-狐尾幻想樹海紀行2-
その6 「中空地帯のなんやかんや」
諏訪子「( ̄□ ̄;)あるぇーなんでタイトルコールがこんなところにー!?
ここ、このパターンはもしや」
静葉「最早確認の必要もないみたいね、これ見てよ(呆れ顔」
-すんません今回は全編小ネタ集でお願いしますわちき席外しますごめんなさい>< かごめ者-
静葉「私達の反応を予想できたうえできっちり逃げ打ちやがったわねあの子…(#^ω^)」
諏訪子「ッんの野郎(#^ω^)
確かに捨てるには惜しいネタはいくつかある…確かにいくつかあるんだが」
静葉「やれやれだわね。
仕方ないわ、何処かで必ずこういうパターンはあると思ってたしね、諦めたほうが吉だわ」
諏訪子「おまいさんの切り替えの早さは本ッ当に妬ましいレベルだな…」
静葉「中空域を飛べるようになったから、そうなると今までいけなかった所にも行けるようになるわね。
主に第一大地だけど」
諏訪子「獣の泉の近くにある「はぐれ熊の茂み」だな。
でもここの周囲は鳥さんが巡回していらっしゃるのでなかなか近づくのもしんどいが」
静葉「圧倒する巨翼ね。
この時点でもオーラは黄色なんだけど、何気にカンガルーのオーラが青くなっても暫くこいつのオーラは赤かったわね。
どんだけ強いのかと」
諏訪子「試しに突っ込んだら4ターン目の大砂塵で一瞬でhageたわな。
生き残っても命中ダウンとか意味解らん、どないせぇと」
静葉「先の方のネタばらしになるけど、こいつ狩ったのは第二迷宮ボスに挑む本当に直前だったわね。
レベル幾つになってたっけ、どう考えても第二層くらいはとうにクリアしてなきゃいけないレベルだった気が」
諏訪子「28だぜ28。おぜうだけ27だったかも知れんが。
いや確か、これ後の方小話で触れるけど夜雀だけ29あったよな」
静葉「腕試しに大地FOE狩りとか言う馬鹿をやってた産物よね。
確か羊稀少化して狩ってなかったっけ?」
諏訪子「羊は金糸衣笠茸が総てのキーワードになるからな。
自分達で食って催眠耐性上げて、羊に食わせて稀少化。
無駄がないと言えば無駄がないが」
静葉「このとき狩れてないのってカマキリだけでしょ。
大分追い詰めてはやったけどそこからの大鎌乱舞が本当にどうしようもなかったと言う」
諏訪子「そんなこと言ったらディノゲーターもだからな。
ぎりぎりまでミスティアが神がかったかのように回避に回避を重ねてなんとか競り勝ったと言うね」
静葉「なんつーか、初めて扇の舞のありがたみが」
諏訪子「なければ一縷の望みもありませんでしたな」
諏訪子「そしてこの茂みといえばアレだ、このクエスト」
静葉「まーこの辺りに関してはもう詳しく語る人も多いでしょうけど…ちょっとマジであざといと言うかあざと過ぎると言うか」
…
…
♪BGM 「香る樹香花」(東方緋想天)♪
看板娘「あ、“
あのねあのね、私をはぐれ熊の茂みっていう迷宮に連れて行って欲しいんだ!!」
穣子「はぐれクマーの茂み…って、此間見つけたポイントだよねえ」
ほむら「怪鳥と竜巻が乱発している地点ね。
正直、入る方が大変な場所ではあったけれど」
早苗「うーん、私達だけならあの赤いクマーくらい問題ないのですが…ところで、何故そんなところへ?」
娘「冒険者御用達アイテムのネクタルの材料になる小さな花がいっぱい採れるんだって。
納品してもらってもよかったんだけど必要な数が多いからね…社会勉強も兼ねて行って来いって親方が。
私いっつも店番だったから、実は迷宮に行くのすっごい楽しみにしてたんだぁ」
早苗「そ、そう簡単に言うけど」
娘「そのクマーの大ボス倒したのだってキミ達なんでしょ!?
