符の一
♪BGM 封じられし神々♪
ある年の秋、妖怪の山に忽然と現れた守矢神社。
紆余曲折はありながらも、この神社のお騒がせな三柱の神様は、徐々に幻想郷に馴染みつつあったそんなある日のこと。
梅雨も明けた初夏の日差しを避けるように、縁側で特徴的な目玉つきの帽子をかぶった少女が、今や懐かしいその携帯ゲームを夢中になってプレイしている…。
「あーやっとルビー終わったよー。
つーかダイゴさんのアーマルド強すぎーこれは修正されるべきそうするべきー」
「なんだい諏訪子。聞けば外の世界のポケモンはすでに新しい世代に移ってるのに、今さらまた微妙なモノを」
「ちっちっ、馬鹿にしちゃいけないよ。これがまた面白いんだ。暇潰しには最適だよ」
「暇潰し…ねぇ」
長身の女性がため息を吐く。
火炎地獄跡地の核融合炉化による「妖怪の山技術革命計画」も第一段階をクリアし、守矢の神社を中心とする妖怪の山周辺も平和そのものだった。
今年の春に忽然と姿を現した、空に浮かぶ謎の船のことは気にはならないといったらウソになる。
だが、基本的にそうした異変の調査・解決は博霊の巫女の役目である、という不文律も理解し始めていた守矢神社の面々にとって、下手に手を出さず傍観が吉という考えに至って以降、特別にアクションを起こす理由もなかった。
それに…一度、現人神を兼ねる風祝の巫女を調査に差し向けたこともあったが…最近妙な方向で「幻想郷に馴染んだ」彼女の言動に不吉なものを感じてしまった八坂神奈子・洩矢諏訪子の二柱は、その巫女…東風谷早苗をこれ以上異変に関わらせるのはなんとなく危険である、と判断したのだ。
そのため、急にやることがなくなってしまった彼女ら守矢の三柱は、他の力ある妖怪たち共々暇を持て余していた。
緋想天の天人たちほどでないにせよ…幻想郷でも特別トラブルが起き、尚且つそれに積極的に関わりさえしないと、結局は酒でも飲んでだらだらと過ごすくらいしか特別やることもないのである。
山の河童たちの技術のおかげで、本来幻想郷では起動できなかった筈のゲーム機を起動させることができたので暇潰しの伝手を得た彼女…守矢神社の忘れられし祟神・洩矢諏訪子などは中でも幸運だったのかもしれない。
「よーし次はサファイアの攻略だー」
「まだやる気かい…しかし、こうも暇だと確かに、ゲームでもやってないととてもじゃないとやってられんか。
幸いにも山の連中も、早苗の努力の甲斐あって里の連中からも信仰を集めるようになって、一先ずはあたしらの身も安泰だ。
これだったらあの馬鹿鴉がのこのこ出てきてくれた方が少しは張り合いもあったろうが」
「けどさー、それだったら早苗をあの空飛んでる何かの調査を続行させれば良かったんじゃない?
どの道、あの子が動くなら私らも力を貸してやらにゃならんし」
「…いや…なんかそれは嫌な予感するから駄目だろ。
あの子は一生懸命なのは解るけど、どーもそのベクトルが最近おかしいからな。
あの麓の巫女とコソ泥魔法使いの影響なんだろうが…それが良いことかどうかあたしには測りかねる」
そう言って長身の女性…守矢神社の主神である八坂神奈子は溜息を吐く。
彼女と、神社の巫女としてその経営に当たる早苗のふたりは、神社の信仰を集めるべく今だ地道な活動を行っている。
大きな異変でないにせよ、妖怪たちと幻想郷との人間…あるいは、妖怪同士でも神社のある妖怪の山と麓周辺、あるいは先年冬の異変からちらほら見かけるようになった地底の面々での間にトラブルも絶えない。
大概は古くからこの幻想郷に住む異変解決者…結界を守る博麗神社の巫女である博麗霊夢、あるいは彼女の友人である森の魔法使い霧雨魔理沙といった面々が解決してしまうのだが、此処最近の騒動により細かいことには手が回らず、早苗達がその対応に追われていた。
もっとも、そのことが少しずつ彼女らへの信仰を得ることにつながっているのであるが…。
「相変わらずだねー。
けどこうも暇だとちょっとなー…なんか面白い事件とか起こしてみる?」
「あのねぇ…他の妖怪共ならいざ知らず、あたしらが明確な元凶になってどうすんのよ。
ただでさえ二度も悶着を起こしてるってのに。結果的にだけど」
「…別に幻想郷そのものの存亡にかかわるような異変を起こそうってんじゃないのさ。
例えばさ、暇こいてる連中をこのゲームの世界に引きずり込んで、早苗を主人公にして攻略させるとかどーよ?」
「……ポケモンで?」
「この世界でも異形の者と付き合っていかなきゃらなんでしょ?
