〜陽溜丘 藤野家居間〜
「まさか本当につぐみちゃんまで連れてくとは思いもしなかったわ。
…始めは錯乱したのかと思ったけど」
久々に元の世界へ戻って来て、呆れ顔の佐祐理から注がれた茶を受け取って一口すするかごめ。
「アホぬかせ、正直つぐみは何時投入してもおかしくはなかったんだよ。
もう、あの子がどれだけのことに巻き込まれてきたかくらいは、みんな知ってるだろ?
…ったく…親のいないところで勝手に成長してく娘ほど、親にとって心配な生き物はいねえ。
さゆにもわかるだろそういうの?」
「…そりゃ、まあね。
今では玄孫までいるもの私…会った事はないけどね」
少し寂しそうな顔で、ホームパートナーでもあるその少女は腰をかける。
話を交わす二人は、見た目こそ十四、五歳の少女の姿に見えるが…実際は既に二百年以上生きる「妖怪」。
しかもその中で、ありとあらゆる機関から危険視され、監視対象となる「魔性真祖」と呼ばれる存在であるなど、言われても到底信じられるものではないだろう。
そのくらい、普段の彼女らは普通の少女そのものだった。
「逆にな、これまであいつのことをよく見ていてやれなかった事は、母親として悔いるところも多いんだ」
かごめは大の字に寝転がり、そうごちる。
「此間、チルノが紛れ込んだ時の話さ。
幽香さんが言ったんだよ…最初から連れてきておけば、そんなに危なっかしい事はしなかったんだ、ってね。
…あたしにとって、つぐみもそうだったのかもしれない」
独白する彼女の顔は、少し寂しそうにも見える。
「でも…一方で、あたしに縛られずに育ってきたあの子の事が、少し誇らしくも思えるんだ。
…あたし長い事、回りのことなんて考えずにいっつも、とっとと死んでしまう事ばかり考えてた。
それが「永遠の破片」のせいだったとしても…あたし自身が望んでた事には変わらないんだし」
でもさ、と彼女は身体を起こす。
「今になって思えば、人間辞めちまって…いやまあ正確にはあたしはそうじゃないんだけどさ…百年も二百年も生きてきてさ、今頃になってこんなに「もっと生きていたい」って思えるようになってさ。
その理由ってなんなのかなって。
リリカにしろ、さな坊にしろ、ほむらにしろ…勿論、つぐみも…こいつらが何処までやっていけるのか見守るのが楽しくてしょうがなくなってきてるんだろうなって」
「私はうまく言えないけどさ…私は、かごめさんが生きてくれてて良かったと思ってるよ。
私も、こうして生きてる理由もまだ今ひとつよくわからないけど…もしかしたら、かごめさん達が何かしでかしてきた話を聞くのが楽しみなのも、ひとつの理由じゃないかって思う。
…まあ、時々は退屈だから、また思いっきり体を動かさせて欲しいところね」
「善処はするよ。
さて、今頃はあいつらどうしている事やら…」
…
ルナサ「あ、ありのまま起こった事を話すよ!
『私はかごめに「リリカを四六時中ちゅっちゅさせる作業をさせてくれ」といったら、何故か世界樹の麓でぴかぴか光る羊やらカマキリやらに追いかけ回される羽目になっていた』
な、何を言っているのかわからねーとおm」
メルラン「はいはい馬鹿は言ってないでいいから。
リリカはもっとヤバいところ駆けずり回ってるのよ。
あの子と一緒にいたいなら、それこそ血ヘドを吐く勢いで経験を積まないと♪」
ルナサ「あんたなんでそんなにお気楽極楽なのよ!!ヽ( °Д °)ノ
つかあの子に会う以前に私死ぬわよマジで!? 死んじゃうわよマジで!?」
メルラン「わめくな馬鹿姉ぶん殴るわよこのサックスで(#^ω^)
ったく…何処かのアリスは自分なりに納得して帰るだけの度量を見せたというに」
ルナサ「私はもう限界じゃー!!