私達があつらえた…と言ってもほとんど全部親方のだけど…逸品を持って戦うひとたちの姿も見ておきたいんだよ〜。
…もしイヤだって言うんだったら、何時か「預けた」コンラートの甲冑の代金、ここで請求しちゃおっかな〜?(ニタァ」
早苗「( ̄□ ̄;)えちょ」
レミィ「さっきから聞いてればねえ…あなた、迷宮というモノを甘く見ているんじゃないかしら?
いくら私達でも迷宮探索は命懸け、自分たちの身を護るのだけでも精いっぱいよ。
そこへ御世辞にも戦闘ができそうにもない女の子を連れt」
穣子「うむ!第一級秋神として奉納された礼に対して応えるのが務め!!
ついてきても良いぞ!!!(ででーん!!」
娘「いよっしゃああああああ封印が解けられたー!!\(^0^)/」
早苗「( ̄□ ̄;)えちょ穣子さん!?」
レミィ「( ̄□ ̄;)こらそこの芋神何言ってやがるのよ!?
この子にもしもの事があったらあなた」
穣子「いたいけな迷える子羊の望みを聞いてやれずして何が神だ!!m9( ゚д゚ )
そして何べんも言わすな!ここでは私がリーダーなんだから私のいう事を聞けえええええ!!」
レミィ「こ、こ、この野郎…どうなっても知らないわよ!」
…
♪BGM 「迷宮T 垂水ノ樹海」(SQ3)♪
そんなこんなで娘の頼みを断り切れず、第一級秋神とその愉快な下僕達は娘と共にクマーの茂みにやって来たわけですわ?お?
それにつけても純粋な少女の願いを果断にも聞き届けた穣子神のすばらしさに改めて鬼なったすごいなーあこがれちゃうなー
穣子「ナレーションは良く解っているな後で天然マイタケをおごってやろう」
H切れでいい(キリッ
アワレなかりちゅまやフルーツ巫女はよく爪の垢を煎じて飲んどくべきそうするべき
レミィ「…こンの無意識ッ…!(ビキビキ」
早苗「レミリアさん抑えて抑えて^^;
こうなったら仕方無いです、穣子さんはお世辞にもメイン盾張れるような方ではないですし、彼女は可能な限り私達でどうにか守りましょう。
幸い此処にいる連中は、ほぼクマーのKINGが居たフロアと同じ連中ばかりですし…」
みすちー「(青い顔で早苗の袖を引く)で、でも…あんなの居たっけ…?」
早苗「へっ!?」
暴れ野牛が粘着してきた!
しかし暴れ野牛はアワレにも様子を見ている…。
レミィ「…見たことないわね。
しかもなんかヤバげなふいんき(ryが」
早苗「私達だけなら試しに当たって見ることもできますが…」
穣子「(超ガンつけてる)ああん?何見てんだコラ牛?
家畜の分際でこの私に喧嘩売るたあいい度胸してんじゃねーの?
いっぺん死んどくかああん?」
穣子は盾で挑発するかのようにパワーブレイクをかましている…。
レミィ&早苗「( ̄□ ̄;)先に手を出す馬鹿がいるかあああああああああああああああああああ!!!(ガビーン!!」
暴れ野牛はぶち切れて大暴れの構え!
穣子は轢き逃げされた!!
穣子「( ̄□ ̄;)ぐはあ!!」
娘「( ̄□ ̄;)ぎゃーこっちに来たああああああ!!」
逃げ遅れた娘に野牛の角が到達する間一髪、その足元を無数の矢が襲いかかり動きを止めた!
ほむらのレッグスナイプでアワレにも牛は足を縛られた!!
ほむら「…もう一発!」
ほむらはついげきのチェイスバインドの構え!
破壊力ばつ牛ンの一撃!
暴れ野牛をズタズタにした!!
