あらすじ
穣子達の奮闘虚しく、「最後の調整」を施されたシウアンとともにバルドゥールは世界樹の起動へと赴いてしまう。
挙句、危険を冒してこの世界を渡ってきたレミリア達から幻想郷にまで危機が迫っている事を知らされる。
穣子達は残された時間内に儀式を阻止するため特訓を開始した。タブンネ。
〜丹紅ノ石林〜
羊A「発狂めぇー><」
羊B「発狂めぇー><」
レミリア「あー懐かしいわねーあいつら。
さて、折角手に入れた力だし、試してみようかしら」
そういうと彼女はおもむろに、背負った布包みの中から巨大な剣を取りだす。
その姿は穣子にも見覚えがあった…。
穣子「えちょそれっておっちゃんが持ってた」
ほむら「砲剣…!?」
レミリア「これ砲剣っていうの?
槍っぽい武器だから気に入ったし、私が寝ている間に夢に出てきた親切なおじ様が使い方を教えてくれたわ。
…攻めに出れる時には、私も積極的に打って出るくらいはしないとねッ!!」
金糸衣笠茸に夢中になっているアワレな羊は金ぴかに光りだしている。
レミリアが砲剣を構えると、駆動しはじめたそれは周囲の魔力を高速で取りこんで赤熱しはじめる…!!
レミリア「さとり、頼むわよ!」
さとり「らじゃーりょーかーい(しれっ」
レミリア達は先手を取った!
さとりは炎の聖印の構え!
レミリア達の炎耐性がアッポするとともに羊どもの炎耐性はアワレにも下げられた!!
レミリア「喰らえッ!
アバン流刀殺法・改!
火焔大地ざああああああああああん!!」
レミリアはフレアドr…じゃなくてフレイムドライブの構え!
破壊力ばつ牛ンの一撃!!
アワレにも羊は骨になった!!
穣子「( ゚д゚ )ポカーン」
みすちー「( ゚д゚ )ポカーン」
ほむら「( ゚д゚ )ポカーン」
レミリア「ふむ、ネーミングセンス的にはいまひとつね(キリッ」
さとり「それツッコミどころ違いますよね。
…というか何故あなたこんなのいきなり使えるんですか?」
レミリア「そーねー、何処から話したもんかしらねー」
…
♪BGM 「街景 時を失くした王」(SQ3)♪
その少し前、宿の一室。
レミリアの帰還を祝し、これからの景気づけを兼ねてと辺境伯が招いてくれた夕食会を終え、彼女はひとりワインを味わっているところへローゲルが訪ねて来ていた。
「さとり君…といったか、彼女に聞いたんだ。
君が…傷つき元の世界に戻った筈の君が、知る筈もない砲剣に関する夢を見た、そう聞いたのでな」
「ワールウインド、いえ、ローゲル…だったわね。
別に隠すようなことではないけど、幸か不幸かこの手の話は信じてくれる者が少ないからね。
…あの空気読まない読心妖怪なら話は別だけど」
経緯を説明したからと言って、レミリアのローゲルに対する態度は表面上そうは変わらないように見える。
しかし、別に敵意や悪意のようなモノはそこにはなかった。
「話をする前に、確認しておきたい事があるわ。
…ローゲル貴方、アルフォズル、という名前に聞き覚えはなくて?」
その一言に、明らかに顔色を変えるローゲル。
「…そう、その表情を見れば重ねて問う必要はないわね。
夢に出てきた戦士風の壮士が、そう名乗ったのよ。
いずれ君がまた戦いの場に立つのであれば、私の剣の極意を受け継いで欲しいと…そして、その剣で、私の息子を止めてやって欲しい…とね」
「陛下が…君に」
そのつぶやきを意に介さない風にして、レミリアは続ける。
「穣子達から私達の事について、どのくらい聞いているか解らないけど…私達妖怪の多くは、人々の感情から生まれた存在。
…そのせいか、精神の中で体験した事は肉体に大きく反映されることもある。
私の怪我は半年そこいらは本来身動きとれないほどのダメージだったけど…夢で修練を繰り返すうちに加速度的に回復が始まって、ほんの一週間くらいでベッドから起きて動けるようになったわ。
それからしばらくの間は、夢で握ったそれと同じモノを、山の河童に作らせて独自にその修練を繰り返したの」
「そうか…君達は、俺の想像した以上にすごい連中なんだな…。
しかし、四方や陛下が君の夢枕に立つとはな」
「信じてもらえるのかしら?」
レミリアがそう、悪戯っぽく笑いかけるのにローゲルも溜息を吐く。
そして、騎士は意を決したように言う。
「…俺と、立ち合ってもらえないか。
君の言葉が真実かどうか、俺自身の目でも確かめてみたい」
…
レミリア「それきりよ。
彼はそれで得心が行ったのか…嬉しそうな顔をしていたわ。
…どうせさとり、あなたならその理由、言わなくても解ってるんじゃないの?」
さとり「そうですね、でもこういうのはあえて当人の言葉で聞くからこそ意味があるのだと、最近思うようになりましてね。
皇帝アルフォズルは、それほどまでに立派な人物であり、偉大な戦士だったと…キバガミさんでしたっけ?
