巨人との戦いから一夜明けて。

救出されたバルドゥール皇子は、すぐにタルシスの診療所へと運ばれ…巨人から解放されたシウアン共々治療を受けることとなった。
ほぼ無傷に近いシウアンはもとより、皇子自身も呪いから解放されており、体力を取り戻せば元々帝国騎士(インペリアル)として鍛え抜かれた肉体の回復力もあってひと月も安静にしていれば元通りになるだろう、という女将の見立てに、ローゲルを始めとした帝国兵達も胸をなでおろしていた。

穣子達はというと、すぐに宿で食事を用意して貰ってひとしきりそれを胃袋に詰めると、軽くシャワーを浴びてそのままベッドに突っ伏して泥のように眠りに就くという按配であった。
当然、そんな有様では詳しい経緯を聞くこともできるわけもなく、死闘を終え無事に戻ってきた彼女らを労おうと駆け付けた辺境伯や街の面々も、疲れ果てた彼女らを起こすに忍びなく、女将に事の次第を事付けそれぞれ帰途に就いた。


ただ一人、レミリアだけは…当然というか五体満足な諏訪子の同行のもと、辺境伯の元へ暇乞いへと赴き、名残を惜しむ彼の見送りで既に幻想郷へと帰っていった。
彼女自身、本音を言えばもう少しこの旅を続けたかったのであろうが、特に彼女の身を心配して止まぬメイド長・咲夜の反対を(半ば実力行使で)押し切って再度来訪した手前もあったため、これ以上自分のわがままを通す事も出来なかった故の苦渋の決断であっただろう。

昼近くなって、一番最初に目を覚ました穣子はその事を女将から告げられ、少し寂しそうな顔をしたが…。


「…仕方ないか。
あいつ、咲夜の事放っておけないって言ってたしね」
「辺境伯さんも、せめて今日明日までいてくれればと残念がっていましたし…。
あ、そうそう、今日は皆さんの戦勝会ということで、夕方から大々的なパーティを開くと仰ってましたよ。
諏訪子さんの話では、遠く海都の探索に関わった方々も来られるという話でしたので、きっと街を上げてのパーティになるでしょうね

にこやかに告げる女将の表情は、彼女らが普段探索に行っているそのときとまったく変わる事はない。
しかし、その表情の中にも、普段とは違うもっと嬉しそうに、穣子には思えた。


「………って、あいつら来るのっ!?煤i ̄□ ̄;)」



-続・狐尾幻想樹海紀行2-
その1 「禍つ風、彼方より」




かごめ「というわけで久々に我々三名揃っての解説ですな、ん?」
静葉「まあ本編とっくの昔に終わってるんだけどね。
  もう今更レベルですね」
諏訪子「えっこれナチュラルに私も混ざれってか。
   表攻略の特典はいくつかあるけど、まあまずはいくつかの特殊なクエストやアイテムの解禁と、キャラクターなど一部が引き継がれるニューゲームの解禁、あとは毎度御馴染第六迷宮の解禁
静葉「それと地味に、QRコード交換で仲間にしたギルドメンバーのレベル上限が解禁されるわね。
  それまでは自分のギルドカードに記録された最高レベル以上のキャラは、ゲスト参戦させることができなかったのよね」
かごめ「まあ今まで全く使った事はありませんでしたがねww」
静葉「それどころか、羊狩りカマキリ狩りにも人数減らしたままで挑みやがったわよね。
  QRで登録したキャラはキバガミとかのゲスト参戦と一緒で、経験値の分割頭数にカウントされないのに…」
諏訪子「そのキバガミだが…やっとというかポケモンで用意しやがったよな。
   つか、どう考えてもケンタロスだと刀スキルっぽい技使えねえよな」
かごめ「ああ、これ今更な話だけど…あとで新規で始めた際に奴のスキルを棍中心にすることで解決したと」
静葉「どういうことよ…」
諏訪子「ギガインパクト(乾坤一擲)、ヘヴィストライク(思念の頭突き)までは理解できるが後はどうなん」
かごめ「羅刹は常時珠を持たせとけば一応。
   まあそれは置いときまして、とりあえず二周目準備として第六迷宮・暗国ノ殿の最下層まで潜りこんで武器防具を揃え、イワォさんと赤竜氷竜撃破までは完了するところまでやりましたと。
   今回は女将の最終クエストと、イワォさんだな」
静葉「えっ金竜スルーですか」
諏訪子「今回の金竜は前作に輪をかけてやべえらしいから…
かごめ「なにしろ三色ガードがないからブレス防ぐのも大変だしな。
   そして強化枠は七つ高速で埋まる。あとは解るな?」
静葉「…遠吠えか…
諏訪子「前作は三色あった上に強化枠そんなにいらんかったしな。
   今回だとチャージも多分強化枠に含まれないだろうが、強化枠を考えるとおいそれとリンクプラスも使ってられねえから、防御はもちろん攻め方もかなり考慮の余地がいるな。
   赤・氷はゲスト入れたほうが格段に楽になるが、金はむしろ入れない方が楽とすら言われるし」
かごめ「仕方あるまい、というか金攻略のゲストがメインダンサーとかマジで嫌がらせとしか思えねえんだけど。
   ゲスト入れると必然的に、聖印抜きでやらにゃならんことになる。
   この辺は次で解説するけどさ」








