「…なるほどね…世界樹の話が、そういう風に伝わっているのか…」

ウロビトの里から帰ってきた狐尾の面々は、偶然街に戻って来たばかりらしいワールウインドと再会する。

飄々とした風体の、一見冴えないこの男であるが、その言葉や態度には謎の部分が多分にあり、良くも悪しくも他人を疑わない穣子やミスティア、基本的には人の好い早苗などは兎も角としても、レミリアとほむらは彼の言動をいまひとつ信用している風ではない。
特にレミリアは「八雲紫を男にしたら間違いなくこうなるだろう」と公言してはばからないほどである。

この時も、レミリアが制するのも意に介さず、穣子は幽谷…正確に言えば、ウロビトの里での話を包み隠さず彼に話して聞かせていたのだ。

普通の人間が相手であれば、恐らく彼女らの話を全く意に介す事もなく一笑に伏すか、あるいはその「世紀の大発見」とも言える事実に目を丸くするかの反応を示すだろう筈…ところが、大方の予想に反し目の前の男の表情は険しい。
いつも飄々として朗らかな顔から温かみがなくなり、冷徹そのものの彼の表情に穣子たちは息を飲む。

その表情の変化に気付いたのか、不意にワールウインドは普段の調子で話し始めた。


「…おっと、ごめんごめん。
悪かったね難しい話しちゃって。
これ、お礼。良かったら使ってよ」

そうして彼は袋の中から、この辺りでは高級品である薬湯・アムリタの小瓶をひとつ、手前にいたミスティアに押し付けると、そのまま背を向けひらひらと手を振ってその場を立ち去っていく…。


「どういうこと…?
っていうか、なんも話してかなかったよねあのおっちゃん」
「何処までのん気なのよあんた。
あいつ、確実に何か重大な事を隠してる。
今のところは私達に敵意はないでしょうが…警戒するに越した事はない


そう呟くレミリアの顔も酷く険しい。

早苗にはこの表情に見覚えがある。
それは…八雲紫がかつてポケモンによる「試闘」の際、式神天狗である文々丸文の処断を阻止された後、彼女に啖呵を切る直前に見せていたモノだったからだ。

ほむらはミスティアの手からアムリタの小瓶をひったくる。

「だったら…こんなモノも…!」
敵意はないと言ったでしょう。
あのタイプは、自分の目的のために他人の想像もつかないような言動でもって周囲をかき乱したがる。
だから、奴の思うところに無駄な横槍さえ入れなければ被害をこうむる事はない。
目的が解るまで、利用できるモノは利用しておけばいいわ」

ミスティアが呆気に取られる間もなく、それを放り投げようとしたほむらをそっと制し、レミリアは続ける。

「穣子、この件は一応辺境伯の耳にも入れておくべきだわ。
…あなたなら解ってるとは思うけど」
( ̄□ ̄;)うぇ!?
う、な、何を解りきった事を! 当然のことでしょ!?
とりあえず統治院にいくよっ!!」



-狐尾幻想樹海紀行2-
その7 「哀しき護り手よ、その宿業を終えよ 」




それより少し前、ウロビトの里。


ホロウより危機を救われた巫女の計らいでこの地に足を踏み入れた穣子達であったが、その里の広場からはほとんど人影が見えない。
時折見え隠れするのは、先に知り合ったウーファンと同じウロビトばかりで人間は一人として見受けられない。

彼らは冷たい眼差しで君たちを見つめている。ひそひそと小声で話をしている者もいる。
自分達が招かれざる客である事は明白であったが、入り口で出会った者がいきなり弓を番えて放とうとした事から見ても、人間に対して非常に強い敵意を持ってた事が伺える。
巫女がいなければ、こちらも穣子が売られたケンカを余さず買うタイプであり、レミリアとて自身が言うようにそこまで気の長い方ではないので、今頃どうなっていた事かと早苗達も気が気ではない。

それでも、里の一角に通された彼女たちは、心なしか無理に無邪気に振る舞おうとする巫女の問われるがままに、それとなくタルシスや、早苗の知るアーモロードの事を話して聞かせてやった。
だが、巫女は何らかの方法で、彼女達がそことも別の世界から来たものである事を知っている。巫女の言及がそこまで及ぼうとした、その瞬間だった。