イクサビトの長の方がそうおっしゃっていたから、少しは興味があったのですが」
「死してなお子を思う親心、か。
それとも、今の事態を招いたことに対する慙愧か…その両方か」
-狐尾幻想樹海紀行2-
その16 「霧雨魔理沙のドキドキ大冒険(仮)」
かごめ「…ふーやれやれ手こずらせやがって」
静葉「あなた何事もなく帰って来たわね…天狗はどうしたのよ」
かごめ「ああ、あれなら(くいっ)」
見るとそこには、手は吊られた状態で、足は広げられた状態で固定され、何か節のついた棒のようなものでスカートめくられたり戻されたりされているアワレな天狗の姿があった…。
文「うぐぐ…こんなはずでは><」
ルーミア「油断したね、さあこの事を君の得意な新聞記事にしたらどうだい?(きめぇ顔」
静葉「…何そこでルーミアの襲撃シリーズやらせてるのよ…」
かごめ「見せしめに決まってんだろうが。
此間あたしが負けた時には水着着せられて獣吊りの姿にさせられて記事書かれてんだぞ!?
この程度なら軽いわ!!><」
静葉「深く触れない方がよさそうね」
かごめ「先にスキマも触れただろうが、基本的にレベル上げのメインは羊どもだな。
なにしろ復活速度が熊と同じ一日、しかも意図的に稀少種にできるから金糸衣笠茸2個で16万近い経験値を稼ぎだせる」
静葉「2個? 羊3匹いるじゃない?」
かごめ「崖の上にいる一匹は仕方ないにしても…実は座標で言うb3付近を周回している羊を、c4付近を周回するに近い位置で釣ると、最初の羊を稀少化させて倒す頃にはもう一匹の羊も釣れてくるというカラクリがあんのさ。
勿論、出現を繰り返させているうちに何もしなくても稀少化してる事もあるし、その場合もキノコの節約にはなるな」
静葉「ああ…wikiの用語集に書いてある「ジンギスカン」ってコレの事…」
かごめ「ニュアンス的には遊牧みたいな感じがするんだけどな。
ひょっとするとユルールが案外得意かも知れん、一瞬後には蹂躙されているかも知れんが」
静葉「それじゃ得意でも何でもないじゃない。
あと何気に復活の速いのは…アイスシザーズ?」
かごめ「あれ3日で復活しやがるんだよな…。
ちなみに稀少化も簡単だ、同じ第3大地の獣レア・ハピネスバニーを食わせればいい。
移動タイプのせいか喰い終わるの速いけど、それでも置くタイミング次第で十分バックを取る余裕はある…ブラインシザーズと即死があるから安定はしないし、ドライブも最低2回は打たなきゃならんが」
静葉「やったのか…^^;
まあ、確かに狩れるならホーリーギフトだけで14万稼げるのは大きいわね」
かごめ「だから基本は羊で、余裕があったらアイスシザーズも狩りに行く感じだな。
羊は聖印で適当に弱点つけて、準備時間でアタックタンゴなんかやっといて、ドライブで落とすという単純作業になる。
レベル35くらいまではドライブだけじゃ落ちないから割と総攻撃にはなるが」
静葉「視線対策のリフレッシュワルツも張る必要あるわよね。
たまには頭縛り入るかも知れないけど」
かごめ「まあそんな事を繰り返しているうちに夜雀と黒い子とおぜうのレベルも待機組に追いついたので、そこからB3F裏に乗り込んで道中の魔物も片っ端から狩っていったわけだ。
お陰で第一迷宮の鍵を空けることにはまたレベルが56前後まで」
静葉「迷宮踏破するまでにレベルが11も上がるって何よ一体!!><」
かごめ「だから今回経験値マジでもらえ過ぎるんだって!!><