ほむら「危なかった。
怪我はない?」
娘「(腰を抜かしている)ふぇぇぇ、怖かったよぉ…私…しぬかとおもいましたぁー><」
みすちー「穣子さんはー…ああ、聞くまでもないか^^;」
穣子(アワレにも吹っ飛ばされ近くの沼地に頭から刺さっている)
…
途中アワレな魔物たちを斬っては捨て貼ってはぶっ飛ばしながら件の花が咲き乱れる茂みの奥にやって来たわけですわ?お?
娘はあもりの花畑っぷりに仔犬のようにはしゃぎまわりながら花を回収しまくってたらしいぞ?
娘「ふぅ…これでよしっと。
ウヘヘ、たくさん採れたねぇ!もう持ち切れないよぉ!
…これだけ、持って帰れば親方だってきっと私のこと…」
娘は少しさみしそうな顔をしたけど、すぐに気を取り直して立ち上がったんですわ?
娘「無理を言ったのに連れてきてくれて本当にありがとう!
みんなのお陰で小さな花…予想以上にいっぱい採れたよ!
さぁ、私たちの街に帰ろう!」
…
-タルシス街門-
はぐれ熊の茂みでの探索を終えた君たちは少女を連れ、タルシスの市街へと帰ってくる。
娘「ふぇ〜…疲れたよぉ〜。
…迷宮は怖いところだったけど、キミたちが護ってくれたおかげで小さな花がたくさん採れたよ。
私にも冒険者の気持ちっていうのがちょっとだけ、わかったかなぁ…親方の言う通りいい勉強になったよ」
ほむら「そう…あなたにも怪我がなくて良かった」
娘「うん!
それにキミ…ほむらっていったっけ。
あんなでっかい魔物を颯爽と射止めた姿、とってもカッコ良かったよ!」
思ってもみなかった一言に目を丸くして口ごもるほむらを余所に、娘はカゴ一杯の小さな花を抱えて駆け出す。
「今回は本当にありがとうっ!また一緒に冒険しに行こうね!」
最後に振りかえり、明るい声でそう手を振るとそのまま雑踏の中へと消えていった…。
レミィ「のん気なものねえ…まあ、でもたまにはこういうのもいいかもね」
みすちー「私も楽しかったよー^^
まあ、あの野牛の時は本当に肝を…あっ」
顔を見合わせる四人。
「穣子(さん)迷宮に忘れて来た…(;´Д`)」
穣子(まだ沼に刺さっている)
…
…
諏訪子「おあとがよろしいようで」
静葉「ここまでもとの会話シーンの原形止めてないと何が何やらね。
因みに娘の「ウヘヘ」笑いと、魔物に襲われた娘を颯爽と救ったのがほむらというのは事実よ」
諏訪子「まどマギ前半シーンのほむらのイメージだと、こういうシーンがすっごく絵になるんだよな。
まあほとんどの場合対象はまどか限定なのが珠にキズだが。
…つか「ウヘヘ」ってなあ」
静葉「まどかで思い出したけど、まどか役悠木碧女史の「ウェヒヒヒ」なんてのもありましたっけねえ」
諏訪子「言われるまで解らんけど、言われるとそうとしか聞こえねえんだよなアレ。
あ、そう言えば襲ってきた中にマジで野牛が居たような気がしたけど、あのイベントって敵固定だったっけ?」
静葉「さあ…噛みつき草とカメレオンだった気もしなくもないけど、メモには残ってないわね。
因みにここでもらえるのはバースト技のホーリーギフト、巻物の名前が「富める兎の心得」って…てゐかしら」
諏訪子「あいつかー?