全員…と言っても、レミリアは既にいないので4人だが、宿の広間に顔を揃えた時には既に夕方近くなっていた。

「そう言えば…アーモロードの連中来るとか言ってたけど、ひょっとしてあの連中道に迷ってるとか言わないよね?
私達実際は、スキマで直接この街の近くまで来てたんだし」

穣子がその疑問をふと口にする。

「ああ、それなんだがな…」
「あの方たちでしたら、今回のパーティに使う各大地の伝説の食材を集めに行ってもらってるんですよ。
朝頃来られて、辺境伯さんのところに行ってもらってからじきですから…今頃雲上域辺りじゃないでしょうかねえ。
私の愛用のお鍋の相方が、丁度その辺りにいそうな感じですので

にこやかな笑顔のまま、さらりとSAN値が直葬されそうな女将の一言は無理矢理聞かなかったことにして、四人は顔を見合わせる。





♪BGM 「戦場 疾風」♪

一方その頃、雲上域…というか、金鹿図書館。




「ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!
またか、またあんたの仕業かこいしいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!><」





「ぴかぴかしてたからついー♪」




「ついじゃないわよこの馬鹿ッ!
とりあえずそこの小部屋まで逃げて振り切るわよ!!」

顔色一つ変えずぶん殴りたくなりそうな笑顔で全力疾走するこいしと、必死の表情でその怒り狂う金の鹿から逃げるのは…リリカとレティ。
彼女たちは、四つの大地に眠る伝説の食材のうち、最後のひとつである「絶界山鯨」と呼ばれるイノシシを求めて、生息地があるこの地までやって来ていた。

辺境伯の元へ挨拶に伺った際、この図書館の開かずの扉の先にある大地に生息しているかも、という話であった為、この鍵をローゲルから借り受けてきていたのだ。
しかし…その際にローゲルはひとつ、気になる事を言っていたのだが…。

それはさておき、猛然と迫る金鹿に追いつかれるよりも先、なんとか三人はその扉までたどり着き、安堵の表情で息を吐く…が、次の瞬間少女達が見たのは、区画を飛び越えて先回りしてきた怒れる金鹿の姿だった。

「( ̄□ ̄;)うっそおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん!?」
「ちっ、戦うしかないってことか!!」

逃げられない事を悟った三人は、瞬時に戦う為の陣形を整える。
これまでとはわずかに勝手の違うスキルながら、道中の魔物たちである程度のコツは掴めつつあった。気配的に、やってやれない事はない相手だという確信が彼女たちにはあった。

三人は頷くと、突進する金鹿をレティが盾で受け止めて動きを封じる。
戦闘と同時に展開したハイドクロークの効果で衝撃を殺されのけぞる金の身体に、弾幕戦ではおなじみとなった苦無弾が幾つも突き刺さると、鹿はにわかに棹立ちになって脚を折った。

「よっしゃ、麻痺取った!」
「おっけ、たたみかけるよッ!!」

リリカは即座に遅延術式を解放し、上位の炎熱魔法を金鹿に向けて放つ。
一拍遅れて後、身を焼かれ倒れようとしたその喉元に、こいしの構えた刀が滑り込むと…その首は拍子抜けするほどあっさりと床に落ちた。
この図書館の主の如く振る舞うこの魔物も、歴戦の冒険者である彼女らは流石に相手が悪かったというところだろう。