だからヒマつぶし感覚でレベル稼ぎしてたら、気づいた時にはレベルが想定外に上がってるなんて日常茶飯事過ぎるんだろう。
ある意味ではタブンネボムよりひどい」
かごめ「てな訳でネタになりそうなクエストから、今回は紋章探しからフレースヴェルグを狩るまでをちょっと。
その意味では番外編になるな今回と次回」
静葉「狩るって…そう簡単にいくの?」
かごめ「ついでに言えばメインパーティじゃねえぞ。
つまりまあ、そういうことだ」
…
…
特訓を開始してから一週間が過ぎようとしていた。
思ったよりも速く「鍵」に連なる迷宮の入り口が判明したどころか、突入が可能になったというローゲルの報告があり…不安を感じてはいたものの、穣子達五人は世界樹の麓へと旅立っていた。
そんな折、留守番を命ぜられる格好になった魔理沙が、ヒマを持て余しては勝手に孔雀亭に押し入ってはクエストを持ちかえるという塩梅であった。
さとり「まったく…あなたは一体何を考えてるんですか本当に。
こんなに後先考えずにクエストばかり拾ってきて…」
魔理沙「だってヒマなんだよー。
私じゃ結局レベルが足りねえとか言われておいてけぼり食わされてんだし」
さとり「そりゃあそうでしょう。
素直にルーンマスターになっておけば応用も利いたものを、事もあろうに一からインペリアルの修練を受けるという時点であなた全ッ然状況理解してませんよね?」
魔理沙「なんだよーレミリアだって未経験者だったのに完璧に使いこなしてるんじゃねーかよー」
さとり「…ひょっとしなくてもレミリアさんを馬鹿にしてますねあなた。
もっとも…あなたの飲み込みの速さも異常だし、あの教官さんが「これほどまでの才能は見たことない」なんて舌を巻いていらっしゃいましたがねえ。
しかしどうしましょう、穣子さん達に迷惑をかけるわけにもいかないし…さて」
キバガミ「ふむ、ならば拙者も共に参ろうか。
力量的にそれほど今の我々には差はなかろう、拙者にとっても良い修行になるやも知れぬ」
魔理沙「ひゃっほう!><
流石モノノフの長は話が解るぜ!」
さとり「駄目ですよそんな甘やかした事を…まあ、受けてきやがったモノは仕方ないですね。
可能な限りとっとと片づけてしまいましょう」
…
-Case1 美食屋をぶっ倒せ-
さとり「さて、この依頼で最後ですか…丁度宿に戻ったことですし、女将さんに話を聞いてみましょう。
女将さん、例の美食屋というのは今日も?」
女将「そうなんですよ〜。
あの方が来られると、迷宮から戻ってくる冒険者さん達の分まで無くなってしまうんです〜。
しかも準備の面倒な食材まで要求してくるのでほとほと困り果ててまして。
辺境伯さんもたまに来られるのですが、先日はそのせいでお料理が出せなくて…あの方は何時もおいしそうに食べてくださるから私も腕の振るいがいもあるし、とても残念な顔をされてたから私も心苦しいのです><」
キバガミ「ふむ…迷惑な者もいたものだな。
して、此度はなんと?」
女将「ええ…何でも「力の強くなりそうな料理を持ってこい」などと意味不明な事を言ってまして…」
さとりと魔理沙は反射的にキバガミの方を振り向く…。
キバガミ「…拙者に答を求められても困るのだがな。
ローゲル殿なら各地を飛び回っていたようだから、詳しいやもしれぬが」
魔理沙「あのおっちゃんも「都」の方に行ってるじゃねえかよ。
しかしどうすっかな、何かヒントのようなものでもあればいいんだけど」
諏訪子「んあー?