無いといいきれないところが怖いなあ^^;」
静葉「あと完全にこれの入手で羊狩りに拍車かけてたのは事実よね」
諏訪子「FOEの与しやすい奴はじゃんじゃんレア化させて狩るのが経験値稼ぎの鉄板みたいだしな。
羊は面倒なのが全体催眠だけだし、そのクセ貰える経験値がレア化+ホーリーギフトだけで前作のスキュレーにも匹敵する(およそ48000)数字だからなあ、だからみんな狙うんだろうが」
静葉「レア化させると単体でも被ダメージは馬鹿にならない破壊力だけどね」
静葉「中空域への進出、というと後これかしらね」
諏訪子「赤龍さんかー」
静葉「今回の三龍は迷宮じゃなくて、すぐ街に帰れる大地での戦闘になるのが地味に有難いところじゃないかしら。
もっともその関連はクリア後ってことになるんでしょうけど」
諏訪子「それまでの龍は通り道で大地にいる間だけ拾える「結晶」アイテムの発生源であるってことと、接近を許すと竜巻同様全員瀕死+収穫食料ロストという非常にきっついペナルティがねえ」
静葉「前作で鯨に挑んだ時みたいに修理代が必要じゃない分はマシだと思うわ」
静葉「第二大地の中空域だと蛾の森ね。
あと騒がしい沼地」
諏訪子「ディノゲーターがなあ、森をガードする性質があると言うのが本当にコンチクショウで。
こいつしかも好物がないんだけど…」
静葉「その言い方は正確じゃないわね、そいつの好物は特殊過ぎる。
崖の端にいる羊を喰い物で釣ってワニの行動範囲内におびき寄せ、羊を食わせるのよね」
諏訪子「これは本当に滅茶苦茶というか…実はこいつダメ元で挑んで狩ったんだよね。
レミリアの防御陣形と早苗のパーティーヒールフル回転で」
静葉「冒頭でも述べたけど、最後は本当に扇の舞が活きたわね。
後半で三回連続でかわして、最後生き残った時点で双方ギリギリ。
なんとかダブルスラッシュから追撃に一発入れて完全撃破という…なんというかみすちーどうしちゃったのかしら^^;」
諏訪子「ここまで来ると本当にポケモンのウサ晴らしを世界樹でやってる的な勢いだな。
この時点で実は圧倒する巨翼も狩ってるんだが」
静葉「これだけやれてカマキリが狩れてないというのも面白い話よね」
諏訪子「だね。こっちもなんとか防御陣形回転させたけど大鎌乱舞を5ターン連打されてそのうち2回はまんべんなく全員に飛びやがったからな、あんなのどうしろってんだという」
静葉「先のネタばらしになるけど、斬撃の護符を装備させてもなお二回くらい大切断で盾役と早苗がピンポイントで叩き斬られてるしね。
ここまで来ると本当に嫌がらせとしか」
諏訪子「確かに安全に狩れるようになったのはそれ以降だからな。
こいつのドロップ品といえば前作は刀になったけど、今回作れる剣はマジでコストパフォーマンスが良過ぎる。
7500エン僅かに切る程度の値段で攻撃力85、しかもスタン×2とかなんなのばかなの」
静葉「攻撃力84空きスロ3のワルーンソードが8700エン位するのになんなのかしら、これ。
これが手に入る頃にはカマキリは比較的楽に狩れるから、どう見てもカマキリの方を買うでしょうに」
諏訪子「空きスロの多い武器はそれはそれで役には立つんだけどな。
今回は鍛冶に別料金かからない仕様なのが本気で有難い」
静葉「それに触れるのも本ッ当今更だわね。
そう言えば、此処の森に関するクエストの孔雀亭のママさんが」
諏訪子「あーこれか、ビッグモスのタマゴ取って来いってやつ」
静葉「流石に私だってそんなの嫌に決まってるじゃない。
これやったの誰なんでしょうね、みすちー辺りは平気そうだけど」
諏訪子「案外早苗かも知れないなあ。
あいつ以外とそう言うの得意(注:狐設定による常識にとらわれない脳内設定」
静葉「…あの顔で結構アグレッシヴなのねあの子。
にしても、此処まで怖がらなくても、とは思うけど」
