〜木偶ノ文庫 最下層〜
その場に遺され、俯いたまま微動だにしない早苗に…意を決したようにローゲルが口を開く。
「…こんな時に、あのような事をした俺が言うことではないかも知れないが。
俺は、君らが幽谷から帰ってきたそのとき、あの時のやり取りもずっと見ていたんだ。
君らの気付かない位置からだが」
彼が言っているのは、レミリアが重傷を負って戦線離脱し、諏訪子がこの地にやって来たときの事だろう。
「俺は、君が諏訪子君に取りすがった姿を見た時、帝国に遺されてしまったバルドゥール殿下の事を思い出していたんだ。
幼くして父君や、遊び相手であり教育係でもあった俺達を一度に失うこととなった最後の日。
殿下が、旅立たれる陛下に取りすがって、行かないでくれ、と泣いておられた姿をな。
…今思えば、今の殿下の行動も…殿下を孤独に追い込んでしまった俺たちの所為なのかも知れない」
ローゲルは目を伏せる。
「諏訪子君は、その真なるところは知らずとも、俺がやろうと思っていたことの大まかな意味にも気づいていただろう。
それほどまでに聡明な彼女であれば、君の事を誰よりも深く理解していたはず。
嘘吐きというのは簡単だ…だが、彼女が君に言った言葉は、君の弱さを誰よりも深く理解した上で、必死に支えようとした事の表れなのだと、俺は思う。
もし、俺だけでも彼女のように、殿下の傍に残り続けていれば…今となっては、未練だとは思うのだが」
「わたし…わたし…どうすればいいんでしょう…?
諏訪子様がいなくなって…穣子さんにもきっと…嫌われちゃった。
きっと、他のみんなだって」
「ちがう、それは違うよ早苗さん!」
ほむらは早苗の身体を強く抱きしめる。
「私、この世界に来ていっぱい解った事がある。
穣子さんの事も…私は最初からずっと誤解してた。
でも、レミリアや諏訪子さんがあのひとの事をいつも、手のかかる厄介者みたいに言ってたけど…それはきっと、あのひと達は穣子さんの事も友達と思ってるから。
穣子さんもきっとおなじ。
だって…あのひとはたちはお互いの事を云う時、やさしい目をしてた。
誰かと心を通じ合わせるって、そんな簡単な事でよかったんだって…!
さっきの穣子さんの言葉を聞いて、私やっと解ったんだ…!」
「ほむら…ちゃん」
「だから、早苗さんだってそれでいいんだよ…!
あなた自身が抱えた弱さを、私達は嫌いになったりなんかしない…穣子さんだってそうだよ!
それに…私は信じる。
この世界に来て間もない頃、私を勇気づけてくれた言葉が、あなたの持っていた強さだって。
だから、今度は私に支えさせてよ…早苗さんの弱さを!
あなたがあなたである事を、捨てたりしないでよ!!」
それ以上、ふたりに言葉は続かなかった。
お互いの弱さを支え合おうとする二人の姿に、ローゲルは猶一層、バルドゥールの歪んだ宿願を糺さねばならないと…それが己の真の忠義であると、心に誓った。
-狐尾幻想樹海紀行2-
その13 「真なる
♪BGM 「戦乱 紅炎は猛り白刃は舞う」/古代祐三♪
穣子は幽谷で見た光…シウアンのあるところに必ず現れる不思議な蛍火に導かれ、たどり着いた扉の先を空けると…まるで竜が巣でも作れるのではと思わせるほどの大広間だった。
その中央には、バルドゥールとシウアンの姿がある…が、彼女はぐったりとした状態で皇子に支えられ、その周囲には強く光る蛍火が舞っている。
「シウアン…!
てめえこのバカ皇子!
シウアンに何をしたあッ!!」
瞬間沸騰した穣子が白刃を大上段に構えて駆け出そうとするが、間一髪追いついてきたミスティアの無言のタックルをくらい横殴りに吹っ飛ばされた。
文庫の冷たい床に顔面からダイブする羽目になった穣子が起き上がって、その下手人を怒鳴りつけようとした瞬間…バルドゥールと穣子達の間を遮るように雲突くような石巨人が床を響かせて落ちてきた!!
