「とうとう…受けるつもりになったのね」
「ああ」

何時になく神妙な、そして何処か悲しそうなママさんの手から、かごめは特に普段と変わらない様子で、その依頼書を受け取る。


その依頼書…それは特定ギルドを対象とした辺境伯からの依頼。
とはいえ形式は依頼(クエスト)であるが、殆ど「ミッション」と言っても差し支えのないものである。


その内容とは…「雷鳴と共に現れる者を討て」。


丹紅ノ石林を縄張りとし、天の怒りを体現するかのような稲妻を自在に操る金の竜…これまで穣子達が戦った「偉大なる赤竜」「氷嵐の支配者」という二柱の強大な竜神を超える、最強の竜を倒せということである。
実際に、アーモロードの地でこれに類する竜総てと戦闘の経験があるレティすらも、所謂「属性ガード」抜きにしてこの竜と正面切って戦うのは自殺志願に等しい、と言って憚らぬほどで、諏訪子もこの竜との戦闘は可能な限り力量をつけるだけつけてからと、石橋を叩いて渡らぬような慎重論でやんわりと阻止の態度を見せていた。


理由は簡単。
この竜の咆哮は、呪術的な能力付加に対する最大級のアンチスキル…即ち、その強化が重なれば重なるほど、即座に戦う能力を奪う力を増すという非常に厄介な代物だからだ。
他の二竜の咆哮も厄介な精神効果を持っていたが、この竜はそれがとりわけ危険だからである。

ましてや、今回は竜最大の攻撃であるブレスを、全体印術で防がねばならず…それだけではなく、この金色の竜が持つ「鎧を砕く」恐るべき牙に対する対策も同時に行う必要がある。


だが、それは単にいいわけではないのか?
この竜に対する必要以上の恐れが、彼女らに脅迫観念を与えているだけなのではと…かごめはそう思っていた。


なおも何か言おうとするママさんに、かごめは告げる。



「あたしの行為がただの蛮勇か、それとも…それは、きっとこの戦いが答えを出してくれるはずだ」



-続・狐尾幻想樹海紀行2-
その7 「神を断つ剣」




「本当に行くつもりなんだね、かごめさん」

街門に接岸されている「キツネノボタン」で、リリカが待ち受けていた。

「…どうせ、諏訪子やレティは言っても聞きやすまい。
誰もついてくる必要はねえ、馬鹿をやるのはあたし一人で十分だ」
「そうはいかないよ。
…私達四人で考えて出した結論だから

気球艇の中から現れたその姿に、かごめは絶句する。


「私…ずっと思ってたんです。
もう一度あなたと一緒に戦ってみたかった。
もう、無茶な事をするなとは言わないです…だから、連れてって下さい


泣き笑いのような表情で、大量の薬瓶を詰めた袋を背負うポエット。


「一番の強敵はチルノだったかもね。
でも、これだけは譲れなかった…初めて、私自身の言葉であいつを黙らせてきたよ。
私も、かごめと一緒に戦いたい!


何時になく、覇気に満ちた表情のルーミア。


「…諏訪子様は最後まで反対されましたが…穣子さんが、そっと逃がしてくれたんです。
私、あなたに出会って…本当にたくさんの事を教えてもらってきました。
自分が自分であること、その矜持を失わない姿を、私も追いかけてきたつもりです。
出来るなら、これからも多くのものをあなたから学びたい…!


強い意思の光を瞳に宿し、はっきりとその意思を告げる早苗。
呆けた顔をしていたかごめだったが、やがて、何か得心行ったかのように溜息を吐く。

「やれやれだな。
どいつもこいつも、あたしの莫迦が伝染っちまったんじゃないのか…顔見せ出来ねえ奴が多すぎて目眩がするよ。
後悔は、しないな?」

四人は頷く。
かごめもそれに返すように頷くと、気球艇へと飛び乗り、高らかに宣言する。


「行くぞ!
目指すは丹紅ノ石林、金竜の塒だ!!」









諏訪子「うぉのれこの腐れ芋神!!
   よくも可愛い早苗をそんな馬鹿に同行させおったなぶち殺してやるうううううううううう!!!ヽ( °Д °)ノ 」
穣子「おおう上等だ馬鹿蛙!!
  子離れできねー祟神(笑)なんざこの一級神格である私が退治してやらあ!!かかってこいやあ!!m9( ゚д゚ )」



