-そのさらに翌朝 セフリムの宿-
「どうだった?」
穣子の様子を見に行った早苗に、レミリアは問う。
早苗は浮かない表情で頭を振る…。
「そう。
暫くそっとしておくしか、ないのかしらね」
応えたレミリアも、努めて普段の調子を保ってはいるが…何処となく落胆の色を見せている風にも見えた。
穣子の傷はさして深いものではない。
何故か医術の心得も持っているらしい規格外の女将のお陰で、既に十分戦闘に耐えうるまでに回復はしているはずだった。
その理由は…誰もが解っている事だった。
「レミリア。
彼女は多分、もう戦えないと思う。
幻想郷に来て間もない私にもわかる…これまで持っていたアイデンティティの崩壊は、その存在意義を大きく揺るがしてしまう。
彼女が神であるというならなおさら」
ほむらが普段の無表情のまま、淡々と告げる。
しかし、共に過ごして数日ではあったが、これまで全くある少女以外にコミュニケーションをとろうともしなかったほむらが、こうして自分の意見を積極的に述べてくるようになったのも、ひとつの変化であった事は間違いないだろう。
まだたどたどしいものではあるが、彼女自身も新たな自分自身を模索しつつ、無理のないペースで歩み寄ってこようとしている様子が伺えた。
それ故か、彼女は冷静に自分を取り巻くその少女達をよく「観察」していた。
彼女の言葉は的を射ている。
「…そんなことない…!」
それまで俯いたままだったミスティアが、絞り出すようにそう言う。
「わたし…私信じてるから…!
穣子さんは…確かにちょっと悪い部分だってあるけど…私も酷い目にあったりは時々あるけど…!
でも!あのひとはこんなところで立ち止まるような!そんな弱い神様じゃないもん!!」
そのまま感情が昂って泣き出したミスティアを、早苗が介抱する。
レミリアは溜息を吐く。
「でも…万が一の事は考えておかねばならないわ」
-狐尾幻想樹海紀行2-
その3 「緋色の熊風」
-碧照ノ樹海B2F PM8:00-
「この穴のようね」
レミリア達4人は、フロアの北西側に位置するある場所にいた。
酒場で樹海の情報を集めていた彼女は、ある冒険者の頼みを聞いてこの場所に来ていた。
この階層にある大穴から、見た事もない魔物が飛び出してきたから調べて欲しい、と。
冒険者はそれ以上、蒼い顔のまま応えようとしなかった。
穴の近辺には、最近この地で力尽きたと思われる白骨死体がある…恐らくは、彼の仲間だった者だろう。
当初はこのフロアにも我が物顔で闊歩する熊どもによるものかと思われた。
…だが、ヒトの味を覚えた熊が、このように丸々全身の骨を、御丁寧にそのままの形で残すような上品な食い方をするとは、誰も思わない。
しかも、よく見ればその骨の一部が、あらぬ色に変色している。
恐らくは、毒によって命を落とし、その持ち主によって捕食された事を予測させた。
レミリアはほむらや早苗と視線を交わし、頷きあうと意を決し、冒険者がそうしたように松明でその穴を照らす…!
…
空間を素早く薙ぐその一撃を紙一重で回避するほむら。
しかし、その動きは精彩を欠いており…かろうじて地面に転がりこんだ彼女の表情も重い。
「ちっ…やっぱりこっちの挑発に乗ってこないか…!」
レミリアは歯噛みする。
穴から飛び出してきたのは、さして高くもない彼女の背丈の倍以上もあるような長さの尻尾を持つ、巨大なサソリの魔物であった。
その尾撃は単純なパワーのみならず、先端の毒針から分泌される神経性の毒で彼女たちの身体の自由を奪っていた。
ミスティアの呪歌をこの世界で扱いやすくする為のステップにより、彼女とその力の届く範囲内にいる早苗はすぐに体の自由を取り戻せているが…ミスティアのこの技は妖力の消耗がかなり激しいらしく、挙句それほど長続きするものでもなかった。
レミリアは毒から回復しきらぬ体で、なおもサソリの気を引きつけようとするが…この狡猾な毒虫は、それを全く介することなく彼女たち全員、まんべんなく標的としてじわじわと弄るように、その最大の武器である毒の尾を振るう…!
