かごめ「ここからかなりエグいネタが続く…と言ったな。
それは正確じゃあなかったなあ…正しくは、もうひとつ馬鹿ネタが残っているんだッ!!(クワッ」
静葉「なにポケスペのヤナギ調に話してんのよ。
文章量的にこっちに回さざるを得なくなっただけよねそれ」
かごめ「まーそーなんスけどさ(´・ω・`)
実は今まで触れもしなかったおバカイベントが実はあったわけだが」
静葉「騒がしい沼地のザリガニね。
クエスト途中で訪れて、尚且つ余裕もなかったし存在は知ってたけどスルーしたのよね」
かごめ「うむ、それを踏まえてまずはこれを見て欲しい」
かごめ「金ぴかの鹿さんが元気に飛び回ってらっしゃる小迷宮の中になんでこんなポイントがあるのかよー解らんのですが」
静葉「ちょおまwwwwww」
かごめ「しかも笑える事に、君たちはこんな光景を見た事はないだろうか?みたいな事をナレーションさんが言ってきやがるのよね。
いや私らは沼地見てないんスけどwwって感じではあるのだが」
静葉「ザリガニにもてあそばれたボウケンシャには、トラウマ再び!って感じよね。
さとりをわざわざ呼んでくる手間が省けてるかしら」
さとり「そこで露骨に私を話に絡ませるのは止めて頂きますかねえ…?
ただでさえこの先の展開の準備で忙しいというのに(チラァ」
静葉「( ̄□ ̄;)ゑっ」
かごめ「ややこしくなるからさっさと行けおまいは。
ただでさえどっかのアリスが舞い戻ってきやがった(2012年8月の話)から、世界樹だけでも終わらさんと色々と厄いんじゃ」
さとり「でもこの時何が起こったかくらいは触れてもいいでしょう。
その一方はもうこのログ内では絡む事は…おっと何でもありません」
静葉「( ̄□ ̄;)おいィィィィィィィ!!!」
かごめ「まあお約束もお約束で」
さとり「この後ミスティアも被害に遭いましたね。
そうなると、AGIが高かろうが特に影響はないと思うんですけど…LUC辺りでしょうか?」
かごめ「完全ランダムの可能性もあるけどな」
静葉「ねえそんな事よりさっきの言葉の意味は何なの!?
あんたまさかここで穣子をなんかしようとかそんな事を」
かごめ「じゃあさとり君手筈通り向かってくれたまえ。
恐らく君らの登場は次ログ辺りになると思うがー」
さとり「らじゃーりょーかーい」
静葉「答えろ貴様等あああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!ヽ(
°Д °)ノ 」
-狐尾幻想樹海紀行2-
その13 「
〜木偶ノ文庫 B2F〜
無機質な機械の番兵に悩まされながらも、穣子達はなんとか、その影に追いついた。
皇子は巫女の手を引き、先を急いでいるように見える。
その利き手には、ワールウインドが持っていた物に似た機械仕掛けの剣が握られている。
「そこまでだ!」
階段のところで穣子が二人の先回りををして立ちはだかる。
皇子は、険しい目つきのまま睥睨して語る…。
「ローゲルから報告のあった者たちだな。
遂にここまで来たか」
その額には硝子のようなものでできた装飾品が見える。
あれこそ、辺境伯がローゲルに与えてしまったという頭飾り…「巨人の冠」だろう。
「年貢の納め時、って奴だ。
もっとも…納める側に回ったことのない「殿下」にゃわからんだろうがな」
皮肉をたっぷり込めた…否、最早敵意としか思えない感情を孕んだ一言を、諏訪子がその背に放つ。
しかし、バルドゥールは動じない。
「世界樹の力の発現は我が父アルフォズルと、帝国の民すべての願い。
父上が探索より戻られぬ今…計画は、皇帝の長子である余に果たす義務があるのだ」
「その為に、ウロビトとイクサビトを犠牲にするって言うの!?
