♪BGM 「情景 冷たい正義」♪

「帰れないって…どういうことなの!?
だって、この魔法陣はかごめさん達の世界ばかりじゃなくて幻想郷にも…私達の世界にも繋がってるんでしょ!?」
「幽香は…幽香は幻想郷に帰っちゃってるんだろ…!
それに、リグルやみすちーや慧音先生も…」
「そんな…お姉様…みんな…!」

困惑する少女たちを制しつつ、リリカは努めて平静な態度を取っているように見えたが…静葉には気づいていた。
リリカが握りしめた拳がうっ血し、わずかに震えていることに。

本当は真っ先にわめきたいのは彼女のはずだろうが、気丈にもそれを制しているのだろう。
こいし達も無意識にそれを察したのか…続けようとした言葉を飲み込み、口籠ってしまった。

一拍置き、レティはその状況を説明し始める。


「順を追って説明するわ。
確かに、今私達の妖力や神力をつぎ込めば、無理やり帰ることも可能かもしれない。
でも…それではまずいことになるかも知れないの。
だからかごめは、敢えて別の世界に渡った私達を「護る」意味でゲートを閉じたのよ」
「護る…?」
「結論から言うと…今、博霊大結界は本来の機能を果たしていないそうよ。
その担い手である博霊霊夢と八雲紫、両方が異世界の侵略者に取り込まれてしまったせいで、博霊大結界は幻想郷と他の世界を完全に寸断する障壁に変わった…八雲紫が有事の際に施し、幻想郷の力を得た何かが外の世界に出て来なくするための仕掛けよ
「取りこまれた…!?
どういうことなんです?
幻想郷が、何かしらの侵略行為を受けていると?

ポエットの問いに静葉は頷く。

相手は「エクスデス」と名乗った。
私は諏訪子経由でゲームを借りて知ってはいるけど…まさか、その相手に攻め込まれるなんて考えもしなかったわ。
だけど…今の幻想郷には、ブロントさんを始めヴァナ・ディールと呼ばれる異世界からの来訪者が多く行き来している。
その「暗黒魔導士」と縁の深い世界と、よ。

恐らく奴は、そこを足掛かりに幻想郷を知り…そこに住まう者を「無」で取り込み、自分の力にしようと目論んでるみたいね。
紫はブロントさん達の承諾を得て、何とかかの世界に通じる「魔法門(ゲート)」を閉鎖したけど、無駄だったみたい…既に、その先兵らしき奴らが入り込んでいるとのことだわ。
かごめが早苗の『記憶』を読んだ。間違いないと思うわ」
「記憶って…どういうことなんですか!?
早苗の身に、一体何が…!」

静葉はレティと顔を見合わせ、逡巡したようだが…その真相を語り始める。

「早苗は、八坂神奈子に命じられるまま山の実力者を守矢神社に結集させて徹底抗戦の準備を整えたのち…その神奈子と洩矢諏訪子の二柱の力で、一人陽溜まりの丘に飛ばされてしまった。
あの二柱のやる事よ、早苗だけでも安全な世界へ逃がそうとしたのかもしれないわ。
あの子は…心に深い傷を負っている。
誰かから理不尽に踏みにじられることも…自分で踏みにじってしまったことも…凄惨な戦争の中でそれが呼び起こされてしまえば、あの子は壊れてしまうと思ったのでしょう。

介抱したかごめ達も、落ち着かせるまでかなり時間がかかったって言っていた…半狂乱になった早苗の暴れぶりが、目に浮かぶようだわ」
「かごめは恐らく、もう幻想郷の主要な者は取りこまれているかも、とも言っていたわ…魔界やかごめ達の居る幻想界にも、既に影響は出始めているそうよ」

言葉を失う少女たち。

「今の私達が戻っても、恐らく火に油を注ぐ結果にならないでしょう。
猶予はそれほど長くはない…私達に出来ることがあるとすれば、この世界の竜の力を得て戻ること。
つまり、もっと力を付けることしかないっ…!

…三竜討伐…!
「エルダーの試練を、受けろと…?」

静葉は頷く。

「そんな悠長な!
私、いやだっ!すぐに地霊殿に戻る!」
「あたいもだ!大ちゃん、すぐに戻ろう!」

チルノとこいしは魔法陣の中心へ向かって駆け出そうとする。
しかし、ふたりは静葉の放つ紅葉のバリアに阻まれて弾き飛ばされた。


あなたたち、今の話を聞いていたの!?
今の私達が行っても何の解決にもならないわ!
それどころか、取り込まれて徒に傷口を広げるだけにしかならないのよ!

「なんでだよっ!
静葉達は幽香のことが心配じゃないの!?
幽香は静葉やレティのこと、大切な友達だって言ってたんだよ!?

「それに、静葉さんの妹だって…穣子さんを見殺しにして平気なの!?
新しい社が出来て、これで博霊の紅白に馬鹿にされずに済むようになったって…あれだけ喜んでいた穣子さんのことが、静葉さんは嫌いなの!?
馬鹿なことを言うんじゃないわよッ!!

