♪少女共演奏中 「お米の美味しい炊き方、そしてお米を食べることによるその効果。」/ 大日本鉄倶楽部【あさき&96】♪
さとり「♪空気を〜も〜む〜よ〜おにぃ〜」
諏訪子「♪底から〜か〜き〜ま〜ぜてぇぇ〜」
メルラン「(指の動きが途轍もなくキショいギター)」
ルナサ「(無駄に骨太なベース)」
レティ「(頭のネジが数本ぶっ飛んだようなドラム)」
さとり&諏訪子&文「おーこーめーヽ( ^ω^ )ノおーこめこめーヽ( ^ω^ )ノ」
文「ビタミン!( ゚д゚ )彡」
諏訪子「ミネラル!( ゚д゚ )彡」
さとり「食☆物☆繊☆維!m9( ゚д゚ )」
さとり&諏訪子&文「おーこめこめーヽ( ^ω^ )ノおーこめこめーヽ( ^ω^ )ノ」
諏訪子「♪嗚呼 食べていつものSAN☆倍!( ゚д゚ )彡」
さとり&諏訪子&文「おーこーめーヽ( ^ω^ )ノおーこめこめーヽ( ^ω^ )ノ」
文「♪お〜すもうさんのパウァーをゲッチュ!!ヽ( °Д °)ノ 」
さとり&諏訪子&文「おーこめこめーヽ( ^ω^ )ノおーこめこめーヽ( ^ω^ )ノ
♪嗚呼 炊いてローマンティックにNight Fly〜」
神子「な…なんなんですかこの名状し難い空間は…( ̄□ ̄;)」
静葉「ああそういえば、狐野郎最近お米タル解禁したって言ってたわね。
ところであなたお米食べる?おいしいわよ(キリッ」
雛「あなたも十分洗脳されてるわね。
モフロックとどっちが中毒性高いのかしらこれ(ごはんもぐもぐ」
♪BGM 「創世ノート」/PON+wac♪
諏訪子「さてお米タルで全員の意思疎通を図ったところで残り2ラウンドの反省会と参りましょうか(キリッ」
さとり「あ、やっぱり目的そういうことだったんですね。
雛さんのお米パウァーに引かれてホイホイされていて目的なんかどうでもよくなってました」
神子「ど、どういう事なんですかそれ…」
雛「さとりを釣りだすにはこういう方法が一番なのよ(まだごはんもぐもぐ」
レティ「あんたまだ食ってるのか。
まあ嫌な予感は色々してたんだけどね。それに特A級戦犯と言うならトレーナーはかごめでしょこの時。
あいつどうなったのよ」
文「あー、えっと、うん^^;」
諏訪子「自業自得とはいえ、死んだ魚の目ような目でめうめうめうめう繰り返してるような奴連れてこれねえだろいくらなんでも…」
静葉「なんだかんだであの子しっかり洗脳されてるじゃない…。
それにしてもログ始まって以来の大人数ね、収拾つくのかしらこれ」
レティ「メンツもメンツだから大丈夫でしょ。
取り仕切りは諏訪子に任せていいのかしら?」
諏訪子「まあ言いだしっぺは私だしね。
じゃあ残る議題二本、4ラウンド目から逝ってみよっか。文、パワポの操作任すよ」
文「合点承知、ポチッとな♪」
ラウンド4
ルナサ(ムウマージ@物の怪プレート) らん(チラチーノ@王者の印) むげつ(ブラッキー@食べ残し)
控え:ロズレイド、キノガッサ、オムスター
相手
ひうみ(ユキノオー) しおん(グレイシア@拘りメガネらしい)
相手控え:ライチュウ、ユキメノコ、ランクルス、シャンデラ
諏訪子「これもう何をかいわんやって感じだな。
まず見ての通り相手は典型的な霰軸。狐野郎がこの場で散々コケにするような発言した所為かどうかは知らんがひどくエグイ構成になった、この時点でもうなんか核地雷踏んだ感じがひしひしと」
静葉「あー議長、ひとついいかしら」
諏訪子「( ̄□ ̄;)勝手に他神(ひと)をなんか大それた役職に祭り上げんな!