〜少女弾幕戦闘中〜


静葉「まーったくもー…やるんだったら街の外でやって頂戴。
  私としては決して分の悪い賭けには思えないんだけどねえ
レティ「あ、それで私を連れて来たのね…納得。
   正直、三色ガードも先見術もなくて金竜一体どうすんねんで尻込みしてたのは認めるけど…結局何が解法なんだかさっぱりわかりゃしないわいまだに。
   メタい話すると、こうやってログ化してるってことは実際勝ってるわけだけど
静葉「前作も実は、ちょっと無駄に怖がり過ぎたんじゃね?説もひしひしと感じられてたんだけどねえ。
  特に前作は護符まであったしね、あなたの三色かリリカの先見術でブレスを止めて、こいしが大見栄切って護符持ったあなたがディバイドしてそれであっさり終わったじゃない」
レティ「実は再戦が本気で酷いわよ、なにしろ私がいない
静葉「ゑっマジで」
レティ「こいしが斬撃護符ふたつ持って、大見栄切って竜牙を全部集めやがったのよ。
   そして耐壊ミストばら撒いて…考えついても普通やらんわあんなの」
静葉「うわあ…。
  じゃあもしかして、再戦時におぼつかなかったのはまさかの赤竜というオチ?」
レティ「結果的にあいつが一番面倒くさかったわね。
   乱数が絡むのかパターンもはまらないときが多くてねえ」
静葉「けれどもこれだけ金竜を恐れる理由は…冒頭でも述べてるけど、此処にスキルを載せるからそれ見ればわかるわね。
  引用は公式ガイドよ」


雷鳴と共に現れる者 HP30000 雷耐性(ほぼ完全耐性)/炎弱点
サンダーブレス(頭):全体に雷属性大ダメージ
轟雷(頭):全体に雷属性ダメージ+全個所封じ
恐ろしき竜牙(頭):ランダム対象2〜3回斬属性攻撃+物理防御ダウン
古竜の呪撃(頭):単体近接斬属性攻撃+呪い付与、さらにダメージ×2の数値HP回復
竜の鉄槌(脚):全体壊属性攻撃+麻痺
雷の境界(頭):全体の雷耐性をダウン
呪われし遠吠え(頭):全体の強化打ち消し+呪い付与、高確率で即死させる、こちらの強化枠が7以上で使用


レティ「すいません静葉さん前作よりおかしくないですかこいつ(しろめ
静葉「そうね、轟雷ね……ってなんじゃこりゃあああああああああああああ!!?( ̄□ ̄;)
  なんなのよ全体にダメージまでは解るけど全個所縛りって何よ全個所縛りって!!」
レティ「ちょあんた気づいてなかったの!?
   これに強化枠節約してやりあえとか本気でバカなんじゃないの今回のスタッフ!?」
静葉「お、おかしいわね…今回の三竜は三竜(笑)とか何処の馬鹿が言った冗談よ…。
  まあ前作ほど竜牙が狂ってないわね、3〜7回とか正直意味が解らなかったわ」
レティ「2、3発撃たれるだけでも十分過ぎるわよ…。
   兎に角今回は、如何に遠吠えを防止しながら尚且つブレスの被害を抑えて縛りをどうするかという酷いゲームになってるわね」
静葉「挙句対応食材の効果がしょぼいからねえ…雷耐性上がるだけよ実質。
  狐野郎は直前にそれを回収してやがったけど、代わりに桜ヤマメで対応してそれで充分だったらしいわ」
レティ「LUC+8は決して低い補正じゃないんだけどねぇ」










金竜の塒に到着した彼女たちは、そこにすっかり見慣れた赤い気球艇が泊まっているのを目にする。
手を振るのは、顔なじみになって久しい女性冒険者・ウィラフ。


このミッションでは、竜の好物である神酒により竜を塒に釘付け、そこを決戦場にして竜を討つというものである。
いくら竜の好物とはいえ、眠らせたり酔いに乗じて、とまではいかないようではあったが…竜をその場へ留まらせることには成功している。
その神酒を運ぶ役目を受けたのが、彼女であった。

