♪BGM 「雨」/折戸伸治(「輝く季節へ」より)♪
〜それから数時間後、タルシス〜
宿に併設された診療所、そのさらに隔離された一室。
守護者の怪鳥を討ち果たした直後、高熱を発して倒れた魔理沙はこのベッドに寝かせられている…。
「何時からだ?」
キバガミも、この少女が呪いを受けているらしいという事は聞き及んでいた。
しかし、見た目五体満足な彼女について深く詮索はせず、健康な者と同じように接することで気を使うまいと思っていた…が、彼もまた気づいていたのだろう。
魔理沙が時折見せる、不安と焦りが綯交ぜになっていた表情、その意味を。
さとりは首を振る。
「詳しい事は解りません。
私達の世界で、最初にこの呪いの発生が確認されたのは、私達がこの世界に来る二週間前のこと。
その頃には、恐らく」
「…諏訪子殿達が、初めて我らイクサビトの里に来られた頃だな。
この呪いは、遅くともひと月経たずして身体を動かす事もままならなくなる…魔力の強い者ほど進行が遅く、発現すると一気に重篤化することも珍しくない。
だが」
「そうですね…倒壊したとはいえ、このところ引き寄せられるかのように雲上域…世界樹の麓へ行くことが多かった。
まるで、彼女を蝕んだそれが求めるかのように」
「お前…そこまで解っていて!!」
その報を聞きつけて飛び込んできた諏訪子も血相を変える。
申し訳なさそうに目を伏せるさとり。
「…もうお気づきでしょうけど…私はひとつ、嘘を吐きました。
最早、重篤に呪いに侵された博麗霊夢は動ける状態ではなかった。
呪いの進行を遅らせる四重結界を、霊夜さん自らが人柱となることで展開し…それでも日に日に彼女は人間ではなくなりつつある状態でした。
そして…恐らく幻想郷で一番最初に呪いにおかされたのは」
「やはり…私なんだな」
うめくような声と共に、魔理沙が目を開ける。
「私は…最初安易な気持ちで、あいつにこの呪いを解いてもらおうと思った。
触れた妖精が一瞬で樹に変わるの見て…妖怪も同じようになって動けなくなるのを見て…私、怖くなって…!
私の所為で霊夢までっ…!!」
「もういい、もういいのだ…!」
恐怖と後悔と不安、その総ての感情が入り混じったような顔で声を震わせる彼女を、キバガミはそっと抱き寄せる。
その余力すらないのか、声を上げることなく涙を流し続けている様子は、他の者からも伺えた。
表面上男勝りな性格と口調の所為で誤解されやすいが、一時期行動を共にしていた諏訪子やさとりは、この霧雨魔理沙という少女が思いのほか傷つきやすく、ナイーブな面がある事を知っている。
その上で、己のそんな一面をひた隠しにしようとするようなところもあり…この世界へ来てからの彼女が、何処か無理をしているように振る舞っている事もまた…特に心を見透かせる能力を持つさとりには初めから解っていたのだろう。
それでも、さとりは特に触れることもせず、黙って彼女のやりたいようにさせていたのは、少しでも彼女の気を晴らさせてやるという意図もあったのかもしれない。
「気持ちはどうあれ、もうお主は自由に動くこともままならぬ。
望みがあるとすれば、一刻も早く世界樹の起動を止めることだろう」
「くそっ…穣子の野郎…今何処に居やがるんだよっ…!」
歯噛みする諏訪子。
丁度その時のことだった。
街外れの方から爆発音が響き、窓の外を砂塵を孕んだ突風が吹きぬける。
俄に喧騒に包まれるタルシスの街。
窓から諏訪子たちが見たその先には、砂嵐に包まれて見え隠れする、おぞましい色と形状の翼をもった巨大な何かが街の外へと去っていく姿であった。
-狐尾幻想樹海紀行2-
その17 「旅立つ者たちへ」
かごめ「あ、どうも無駄に尻ASS展開ですがここで解説をば」
静葉「あんたねえ…とうとう直接無関係な神社の紅白まで巻き添えやがったわね。
そしてここで魔理沙を用意しながらハブったフラグまで強引に用意しやがってからに」
かごめ「いやまあその代わりクリア後には大いに暴れてもらう予定なので」
静葉「そうは言ってるけどどうだかね。
ところで前回の茶番で有耶無耶になったけど、結局フレースヴェルグはどうなったの?