今回の異変で早苗が、あれだけの態度を取るくせに妖怪にも好かれる霊夢とは違うってことが解っちゃったし。
やっとこ私ら信仰が集まり始めたこの時期に、下手な敵を作らないようにしないと」
「うーん…それと、早苗にポケモンを攻略させることにどんな関係があるんだい?」
「ゲーム攻略を異変に見立て、ポケモンの育成を妖怪たちとの付き合いに見立てて、私らでしっかり指導してやればいいんじゃないかな。
早苗を立派な異変解決者として鍛え直すこともできるし、私達の暇つぶしにもなるし一石二鳥だと思うけど」
「っていうか…本音は後者だろあんたの場合。
まぁ、暇なのは同意だから、いいけどね。
それはそうと…まだ擬似的な世界を作れるほどまで力が戻ってんのかい、諏訪子?」
「んや。それについては、ちゃんと伝手はあるさ。
…少し胡散臭くはあるが…アレもどうせ暇こいてるだろうし」
翌日。
二柱は幻想郷の外郭…博霊神社の対角線上に位置するある場所に来ていた。
♪BGM 妖々跋扈♪
「…というわけでさ、あまりにも暇だからあんたの“境界を操る能力”で、このゲームの登場人物として遊んでみないか?って話になったんだが」
「ふむ…面白そうですわね」
二柱もいい加減、この幻想郷の住人の性質というものを理解しつつあった。
異変でもない限り、彼らは普段から常に暇を持て余しており、何か面白そうなことがあればそれを酒の肴に第三者として楽しむ節がある。
今回の異変に直接かかわりのない、この“郷の賢者”八雲紫とて同様だ。
しかも今回の異変については現状、特に幻想郷の存亡に関わるほどでないと判断したのか、彼女も興醒めしたらしく不貞寝していたようである。
なので、二柱の申し出にすぐに興味を抱いて喰いついてきた。
「まぁ麓の巫女だとかは、あの空飛ぶデカブツに掛かり切りにしておかなきゃならんから放っておけばいいが」
「確かに…今回の異変は霊夢に任せきりで問題ないでしょう。
どのみち彼女が動けば、あの手癖の悪い魔法使いも勝手についていく。
最悪、あの二人が組めば大事にはならない」
「あんたがそう見立てたなら、あたしらはあたしらで勝手に遊んでて問題なかろうよ?」
「仰る通りですわ。否む理由はありません」
「商談成立だね」
こうして守矢の二柱と郷の賢者による、傍迷惑な暇つぶしがその幕を開けることと相成ったのである…。
それから一週間後 ミシロタウン・守矢一家の借家
♪BGM 以魚駆蠅(東方緋想天)♪
神奈子「…ってなわけで、まぁ異変解決の予行演習として、お前はこれからポケモントレーナーとしてこのホウエンを旅してもらう」
早苗「本当ですか!
私、一度でいいからゲームの主人公になって、その世界を旅してみたかったんですよー♪」
神奈子「そうかそうか、喜んでくれて何よりだ。
しかし、道中にいる人物や、ジムリーダーなんかは予め幻想郷の奴らに入れ替わっている。
連中もこの世界のルールに則ってポケモンバトルを仕掛けてきたりするから、くれぐれも弾幕勝負を仕掛けんようにな」
早苗「かしこまりました!
