符の十六


118番道路

諏訪子「さーて、いよいよここから新しいフィールドだ。
   覚悟はよろしいか各々方!?」
穣子「あんたが仕切るのかよー?
神奈子「まーいいじゃないか。
   さ、用事がないならさっさとモンスターボールに入りなあんた達。
   早苗、あたしに乗りな!」
早苗「あ、はい!お願いします神奈子様!」
神奈子「…おいおい…今はあたしがポケモン、あんたが主人じゃないか。
   “お願い”じゃしまらんだろう」
早苗「あ…すいません、でも…」
神奈子「ま、気持ちは解るけどね。
   あんたの好きに呼べばいいか。行くよ、しっかりつかまっておいで!」

ギャラドスは波乗りを使った!



ミスティア「♪まーるきゅーうちっるーのはーおいしーそうだけどぉー
     かなこーのかゆーでがまんしとこ
     ふっとーらせーてたべるのだっ!♪」



諏訪子「…相変わらずなんつー歌うたってんねんあんたは。
   っていうかムロにいるつもりじゃなかったのかよ」
ミスティア「おーまた会ったね神様。
     いやねー…どうも新しい酒が届いてから、鬼まで私のことをいやらしい目で見てくるから逃げて来たんだよー」

神奈子「新しい酒…?」
諏訪子「そう言えば紫の奴、会社で開発したツボツボを送りつけるとか言ってたな。
   本来ツボツボは持たせた木の実を発酵させてジュースを作ることができるポケモンだけど、紫が乗っ取る前から酒精を作るツボツボというのを開発してたらしくて
静葉「…あの会社そんな生体実験してたの…?
  思ったより物騒な会社だったのね」
諏訪子「元々、化石からポケモンを再生する技術とか開発してた研究員もいたからな。
   あ、そう言えば化石復元してもらうの忘れてた」

ミスティア「私もさー、いい機会だからよい漁場を求めてここをめぐって見ることにしたわけよ。
     前作った釣竿も、此処だとやっぱりポケモンしか釣れなくなるみたい。
     また新しい竿を作るの研究するから、良かったらこれもらってくんないかな?」

いい釣竿を受け取った!

静葉「随分良い感じの釣竿ねぇ。
  そう言えばあなた、山の近くでもよく釣りをしてたけど、あの竿も自分で作っていたの?」
ミスティア「勿論さね。
     香霖堂にも外の世界の…なんだっけ?よく解らんけどすごい素材使った竿とか置いてあるけど、良く解らんし。
     結局兎とかのいる竹林の竹を使った方が、しなりもいい塩梅で使いやすいからね」
雛「…昔から迷いの竹林の竹は、良い竿の材料として重宝されていましたから…」
諏訪子「そう言えばその店に、カーボンロッドのかなりいい竿があった気がしたなぁ。
   あの店って確か、外の世界から流れてきた品物とか扱ってるんだったっけ?」
穣子「森の白黒魔法使いとかが持ちこんできたのが大半らしいけどねぇ。
  便利な品ばっかりっていう割には、キチンと活用されてたの見たことないよ
神奈子「電化製品は電気ないと動かないし、電波も遮断されるから携帯もテレビも役立たずだからねぇ、幻想郷は」



119番道路

道路には雨が降っている…

神奈子「あー…鬱陶しい雨だねぇ。
   しかもこの茂みとかどうにかならないのかい!!><」
諏訪子「あーうー…実際きてみるとここ酷い〜!!
   ここは、ROMによって天候が変わるんだよー。
   サファイアは常に雨降り、ルビーだと常に日照りだったと思うよー」
雛「…厄いわ…というかこの草むらは…」
諏訪子「ゲームでもここは自転車が使えないんだよ〜。
   しかもトレーナーとかも潜んでて…ひゃあ!何か通った!!」
早苗「おお、落ち着いてください諏訪子様!ただのジグザグマです!!><」

諏訪子「あ、そうそう。
   一部の技は天候の影響を受けるってことを言い忘れてた」
早苗「そうなんですか?」
諏訪子「うん。日本晴れや雨乞いっていった技は、5ターンの間それぞれの属性攻撃を強めるフィールドに変えちゃうの。
   日照りなら炎、雨なら水の威力が上がるよ」
神奈子「じゃあここで戦うなら、あたし達は有利ということになるね」
諏訪子「そーだねー。
   雨なら炎技の威力が低くなったり、草技の一部も弱体化するんだ。確かに戦いやすくはなる」


119番道路 川沿い

早苗「…この雨の中でも、釣り人が多いんですねー」
諏訪子「ここにはねー、超レアポケモンが住んでいるんだよ。
   見た目は貧相、あまりにみすぼらしくて研究者から総すかんを食ったという生き物が」