まあいいや一応聞いとく、この時点でチラチーノのNNはメルランだったんじゃねえのとかそれ以外で」
静葉「あ、はいごめんなさい(´・ω・`)」
諏訪子「( ̄□ ̄;)以前のてゐもそうだけどお前らそういうパターンはやってんのかおい!!」
メルラン「あ、まさか私まで引きずられてたのその関連?」
諏訪子「ったりめえだ、他に何があるんだよ。
こっちは何やってんだももちろんあったが、むしろあれだね、選出の時点でもうわりと勝負が決まってたと言う」
さとり「狐野郎はそんな事カケラも思ってなかったようですけどね。
このルナサさんは悪巧みルナサで、以前大暴れした拘るなさとは別の個体ですね」
メルラン「うわあなんか語呂がいいわね後者のフレーズ」
レティ「選出を見る限りでは向こうは確実に止まるとタカをくくってた感じもするわね。
ムウマージ、ブラッキー共に特殊に固い部類のポケモンだわ」
諏訪子「ああそうだな、だがグレイシアにメガネはわりとメジャーな装備だ。
何しろCが氷タイプでも屈指の高さだし一点突破する場合の破壊力が尋常じゃない。その挙句に、普通なら冷凍ビームであるところこいつのメインウェポンは事もあろうに吹雪だ。
と言っても大分余裕持って耐える筈の夢月が一撃で7割強持ってかれてる、眼鏡がないと不可能な威力だ」
文「一応計算結果出しておきますね」
※参考資料
グレイシアひかえめC252の吹雪→ブラッキー(H244、D個体値29の4振り=U無振り)
持ち物なし…45.2%〜53.7%(低乱2、約36%)
プレートor融けない氷…54.2%〜64.1%(ここから下確定2)
命の珠…58.7%〜69.6%
ジュエルor拘りメガネ…67.1%〜79.6%
神子「た…確かにかなりエグいダメージ出てましたが、ここまで被害大きいものなのですか?」
さとり「因みにルナサさんの場合(H28無振り、DV4振り)はプレートで高乱数、珠から確定です。
彼女が一撃で落ちたに加え、珠ダメージのアナウンスなかったので眼鏡確定でしょう」
レティ「霰下では吹雪必中だからね。
チルノが色々とおかしい補正かかってる事を考慮外にしても、その挙句にグレイシアはHPが心許ないとはいえB110、D95もあるわ。H振りだけでも結構いろいろ耐えるからね」
雛「雪がくれなんて特性もあるわね。
あまりにもあっさりユキノオーを落とせ過ぎた。足はこっちの方が早いし、いくらなんでもノオーの吹雪ならルナサは出オチしない筈よ。
積んでしまえば無双があり得ただけに残念だわ」
静葉「それどころかノオー、グレイシア、シャンデラ、ランクルスは弱点突けて上から叩けるわね。
ユキメノコ死に出しは辛いけど、それは夢月がなんとかできるし」
メルラン「解らないのは電磁波と言うのもよね。
確かに雪がくれ補正下でスイープはあまりにもバクチだけど。
それにB高いグレイシアには追い打ちもイカサマも通りにくいしね」
さとり「こちらがそもそも偏ってましたからね。
裏返すと、実はルナサさんが落とされた時点でもう勝ち筋がなかったのでは?」
諏訪子「かも知れないね。
悪巧み一発積んでおけば、最悪のケースを除外した場合で6%ちょいの超低乱だが一発でグレイシア持ってける可能性もある。
そうすれば後はチラチでなんとかできたはずだろう」
レティ「残る敵は雪がくれの回避率、と」
諏訪子「そうなるね。
後ろに何がいたかは解らんが、こっち特殊が濃いしガッサを意識してたとすれば恐らくランクルスかシャンデラだろう。
(※文メモ:後で確認取ったところシャンデラだったそうです^^;)」
さとり「仮にグレイシアを突破できたとしても、夢月さんが相手できるかまた微妙なメンツではありますが。
チラチーノが無傷に近い状態で残っていれば、ランクルスなら瞑想をアンコールで縛りあげられるけど…シャンデラだと厳しいですね」
諏訪子「あとから考えれば選出そのものは間違ってなかったと思うよ。
問題は、グレイシアの眼鏡を考慮の外に置いていた事。ゴリ押されて終わるのは目に見えてたわけだ」
さいご
はな(キノガッサ@ラムの実) みすちー(バシャーモ@力の鉢巻) レティ(マンムー@光の粘土)
控え:サーナイト、シビルドン、ワルビアル
相手
ヴィクトリア(ガルーラ) ミノ(ケンタロス) オルトロスちゃん(唯一王@どくどくだま)
相手控え:オドシシ、サメハダー、モンジャラ@輝石
諏訪子「さーどん尻に控えますはプレミと計算外のオンパレード最終戦だ。
あ、解ってるかもしれないけど最後の2連チャンは相手熱帯魚、その辺夜露死苦」
メルラン「プレミ?
