目は潰れていたでしょう」
霊夢「…捨て石…になったってことなの?」
静葉「悪い言い方をすれば、そうなるわね。
でも、彼女が耐えて一撃入れてくれる事は絶対条件だった。
それは彼女しか成しえない役目だった」
早苗「本当は、先手を任せた緒莉子さんの補助技で徹底的に出鼻を挫いて、特殊重火力のマミさんと、速攻物理の杏子ちゃんを状況によって繰り出して一気に決めるのがコンセプトだったんです」
静葉「形は違ってしまったけど、最後にはちゃんと杏子が決めてくれる形にはなったわ。
こういう風にパーティ内での役割を決めて、その持ち味を最大限に生かせる環境を整えて…初めてその持ち味が引き出される。
きっちり暴走するのも、それを抑えるのも…単独の力では成しえないことだと思うわ」
霊夢「…誰かの力に頼れ…ということ?」
静葉「違うわ、信じるのよ。
仮にあなたが決め役であっても、他の誰かが決め役であってもそうでなくても、信頼なくしてはうまくはいかないわ。
そういうものだと思うの」
ラウンド5(12.3)
リリカ(ウルガモス@飛行のジュエル)、つぐみ(サンダース@光の粉)、ポエット(トゲキッス@広角レンズ)
他見せ合い…(キングドラ@ピントレンズ)、こいし(エルフーン@食べ残し)、むげつ(ブラッキー@黒いメガネ)
相手(アリス)
ときこ(エアームド)、ドラきち(クロバット@レッドカード)、ロビン(ハッサム@拘り鉢巻)
♪BGM 「Decretum」 梶浦 由紀♪
最初はただ、あの巫女や魔法使いを見返してやりたい一心だった。
私達妖怪は、私のような小妖怪は、うだつも上がらぬ存在まま、この先もずっとあいつらのウサ晴らしのやられ役としてしか存在を許されていないと知っても、それでも。
目の前に立つその少女だって、元々は幻想郷(このせかい)に生きる十把一絡げのちっぽけな存在のはずだった。
私に仮初の力を与えてくれた、魔界の神の言葉を信じるなら、そのはずだった。
なのに
それなのに
「悪いけど、私もこれ以上ドジばっかり踏んでるわけにはいかないから。
…だから、ごめんね」
スペルカードを解放したその瞬間、彼女から凄まじい力が噴き出すのを感じて私は戦慄した。
魔理沙「くそっ…仕切り直ししたと思ったらまさかリリカが先手で出てくるとかな…!
計算が台無しだぜ、どうすんだアリス?アイツマジで役に立ちそうにねえぞ」
アリス「…そうね、先に
参ったわね、折角頑丈があっても役割が持てないんだったら」
私は…捨て石にされるのか。
どうあがいても…私はあいつらにこき使われて終わるのか…!!
何も出来ずに!!
そう思った瞬間、私は飛び出していた。
片腕がその肩を捕え、えぐる。
私は遮二無二攻撃を加え続ける。
何時の間にかその腕から、肉の焦げる痛みが走り始めても、なお。
「いやだ…そんなの嫌だ!
私は…私はこんな…そんな何も出来ないで終わりたくない…!」
「…そうだよね」
はっとして顔を上げると、その少女が寂しそうに笑う。
その瞳は何処までも深い悲しみの色を湛え…私はその気配を感じて後方へ飛び退く。
「お互いに後腐れのない勝負…見せて頂戴、貴女の全力を!
私も私の全力で応える!!」
燃え盛る炎のアーチ。
あんなものをまともに受けたらもう、私は立てないだろう。
けど
「馬鹿野郎、さっさと引け!お前にもう何も出来る事は…」
そんな言葉で私は止まらない!
この子は…私を認めてくれた…だから!