凄まじい剣幕で凛とした怒声が、森の中に響く。
少女たちは息をのむ…。



「そんなこと…私だって平気でいられるわけじゃないでしょう…!
でも、今は残された者の強さを信じて、私たちも強くならなくちゃいけないのよ…!」



俯いたままの静葉の表情は窺い知ることは出来ない…だが、光を反射して零れ落ちる涙が、その心の内を何よりも物語っていた。
先の剣幕で機先を制され、その姿にこいしもチルノも言葉を失った。

その二人を宥めるように、リリカが二人を…否、何時同じように飛び出してもおかしくなかったフランをも含めた少女達を諭し始める。


「解ってあげて、みんな。
静葉さんだってつらいんだよ…私だって本当は平気じゃないんだ。
お姉ちゃん達がどうなってしまったのか、本当は私も知りたい…でも」
「リリカ…静葉さん…」
「レティさん、かごめさんが絡んでいるなら、多分何らかの仕掛けはしてあるんでしょ?

リリカは気丈にも、務めて平静な態度を見せている。

共に異世界を旅した時からふたりも理解していたことだが、この娘は本質的にとても聡いことを知っている。
感情を表に出さないどころか、非常に感情豊かだが…ジョウトでのつらい旅路の中で精神的にも正しく導かれて成長した彼女は、こういう「異変」においては己を律して状況を俯瞰的に判断し、最善の手を模索して動くべきことを知っている。
レティは少しだけ笑みを浮かべた。


「ご名答。
この魔法陣の力で…そもそも異世界であったこの地と、かごめ達の居る幻想界の時間には、元々大きなズレがあるの。
こちらの世界でおよそ一年が、幻想界で一週間程度に相当する時間の流れになるそうよ」
「とすると…向こうにどのくらいの時間的猶予があるかは解らないけど」
かごめは一週間は現状を維持させるって言っていた。
彼女がそう言ったからには、いかなる手段を用いても必ずやり遂げるでしょうね。
でも…それ以上の保証はない。
こちらで一年の時間があると言っても、実質はその半分くらいで済ませるようにしたいというのが本音だわ。
同時に早苗も、信頼できる人を一人付けて、記憶を一部置き換えた状態で別の世界に飛ばすと言っていた。恐らくは、新しいポケモンの環境へ」
「そっか…かごめさんも言ってたよね、これから新しいトレーナーの元でメンバーを一元化するって。
だったら、これからは早苗の力になってあげなきゃいけないんだね」

リリカは踵を返し、宣言する。

「行こう、竜の待つ場所へ。
そうと決まったら、こうしている時間だって惜しい…みんなで強くなって、必ず元の世界へ戻ろう!」


そして、応える少女たちもまた…それに殉ずる覚悟を決めた。
この海都世界樹の探索行を経て、一行の結束は強固なものとなっており…何より、リーダーを務めるリリカを皆が信頼している証左であった。


その場でパーティの選別が始まり、リリカ、ポエット、ルーミア、チルノ、レティの五名を専属的な龍狩りのメンバーに、残る四名はそのバックアップに当たることとなった。
アーマンの宿に四名を残し、リリカ達は三龍の詳しい居場所の情報を得るため深都へと向かう。



♪BGM 「街景 時を失くした王」♪

「…さっきはごめん静葉さん…私」

先程、感情任せに飛びだしていったこいしが、すっかり悄気た面持ちで、静葉に告げる。
静葉は苦笑しながら、その頭を軽く撫でる。


「…いいの、気にしないで。
私も、あなたたちの気持ちは痛いほどわかる…私だって最初、衝動的にあのゲートをとこじ開けようと思った。
コーディが止めてくれなかったら、きっと

「一瞬だけ、神綺さんの声が聞こえたんです。
あなたたちはまだ、戻るべきではないって。
自分たちも自分の帰るべき場所を護らねばならないって…神綺さんも、幻想郷のみんなを信じて、魔界を護るために戻ったんですから…って」
「皆が皆、望まぬ形で血を流そうとしている。
綺麗事を言っていても仕方ないけど…それでも、私は今自分が出来る限りのことをする。
それが、幻想郷で戦うみんなの為になるのだと信じて…!