純粋に乱数がおかしかったってリリカがぶつぶつうわ言のように繰り返してたんだけど」
諏訪子「確かに結果はそうだよ、だが酷いのはその近辺の過程だ。
まず初手。これは何ともいい難いが、結果的にガッサで突っ張ったのは正解だったかもしれない。だが、そもそも選出の時点でガッサとバシャーモ、格闘2枚並べる意味があったのかが疑問だ。
高火力で弱点を突かれるバシャとヤドリギの通らないガッサ、高威力の電気技と火炎放射があるシビルドンが居る所にモンジャラやサメハダーは難しいだろうから、恐らくベターだったのは初手ワルビアルだと私は見るね。
まあ結果はそんな変わらんかも知れないが…」
レティ「むしろ私でもよかったんじゃないかしら。
最近壁を二枚にしたのよ。どっちで来られてもそれなりに対応できるし、地震から礫なら大概のものを持ってける自信はあったわ」
さとり「そうかも知れませんね。
事実、サメハダーとモンジャラはいなかったし、リフレクターを張ってしまえれば大分動きやすかった気がします」
レティ「実際はマッパで死にかけた所にみすちーがニトロで突っ込んでいった、この時点でもう無双体制には入ってましたね」
静葉「威嚇の上から飛び膝で持ってってるからね。
あの破壊力ならつぶせないまでも、オルトロスちゃんを毒玉込みでレティの礫圏内に持ってけた筈じゃないかしら?」
諏訪子「さーそこだ。
ここで狐野郎は二つ勘違いしていた。
ひとつはミスティアの力の鉢巻の補正、もうひとつは馬鹿力の効果だ」
メルラン「馬鹿力の効果? どゆこと?」
さとり「確かにブレイブバードはかなり日和った選択だった気がしますね。
飛び膝が外れる可能性を考慮したとしても余りにもひどいとしか」
諏訪子「ところがブレバでも8割強は持ってけるんだよ、威嚇込みで。
安定策を取ったという意味では別に悪手ではなかった。むしろ相手が馬鹿力をわざわざ使ってくれた。そこを忘れてたのが最悪のポイントだったんだ」
雛「ちょっと言ってる意味がわからないけど…」
諏訪子「雛、声に出して言ってみなよ。
馬鹿力の効果」
雛「いくらなんでも馬鹿にし過ぎじゃない。
威力120物理格闘攻撃、攻撃後に攻撃と防御が1段階さが…あっ」
レティ「えっまさか礫で落ちたって事!?」
諏訪子「そう言ってんだよ。
実際に馬鹿力のA下降と根性発動のA上昇補正は差し引きマイナス、そして陽気ASだって言ってたしそれで計算すれば確かに、6%弱の超低乱数一発、事故落ちしかあり得ないレベルなのは確かではある。
そして相手は「事故を起こした」。そればかりが目立つラウンドではあったが」
さとり「ただでさえ物理紙耐久なのがさらに防御を1段階下げている。
半減とはいえ、B1段階ダウンなら最低ダメージは39。ブースターがH4振りだとHPの2割5分持ってく威力です。
そのまま撃って正解だったんですよ、礫を」
諏訪子「ミスティアのブレバだって威嚇込みでも鉢巻の1.1倍補正で最低でも120ダメージ入るんだ。
仮に馬鹿力撃ってなくても、ブレバ+礫で確定だったんだよ。礫のダメージはB落ちてなくても最低24ダメージ行くんだからな」
メルラン「( ̄□ ̄;)えーっそれじゃあレティ出オチって事故でも何でもないじゃない!」
神子「安定して勝ちを取れる試合を思い違いと思い込みで取り逃した…なんと愚かな」
諏訪子「ああそうだ。
適切なタイミングで適切な技を選択できなかった。その天罰みたいなもんだろ、相手に6%の超低乱引かれたって現実は」
静葉「そう考えればそれこそ、負けるべくして負けたのね。