「巫女よ。
その者らの言葉に耳を傾けてはいけません」


いつから聞いていたのか、ウーファンが一際険しい表情で歩いてくる。

「人間よ、貴様たちはかつてこの地で起こったことを知らぬと見える。
成果なしでは帰れぬであろう、故に私が知る全てを語ろう。
そして、聞いたらこの里を立ち去れ」
「ウーファン!!」

その厳しい言葉に巫女は抗議の声を上げるがウーファンは取り合わない。
呆気に取られる穣子達を余所に、彼女は静かに言葉を続ける…。






巫女の制止も介さず、話し終えたウーファンが里の衛士共を呼び寄せて槍衾を作り、有無を言わさぬ態度で迫ってきたため、完全にキレた穣子をなんとかレミリア(と、ほむらのヘッドスナイプによる実力行使)が制し、彼女たちはその足で辺境伯の元を訪れていた。


かつて世界樹の麓には多くの人間が住んでおり、世界樹の世話の為多くの種族を創造した。
その一つがウロビトだと言う。

世界樹の恩恵を受けつつ何事もない平和な時代が続いたが、突如として異変は起こった。
天にも届くような巨人が姿を見せ、世界樹を隠してしまったのだ。
恵みを失い、多くの生命が失われた。
人間は巨人を恐れ逃げ出したが、ウロビトたち創られた者たちは力を合わせどうにか巨人を討つ。

こうして世界樹は再びその姿を世界に現し、ウロビトたちは今でも世界樹を崇め、幽谷に隠されたかの地で暮らしている…それが、ウーファンから語られた伝承の内容だった。



「そうか。
我々の遠祖に関わる者たちに、そのような伝承が伝わっていたとは。
何故それが、後世我々に伝わらなかったのかは伺い知れぬが」
「私見ですが辺境伯、私達はある冒険者…ワールウインドという男ですが…彼にもそれとなくこの話をしました。
彼は何かを知っている様子が見受けられる。
恐らくは、公になるに非常に都合の悪かった事実があったか、あるいは語り別なるべき人間がその際多く死に絶え、限られた一部の者にしか伝わっていなかった…その可能性もあるのかもしれません


真剣な面持ちのまま、レミリアの具申を聞き終えた辺境伯も神妙な表情で頷く。

「レミリア君といったか…君の意見は私も大いに是とする所である。
だが、だからこそ、これから我々と共に手を取り合うべき知られざる民との遺恨を払拭する事は、現代に生きる我々の責務であると、私は思うのだ。
故に……君らに大役を任せたい。
これは、樹海の謎を解き、世界樹の謎を紐解く大きな一歩を刻んだ君らにしか成し得ぬ役目なのだ!」








かごめ「はーいまずはここまででーす」
静葉「この絶妙なブレイクの入れ方、本気でいやらしいわね」
諏訪子「辺境伯のに関してはテキトーに補完したけど、まあ大体そんな感じのやり取りがあったしな。
   これで受けたミッションが「巫女に親書を渡してこい」って内容
静葉「激しくアレね、前作の踏襲的なパターンよね。
  あれも深王に親書持ってけとかそういう内容だったし」
かごめ「まあ今回も多くは語るまい、イベントパート一気だ。
   ラストで簡単にボス戦の装備・スキル紹介と行きましょう」
諏訪子「ちょっと触れるけど、これ完全な運ゲーだったからな。
   レベルの暴力なんてこのゲームにはねえってことを思い知らされるわ










「…私は…お前たちに嫉妬していたのだ。
巫女と同じ姿…同じ種族であるお前たちに、巫女が簡単に心を開いたのを見て…永い間傍でお仕えした私よりも…!」


幽谷最深部。
穣子達と行動を共にすることとなったウロビトきっての方術師はそう、胸の内を吐露する。

その少し前、道中文句の止まぬ穣子を宥めすかしつつ再度ウロビトの里を訪れた彼女達を待っていたのは、凄惨な光景だった。
激しい戦闘の跡、そして、傷ついたウロビト達。
ウーファンが無事な者達を前に激しく怒りを露わにしている光景の事情を、何故か里に居合わせたワールウインドが説明する。