この神酒、実は先だって受けたある依頼に関わるものであった。
タルシスきっての女性杜氏であるレジーヌが、この材料となる「宝仙桃」を取りに行く最中に竜に襲われ、穣子達がその救出に当たったことがあったが…それも、辺境伯が彼女に依頼し、竜の動きを止める神酒を彼女に作らせる過程で起きた事件である。

気紛れな竜は、その地を探索し開拓する人々にとってただただ害を成す。
神にも等しいその存在が、気紛れなる暴君であることを改める意思なきならば、最早退ける他なし…辺境伯にとっても、苦渋の決断であっただろう。


もっとも…それが竜の本意でない事もかごめたちは知っている。
そして、最早死をもってしか、彼らを解放する術がないことも。



「やっぱり、あんた達がやることになったんだね。
なんとなく、そんな気はしてたんだ…あなた達の眼は、私の知ってる人によく似てるから

ウィラフは何処か悲しそうな瞳でかごめ達から、こちらを見定めるかのように鎮座し睥睨する金の竜へ目をやる。

「私の一族ね、何故だか知らないけど代々「竜殺し」を家業にしているんだ。
だから男も女もなく、私の一族はみな冒険者になって…そして、竜を討たない限り認めてはもらえない」


その言葉にはっきりと顔色を変えた者が二人。
ウィラフは何処か自嘲的に笑う。

「おかしいよね…こんなの、聞いた事も」
「…ウィラフさん、あなた…ウェアルフっていう人を、知っていますか?

リリカが、言葉を選ぶように告げたその名前に、ウィラフも顔色を変える。
言葉はなかったが、その驚愕に見開いた眼は「なぜ、その名を」と言わんばかりの表情だ。

気まずい沈黙が双方を支配する。
やがて、ウィラフはその重い口を開く。


「…そうか、あなた達はアーモロードにも行ったって言ってたっけ。
あの人は、私の知る限りもっとも強くて…でも、一族の誰もが彼女を認めてくれなかった。
私の父さんも、ある仕事で無理をして…その父さんを誰もが「英雄だ」って口を揃えて言ってるのに


「…私…納得がいかなくて、それで家を出たんだ。
そして父さんの古い友達でもある、辺境伯のおじさんのところで世話になりながら…冒険者みたいな事をやってたってわけ」

「あなた達も多人数になったからね…此間、レジーヌを助けに行ってくれた時に来てた子はいないみたいだね。
その子に言っちゃったんだ。
今この石林には金竜が飛びまわってる、命を捨てに行くようなモノだって…なんでこんな馬鹿な依頼を受けたのかって。
…本来、レジーヌを守る依頼を受けてながら、相手が金竜と知って…彼女を見捨てて逃げた癖に、知ったような口を利いて…!

「……あの子達が、無事にレジーヌを連れて戻って、彼女らが家族と会えて喜びあってるのを見た時…私、いったい何をやってるんだろうって、思ったんだ。
自分が、許せなかったんだ…一族とか、竜とか、いろんなものから逃げることしかしていない自分が


その独白を聞き終え、ずっと目を伏せていたリリカが、何かを決意したかのようにウィラフの手を取る。


「ありとあらゆる幻獣の最高峰にある竜種を、束ねられた知恵と業、総ての力を持って討つ者…それが「真の竜殺し」だって…あの人は身をもって教えてくれたんです。
ウィラフさん、共に戦おうとは言わない…あなたの力を貸して下さい!あの竜を討つために!