ふざけないでよ!
ウーファンもキバガミも…ううん、総てのウロビトやイクサビトが、その為に殺されなきゃいけないなんて、そんなの絶対おかしいよ!!
どうして…どうしてそんなひどいことを平気でやろうとするの!?」
「父上ならば…慈悲深きアルフォズル陛下ならばウロビト、イクサビトに情けをかけられたろう…だが、余はそうはいかぬ。
未熟な余の力では世界樹の完全な支配は叶わぬ。
ならば、ウロビトとイクサビトには帝国の贄になってもらう他にない!!」
ミスティアの悲痛な叫びも、皇子の頑なな決意…否、過剰なその妄信の前には何の役目も持てなかった。
しかし、シウアンも黙ってはいない。たどたどしくも、彼女は口を開く。
「どうして…あなた、お父さんのしたかったことまるでわかってないじゃない。
お父さんの夢を叶えたいのでしょ?
だったらダメだよ、そんなことしちゃ!」
無表情で、皇子はその言葉を受け止める。
シウアンはなおも続ける。
「ウロビトやイクサビトが生まれたのは、人間達の道具にする為なんかじゃない…!
人間と同じように、世界樹の「トモダチ」として、一緒に手を取り合って生きていくために生み出されたんだよ…?
世界樹も、人間を生かす為だけにウロビトやイクサビトを殺してしまうなんて、望んでない!!
お願いだから、このまま静かに眠らせてあげて!!!」
しかし…その言葉すら、狂気の色を瞳に宿し始めていた皇子に届くはずもない…!
皇子は何か口ごもっていたが…次の瞬間、激しく咳き込みうずくまるバルドゥール。
その異変に気を取られた穣子の隙を突き、手を差し伸べようとしたシウアンの腕を強引に掴むと、呆気に取られる間もなく階段へと走り込んでいく!
そして、呆気に取られる彼女たちに対し、振りかえり様に吐き捨てる皇子。
「余には時間がない。
そして、計画に変更はない。
貴公らの決意が変わらぬと言うなら…余の騎士が、その行く手を阻もう」
…
皇子を追って下の階に降りる一行。
扉の向こうからすさまじい殺気が放たれているのを感じ、思わずその足を止める。
「この気は…ローゲルか!」
歯がみする諏訪子。
小競り合いに過ぎなかったとはいえ、彼女はローゲルの力量を完全に分析し得たわけではない。
まして、彼の持っていた武器を始め、状況判断材料があまりに乏しい。
可能なら、戦闘は避けたかった。
彼が垣間見せたその表情が、無駄な血を流さずに済む切欠をつかめるならそうしたい…それが、洩矢諏訪子の偽らざる想いだったろう。
彼女は気づいていたのだ。
これまでの関わりで、自分と早苗の関係くらいは、ローゲルも薄々感づいていた筈。
本当に殺すつもりで早苗に斬りかかってきたのであれば、彼の持つ機械剣のチカラであれば…十分に諏訪子ごと物言わぬ肉塊に変える事は可能だったはずだ。
それは…ローゲル、否、「冒険者ワールウインド」が、自分達との争いを望んでいないという何よりの証左だった。
扉に手をかけようと逡巡する諏訪子の傍らに、穣子が立つ。
穣子とて、彼と戦いたくないのが本音だろう。
しかし。
「おっちゃんは…あの皇子の力になるって決めたんだ。
だから、それが間違ってるというなら…それを伝えてあげられるのは、私達が握った剣でしかないんだと思う」
「……ああ!」
二人はその扉を開け放つ。
その二人の姿が、何故か早苗には、二人が何処か遠くへ行ってしまうような錯覚に襲われていた…。
…
♪BGM 「戦乱 吹き荒ぶ熱風の果て」/古代祐三♪
「やはり…君たちはここまでたどり着いたか。
だが、これ以上行かせるわけにいかない」
言うや、ローゲルはその機械仕掛けの剣を構える。
響き渡る駆動音。最早問答は無用、というのだろう。
「解ってるよ。
それがあんたの取った選択肢というなら、もう何も言わん。
だったら」
「私達二人があんたを止める!