こいしはぱたぱたと駆け戻って来てハイタッチをかわそうとする…。

「いぇー…いたっ!><」
「元はと言えばあんたのせいだろこの馬鹿ッ!反省しろ!><」
「うー、いけずー!」

無意識で回避不能なそのげんこつの一撃を食らわし、リリカとレティは痛がるこいしを余所に扉の先へと歩みを進める。







その先で彼女らが見たのは、目当ての「絶界山鯨」だけではなかった。
逃げる伝説の野猪を追い、なんとかそれを仕留めた彼女たちが見たのは…禍々しい気配を放つその建造物だった。


「なに…ここ…?
すっごく、いやな感じする…まるで、たくさんの怨霊が閉じ込められてるような」

怖いもの知らずで物おじという言葉に無縁に見えるこいしが、珍しくも顔色を変えている。
その建物…正確にはその中から、普段感じたこともないような様々な負の感情が放たれている事が伺える。

「…ローゲルだったっけ、彼が言っていたわね
金鹿図書館の先には、世界樹の起動を止める為の研究がおこなわれていたという施設の跡があると。
これほどまでの怨念を孕むほどの事が、此処で行われていたというの…?」
「も、もう帰ろうよ!私もうここにいたくない!
伝説の食材は揃ったんだから…ねえ!」

その恐怖に耐えきれず、半泣きでしがみついて来るこいしをなだめながら、同じように蒼い顔のままではあったが気丈に立っているリリカも、相当なやせ我慢でそうしているのは確かだった。
無言で、同じような表情のレティと頷きあうと、二人は帰途に就く…。



アーモロード組の帰還と共に、様々な種族の者を交えて大体的なパーティが始まる。
しかし、その恐ろしい気配に中てられたリリカ達三人は、そのまま宴の席には来ずに宿の一室で横になっていた。
のちに合流したルーミア、風見幽香といった面々と共に穣子達はその主賓として席を離れられぬ中、諏訪子とローゲルは彼女らの寝室でその様子をうかがっていた。

「ごめん…折角のパーティなのに」
「気にすんなって。
…しかし…お前ら一体何を見た?
こいしだけならまだしも、まさかレティまであの有様とは…あ、いや済まん、今は」

彼女らを気遣って、言いかけた言葉を飲みこんだ諏訪子だったが…リリカは頭を振り、その出来事を語る。
彼女らの体験したものは僅かではあったが…。

「あそこは危険すぎる。
多くの魔物の気配も感じたし…あの怨念の中で未知の魔物と戦えるようになるまで…相当な準備がいると思うんだ」


諏訪子は傍らのローゲルを見やる。

「…俺も現物を拝んだ事はない。
ただ…「暗国ノ殿」と呼ばれるその施設に踏み入れた連中の九割が帰って来ず…命からがら戻ってきた連中も皆、精神に異常を来たしていたという話は聞いていたのだ。
亡き陛下がこの施設に眠る「あるモノ」を使わずに世界樹を制する為、結界越えを決断されたのもそうした事情があってのことだったが」
「こいしは覚だからな、しかも無意識に周囲の感情と自分の感情をリンクさせちまう。
つっても世界樹が封印した邪神なんて、見ただけでSAN値ふっ飛ばされそうなシロモノを見てる筈のこいしがここまでになるとは…想像をはるかに超える何かがそこにいる、ってことなんだろうな」
「妖怪というのも不便なモノだな…しかし、彼女らの様子を見る限りそれだけ危険な場所であることは確かだ。
その封印が解かれた今、早急に手を打たねばならぬことも事実だろう」