放たれる炎に包まれながら、
私の爪は確かに届いていた。
魔理沙「何やってんだあいつは…偶々決定打になる技持ってたから良かったけど」
霊夜「いい加減、理解してあげるべきだわ。
あの子は自分の意地を通そうとした、それだけよ」
魔理沙「そうは言うがな…結果的にあいつにしては良くやったと思うが」
アリス「待って霊夜さん。
そいつを…そいつと私自身を正直、ぶっ飛ばしたい気分になったのは私もだから」
魔理沙が呆気にとられた時にその気配を感じると、一瞬見たその視線の先には今にも放たれる寸前だった霊夜の拳。
魔理沙は戦慄して息を飲む…。
アリス「…いい加減自分の馬鹿さ加減にうんざりしてきたわ。
今まで歯牙にもかけなかったような連中が、今まで見せつけてきたモノを…散々過ぎるほど見て来たのに。
………あの子にそういうのがあることを、もっと早く気付いてあげられれば良かった」
…
……
静葉「実質的な最終ラウンドよ。
少し触れたけど、まあこいしの野郎が本当に何もしなくて」
霊夢「自分の十八番をされ返されるほど情けない話もないわよね…確かに。
…成程、流石にあんた達がなに言いたいのか大分解った気がする」
静葉「そっちはさして重要なことではないと思うんだけどねえ」
霊夢「ううん、それだけじゃないわ。
…私も正直、あの本読みは何も出来ないし、何もしないと思ってた。
取るべき選択肢はひとつしかなかったけど、それが残ってたからあいつは結果的に一番、アリスにとって面倒な奴を止めることができたってことなんでしょ?」
静葉「…………そうね、それは確かなことよ。
あの子も多分それほど、個体能力に恵まれてるわけじゃない…与えられた役目を遂行するための最低限の能力が与えられてるにすぎないと思う。
あの行動は確かに褒められた行為じゃないと思うけど、例えあの場に魅魔レベルの決定力の持ち主がいたとしても、ステロを撒くだけして退場する事がプラスに働いたとは考えにくい。こっちにとっても十分過ぎるほどの誤算よ」
早苗「残りメンツを考えると引くことはできなかったのは確かでしょうけど…。
キングドラっぽいのが居たからそれに託すという選択肢もあった気がしますが」
静葉「そーねー。
こっちにもグドラ居たけど、魅魔やミラーマッチを避ける決定打としては難しかったような気が…向こうにしてみれば、以前私達ステロでえらい目に遭わされたから、逆にこっちにリリカを出す余地がないと考えたのかしら。
そうすると、メインアタッカーが鉢巻ハッサムというのもうなづける話だけど」
静葉「ここからは対面でポエットとあの厄介なコウモリだけど、脱出と読んで神速を仕掛けたらレッドカードで見事にテンポ狂わされたわね」
早苗「クロバは耐久力結構あるから、てっきりなんか補助技してから攻撃受けて引くと思ったんですが」
静葉「先制攻撃を受ける前提なのかしら…意地っ張り珠マンムーの礫もH極振りで2発は耐えるけどねえ。
ともかくこれで同速のつぐみと対面して、先手はコウモリだったけど催眠術回避して10万」
早苗「…粉補正貫通して催眠入れられたら流石にかないませんよ…」
静葉「まーねー。
まあもっと面倒な奴が控えていたわけだけど、いくら紙防御とはいえ半減バレパンの一発で落とされるのは正直」
早苗「アレは考えてもなかったですというか、考えもつかないですよ…いやそりゃあまあ、火力があって一貫性の高い技を有するハッサムに鉢巻は普通にあるでしょうけど…」
静葉「まあそもそも交代直後に怒りの前歯食った時点ですでにダメな気がするんだけどねえ、体力的に」
……
…
私はかつて、戦士として魔王と戦い、敗れた代償として魂をこの機械の中に閉じ込められた。
その戦闘経験と技術を、心ない機械人形の身で振るい続け、冷酷な殺戮マシーンとして本来は志を同じくする者を数え切れぬほど葬ってしまった。
私は、あの方との出会いにより人の心を取り戻し…そして今、新たな主の元で、その「剣」となった。
私は機械だ。
ただ、勝つことを求められた、戦う為の機械人形。
そう思っていた。
…
♪BGM 「The Arrow of Destiny」(SRWOGs)♪
「はうっ!!」
つぐみが雷の魔法を放つよりも速く、無拍子で放たれた神速の矢が捉える。
その破壊力は、小柄な彼女を背後の壁まで諸共に吹っ飛ばすほどの凄まじいものだった。
慌てた早苗が駆け寄ると、何時の間に割り込んだのか、壁とつぐみの体の間にかごめが挟まっている…。
「…つつ…なんて威力だ」
「かごめさん…!」
「大丈夫、咄嗟だったけど障壁は張った…つぐみも気を失ってるだけだ」
かごめが娘の肩に突き刺さった矢を、鏃の部分のみ焼き落とし、引き抜いてやると同時にその肩の傷が高速回復を始める。
吸血鬼と魔族、両方の血を継ぐ彼女だからこそ、命に別条のない程度のダメージではあったろうが…だからこそなのか、かごめは努めて落ちつき払っているように見える。
「それよりも…あいつ、強いぞ。
あれは恐らく“瞬速の矢”…相手の動きを完全予測し、無拍子で放ち回避を許さない先の先を取る必殺の射撃術。
以前あいつには使えなかった
「…ええ!」
早苗は頷いて、指示を飛ばすべく再び駆けてゆく。
その姿を見送りながら、かごめは愛娘の体をしっかりと抱きしめていた。
「…早苗さん、あの方は恐らく行動を縛られてると思うんです。
けれど、多分それだけじゃない」
「ええ、恐らくは鉢巻で極限まで火力を挙げている筈です。
…そうでないと、恐らく今の技でこれほどの威力は出せない」
ポエットと諏訪子が目を丸くする。
「かごめさんが言っていたんです、あの技は、恐らく「瞬速の矢」。
…この間のロビンさんはあの技を使うことができなかった筈だって」
「キラーマシーンに新しい技を編み出すような事ができるってのかい!?」
早苗は首を振る。
「私にもわかる…あの方はただの殺戮人形じゃない…!