生きてリリカと添い遂げるうううううううううううううううううううう!!!><」
メルラン「はいはいそろそろ羊復活してるから次狩りに行くわよ、姉さん」
-続・狐尾幻想樹海紀行2-
そのH 「騒霊燦燦と」
諏訪子「前回は完全に中途の四方山話だけど今回は何なん」
かごめ「基本的に今回も四方山話ではあるがな。
本当は騒霊姉妹三人揃えてなんかやりたかったが、もうネタがなくてな」
諏訪子「そろそろ本当にしゃぶりつくしつつあるからなこのゲームも。
あと残ってるのは冥竜と蟲だけだし」
かごめ「この世界の真のラスボスはリグルだった(迫真」
諏訪子「煩ぇよって言うかそのネタ下手したら幽香に蒸発させられるぞお前…^^;
あいつ思った以上にインペリアルとシンクロ高過ぎて、なんか起こす度に背筋が冷えるんだが」
かごめ「そういえばなんだかんだであまりゆうかりん出て来る機会ねえな、このログ」
諏訪子「なんだかんだでゲーム的にも扱いづらい点があるからじゃねえのかな。
とはいえ、兜を獅子の紋章に変えたら羅刹チャージアクセルの一撃で巨人に7000近いダメージ叩き出しやがったんだがあいつ」
かごめ「睡眠補正やバフデバフ絡めたら5ケタ行くなwww
つか7000だと中盤のクエボスでも一発で蒸発するな…むちゃくちゃだなあのひと」
諏訪子「いやオメエのヴァンガと功名乗ったアクセルのダメージも十二分におかしいから」
かごめ「さて、こいつらのコンセプトを紹介しよう。
実はこの姉妹、当初からサブは統一しようと思っててな。
最初はリリカ合わせで全員インペリアルにするつもりだったんだが」
諏訪子「そうするとグラフィック的にも組み合わせが限られてきそうではあるが」
かごめ「ルナサはミスティックにする可能性も微粒子レベルで存在したしなあ。
一瞬、こいつだけサブ変えるかと思ってたけどいっそリリカだけサブ違うという風にすればいいんじゃないかと思って」
諏訪子「全然意味が解らんわい。
それに、結局ミスティックは何の意味があるんだよ」
かごめ「ルナサは完全に、ストーリー上の早苗の焼き直しの形だな。
結局メディックのLUCでは積極的にバステを狙うにも厳しいし、抑制に振ってまで無理に狙う必要性も感じなかったので、陣はひとつだけに絞り、むしろ陣回復をメインに使うことになる。
亜空鳴動までは余裕あったら取りたい気もするんだがな」
諏訪子「そう言えば…早苗も思ったほど縛りは成功なかったからなあ。
ルーミアの方がよっぽど陣をうまく使いこなしてるってのもアレだが」
かごめ「ルーミアの話も出たし、ついでに幾人かもここで触れちまおう…まあ、その前にメルランだな。
こいつは実は、元のキャラほど派手な何かがあるわけじゃない、結構地味ではある。
抑制と霞の舞でひたすら相手をスタンさせていくのが目的なんだ」
諏訪子「おひ…これはまた気の長そうな」
かごめ「ただダンサー自体のLUCもそこそこだし、スタンすればTPリターンが発動できる。
これでTPを回収して探索時間を延ばすのが目的だな。
もっともそんなに簡単にダンサーのTPは尽きたりしねえけどな」
かごめ「というわけで、今まで作った中で地味に紹介した記憶のないルーミアとあんたに触れようか」
諏訪子「あれっ…あっそうか私番外編と本編でコンセプト全ッ然違ったなそう言えば。
今までナチュラルに混じってたからまるで気にした事はなかったが」
かごめ「あたしもすっかり忘れてた。
あと黒幕、チルノ達、ゆうかりんも写真だけの紹介だったが…まあ、組み合わせ見れば大体分かるだろうし」
諏訪子「簡単に言えば、レティはハイドクロークでのサバイバビリティ向上と、速度ブーストでなるべく行動速度を上げるというコンセプトがあるな。なんか速度ブーストは焼け石に水って感じもするが。
チルノは羅刹が印術にも乗るし、羅刹解除で継続戦闘能力、食い縛りで生存性の向上を図っている。
コーディは手の空いたターンに積極的に踊るというか、地味に遅めの相手に霞の舞を狙っていく意味合いがあるのか」
かごめ「ゆうかりんはもうさっき触れたし、重ねて説明の必要ないな。
チャージがあるから、チャージエッジは取得させてない」
諏訪子「じゃあ脱線し終えたところでルーミアの紹介をば」
かごめ「こいつはまあ、縛り特化のスナイパーだな。
どっちかと言えばほむらがこっちの気がするが、前回触れたさとりといいちょっとこの辺キャライメージに反したコンセプトにあえてしている」
諏訪子「ルーミアでサポートってのも新鮮な気がするが、闇とか暗黒とかの力って、意外に攻撃より搦め手に向いている気がしなくもねえよな。
私の祟りもそうだけど」
かごめ「そうだなあ…サガフロの陰術も攻撃らしい攻撃というとダークスフィアくらいしか思いつかん」