実はカットを見る限りローゲルまで加えた5りで挑んでた事までは解るんだけど」
かごめ「いや…実は大真面目にローゲル抜きでも余裕だった説がちらほらと」
静葉「どういうことよ…」
かごめ「まず基本的なスペックと技の紹介…といきたいところなのだが、wiki経由でも情報がかなり少ない。
なので把握している限りになるが攻撃はこんな感じだ」
HP:8210 突属性・雷属性弱点
バインドフェザー:単体攻撃+全部位封じを付与
イーグルダイブ:列攻撃
インザダーク(頭):単体攻撃+暗闇を付与
静葉「…随分とお粗末ねえ」
かごめ「実はモンスター図鑑で確認する限りではもうひとつ、フェザーレインという技を使うらしい。
しかしこれ、喰らった経験者がいないらしく全く詳細が解らんらしい(2012.8現在)」
静葉「名前の語幹からすれば、全体にランダム攻撃とか、状態異常もしくはデバフ系、あるいは自身への強化技…いずれにも解釈のしようがあるわね。
ポケモンにも似た名前の技があるじゃない、フェザーダンスっていう」
かごめ「名前は確かに似てるけどな。
HPは8200強、突・雷属性弱点だからショックドライブや高レベル稲妻印術を乱打してればあっさり落ちる。
攻撃にちょっとクセがあって、ほぼ確実に後列ばかり狙ってくるから、後列で毎ターンハイドクローク張り直してるだけで防御面がほぼ万全になるという酷い見かけ倒しだ」
静葉「最低ねそれ…守護者(笑)もいいところだわ」
かごめ「それほど強敵ではないわりにレアドロップが確率ドロップでなおかつ通常ドロップと一緒に落とす、さらにフロアを切り替えてもう一度紋章を同じ手順を踏めばすぐ再戦もできるということで、ボーナスキャラ以外の何物でもない。
それだけ相手するの楽ならもっと攻撃の詳細が解ってもよさそうなものだが…意外に各縛りの耐性が高いのか、その上縛った部位の攻撃を使わないというAIの高さなのか、それが詳細を分かりにくくしてるのかも知れんね」
…
…
「なんでこういうことになってんのよ…」
げんなりした表情でつぶやく穣子。
「鍵」に連なる迷宮の探索で、既にすべて発見して起動し、報告の為に戻ってきた穣子達は、つい先ほど到達したばかりの樹海の奥へと戻って来ていた。
事の起こりは魔理沙が大量に拾ってきた依頼にあった。
街の外れに住んでいる魔物研究家の依頼により、木偶ノ文庫に眠っていた「遺伝子学概論」、そして銀嶺の地底湖から持ってきたという古代生物の死骸…依頼人の意図は解らないが、この二つの要因が絡んでいる可能性が濃厚であっただろう。
呪いが進行して動くこともままならなくなった魔理沙が「自分の所為かも知れない」と嘆いてやまないのを見かねたキバガミたちが、復活したその巨大な影を追って樹海へ向かったとのことだが…返り討ちにあった彼らも酷い怪我を負ってベットで寝かされる羽目になっていたのだ。
被害報告はまだタルシスまで届いてはいないようだったが、帰り道に出会った兵士隊の生き残りの様子から、既に樹海調査中の兵士団がこの魔物の犠牲になっている事は間違いなさそうだった。
樹海を支配していた熊とも渡り合えるようになった彼らや、百戦錬磨のキバガミ達が成す術もなく壊滅させられた事からも、この魔物が一筋縄ではいかない力を秘めている事を窺わせる。
一抹の不安を抱えつつも、たどり着いた祭壇の奥…迷宮と「鍵」の間を繋ぐその奥までつながる血生臭い匂いを頼りに追っていった先に、果たしてその魔物はいた。
殺気と高熱を孕んだ砂嵐が吹き付け、周囲に散乱する砕けた武具に付着した血は、この部屋で何が起きたかの惨状を何よりも雄弁に物語っている。
「地底湖の氷の中にこんな怪物が眠っていたなんて…」
「失われた時は戻ってはこない。
この子もきっと…無理矢理にこの時代に放り出された被害者なのかもしれない」
何処か悲しそうにつぶやくミスティア。
魔装を展開し、魔物に狙いを定めて矢を番えるほむら。