その尾の動きを封じるべく、なおも自身を叱咤してその付け根めがけてほむらは渾身の一矢を放つ…が、その甲殻は鏃をほとんど通さず表層部分で止めてしまっていた。
(やはり…刃物は全く通る気配もない…。
多分殴っても……それほど堪えてはいない筈。なんて厄介な)
レミリアは唇をかみしめる。
(仕方ない…こうなったら、格好を気にしていても)
レミリアは意を決して、己が握りしめた鎚に力を集中させ始める。
しかし…その脅威を察知したサソリが素早く彼女の腕めがけて尾を振るい…毒で握力を失っていた彼女の腕から鎚を弾き飛ばす!
「しまっ…!」
サソリの尾が動きを止めたレミリアめがけて振りおろされる…次の瞬間。
「この私の目の前で…………チョーシこいてんじゃないわよ虫ケラがああああああああああッ!!!」
♪BGM 「稲田姫様に叱られるから」(東方風神録)♪
一瞬の出来事だった。
サソリとレミリアの間に割って入ったその少女…穣子の振るった剣の軌跡が紅蓮に燃え上がり、思わぬ一撃でサソリを大きくのけぞらせる!
「誰か私に続けッ!
一人分ぐらいなら、加護を受けさせてやってもいいよッ!!」
その声に応えるかのように、体勢を立て直したほむらの放った矢が、その軌跡から炎を絡め取って毒虫の眉間を正確に射抜く。
燃え上がる炎の中で、その恐るべき毒虫は断末魔の悲鳴を上げて崩れ落ちた。
…
「穣子さん!」
駆け寄るミスティアを抱きとめて、穣子は誇らしげににっと笑って見せた。
「ふん!
やっぱりあんた達はこの私がいないとダメな事は確定的に明らかね!!
おおいに感謝しなさいよっ!!」
早苗の治療を受けながら、ふん、と吐き捨てるレミリア。
「おっそいのよ、バカリーダー。
でも、残念ながらあんたに感謝しなきゃならない事は確かだわ。
助かった、ありがとう穣子」
勝ち誇ったように満面の笑顔の穣子が、不意に表情を曇らせる。
「みんな、本当にごめん。
私の我がままに付き合わせちゃったのに、私一人馬鹿みたいに突っ走って…危ない目にばかり合わせて。
こんなことで許してもらおうなんて思ってはいない…でも」
「私自身、どこまでいけるかもう少し確かめてみたい。
お姉ちゃんやレティが通った道を、私がどこまで追いかけていけるか…やってみたいんだ。
私もひとりじゃ何処までも行く事は出来ない…けど」
顔を見合わせて頷く4人。
「冗談じゃないわ…これ以上あんたみたいな物騒な奴を単独で野放しになんかしておけないでしょ…!
とことんまで付きまとって、都度あんたの馬鹿を止めてやるわよ!」
少し泣き笑いのような表情で、先ほどの穣子のように笑って見せるレミリア。
「もう…レミリアさんは。
言ったじゃないですか。
私達も強くなって、必ずフォローするって。
守矢からの出張巫女・東風谷早苗、僭越ながらとことんまで、御供させて頂きます!!」
嬉しそうな、そして真剣な表情で応える早苗。
「私だって!
私モノ覚えは良くないけど…それでも、きっと忘れない!
この旅の事をずっと歌い続けていくんだ!
だから最後まで一緒に行こう、穣子さん!」
穣子の手を取り、満面の笑顔のミスティア。
「杏子からも頼まれてる。
あなたが居なくなったら、ゆまが悲しむからって。
気は乗らないけど…今は…私もあなたを護るわ」
まるで照れ隠しのように、髪をかきあげてそっぽを向くほむら。
その思いを受けた秋の少女は、満面の笑顔と共に返す。
「改めてよろしくね、みんな!