彼女が所用で里を空けていた時、ホロウと呼ばれる姿なき魔物が、この里を急襲したと言うのだ…挙句、巫女が攫われてしまったと言う。

ワールウインドの態度に訝しいものを感じながらも、単身巫女を救いに行くと森の奥へ憤然と消えてゆくウーファンを追い、その最深部でようやく彼女に合流する事が出来た。
正確に言えば、此処までの道のりで森の魔物や、ホロウ達の戦いで傷つき、倒れ伏していたウーファンを見つけて介抱した、というべきなのだが。


「上の階で、ホロウが私に言った。
巫女を私に任せておけない。私には彼女を守れない…と。
…ホロウ得意の幻術の類だろう。しかしその言葉は的確に私の胸を抉った」

ウーファンは悲痛な表情で目を伏せる。

「何故なら…同じ事を、私も薄々感じていたからだ」

そのまま歩みを止め、立ち止まる。

「やはり…私はお前たちと行く事は出来ぬ。
先にお前たちを拒絶…否、排除しようとしたのは私なのだ。
ホロウどもの言う通り、私は巫女の…シウアンの傍に立つ資格などッ…!」
「ああんもう鬱陶しいわね!いちいちそんなことでネガってんじゃないわよこの馬人間!」

彼女の独白を聞いていたのかいないのか…いや、間違いなく聞いての上での行動だろう。
膨れ顔の穣子はずかずかと彼女のそばへ歩み寄り、その細腕を強引に引っ張る。

一瞬の事でウーファンはもちろん、他のメンバーも困惑を隠せない。



「上で他のウロビト連中が言ってたわよ。
あんた達、昔は年寄りどもを集めてそいつらのいいなりでしか動いてなかったのが、あの巫女が来てから変わったって。
中でもあんたは、その巫女…シウアンっていうの?
身寄りのないあの子の為に、母ちゃんかお姉ちゃん同然に見て来たから、ウロビトの中でずっと感情が強くて…ずっと人間に近いって。
別にいいじゃない!
あんた、私達がムカついて見えるほどあの子の事、大好きなんでしょ!?
それだけであんたは、あの子のそばにいてやっても全然構わないッ!!



ウーファンは悲痛な表情で顔を背ける…。

「私は信頼を失った。
もう巫女は…私には微笑んでくださらない。
私の声は…あの娘には届かないんだ…」
「ええいこのッ」

なおも強い言葉を投げようとする穣子を制し、歩み寄ってきたのは…ほむらだった。


「私にも、その気持ちはわかる。
私も…ずっとひとりで、大切な子を護るために戦った。
誰にも理解されず…ううん、誰の理解も助けも拒絶して



悲痛に歪む表情の人ならざる女性と、少女の表情が交錯する。


「でも、その子は私の事を…どんなに離れていても、見てくれていた事を知った。
あなたが彼女と共に過ごしてきた時間は、その絆は、そんな簡単に崩れ去るほどヤワじゃない。
…あの子の手を一番に取ってあげられるのはウーファン、あなたしかいないの

「ほむら、あんた」
だから、そんな風に突き放しては駄目…!
私達があなたに力を貸す…必ず、あの子と一緒に帰ろう…!!


ほむらは泣きそうな表情で、視線を逸らすことなく、その手を取って告げる。
ウーファンは目を閉じ、頷いて返した。



「…お前の言う通りかも知れん。
改めて頼む。あの子を救うため、私と共に闘ってくれ。
そして、事が済んだら私の可能な限り、お前たちの信頼に応えよう」







おぞましき気配の立ちこめる最深部の扉を開け放つと、果たして、奥の間でゆらゆらと揺れる巨大なホロウを発見する。
それは今まで見てきた者より一回りも二回りも大きい。


「こいつは…!?
そこに姿は確かに見える…でも、気配をまるで感じない…!?」
「気をつけろ。
こいつはホロウ共の主、ホロウクイーン。
唾棄すべきおぞましき者どもの母体…ッ!?」