「すぐに、楽にしてあげるわ」
風を引き裂いて光の矢が魔物の頭を捕える。
魔物の放つ狂乱の雄たけびと共に、戦いの幕が上がった。
…
…
かごめ「というわけで濁翼なのだが…こいつ弱体前ホムラミズチとほぼ同じくらいHPあんのな」
静葉「メタな話するとラスボスそのものよりHPは高いわね。ホムラミズチもだけど」
かごめ「もっとも弱点もはっきりしてるし、何気にこのパーティは攻撃手段が氷属性に偏ってるのもあってそんな苦戦はしてねえんだがな」
静葉「まーたそのパターンなの?」
かごめ「とりあえず基本的なスペックを紹介しましょうか」
HP:20000 炎耐性/氷弱点
炎連弾:ランダム対象に数回炎属性攻撃
威圧の咆哮:全体物理・属性防御低下
クラッシュバイト:拡散攻撃
スタンバイト:単体攻撃+スタン付与
熱砂弾:ランダム対象攻撃+盲目付与
かごめ「炎は聖印もあるし特に恐れる事はないだろうが…面倒なのは熱砂弾。
盲目追加しやがるのでうまく引きつけないと本当に悲惨なことになる。ばらけてグダるの嫌なら予め黒檀ニンジンかメテオパンプキンでも喰ってくるかだな」
静葉「地味に防御系統が下げられるのもきつい気がするけどねえ。
けどこの辺りで受けられるクエストボスとしては、全体攻撃がないのが救いかしら。
威圧の咆哮からなんらかの全体攻撃とかあったらわりとシャレにならないけど」
かごめ「その意味では揺籃の守護者よりは楽かもわからんね。
もっとも、油断してると挑発役に多段攻撃が全部入ってhageなんてのはあるだろうがな。
フォートレスの挑発+ランパートでレベル50もあれば一発は止められるだろうけど」
静葉「うまく拡散するのを期待するのも何か違うしね、そうしたらメディック辺りに全弾とか真面目に勘弁してほしいし」
かごめ「本末転倒だよなあ。
レベルは全員56くらいあったが、流石にここまで上がってると苦戦する要素は特になかったな。
レミィが挑発で引きつけてる隙に何時もの如く、リンクプラス+チェイスサンバでひたすらがりがりと削って行くだけだ」
静葉「ここまで来るとアレよね、みすちーと穣子のコンビは切っても切れない感じよね」
かごめ「んだなあ。
実質、アタッカーに関してはこいつらで完結しちまってるし、ほむらはほむらで自己完結してるし」
かごめ「濁翼についてはこんなところかな。
この程度じゃ尺もあまり稼げない事は先刻承知の上だし、次回はいよいよラスボス前座の話になるから、此処でラスボス戦まで含めた所持スキルの解説とかを入れたいと思って」
静葉「前作ログのラスボス回りはマジでやっつけ感が酷かった反省点かしら。
…もっとも、真面目にやったところで厨二展開目白押しなのは間違いないでしょうけど」
かごめ「おや秋神様あなたの妹様大活躍フラグですよ?(チラッ」
静葉「大いにやって頂戴(キリッ」
かごめ「(…やはりこいつも基本はバカ姉か)
というわけで、此処からはラストに向けたスキル紹介とかですな。まずはその穣子から」
穣子(ソードマン/ルーンマスター)
剣士の心得(★1) 剣士の極意(★1) 剣士の悟り(★1)
ソニックレイド(3) リンクフレイム(4) リンクフリーズ(4) リンクサンダー(4)
ヴァンガード(★6) 先駆けの功名(2) リンクプラス(★8) リンクマスタリ(★6)
物理攻撃ブースト(★8) ソードブレイカー(★6) 攻防一体(★6)
鉱物学(★1)
ルーンの輝き(2) ルーンの盾(☆2) ルーンの導き(☆3)
TPブースト(1) TPカット(☆3)
かごめ「見ての通りリンク特化型のソードマンとなったわけですが」
静葉「良くも悪しくもみすちー抜きだと長所の生かせない構成よね。
地味に先駆けの功名だけレベル落としてるのね」
かごめ「なんか必要系統に振り直してみたらいくつか切ったモノがちらほらって感じではあるが。
リンク系はルーンの導きもあるから単発火力としてもそれなりなんだけど。