狐尾奮戦記その22 「神に挑むモノたち」



かごめ「これも随分懐かしい話になっちまったな。
   過去にぶっ飛ばされて神綺マッマのとこに世話んなりたての時期だったし、この一週間の間酒飲みながら顔面の形が判別できなくなるまで殴り合っていたねえ(遠い目
諏訪子「結末解っちゃいたが、それでも感情が納得しねーってやつだよなあ。
   実際のところ私達自身へ互いに処置したPクラス記憶処理って役に立ってたもんかね?(真顔」
つぐみ「あっきれた本当にそんなことばっかしかしてなかったのね。
   道理で魔界から時々みょんな請求書が来ると思ってたら
かごめ「んまー大っぴらに出歩いてパラドックス起こしてもうまくなかったからなあ(しろめ
   安酒のどうでもいいつまみだけでいいし、部屋だってちゃんと掃除するって言ってんのにわざわざ夢子強引に寄越してはきっちり掃除させるわ、豪華な酒と料理用意してくるわでなあ('A`)
   結構同席してることもあったし、まさか自分がどんちゃん騒ぎしたい上にその代金全部あたしたち持ちにさせるつもりじゃねえだろうなあのスットコ魔界神
諏訪子「まあやっちまったこととなっちまったことは仕方ねーって。
   …一服終えたしまた負債返しに行ってくるべ、次はどこの反乱平定だ?それとも開墾作業か?
   どうせあいつも一緒にくっついてくるんだろうしな直々に検分するとかほざいて(吐血

【システムウインドウ】 KagomeさんとSuwakoさんがログアウトしました

つぐみ「いやいやいや解説しに来たんじゃねーんかい」
葉菜「漸く平常運転に戻ったと思ったらこれですもんね。
  まあ与太話はこのぐらいにして、とっとと始めてしまいましょ」
つぐみ「いやーログアウトしないで付き合ってくださいとは言いましたけど、はなさん律儀で助かりますよ(しろめ」
葉菜「どーせヒマだからね。
  さーて、Ⅲの三竜って出現フラグが実はかなり特殊で、他のシリーズはすべてクエストからの出現となるけど、Ⅲだけは特殊イベントで条件を満たすことで出現するわよ。
  そして大本のフラグになっているのは、大航海マップで最後の到達目標になる空中庭園への到達、海都・深都・真祖どのルートでもいいからエンディングを見て、その上でもう一度空中庭園へ向かってマスタードラゴンとの会話イベントを起こすことよ」
つぐみ「空中庭園への初回到達はエンディングの後でもいいから、エンディング見てから空中庭園へ向かうっていうので端折れないんですかね?」
葉菜「忘れがちだけど大航海マップって、一回到達しただけで終わりってことはなくて、その後も何回か同じ到達目標にマップから向かうことで発生するイベントもあるのよ。
  中にはその道中で何らかのキーアイテムを入手していくという面倒くさい発生条件もあるし、そこでもらえるアイテムも大航海図鑑に登録される。
  で、今回の裏エンドって裏ボス倒しただけでは発生しなくってね、その大航海図鑑もフルコンプしなきゃならないという」
つぐみ「えっそんなに長いんですかⅢって」
葉菜「どっかのアルマムーンのミセリおじさんがダイマオウイカの捕獲に向かってひどい目に遭ってたと思うけど、まあ長いというか運よね。
  出港にはおカネもかかるから、大体一番後回しになるんじゃないかしら。
  SSQ2のレストランメニューコンプなんてかわいいものよ」
つぐみ「うーんこの…竜に関してはもう私も何度か討伐に関わってますけど、大体専用の備えが必要になるわけで
葉菜「その辺はつぐみちゃんの方が詳しいでしょ。
  ⅣとⅤを除けば、まあ三色ガードが必須になるわね。
  竜共通の三色ブレスの破壊力がとにかくイカれてて、これを真正面から貰ったらその時点でPTが壊滅する。
  だからこれをまず止める必要があるわね」
つぐみ「Ⅴには相当の魔物はいたけど実質不要だし、Ⅳは何故か素で受けきれる威力ですからね。
   Ⅲとクロスに関しては盾職の定番、対応する属性の三色ガードをスキルレベル最大まで上げることか、ゾディアックの三色先見術を1でも振ることになりますね」
葉菜「実際必要なSPは、三色ガードの一色を極めるのに必要な最低SPが15、先見術を一色取るのに必要なSPは16で誤差レベルの差よ。
  ただし三色ガードは一色でも取ると残りを取るのに+20SPでいい。
  対する先見術は全色揃えるのに48SPもかかってしまう。13SPの差はマジででかいわよ」
つぐみ「属性マスタリーが独立してるのが問題なんですよね。
   クロスは属性マスタリーが一元化されたからはるかに取得しやすくなってるけど」
葉菜「Ⅲはサブでも最大までSPを振れるし、サブファラでもガードは極められる。
  クロスでサブにブレス対策を取るなら先見術一択になるわね。
  あと竜の強さはⅣまでみんな同じよ。だからどの竜から先に倒しても問題ない…んだけど、
Ⅲに関しては赤竜がぶっちゃけ一番弱いわ」
つぐみ「弱いというか、強さのベクトルが正統派だから与し易いって言った方が正しいかもですね。
   実際私達二番目に倒したのは赤竜だけど、初回でも良かったかもって思いますね」
葉菜「まあパターンにハメられもするしね、アモロの赤竜
  リリカ達のトップバッターは実際それらの情報を信じて赤竜にしているわ」








「成程…仔細は解った。
卿らにはあまりにも大きな借りがある故、協力を惜しむつもりはない。
とはいえ余にできることは、その居場所や特徴の情報を伝えることしかなかろうが」