早苗、ほむら、みすちー!
あんた達は先に行けッ、あの馬鹿皇子を止めるんだ!!」
顔色を変える三人に対し、諏訪子は総ての力を防御に託し、穣子とローゲルの間に割って入る。
同時に、周囲の魔力を総て刃に変え、追撃を繰り出す術式を組む穣子。
ローゲルはカッと目を見開く。
「行かせないと言った!
君らこそ、俺の力を甘く見るなッ!!」
機械剣の特殊モーターがフル回転し、周囲の魔力…穣子が放ったそれさえも巻き込み、ローゲルは大上段から、生じた巨大なエネルギーごと剣を二人に叩きつける…!!
天地を貫くが如き轟音。
そして、爆風。
それが収まった時、ローゲルを中心としたすさまじい力の発散が、床を砕いたクレーターとして現れている。
赤熱した刀身と、その一撃を放ったローゲル自身の憔悴が、その二発目を撃たせぬまま終わっている…!
吹っ飛ばされた穣子は気を失っているようだった。
早苗はそれを気つけようと駆け寄るが、そのとき、その違和感がようやく彼女の中で形となり、手が止まる。
「すわこ…さま?」
穣子を介抱したまま、早苗は茫然とつぶやき、周囲を見回す。
その姿はどこにも見られない。
最初に気がついたのはほむら、そしてミスティア。
次の瞬間それに気づき、早苗の意識を逸らせる為その視線を遮ってほむらはローゲルとの間に立とうとする…が、一歩遅かった。
構えた赤熱する刀身の先、そこに串刺しにされていた小柄な少女の姿。
声にならない早苗の悲鳴が木霊する。
ローゲルははっきりと悲痛な表情を見せるも、後戻りが既にできない事を悟っていた彼は、刀身から諏訪子の身体を振り落とすと、その血で尾を引く剣を早苗めがけて走らせる!
その剣が深々と少女の身体を貫く。
が、それは早苗ではなく…早苗は後方に突き飛ばされ…その剣を深々と受けていたのは穣子だった。
「穣子さんッ!!?」
ミスティアの悲鳴に、深手を負い咳込む口からも、鮮血が飛ぶ。
恐らくキズは内蔵深くまで達しているだろう。
表情を歪めながらも、ローゲルはなおも剣から少女を振り払い、次の標的と定めた早苗の首めがけて剣を振りかぶる。
そこへ、幾条もの光弾が矢となってその剣を逸らさせ…立て続けに襲いかかって彼をハリネズミのような姿へと変えた。
その一撃を放ったほむらの表情も…底知れぬ怒りと悲しみに歪み、留まることなく涙は床へと伝い落ちている。
全身に深手を負ったローゲルは膝を突く。
「止めは…刺さないのか?
…俺は………君たちの大切な仲間を二人も、斬り殺したんだぞ」
心神喪失状態の早苗も、剣を構えたまま俯いているミスティアも…矢を番えずに涙を流し続けるほむらにも…言葉はない。
「それとも、冒険者は人殺しではない…とでも言いたいのか?
俺だって知らないわけではない、君らが、遠い世界から来た存在である事を…まあ…それはいい」
彼はよろめく足を叱咤し、全身から吹く血と苦痛に顔を歪めながらも…立ち上がる。
「俺は…冒険者ではない。
だから、この命に代えても君たちを殺す!!」
彼は手早く剣を操作する。
そこから駆動音がさらに大きくなり…周囲の魔力を巻き込んで明らかに異常な熱を発し、赤熱しはじめる…!
その剣のオーバーヒートによる暴走で、自分諸共この場にいる全員を吹き飛ばそうというのだ。
破壊の力を放ちはじめる刀身をローゲルが正面に掲げた、その瞬間だった。
それまで黙っていたミスティアが矢のように飛び出し、渾身の力でローゲルを殴りつけた!