その周囲には、蛍のような小さな明かりが点いたり消えたりしている。
道中幾度となく現れ、血相を変えその後に追随するウーファンを追って行くうちにこの部屋にたどり着けた事を鑑みると、この光こそが自分達をここまで導いたのだろうか…少女達はそれを直感する。


その確信通り、おぞましい姿をした人の形の足元に巫女の姿を確認する。
意識を失い倒れているようだ。

そして、歌が響いてくる。


「この歌…あの子の歌ってた…!?」

はっきりとその歌を間近で聞いていたミスティアがそれに気づく。
彼女は、まるでそれが足元で眠る巫女…シウアンの為の子守歌のように錯覚した。


「シウアン!!」

狼狽の叫びと共にウーファンが駆け出すと、ホロウクイーンは目を細め、音もなくウーファンの前に立ちふさがり…その目が見開かれるとともに、数体のホロウが召喚される!

「ウーファンさん!」

早苗がそれを制しようと手と伸ばした、その瞬間。


-貴様等にこの娘は渡さぬ!!-


おぞましき声が響き渡る。
幻術の類ではない、それが彼ら…ホロウの声だった。


「上等だ!この私達を敵に回した生まれの不幸、たっぷり彼岸で後悔させてやんよ!!
行くよ、みんな!!」








かごめ「さて、ここでスキルと装備の紹介と行こうか。
   個別に触れるのも面倒だし、一気に行くべ」




穣子(ソードマン)
剣士の心得(★1) 剣士の極意(★1) 
ソニックレイド(3) リンクフレイム(2) リンクフリーズ(2) リンクサンダー(2) パワーブレイク(1)
ダブルストライク(3) ペネトレイト(1)
物理攻撃ブースト(4) ヴァンガード(2) 物理防御ブースト(1) ソードブレイカー(5) 先駆けの功名(1)
鉱物学(★1)




ミスティア(ダンサー)
踊り子の心得(★1) 踊り子の極意(★1)
リジェネワルツ(3) リフレッシュワルツ(★4) リカバリワルツ(★4)
アタックタンゴ(3) カウンターサンバ(3) チェイスサンバ(1)
扇の舞(8) 剣の舞(2) バーストセーブ(1)
樹木学(★1)




レミリア(フォートレス)
城塞騎士の心得(★1) 城塞騎士の極意(★1)
ボルトストライク(1)
防御陣形(3) 防御陣形U(3) ディバイドガード(3) ラインディバイド(3) オールディバイド(1)
挑発(★4) 先制挑発(2) 物理防御ブースト(1) 騎士の加護(3) 聖なる加護(3) ランパート(1)
鉱物学(★1)




早苗(メディック)
医術師の心得(★1) 医術師の極意(★1)
ヒーリング(3) ラインヒール(3) フルヒーリング(2) パーティヒール(2) リザレクト(3)
リフレッシュ(★6) トリート(1) リカバリー(5) ストレッチ(1)
薬草学(★1) 戦後手当(1) 危険食材の知識(★1)




ほむら(スナイパー)
狙撃手の心得(★1) 狙撃手の極意(★1)
レッグスナイプ(3) アームスナイプ(2) ヘッドスナイプ(2) チェイスバインド(1)
ロングショット(3) フランクショット(2) フルメタルアロー(2) シルバーアロー(3)
ロックオン(3) 正鵠の明(2) イーグルアイ(2)
スカベンジャー(1) 観測(1)
樹木学(★1) 鑑定眼(★1)