リリカはまず、深都のザイフリートの元を訪れていた。
世界樹の声は失われども、彼の元に集積された知識が失われたわけではない。
この地に潜む「竜」のような古い伝承ならば…と考えた彼女の読み通りであった。


ザイフリート兄妹はあの戦いの後も、海都に留まっていた。
人間としては限界以上に生きていたフローディアも、兄妹があるべき場所に収まったことに安堵したか…それまでのエネルギッシュな様子は鳴りを潜め、程なくして後任を定めて「長」の職から退いていた。
そのあとは、こちらも『狐尾』との戦いで敗北し、毒気を抜かれてしまったグートルーネが、その「後任者」にくっついて長の職務を学び、長の役目を引き継ぐつもりのようだった。
そのような状況なので、結局彼も他の百官や町の者たちからの要請を断り切れず、「王権に代わる政治機構が完成し、王の存在を必要としなくなるまでの十年」という条件の上で復位し、新たな政治機構の形成とそれを担うべき人材の発掘と育成、そして周辺諸都市・諸国との折衝に追われる多忙な日々を送っていた。
ザイフリートはその後は政治の中心から離れるつもりのようだが、クジュラやフローディアに言わせれば「彼の人望を考えれば、どのみち王権がなくなろうとも新たな政治機構でその長に選ばれるのではないか」ということではあったが。


それはさておき、深都最大のデータベースともいえる古書館への立ち入りが許されたリリカは、ザイフリートと共に古書からいくつかの情報を得ることに成功する。
そこから浮かび上がる、竜の強大な戦闘能力に戦慄を覚えながらも…彼女はその試練を超えるべく、策を立て始める。

そして…必要な技術の習得に努めることひと月。
彼女はその最初の相手を、灼熱洞に封じられる「偉大なる赤竜」に定めた。




「記録によれば、余の数代前の王の時代に、強大なる赤竜を『要石』の力を以て灼熱の中に封じる、とあった。
かつて真祖を捕縛した際に、オランピアの報告によりそれらしきものが確認されている。
『要石』があるのは灼熱洞の中層、『断罪の檻』の直下に位置するエリア…母龍の営巣地を丁度囲む形で配されているようだ。
竜を蘇らせるのであれば、それを除くしかあるまいな。
彼の竜王は、神に等しい力を持った存在とも伝わる…だが、卿らの力であれば、抗することも叶うやもしれぬ

捜索に向かうその朝、王自らの見送りを受け…最後に彼は「必ず、試練を超えて戻ってくるのだぞ」と厳かに告げる。
勇ましく槍を掲げて応える戦乙女の姿に、深都の猛者達も礼をもって見送った。



~樹海第三階層 B11F~



託された地図の場所へ辿り着くと、果たしてそこには一本の石柱が聳え立っている。
だがその石柱はただ突き刺さっているだけのように見え、何の力も感じ取れない。


リリカ「これかな…ザイフリートさんの言ってた「要石」って」
ポエット「そうかもしれませんね。
    最初来た時には何かと思ってましたけど」
チルノ「でもさぁ、封印されている竜たちってすっごく強いんでしょ?
   こんな石の柱なんかで封印されてるなんて」
ルーミア「多分「要石」っていうのがポイントじゃないかなあ?
    かごめから聞いたことがある…「要石」は地震を起こす龍や大鯰の体に楔として撃ちこまれ、その動きを封じるための石。
    そこに「刺さっている」という事実が重要なんだって」
チルノ「へーそーなのかー」
レティ「あんた達なんか立ち位置が微妙なことになってるわよ…。
   要石というと何時だったか、馬鹿天人が要石を放って博霊神社を倒壊させやがったことがあったわね。
   アレを見る限り、要石は打ち込まれる前こそ力を放ってるけど、打ち込まれてしまえば一見はただの石に変わってしまう…そういうものなのでしょうね。
   だから」

レティはおもむろに、その石をそっと前へ押す。
すると、石はいともあっさりと抜け落ちて倒れ、地面に当たって砕けてしまった。
一瞬の出来事に、思わず身構えてしまうリリカ達だったが…しかし、特に何か起きた気配は感じられなかった。


リリカ「あ…あれ…?」
ルーミア「ひょっとして…ニセモノ?」
レティ「いいえ、違うみたいね。
   わずかだけど、石が抜けた瞬間にわずかな力の脈動を感じた。
   この地図によれば、残り二か所…全て抜けば、はっきりすることよ…!」

レティの言葉に頷き、少女達がその場を離れようとしたその時だった。




♪BGM 「とぼけた仲間達」♪

目線の先、地図を真剣に眺める2りの少女。
この灼熱洞窟に明らかに不似合いなふいんき()を放つその姿はどこか滑稽さすらも感じられる…。


リリカ「あのー」
少女「∑( ̄□ ̄;)ひゃああああああああああああああああああ!!?
リリカ「∑( ̄□ ̄;)うわあ!!
   っていうかなんでそんなに驚くんですか!?」
少女「ごごご、ごめんなさい…!
  ちょ…ちょっとここに…他の人がいるとは思っても…このことは誰も知らないはずなの…ひぎゃあ!?∑( ̄□ ̄;)」