妖怪であるといえど、彼女は元来非力な部類である。
しかし、ローゲル自身が深手を追い、そして彼女自身も度重なる経験で多少は鍛えられたいた事もあり、剣は容易に彼の手を離れ、横殴りに地面へと叩きつけられる。
ローゲルの手を離れ、今にも暴発しそうな機械剣をほむらが駆け寄って手に取り、見様見真似で操作しはじめる。
諏訪子を振りほどく際に一瞬だけ見せた、強制廃熱機構の操作が成功し、剣は機能を停止するとともに一気に巻き込んだ魔力を排出していく。
「何故」
よろめきながらもローゲルは身体を起こす。
それまで一言も発しなかったミスティアが、絞り出すような声で答えた。
「諏訪子さん…言ってたんだ。
あなたは迷っているだけだって。
だから…最初から自分が斬られることで、あなたが自分の意思で止まってくれるきっかけを作ろうとした…そう思った…!!」
「そう…だ…」
その声にハッとする早苗。
血だまりの中にいた諏訪子だったが…彼女は奇跡的にも、命を取り留めていたのだ。
「つつ…こんなことも、あろうかと…服に耐斬ミスト仕込んでた。
…でもこれじゃ…しばらくは…たたかえ、ないか…」
「すわこさまああああああああっ!!」
反射的に早苗がその傷ついた体を抱き寄せる。
その体に取りすがり、泣きじゃくるその頭を…どこか「仕方ないなあ」と言わんばかりの表情で、弱々しい動きで撫でる。
「だいじょうぶ…こんなとこで、しにはしない…くたばって、たまるか。
わたしより…みのりこ、あいつは」
はっとして顔を上げる早苗。
穣子の傍らには、見慣れた方術士が一人ついていた。
「大丈夫だ、傷は深いが、なんとかなるだろう。
彼女は私達の恩人だ、死なせるわけにいかん」
何時の間に駆けつけていたのか、そこにはウーファンとキバガミの姿があった。
キバガミの応急手当と、ウーファンの方陣の力であれば、彼女の命にも別条は恐らくないだろう…安堵したかのように、ミスティアもその場にへたり込んでいた。
ほむらはローゲルの元へ歩み寄ると、涙を拭うことなく言い放つ。
「ウロビトもイクサビトも…人間も妖怪も神様も関係ない。
みんな、一生懸命生きているの。
支え合っているのよ。
そのうちのどれかを犠牲にできる権利も、理由も、誰にもあってはならないんだよ…?
ううん…ローゲル、あなたはきっと誰よりもそれを」
「…ああ、わかっている。
そんなこと…解っていたんだッ…!!」
♪BGM 「Decretum」/梶浦 由紀(さやかのテーマ)♪
項垂れたその表情を伺うことはできない。
しかし…その双眸からは、目の前に立つ少女と同じように…大粒の雫が零れ落ちている。
「君らは見たか…イクサビトの里にある墓を?
あそこには、ただひとつだけ人間の墓がある…」
「うむ。
もう十年にもなるか…見たこともない翼を駆って、一人の戦士が霊峰へと迷い込んできた。
傷つき、もはや手の施しようはなかったが…せめてもの情けと思い、その戦士を我らイクサビトの誇りある戦士たちと同じ場に葬った。
崇高な志をもった、その男の心意気に応えて。
その戦士の名は確か」
ローゲルは頷く。
「そうだ。
俺達と共に結界を越え…行方知れずになっていたアルフォズル陛下だ!!」
やはりか、とキバガミは沈痛な表情で瞳を閉じる。
ローゲルはさらに独白を続ける。
「イクサビト達は、恐らくは結界の外から死の呪いを持ち込んだかもしれない陛下にすら、手厚い看護を施し…そして、その悲しみを悼んでくれた事を知った。
だから俺は最初から、「心臓」を持ち逃げする気はなかったんだッ…陛下を看取ってくれた彼らの恩義に応えたくて、せめて彼らを救ってからこの地を去ろうと…!