そして、このパーティのリーダーは私だかんね!!」
…
…
かごめ「あー小話どうもっス。いつものかごめさんです」
諏訪子「はいはい脳内妄想乙脳内妄想乙。
なんか似たような事をSQ3のときにもやったっけねえ」
静葉「まあいいじゃないの、あの子らしいと思うわ。
…それはさておき、本来B3Fに登場するサソリと何故か戦わせる系のクエストね」
諏訪子「この時点で報酬1000エンは馬鹿にならない額だが…三色持ちいないと辛いよなあ」
かごめ「一応、フォートレスのボルトストライクが雷属性なんだけど、実はこの時点で持たせてなかったんよ(´・ω・`)
この時点でまともな火力は穣子の三色リンクだけ、というかリンクフレイムしかとってなかったんだけど」
諏訪子「サソリ氷弱点なんだよな実は。
まあ普通に物理で殴るよりはずっと効くんだけど」
静葉「あと多分痺れ突きだけなんだろうけど、タゲ取り影響されないのよねこのサソリ。
SQ3でもそうだったっけ?」
諏訪子「シリーズ伝統(きっぱり」
かごめ「何気にこれまで触れてなかったけど、メイン迷宮は廃鉱・果樹林の雑魚に加えて荒くれ狒狒とか言うふざけた生き物が」
諏訪子「こいつが今回のヤマネコポジかと思ったけど、実質的には階層3階クラスだよねここ。
逆を言えば順当な登場というか」
静葉「それでもFOEを除外すれば十分にふざけた生き物だけどね。
そもそも彷徨う狒狒とアフロの色が違うだけという」
かごめ「その時点で酸っぱい匂いしかしないがな。
因みにB2Fに降りると、今まで単体でしか出てこなかったこいつが、ボールアニマルなんかと一緒に出てきやがって」
諏訪子「投げるんだよね…」
静葉「しかもB2Fには、ボールアニマルのでっかいのまでいて」
かごめ「あとマンドラゴラだな。
狐はSQ3以降しかやってないからシリーズでは初遭遇になるけど、散り際の金切り声がもうなんつかマジで」
静葉「到達直後だと地味に攻撃力高いし、メディックが頭縛られるとマジで死の香りが」
諏訪子「あとシンリンチョウだな、こいつ実は果樹林にも出てくるんだけど」
かごめ「毎度御馴染のアゲハさんかと思ったら暗闇付与でそれほどでもないと思いきや」
静葉「十二分に鬼畜じゃないの。
蛙でhageた原因ってこいつの暗闇付与でしょ?
盲目状態だと回避率も0になるし」
諏訪子「命中ダウンは元より何気にそれが痛い。
毒といい暗闇といい、他のRPGだと最近は特に生温くなってるというに…この辺は世界樹ぶれないよね」
かごめ「まーアゲハもアゲハでどうせどっかに出てくるだろ。
花びらも花びらで暴れてるという話ちらほら聞くし、それを聞くと逆に安心してしまえる辺りなんというか」
…
…
穣子「話は女将さんからも聞いたよ。
この奥にいる、赤いクマーのKINGをぶちのめして、辺境伯のおっさんとこ引きずってけばいいんでしょ?
ちゃっちゃと叩きのめして終わらせちゃお!」
レミィ「っとに…肝心なことは聞いてなかったのね。
兵士隊の連中の話を聞く限りでは、入り口付近をたむろしてる灰色とはケタ違いの強さだそうよ。
さっきも早苗が回復させてやってたけど…あの連中でもなんとか灰色は駆逐できる。
それが一瞬で壊滅させられているんだから、別物と見るべきよ」
穣子「わーってるよ、その為にあんたが作戦立ててくれるってことでいいじゃない。
今すぐ突っ込むにしても後から方法考えるにしても、一旦現物を見とくに越したことないわよ」
思ってもない一言に面食らうレミリア。
そのとき穣子が甘そうな匂いにつられて、近くにあった木の実をもぎ取ろうとする…早苗ははっとして、それを制止した。
早苗「ちょちょ、待ってください穣子様!