「…みすちー。
止めようとしてくれた事は嬉しいけど、手段選んで」
「そそ、それどころじゃない勢いだったじゃないかあ!!><」
「二人とも無事かッ!?」
そこへ一拍遅れてキバガミも現れる。
彼もまた、その石巨人の異様に即座に獲物を構え、応戦の構えを取った。
狂気の色をさらに濃くする哀しき皇子は、表情を変えることなく穣子達を睥睨し…淡々と告げる。
「無駄だ。
帝国の民の希望を背負う余が、貴公ら一介の冒険者に止められる道理があるまい」
「煩えよ。
あんたが何様かとかそんなの関係ねえ…あんたはこの私と…幻想郷で一番おっかない祟神の怒りに触れたんだ!
ガキの絵空事と笑って済ませられる段階は終わり!
あんたは必ずぶちのめしてウーファンやキバガミ達…そしてワールウインドのおっちゃんにも土下座させて詫びさせる!!」
「笑わせる…あの神木は高尚な目的の為に作られた。
汚された大地を浄化する、ただそれだけの為に作られた神木…それが世界樹だ。
ウロビトもイクサビトも世界樹を育て、守るために作られた。
ならば世界樹を目的の為に使い、その為にあの者らを犠牲にすることに何故躊躇う必要がある!?」
「ふざけるなあ!!」
穣子は全身から湧きあがる怒りを、総て叩きつけるかのような渾身の声で言い放つ。
「あんたシウアンの言った事、全ッ然聞いてないよな!
神様でもないあんたが…神様ですらやろうとしない事をやる権利なんてどこにもあるわきゃねえ!!
いや、あったとしてもこの私が全部否定してやるッ!!!」
凄まじい怒りの視線と、深く色濃い狂気の視線が交錯する。
「我が帝国の問題は貴公らにとっても対岸の火事では済まぬ。
多かれ少なかれ大地は汚れているからだ。
数十年の内に、タルシスも間違いなく同じ問題に直面しよう。
その時、辺境伯や貴公に何ができる!
あの者にも伝えるがいい!
大義を胸に刻み、目の前の情に流されてなんとする!!
今のままでは何も救えぬぞ!!!」
「あんたは…!」
なおも何か言おうとする穣子を制し、キバガミが前に進む。
「情けないことよ…!
お主の父君であれば…例え力及ばずとも絶望せず、犠牲を払わぬ道を最後まで模索し続けたろう…!
今のお主を見たら、泉下のアルフォズル殿もさぞや嘆かれようぞ!!」
その言葉に、僅かに表情をゆがめるバルドゥール。
そして。
「この者達の言う通りです、殿下」
強い意思と共に、その言葉を放つ男…ローゲルの姿を見た時、バルドゥールは初めてはっきりと狼狽の色を見せた。
『何故ここに』と、瞳で訴えかけるようにも見える。
ローゲルはそれにも怯むことなく、言葉を続ける。
「殿下、恐れながら申し上げます…計画には見直しが必要です。
このような犠牲があってはなりません。
…お忘れですか殿下…『誰も傷つけない』、それがこの計画のため、命を落とした騎士達と御父上の願いであったはず!!!」
「だまれ…黙れえええええええええッ!!
ローゲル、お前も!お前も僕から離れていくのか!!お父様達が僕を置き去りにしたようにッ!!!」
そのとき、バルドゥールの態度は豹変した。
その姿に、当初の威圧感と冷酷さはない…まるで、それは耐えがたい孤独と悲しみにうずくまって泣いている子供のようにも映る。
「…殿下…それは…!」
「いいさ、十年前から僕は一人だったんだ!
今更お前がいなくても!お前なしでも、僕はやり遂げる!!
見ているがいい…僕が!お父様に代わって皆を守るんだ!!!」
何かに憑かれたように絶叫するバルドゥール。
そのとき…力なくその腕の中に身体を預けていたシウアンが、目を開き、弱々しくもはっきりとした声で訴える。
「だめ…そんなことしてはだめ…あなたも、きっと壊れてしまう…!