あと何気に本家ソードブレイカーの他にルーンの盾もあるから、忘れた頃に物理特殊両方止まる」
静葉「追影あるわけじゃないから二刀流の意味はあまりないように見えるけど、実はオートクレールのバースト加速効果目的なのねこれ」
かごめ「単純に攻防一体のトリガーでもあるんだけどな。
でもバーストの方はあまり恩恵あるようにも見えねえし、速度補正入れた短剣でも持たせといたほうがいい気がしなくもねえな」
ミスティア(ダンサー/ナイトシーカー)
踊り子の心得(★1) 踊り子の極意(★1) 踊り子の悟り(★1)
リジェネワルツ(3) リフレッシュワルツ(★4) リカバリワルツ(★4) アタックタンゴ(3)
カウンターサンバ(3) チェイスサンバ(4) トリックサンバ(1)
扇の舞(★10) 剣の舞(★10) 霞の舞(4) バーストセーブ(1) クイックステップ(★4)
樹木学(★1)
アイスブラッシュ(3) ディレイスタブ(2) アサシネイション(2) 盲目の投刃(☆3)
追影の刃(☆3) ハイドクローク(☆2) 先制クローク(☆3)
かごめ「最早穣子と切っては切れない関係になったっぽいみすちーはこんな感じだ。
ワイドダンスは結局やってるヒマがあまりないので切った」
静葉「地味に残滓まで切ったのね。
アサシネイションだって必要なのかどうか」
かごめ「それは大いに思った。
それだったらアイスブラッシュまで含めて全部切って、他の投刃…具体的に言えば毒や呪い取りに行ってもいいんだが…それだったらいっそ前提分だけ取ってスウィフトソードまで取っちまうかだな」
静葉「何にせよそれもクリア後になりそうだけどね。
そこまでやったらレベルが70近くなるし」
レミリア(フォートレス/インペリアル)
城塞騎士の心得(★1) 城塞騎士の極意(★1) 城塞騎士の悟り(★1)
ヒールウォール(1) 騎士の加護(★6) 聖なる加護(★4) 防御陣形(3) 防御陣形U(3)
挑発(★4) 先制挑発(★4) ランパート(★6) ガードマスタリ(6) HPブースト(1) 物理防御ブースト(1)
ディバイドガード(3) ラインディバイド(3) オールディバイド(3) ディバイドモード(2)
鉱物学(★1)
強制排熱(☆2) ホークアイ(☆2) ドライブマスタリ(2) フィニッシャー(☆4)
アサルトドライブ(2) フレイムドライブ(2) アクセルドライブ(☆4)
静葉「ねえこれ一体何がしたいの」
かごめ「帰って来たおぜうは地味に攻撃色を強めt…いやそのアレだ。
なんか振ってるうちに地味に色々足りてない系の気配が」
静葉「そりゃそうよ、強制排熱とかやってるヒマがあったらガードマスタリと防御ブースト伸ばしなさいよって言う。
ドライブマスタリとか明らかに要らない気がするんだけど」
かごめ「ごめんそれはマジであたしも思った。
フィニッシャーも基本的に雑魚戦でしか使わないけど、逆に言えばわりと最後に殴りに行くから探索中には地味に役立つしいいとしても」
静葉「全くよ。
当初考えてた通りドライブは無属性のアクセルドライブ一本で別にいいじゃない。ラスボスはいる前に振り直しは一考の余地あるんじゃないかしら」
かごめ「そうさな…武器も多分変えるだろうし、ちょっと考えとく」
早苗(メディック/ルーンマスター)
医術師の心得(★1) 医術師の極意(★1) 医術師の悟り(★1)
ヒーリング(4) ラインヒール(4) フルヒーリング(2) パーティヒール(4) オートヒール(3)
リザレクト(4) オートリザレクト(1) ヒールマスタリ(4)
リフレッシュ(★6) リカバリー(★6) ストレッチ(3) TPブースト・メディック(1)
薬草学(★1) 戦後手当(1) 危険食材の知識(★1)
ルーンの輝き(2) ルーンの盾(☆2) ルーンの導き(2) 印術マスタリ(☆4) 属性攻撃ブースト(4)