静葉「…ヒンバスか
諏訪子「ヒンバスだね
早苗「ヒンバス?」
静葉「世界最弱と名高いコイキングに匹敵するくらい、戦闘能力も低いポケモンよ。
  数そのものは多いけど、何故かやたら固まって移動する習性がある。
  なので結果的にここでしか生息してないし、尚且つ非常に発見しにくいの」
諏訪子「私結局ルビーでも釣れずに終わったんだよねー。
   探してるだけでも時間もったいないし、先に行くよー」


天気研究所前

文「毎度御馴染射命丸です!
 なんか偶然通りかかったら、何んとも珍しい面々がおられるようですが」
諏訪子「何だまた唐突に話しかけてきた>>天狗
   つーか、あの兎詐欺はどうしたんだ?一緒じゃねーの?」
リリカ「あいつ、つい先日隙を見て逃げ出したのよ。
   でも、あいつ文句が多い割に足引っ張ってばっかりだし、むしろ居なくなって清々したけどね」
文「…いざというときの非常食にでもしてやろうかとも思いましたけどねぇ…(ぼそっ)
早苗「え!?
  …い、今、何か…?」
文「いいえ?何も?」

早苗「というか、貴女はなぜその時に逃げてしまわなかったんです?」
リリカ「いやーそれがねー。
   意外にこういうのって、演出を考えたりするのに勉強になるのも多いのよ。
   最初はとんだ災難だと思ったけど、今ではむしろ感謝してるくらいだわ」
椛「この人、飲みこみ早いし要領もいいから、今じゃ私のやることも少なくなって物足りないんですよー」
文「いやいや、大したものです。
 今ではすっかり欠かせぬスタッフの一人ですよ」


神奈子「まぁ、それはいいだろ。
   あんたたち、一体何だってこんなところに?」
文「あやっ、これは八坂殿。
 いえ、実は今回、ホウエンで起こりつつある異常気象について調べている天気研究所へ取材に行くことになっておったのです。
 ところが、先日局地的な大雨で此処の川が氾濫してしまい、足止めを食っておったのです」

辺りにはまだ流木が散乱している…

諏訪子「こりゃ酷いな…」
早苗「もしや…これも煙突山の件が原因になっているのでしょうか?」
文「かも知れません。
 紫殿から、一応あの件はすんでのところで阻止できたものの…僅かに影響は残り、煙突山周辺のマグマの動きがおかしくなっているらしいと伺いました。
 この異常気象も、それが原因ではないかと分析しておられる方もおりまして」
諏訪子「かもな。
   完全に停止までは行かなかったからフエン温泉は特に異常はないように見えたけど…それでも2、3分エネルギー照射はされてたから何も起きてなかったとは考えにくいし」

リリカ「それに…もう一つ問題があるの。
   先日の洪水から前後して、天気研究所と連絡が取れないの。
   電話が断線した可能性もあるけど…あそこには姉さんたちが手伝いに行ってるから…何かあれば、この姉さんの弦の切れ端で対話できるはずなのに」

雛「そう言えば…ルナサ・プリズムリバーは優れたヴァイオリニストであると同時に、天候の知識に明るい筈」
穣子「弦楽器の弦は湿度と気圧に大きく影響されるから、ついでに覚えたとか聞いたわね」
文「そういうことです。なので私が紫殿に勧めて、研究所の手伝いに行ってもらったんですけどね。
 それにリリカさんを含め、この姉妹はトレーナーとしても結構な腕を持っていました。
 特にメルラン殿なら、ジムリーダークラスの技量を持っているはずですが」
リリカ「…私、それが嫌で逃げ出したんだけどね…。
   お姉ちゃん達のことは好きだけど…みんなそうやって比べてくるんだ。
   私は背も低いし、お姉ちゃんたちみたいに特殊な音を扱えるわけじゃないから」
穣子「うんうん…わかるわかるわ〜…。
  姉妹でいるとどうしてもお姉さんの方が注目されて、妹なんか出涸らし扱いを受けて損ばかり。
  貴女も苦労してきたのねー(ノД`)」
静葉「あんた豊穣神として私よりずっと目立ってるじゃない…何処に文句があるのよこの愚妹(#^ω^)」
早苗「ま…まあまあ^^;」