その木の実確か」
穣子「ちょっとちょっと。
呼び捨て、もしくはみすちーみたいに「穣子さん」って呼んでよ、早苗。
なーんか様付けされてると他人行儀でよくないよ。
今の私ぁ少なくとも体は神様じゃないんだし、同じパーティの仲間じゃない」
早苗「は、はぁ…それでしたらえっと…穣子さん。
その果実はさっき助けた兵士さんから聞いたんですよ。
熟れ具合によってなんか色々あるみたいで、黄色いのは熟れ過ぎてるせいで舌を噛んでえらい目にあったって」
穣子「えっマジで?
うわー先聞いといてよかったわー。
となると」
改めて振り向いた木には様々に色づいた果実が生って、甘いいい香りを漂わせている…。
穣子「大体赤いのと黄色いのと、橙色っぽいのがあるね。
黄色がダウトなんだっけ?
赤だとそうすると熟れてねーって感じだし中間色が吉とみた!!(クワッ」
言うがいなや穣子は橙色の果実をもぎ取って目にもとまらぬ速さでかじり取った次の瞬間。
「∑( ̄□ ̄;)ぎいいやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
レミィ「(穣子が取り落とした果実を拾ってしかめ面)うーわ、アリがびっしり」
早苗「あ、あれ? 黄色がダメだったと言われたような気がしたから大丈夫だとばかり」
レミィ「あなた黄色「以外」と聞き間違えたんじゃないの?
…まあ、記憶の曖昧なモノは手出ししないに限るわね(果実を捨てる」
みすちー「…大丈夫?」
穣子(舌をアリに噛まれて悶絶なう)
…
…
かごめ「とりあえず宣言通り穣子には犠牲になって頂いた(キリッ」
静葉「ちょっとー!><
本来の豊穣神としての能力が使えればそれでも一発で見抜けそうだけど」
諏訪子「そう言うのがないから面白い(キリッ
因みに正解は赤で、全員のTPが20回復だよ。
黄色と赤の中間色だから大丈夫だろう、と思って半ばがっかりしつつも試してみたらこのざまだったwww(バンバン」
かごめ「それはさておいて、これも恒例っぽいトラップイベントだな。
垂水樹海B1Fの毒草もそうだけど、これ回復した奴がいたら面白かったろうに」
…
…
紆余曲折あってたどり着いた迷宮の先で、その狂猛なるケダモノはいた。
区画に夥しく散見される血だまりと、咽返る様な金気が渦巻くその中心に立つのは、鮮血よりも赤い一頭の熊だった。
穣子「こいつが…チョーシこいてるクマーのKINGね…!!」
そのケダモノは目の前の穣子たちを意に介するでもなく、その巨体を誇っている。
恐らくは腹を満たしているのだろう、突然襲い掛かってくるような気配は感じられない。
レミィ「それほどの恐ろしい力は感じないわ。
確かに、灰色なんかとは比べ物にはならないけど」
みすちー「戦う…の?」
レミィ「私の直観は、今の私達にやってやれない事はない相手と言っている。
討つなら好機かもしれないわ。
逆に時間が経って、空腹で凶暴化された方が厄介かも知れない」
レミリアの言葉に僅かにほむらは眉をしかめる。
弱肉強食の理に則り、兵士たちはこの怪物の餌食となったのだと頭で解っていても…人間達を子の熊の食料となったと割り切ったレミリアの言葉に、どうしても感情が納得できない。
「辺境伯も言っていたわね、未踏の地の踏破は、そこに暮らす獣たちとの存在意義をかけた戦争に等しいと。
私もミスティアも、元はと言えば人喰いの怪物。
どっちかといえばこいつらの方に近しい存在だけど」
そんなほむらの胸中を知ってか知らずか、レミリアはぶっきらぼうに言い放つ。
「少なくともこいつらみたいに悪食じゃない。
非業の死を遂げた人間の血肉ほど、この世に不味い食べ物はない…そんなモノを平然と食らえるような連中と仲良くなんかできないわ。
それに」
レミリアの視線を受けた穣子が頷き、声高に宣言する。
「畜生の分際でこの私達の行く手を阻んだ罪は重いわよ!