その言葉に頷く諏訪子。

そして、この数日後。
穣子達を伴いそれを目の当たりにした諏訪子も、その危惧を強くした。

もし、この殿に眠る何かが解き放たれれば…今回の世界樹の起動をも凌駕する何かが起こる事を。










諏訪子「しかし女将のクエストは最後の最後まで食材関連だったな。
   しかも「これに入れて来てくれ」って言われて渡されたのが…例の鍋^^;
かごめ「この鍋は本気で名状し難い何かだよな。
   食材を入れようとすると、勝手に吸い込んで見えなくなった、的なナレーションが流れて…ママさんに渡すと「なんかなかでもぞもぞしてる」だの「ヘンな叫び声が聞こえる」とか言い出しやがるし」
静葉「ホラーというか、クトゥルー的な何かよね。
  Kanon名物秋子さんの謎ぢゃむとどっちがSAN値直葬度高いのかしら」
かごめ「っていうか、あの女将のモチーフ秋子さんじゃねえのかな。
   料理上手でなんかナゾなところがやたら多かったり地味に完璧超人くさかったり」
諏訪子「「オカミの戦い」の結末もだけど、なんかその辺触れちゃいけねえ所じゃねえのかな^^;
   因みに第六迷宮最下層にたどり着いた後の女将との会話で、「選別に持って行ってくれ」って言われたのも、この鍋らしいんだが…
かごめ「( ̄□ ̄;)それおっかねえよマジで!!」
静葉「おっかないと言えばこれのクエスト報酬だって大概でしょうが。
  本編でも軽く触れたけど、この報酬こそが女将愛用の肉切り包丁よ。
  …即死×4で攻撃力147の剣ってどういうことよ…小松シェフが二代目メルクに打ってもらった包丁並みの危険アイテムじゃない
かごめ「それ本当に包丁かよ?」
諏訪子「実はパラライザーや邪眼の鎚もなんだけど、デフォで強力な異常追加が入ってる武器は命中率がちょっと悪いらしいけどな。
   雑魚戦で脚の速い奴…ミスティアがこのおっかねえ包丁振りまわす分にはそんな肩透かしを食う事はあまりないが」

かごめ「因みに各大地の伝説の食材だが、まず最終ミッション報告を辺境伯に済ませて、その後港長から貰える船体装備「風乗りの号鐘」を装備させて赤竜か氷竜の出現ポイントから侵入するところから始める。
   第一大地・第三大地どちらから侵入しても、第一大地の「黄金ガチョウのタマゴ」のある周辺にいるFOE古空の支配者をどうするかがポイントになるな」
諏訪子「文中で触れたが、まあ採集クエストなのはわかってたんで新規メンバーで軽く行って来たわけだがな。
   いくらなんでもこんな奴をどうにか退かしてまかりとおしたってことはないだろう」
かごめ「一度かわしきれなくて軽く全滅させられたがなwwww
静葉「巡回型だけど移動速い上に、当たり前のように採集ポイント上も巡回するからねえこいつ。
  前作で言えば狐ポジションかしらこいつ」
諏訪子「まあ…赤羊もしっかり第六迷宮に湧いて出てくるしなあ。
   因みに同じ鳥公は第四大地にも湧いて出てきてるな」
かごめ「突属性多いから護符で身を固めれば倒せない事もないんだけどな。
   まあ、防御固めても「死のついばみ」とか言うふざけた技があるから、油断すれば狩り殺される代表格的な奴だし、可能なら触れないに越したことはないわな」
静葉「重力波で低命中のついばみを確定で当ててくるとか言うワッケ解んない事してきやがるしね…
諏訪子「で、三つの大地は竜にオッスオッスされる危険性もあるが…それぞれのレア食材って、対応する竜の対策としか思えない食事効果ついてるんだよな。
   売れば単純に高値だし、さらにインペリアルの空スキルもトリガーすることもあってだな」
かごめ「一回だけど、ガチョウの卵を3つもゲットした事があって流石にそれはウケたわw」
静葉「そして最後の絶界山鯨は、クリア後に行けるようになる金鹿図書館の開かずの扉の先…第六迷宮・暗国ノ殿のある区画にいるのよね。
  これもクリア後に、投降した帝国兵が鍵を持っていた、という話を聞けるわけだけど」
かごめ「何気に初めて知ったんだけど、「殿」って「あらか」って読むんだな」
諏訪子「まあ関係ないけどな。
   六層の話も軽く触れておくが…まあどれもこれも大概狂ってるけど、中でもクレイジー度が高い奴を上げるならB2Fから出現する破滅の花びらとライデンジュウ、そしてB3Fから出現する赤獅子。
   そしてFOEはおなじみの赤羊と、何気にFOEに返り咲いた南瓜三連星、モスロード」
かごめ「南瓜とモスロードは戦わずに放置したんだけどな。
   赤羊は石祓のタリスマンを全員に装備させて、メテオパンプキンを喰えば全体石化が防げるから、あとは壊耐性をパッティングアーマーでなんとかして突撃を防げば後は硬いだけの雑魚と化すから狩り放題になるな」
諏訪子「そういえば公式の攻略本見たら、パッティングアーマーの壊耐性表記もれしてるよな」
静葉「まあそこは別にいいんじゃないかしら。
  痺れエリンギはノロイダケと出る時期逆になってるけど…そのお陰でこいつがまた死ぬほど面倒くさい」
かごめ「ライデンジュウを巨大化させた時の対策の為に、まとめて雷耐性を整えればまあ気休めにはなるけどな。
   ライデンジュウは本当に面倒くさい。他の魔物を倒すと反応してパワーアップして、全体雷属性大ダメージを全体にばらまくとか一体何なのかと」
諏訪子「しかも巨大化しようがしまいが耐性がバカ高いのがマジで酷い」
静葉「そして花びらは花びらで、花粉が石化ってねえ…しかも石化付与率馬鹿高いし、B1Fの仕掛けで無限に湧くし」
諏訪子「( ̄□ ̄;)雑魚敵で全体高確率石化って何事だよ!!
かごめ「対象4人になるから全体じゃないけど…まあ大差ねえわな。
   赤獅子はひどいぞお、最初寝てるけど、起こされると全体に斬属性大ダメージばら撒いてきやがる。
   ホロウメイガスが「狂血の契り」で無理矢理起こした挙句攻撃力上げるなんて馬鹿げたコンボ使ってくるから、もう気が狂いそうになるな…ウワサでは狂血噛みちぎりでダメージ4ケタ叩き出されたアルマムーンの将軍が居たらしいが…」
静葉「流石第六迷宮と言ったところ…っていうか、絶対雑魚の質は前作より上よね。
  しかも仕掛けは相変わらずのループ回廊に、B2Fのダークゾーンとか」
かごめ「微妙に違うんだけどな。
   直前の部屋の毒のゾーンが実は正しいルートで、そこ以外に踏み込むと強制的に入った扉に戻されるという
諏訪子「ライデンジュウと花びらに気を使いながらルートを探らなきゃならんって本当に鬼かと」
かごめ「あと雑魚戦闘BGMも変わるしな。あのメロディからしてマジでこっちを殺しに来てるとしか」
諏訪子「雑魚で普通にhageる世界とかマジ何事なのかと…」