再度悲鳴を上げる、上半身はサラシだけで袴を身に付けた侍風の少女の足を、もう一人の真っ赤なローブをまとった不機嫌そうな少女が力いっぱい踏みつけていた。
その様子からも…どうやら二人が誰かに知られたくない何らかの目的で、この洞窟に入り込んだものであることは容易に察しがついた。

侍風の少女はヒイラギと名乗り、ローブの少女の名はフルベだと、ヒイラギが紹介する。
しかしヒイラギと名乗った少女は明らかに挙動不審なのが見え見えで、その後に続く言葉はまるで要領を得ない。
対照的にフルベと紹介されたローブの少女はそもそも君たちに興味がないのか、ローブを退屈そうに弄んでいる有様である。

なおもポエットが何かを問いかけようとすると、フルベが突然得心行った顔で頷くなり、ヒイラギを強引に引っ張りその場から去っていった…


ルーミア「何だったんだろう…」
レティ「さあてね。
   でもあのヒイラギって子、とにかくウソをついたり隠し事の出来ないタイプみたいね…大方、宝探しか何かが目的なんじゃないかしら
リリカ「うーん…この洞窟には魔物の骨の集積場があったけど…金目のモノって言ってもたかが知れてるような^^;」
レティ「騒ぐほどのことではないんじゃないかしらね。
   そもそも私達の目的は「お宝」じゃない…そうでしょう?
リリカ「…そうだったね!」








つぐみ「ブシドーとカスメってどうしてもエトリアの二人を連想させるんですけどね」
葉菜「おまけにフルベの付けてる飾り物、メガテンシリーズに登場するモコイみたいね。
  Ⅱのガンナーが帽子に付けてるバッジがあからさまにジャックフロスト、こっちはシリーズを代表する有名悪魔だけど、モコイってそんなにメジャーな悪魔なもんかしら」
つぐみ「うーんというか元になった妖怪?それとも神霊?…にしてもそんな知名度ないですよね?
葉菜「その辺は美結ちゃんにでもぶん投げとけばいいわよ。
  さて、赤いのが潜むのは第三階層B11F。
  フラグ出現前にもところどころに散見された『要石』を残らずはっ倒していくことになるわ。
  因みに作中では、エルダーの試練フラグが立った後にギルド長と会話すると「竜は俺(ギルド長)の祖国で石っぽいので封印されてる」という話が聞けるわね」
つぐみ「要石で封じられてるのってナマズっていうなんかそんなイメージもあるんだけど」
葉菜「皆川亮二の「スプリガン」でも読んでればわかると思うけど、要石は龍脈の要所に置いて地震を防ぐとかそんな感じの役割ね。
  てんこちゃんもそんな感じのこと言ってたし。
  ナマズが地震を起こすっていう伝承と結びついて、ナマズは龍脈のなんかとみなされてごっちゃになった感じかしらね」








そしてリリカ達は数時間、フロアをくまなく回り二本の要石を探し出した。
その都度、後ろを振り向くと同じように、ヒイラギとフルベの姿を見かけることに違和感のようなものを覚えたリリカであったが…とりあえずはその思索を頭の隅にやり、リリカは見つけ出した三本目の要石を押し倒す…。





次の瞬間…洞窟全体が激しく揺れ、今まで聞いたこともない恐ろしい鳴き声が響き渡った!
そしてリリカ達は洞窟の一角、溶岩の中に浮かぶ浮島があった辺りから、殺気を孕んだ強烈な熱風が吹きつけてくるのを感じる…!
その強大な気にわずかに気圧されたが、リリカ達はお互いに頷きあい、その熱風の元へと駆け出し始める。
その道中、地面にうずくまり震えるヒイラギと、それを無言で見つめるフルベの姿を発見したが…リリカ達はそんな少女たちに構うことなく、目的の場所へと駆けてゆく。





♪BGM 「神々への挑戦」/伊藤賢治(ロマンシング サ・ガ ミンストレルソング)♪

-我を眠りより呼び覚ませしは汝らか-

強烈な熱波と共に、凄まじいプレッシャーを放つ、緋色の竜。
熱と重圧で意識を吹き飛ばされそうになるが、リリカは気丈にも竜を見据え、凛と言い放つ。


「はい。
あなたが…エルダーに仕える、竜の一柱」

-如何にも。
我は、エルダーの眷族が一柱…「赤竜」なり。
人ならざる者どもよ、汝らは何故に力を望む?
小さき人の子であるならばいざ知らず…中には、我らと同質の力すら感じる者すらいる-

「私達の住んでいた世界が……今、大変なことになっているの。
今の私達の力じゃ、何の役にも立てない…大切なひとたちが消えていくのを、止められない…!
だから私は…私達は、それを阻止するための力が欲しいの!!