諏訪子「あれもコスパ良過ぎるけどな、特に連携性能が異常で。
それはさておいて、スナイパーはミスティック、ナイトシーカーに次いでLUCが高いから、抑制と合わせるとひたすら縛りに行けるだろ」
かごめ「加えて、縛る機会も多いからチェイスバインドもマスターさせてある。
実は足縛ってからのスコールを必殺技として持たせてるんだが、意外に頭縛りに行くことが多くてなあ…実際の話、これ書いてる時点でまだスコールは振っておきながら使った事がねえ」
諏訪子「それも酷いなオイ」
かごめ「そしてお前さんだな。
地味に変更後はスナップ露出もなかったので今回ここで紹介するのも初となる」
諏訪子「( ̄□ ̄;)ええええええええそうだったっけ!?」
かごめ「そうだよ(迫真
本編最終話でメディックになった事を匂わせたり、これまでログの中で所々、物騒な鎚を振りまわすネタはしてはいたがな」
諏訪子「所謂「殴りメディ」なんだよなこれ。
2以前のシリーズだとサブクラスがなかったから、本当にネタでしかなかったコンセプトではあるが」
かごめ「サブモノノフにすることで羅刹、二刀流による背水の陣、物理攻撃ブーストによる火力アップと、衝破や鉄火、流墜衝と言った優秀な鎚スキルが活用できるしな。
勿論、微々たるものではあるが速度補正のある短剣を挿す事でヘヴィストのスタンも狙いやすくなる」
諏訪子「これも初期運用の頃、邪眼の鎚の命中補正を忘れてて結構えらい目にあった気がしたが」
かごめ「あるなんて知らなかったしよう、そんなの…(´・ω・`)
邪眼の鎚(石化)、キングスライサー(即死)、シグルドの強弓(即死)みたいな強力な効果の武器ならまだしも、まさかパラライザー(麻痺)にすらそんなもんがあるとは知らんかったわい」
諏訪子「面白いのはナルコレプス(睡眠×3、空き×2、材料は赤南瓜の通常ドロップ)に低命中補正があるのに、クリス(呪い)、妖刀ニヒル(呪い)、血濡れの大鎚(呪い)、コモドハンマー(毒)とかにはないんだよな。
何が違うのかよくわからんが」
かごめ「ひょっとするとだが、相手の動き止まるからじゃないかなどれも…というか、石化も即死もあとから鍛冶で付与する分には命中の影響受けたりしないんだよな。
だったらこういう武器を活用しないで適当な、空きスロットの多い武器に石化や即死を突っ込んでおけば普通にいいわけだけど…現にこいしの柳葉飛刀は石化×4にしてあるけど」
諏訪子「付与確率10%(石化と即死のみスロット1個目が4%、以降2%ずつ加算。因みに他の状態異常と縛りは1個目が6%で以降4%)だけど、実際もっと決まってる気はするよなアレ。
まあ抑制ブーストとシカのLUCの所為もあるんだろうが」
かごめ「…とまあ話は戻すが、普通の鎚を使ってる分には別に問題もないので、前衛で殴りに行けるメディというコンセプトがおまいさんだな。
早苗がスキ見て属性で殴る型、ルナサが補助・回復特化とすればここで三様の個性が出てくるというわけで」
諏訪子「玄翁の材料集める為だけに金竜に水溶液をぶっかけにいってる始末だもんなもう既に。
ここまでやられるとなんで今まで金竜討伐に尻込みしてたんだか自分でもわからんくなるわ('A`)」
かごめ「世の中なんてそんなもんだ、大体やるまでというのが一番尻込みするんだし。
まあまだ二周行ってきただけだけどさ、竜狩り」
諏訪子「それはともかく、コンセプトの完成具合を見る意味もあってお前と「殿」で暴れて来たわけだがな。
その話はどうする?」
かごめ「QRのあれか…まあそれは次回へ回していい気はするがな。
今回は総四方山話でいいと思うんだ」
諏訪子「何時もの如くだな」
…
…
〜タルシス 冒険者ギルド〜
諏訪子「よう、よく来てくれたなあ。
この街には迷わず来られたかね(キリッ」
「あははは!それ辺境伯の真似?なんつーか雰囲気出てるわねえww」
「いつもあんた達のところの連中には世話になってるからね。
あたし達で役に立てればいいんだけど」
諏訪子「なぁに、あんたらところの話はこっちにも訊ける伝手があるからね。
姐さんの方は話す機会もあるが、そっちの魔法使いは初めて見る顔だね」
ラ・ターシュ「あんた達にはむしろヴィーナスさんと一度話させてみたいけどねえ。
こっちの子はアルテミス、うちらの身内ではほぼトップといってもいい魔導師さ。
そのうちあんた達と剣を交える機会もあると思うし、よろしく頼むよ」
諏訪子「ほう…あんたらのところの魔法使いというと、なんか常に電波を受信してそうなアレを思い出すが」
アルテミス「えっ何…レモンのアホはこっちでもウワサになる様な事ばかりしてるわけ?