諏訪子「ってことはなにか?
   電話線が通じなくても状況が解る姉妹がいるのに、出来なくなってるってことだろ?
   じゃあ、あいつらに何かあったってことで間違いないんじゃないのか?」
リリカ「…そんなこと…考えたくもないよ。
   でも、連絡を取り合えないのは事実なんだ。それを、確かめに行かないと」
文「不測の事態は起きましたが、戻れとは言われてないですしね。
 ならば、此処で引き返すという選択肢もありません」
神奈子「いい根性してるわねあんた…」
諏訪子「…どっちみち、天気研究所は私達の目的地のひとつでもあるからね。
   あたしたちも一緒に行こう」
文「あやっ、それは心強い。
 いざというときは当てにさせていただきますよ^^」



早苗「…本当に、雨止まないんですねこのあたり」
文「私もこの近く…ヒワマキに所用があって度々寄っていましたが、確かにこのあたりが晴れていたことは殆どなかったですね。
 あの施設にいるポワルンというポケモンの所為だと知ったのも、つい最近のことですが」
穣子「…それよりあんた達、アレ、見てみなよ」

橋のたもとにアクア団の下っ端達が陣取っている…

早苗「あれは!」
諏訪子「チッ…やっぱり来てやがったか…!」
文「…連中は水ポケモンの使い手が多い。
 あの洪水を機に、一気に制圧したというところでしょうか」

リリカ「っ!」

リリカの持っていた弦が激しく震えだした!

文「…これは…!」
リリカ「…お姉ちゃん!!」
諏訪子「あ、おい馬鹿止せ!
   何の準備もなくHみたいに突っ込んでいくなんてあんたのキャラじゃないだろ!」
リリカ「でも、弦が…ルナサお姉ちゃんの弦が!
   こんな揺れ方をするなんて、お姉ちゃんが…!」
文「…私も彼女らを昔から知っているが…この子がこれほどまで取り乱すのを見るのは初めてです。
 なんだか嫌な予感がする…!」

静葉「…よく見れば、研究所の辺りも青装束だらけよ。
  気配を感じないところを見ると、あの総帥は出張って来てない感じだけど」
雛「でも…それとは異質の厄い力の波動を感じるわ…。
 これは、恐らく…地底の橋姫…!」
穣子「拙いタイミングでまた拙い奴が出てきたわね…!
  あいつは嫉妬心を操るばっかりじゃない…その副産物として、さとりほどでなくても相手の心の間隙を読むことに長けているはず…!」
静葉「…あいつ自身にポケモントレーナーとしての才覚がなくても…他人の嫉妬心を掻き立てて同士討ちさせることも可能、か。
  例えば…プリズムリバーの残り二人を同士討ちさせることも」
リリカ「そんな…そんなこと!
   お姉ちゃん達は喧嘩なんてしたことないくらい、仲がいいんだ!
   …私がわがままを言っても、その時は呆れ顔をしていても…いつだって最後は…!」
静葉「…そうね、当人にその気がなくても、あいつは自分の分身を嫉妬心として相手に植え付け、操ることだってできるはずよ
諏訪子「そんな厄介な力を持ってんのかよ!?
   拙い…だったら、早く止めないと!」
早苗「と、止めるって!?
  大体、あれだけの包囲を突破していくなんて…」

文「…私が囮になりましょう」

早苗「文さん!?」
文「カメラマンは椛がいるし、レポーターはリリカさんが居れば足りる。
 幻想郷最速と言われた私の機動力は、形を変えても健在です
神奈子「…大丈夫かい?」
文「何、あいつらを引き付けてあなた達が侵入する時間を稼ぎ、逃げ遂せることくらいは十二分に可能ですから…適任でしょう。
 連中の始末…姉妹の救出は貴女方にお任せしますよ」

文「さあ、今のうちに準備を。
 合図をしたら飛び込んでください。椛が、読み取ってくれるはずです」



アクア団下っ端A「む?何だお前は?」
文「およ、これはこれは、自然のため海を広げるなどと言いつつ反社会活動を繰り広げる小悪党の皆さん。
 この場所は貴方達のような、教養も品格もない下種が溜まっていい場所ではない」
下っ端B「何だと貴様!
    小娘の分際で、このアクア団精鋭部隊に楯突くとはいい度胸だ!」

文「ふん。
 たまたま過ぎた力を手にしていい気になってる総帥の下で、群れてぎゃあぎゃあ喚くしか能のない雑魚が一丁前に吠えてんじゃないよ!

下っ端A「何だとこのガキ!」
下っ端B「生意気な、痛い目見せてやるぜ!」


♪BGM 風神少女♪


文「幻想郷最速と呼ばれたこの私に着いてこれるかやってみな!
 来な、オオスバメ!!」

文はオオスバメの背に飛び乗った!