その言葉を受け、その偉大なる赤龍が再び咆哮し、その巨大な体をゆっくりと起き上がらせる。

-汝らの瞳は哀しみに満ちている…だが、それゆえに強き心を感じる。
その覚悟、我が試練を受けるに足ると認めよう!
小さく強き者達よ、我が試練を乗り越えて見せよ!!-

咆哮と共に、吸い込まれた吐息が、確実な死をもたらす灼熱に化しつつあるのが見て取れる。
ザイフリートの言う、恐るべき「竜の吐息」の構えに入ると、盾を構えるレティが最前列に仁王立ちする。


「下がって、みんな。
あの攻撃は私に任せて…私の身に付けた守りの技術が真髄、この戦いこそが使うべき時よ!
「ま、待ってよレティ!
レティは冬の妖怪だから、こんな暑い場所にいたら本当はダメなんだってあたいにだって解る!
それに、アレはどう見たって…!」

レティは微笑んで、チルノの頭をわずかに撫でた。

「…心配してくれてありがとうね、チルノ。
でも、この私を見くびってもらっては困るわ。
私のもう一つの通り名、知らないワケじゃないでしょう!!

レティはチルノの制止を振りきり、盾を構えてそこに凄まじい冷気を収束させる…!
それとほぼ同時に、大きく開かれた竜の口から、殺気を孕んだ灼熱の熱波が怒涛のごとく押し寄せる!!


「届かせはしないわ!!」

しかし…その死の灼熱はレティの構えた盾から展開された結界により相殺され、霧散した!
この世界の「聖騎士」が盾の技を極め、その究極の形として竜の吐息すらも防ぐ「ガード」…レティは、この一ヶ月の修練で見事自分のものとしていた。

酒場の常連となっていたさる国の姫が率いるギルド「ロイヤルガーズ」…その熟練の聖騎士であるベンジャミンが、姫の無茶につきあわされて白亜の森の「神罰をもたらす者」と戦うことになった際、この恐るべき魔獣の呼ぶ雷を「ガード」で防いだという話を聞き、レティは彼に師事してその技術の習熟に努めた。
ベンジャミンいわく、この技術を極めれば、受け止めたブレスを自身の力に変えて傷を癒すことすらできるとのことであったが…それでも、この短時間で「完全に防ぐ」というレベルまで習熟したことは驚異的なことだと、彼も舌を巻くこととなった。

リリカは当初、イソギンチャクを制した時のように強力な護符をもってブレスに抗することを考えたが、レティがこの技術をものにしたことで、それ以外の防備を確保する方策にシフトした。


「さあ、今度はこっちの番よッ!
あのブレスは私がすべて止める!あんた達は攻撃に専念なさいッ!」

-小癪な…!-

必殺の吐息を防がれども、竜の気迫は全く衰えない。
しかし、守りの要たる「冬の盾」に勇気づけられた少女たちが、果敢に切りかかっていく。


偉大なる赤き竜との死闘が、幕を上げる。









つぐみ「というわけで赤竜さんですね。
   今回のスペックはこんな感じ」

第三階層特殊ボス 偉大なる赤竜
HP25000 炎完全耐性、氷弱点
ファイアブレス(頭) 全体に遠隔炎属性極大ダメージ
とどろく咆哮(頭) 全体に3ターン全属性攻撃力ダウンと混乱を付与
レッドファング(頭) 全体近接斬属性攻撃、脚封じ付与
ドラゴンビート(脚) ランダムで2~6回近接壊属性攻撃、スタン付与
火竜の猛攻(頭) 3ターンの間自身の攻撃力を大幅にアップ

葉菜「いやーいつもの赤竜さんですね」
つぐみ「実家のような安心感(キリッ
   そして知っての通り、開幕と以降の5nターンで必ず飛んでくるこいつのファイアブレス、無対策でおおよそ600~700前後のイカレたダメージが飛んできますね。
   レベル80ぐらいになればめーやちゃんか私がギリで耐えます」
葉菜「あ、まだ直撃しても生き残る余地あんのね」
つぐみ「はなさん解ってて言ってるでしょ…レベルキャップ未開放だと、少なくとも竜の1体目はそこまでレベル上げられませんし。
   そしてまーブレス以外にもイミフなスキルがいくつか」
葉菜「定番の自己強化猛攻とテンポを落としてくる咆哮ね。
  強化も弱体も補正値がえげつないのよねー」
つぐみ「ブレス以外の攻撃もめちゃくちゃ痛いから、特にクリア直後のレベルで戦おうっていうなら耐性装備は必須よね。
   リリカさん達は装備可能な子全員にスラッシュドメイルを装備させて。そこに圧壊の護符を持たせてカバーしてるみたい」
葉菜「そんでもだいぶ痛くて、レッドファングとか普通に100以上のダメージが飛んでくるわよ。
  これに猛攻が絡むと、ファランクスでもドラゴンビートを3発は受けられないわね。挑発で吸うにしてもだいぶリスキーだわ」
つぐみ「陽炎が吸ってくれるのを期待するか、分身があるなら圧壊×2のシノで分身して挑発か招鳥で吸うのが理想だね。
   ただこっちは猛攻をトリガーさせるためにチルノに弱り目祟り目撃たせまくってたけど」
葉菜「これが本当に効くのよね。
  こいつ、確実ではないにしろ、攻撃系への弱体を入れると高確率で猛攻を使ってくるの。
  しかもブレスターンですらこっちを優先させることがあるから殴り放題よ」
つぐみ「これでだいぶ削ったはいいけど、それでも黄金の鉄の塊でできた雪女が力尽き、むこうもギリギリのラインでブレスターン直前に圧縮絶対零度で3000程度削って何とか勝利。
   詳しいデータはこちら残してないけどTake数は2で、初回は混乱祭りからブレスが防げず見事焼き払われたそうです^;」
葉菜「つぐみちゃんたちは?」
つぐみ「うちもTake3ぐらいかなあ。やっぱ混乱は害毒ッスわ。
   でもこっちの金竜ほどめんどくさくないからひょっとすると金竜より楽かも。スキルはこんな感じですね」