「暗国ノ殿」捜索の準備を整える穣子達の元に、すっかり元気を取り戻したこいしが勝手に拾ってきたクエストの尻拭いに、何故か辺境伯の元を穣子達は訪れていた。

「ほう…これは」

穣子の差し出した円盤状のモノ…それは、こいしが依頼者の世界樹研究家から渡された半月状の鉄板と、イクサビト・ウロビトの里から持ちかえってきた扇状の鉄板を組み合わせたモノだった。
こいしは数日間動けなかったウサを晴らすかのように、回復したリリカ達を伴って様々な小迷宮を巡った結果、蛾の森にある開かずの扉に行きついたのだが…。

「形はぴったりはまったらしいんだけど、なんか足りないみたいだってさ。
よく見りゃ、この真ん中に何かはめ込むような穴が
「これはひょっとすると…少し待っていたまえ、私にも心当たりがあるぞ」

辺境伯は何か思い立ったと見えて中座し、程なくして戻ってきたその手には宝玉が握られていた。

「それは?」
「冠と共に我が家に伝わる家宝のひとつだよ。
相変わらず謂れは残ってはおらん…まったく、我が先祖は余程後世に知られてはまずい事が多かったと見えて、色々な記録を闇に葬ったと見える。
そのあらましを知らねば、危険があっても後の我々にはわからぬというに…」

難しい表情でそう呟きながら、彼はその宝玉を円盤に嵌めこみ…。




「おお、やはり思った通りだ!
私のカンの冴えも捨てたものではないな…やはり、この円盤はここまで含めて元々ひとつだったのだな!」

得意げに笑う辺境伯から、穣子はその円盤を受け取る。

「…穣子君、これも私のカンでしかないが…恐らくはこれも巨人の冠と同じく、恐ろしい秘密が隠されている気がするのだ。
この「鍵」が完成しても、開かずの扉をそのままにしておけば封印は解き放たれずに済むかもしれぬ。