これはもう本当に反省会レベルだわね」
文「うーんかごめがうわごとみたいに「アレ絶対チキンの代償だよなあ」ってぶつぶつ言ってたのは、これに気がついてたのね」
さとり「でしょうね。
余りに久しぶりに霊夜さんや神綺さんのような相手と戦えるからと張り切ってたから、ショック大きかったでしょう。
裏返せばその空回りをテトラ達が容赦なく突いてきた。ただでさえ相手が上手だった挙句にそれでは、勝ち目などあろうはずもないのでしょう」
文「あの子自分のそういうところ絶対許さないだろうからね。
次からはまあ、ちょっとは見物になりそうね」
静葉「さーて予想通り尺は中途半端に余ったわね。
諏訪子、どうするのこれ?」
諏訪子「うーんまあそれなんだが…結局ほら、前回ログの話の続きあるじゃねえか。
まあ詳しくは語られないので後日談だけということになっちまってるんだが」
雛「ええ、あの相手は強敵だったわ(キリッ」
諏訪子「お前それ関係してるのかよ…」
雛「ええまあ、私の真の力()が解放されたという話に関わってるから」
文「その末路がローブシンなんですね解ります。
まあ、ひとまず今回はそういうことでシメですね」
諏訪子「んだな、それではー」
一同「ノシ」
…
…
翌日。
その日は行く先も告げず出ていったかごめが戻ってきたのは、もう日付も変わろうかという時間だった。
酷く憔悴し切った様子で、明らかに尋常ではないその姿に出迎えた佐祐理も誰何するが、「後で話す」と一言つぶやき、かごめはそのまま自分の部屋に閉じこもってしまった。
この日は本来紗苗もオフということもあって帰ってくる予定ではあったが、昼ごろに「重要な用事が出来て帰れない」と連絡を寄越したきり、彼女が藤野家の庇をまたぐ事はとうとうなかった。
佐祐理、そして葉菜が総てを知ったのは…翌日の新聞でだった。
「なによ…これっ…!」
その一面を飾る記事に、葉菜はその事態を理解する。
-魔性狩りの名門・藤野一族当主 謎の失踪-
記事を読み進めると、情報管制でも敷かれているのか詳しい事は触れられていない。
しかし、同時に所属する多数の「魔性狩り」と、藤野一族の運営に関わっている宿老の幾人かも行方不明ということになっているようだった。
残った者たちでは最早「魔性狩り」の大組織としてのみならず、一族が運営に関わっている多くの組織でも、運営から手を引かざるを得ないため混乱は必至…そんな情勢も報じられている。
不明、と書いているが、かごめがこれに関わっているとするなら、ここまで派手にやらかす懸念は確かにあったろう。
葉菜は憤然と新聞を叩きつける。
「葉菜さん!?」
「あの子、いったい何を仕出かしてきたのよ…こんな事をして!!」
「ま、待って葉菜さん!
まだかごめさんがやったと決まったわけじゃ」
「私だって思いたくなんてないわよ!
けど、間違いなく何か絡んでるんでしょ! 何がどうなったのか、ちゃんと聞かないことには納得なんてできるわけないわ!」
制止する佐祐理を振りきって、葉菜は部屋を出ていこうとする…が。
「……私から話すわ。
だから…暫くあの子はそっとしておいてあげて」
「紗苗…さん」
その戸口には、何時帰ってきたのか紗苗の姿があった。
ひどく悲しそうな表情で…そして、何が起きたのか、肩口に巻かれたまだ真新しい包帯には、僅かに血がにじんでいる。
「紗苗さん、その怪我…いったい」
「………かごめちゃんにやられたの。
もっとも…わざとその隙を作ってあげたんだけどね」
「ど、どういうことなんですか!?