かごめ「というわけでこんな感じですな。
   必要な装備を揃えようとしてたら何時の間にかこんなレベルが上がってしまったと
諏訪子「そらそうだろ、単純計算しても必要個数クロースアーマー揃える為にはそれだけ羊狩る必要あんだし。
   本当にアレ経験値の塊と化すからな、レベル22位からは
静葉「地味に大きなところでは穣子は突剣特化したのね」
かごめ「特に理由はなかったんだけどなあ。
   まあ、みすちーが剣持ってるし、お揃いにするか違うのにするかはちょっと考えたが」
諏訪子「いずれ触れるけど、例えばカマキリ共のドロップ品とかになると数も限られるし、基本的にどうしても攻撃力に差が出るしな」
かごめ「そこはブーストの存在もあるからな、いずれ全振りするだろうが、同じ攻撃力でもおよそ1割ちょっとダメージ違ってくるし。
   マスターで125%だっけ、倍率」
静葉「みすちーの場合攻撃はおまけみたいなものだけどねえ、基本は」
諏訪子「あと地味にほむらのスナイプ系も地味に揃ってないな。
   間にあってないと言うか」
かごめ「どうしてもホロウ共足を止めるとなれば優先はレッグスナイプだけどな。
   クイーンの技対策にアームも欲しかったんだが、流石にそれ以上はレベル上げ過ぎだと思ったけど」
諏訪子「上げても良かったかもな。
   その為にはホロウクイーンの特徴も紹介がいるな、相変わらずwikiからの引用だが」

次元斬(腕):後列時は列近接・前列時は全体が対象の斬属性大ダメージ
氷結のアリア(頭):全体氷属性攻撃
常闇の翼(腕):近接斬属性攻撃
幻惑の邪眼(頭):全体混乱付与
慈愛の息吹:味方(ホロウクイーン側)全体縛り・状態異常回復
闇の侵食:物理攻撃・属性攻撃UP

かごめ「相変わらずボスがはっちゃけ過ぎだよなこのゲーム。
   ケトスも大分酷かったが」
諏訪子「あれは本当、麻痺と眠りと足縛りのオンパレードの後にオーシャンレイブだからな。
   しかし面倒くさいことにこいつ、オーシャンレイブのように命中不安のじゃなくて、命中そこそこの全体大ダメージを撒いて来るんだからマジで意味解らん」
静葉「さしあたって、次元斬ね。
  こいつ戦闘開始一発目にまずホロウガード2体呼んで後ろに下がるのよね、だからスタート時の次元斬は一列だけが対象なんだけど」
諏訪子「後列の補正で減衰かかってるにも関わらず、この時点の装備だとダメージが後列でも100超えるんだよな。
   この時点でも十分意味解んねえけど、氷結のアリアもガンガン飛んで来て、挙句ガードはホロウラウンダーと基本が一緒だから、同時にブリッツリッターが飛んできやがる」
かごめ「なんでこの二つを同時シャットアウトする為、こいつの所にのりこめー^^する前に、レア魚見つけて喰うのが必須となるわけだ。
   今回は桜ヤマメだな」
諏訪子「っても完全に軽減はしきれんけどな。
   防御陣形と併用してなんとか70ダメ切るくらいまでは抑えられる」
かごめ「だが乱数の関係なのか、それともAIのせいかこっちに耐性があるとなかなか撃ってこなくなるそうでな。
   HPが減ってくると闇の侵食積んで強引に乱打してきたりするんだが」
諏訪子「だが、ガードは放っておくと本尊のクイーンを庇ってきやがるからウザイし、相手の手数を減らす意味でも速攻で潰しとくに越した事はない。
   で、ガードを始末すると今度はホロウシーアを2体呼ぶ。
   むしろこっからが本当の地獄って奴で」
静葉「シーアは後列に出るからクイーンが前列に出るわ。
  …あとは言わなくても解るわよね?^^;」
かごめ「なんなんだこれwwwwww」
諏訪子「ただ幸いにも、恐らくは即死と石化以外だろうが状態異常は縛りまで含めて満遍なく入り易くはあるね。
   あと全体化すると次元斬も微妙に命中が悪くなる…といっても、スキュレーの抱擁みたいにレベルの関係で結構当たるわけだが。
   狙うべきは麻痺、盲目、足縛り、あとできれば腕縛りと…ただこいつ、あまり状態異常を入れ過ぎると今度は慈愛の息吹なんてもんで回復してきやがる」
静葉「でもこれ、一回くらいしか使われなかったのよね。
  多分経過ターンか状態異常の数にもよるかもしれないけど…金龍の例もあるし」
諏訪子「しかしこのゲームには耐性の累積があるから、一回でも外されると本当にどうにもならんのだよな。
   ここに来るまでのクエスト消化状況にもよるけど、バースト技の黒霧で足縛りなんかを持続させようと思った時にこれが来ると絶叫モノだよな」
かごめ「この時ぁそんなの思いつきすらしなかったけどなwwwww」
諏訪子「おいィ…」
静葉「実際レベルはかなり高かったけど、マジで紙一重だったのよね。
  足縛ったのに件の息吹で回復されて、仕方ないから観測でカバーするんだけど浸食からの次元斬が連発で飛んできやがって
諏訪子「幸運にもウーファン、早苗、ミスティアが踏みとどまって、麻痺の方陣から麻痺が入ってからは神がかってるとしかいえない運ゲー展開が」
かごめ「まさか3回も連続で動きが止まるとは思いもしませんでした(´・ω・`)
静葉「運ゲー乙、と。
  というかそもそも下馬評の討伐適正レベルって27でしょこいつ。なんでそれより3つもあげといてhageかけるのかしら」
諏訪子「世界樹だから仕方がない(キリッ」
かごめ「そういうことで。
   あとは例によって無駄話で。しかも次回に引っ張る」
諏訪子「おいそれでいいのかお前…」