驚いたようなウィラフの瞳の中に、真剣な眼差しの少女の顔が映る。

それは…本来言うべき者が他にあったかもしれない言葉だった。
その女性は、最後まで己の意地を通そうと、リリカ達の手を拒んだ。

重なるのだ。
今この目の前にいる「竜殺し」の女性と…今、アーモロードの地に眠る哀しき女戦士の姿が。


ウィラフもそれを感じ取ったのか、頷いて返す。
自分は、彼女とは違う道を行く…そう決意するかのように。


「その言葉を待っていたよ!
行こう!共に竜を超える為に!!」









静葉「あまり知られてない話だけど、SQ2に出てきたもっとも名前覚えにくい事に定評のあるNPCフロースガルの元ネタは叙事詩「ベーオウルフ」に登場した王の名前。
  ウィラフは王となって老いたベーオウルフ最後の戦いに付き添った従者の名前が元ネタ。
  そして例の人は設定資料集に「フロなんとかさんの子孫的な何か」とか書かれてるわ。
  …以上のことから符合する事は」
レティ「デネ(デンマーク)王フロースガルの王妃の名が「ウェアルフセーオ」だわ。
   元ネタこれじゃないかしら。
   もっともここでのウィラフ・ウェアルフの関係は作り話だからその辺りよろしく」
諏訪子「えっそこまで含めてフロなんとかさんの焼き直しなのかあの人」
静葉「あら諏訪子、復帰早いわね…ってみいいいいいいいいいいいのおおおおおおおおおおりいいいいいいいいいいいこおおおおおおおおおおおおおお!!?( ̄□ ̄;)

穣子「(アワレにも石になっている)

レティ「あんたえげつないわね…また邪眼の鎚使ったの?」
諏訪子「つかあの馬鹿と殴り合ってたらだんだん馬鹿馬鹿しくなってきた。
   早苗がそうやって決めたんだろ?だったらもうそのまま突っ走るのを見守ってやるしかないじゃないか」
レティ「お陰で今度は静葉が使い物にならないじゃない。
   ちゃんと解説してくれるんでしょうね?」
諏訪子「まあ善処はする」


諏訪子「とりあえずかごめの馬鹿が残して行ったデータからスキルを拾おうか。
   実はスキル紹介の写真、あれ金竜討伐後のでルーミア以外全員レベル上がってるらしいから
レティ「見りゃ解るわよ、だってレベルキャップ解放の王冠みっつついてるじゃない。
   因みにかごめの奴はこんな感じだったわね」




諏訪子「おいィ…なんだこのふざけた攻撃力
レティ「本来はここでパッティングアーマーの代わりにバーサーカーメイルのはずなんだろうけどねえ。
   でも、ここでは壊耐性が生きたかもしれないわ」
諏訪子「そうだよなあ、コレのちょっと前に狒狒王に水溶液ぶっかけに行ったはずだろうに。
   まあそうなるとさらに6%上乗せか?sYレなってねえなこの攻撃力」
レティ「幽香のと一緒でフォーマルハウトの4スロット全部ATCにしたらしいからね。
   獅子の紋章と合わせてATC×12、本来の攻撃力に36%上乗せ。馬鹿げてるとしか言いようがないわ」
諏訪子「道理でか…これだけの火力上昇と弱点を加味すれば強化なしでも金竜に有効打が打てるってか。
   一見無茶苦茶だが意外に理に適ってるんだもんな、あいつのやるこた」
レティ「それを加味すればもうりょっと面白いモノが見えてくるわよ、このスキル構成」


かごめ者(ソードマン/インペリアル)
剣士の心得(★1) 剣士の極意(★1) 剣士の悟り(★1)
ソニックレイド(3) リンクフレイム(8) リンクサンダー(1) ダブルストライク(★8)
ヴァンガード(★6) 先駆けの功名(★8) ソードブレイカー(★6) 物理攻撃ブースト・ソードマン(★8)
鉱物学(★1)
シャープエッジ(2) インパルスエッジ(☆3)
アサルトドライブ(2) 強制排熱(☆2) フレイムドライブ(☆4) アクセルドライブ(☆4)
ワイドエフェクト(☆3) ドライブマスタリ(☆4) フィニッシャー(☆3)
物理攻撃ブースト・インペリアル(☆4) 属性攻撃ブースト(1)




ぽえ(フォートレス/ソードマン)
城塞騎士の心得(★1) 城塞騎士の極意(★1) 城塞騎士の悟り(★1)
ディバイドガード(3) ラインディバイド(3) オールディバイド(3) ディバイドモード(2) ガードマスタリ(★8)
ヒールウォール(2) 騎士の加護(★6) 聖なる加護(★4)
防御陣形(3) 防御陣形U(3) 挑発(★4) 先制挑発(★4) ランパート(★6)
鉱物学(★1) HPブースト(5) 物理防御ブースト・フォートレス(2)
ソニックレイド(1) パワーブレイク(1) ヴァンガード(1)
ソードブレイカー(☆3) 物理防御ブースト・ソードマン(☆4)