やっぱり、これをやったのは…!」
「それは違うの。
かごめちゃんはむしろ、彼らの尻拭いをしに行ったのよ…あの馬鹿な連中の…!」
紗苗は悲痛な表情で唇をかむ。
やがて、紗苗は二人に、その日あった出来事を語り始めた。
かごめと紫は、愛子が幻想郷へ向かって間もなく、当主である珠姫が元老達により半ば軟禁状態にされていることを知った。
そもそも、愛子が家を出るように仕向けたのは珠姫だったという。
元老達はかごめの力が戻ったことや、幻想郷のことなどつぶさに情報を仕入れており、それを事前に討つことで藤野一族の地位を盤石にしようと考えていたという。
珠姫は「強大な魔性に深く関わる事は一族を滅ぼす」と、彼ら暴走を止めるべく反対の態度を崩していなかったが…一部、彼女を慕う若手以外には反感を買っており、その近しい者たちですら彼女の言葉の意味するところを完全に理解しているわけではなかった。
珠姫もまた、一族の中では孤立した存在だった。
やがて彼女は、愛子の持つ「強大な魔力だけ」を有効活用すべく、ある恐ろしい計画を実行する為の研究が始められた事を知る。
それは…大昔、この地に封じられたという呪われた怪物「九頭竜」を復活させ、それをコントローラブルにするという試みだった。
その為に、優れた資質を持つ四人の少年少女と、制御の中核を成す愛子を人柱とするという…それを知った珠姫は、残された最後の伝手を使い先手を打つことに成功する。
そう…愛子の出奔は、紗苗と共謀してのものだった。
そして、その候補となった四人の少年少女を、幻想界に「留学生」として送り出す事も。
「そんな…それじゃあ、風雅君たち四天王も…!」
「いずれは、あの連中の手によって封印の一部にされるところだったということ。
藤野の元老達は司法や警察機関ともつながりが深い。魔性による「不慮の事故」で、奨学生四人を葬り去る事くらいは造作もない事だわ。
タマちゃんはそれを守ろうと、それこそありとあらゆる手を使ったのよ。私の持つコネクションを使って、ホワイトランド王家にまで掛け合って、あの四人を守ろうとした。
愛子も幻想郷、しかも屈指の大魔性が集う紅魔館に入れる事が出来たのは、結果的に彼女にとって最良の結果になった。けれど」
「その為に、焦れたあの連中はタマちゃんを人柱にしようとしやがったんだ。
だが、結果は新聞の伝える通り」
何時の間にか、そこにはかごめが立っていた。
「かごめちゃん…!」
かごめはそのまま葉菜の対面に座り込む。
「あたしと紫がその事を知ったのは、藤野の家に忍び込んだ後だ。
あいつら…予めあたしが来る事も知ってやがったんだ。だから…さな姉に何も伝えずに呼び出し、あたしとさな姉を戦わせて潰し合わせようとしやがったんだ…ご丁寧にあたしら二人が互いを認識できないような術式結界を用意して…!」
「先にかごめちゃんが幻術に気づいてくれなければ…最悪共倒れにされるところだったと思うわ。
多分アレは外部の連中…アンナちゃんレベルの術者ならともかく、私達相手に幻術をしかけられるほどの魔導師は、もうあの家中にはいないもの。
…もう、遅かれ早かれ駄目だったんだわ、あの組織は。それが解ってたから、決して手を出してはいけないものに手を出そうとしていた。
無理矢理封印から解き放たれた九頭竜は、居合わせた連中をことごとく殺し尽した。制御できるような代物ではなかったのよ…!」
「そんな…それじゃあ、珠姫さんは」
かごめは首を振る。
「あの子は…残された力を総て、九頭竜封印のために使っちまった。
あたし達は…あの子を見殺しにしちまったんだ…!!」
ふたりに言葉はない。
紗苗も歯がみして俯く。
しばしの沈黙の後、佐祐理は呟く。
「このこと…愛子ちゃんには?」
「…あたしの口から伝えてやろうと思う。
あたしが招いた事だ、あたしに伝える義務があるだろ…もし、その時に何かあった場合は」
「いいんです…それはきっと、お母様が望んだことなんだって」
「…愛子!」
庭先には、何時の間にか愛子が立っていた。
それだけではない、蕾夢と風雅の姿も。
傍らに紫が立っていたことで、かごめは紫が彼らにそれを伝えただろう事を理解した。
否。
恐らく、愛子はそれとは別の要因で、それを知り得ていたのだろう。
「朝方…夢枕にお母様が立ったんです。
もし、これから自分の身に何があったとしても…あなた達の事を決して恨まないでくれって。
…そして、紫さんからこれをいただいたんです」
佐祐理はそれを受け取る。
それは、一通の手紙だった。
「藤野の家で看取った子がいたわね…千世(ちせ)と言ったかしら。
彼女はもしもの事があったら、これを愛子に届ける役目を持っていたと言っていたわ。
…私はそれを受け継いだだけ」
悲しそうな表情で紫が補足する。
かごめ達はその内容を吟味する。
そこには…この事態を予期していただろう珠姫が、これまで起こったこと総てを、起ころうとしていることを書き連ねていた。
そして、最後にはこう綴られている。
「私は母親として、あなたに何も残してやれなかった。
だから、信じてくれなくてもいい。
それでも私は、あなたの事を心から愛している」と。
かごめは厳かにそれを元の様に畳み、それを愛子へと手渡す。
「ごめんよ…あたし達も何ひとつしてやれなかった…!