炎の聖印(☆3) 氷の聖印(☆3) 雷の聖印(☆3) 始原の印術(☆4)
TPブースト・ルーンマスター(1) TPカット(☆3)
静葉「うぉのれはいったいなに考えてるんじゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!ヽ(
°Д °)ノ 」
かごめ「( ̄□ ̄;)ひゃああごめんなさいごめんなさい!!
なんかタガが外れたらしくて気づいたら常識にとらわれなくなってたんだこいつ!!」
静葉「にしたって限度ってものがあるでしょうが限度ってものが!
なに?印術マスタリとか属性ブーストとか明らかに始原の火力底上げのためよねこれ!?」
かごめ「…タブンネ…。
実際雑魚掃除にはかなり役に立つんだが、TPカットが働かないと息切れするのも早くてな。
何気にTPブースト二種類は補正がそれぞれで独立してるから、同じ段階の補正が二重にかかるから片一方に集中させるよりいい事もあるらしい」
静葉「まあパーティヒールのコストも結構バカにならないからTPカットやブーストは便利なの解るけどね…。
流石にこれも実際酷いと思ったわ。そもそもこいつだけレベル60に届いてやがるし」
かごめ「意外とこいつ被弾して落ちることそんなないからなあ」
ほむら(スナイパー)
狙撃手の心得(★1) 狙撃手の極意(★1) 狙撃手の悟り(★1)
レッグスナイプ(3) アームスナイプ(3) ヘッドスナイプ(3) チェイスバインド(1)
ロングショット(3) フランクショット(1) フルメタルアロー(2) シルバーアロー(2) インパクトアロー(1)
ロックオン(3) 正鵠の明(5) イーグルアイ(1) 物理攻撃ブースト:スナイパー(4)
カモフラージュ(2) 警戒伝令(1) スカベンジャー(1) 観測(1)
樹木学(★1) 鑑定眼(★1)
峰打(1) 衝破(3) 氷刹(2) 咆哮(☆2)
羅刹(1) 羅刹解除(☆2) チャージ(☆2) 背水の陣(☆4) 物理攻撃ブースト・モノノフ(☆5)
食いしばり(☆2) 獅子奮迅(☆4)
かごめ「最後に何気に歪みねぇほむらだ。
なんだかんだでこいつはこいつで独立独歩してやがるな。羅刹チャージでシルバーアローやインパクトアローをぶっ放すのが主なおしごとになる」
静葉「でも地味に振り方おかしいところがあるわね…具体的にいえば何故氷刹取ったしっていうかこれ明らかに閃刃の前提まで振ってあるわよね。
無双神楽狙うよりスコールショットでしょこの場合」
かごめ「そらまあ確かに…振り直しするならこいつもセットかなあ。
雑魚戦では主にこいつのチャージ衝破と早苗の始原で薙ぎ払っていくつもりなんかなこれ」
静葉「ざっと見返してみると穣子とみすちー以外はどいつもこいつも何かしらおかしいわね。
個性的って言えるレベルを軽く超越してる気がするわ」
かごめ「先のネタばらしするとこれでも一応ラスボス前座には勝ったからな?」
静葉「こんだけ上げてれば勝てるに決まってるでしょうが。前提条件が色々おかしいのよ」
かごめ「手厳しいなあ(´・ω・`)」
…
…
再び物言わぬ骸となり、永劫の眠りについた哀れな砂竜を、その被害者となった者たちの武具と一か所に集めて埋めてやると、穣子達は報告の為宿へと戻ってきた。
そこには、彼女らの帰還を待ちわびていたかのように、辺境伯や街の主だった者、ローゲルの姿に…最早すっかり見慣れたタルシスの兵士団の姿もある。
「えちょ…これ一体」
「不思議なことではあるまい。
「鍵」を開き、恐らくは最後の戦いに赴く君らに対して、口惜しいが我々にできることなどせめてこのくらいのことしかない。
…それに、君らの出自がいかなものであろうと、これだけの者が君達に世話になった…そういうことだ」
辺境伯の言葉が終ると、兵士の一団が少女達の元へ歩み寄ってくる。
「皆同じ兜をかぶってるからわかりにくいかも知れんが…覚えているかい?