ほんとうは、あなただって…!」
そうして、彼の手を取ろうとする…しかし。
「僕に触るなああッ!!」
その手を払いのけると同時に閃光が放たれ、シウアンの身体を貫いた。
彼女はそのまま光に包まれ…その場に力なく倒れる…!
声を失う一同。
そして、皇子もまた、自分のやってしまったことに気づき…膝をついて少女の手を取る。
しかし、無情にも…彼女は何も応えなかった。
「…っ……あああああああああ!!」
心が砕けたような絶叫が吐き出される。
それに応えるように石像は機械音を上げ、凄まじい剛拳が横薙ぎに穣子とミスティアを吹き飛ばした!
「っ…おのれえええええええええ!!」
激高したキバガミが、長年愛用してきた無銘刀を力任せに振りおろす…が、巨像は全く堪えている気配がない。
それどころか、鍛え抜かれた彼の肉体すらも、いともあっさりその拳の一撃で壁際まで吹き飛ばされた!
「くっ…!」
ローゲルは先の戦闘でのダメージも完全に癒えきらぬ体のまま、必殺の大技であるアサルトドライブの構えに入る。
しかし、彼が力を放つよりも速く、巨像は巨体に似合わぬスピードで次の攻撃を繰り出してくる…!
「させません!!
祟り成す輩、夜刀神、蝦蟇の神、風祝の名に於いて従え!
『手管の蝦蟇』!!」
♪BGM 「信仰は儚き人間の為に」(東方風神録)♪
一陣の風が渦を巻き、緑色の帯のような光がその腕を雁字搦めにして縛り上げた!
それと共に、幾条もの光の矢が飛来して追い打ちをかける。
「好機!」
ローゲルの渾身の一撃が、腕を封じられよろめいた巨像に炸裂し、その胴体をすさまじい爆風で吹き飛ばした。
気づけば、床一面に緑色の光を放つ方陣が展開されている。
そこから湧きあがる癒しの力で、気を失っていた穣子達も目を覚ます。
穣子は誰かに抱えられた感覚を覚え、見上げると…そこには、泣き笑いのような表情の早苗の顔がある。
「…ごめんなさい、遅くなりました…穣子さん!」
驚いた表情を見せる穣子だったが、すぐにいつも通りの勝気な笑みを作ってやると、その腕の中から飛び起きる。
「早苗ッ!話はあとで、みすちーやキバガミもその辺に転がってるからすぐに叩き起こしてやって!
あのデカブツを叩き潰すよ!!」
「はい!!」
…
…
かごめ「つーわけでここからが露骨な伏線の一気消化だ覚悟しろ野郎ども!!!ヽ( °Д °)ノ 」
紫「誰に言ってんのよ誰に。
まあここは毎度の如く、第四迷宮ボス戦時のステータス紹介からね」
ミスティア(ダンサー/ナイトシーカー)
踊り子の心得(★1) 踊り子の極意(★1) 踊り子の悟り(★1)
リジェネワルツ(3) リフレッシュワルツ(★4) リカバリワルツ(★4)
アタックタンゴ(3) ガードタンゴ(1) エナジータンゴ(2) ワイドダンス(1)
カウンターサンバ(3) チェイスサンバ(1) トリックサンバ(1)
扇の舞(★10) 剣の舞(4) 霞の舞(1) バーストセーブ(1)
樹木学(★1)
アイスブラッシュ(3) ディレイスタブ(2) アサシネイション(1) 盲目の投刃(☆3)