諏訪子「いやー、タマゴ発見した時のメッセージにも「名状し難い色の」だの「おぞましき」だの、実にクトゥルーな表現がこれでもかってほど引用されてたからなあ。
普通の人間でもSAN値がダイスの目に関係なく残り全部吹っ飛ぶような光景である事は間違いなさそうだが」
静葉「何気に「名状し難い」っていう表現は良く目にする気はするわね。
触手成分も決して少なくないし、このスッタフクトゥルー好き多いのかしら」
諏訪子「かもなあ。
それに悪魔絵師金子一馬を擁する天下のアトラス様のゲームだしな、意外と忘れられがちだけど。
こっちは日向悠二が前面に出てるから」
静葉「ひむかいさんだし仕方がない(キリッ
踊る孔雀亭は前回の羽ばたく蝶亭とは全く雰囲気ががらりと変わってるのが印象的だけど」
諏訪子「上のカットからも解るだろうけど、なんつーか高級パブみたいなふいんきで、どう考えても辺境の街にあるような店じゃねえ感が本当に」
静葉「ママさんのキャラクターはまあ、蝶亭のインパクトがでかすぎるからもう比べる以前の問題だけど^^;」
諏訪子「蝶亭のママさんはマジで規格外過ぎるからなあ。
今回だと宿の女将さんか?
あのひと竜の話聞くと「どうやって料理するのかしら?」とかさらりととんでもねーことほざきやがるし」
静葉「あー、あったあった^^;
女将愛用の肉切り包丁、実は後半クエストの報酬でもらえると言うウワサがあって」
諏訪子「マジかそれwwwwwww」
諏訪子「しかしこのセリフを見ればなかなか侮れないママさんではあるが」
静葉「酒場ってのは交流場だしねえ、戸口を立てきれなかったような噂話はすぐに集まって来るものよ。
これはウロビトの里にたどりついてじきの会話ね」
諏訪子「戸口が立てられぬと言うなら、辺境伯依頼のクエストの後に聞けるママさんのコメントも深いよなあ」
静葉「あの辺境伯、見た目いかにも黒幕っぽそうなイメージだけど、意欲もあってなかなかの好人物である事がわかるわね。
所謂悪代官みたいなのも少なくはない、とも言ってたけど」
諏訪子「でもなあ、このママさんの右側の台詞、どっかで見たイメージが。
金と力を持つ者の〜、って奴」
静葉「うーん…そんなのは似たようなセリフ何処にでも出てくるしねえ」
静葉「とりあえずこんなところにしておきましょうか?
どうせ次になればかごめは何食わぬ顔で戻ってくるんでしょうし」
諏訪子「だったら次こんな機会があったら私達が抜けりゃいいじゃん。
どうせあいつの事だろうから、文あたりをどっかからとっ捕まえてくるのかもしれないがな」
静葉「どうかしらね…よく悪しくもあの子の行動は読めない」
諏訪子「ヒマな奴で決して話ができないわけでない奴はごまんといるしな。
今回何気にルンマス候補に挙がっていたさとりとか」
静葉「えっそんな裏設定あったの」
諏訪子「私か雛かさとりってところまでは考えてたらしい。
たださとりを連れだすと無意識がバカやりださなくなるというデメリットがあるから止めたんだとか何とか」
静葉「それデメリットなのかしら…今回もなんかナレーションやってやがったし…つか意外とあの子と穣子波長合うのね、後のち厄介なことにならなきゃいいけど」
諏訪子「さてなあ、なにしろ前回も「瀕死になったら容赦なく叩き斬れ」って言いやがって速攻で介錯をマスターさせるよう仕向けたことだしな」
静葉「そういえばそうだったわね。
まあいいわ、兎に角今回はここまで、此処からは微妙に小話部分のメインに触れましてー」
諏訪子&静葉「ばーいせんきゅ><ノ」
…
…
-丹紅ノ石林 蛾の森近隣-
ホロウにさらわれた巫女を救うべく、さらなる力を求める為穣子たちが目指した「蛾の森」。
そこは天敵となる草食系の魔物が近づかぬ、植物の魔物の蔓延る地であった。
その理由こそ…。
「来るわよ!」
レミリアの指示よりもわずかに早く、少女達を襲う強烈な爪と牙の容赦ない攻撃。