…あ、でも私、名前は聞いたことあるけどポケットモンスターってどういうゲームなのかよく解らないです…。
というか、トレーナーってどういうことなのかもよく…」
神奈子「それは…先ず諏訪子を探してみて。
あいつのほうが詳しいし、道中あんたのナビを買って出るという話だ。
あたしはこの先、トウカシティという場所に行っているから…まずそこを目指しなさい」
早苗「はい、それじゃあ行ってきます!」
ミシロタウン郊外
早苗「うーん…RPGなのは何となく雰囲気で解りますが、その割に装備欄とかないのが気になります…」
??「おーい!そこの君ー!!」
早苗「はいはいなんでしょう…って、なんか大変なことにー!( ̄□ ̄;)」
誰かが町の外でポケモンに襲われている!
♪BGM 踊る水飛沫(東方緋想天)♪
早苗「た、大変です!
早く助けないと…でも、どうしたら」
??「そ、そこのバッグに私のモンスターボールが入っているー!
その中のポケモンを戦わせて、そいつを追っ払ってぎゃあああ!」
早苗「( ̄□ ̄;)きゃあああああああ!!
(あたふた)え、えーとこれか…けど、いったいこれをどうすればいいんでしょう…」
「おーい、早苗ー」
早苗「ひゅい!?
す、諏訪子様何処に!?」
「こっちこっち。
つーかあんたは何処の河童だ」
声のするボールを手にする早苗
「このボールのボタンを押して投げるんだ!」
早苗「は、はい!えーいっ!」
「よーし、行っくよー!」
♪BGM ケロHdestiny♪
早苗「諏訪子様!?何でまたそんなお姿に!?」
諏訪子(ミズゴロウ)「うーん…水ポケモンの方が相性いいかと思ったけどそう言えばルビサファはこいつなんだっけ。
まあいいや、とにかくまずは技を見てそれを指定」
早苗「えーと…“たいあたり”と“なきごえ”があります」
諏訪子「うん。体当たりはまぁ語感から解るだろうけど、相手に体当たりしてダメージを与える技。
鳴き声は、相手の物理攻撃力を下げることができる。まぁ相手から受ける技のダメージを減らす技さ。
とりあえず最初の戦闘だし、特に深く考えずに体当たりで攻撃すればおっけーだよ」
早苗「わかりました…じゃあそれでお願いします」
諏訪子「…珍しくノリが悪いなぁ。アニメは見たことあるでしょ?
一応ミズゴロウに憑依はしてるけど、一応今の私はポケモンだから気兼ねなく思いっきし行っちゃって」
早苗「解りました!ここでも常識にとらわれてはいけないのですね!!(゚∀゚)
ミズゴロウ、体当たり!!」
諏訪子(なーんか違う気がするけど…まぁいいか)
ミズゴロウの活躍によりポチエナを追い払った!
♪BGM 風光明媚(東方緋想天)♪
??「いやー助かったよ。
ところで君は…新たに引っ越してきた子だね。
私はオダマキ、この街に住むポケモン研究者だ」
早苗「守矢神社の風祝を務める東風谷早苗と申します…でも、ポケモン研究の第一人者はオーキド博士という人だと聞いたことがあるんですが」
オダマキ「…まぁ否定はせんよ、否定は…」
オダマキ「…実は、今日は先日引っ越して行った私の友人の代わりに、別の知人が引っ越してくるはずだった。
だが、先日フィールドワークから帰ってきたら…何故かジムリーダーは知らない者に入れ替わってたり、明らかに人間じゃないっぽい連中が大手を振って歩いてたりでワケがわからなくてな…。
挙句、どう考えても会った記憶がない君が現れた。
いったいどういうことか、君は知らないかい?」
早苗「えーっと…」
諏訪子「…そいつは私から説明しましょうかね」
オダマキ「!?