ウーファンの方陣がその影を現世に止め、攻撃が通るようになった事で一気呵成に攻める穣子達。
ミスティアの呪歌で威力を増した紅蓮の炎の一撃が駄目押しに入り、誰もが勝利を確信した瞬間、それは起こった。

一体何処に、何時からそれほどの力を溜めこんでいたのか、ホロウクイーンが名状し難い叫び声を上げると、その瞬間解き放たれた黒い刃が止めの一撃を加えようとした穣子をいとも容易く吹き飛ばし、後ろに回り込んで矢を番えていたほむらも、回避が間に合わず背後の大木へとと叩きつけられた。
そして…。

「…!
早苗ッ、危ない!!」

ほむらと穣子、早苗がどちらを回復させようかと一瞬の逡巡をした瞬間、延ばされた影からまるで、映画に出てくる鮫の背びれの如き刃を生みながら高速で迫る…!
それを庇うべく間に立ったレミリアは、防御動作が間に合わず鎧ごと身体を切り裂かれ、鮮血が吹いた!


「れみ…りあ、さん?
そ、そんなっ…いやあああああああああああああ!!


目の前で明らかな致命傷を受けた仲間の姿に、早苗は悲鳴を上げその体を抱き寄せる。
その傷は想像以上に深く、反射的に放たれた回復魔力による治療でもすぐには回復が始まらない…元々、吸血鬼である彼女は回復魔法の類を受け付けにくいという特性もあったが、それを差し引いても絶望的な重傷であった。

動けなくなったレミリア、動く事を止めてしまった早苗めがけて、最後の攻撃を仕掛けようとクイーンが音もなく距離を詰める…!!
離れた所に陣取っていたお陰で難を逃れたウーファンが、ふたりをフォローすべく駆け出そうとした、その刹那。


「あなたは動いちゃダメ!」


その鋭い声とともに、背後から何かが飛翔する。


舞い落ちるひとひらの羽毛。
それは、先に道中現れた巨大怪鳥のものとは違う…僅かに紫がかった、夜雀の羽。


ふわりとその場に降り立ったのは、先に昏倒していた筈のミスティアだった。


♪BGM 「もう歌しか聞こえない」(東方永夜抄)♪


猛烈な魔力の波動を放つその少女を前に、脅威を覚えたクイーンは距離を取ろうとする。
その一瞬も逃さず、ミスティアはこの世界では使えない筈のスペルカードを発動させる…!

「逃がさない…!
毒符“天蛾の蠱道”ッ!!」

彼女から放たれた猛毒の霧が、ウーファンの張った「陣」に複雑に絡み、強く光を放つ。
その一瞬で、哀れにも影の女王は自由を完全に奪われた!