追影の刃(☆3) 追影の残滓(☆4) ハイドクローク(☆2) 先制クローク(☆2)
穣子(ソードマン/ルーンマスター)
剣士の心得(★1) 剣士の極意(★1) 剣士の悟り(★1)
ソニックレイド(3) リンクフレイム(3) リンクフリーズ(3) リンクサンダー(3)
ヴァンガード(3) 先駆けの功名(4) リンクプラス(★8) リンクマスタリ(★6)
物理攻撃ブースト(5) 物理防御ブースト(1) ソードブレイカー(★6) 攻防一体(5)
鉱物学(★1)
ルーンの輝き(2) ルーンの盾(☆2) ルーンの導き(☆3)
TPブースト(1) TPカット(☆3)
諏訪子(フォートレス/ルーンマスター)
城塞騎士の心得(★1) 城塞騎士の極意(★1) 城塞騎士の悟り(★1)
ボルトストライク(1) 騎士の加護(3) 聖なる加護(★4) 防御陣形(3) 防御陣形U(3)
挑発(★4) 先制挑発(★4) ランパート(★6) ガードマスタリ(★8) HPブースト(1)
ディバイドガード(3) ラインディバイド(3) オールディバイド(3) ディバイドモード(2)
鉱物学(★1)
炎の聖印(☆3) 氷の聖印(☆3) 雷の聖印(☆3)
TPブースト(1) TPカット(☆3)
早苗(メディック/ミスティック)
医術師の心得(★1) 医術師の極意(★1) 医術師の悟り(★1)
ヒーリング(4) ラインヒール(4) フルヒーリング(2) パーティヒール(4) オートヒール(3)
リザレクト(4) オートリザレクト(1) ヒールマスタリ(5)
リフレッシュ(★6) トリート(1) リカバリー(★6) ストレッチ(3)
薬草学(★1) 戦後手当(1) 危険食材の知識(★1)
陣回復(2) 解魔の札(☆2)
脚封の方陣(2) 腕封の方陣(2) 頭封の方陣(1)
抑制ブースト(2) TPリターン(☆3) 地脈操作(☆2) 回復歩行(1)
ほむら(スナイパー/モノノフ)
狙撃手の心得(★1) 狙撃手の極意(★1) 狙撃手の悟り(★1)
レッグスナイプ(3) アームスナイプ(3) ヘッドスナイプ(3) チェイスバインド(1)
ロングショット(3) フランクショット(1) フルメタルアロー(2) シルバーアロー(3)
ロックオン(3) 正鵠の明(5) イーグルアイ(1) 物理攻撃ブースト:スナイパー(1)
カモフラージュ(2) 警戒伝令(1) スカベンジャー(1) 観測(1)
樹木学(★1) 鑑定眼(★1)
峰打(1) 衝破(3) 氷刹(1) 咆哮(☆2)
羅刹(1) 羅刹解除(☆2) チャージ(☆2) 背水の陣(☆4) 物理攻撃ブースト・モノノフ(☆5)
食いしばり(☆2) 獅子奮迅(☆4)
かごめ「途中スキル見直しの休養やらで微妙に増減したスキルもあるが、大きく変わったのは穣子と諏訪子か。
攻防一体の聖印からリンクプラス・ヴァンガードとチェイスダンスで前衛3りがバリバリ殴りに行く短期決戦構成だ」
紫「実はフォートレスがいる意味があまりないわね。
…ああ、だからか、この時期に来てのメンバーチェンジって」
かごめ「んや?