ウロビト達だって、君たち『狐尾』から受けた恩義に共鳴し、イクサビトの危機を共に救おうと命をかけただろう…それに、君たちだって!!」
彼は拳を文庫の床へ叩きつける。
「何の縁もゆかりもないこの世界の為に…旅路で出会ったたくさんの人たちのために己の身も顧みず駆けずり回る姿を見て…!
俺は、亡き陛下の姿を君たちに見ていたんだ…!!
ありとあらゆるものに無償の慈愛を注ぎ、艱難に決然と立ち向かえる勇気を持ち、飽くなき探求心で困難を乗り越える。
陛下は常に言っておられた、それこそが人間としての最も美しき姿だと…!!!」
「違うよ、おっちゃん。
私達は…ただ、何もしないで後悔したくなかっただけだよ」
彼ははっと、貌を上げる。
ウーファンに介抱されながら、穣子は泣き笑いの表情で彼に語りかける。
「私はアルフォズルさんを知らないよ。
でも、あんたが言う、そういうひとがアルフォズルさんみたいだって言うなら…おっちゃんだって、十分素晴らしい人間だよ。
尊敬する人の意思を継いで、十年も当てもなく求めるモノを探し続けて、受けた恩をちゃんと返そうとして。
そして、間違った事を解って、剣を止めてくれたじゃない。
…おっちゃんはホンキのつもりだったかもだけど…私と諏訪子が生きていられたのは、きっとそのお陰だと思う。
大丈夫…まだきっと、やり直せるよ…!」
「…穣子君…!」
沈黙を守っていたウーファンも、それに続ける。
「貴様が仕出かしたことに対する怒りを、私は忘れるつもりはない。
だが…もし貴様が許されたいと思うなら…彼女らの力になってシウアンを共に救ってくれる事を、私は願う。
…それが、今の私にできる最大限の譲歩だ」
そして、早苗も険しさを残した表情のまま、ローゲルの傍らに来てその傷を癒し始める。
自分の大切な存在を、目の前で殺されかけたこの少女には言葉はない。
しかし、彼女自身解っていたのだ。
諏訪子が彼を全く恨んではいない事を…そして自分が、自分の本心とバルドゥールに対する忠義の板挟みの末に、自分たちの手で殺されるつもりだあった事にも、おそらくは。
「ありがとう…済まない、みんな。
俺に、君たちの力を貸してほしい。
殿下を、止めて差し上げたい…!!」
…
ローゲルの本心を明かさせた彼女たちは、彼の申し出を受けて最深部のバルドゥールを追うこととなった。
ローゲルは派手な外傷の割に、その程度は軽度であり…すぐ十全に動けるようになっている。
そして穣子はウーファンの回復術のお陰で…それでもあまり無茶が許されない状態ではあったが…程なくして戦う力を取り戻す事が出来た。
しかし…ローゲルの渾身の一撃…彼の駆る「砲剣」の最大の一撃であるアサルトドライブをマトモに受けた諏訪子は、彼女の事前の仕込みもあって一命は辛くも取り留めていたものの、肋骨数本を折っていると思しき重傷で…暫くは動くこともままならないであろう、というキバガミの見立てだった。
故に諏訪子はキバガミに後の探索を委ね、ウーファンと共にタルシスへと戻ることになった。
別れ際、涙にくれる早苗を、諏訪子は優しく諭す。
「必ず、あのバカ皇子を止めてやれ。
そして、ローゲルの気持ちを汲んでやってくれ」
と。
…
道中、誰も口を開かない。
寡黙なキバガミやほむらは元より、意外とナイーブな面のあるミスティアも穣子も、誰も口をきこうとはしない。
いや、その沈黙が…沈痛な表情のローゲルと、俯いたままの早苗を前にしては、だれもその切欠を掴めないと思われた。
それを打ち破ったのは、意外にもほむらであった。
「…早苗さん。
諏訪子さんの気持ちを汲みたいのは、解る。
…でも…あなたはきっと、もっと自分の気持ちをはっきり吐きだした方が、いいと思う」
その言葉にミスティア達もぎょっとして振り返る。
立ち止まる一行。
険しい表情のほむらと、俯いたままの早苗が向かい合わせの形になり…再び重い沈黙が訪れる。
「…わかってる。
わかってるんだ…本当は、私自身が…これだけ諏訪子様や、神奈子様なしじゃ、何も出来ない事だって」
肩を震わせる早苗。
「私がッ…今の私が許せないのはワールウインドさんじゃ…ないッ!