騒霊(ルーンマスター/インペリアル)
印術師の心得(★1) 印術師の極意(★1) 印術師の悟り(★1)
炎の聖印(3) 氷の聖印(3) 雷の聖印(3) ルーンの輝き(2)
火球の印術(2) 氷槍の印術(2) 雷撃の印術(2) 爆炎の印術(2) 凍牙の印術(★8) 稲妻の印術(2)
劫火の大印術(1) 始原の印術(1)
ルーンの盾(★4) ルーンの導き(★6) TPカット(3) TPブースト(1)
印術マスタリ(★8) 属性攻撃ブースト・ルーンマスター(★10)
薬草学(★1)
ホークアイ(☆2) コンバーター(☆3) フィニッシャー(☆3) 属性攻撃ブースト・インペリアル(☆4)
アクセルドライブ(☆4) ワイドエフェクト(1) ドライブマスタリ(1)




風屠(メディック/ルーンマスター)
医術師の心得(★1) 医術師の極意(★1) 医術師の悟り(★1)
ヒーリング(3) ラインヒール(3) フルヒーリング(2) パーティヒール(3) リザレクト(4)
リフレッシュ(★6) リカバリー(★6)
オートヒール(3) オートリザレクト(1) ヒールマスタリ(★8) ストレッチ(1)
薬草学(★1) 戦後手当(1) 危険食材の知識(★1) TPブースト・メディック(1)
炎の聖印(☆3) 氷の聖印(☆3) 雷の聖印(☆3) ルーンの輝き(2)
氷槍の印術(2) 雷撃の印術(1) 凍牙の印術(☆4) 吹雪の大印術(1) 始原の印術(☆4)
TPブースト・ルーンマスター(☆4) TPカット(☆3) 属性攻撃ブースト(☆4) 印術マスタリ(☆4)




そーなのかー(スナイパー/ミスティック)
狙撃手の心得(★1) 狙撃手の極意(★1) 狙撃手の悟り(★1)
レッグスナイプ(3) アームスナイプ(3) ヘッドスナイプ(3) チェイスバインド(7)
ロングショット(3) フランクショット(2) フルメタルアロー(2) シルバーアロー(2)
スコールショット(5) ロックオン(3) カモフラージュ(2)
正鵠の明(5) 物理攻撃ブースト・スナイパー(★8)
樹木学(★1) 鑑定眼(★1) 警戒伝令(3) スカベンジャー(2)
腕封の方陣(☆4) 脚封の方陣(☆4) 頭封の方陣(3) 解魔の札(☆2)
陣回復(☆3) 退魔の霧(☆3) TPリターン(☆3) 抑制ブースト(☆5)