単純に新しいキャラを導入しようと思ったから、消去法で選んだんじゃね?」
紫「えちょ」
かごめ「ミスティアかほむらを抜く選択肢もあったみたいだが、前者は攻撃の主軸な上にさとりとかだとダンサーというイメージが厳しい、後者は書いてるうちに与太話部分の中核に食い込み過ぎて…というか完全に穣子で話書くのが面白くなってきて抜くに抜けなくなった。
諏訪子が抜けてもほむらがストッパーとして機能してくれるからな」
紫「しかし…そう考えるとストッパーの代替わり激しいのね。
あの芋神がそれだけストッパーにいらん重圧かけまくってるんじゃなかろうか」
かごめ「もっと好意的に考えれば、穣子は劉備的ななんかがあって、奴のストッパーを演じているうちに知らず知らずあいつの為にみんな無理をしてしまうのではないかと…思ってもいいし思わなくてもいい(キリッ」
紫「えー('A`)」
かごめ「まあそれはいいだろ。
前衛で兎に角アホウどもがドンパチしまくってる所に、後衛からほむらの超火力が追い打ちを仕掛けるという非常に攻撃的な構成だ。
範囲攻撃も増えてくるし、フォートレスの存在は完全に気休めだな」
紫「いやあ最終的な保険として必要な気もしますけどねえ…。
風祝はなんなのよ、立ち位置的には独立している感じだけど」
かごめ「まあ見ての通り、基本は回復役で状況次第で陣を張っていくポジションだな。
ここまでのスキルポイントが確保されたら、状態異常系の陣か破陣を取りに言ってもいい気はするが」
紫「結局トリートの存在意義ってなんなん」
かごめ「さあ…弱体で困るのって精々攻撃力低下くらいだしなあ。
一斉救護やフルリフレッシュを取っても一体何処で使えというのか。
救護は全体に異常が飛ぶこともあるとはいえ、ミスティアのリフレッシュワルツもあるからなあ」
かごめ「そして対するは揺籃の守護者という木偶人形だ」
紫「何気に前作の第三階層ボスもロボットだったわね。
あからさまに土偶だった気がしなくもないけど」
かごめ「いやああんな分離してた方が硬い事に定評がある見かけ倒しには用はねえ(キリッ」
紫「(えっ天地双覇掌の存在頭から忘れてるのかしら)
と、兎に角基本的なスペックを…引用は相変わらず攻略wikiからね」
モード変更(「〜モードになった!のメッセージ」):攻撃パターンが変化する
アーム/フレイム/アイス/ショックミキサー(腕):全体大ダメージ。物理モードはアームミキサーで斬属性、炎モードはフレイムミキサーで炎属性、氷モードはアイスミキサーで氷属性、雷モードはショックミキサーで雷属性。
メガトンパンチ(腕):拡散効果のある壊属性攻撃
パイルバンカー(腕):貫通効果のある突属性攻撃
電磁ショック(頭):全体に麻痺
リストレイント(頭):全体に頭縛り
ディスエレメント(頭):属性防御力上昇
紫「しかしまあ、四層ボスだからって本当にはっちゃけてますこと」
かごめ「シンから腐敗と混乱取っ払った代わりに麻痺入れて、キリンの縛りが頭だけになったのが同居していると思っていいな。
こいつには4つのモードがあって、戦闘開始直後は物理モードで三色属性が弱点だから、いきなり聖印経由とかでローゲルのドライブを叩きこむと凄まじいダメージが出る。
3ターン目にアームミキサーをぶっぱしてくると、次のターンでモードが変わる。
その後、何らかの攻撃→ミキサー→モードチェンジ…というループになる。
強烈なのは各モードの必殺攻撃・各種ミキサーだが、これも無対策だとダメージが300を余裕で越える」
紫「それも多いに注意すべきところですが、ランダム行動のターンで何が来るかでも重要ね。
特に恐ろしいのは電磁ショックかリストレイント」
かごめ「電磁ショックから回避不能のミキサーはhage最短ルートだからなあ。
勿論開幕のターンに飛んでくることもあるし、リフレッシュワルツが欲しいところだが…リストレイントの可能性もあるし、リカバリとどっちをはるかは悩みどころだ」