文「オオスバメ、燕返し!」
下っ端A「ぬおっ…!
    おのれ、ナメた真似を!」
下っ端B「このアクア団を愚弄したこと、骨の髄まで後悔させてやる!
    来い、曲者だ!
    あの小娘を引きずりおろして畳んでしまえ!!」


文(よし…これだけ引き付ければ!
  早苗さん、椛、皆さん…後は頼んだわよ!)


椛「合図…今です!」
早苗「よし!」

神奈子「大した度胸じゃないか、あの天狗!」
諏訪子「…ああ、喧しいだけかと思ったが、少し見直したよ」



天気研究所内


ルナサ「くっ…そんな」

??「ふふ…あははははっ!!
  いいザマね本当に!あんた達が馬鹿にしてたこいつの力に、手も足も出ずに負けた気分はどうかしら!?」

ルーミア(嫌…嫌だよ…!
     私、こんなことしたくない…したくないのに!)

??「…抗おうったって無駄よ。
  今の私はね、そいつに嫉妬心がなくても、無理矢理に私の力の一部を嫉妬心として植え付け、それを増幅させることで操り人形にする力を得てるのさ…!
  そして…私の力は私の妬みが大きくなれば大きくなるほど、さらに強くなる…!
  あんたがどうしてそんな優れた力を持ってたのか知らないけど、私より強い力を、優れた能力を持っていた自分自身を呪うことね!!」

メルラン「…ルナ姉…ごめん、私…」
ルナサ「気にするな…でも、あいつ…どうしてこれほどの力を」
??「ふん…私だって不思議でならないわよ…!
  何故こんな低級妖怪が、これほどまでの力を持っているというの…!?
  妬ましい…本当に、妬ましいわ…!」
ルナサ「…貴女は何時だってそうね…。
   アクア団なんかに協力してこんなことをしてるなんて…大方、この世界の何かが気に食わなくてそうしてるだけでしょう?
   ねえ…下賤な嫉妬妖怪…!
パルスィ「…ええ、妬ましくて仕方がないわ…!
    卑しい出自のポケモンすら、受け入れられてしまうというこの巫山戯た世界の総てがね!!

♪BGM 緑眼のジェラシー♪

ルナサ「…心底腐ってるわね、今のあんたは。
   …どんな力を与えられたか知らないけど…そのせいで分別無くしてしまうようなら、羨ましくもなんともないっ…!」

ガシッ!

ルナサ「…ぐっ!」
メルラン「ルナ姉!」

パルスィ「何とでも言いなさいよ、負け犬。
    こんな…妬ましい世界など滅んでしまえばいい…!
    幻想郷を離れても、強い力を得ることができたこいつやあんた達が妬ましい…!
    卑しい出自を持つポケモンでも、パートナーとして信頼できるこの世界の愚昧な人間…それに愛されるポケモンが妬ましい!!


「そこまでよ、橋姫!!」


パルスィ「…お前は!
    一体何処から…」
諏訪子「門番の連中は、はしこい天狗が皆追っ払ってくれたさ。
   あいつの安い挑発に乗って皆釣られちまうとは、大した精鋭部隊だね!」
パルスィ「おのれぇ…!!」


リリカ「お姉ちゃん!!」
パルスィ「おっと、それ以上近付くんじゃないよ!
    あんた達が何かする前に、このジュプトルのリーフブレードがこいつらの首を叩き落とすほうが早いよ!」


早苗「ルーミア!何故あなたが!」
椛「…いけない!避けて!」

ルーミアのバクーダは岩雪崩の体勢に入っている!

椛「お願いレアコイル!リフレクターを!」
パルスィ「させると思ったかい!
    グラエナ、その邪魔な壁をたたき壊しておやり!!」
諏訪子「なっ!」

リフレクターはグラエナの瓦割りで壊されてしまった…
岩雪崩はグラエナ諸共レアコイルに襲いかかる!

椛「きゃああっ!」
諏訪子「くっ…自分のポケモン諸共なんて!」

早苗「やめなさい橋姫!
  こんな、こんなポケモンのことを省みない命令を出すなど!」
パルスィ「はぁ?何を言うかと思えば…。
    ポケモンのことなど、知ったことではないわ。
    それに、そいつも私の妬みの力を得ているからこの程度で終わるわけないわ!
    説教垂れる前に、自分の命の心配でもしてなさいよ!」

パルスィ「グラエナ!
    その小生意気な緑髪の喉笛を噛み切っておやり!!」
神奈子「ちっ…させるかい!」

ギャラドスのたいあたり!
グラエナの体制は崩された!