ぽ、ポケモンが喋った…だと…?」
……少女説明中……
オダマキ「…幻想郷…それに、この世界と別の世界の境界をいじくる…か。
にわかには信じがたい話だが…」
諏訪子「どうやら紫の奴、同じ世界観を持つ別の世界と適当につなげちゃったみたいだね。
あるいは失敗して、本当の異変になってしまった可能性もある。
こちらの世界に繋がってから調べて見て解ったんだけど…どうも、当初の予定では自在に元の世界の戻れる予定だったのができなくなってるっぽいし」
早苗「ええ!?ちょっとそれって結構大事なんじゃないですか!?」
諏訪子「うん、かなり予想外だった。
もしかしたら一時的なモノかも知れないし、紫とも相談してはっきりするまで神奈子には伏せることにしたの。
あいつはあいつで、結果的に自分の言動がここ最近の異変の引き金になったこと…気にしてたみたいだから」
オダマキ「…まぁ、この世界にも“神”と呼ばれるほどの力を持ったポケモンもいる。
ひょっとしたら、その力同士が干渉しあって何か起こる可能性も無きにしも非ず、だな」
諏訪子「あんた随分モノ解りいいね。
研究者というからには、もっと頭がカタいイメージがあったけど」
オダマキ「私は、どちらかというとデスクワークよりフィールドワークのほうが性に合ってるのでな。
己の見聞したものに疑いを持ちたくないだけさ。
…現に、長年面倒を見てきたごく普通のミズゴロウが、突然口を利くようになったのを見てしまうとな。」
諏訪子「まぁそれもそうだね。脅かして悪かった。
…ってえことなんだ。
まぁしんどいかも知れないけど、とにかくこの世界の異変を解決するためには、この世界の“神”とやらに会わなければならんね」
早苗「演習のつもりが…本当の異変解決になってしまったわけですね…」
諏訪子「うん…ごめんね、私のせいで面倒なことになっちゃって」
早苗「いいえ、諏訪子様たちのせいじゃありませんよ。
それに…このくらいの異変を解決できないようでは、幻想郷の巫女は務まらない…ですよね?」
オダマキ「だったら…助けてもらったついでで悪いんだが、一つ頼みたいことがあるんだけど…いいかい?」
早苗「なんでしょう?私にできることであれば良いのですが…」
オダマキ「なに、難しい用事じゃないさ。
この先にあるコトキタウンの先、103番道路に最近雇った私の助手がいるんだ。
しかしどうもサボってるみたいだから、懲らしめて連れて帰ってきて欲しいんだ。
もちろんタダでとは言わない…そのミズゴロウも君に譲ろう」
早苗「お安いご用です。103番道路ですね」
諏訪子「おっと早苗、まずは何処のパソコンでもいいから、それを起動して」
早苗「え?これですか?
なんかアクセス先に私のパソコンがあるようですが」
諏訪子「うん。そこを開いてごらん」
早苗「“キズぐすり”というものがあるようですが」
諏訪子「それにカーソルを合わせて“引き出す”」
早苗「…! バッグにアイテムが!」
諏訪子「まぁそこは演出ということで^^;
キズぐすりは手持ちポケモンのHPを20回復させるアイテムだよ。
この世界の店でも売ってるけど、序盤は自分のパソコンの中味の一つ、そして人から一個タダでもらえるよ」
早苗「そうなんですか…」
諏訪子「道中、バッグに入りきれない道具が出てきたら、パソコンにデジタル化して転送できるみたいなんだ。
ってもこのバッグも、何処に入るのかものすごい量のアイテムが持ち運べるけど」
早苗「まるで四次元ぽk」
諏訪子「おい、やめろ馬鹿。
私も正直それは思ったけどその例えはいくらなんでもまずいだろ」
早苗「じゃあ西遊記の金角・銀角が持っていた瓢箪みたいなものなんでしょうか」
諏訪子「間違っちゃいないだろうけど…渋いなぁその例え^^;」
諏訪子「この世界は基本的に、ポケモンという生き物を捕まえて戦わせるんだ。
プレイヤーが演じるのはポケモンの調教師…ポケモントレーナー。
ポケモンおよびそのポケモンが使える技が、私たちにとってのスペルカードだと思えば早いかな。
ポケモンにはレベルやHPがあって、その技には使用回数がある。
強力な技は使用回数も少なかったり、命中しにくかったり、反動があったりとかのデメリットもあるから気をつけてね。
あと解らないことは、その都度私に聞いてくれれば、解る範囲で教えてあげるから」
早苗「解りました!