僕は、蝙蝠の巣穴で腹をすかせてる所で、君達に愛する妻の弁当を届けてもらったアルノルドだ。
あの時は夢中になってて礼を云いそびれてた、本当にありがとう」
「俺は、銀嶺の洞窟で迷子になっているところを君達に救ってもらった。
あのまま君達に出会わなければ、仲間とはぐれたままカメの餌食にでもなってたかもな。本当に助かったよ」
「僕は覚えてるかな?
文庫で魔物調査を手伝ってもらった者だ…あの時は済まなかった、君達の戦いぶりを見たくて少しノルマを水増ししてしまったよ」
顔は解らないが、どの声も聞き覚えのある声だった。
最後の兵士は仲間達から「この野郎なんてことしやがった」とどやされながら、それでもかわるがわる兵士たちが穣子達に思うところを述べていく。
「これは…僕たちからの餞別だ。
僕たちの力では及ばないような事をこれからなそうとする君達には、これではあまりに足りないかもしれないが…役立ててもらえれば幸いだ」
兵士団を代表し、アルノルドが一つの袋を差しだしてくる。
受け取って中身を吟味すると、その中には高級な精神薬や、貴重な気つけ薬が入っている。
「こんなの本当に貰っていってもいいの!?」
「勿論さ。
こんな言い方をするのもアレだけど…君達は僕らタルシスの兵士団の中でもアイドルだからね。
君達が無事にミッションをやり遂げて、再びこの街に戻ってくるのを待っている…その後、君らが元の世界へ帰るまでの間でもいい…この街でゆっくり過ごして、色々な話を聞かせてくれたらうれしいよ」
「みんな…」
兵士たちの温かい言葉に、穣子達は胸の奥からこみ上げる熱い者を止める事は出来ずにいる。
感極まったのか泣き出してしまったミスティアを、ほむらが宥めているところへ、ローゲルも歩み寄ってくる。
「君達には本当に迷惑をかけた…その上で、さらに迷惑を上乗せするようで心苦しいが…殿下の事、よろしく頼む。
もう、殿下は御自分の力で止まる事は出来なくなっているのだ…」
悲痛な表情でそう告げる彼の手を…意外にも、それまで沈黙を守っていたレミリアが取る。
ローゲルにとっても意外なことだったのか、目を丸くしている。
「…私には、妹がいるの。
あの子も、かつては自分の力に恐れ、その為に壊れてしまって…私には閉じ込めておくことしかできなかったわ。
でも今、あの子はたくさんの仲間を得て、外の世界へと出る事が出来た。
彼も…バルドゥールもきっと、私の妹と同じなのかもしれない。
必ず、私達があなたの元へ連れ戻す!