あんた達なにもめてんの?」
さとり「おや諏訪子さん、動きまわって大丈夫なんですか?」
諏訪子「んーまーねー。
えっ何あの美食屋とか言うのまた今日も来てんの?
あいつ来ると私の食事まで減らされるし正直勘弁してほしいんだけど。
五体満足ならぶっ飛ばして追い出してやるんだけどなあ(シャドーボクシングっぽく動いて見せている」
キバガミ「そ、そうやって無理をなさるな。
ふむ、諏訪子殿も割と各地を飛び回っておられただろう、力の強くなりそうな食材に、心当たりはありませぬか?」
諏訪子「んん?
…そうさな、タルシス周辺に生息する水牛の類にはそうした強壮効果があるはずだな。
最近タルシス水牛もめっきり減ったとか聞いた気もするが…伝説のアルビノタウルスが最近出現したとも聞くし、そいつはどうだろう?」
魔理沙「そいつは一体何処に!?」
諏訪子「えーと地図座標で言うと…」
…
かくして諏訪子の言った通りの座標に行くと、そこには水牛の
しかしそれは美食屋の口には合わず、むしろついでに捕獲してきたブラックタウルスのほうが美食屋を満足させたらしく…。
諏訪子「(もぐもぐ)おおうなんという霜降り度合い!
口の中でとろけるようでいてそれでいてしっかりとした味わい!まるで極上の霜降りと仔牛肉の柔らかさを程よく同居させて兎に角うめえ!!!><」
ギルド長「(もぐもぐ)うむ!やはり女将の焼く水牛は天下一品だな!
四方や幻のアルビノタウルスを女将の手で調理したものを食える機会を得ようとは…しかし、これほどの絶品を無碍にするとは、美食屋という輩の舌も存外見かけ倒しかも知れんな!」
魔理沙「お前ら食べすぎだろう…しかし、単にレアな食材ばかりがアタリってわけでもなさそうなんだな」
女将「そうなんですよー、しかも量が半端ではないから困ってるんです。
あの美食屋さんのこと、孔雀のママさんが「あいつに潰された宿やレストランは数知れず、この宿まで潰されたらどうしよう」みたいな事を言ってまして…流石に連日こうだと私も不安になります><
最近機嫌も悪いですし…」
魔理沙「( ̄□ ̄;)ゑっ!?
と、とても私の目にはあんたそうは見えないんだぜ!?」
女将「あ、いえいえ違いますよー私じゃないですよー?
お鍋が、ですよー^^;」
魔理沙「(…そんなのに機嫌があるのぜ?)」
…
〜翌日〜
どうやら完全に気に入られたと見え、美食屋は今日もやってくるという話だった。
怪訝な表情を見合せながら尋ねると、女将の話はこうだった。
女将「何でも今度は「頭の良くなりそうな料理をだせ」なんて、大変頭の悪そうな事を言い出しまして…」
魔理沙「うへえそんなもんがあったら本当に苦労しねえよ!!><」
さとり「全くです………そんなモノがあったらどれだけこいしの調教が楽なことか(ぼそっ」
諏訪子「仕方ねえメタい話しとこうか…頭縛りで影響受けるのはTECの値だ。
頭を活性化させて一時的にTECを高める食材なら、雲上域の鳥どもだが…北東のはずれに居る皇帝孔雀とかは多分ハズレなんだろうなあ(チラッ」
魔理沙「…そうやって露骨にレア食材もついでに要求してくる…いやらしい」
…
かくして諏訪子の予想通り、ついでに捕獲されてきた皇帝孔雀は大ハズレで…メインのおしどり野鶏はこの頭の非常に悪そうな美食屋を大いに満足させたらしい…。
諏訪子「んん…野鳥の筋張った食感のまるでない非常によい口当たりッ!
そしてこの脂の旨味ッ…「皇帝」の名は伊達ではないなッ…!
なじむ!じつになじむぞッ!!!」
魔理沙「私だんだん、こいつの方が美食屋当人より厄介な気がしてきたが」
さとり「もう触れるだけ止しましょう。
しかし…どうやらこれで完全に火がついたらしく、次は「デスマンティスの好物を持ってこい」とかそんな事をほざいて翌日の予約を入れていったとか」
魔理沙「( ̄□ ̄;)はあ!?