つぐみ ファランクス/プリンセス
ガーディアン5
盾マスタリー★(10)
槍マスタリー4
ラインガート1
ファイアガード★(10)
フリーズガード★(10)
ショックガード★(10)
ディバイドガード1
ブリッツリッター1
リバイブ★(5)
リィンフォース3
王たる証5
防御の号令3
予防の号令1
エクスチェンジ1
リニューライフ1
クイックオーダー1




明夜 ウォリアー/バリスタ
常在戦場★(10)
剣マスタリー★(10)
アベンジャー3
ブレイク3
ラッシュ5
ブレイドレイヴ★(10)
狂戦士の誓い5
チャージ★(5)
ウルフハウル5
正射必中★(5)
エクステンド1
TPブースト★(10)




透子 プリンセス/モンク
王家の血統★(10)
リィンフォース★(10)
王たる証5
攻撃の号令5
防御の号令5
ファイアアームズ1
フリーズアームズ1
ショックアームズ1
エミットウェポン1
リセットウェポン1
予防の号令1
覇気の号令5
庇護の号令1
リニューライフ1
クイックオーダー4
行者の功徳3
血返しの法3
行者の功徳1
ヒーリング2
バインドリカバリ4
リフレッシュ4
リザレクト3




操 バリスタ/ゾディアック
ジャイアントキル★(10)
弩マスタリー★(10)
正射必中★(5)
エクステンド1
ヘビーショット1
ファイアバラージ1
アイスバラージ1
サンダーバラージ1
特異点定理★(5)
炎マスタリー★(10)
氷マスタリー5
雷マスタリー6
リターンエーテル★(5)
エーテル圧縮★(5)
ダークエーテル★(5)
TPブースト1




瑞香 シノビ/ファーマー
煙りの末★(10)
短剣マスタリー★(10)
潜伏★(10)
軽業1
首切2
影縫3
飯綱7
鷹乃羽1
忍法含針3
忍法水鏡3
忍法撒菱5
忍法陽炎3
忍法分身★(1)
忍法招鳥1
忍法猿飛3
忍法雲隠3
収穫マスター1
探知マスター3
帰宅マスター★(1)
アメニモマケズ1




つぐみ「二柱めの竜なんでレベルもかなり上がってるしレベルキャップも上がってるけど、どっかの青かったり黄色だったりする奴よりはやりやすくはあったよ。
   火力デバフなかったけどキツネチャンに弱り目取得させてても良かったかもね、分身で手数増やせるし」
葉菜「でも裏返すとそんな搦手なしでやったってことよね。
  確かにこのレベルなら納得はできるけど、かといってそんなに簡単な相手でもないと思うけど」
つぐみ「引退ボーナス込みとはいえレベル56とかで倒しに行く方もどうかしてますって。
   あとエクスチェンジが結構便利だったかも」








焼けつくような傷の痛みと、薄れゆく意識の中で彼女は見ていた。

咽返るような腐臭の中で、彼女は何かを護っている。
悍ましく蠢く蟲を遠ざけるような雪の繭、その中に一人の少女を庇いながら。

過去の記憶と現実とのはざまで、彼女はうわ言の様に何かをつぶやく。
そして…目の前で竜に踏みつけられ、血反吐を吐く少女の姿と…過去のある光景が重なった瞬間。

彼女の中で、何かのタガが外れた。


意識を取り戻したルーミアが見たのは、レティから放たれた凄まじい冷気の嵐が、赤竜の傷ついた全身を容赦なく切り刻む光景。
しかし、満身創痍のリリカが死の猛吹雪の中、赤竜の足元に倒れ伏していたことに気づいた彼女は、考えるより前に飛び出していた。

彼女は自分が為すべき役割を瞬時に理解した。
レティの攻撃を止めてはならない。
だが…このまま続ければリリカはただでは済まないだろう…であれば!