これをどうするかは…完成させた諸君に任せる」






人喰い蛾の森の開かずの扉の前。
穣子の他、同行したのは今回の原因であるこいし、ヒマを持て余していたルーミアや諏訪子、リリカの五人。

こいしは再び同じように鍵をはめ込む。
すると、円盤は光を放って回転を始め、やがて鎖された扉が大きく開け放たれる…。

「よっしゃー開いたよー!!」

制止するのが速いか、勢いよく突撃していったこいしは次の瞬間、真っ蒼な顔でバックステップしてきた。

「……ごめん、閉じて帰ろう」
「待て待て待て第一どうやって閉めるのよこれ。
というか何を見て…!?」

リリカは嫌がるこいしの襟首を捕まえたままそっと、その中の様子をうかがう。




そこに鎮座ましましていたのは、禍々しい金色のオーラと、羽ばたきから殺気を孕んだ風を吹きつけてくる金色の怪鳥だった!


「( ̄□ ̄;)ぎゃああああああああああああああああなにこいつううううううううううううううううううう!!?」
「んなっ!?
こいつまさか…イワォロペネレプか!?

その姿を見た諏訪子も素っ頓狂な声を上げる。

「えちょ…えーと諏訪子、なにそのイワォ…なんとかって?」
世界樹最初の作品で四層ボスだった鳥の魔物だ。
元々はアイヌ伝承に登場する怪鳥で、名前の意味は「岩をも砕く者」。
廃都シンジュクへ通じる道を守るモリビト達の決戦用幻獣…こんなモノ放っておいたらロクなことにならんぞ」
「えっじゃあ、まさかこの鍵が分割されてたのは」
「間違いねえこいつを封印して外に出さねえ為のモノだったんだ!!」

血相を変える諏訪子に、それまで単なる宝探しだとばかり思い込んでいたこいしと穣子の顔から血の気がさあっ、と引いていく。
しかし鳥の魔物…イワォロペネレプは、まるで値踏みをするかのようにこちらを覗きこんでいる…。

すると何を思ったか、ルーミアはすたすたとその目の前まで歩み寄り、その顔を覗き込む。

「ちょ、ルーミア!?」
「ま、待てっ下手に刺激したら…」

ルーミアはその言葉に意を介することもなく、そっとその鳥の頭に手を差し伸べると…なんと、魔物は大人しくその手を受け入れたではないか!!

そして、鳥の魔物は全身が発光して、その光の奔流が収まると魔物の姿は消え失せていた。
その代わり、一本の小太刀がルーミアの手におさまっている。

「やっぱりなのかー。
この鳥さん、閉じ込められて退屈してただけみたいだよー
「えっ…?」

にっこりとほほ笑むルーミアに、身構えていた諏訪子たちも茫然と立ち尽くす…そのときだった。

「お前たち無事かーッ!!?」

血相を変えてその区画へ飛び込んできたのはウーファンとキバガミだった。



状況が落ちついたところで、集まった六人は状況の整理を始める。

ウーファンが駆け付けたのは、ウロビトの里にある宝物庫から、件の鉄板が持ちだされたと聞きつけたからだ。
こいしにこれを渡した若いウロビトは、その真なる意味を知らず「何の役に立つのか解らないし、必要なら」と快く渡してくれたのだが…その為に彼女は長老とウーファンから大目玉を食らう羽目になったのだ。
このところ迷宮調査や何やらで忙しく飛び回っていた彼女が、久々に宝物庫の点検を行ったところその事が発覚し、彼女は慌ててあと追ってタルシスへ向かうが後の祭り。
偶々居合わせたキバガミを伴い、せめて最悪の結末を迎える前に彼女らを救出するつもりで飛び込んできたというわけだ。


実は、最初の依頼人…世界樹研究家コーストが持っていた羊皮紙に「欠けていた前半部分」というのが、ウロビトの間に伝承として伝わっていたのだ。

それによれば、大昔にこの魔物は人の手で生み出されたという。
しかし、その力はあまりに強大過ぎて御せるような代物ではなく、今ルーミアが持つ小太刀…イクサビトが鍛え、ウロビトが術式を組んだそれに封じ、さらに人間達のつくったこの部屋に閉じ込めたというのである。
そして、鍵は4つに分解され、それぞれイクサビトとウロビト、人間と、今では知られていないというもうひとつの種族によって持ち去られたという…。