フォートレスの守りをもってしても完全に防ぎきれないその怒涛の攻撃が、彼女たちの体力を容赦なく奪い取り、消耗させてゆく。
既に全員魔力は残り少なく、早苗の回復用スペルも回転が間に合わない状態…消耗した魔力を回復させる薬湯も、意識を失った者を気つける為のネクタルも既に底をついている状態だった。
この嵐のような暴虐の行為を少しでも阻害する為、ほむらは気を失う最後の瞬間までその肩口の急所を狙い続ける…が、ダメージの蓄積は確かにあるものの、その本来の役目…目の前の怪物の腕の機能を完全に失わせるにまでは至らない。
一瞬、憔悴しきったレミリアの視線に頭を振る。
怪物の名はディノゲーター。
古くからこの近辺を縄張りとし、森に近づく草食獣を片っ端から餌食にしてきた、獰猛極まりないワニの魔物である。
その体躯はワニというよりはむしろ、肉食恐竜というに相応しい、恐るべきパワーを誇る恐るべき生物。
紫色に硬質化した皮膚は、並みの一撃では切り裂くことも困難。
その怪物を、少女達は死闘の末なんとか限界まで消耗させる事が出来た。
しかし…あと一息というところで、最後の抵抗とも言うべき無差別対象の尾撃が、悪あがきの一撃を突きたてた穣子も、魔力を限界まで消費して動くのもままならなくなった早苗もそれを庇うレミリアごと吹き飛ばした。
運良くその範囲外にいたミスティアの目には、その振り下ろされる腕にも一歩も退くことなく、虚勢とはいえ最後まで弓を引き絞り、その顔面めがけて矢を放つとともに吹き飛ばされる…ほむらの姿を捕えていた。
「あ…あ…そんなっ…!」
一瞬のうちに仲間を総て戦闘不能に追い込まれ、ミスティアは恐怖に目を見開き、後ずさりする。
向こうも限界である事は、無数の傷から流れ落ちるどす黒い血がよく物語っている。
動けなくなった彼女らを捕食すれば、少しは回復も望めようと言うところ、このケダモノはなおも立って動いているミスティアを最後の標的として認識していた。
(立っている…のは…わたしひとり…!)
全身の震えが止まらない。
彼女の耳には、自分の歯が滑稽なくらいカチカチと音を立てているのが聞こえている。
嫌な汗も止まらない。
その彼女に、ディノゲーターは息も絶え絶えになりながらも、じわじわと距離を詰めてくる。
「や…やだ…こないで…!」
戦慄くようなその声もまるで意を介さず、形容し難い唸り声を上げつつ、血まみれの怪物が彼女を追い詰めてゆく。
靴が小石を噛む音と、背に吹き付ける風にはっとして、ミスティアが背後を振り向く。
背後には、断崖絶壁が迫っていた。
最早退路はなかった。
恐怖に絶叫を上げようとした彼女に、それを射程内に収めたディノゲーターの剛腕が大きく振りかぶられる……!
音も風も感じない、その永劫とも思える一瞬間の中で走馬灯のように様々な風景が去来する。
初めてスペルルールの外に出てバトルをしたときの、本気の鬼の一撃。
師である慧音と袂を分かった時に感じた、彼女からの最期の温もり。
そして、
自分が同じように、恐怖に震え逃げることしかできなかった、里崩壊の危機のその瞬間。
あの時と同じ、一瞬の幻かと思った。
目の前の魔物と自分の前に、漆黒の翼を広げて現れたその少女が、悲しい表情で笑う。
-みすちー、私だってこわいモノはやっぱりこわいんだ。
恐ろしいと思う事、何かをこわいと思う事、そんなモノは追い出しきることなんてできない。
恐怖を捨てる事は、怖いと思うことから逃げちゃう事と一緒なんだよ-
「…ルーミア…?」
-思い出して。
みすちーが本当は、何が一番こわい事なのか。
それがなんなのかが分かれば…もっと違う世界が見えてくるはずだよ-
暗転した世界が元に戻る。
無意識のうちに、彼女はこの時初めて剣を取った。
それと同時に、振りおろされた腕の内側へと猛然と突っ込んでいく!