あんたの母さんも…帰る場所も…みんな壊すことしかできなかったよ…!!」
その体を抱きしめるかごめの目から、涙がとめどなく零れ落ちる。
愛子は首を振る。
「…そんなこと言わないで。
そんなこと…あなたが言ってしまったら…お母様だって浮かばれない…!
それに」
「決めたんです、私達で。
お母さんが命をかけて封じた九頭竜を…私達の力で倒すって。
だから」
「俺達はここでもっと力をつける。
あなたを…あなた達を超える力を身につけて…それが、俺達にこの世界を見せてくれる機会をくれた珠姫さんに報いることだと思うから…!」
「あんた達…!」
それ以上かごめに言葉が続かなかった。
それ以後暫く、かごめ達の周辺もあわただしい日々が続いた。。
かごめはユーリを通してホワイトランド王国や妖精国等々に事の顛末を説明し…事件からひと月経つ頃には、今回の事件が正式に「事故」として処理される運びとなった。
人界では藤野一族という一大組織の消滅は各所への影響も大きく、それでも楽奏学園の運営など大きなところでは暫定的に公営になるなどで集束が図られてはいるものの、今暫くそれは続くだろう。
しかし一方で、この事件の裏にかごめ達大魔性が関わってたという話はまるでウワサに昇ることすらなかった。
もう人間の世では、社会的に大きな事件を魔性たちが起こすということそのものが、過去のものとして看做されている。
かごめ達にはそれで良かったと思う一方で、いずれそれを忘れた人間達が、いまだ人界に眠る強大な災厄を自ら解き放つだろうことも予感していた。
だが、愛子達のような少年少女達がいれば、心配はいらないだろうと思っている。
彼らの帰るべき世界は、彼らがきっと守っていくのだろう。それを確信していた。
…
妖怪の山では、一柱の神格がその住処に戻って来ていた。
緑色の髪を持つ、その美しい神格は仰々しい鎧を身に纏い…多くの人が知るその姿を取ってはいなかった。
普段この神を取り巻く、不快な気配は何処にもない。
何もかも威圧しながらも、慈愛の気を放つその姿は、本当にこの地を塒にしているあの神格なのかと戸惑わせるに十分過ぎただろう。
「それがあんたの本来の姿か、雛。
否…両頭愛染明王」
彼女が振り向くと、そこには八坂神奈子が立っている。
その神格…鍵山雛はゆっくりと頭を振る。
「ですが…私にこの名を名乗る資格はない。
如何に強大な力を持っていようとも、私はたったひとりの存在すら救ってやることも出来なかった…!」
「あたしだってそうさ。
神様だって、結局そんな大したことなんてできやしないんだ」
神奈子は息を吐き、その近くの岩にどっかりと腰かける。
「…それで、あんたはこれからどうするつもりなんだい?
そんな力を取り戻してしまえば、もうこれまでみたいに「厄神の真似事」も出来ねえだろ」
「そう…ですね。
私はどうしたらいいのか、それすらもまだ定まってない。でも」
雛は目を閉じる。
そのとき、封印に吸い込まれていく珠姫の最期の言葉が蘇る。
「彼女は最後まで、残されていく娘の行く末を案じていた。
ならば…せめてあの子が自分の道を貫けるよう、見守ってあげたい。
そんな事くらいしかできないかもしれないけど…」
神奈子は頷く。
「あんたがそう決めたなら、そうすればいいんじゃないかな。
だが、後悔はしなさんなよ」
彼女が差し出した杯を雛が受け取ると、そこになみなみと酒が注がれる。
「…なんかウワサによると、神綺のやつが何かしでかそうとしているようだ。
そのうち何か言って来るかも知れんな」
「そうですか。
今度は…私も彼女達と剣を交える立場になるのかもしれませんね」
二柱の神は杯を合わせる。
永い旅に出るはずだったアリスが、どういうわけか既に戻っていた事がわかり、ひと悶着が巻き起こるのは間もなくの話である。