「しかし…まさかその魔物を手懐けてしまうとはな。
先ほどまで森から発せられた、敵意のようなモノは感じられぬ…恐らくは、ルーミア殿の何かを感じ取って、一緒に暴れさせてくれるパートナーと見込んで大人しく従ったのやも知れぬなあ」

キバガミは豪快に笑う。

その言葉に、リリカはふと思い返す。
ルーミアも元々、八雲紫によって生み出され、永い間封印を施された堕天使であった事を。
恐らくはこの怪鳥も…人為的に作り出された者同士、シンパシーを感じて大人しく従ったのではないか…と。

「…やれやれ…まあ、もう害を成さぬならそれでよかろう。
それにしても、お前たちが何かを仕出かすたびに伝承の内容を書き換え、あるいは新たに書き加えねばならん。まったく面倒なことだ

そうやって口を曲げるウーファンも、何処か嬉しそうに見えた。

なお、この顛末を知った依頼主は、彼女らに知らず危険を押し付けてしまったことを詫びるとともに…「その剣に認められたのは君たちだから、君たちが持っているべきだろう」と、目的であったその小太刀をも彼女らに預けたということである。










かごめ「まあ解ってると思うけど、実際は凄まじい戦闘だったんだぜ…」
諏訪子「ついでに言えば挑んだのはクリア時のメンバーで、レベルもほぼ一緒だしスキルも構ってないから割愛だね。
   一応この時と赤竜・氷竜戦はおぜうがまだいたので、そんな辺りで」
静葉「というわけで毎度御馴染のスペック紹介ね。
  今回からは公式ガイドからの引用になるわ。一部wikiからも混ざるけど」

イワォロペネレプ
HP20000 氷弱点/雷耐性
音速の翼(腕):3ターンの間最速行動になる
デスブリンガー(頭):単体壊属性攻撃、石化を付与
ツインタロン(脚):ランダム対象2回の斬属性攻撃、腕封じを付与
サンダーウイング(腕):全体雷属性大ダメージ、麻痺を付与
ソニックブーム(腕):全体に遠隔斬属性極小ダメージとスタン付与、ただし「音速の翼」使用中はダメージが大幅アップ
カオスブリンガー(頭):ランダム対象2回の壊属性攻撃、混乱を付与
鷲づかみ(脚):ランダム対象2回の壊属性攻撃、頭封じを付与

かごめ「なにしろスキル依存部位がバラバラで、属性もバラバラ。
   特に気をつけなきゃいけないのが音速の翼後のソニックブームと、サンダーウイングだが」
諏訪子「忘れた頃に飛んでくるデスブリンガーの石化や各種封じのオンパレードがな
   お陰でミスティアの強化枠は常にリフレッシュワルツとチェイスサンバ、そして聖印で埋まってるという按配で」
静葉「サンダーウイングがまた鬼性能だからね。
  無対策なら一人当たり350前後とか意味解らないのに、麻痺とかなんなの」
諏訪子「しかもwiki見て挑んだクセに聖印があるからと思い込んで、執拗にリンクサンダー撃ってたよな。
   それでダメージが微々たるもので「あれー?」とかなってやがったけどそりゃ当り前だろと」
かごめ「まったくだ、リンクフリーズならもっと速攻でケリついてたかも知れんしな。
   因みに事前の食事は銀河ナマズ、これと聖印でサンダーウイングを止めて、あとは回復を回転させつつひたすら殴っただけだ。
   各種異常はかなり入りにくいみたいで、太古の呪縛を二回撃ったが脚を一回縛っただけだったな
諏訪子「腕を縛れば全体攻撃が大体シャットアウトできるが、アテにはできんわな。
   そもそもHPがマジで異常」
静葉「弱点も熱砂龍と同じなのにねえ…まあ、これがクリア後クエストのボスって感じだわね」


かごめ「というわけで今回はこの辺で。
   番外編の次回は竜二匹攻略だ」
諏訪子「メインは赤竜になるだろうけどな」