諏訪子「…えっちょっと待て、これリリカの火力本気で足りるのか!?
   劫火1振りとかいくらなんでも無謀だろ、輝き使うならまだしも」
レティ「ところがこれでも一発1200前後出るらしいわ。
   印術の速度補正だとどうしても、かごめの攻撃よりあとに発動するから」
諏訪子「……剣士の悟りが乗るのか……。
   ルーミアが頭を縛れればもっと効果的になるな……成程このペースなら、少なくとも金竜が倒れるまでに4、5発はフレイムドライブを撃つ機会もあるわな」
レティ「それのダメージがおよそ3000強ね。
   ドライブマスタリが乗ってればもっといくかもしれないけど、流石にそこまでうまくはいかなかったかしら。一回戦闘不能になったみたい」
諏訪子「流石にリリカのドライブまでは狙わなかったみたいだが、初撃のサンダーブレスのターンでポエットがディバイドして撃てば、あいつもドライブマスタリ乗せられるはずだな。
   あいつは後列だから生き残れるし、あわよくば二発目が狙えるだろ」
レティ「十分チャンスはあったと思うわ。
   それだけ慎重に行ったってことなのか、それとも単に忘れてたか。
   こっそりポエットのパワーブレイクもクセモノね。これも強化枠食わないし」
諏訪子「むしろ相手の弱体枠を増やしに行ってやがるな。
   聖印と食材効果でブレス対策は足りてるから、これで鉄槌と竜牙を押さえるのか」
レティ「むしろ間に合えばマインドも入れる気じゃなかったのかしら。
   それだったら邪教の仮面でもよさそうだけど」
諏訪子「案外これも試験運用かもな。
   キングスライサーの低命中補正までは計算外だったかもだし
レティ「かごめの場合、それがないといいきれないのが怖いわね。意外と肝心なところは抜けてるし。
   そして当初完全な足枷と思ってたウィラフだけど、彼女自身足が速いし、なおかつクイックステップがある。
   クイックと先制アイテム投げとして割り切ったら、思った以上にいい仕事したようね。
   特にテリアカαの頭縛り解除と、クイックからのパーティヒールね」
諏訪子「先制回復はやはりでかいよな。
   そうするとアレか、強化枠はまさか聖印だけか?
レティ「御明答。
   ディバイドは強化枠食わないから、状況に応じてかごめかリリカのアタッカーどちらか、もしくは早苗を守る。
   回復はルーミアの陣回復もあるし、これもヒールマスタリが乗るから馬鹿にならない回復力があるわ」
諏訪子「陣も強化枠食わんからな…あとはルーミアはひたすら頭を狙うのか」
レティ「解魔込みで4回くらい縛ったみたい。
   今回抑制もあるから縛りと異常は断然かけやすいわよ。実はこの直前、チルノ達と魔理沙で赤竜狩りに行ったそうだけど…コーディが催眠方陣で赤竜封殺したらしいわ」
諏訪子「だあーっ!!そういう手段もあったんじゃねえか!!!
   定型(テンプレ)の竜討伐に拘ってた自分がバカみたいだ全く!!!><」
レティ「全くだわ…強化枠なんて本当に要らなかったわね。
   最後、完全に相手を追い詰めたところで電光石火発動、かごめのリンクフレイムから劫火で一気呵成に焼き払ったみたい。
   1ターン犠牲にして強制排熱使うかどうか一瞬迷ったそうだけど、追撃込みで倒しきれると踏んでその通りになったようね」
諏訪子「多分次に狩りに行く時ぁ、初っ端からリリカのドライブマスタリ乗せに行くんだろうな。
   恐らくはもっとえげつない装備になってるか、耳飾りが大鷲の印章になってるとか」
レティ「パラライザーのスロットがELM(属性攻撃力上乗せ)になってるか、もしくはフォーマルハウトの三挺めにELM埋め…かごめとリリカなら、やりかねないわね」
諏訪子「もう最後のドマゾもあいつらに任せていいんじゃねえかな。
   …さて、残りはどうせいつもの茶番だし、そろそろあの馬鹿の石化解呪(とい)てやるか…」








♪BGM 「真・神戦」/笹井隆司(SaGa3時空の覇者 SOD)♪


「ポエット、リリカの守りにつけッ!リリカはあたしの攻撃に合わせて炎熱魔法を絶やすな!
早苗は回復のスペル、ウィラフ、あんたは早苗のサポートついてやって!
ルーミア、あんたは奴の口の上下を縫い付けることに専念しろ!!」


その一瞬の予断許さぬ死闘の最中、かごめの檄が飛ぶ。


その判断の速さ、驚異的な空間・状況把握能力…そしてなにより、自身はその猛攻をかいくぐって、常にこの恐ろしき竜と肉薄した位置で苛烈なインファイトを繰り返し、常に有効打を与え続ける鬼神の如き強さ。
そのかごめの姿に、誰もが息を飲まずにいられなかった。

かつて、世界樹を目指す旅路の中でレミリアが「かごめのやってる事に比べれば、自分のできるのはせいぜい飯事程度」などと言っていたが…それが謙遜ではなかったことを、早苗は改めて思い知らされる。

次元が違うのだ。

恐らくは今この瞬間も、かごめは金竜の一挙動から次の手を予測し、空気の流れから環境の変異を読み、把握した自分たちの様子を鑑み、そこへ数多の戦闘で培った経験則をかけ合わせているに違いない。
そしてその直感力が、最善の答えを導く。どれほど優れた性能を持つスーパーコンピューターでも、恐らく彼女には勝てまい。

リリカもまたその戦いの中で、その「とき」が近い事を感じ取っている。
今やっている事を、例えば詰将棋として例えるなら…それと覚られず、相手の王をじわじわ丸裸にしていくような。


その直観通り、空気が唐突に変わる…!