こんだけ色々喰ったクセにまだ喰う気なのかよ!?」
キバガミ「ここまできたらこちらも意地だ…とことんやるしかあるまい。
カマキリ共の好物はどこもそう変わらん。
ならば、その中で最も高級なモノを用意し、今度こそぎゃふんと言わせてやろうではないか!」
魔理沙「おっキバガミやる気十分だなあ。
…ま、私もそのつもりだけどな!!」
…
〜時間は飛んで翌々日、踊る孔雀亭〜
ママさん「あらあなた達いらっしゃい。
あ、そうそうさっき例の美食屋が、涙や鼻水や涎やらその他諸々の汁を撒き散らした名状し難い姿で街の外へ飛び出して行ったんだけど…あなた達何かした?」
魔理沙「へっ!?
いや別に何もしてないぜ?
此間も超希少な鯉を捕まえて持ってはいったけど」
キバガミ「うむ…先日の依頼は首尾よくいったが、女将殿が「あれはお客さまじゃなくてただの迷惑な人のようです、あとは私がなんとかします」と申されてな…それでも何かの援けと思い、めぼしい希少な食材を集めて帰ってきたところなのだが」
ママさん「えっこれ氷晶ザクロに宝仙桃じゃない!?
も、もったいないわぁ〜こんなのをあんな奴に食わせるなんて…って、じゃああれはいったい」
顔を見合わせる魔理沙、キバガミ、そしてママさん。
やがてその恐ろしい予感を三人は思い浮かべるが…そこへの言及は禁忌と感じたのか、触れることを止めた。
なお彼らがこの時持ち帰った希少なフルーツ(笑)は、何時もの如く諏訪子の胃袋に収まったという話である。
…
…
かごめ「クエスト「オカミの戦い」ですな。
面倒なバトルがないけど、食材効果の知識がないと割と面倒なクエストかも知れん」
静葉「この美食屋、前作に登場したエスビョルだっていう説があるんだけど…どうなのかしら」
かごめ「どうだろう…蝶亭のママさんの口ぶりではそこまでではなかった気もするが。
まあ兎に角、順番に獣系、鳥系、魚系の食材を持っていけばOKということになる。
基本的には一番食材効果の大きい第四大地のモノを持っていけばいいんだが」
静葉「そもそもデスマンティスは雲上竜鯉だのメテオパンプキンだのにしか喰いつかないしね。
しかし、触れてはいけないと解っていても…最後女将はなにやったのかしら」
かごめ「さあなあ…メテオパンプキン食わせたんじゃね?説もあるようだが。
調理法をミスると口の中で強酸に変わるカボチャとかいささかシャレにならん気もするが」
かごめ「でもってこの面倒なクエストを攻略すると、今までの女将による食材集めクエストの報酬として拡張できる預り所の規模が最大になるわけだが」
静葉「「工房の娘さんなら住めそう」とか言い出すしね。
どんだけ広いスペースがあんのよと」
…
…
-Case2 古に語られし者-
♪BGM 「大地 風馳ノ草原」♪
魔理沙「えーとこのポイントか…おっ」
気球の一角で面妖な機械を手にした魔理沙が、その反応に音をした方向を指さす。
魔理沙「南東の方角に反応ありだぜっ!
取り舵一杯、全速前進だぜ!!」
キバガミ「応ッ!