不束者ですが、よろしくお願いしますね^^」
諏訪子「…何処の花嫁だあんた」
103番道路
♪BGM ほおづきよりも紅い魂♪
??「退屈なのかー」
早苗「あれ、あの子は確か…」
諏訪子「麓の神社のあたりに住んでる暗闇妖怪じゃないか。
紫の奴、ヒマこいてそうな妖怪片っ端から巻き込んだって言ってたしな…最初があいつなんて実にお約束」
早苗「では、オダマキさんが言ってた助手とは彼女でしょうか?」
諏訪子「だろうね。じゃあ、適当に叩きのめして連れ帰ろう」
ルーミア「あー、山の巫女なのかー?」
早苗「何をしてるんですか貴女は」
ルーミア「うーん…なんかこの辺の生き物を調べて来いとか言われたけど…途中で面倒くさくなったの。
スキマからはここの人間もこの子も食べちゃダメとか言われてるし、神社にも帰れないからつまんない」
諏訪子「いやお前パートナーのポケモンまで食おうとすんなよ^‐^;
というかここのルールは、あんたが持ってるそのポケモンで、同じようにポケモンをもってる人間や野生のポケモンと戦うのがルールなんだから」
ルーミア「そーなのかー。じゃああなた達は食べてもいい相手?」
早苗「御冗談を。人様に迷惑をかけるのであればここで退治します!」
ルーミアが粘着してきた!
♪BGM 妖魔夜行♪
ルーミア「んーっと…この子なんていう名前だったっけ?」
諏訪子「キモリだよキモリ。
あんた自分の手持ちのポケモンの種類くらい博士に聞いたんだろー?^^;」
ルーミア「そーだったそーだった。そんじゃ行け、キモリ!」
早苗「…そう言えば道中でレベルアップして、新しい技を覚えてましたっけ」
諏訪子「“どろかけ”は地面属性の技だね。
相手のタイプは草だから、草タイプには効果低いよ」
早苗「じゃあ、体当たりで力押しをした方がいいんでしょうか?」
諏訪子「そうでもない。
泥かけはダメージを与えた相手の命中率を確実に1段階低下させる追加効果があるんだ。
相手の攻撃が当たりにくくなればそれだけ有利になる。特に、序盤戦はね」
早苗「解りました…ミズゴロウ、泥かけ攻撃!」
こうかは いまひとつの ようだ
あいての キモリの めいちゅうりつが さがった!
ルーミア「( ̄□ ̄;)見えないのかー!?
っていうか、そう言うのむしろ私の領分だよー!」
早苗「こういうのはやったもん勝ちです!さあ、覚悟なさい!」
諏訪子(うわー…ほとんど唐傘お化けいじめてた時と同じノリだよー…。
これ早く矯正してやらねーとマズいなぁ…^^;)
相手のキモリは力尽きた
ルーミア「負けたのかー><;」
早苗「さあ、研究所に戻りますよ」
オダマキ研究所
オダマキ「いやー済まないな。
…どうだろう早苗くん、この世界の異変を解決するなら、きっと道中でも多くのポケモンと出会うはず。
ついでと言っては何だが、この子の代わりに各地のポケモン調査をしてはくれないだろうか?」
早苗「ポケモンの調査…ですか」
オダマキ「なに、難しい話じゃない。
このポケモン図鑑は、初めて遭遇したポケモンを自動的に項目化し、捕獲したポケモンのデータが自動的に登録される。
君が各地でポケモンを捕獲したり、育てて進化させてくれれば、それだけ図鑑は充実してくるんだ」
早苗「解りました。どのみちこの世界を回らなければならないようですし、構いませんよ」
オダマキ「そうか、助かるよ。
ではこの図鑑と、このモンスターボールも君にあげよう。
ポケモンは同時に連れていけるのは6体までだが、7体目からは自動的に預かりシステムに転送されるから心配しなくていい。
ボールが足りなくなったら、悪いが自分で補充してくれ」
早苗「便利なものですねぇ…それでは、行ってきますね」
ルーミア「…私はどうするのー?」
オダマキ「……とりあえずそのキモリは譲ってやるから、トレーナーとして方々を回るなり好きにしなさい。
どのみち元の…幻想郷に戻れるようになるまでここにいても暇だろう?
まぁ…期待しちゃいないが…もし余裕があったらもう一つの図鑑も埋めてくれれば助かる」
ルーミア「うん、そーする」
(続く)