何も出来ないでいる私自身なのよ!
私がもっと強ければ!
諏訪子様達をご心配させないくらい、私がもっともっと強ければ!!
こんなことにはならなかったのよおッ!!!」
その慟哭が文庫に木霊する。
泣き崩れる早苗に近づこうとするほむらを制し、穣子はつかつかとその傍らに立ち、無理矢理にその襟首をねじあげ、その頬を思いっきりひっぱたいた!
その思ってもみない展開に、言葉に困っていたキバガミやミスティアはもとより、悲痛な表情だったローゲルすらも思わず茫然とする。
「だったら、何時までもそういやってうじうじしてるんじゃないわよ!!
あんたが過去にどんな目に遭ってきたのか…私だって知ってる。
でもあんたは、その自分自身の傷に寄りかかり過ぎだ!!
それを理由に、心の底であんたは甘えたがってるだけなんだよッ!!!」
怒鳴りつける穣子。
ほむらには、その表情を何処かで見た錯覚にとらわれる。
「もう、私はあんたを慰めるような言葉は言わない。
諏訪子はあんたを、迷惑をかけないいい子だって言ってたけど…私はそうは思わない。
…あんたがあんた自身をそうやって突き飛ばし続けるなら…諏訪子の…私の最高の友達の為にあんたなんか生かしちゃおかないから!!!」
そう吐き捨てると、穣子は踵を返し、ずんずんと先へと進んでいく。
その光景をおろおろと見守っていたミスティアやキバガミも、放っておけないとほむらに目配せし、ほむらが頷くと二人は穣子の後を追いかけてゆく。
そこにはほむらとローゲル…そして早苗だけ取り残された。
…
…
静葉「みいいいいいいいいいいいいいいいいのおおおおおおおおおおおおおおおおおりいいいいいいいいいいいいいいいいいこおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!><」
かごめ「あーあこのひとだけはぶれないと思っていたが。
まあ、あたしもつぐみがああなったらどうなるか解らんしなあ」
紫「だったらそんな無責任な展開を考えなければいいものを。
正直アリスが戻ってきやがったお陰でただでさえややこしいことになりかけてるというのに」
かごめ「なんじゃいいたのかあんたは。
ネタ的にもうあの世界には直接介入できそうにないから、本家本元の力をもってしてもここからが最後の一方通行になる、的な話を次でしようと思ってたからそこからにしてくれと思ったんだが」
紫「肝心の相方である秋神があのあるさまだし仕方ないじゃない(呆
しかしまあ粘っこいネタを考えたものよね」
かごめ「当初はそのつもりなかったんだけどねー。
しかしネタばらしすると、穣子は健在のままで話は進めるよ。
一応この話の主人公ってあいつだから」
紫「【ゑっ】
こ、こういう場合は直後の階層ボスで無理をしたのが祟って再起不能になるとかそういうのでは
かごめ「【そんなこたありません】
せっかくここまで書き切ったんだし最後まであのバカには徹底的にやってもらうわ。
それに正直、だんだんあいつが良くも悪しくも突っ走ってくの見てるの楽しくなってきたあたしがいる」
紫「あーうん…それはわからんでもない…」
かごめ「とりあえず与太話の上ではここで諏訪子は脱落。
代役でキバガミさんにはいってもらってますが、この後の階層ボスも普通に諏訪子でお送りしますのでご了承を。
まずはその前哨戦でもあるローゲル戦から」