あんたの一族郎党、絶滅させてでもまかり通る!!」
…
…
かごめ「赤いクマーですな」
諏訪子「だからと言って通常の3倍とかそんなふざけた性能というわけでもないが」
静葉「ステータス単純計算しても第六層FOEクラスのバケモノじゃないそれ。
実際はHPが300ほど高くて、攻撃力も僅かに高い程度ね」
かごめ「面倒なのは開幕と時折飛んでくるバウンドボイス。
そこまで威力は低くないが、全体ダメージとスタンはこいつよりも素早さ低い奴はひとたまりもない」
諏訪子「いやこいつもっと面倒なのがあるだろう。
PT一列をまとめて薙ぎ払う破壊の一撃が」
かごめ「それねー。
実は準備動作として2ターン力を溜めるんだけど、溜めてる間は無防備あーんどそのときに一定量ダメージ蓄積で怯んで解除されんのよ。だからアタックタンゴで火力上げてバースト技とリンクフレイムでタコ殴って強制解除してやったから喰らってないよ1回も」
諏訪子「えっマジで」
静葉「つーか今さらっと言ったけど、何気に新システム解禁されてるわね」
かごめ「バースト技は前作のリミット技と基本は一緒だよ。
ただ今回はどれも基本的に単独発動になってるな。三色リミット発動前に要員が一人お亡くなりになって失敗というオチはなくなったが…あと地味に、ゲージがある限り複数人が同じバースト技を使うことも可能だな」
静葉「赤クマー討伐ミッションの発令・受領を経て、ギルドに行くとギルド長から3種類もらえるのよね。
前作で言うクロススラッシュと守備陣形、あと今までスキルとして存在していた全力逃亡」
諏訪子「やはり何時でも使える全力逃走は甘え(キリッ)ってことなんかねこれ。
それでもいざって時に安全に逃げ打てるってのはでかいよなあ」
かごめ「今回は逃亡とダブルスラッシュを入れておいたが、まあボス戦と解ってたなら守備の号令でも良かったわな。
使う必要もあまりなかったけど」
諏訪子「でも何気にこいつ途中で逃げるよね。
ナルメルかっつーの」
かごめ「んまー追撃した先でFOEが大量にわいてくるとかそういう事もない。
一度街に戻って回復させてきてもHPは回復されないからいいんだけどねえ…そもそも階層ボスじゃねえしコイツ。
ただし行動パターンはリセットされて、開幕にまたバウンドボイスが飛んでくるんだけど」
諏訪子「そこまできつくもないしいいんだけどねえ」
…
…
「これで止めだあああああああっ!!」
下層に追い詰められたその赤い獣は、仲間たちの的確な援護を受けた穣子の剣技でその体を朱に染め…その急所めがけて彼女が放った神速の十字斬りを受けると、断末魔の咆哮を上げ…自らの身体から生じた血だまりの中に沈んだ。
一瞬のうちに樹海の露と消えた兵士たちへの弔いと、勝利の興奮から発せられた穣子の雄たけびがフロアを振るわせる。
ミッションの対象となるほどの強敵を打倒した勝利の余韻に浸る一行であったが、その喜びも長くは続かなかった。
-グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!-
フロアの奥から木霊する咆哮。
その凄まじい咆哮に、共鳴するかのごとく他の熊たちの咆哮が続く。
だが、同胞を失った悲しみと怒りと憎悪が混ざった、その恐ろしい声の主は…後に続く熊たちとは明らかに異質な気配を孕んでいた。
レミィ「今のは…一体」
ほむら「熊…なの?