己自身を叱咤するかのような咆哮で、全身に魔力を纏い、死の極光の中を飛ぶ。
その背には、総てに滅びをもたらす漆黒の翼。
その極低温の暴風を受けた勢いのまま加速し、蹈鞴を踏もうとしていた竜の足元からリリカの姿を捉える。

飛翔する中で、彼女の翼は純白に染まっていたことに気づいた者はいただろうか?
最後の一撃を繰り出した彼女であれば、あるいはそれを見ていたかも知れない。



「偉大なる赤竜、覚悟ぉおっ!!」


一閃。
天使の力を凝縮した鎚の一撃が、凍りかけていた竜王の頸を捕らえ、砕き散らした!
赤竜は大きく眦を割き、天を見上げ…そして、厳かに告げた。





-見事…汝らは、我が試練を超えた…!
受け取るが良い…我を制した、その証を!!-


そして横たわった赤竜がゆっくり瞳を閉じたそのとき…真紅の巨体が突如燃え上がり、渦巻く炎と化す。
その炎は球形に収束していくと、やがて緋に輝く一つの宝玉として実体化する!





「これは…!」

ポエットの掌に収まり、燃え立つようなオーラを放つ宝玉から、赤竜の声が響く。

-我が試練を制した証にして、我が力の具現である「ドラゴンハート」。
それを得たことにより、汝らはさらなる高みを目指す力を得ることが出来る-

その言葉と共に、彼女は己の奥底から凄まじい力が沸き上がるのを感じる。
その圧倒的なエネルギーは、自分ばかりでなく…倒れ伏した仲間たちの傷ついた肉体すらも即座に癒していくのが見て取れる。

「本当だ…まるで、力が自分の心の奥から湧きあがってくるかのよう…!」

-汝ら、もしさらなる力を望むなら、残りの二柱を探し、その試練を超えるがよい。
「氷嵐の支配者」は白亜の森に。
「雷鳴と共に現れる者」は垂水の樹海に。
我の試練を超える者が現れた事感ずれば、ほどなく二柱も目覚めるであろう…!
-

その声が止むとともに、竜の亡骸も、一枚の逆鱗のみを残して幻のように消え失せていた。
ポエットはそれを拾い上げ、倒れ伏したままのチルノをレティが介抱し、街へ戻ろうと「アリアドネの糸」を掲げようとした、その時であった。





♪BGM 「とぼけた仲間達」♪

「ここ!ここで間違いないよフルベ!」
「…大正解」


なんとヒイラギとフルベが、この「赤龍の間」に平和そうな顔でノコノコと入ってきた!

ヒイラギはリリカ達の存在も気にした風ではなく、地図と見比べながらこちらを指差し、はしゃいだ様子でフルベに話しかけている。
明らかに雰囲気ぶち壊しの二人の様子を、傷ついたレティ達の回復の傍ら伺っていると、2人は荷物入れからスコップを取り出すなり、さっきまで赤龍が鎮座していた場所を掘り始めた。

呆気にとられていたポエット達であったが、それでもなんとか二人の手を止めさせ、詳しい事情を問いただそうとする。
最初は難色を示した2りだったが、どうやらフルベはその異様なふいんき()に気がついたようで、ヒイラギを小突いて促す。
するとヒイラギは地図上の、赤い印が付いた場所を指差す…確かにそれはここを示していた。


「一体…この地図は何処で?」
「え、その…あの…」
「…言っとくけど、ここには目も飛び出るほどの価値があるようなお宝なんてなかったわよ。
その代わり、神代の時代からこの地で眠っていた、怖い怖い偉大な竜がいたわ。
たった今の今まで、私達はここでそいつと戦っていたの」
「∑( ̄□ ̄;)な、なんだってー!!!」

詳しく聞くと、フルベの父親は高名な占師だそうで、つい先日エルダーからの神託を受けこの地図を描いたというのだ。
それを宝の地図だと思い込んだフルベとヒイラギは、勇んでこの地に宝探しに来ていたのだが…満身創痍のリリカ達の姿と、周囲の砕けた床から、その恐ろしい戦いを覚ったようだった。
そして顔面からすっかり血の気が引いたフルベは、状況が今歩とつの見込めず混乱の極みにあるヒイラギの手を強引に引くと、脱兎の如くその場から走り去っていってしまった…。


「な…なんだかなぁ^^;」
「なんつーか、行動理念がほとんど、聖輦船騒動の時の霊夢と魔理沙そのものだわ。
空気が読めてないというか、行き当たりばったりというか…平和な連中ね」

今、幻想郷で苦境にあるだろうその名を聞いた瞬間、ふたりの表情が曇る。
レティはその肩を叩いて励ます。


「あの連中のしぶとさは私達が一番よく知ってるはずよ?
特に魔理沙なんて、殺したって簡単に死んでくれるような奴じゃない。
さ、行きましょう…まだまだ、試練は始まったばかりよ!」
「うん!」

糸球を掲げ、少女たちは次の戦いに備えるべく…その場を後にした。