紫「この時点では地味に軽減の手段が少ないアームミキサーをどう防ぐかも重要なカギ。
ランパートと斬撃護符を併用したフォートレスのオールディバイドや、イージスの護りで強引にやり過ごすのも一つの手だけど」
かごめ「こっちもレベルがアホみたいに高かったからそのままやり過ごしたけどなあ。
レベルも高かったし今回わりと何も考えず力技だったとは思う。
ローゲルの聖印+アタックワルツドライブで弱点突けば1800前後のダメージ出るし、その上に穣子みすちーペアの怒涛のリンク攻撃がこれまた3000近いダメージを叩き出すし」
紫「こいつHP15000でしたっけ?」
かごめ「弱点は変わるとはいえ、突きやすいからなあ。
体感的には10000くらいだと思ったくらい」
紫「それ単純にレベルが高いだけだからってのもあるでしょうに。
まあ対応する聖印でミキサーのダメージを抑えつつ、モードごとの弱点を突いていけば手っ取り早いしね。
炎の時は氷、氷の時は雷、雷の時は炎が弱点になるから、それに応じた攻撃を繰り出していけばいいと」
かごめ「いやあローゲルのサブ職がソードマンじゃなくてナイトシーカーとかだったらどれだけありがたいことか」
紫「でもインペリアルとソードマンのシナジーもかなり大きいわよ。
もっとも、習得スキルの比重の置き方にもよるけど…wikiだと攻撃スキルの比重をソードマンにおいて、TP確保手段を本業におくのがおススメみたいなこと書いてあったし」
かごめ「だって各種ドライブやインパルスエッジと追影の残滓のコンボが神過ぎるんだよおおおおおおおおおお文句あるかああああああああああヽ(
°Д °)ノ 」
紫「ああ、だからこれから加わるサポs…いや何でもありませんわ^^;
そして15000のHPを削りきると、その頭だけが残って3ターン後に自爆してきやがるわね。
実際はこいつの方が面倒くさかったと」
かごめ「ローゲルがオーバーヒートから回復してたし、ほむらの羅刹チャージシルバーアローもあったからなんとか3ターン目に先手で倒しきれたけどな。
余談だが頭だけの時と通常の形態で別扱いで、それぞれの素材が入手できる。
兎に角アームミキサーと電磁ショック・リストレイントさえやり過ごせば、ホムラミズチより多少強い程度のボスになり下がる気はするわな」
紫「まあ大概はそれがどうにか出来ないからhageるんでしょうけど」
かごめ「いやまあ…確かにアームミキサーだけで全員が一度にふっ飛ばされかけたけどな…。
返す返すこのゲーム、レベルの暴力って通用しねえよな」
紫「私に言わせればはっきり言って上げ過ぎよ…しかも道中邪魔なFOEどかす為に道すがら始末して歩くとか正気の沙汰ではない」
かごめ「返す言葉もねえな('A`)」
かごめ「攻略部分は以上だな。
こっからは怒涛の与太話モード、いよいよストーリーも最終局面に進んでいきますな」
紫「けどどうせこの後クエストとかそんなのはさむ気満々よね」
かごめ「否定はせんよ否定は。
じゃ、今回はこのへんで」
…
…
胴体を吹き飛ばされても、最後の力を暴走させて自爆しようとしたその頭部もほむらの放った光の矢で機能を停止し、完全に動かなくなったことを確認した一同は、フロアの奥にある祭壇へと駆け寄る。
既にバルドゥールの姿はない。
倒れたシウアンが放つのと同じ光を放つ祭壇が、そこにあるだけだった。
「やはり…この奥へ。
殿下…これ以上は、もう…!」
ローゲルは言葉を詰まらせ、握り締めた拳からは血が滴り落ちる。
穣子は不安そうな表情で、恐る恐る問いかける。
「おっちゃん、これ、いったい…?」
「殿下が放った閃光…あれにより、巫女に対する最後の「調整」が終わったと思っていい。
もう、恐らくは今…シウアンに意識はないだろうな…。
後は、彼女と「心臓」を世界樹に返す事で「世界樹の力」が蘇る」
「そんな!