気高い心をもった最高の戦士です!」
真顔で言いきるその姿にふたりは顔を綻ばせる。
早苗の耳打ちに頷き、天使の少女は一足飛びに間合いを詰める。
機械の体の戦士は一瞬早くそれに反応し、激しくつばぜり合いする。
「速いな…このボディの反応速度では追いつくので手一杯だ…!」
「…いいえ、ロビンさん。
今の私の技は、単にセンサーとプログラムだけで動く機械には止められない筈です。
風と気配と諸共に断つ雲耀の速度は、その電気信号が次の行動を促すより速い」
「…何が言いたい?」
「あなたがこれを受け止められたのは…あなたが機械ではない、百戦錬磨の戦士だからこそ!」
その華奢な体の何処にそんな力を秘めていたのかと思うほど、その薙刀を力任せに振るって間合いを取るべく後方へ飛ぶポエット。
ロビンはすかさずそこに反応する。
ポエットは放たれた矢の回避を考えず、そのまま薙刀の柄で受け止めるものの、凄まじい圧力だけで壁際まで吹っ飛ばされた。
「…馬鹿な事を言うな。
私は…人の心と体を失ってしまった、哀れなキラーマシーンに過ぎないんだッ!」
「違う!」
一瞬よろめきながら、ポエットは立ち上がりその言葉を否定する。
「あなたは人間の体を失っても、心は失っていない!」
♪BGM 「剣・魂・一・擲」(SRW第3次α)♪
天に掲げられた薙刀が紅蓮の炎に包まれ、刃先に燃え上がる4対の翼が現れる。
横の大上段に構えられた不死鳥の刃と共に、ロビンめがけて少女は飛ぶ。
「届け、雲耀の疾さまで!
いっけええええええええええええええええええええ!!!」
そのスピードは音速を越え、紅蓮の光の矢と化して機械の戦士を捉える。
大上段から加速の全エネルギーをのせた不死鳥の一撃を咄嗟に受け止めるロビンの体を、激しく燃え上がる炎が包み始める。
それとともに、何故か感じる、腕の焼ける痛み。
しかし、その戸惑いよりも、彼女はそう怒号を挙げる。
「これしきの…これしきの痛みなどッ!!」
無意識に構えた鉄の鏃すらも焼くその炎にも構うことなく、ロビンは無拍子に零距離射撃を放つ。
その瞬間に、彼女の意識が途絶えた。
…
♪BGM 「街景 時を失くした王」/古代祐三(SQ3)♪
「…気がついたかい?
機械のボディは私に直せても、メンタルの方は正直どうにもならないからねえ」
意識を取り戻したそのとき、傍らには見慣れた河童が一人、溶接の火花を飛ばしている。
相変わらず、痛みも熱も感じない。
「しっかしあんた、随分見ないうちに関節どころか全身のアブソーバー全部すり減ってるじゃないか。
まああんだけすっごい技を使えるようになっちゃってるなら、それも仕方ないんじゃないかな」
にとりはその処置を終えたと見えて、機材の電源を外して片づけ始めながら笑う。
「私は…あの時確かに「痛み」を感じていた」
その言葉ににとりは一瞬だけ、怪訝な顔をする。
「今は既に何も感じない。
何故…あの時だけ」
「…さあねえ。
でも、この世界には道具に魂が宿って生まれた連中もいっぱいいる。
……あんただって、きっとそうなんじゃないかって思うよ」
振りかえり立ち去ろうとするにとり。
「そのうち、私の手を借りなくてもいいようになるのかもね」
彼女が退出して言ったドアを眺めながら、ロビンは思い返す。
-あなたは人間の体を失っても、心は失っていない!-
その言葉に、彼女はこの世界で生きる意味をまたひとつ、見出せた気がしていた。
…
……
早苗「まあメタな話すると、テクニバレパンを鉢巻きで乱打するとかどう考えても凶悪だよね、という^^;」
静葉「一般的な図太いハピが超低乱だけど2発で沈んだりするわね。
はっきり言ってロクでもない火力よ」
霊夢「なんなのよこの急転直下の能天気な解説は…。
それよりも、悔しいけどあいつは格好いいわ。
最初は痛みも何にも感じないからだと思ってたけど、あいつはそれだけ根性据わってるから一歩も引かずに前へ進んでいけるのね」
静葉「ええ、すばらしい戦士だわ。
もしポエットが大文字を外していたら、確実に後がなかった。
あの鋼の意思で自分を貫き通す姿勢、私も見習わないと…毎度毎度何も出来ないで終わりたくはないもの」
早苗「(えっあなたついこないだ交代際にリフブレ急所に食わせてオオスバメ撃墜してませんでしたっけ)」
静葉「さて、これで三日の分は終わりよ。
次はだいぶ日を跨いで十七日の分になる」
早苗「十七日の初戦はたしかえーと…^^;」
静葉「…確かに穣子の名誉のためには避けてやりたい気もするけど…まあ、だからといって握りつぶすのも可哀想だしね(キリッ」
霊夢「悪魔かあんたは^^;」