不意を突かれたディノゲイターは、攻撃をかいくぐられたばかりでなく、懐を大きく引き裂かれて苦悶の悲鳴を上げる。
苦し紛れに繰り出された尾の一撃も、ミスティアは紙一重でふわりとした動作で身をかわす。
それはまるで、ひとひらの羽毛のように。
(そうだ)
さらに彼女は、渾身の力で叩きつけられながら不発に終わった尾から、その背を一気に駆け上がる…!
(私が一番こわい事。
穣子さんやレミリアさん、早苗、ほむら…仲良くなったみんなが居なくなる事…。
…ううん)
ディノゲイターは彼女を振り落とそうと暴れるが、その左肩にまたがったミスティアはその頸筋…ほむらが最後に射た一点めがけて大きく剣を振りかぶる。
(その事だって恐ろしい。
みんなのうちの誰かが居なくなってしまったら、悲しいし苦しい。
だけど…!)
全身を襲う鈍痛。
(だけど、それよりも!)
ディノゲイターも渾身の力を振り絞っての尾の一撃が、彼女の身体を強烈に打ちすえる。
意識が吹っ飛ばされそうなその一撃にも、ミスティアは歯を食いしばって耐えている。
「うああああああああああああああああああああああああ!!!」
自分の身体の何処からこんな音が出るのか、と思うくらいの咆哮と共に、その切っ先が渾身の力をもって怪物の首の一点をめがけて突き下ろされる!
ディノゲイターに取って間が悪かったのは、彼女に叩きつけたその尾の一撃が…それにさらなる加速を与えてしまった事。
意識を半分失いかけながらも、ミスティアは吹きつけるどす黒い血を全身に浴びながら思う。
(もうなにもできないでおわりたくない…なにもしないでおわりたく…ない…!)
彼女の意識はそこで途切れた。
…
「気がついたかい?
…まったく、無茶する子たちだねえ」
どのくらい時間が経っていただろうか。
聞き覚えのある声にハッとして、ミスティアは飛び起きる。
その声の主…幾度か交易品の交換をした女冒険者ウィラフは、苦笑しながらも飲み物を差しだしてくる。
辺りはすっかり日が落ちており、焚かれた火の明かりを頼りに周囲を見回すと、手当てが済んだと思しき仲間たちの姿と…暗がりに、もう二度と動く事のない怪物のなきがらもあった。
「まさか、今日びの冒険者でディノゲイターに挑む連中がいるなんて思っても見なかったよ。
ましてや、そいつを倒しちまうなんて。
あたしの親どころか、じいちゃん世代にもいたかいなかったかだよそんなの」
「わた…し、いったい…!」
起き上がろうとして、全身を走る激痛に顔をゆがめるミスティア。
「まだしばらく横になってるといい。
一応、タルシスに連絡入れたから、じきに助けが来る。
あたしの気球じゃとても大人数は運べないし…でもあんた達には納品の品を分けてもらったり、魔物に襲われているのを助けてもらった恩義がある、このくらいの事はさせてもらうよ」
微笑む彼女に促されるまま、再び体を地面に預けるミスティア。
「わたし…にげたくなかった。
さいごまで…なにもできないで…いたくなかった…」
「……うん。
わかるよ、そういうの。
…結果として、あんたは生き延びたんだ」
焚火の音を子守歌に、その意識はまどろみに沈む。
その表情は、安らかだった。
意識の途切れるその瞬間、脳裏に浮かぶルーミアが、笑いかけていたようにミスティアには思えていた。