金竜がうめくように天を仰いだその瞬間、ポエットとかごめの視線が交錯し、頷く。
同時に展開される、白い光を放つ魔法陣。

「白馬陣ッ!!」

身体が何倍も軽くなる感覚。
それはバーストスキル・電光石火に相当し、ポケモンで言えば追い風の技に相当する…ありとあらゆる相手に先手を取る加護を味方に与える、ポエットの切り札の一つだ。

「決めるぞ、リリカ!
あたしの技に続けええええええええええッ!!
「うんッ!!」

即時に展開された魔法で、かごめの構えた逆風の太刀が紅蓮の炎に包まれ、一陣の熱風として竜の喉元を大きく切り裂く。


「遅延術式解放、紅蓮の滅閃!いっけえええええええええッ!!!


全魔力を載せた奥義魔法の一撃がその体を火柱と包み、金の竜は断末魔の咆哮を上げた。





-見事だ。
我は…既に自我を失いかけていた…それでも汝らの戦いぶり、我の身体が記憶している。
…赤竜、それに氷竜…あ奴らを止めてくれた者とは違うようだが…汝らとの戦い、満足している-

倒れ伏し、息絶えようとしている金竜は、穏やかな瞳でかごめ達を見つめている。

-だが、解っておるな?
我を討つ事…即ち、それは最も恐ろしき「彼の者」を蘇らせることとなる。
我が死ねば、その封印は解かれよう。
汝らに………託しても良いのだな?
-

「ああ。
だから、安心して眠ってくれ。
それと…こんな形でしか止めてやれなくて、ごめんな

かごめのその言葉に、金の竜は目を細める。

-哀しく…強い目だ。
人ならざる汝でも、数多の苦悩を経験し、それを受け入れ乗り越えてきたのか。
我にも、その心の強さが羨ましく思うぞ…!-


金の竜の身体が、光の粒子となって舞いあがり…やがてひとつの宝玉となってかごめの手の中へと収まっていく…!
それとともに、少女達は身体から凄まじい力が湧きあがるのを感じる。


「これが竜の力…。
父さんや兄さんから聞いてはいたけどこれ程の力だなんて…」

ウィラフは自分の手を眺めながら、感慨深げにつぶやく。

「…だが、この力を受けるという事はひとつの試練でもある。
リリカ達は、かつて自分たちの世界を守るために、この力を受け取ったんだ。
そして…あたし達はこの力を持って、もっとも強大な竜を討つっていう厄介事を受け取る羽目になったわけだ


-小さき者の分際で我を倒すとほざくか!!-


かごめの言葉に対するように、そのおぞましき声が周囲に響き渡る。
急に空気が重く感じられ、少女達が見上げた空は何故か、黒く霞んで見えるようだった。

そのなかでかごめだけは、強い視線のまま中空を見やる。

「あんたか。
調子こいて三竜に封印されてた大馬鹿野郎は

-威勢のいい虫けらだ…!
それにつけても…愚かなり、三竜よ。
封印したつもりが、我の力を受けて人の世に干渉し、挙句このような者どもに狩られるとは!-

その謎の存在は哄笑する。


-我はこれより世界樹を喰らい、その力を持って忌まわしきエルダーの首級を上げよう!
その時こそ我は竜の王の座につき!新たなる時代の幕が上がるのだ!!
見ておれ虫けらども、竜の神たるべき我に歯向かう暇も、ひれ伏す暇も与えぬ!!貴様等に許されるのは「死」のみだ!!!-



それきり、声は聞こえなくなった。
その強大な力を感じ取り、言葉を失う少女達だったが…かごめは砲剣を振りかざして叫ぶ。


「上等だ。
てめえのその怒頭、このあたしが綺麗に真っ二つにしてやるよ!!