でも、他の連中とは全然違う…存在感も…殺気の大きさも…!」
その余りに恐ろしい獣王の咆哮に、本能的に身体を縮めるミスティアを介抱する早苗も、血の気の引いた様な顔で声のした方向を見つめている。
しかし。
穣子「いい度胸してるじゃないのさ…!
やってやろうじゃない!
こうなったらとことんまであんた達と戦争だ!
覚悟しやがれファッキン熊どもがあああああああああああ!!!」
レミィ「これもしかしなくても、こっち着た時から悪化してないかしらこいつ…?」
ほむら「でも…これからもこういうところを歩み進めていくつもりなら、あのくらいでいいのかもしれない。
かごめさんならそういうかも」
レミィ「(くすっ)そうね。
それに、変わったというならあなたもよ…まさかあなたの口からそんなセリフが出てくるなんて、思ってもみなかった」
…
…
かごめ「まあ誰もさあ、後ろに階段を背にしてるような三下を階層ボスだとなんて思っちゃいないでしょうけど」
諏訪子「それじゃあナルメルとケトスとゲートキーパーはどうなんねん。
HPもそんな高くないし、ぶっちゃけこいつB3Fの通常FOEだからな」
かごめ「ええまあ。
どうでもいっけど、こいつ何気にBGMが大航海クエボスのアレンジみたいなんだよね。
前作やった人間にしてみれば心憎い演出というか」
諏訪子「いやそれはいいんだけどさ、確か今回の音楽担当っていつもの古代祐三じゃなくてなるけみちこだって聞いてたんだけど」
かごめ「ああ、そう言えばそんな話があった気がするねえ。
まあいつもの古代大先生なんだけど、何か問題なんです?(キリッ」
静葉「色々あって予告通りにいかないなんて業界ではありふれた話(キリッ」
諏訪子「それで済ますんかいあんたら」
かごめ「この後はまあアレですよ、結局階層ボスを倒さない事には終わりませんよってことで、街に戻るとワールウインドのおっちゃんに「手頃な迷宮あるよどや?」とかされるんだけど」
諏訪子「そこってあれだろ、なんかほら、カンガルーが巡回してやがるとこじゃん。
一体どうやって近づけt」
かごめ「ということで」
諏訪子「∑( ̄□ ̄;)わざわざ倒したのかよ!!アホか!!」
静葉「というかそんなレベルがあるんだったらとっとと階層ボス挑めって気がするんだけどー。
どう考えても、あのカンガルーって前作で言うとこのカバじゃない。
…そう言えばナルメルを倒す前にカバを狩りやがったわよねあの馬鹿狐」
かごめ「うーむ、オーラが黄色になってたから行けるとは思ったんだが。
みすちーが犠牲にはなったが全員のレベルがほぼ15、フォートレスの後攻挑発で安定かと思いきや、ブーメランフックなんて技をもってやがって」
諏訪子「つーかジェットアッパーにしろブーメランフックにしろ、元ネタあれか?
リンかけじゃねえのかこれ?」
静葉「かるーく流してはおいたけど、そうするとベアクローの元ネタもウォーズマンっぽいわね」
かごめ「キン肉マンは兎も角リングにかけろはかなーり古いよなあ。
でも何気に、世界樹に毒されている古豪プレイヤーの中には世代が結構いそうな気配はするな。
一応アニメにも最近なったじゃないか」
諏訪子「最近って2004年だからこの時点(2012年)で十年近く前だろうが。
つかそれはいいだろ、しかしよく挑む気になったよな。
酒場で得た情報通り黒檀ニンジンでおびき寄せればいいものを」
かごめ「いや実はなー…この時点であいつのオーラ、黄色だったんよ(´・ω・`)
それどころかもう1レベル上げたら他のカンガルーのオーラが青くなりやがったという」
諏訪子「∑( ̄□ ̄;)にゃにい!?