もう手遅れだって言うの!?」
ミスティアの言葉になおも何か告げようとしたローゲルだったが、その瞬間凄まじい振動が文庫を襲う。
「( ̄□ ̄;)ひゃあああああああ!!?」
「こ、これはいったいッ…!?」
一気に体勢を崩され、足を滑らせた穣子の上にミスティア、そして早苗まで折り重なって倒れ、ほむらとキバガミは思わず膝を突く一方で…ローゲルだけは卓越した平衡感覚で踏みとどまっている。
「くっ…今のはまさか…始まったのか!?」
振動が収まると、穣子達が制止する間もなく彼はフロアの外へ駆け出していく。
…
同じ頃…タルシス。
「おい!アレを見ろ!!」
「世界樹が…!!」
はるか北、そびえ立つ神樹が…俄に枯れ始め、倒壊していく。
パニックに陥る民衆。
諏訪子が眠るベッドの傍ら、診療所の窓から見えるその信じ難い光景に、ウーファンもまた言葉を失った。
彼女の瞳に映るその大樹の周囲には、訴えかけるかのように蛍火が舞っている。
「そんな…シウアン!!」
彼女には解ってしまったのだ。
それは、まるで彼女の悲しみの慟哭であるように、ウーファンには思えた。
「大丈夫だ。
シウアンはきっと無事だ…それに、まだ希望はある」
彼女はその声に振り返る。
それまで眠り続けていた諏訪子が、意識を取り戻していた。
女将やキバガミの見立てであれば、もう数日は目を覚まさなくてもおかしくない…そのはずだった。
だが…ウーファンはすぐにその理由を悟った。
諏訪子の周囲にも、シウアンの力の一端である蛍火が舞っている。
「諏訪子…お前、その光が…何故」
「話してなかったっけか…?
私ぁイクサビトの里でちぃとドジを踏んじまってな…シウアンに「世界樹の呪い」を払ってもらったんだ。
そのとき、きっとあいつの力が少しだけ私の中にも残ったんだろう。
あいつが「世界樹の心」に化す瞬間、少しだけ私の傷を癒してくれたんだ。
まあ、しばらく身動きできないのは確かだろうが」
苦笑する諏訪子。
「この光を通じて、今のあいつを…「真の世界樹」を少し感じる事ができる。
あいつが大丈夫だって言ってるんだ。
…多分、バルドゥールが巨人を復活させる儀式に入るまでに、少なくとも数週間はかかるだろう。
その間、シウアンの力があいつの意思とは無関係に発現して、あの近辺は近づくことすらできない…そう言ってる」
ウーファンは険しい表情で彼女を見つめる。
「…ウーファン、あいつはこうも言ってるよ。
バルドゥールを恨まないでやってくれって。
バルドゥールももう長くないんだ。
あいつ自身が、もう生きている事が不思議なくらい…世界樹の呪いに侵されているって。
だから、あいつは他に何も出来なかったって。
誰にも頼れなかったから、そうするしかなかったんだって」
ウーファンは表情を変えず、しばらく沈黙を守っていた。
だが…溜息を吐いて、観念したかのように呟く。
「あの子は…。
どうして…こんな目に遭わされたって言うのに…!」
その瞳に涙がにじむ。
諏訪子が首を振る。
「違うよ…きっと、あいつはきっと…!」
…
程なくして、混乱するタルシスへと帰り着いた穣子は…迷った末に諏訪子やウーファンに事の顛末を報告する覚悟を決め、宿の診療所へ足を運んでいた。
そこには、辺境伯の姿があった。
「事の次第は私も理解しているつもりだ。
君らなら、先ず必ずここへ足を運ぶと思っていたからな」
「辺境伯のおっちゃん…ごめん、私達」
辺境伯は頭を振る。
「気に病む事はない。
君らが皇子を止められなかったのであれば、他の誰が行っても結果は変わらなかったろう。
君らが全力を尽くしてくれた事は、他の誰が批難しようとこの私が己の魂魄にかけて保証する…よくぞ無事で帰って来てくれた」
そう言って手を取り、頷いて労をねぎらう辺境伯に、穣子の瞳からも悔し涙がこぼれる。
「でも…どうすればいいんだろう。
崩れた世界樹には、何処かに通じてる空洞があったけど…シウアンのところに舞ってる蛍火が通してくれないんだ。
あのまま放っておいたら、巨人が復活して、きっと…!」
絶望の表情でつぶやくミスティア。
そのときだった。
「諦めるのはまだ早いですよ。
まだ…終わってはいません」
振り向いた先から一人の少女が現れる。
薄桃色のボリュームのあるショートカットを揺らし、胸元からこちらを睥睨する「第三の目」。
「あんた…どうして…どうやってここに!?」
それは、穣子も良く知るその人物…地底最強の妖怪・古明地さとりそのひとであった。