しっかりつかまっておられよ!」
気球艇は勢いよく風に乗り、目指すポイントへと進路を取る。
そこに輝く、紋章のようなものを求めて。
事の起こりは、先日厄介な美食家気取りを追いだした宿へ、久しぶりに女将の料理を楽しもうと辺境伯が訪ねてきたことから始まる。
いまだ迷宮から戻らない穣子達の代わりに、調べものを頼まれてほしい…その依頼を孔雀亭へ持って行く帰りだったと聞き、クエストを片づけ次のヒマのタネを探していた魔理沙は一も二もなく飛びついたのだ。
さとりはある懸念を抱きながらも、仕方ないと諦めたのか、単純な調べ物と思い同行を決めた。
万が一ということもあってキバガミも同行することとなり、そして、伝承絡みということでそれに明るいと思われるウーファンにも同行を依頼した。
もっとも…ウーファンを誘った事には別の意図もさとりにはあったのだが。
「言っておくが、私もこれまで幽谷から出る機会はあまりなかった。
役に立てることは少ないかも知れんぞ?」
「いえ…でも、そうでも言わなければあなたはずっと、宿から離れようとしなかったでしょう?」
その言葉に顔色を変えるウーファン。
彼女も、ようやくさとりの意図を理解したようだ。
「…最近、よく眠れなくてな。
ローゲルや帝国の者たちを恨むまいと思っていても、どうしても感情ばかりはどうにもならぬ。
シウアンがそれを望んでいないとしても」
「そうですね。
ですが、あなたがそうしていては彼女も喜ばないでしょう。
…賽は投げられた以上、あと私達にできる事は、それが成せると信じること…彼女が帰るところは、あなたのところであるべきです」
「…済まない、礼をいう。
それより、紋様の伝承はウロビトの里にもないわけではない…それによれば、確か」
…
辺境伯の集めた資料に従い、水、炎の紋様まで発見し、魔理沙たちは次のポイントがある金鹿図書館付近へとやってくる。
そこには、先遣部隊が調べて設置していったと思われる旗が立てられている。
魔理沙「えーと…ここは確か」
さとり「座標A-1内にて二か所、「呼称名:トリガー」を発見。
その起点にて「呼称名:門番」と共に「トリガー」へ侵入、反応を確認。
されど「門番」の妨害あり、進路調整困難…協力者を求む、でしたっけね」
魔理沙「お前良くそんなの覚えてるよな…ってことは、門番って言うのはアレか?」
キバガミ「間違いなさそうだな。
勝てぬ相手ではないが…」
さとり「アレを撃破してしまっては意味がないでしょう。
されば、アレをうまくもうひとつの「トリガー」へ誘導し、反応を見つけ出さないと」
魔理沙「うええ面倒くせえなあ…」
…
…
かごめ「ここで解説だね。
帝国の資料に関する一連のクエストなんだけど、辺境伯は興味深々らしくて」
静葉「割と年行ってるように見えるし、そもそも妻帯経験あるようだからそれなりとは思うけど…その意味では若いわよねえ、この辺境伯」
かごめ「好奇心は猫も殺すというが、好奇心の欠如は年齢を殺すからな。結構なことだと思うよ。
因みにこの紋様調べクエスト、B3F裏で反応させた「鍵」に応じても解禁されていくから、実際は迷宮攻略と同時進行になるんじゃないかな。
ここでは迷宮踏破してからやったけど」
静葉「中でも面倒なのが3個目のこれね。
金鹿図書館の周りをうろついているFOEと、同じタイミングで別々の場所に侵入するという」
かごめ「高度合わせが難関だからな、先ず必ず一歩分向こうが速くポイントに入りやがる。
調整はどうやるかというと…食材採取だ」
静葉「それで1ターン分のズレを修正するのね」
かごめ「そういうこと。
これで三つ目の紋様が出現し、最後の紋様を探せ、ということになるんだが…場所ノーヒントなんだよね」
静葉「辺境伯が「これまでの結果をもとに推理して」云々言ってるわけだけど」
静葉「紋様のあった場所に印置いてみればわかるけど、まああからさまよねこの配置」
かごめ「お察しの通りだな。
だから4つ目に関しては別に現地へ行く必要はない。
あいている4つ目の隅を指示して終了…そしていよいよ、これに関する最後のクエストだ」
…
…
辺境伯「君達に紋様を調べてもらっている間、別の冒険者達から妙な石板が見つかったという報告があってな。
それに刻まれた「彼の者」とは何なのか…それを調べて欲しい。
…気になるのは、「彼の者」が「領域を侵す者に罰を与える」というくだりでな…」
〜絶界雲上域〜
魔理沙「いよいよ魔物討伐だぜ!腕が鳴るぜ!」
さとり「まだそうと決まったわけではないんですけどねえ…しかし」
キバガミ「仮にこの地に、そのような守護神がいたとなれば下手に触れればまずかろう。
詳細に調べ、必要とあらば退ける必要もあろう」
さとり「ふむ…しかし紋様を出現させた程度では何も起きませんが…」
「風は炎を吹き消し、光を変える。
水は大地を穿ち、様を変える。
大地は風を遮り、道を変える」
そう言いながらウーファンも甲板に現れる。
「ならば炎は何をする。
炎だけが、あれを消す。
故に均衡は保たれる…」
周囲の視線も介さず、彼女はなお続ける。
「彼の者、その護り手也。
その領域に踏み込む者は、彼の者の罰を受けるであろう……我らウロビトに伝わる伝承の一つだ」
「ってえことは、その順番に紋様を巡ればなんか起きるんじゃねえのか?