あなたの手で、彼に道を示してあげて頂戴!」
「…ありがとう…俺も約束する!」
固く手を交わす二人。
そして、ウーファンと諏訪子に肩を借りながら、キバガミとさとりも姿を見せている。
「最後までこのざまとはな…己の無力さが恨めしく思うぞ。
…魔理沙殿すらああなってしまったのだ…あの世界樹の中枢にいる皇子は、この程度では済まぬやも知れぬ」
「大丈夫ですよキバガミさん。
世界樹の心がシウアンなら…きっと皇子も魔理沙さんも心配いらないと思うんです。
…あの子は優しくて、強い子だから…でも」
「シウアンは…あの子は意識が途切れるその瞬間まで、皇子に手を差し延べようとしていた…そうだったな?」
ウーファンの問いかけに、早苗は頷く。
「我らウロビトは、巫女の意思を尊重しなければならない。
あの子を奪われた怒りは、今も私の胸に燃え続けている…だが、私のこの拳が彼らに振り下ろされる事はない。
巫女に…あの子に誓おう。だから」
「任せてください!
私達が、必ずあの子を連れ戻します!!」
ふたりの瞳と表情に迷いはない。
諏訪子はその姿を見て、感慨深いものを覚えていた。
「…あの異変からずっと、もうこんな早苗を見ることはできないのかって思ってたよ。
あの子の心の傷はそれだけ深く根強く残って、ずっとそれを蝕んでた。
もう一生消えない傷として…誤魔化して行かなきゃならないのかなって」
「あなたが取った行動がどうであれ、結果として彼女は自分の弱さを受け入れた。
アーモロードを旅したリリカやこいしがそうだったように…カミサマにだって、解らないことのひとつやふたつ、あってもいいじゃないですか」
「そうか…そうだよな!」
「待ちましょう、あの子たちが必ずやり遂げて帰ってくるのを。
私達は、それを見届ける為にこの世界へやってきたのだと思うことにします」
そう、さとりは微笑む。
諦めなどはない。
今その場にいる誰もが、少女達に希望を託そうとしている…その温かく希望に満ちた感情が、彼女の「眼」に流れ込んでいるのを感じた。
そこへ、宿の中から変わらぬ笑顔の女将が顔を見せる。
「さ、お話はここまでにしましょう!
今日は良い山羊が入りましたから、これをつけて皆さんに力をつけてもらわないと!」
…
♪BGM 「ラストリモート」(東方地霊殿)♪
翌日。
旅立つ穣子達の最後の見送りに、街門に辺境伯が待っていた。
「世界樹は、かつて世界を浄化する為に作られたものと聞いた。
世界樹を作り、育てた者はかつての黄金時代を取り戻そうとしていたに過ぎぬ。
理想と希望により総ては始まった…だが、そう願う事が罪であるかのように、彼らは罰を受けたのだ。
その末裔たちが再びこの地に集い、争いの火種を作っている。
まるで呪いのようではないか…!」
その表情には悔悟の念すらも感じられる。
穣子達ばかりではない、振り返れば多くの冒険者が、彼の求めに応じてこの地を訪れ、危険な迷宮に挑んで世界樹の謎を解き明かそうとした歴史がある。
自分の探究欲を満たす為に今日の事態を引き起こした事、それ以前に、多くの前途ある冒険者や兵士たちを死に追いやった事を、彼もまた悔やみ続けているのだろう。
「希望を懐く事が間違いだなんて言われたら」
ほむらはその脳裏に過った言葉を、そのまま口にする。
「そんなのは違うって、何度だって云い張れる。
何時までも言い張って見せる!」
その言葉は、かつて彼女の「親友」が言った言葉。
これまではその真なる意味を理解できずにいた彼女も…この旅路で多くの出会いと別れを経て、今それをしっかりと心に刻みつけていた。
暗く希望のない道を、ひたすらに幽かな光を求めてさまよっていた自分はもういない。
気づけばそこには多くの、支え合える仲間がいるのだ。
穣子がその体を強引に抱き寄せる。
「ったくもー、とうとうあんたにまで先でしゃばられちゃったわね。
けど、今のあんたは悪くないよ、ほむら。
おっちゃんも安心して!
必ず、私達は帰ってくるよ…シウアンやバルドゥールも連れてね!!」
辺境伯は、その言葉を受けてこれまで通りに鷹揚に頷く。
「この戦い、君達に託す!
必ず終わらせて…そして帰って来てくれたまえ!健闘を祈る!!!」