紫「ここからが本領発揮のターンね。
ローゲルのHPは9000弱、ほぼ弱体ホムラミズチと変わらない量…恐ろしいのは高確率で初手に飛んでくる各種ドライブね」
かごめ「適正レベル(45前後)だと、無対策ならフォートレスが2りくらい余裕でふっ飛ばされるダメージ受けるらしい。
だがこれ、回避方法が呆れるほどいっぱいあってなー…まずローゲルは各種状態異常、封じには全く耐性持ってねえ。
腕縛るか、スタンさせるか、暗闇状態にするかすればあっさりとドライブを失敗する」
紫「さらに言えば…これネタバレなんだけど、インペリアルのスキルである各種ドライブは、発動前には防御が下がってしまうという酷い副作用がある。
挙句、足が非常に遅い上、砲剣の装備補正もあってほぼ間違いなく、こちらの全員が行動し終わった後に向こうの攻撃になるわけで。
…つまり、初手のドライブで1り持ってかれるのを前提で、初手から全力をぶちかまして行けるということ」
かごめ「止めのひとことを言えば、ドライブ系は一回使うとスキルに応じたターン、砲剣がオーバーヒートして使用不可能になる。
しかも失敗しても、だ。
実は今回、諏訪子に飛んでったんだが見事にガードマスタリが発動しやがって、ノーダメージで済みやがったんだよな…挙句次のターンにミスティアの暗闇投刃はキマるわ、ほむらのアームスナイプは決まるわで」
紫「それ本気で酷いわね…なんなの嫌がらせなのそれ」
かごめ「そしてこっちからはというと、リンクプラスとヴァンガード、アタックタンゴにチェイスサンバ、さらに羅刹チャージからのシルバーアローという超火力によりオーバーヒートが解除されるターンまでに試合終了という」
紫「羅刹レベル1のクセに、チャージと物理攻撃ブーストをがっつり振ってのシルバーアローだから、裕に4ケタはダメージ行くんじゃなくて?」
かごめ「平均1200くらいかな、まあ意味解んないよな。
まあ運が重なった上に1ターンで奴の体力を4割程度持ってくんだから、まあ苦戦する要素は何処にもなかったなという」
紫「レベルも馬鹿みたいに高かったけどね。
てかなんで、道中の動かない石像FOEも積極的に始末して歩くんですかと」
かごめ「邪魔だったからつい(手屁ッ♪」
紫「…前々から解ってたけどそんな理由でFOE掃除とか本当にアホなのではないかと(呆
冷徹な監視者、そしてそれの警報に反応する慈悲なき排除者はどちらも火力が高い上、監視者のターゲットサイトからの排除者のフリーズアクセルのコンボがどれだけヤバいのか解ってるんじゃないの?」
かごめ「単純にトゲつき鉄球も軽減できねえみたいで非常に痛いんだけどな。
あと険牙、突属性っぽい気もするけど」
紫「地味にどっちも物理を中心に耐性が広いっぽいからだいぶカタいと思うんだけどもねえ。
監視者を退かさないと通れない場所がいくつかあるとはいえ、普通は倒してまかり通るなんてことは考えないわよ。
…階層ボスに挑んだ時点で全員のレベルが54とかありえない数字になってたの、ぶっちゃけこいつら狩ってた所為でしょう?」
かごめ「否定はしない(キリッ」
かごめ「っつーわけで次回のログでいよいよ第四階層も突破。
それが過ぎたらあと残るボスh」
紫「おっとそこまでよ(キリッ
私もヒマなのでこのまま居座らせてもわうわね…多分あの秋神当分帰ってきそうにないし」
かごめ「仕方ないね♂」