こいつこっちのレベルが16あれば弱いって扱いになんのか!?」
かごめ「らしい。
そのクセそれ以降も当たり前のようにジェットアッパーだけでhageたんだがなあ…カンガルーマジカンガルー」
かごめ「そんなこんなで小迷宮・獣の泉に降り立ったわけだが、此処のFOEはまあ…鹿さんだ。
ってもみすちーのリフレッシュワルツもあるし、早苗のリフレッシュも列回復まで成長させてあったから恐れる事は何もなかったわけだが」
静葉「どう見ても鹿狩りでした本当に(ry
といっても、此処の出現モンスターが樹海のB3Fと同じだから、酷いメンツだと思うけど」
諏訪子「特に今作初登場のカメレオンだな。
あれはもう絶対忍者だろうきたないな流石忍者汚い」
静葉「実際消えやがるしね」
かごめ「あれはとにかく攻撃さえ当たるか向こうが攻撃するかで解除されるんだけど…カメレオンの分際で攻撃がアイシクルなんだよなこいつ」
諏訪子「…爬虫類って確か寒いと行動鈍くなるよな、ましてカメレオンの原産って赤道直下だろう」
静葉「両生類も立派な変温動物じゃないの」
諏訪子「何が言いてえ…っつかお前がそれを言うのかかごめのセリフだろうそれ普通」
かごめ「台詞取られた…汚いな流石秋神きたない」
静葉「もう勝負付いてるから(キリッ
冗談はさておき、あとは噛みつき草ね。
攻撃力高いくせに、後列にいると何故かさらに攻撃力を高めてくるという」
かごめ「幸い軟いし動きも遅いから、動きだす前に余裕で除草できるんだけどな。
ただこいつも2体でてきやがる時があって」
諏訪子「そうなったらあきらめてレミリアに引き付けてもらうか、速攻で焼き殺すかどっちかしかないわな。
この時点で挑発はマスターしてるんだけど、挑発も今回100%じゃないそうで」
かごめ「そこが意外だったんだよなあ。
ただ、パッシブでオートタゲ取り出来るようになったのはおいしいと言えばおいしい」
静葉「ここではナイトシーカー連れてはないけど、ハイドクロークなんていうアホみたいなスキルもあるしねえ。
今回も何気にサブクラスあるらしいし、誰かにはどうせ持たせるでしょ?」
かごめ「やるならほむらかみすちーだな。
同じサブクラスが2り居たって別に問題はないけど」
諏訪子「なるべくなら全員別々にはしたいところだわな。
とりあえず穣子と早苗だけは決めてかかってると言う話も聞くが」
かごめ「早苗はネタバレになるしここではふせとこうか。
穣子はルンマスで、前作で言う特異点に当たるスキルを取りに行くんだそうな」
諏訪子「解りやすい火力底上げだなあ」
かごめ「さて、今回はきりもいいところだしこの辺りで」
諏訪子「ぶっちゃけなんか小話ばっかりだな。本当にいいのかこれで」
かごめ「いやあネタバレを匂わさない程度で行くならこのくらいで丁度いいでしょうに。
実際、これ書いてる時点ではもう第二大地のメイン迷宮突入してるんだし」
諏訪子「∑( ̄□ ̄;)おいこら!!
まさか穣子の話書くのだけで引っ張ったとかそんな馬鹿な話が」
静葉「たまにはあってもいいと思うのよ(キリッ」
諏訪子「∑( ̄□ ̄;)えええーっお前ちょっと何か悪いもんでも喰ったのか!?
おいかごめ静葉もなんかおかしいぞ!一体何が起こって…ハッ!?」
かごめ「(こそこそと何かを隠そうとする…が、何か背後で名状し難いものが蠢いている)
いやあ何でもないさ…ところで同志洩矢、私特製のタコ焼きならぬ「タコっぽい何か焼き」を食うかね?(キリッ」
静葉「名状しがたい味だったわね(キリッ」
諏訪子「∑( ̄□ ̄;)止めんかああああああああああ!!!」