「天に木魂す黒き狂歌よ、響け!
囀夜雀(さえずりよすずめ)』!!」



文言と共に、ほむらからあてがわれた彼女の髪飾りがまばゆい光を放ち、その両手には籠手と一体化した短剣が装着される。

「…使うのね…あの力を」

茫然とその光景を眺めていた早苗は、その声にハッと我に返る。
まだ完全に癒えぬまでも、意識を取り戻したらしいレミリアが、弱々しいながらも僅かに苦笑を浮かべている。

「レミリア、さん…」
「私とした事が、ドジを踏んでしまったわ…いいえ、貴女を護れたし、よしとしますか…!

泣きそうな表情のまま、早苗は頭を振る。
レミリアは構わず続ける。

「あの子は…ディノゲイターとの戦いから明らかに変わったわ。
それまでどこか、どうしても重要な局面で足が竦んでしまう…あの子に過去、そんなトラウマがあったのか解らない。
…でも、私達を介抱してくれたウィラフが言っていた。
あの子は、自分が何も出来ないでいることの恐怖を力に変えたのだと…!
「…それが…あの子に「魔装」を…!?」

レミリアは頷く。

「チルノも…フランも、こいしも、恐らくはリリカも…この冒険で得たものを力にして、魔装を得たと聞くわ。
あの子にもようやくその番が回ってきた…それだけのことなのでしょうけど」

その寂しそうな表情の意味を、早苗は知る由もなかったろうか。


クイーンが苦し紛れに放つ影の刃…レミリアの防御をいとも容易く突破して彼女に致命傷を与えたその一撃を、ミスティアはまるで微風を払うかのようにいなす。
それと共に、猛然と距離を詰める彼女の両手の刃が深紅の炎に包まれる…!

「これは…穣子さんの分ッ!」

圧縮された炎の刃が、繰り出された斬撃の一拍置いて大爆発を起こし、その巨体をよろめかせる。
次の瞬間、刃は猛烈な冷気を孕み、周囲の水気を霜に変えていく。

「これは、ほむらの!」

肩口をバッサリと切り裂く傷跡は瞬時に凍りつき、再構成を許さない。
その形なき影の貌は苦悶の表情を見せるように思えたが、間髪入れることなく刃は猛烈な台風の如き烈風を纏い、十文字に切られた懐はズタズタになった。

「これはレミリアさんと、早苗の分ッ…!
そしてッ…!!」



半身に立ち、拳を構えるミスティアの刃に周囲の魔力が…ウーファンの陣や、それに絡みついていた自分の力をも含めて…凄まじい密度の闇が、紫電を放つ。


「そしてッ!
これが…これがッ、私自身の怒りを込めたとどめの一撃!!
終わりだッ、真・天翔十字凰ッ!
とおおりゃああああああああああああああああッ!!



暗黒の翼を纏う鳳凰を模した一撃がクイーンの土手っ腹をぶち抜いた!
次の瞬間、ホロウクイーンは断末魔の金切り声を上げ霧散する…!


それと同時に、巫女は意識を取り戻し顔を上げた。


「シウアン!」

茫然とその光景を見守っていたウーファンが、その瞬間弾かれたようにその傍へ駆け寄る。


♪BGM 「神は恵みの雨を降らす」(東方風神録)


抱きあげたその姿に怪我はないようだった。

「みんな…ありがとう。
何か、すごく長い夢を見ていたような感じで…変な気分」

その言葉は穣子達に向けられた事はすぐに分かった。
一瞬、表情を曇らせるウーファンだったが…シウアンは彼女と視線を合わせると、恥ずかしそうに話し始める。

「…不安にさせちゃってごめんね、ウーファン。
わたし…ウーファンが戦っているところ、傷ついているところ…わたしが眠っている間、みんな見てたよ。
…ううん、もっと早く言ってあげるべきだったんだ…お父さんもお母さんも知らない、ウロビトでもないわたしを…ずっとあなたは守ってくれた


シウアンはまだ力の入らぬその腕で、その大切な女性の身体に手を回す。


「ウーファン、大好きだよ。
これからは思ったこと、ちゃんと言うね。
…だから、お願い…これからもわたしと一緒にいて…!」



その言葉に、彼女の瞳から涙が一粒、また一粒と零れ落ちる。
言葉が出ない代わりに、彼女はシウアンの小さな体をしっかりと抱きしめていた。