神奈子「大丈夫かさな…うっ!」
パルスィ「あんたは寝てな!
    スターミー、10万ボルトッ!」

スターミーの 10まんボルト!
こうかは ばつぐんだ!

さらにルーミアのバクーダが追い打ちで突進してきた!

神奈子「うああ!」
諏訪子「神奈子っ!?
   やめろルーミア!あんたはこんなことしたいわけじゃないんだろう!?」

ルーミア「…っ!!」


ルーミア「ううー…今度やる時は負けないんだから!
    絶対に勝ってやるんだから!!><」
早苗「うふふ、私は何時でも受けて立ちますよ。
  トレーナーとしてお互いに実力を鍛え合う…いいことだと思います」
ルーミア「そーなのかー。
    だったら、私早苗に勝てるようにきっと頑張るよ!!
    じゃあねー^^ノ」



ルーミア「…ううっ…!」
パルスィ「何…私の力が押し出され始めている!?
    馬鹿な、そんなこと…!」

諏訪子「!
   早苗、あいつの心に呼び掛けるんだ!
   ルーミアは…あいつ自身はこんなことを望んじゃいない!
早苗「ええ、解ってます。
  あの子ならきっと、操られているだけだって!」


早苗「思い出してルーミア!
  あなたはそんな気持ちで、頑張るって言ったんじゃないでしょ!?
  だから、そんな力に負けちゃ駄目!!

ルーミア「さな…え…!」
パルスィ「…人間のクセに…妖怪を受け入れるだと…!
    こんな奴を認めてやるだって…!?
    …こんな、こんな奴を…妬ましい!妬まし過ぎるわ!!
    こんな世界に来て前より強くなった挙句、人に受け入れられるなんて妬ましいの極致だわ!!

諏訪子「…あんた、本当はこいつが変わり過ぎたのが怖いだけだろ。
   変わることを考えず、ただ妬み続けることしか知らないあんたは…僅かな切欠で強くなろうとしているルーミアが怖いだけだ!
パルスィ「なん…ですって…!
    私が、こんな奴に怖れを抱いてる…だと?何を言っている!?」
諏訪子「そんだけじゃない。
   どんな存在であろうが受け入れ、信頼を置くことのできる人間達のいるこの世界を。
   そのパートナーとして限りのない力を発揮できるポケモンたちを。
   …本当は解ってるんだろう?
   あんた自身、そうすればできるということを…自分がそう変わってしまうことが怖いだけだ!
パルスィ「黙れッ!!
    この低級妖怪に植えた私の妬みはまだ抜けきってはいない!
    だったらその怖れをあんた達自身で味わって死ね!」


(…え)

早苗「…!?」

(…早苗…)

(お願い…私を、私を退治して。
 …この感情は…私ではもうどうにもならないから…。
 幻想郷の巫女は、私のような妖怪を退治するのが本来の役目だから…だから)

(…だからせめて…早苗が、私を)

早苗「…その頼みは聞けないわ、ルーミア。
  ここでの正当なバトルを持って…橋姫を倒せば総ておさまる!
  あなたとのバトルは、あなたが元気になってから仕切り直しよ!!
パルスィ「世迷言を!」


♪BGM 信仰は儚き人間の為に♪


諏訪子「静葉、穣子!神奈子を頼む!
   早苗、行くよ!」
早苗「はい!
  ラグラージ、影分身!」

ジュプトルから放たれたタネマシンガンが分身を貫いて四散する!

諏訪子「けっ、ルーミアの奴が指示してんならいざ知らず…トレーナーの意思が伝わってこねえポケモンの技なんか、恐れるに足らんわい!
早苗「その通りです!
  ラグラージ、波乗り!」


諏訪子「さあ…覚悟しろや橋姫…!
   土着神“宝永四年の赤蛙”!!」


ラグラージの波乗りのエネルギーが弾幕となって放たれる!!


パルスィ「ば、馬鹿なっ!
    神の力を失いポケモンに成り下がったのに、何故弾幕を!?」
諏訪子「あんたには解るもんか!
   この力は、もう私一人の力じゃないってことを!!」


諏訪子「これはさっき撃たれた神奈子の分!

きゅうしょに あたった!
あいての スターミーは たおれた

パルスィ「く、くそっ!
    何をやっているグラエナ!あの両生類を噛み殺しておしまい!」
諏訪子「まだまだいくよ!
   これは、あんたに望まぬ戦いを強いられたルーミアとそのポケモンたちの分!

きゅうしょに あたった!
あいての グラエナは たおれた

パルスィ「ううっ…そんな、そんなことが…!」
諏訪子「そして…これが…」


諏訪子「これが、この私自身の怒りだああああああああああああああああ!!



(続く)