とりあえずやってみようぜ!!」
魔理沙が嬉々として目を輝かせる。
好奇心の強さと言えば、辺境伯のそれもかなりのものであるが…目の前のこの少女など、まさにその権化と言っても過言ではないだろう。
しかしながら、さとりはその姿に一抹の不安を覚える。
幽かに感じられるその気配からは、特に惨事の予感を感じることはないだろう…しかし、さとりにはどうしても、看過できない事があった。
魔理沙の、その異様なまでのテンションだ。
まるで…この後起きようとする不吉な何かを予感させる。
あるいは、魔理沙自身もその事を予感しているのか…。
…
♪BGM 「恋色マスタースパーク」(東方永夜抄)♪
果たして、予想通りその順番で文様を巡った瞬間、凄まじい殺気を孕んだ風と共に一羽の怪鳥が飛来する。
これが「彼の者」と呼ばれる魔物であることは間違いなかっただろう。
しかし、その殺気の大きさに臆することもなく、一行は探索行や修練で培った力を存分に発揮し、見る間にこの守護者を追い詰めていく…!
「よしっ、これで止めだ!
遅延術式解放、千の神雷!
術式装填ッ!!」
かざした砲剣の切っ先を中心とした、途轍もない力を放つ雷光の魔法陣が展開され、最大稼働する砲剣・ドラグーンへと集束されていく。
爆ぜる雷光を纏った砲剣を大上段に構え、魔理沙はよろめく怪鳥めがけて切っ先を走らせる…!
「くたばっちまえ!アースライトブレイカー!!」
振り下ろされた轟雷の一撃が周囲に爆音と爆風を巻き起こす。
血飛沫ひとつあげることなく、守護者である怪鳥はその一撃で哀れにも炭の塊へと化した。
「なんという威力だ…この短期間でよく、あの武器を…!」
キバガミは驚きの表情でつぶやく。
その言葉には驚きばかりでなく、称賛も多分に含まれているようだ。
それほどまでに、この少女の飲み込みの早さは異様ですらあった。
砲剣の火力に惚れ込み、せがむ魔理沙に困り果てたローゲルが宛がった、帝国空軍でもその人ありと恐れられた鬼教官・グネーヴァルをして「数百年に一度の逸材かもしれない」と言わしめた才覚の高さを見せた彼女は、基本的な所から皆伝クラスまでを僅か三日で習熟したのだ。
しかし…さとりは知っている。
元々、霧雨魔理沙は同じ異変解決者である博麗霊夢に対して様々な才覚に乏しく、その差を埋めるべく凄まじい努力を積み重ねていた事を。
彼女の積み重ねた努力の「量」は、大概の事なら応用が利くほどの「才能」と化していることも事実であり、今の彼女もそれの積み重ねの上にいるに過ぎないのだ。
だがそれ以上に…彼女が何かに追われるような、そんな焦りの感情を抱いていた事にも、当然ながらさとりは気づいていた。
その懸念が、何時になく強い予感となって、警鐘を鳴らし続けている。
刹那。
爆風の中から仲間達に笑いかけるその少女が、不意にその場へと崩れ落ちる…!
「魔理沙殿ッ!?」
「(…やはり!)」
慌てて駆け寄り、その体を抱き上げたキバガミも漸く気がついた。
「これ…はッ!?」
抱きあげられたその全身…既に見慣れ始めていた甲冑から覗く二の腕や素足、首元に至るまで、びっしりと蔦は絡みつき、樹皮のようなモノがまとわりついていた。
紅潮しているその貌は、じかに抱きあげたキバガミならずとも、高熱を発している事が伺えた…。