アレと同一視とか流石に頭が痛いわねえ…」
ラ・ターシュ「いやいや、あいつはあいつで歯車が噛みあうとすごいからね。
そのくらいのことをいつもしてくれれば助かるんだけど」
諏訪子「ふむ、まあ立ち話もなんだし、景気づけに孔雀亭にでも行こうか。
こっちもコンセプト確認のためだけど、かと言って「殿」に潜ってたりする奴呼んでくるのもアレかと思ったんでね。
まあ、酒飲みついでに気楽にやってもらえればいいさ」
…
諏訪子「…というわけで」
アルテミス「( ̄□ ̄;)ちょっと待てえええええええええええええええええ!!!
ちょっとあんた一体何考えてんのよ!?
コンセプト確認のために命張れとか一体何考えて」
諏訪子「えー? だってこいつ湧いてる時が一番稼げんじゃないか。
さとりの奴がテトラに式神を売った筈だから、そっちでもこのくらい普通にしてるんじゃねえの?」
アルテミス「じょじょ、冗談じゃないわよ!
オリジナルはどうか知らないけど、一発で焼き切れなくて何度地獄を見たことか…」
ラ・ターシュ「いや待てアルテミス。
…諏訪子さん、あんた、多分総てのパッシブやバフまで計算に入れてはいるよね?
もしかしてヴァンガードでターンをまたぐのって必須なのかい?」
諏訪子「えっ何を今更。
さとりには仕様書もセットで渡した筈だが…まさか渡されて読んでないとかそんな馬鹿な事は」
ラ・ターシュ「……いや、誰ももらった記憶ないね。
となれば、誰かがわざとそれを隠ぺいしたって可能性があるね…テトラがそんな事やるとは思いにくい、多分MZD(あいつ)だな」
アルテミス「そそ、そんな事よりこれどうすんのよ…。
一応先手取ったから、逃げる事は出来るけど」
ラ・ターシュ「諏訪子さん、あんたのAGI数値は?」
諏訪子「あんたらとんな変わらんが、一応短剣差して補正はかけたから多分先に出れるよ。
なに、万一の保険もかけてある…あんた達は、私の指示通りに決めてくれればいい」
…
〜その数時間後、孔雀亭〜
ママさん「ホント、お疲れ様ねあなた達。
彼女らのやる事は何時だってこんな感じよ、新人には特に心臓に悪い事だわ」
アルテミス「ったく…うまく行ったからいいけど…。
まさか軽い手伝いのつもりが、寿命縮める羽目になるたぁね」
諏訪子「……まあ基本的にはヴァンガード必須、乗りさえすれば弱点のフレイムでも無属性のアサルトでもどっちでも行けるんさ。
ヴァンガード必須なのは、ホーリーギフトする為のゲージが足りない点も一応考慮に入れてだな」
ラ・ターシュ「なるほどねえ。
ヴァンガードと先駆けの功名でおよそダメージ量が二倍弱…そのくらい補正かからないと確定と行かない事もあるわけか」
諏訪子「もっとも強化補正減算もあるから、実際のダメージ補正はもう少し小さくなると思うが…それでも7割増し程度のダメージ量にはなるはずさ。
心配なら、経験値は減るが聖印役でも連れてってそれで補正してやってもいい」
ラ・ターシュ「ふむ…。
なあ諏訪子さん、支障のない範囲で構わないけど…今のあんたのコンセプトって結局何だったんだい?」
諏訪子「要は殴りメディなのさ。
スタードロップの有用性をちょっと確かめたくってね、かごめだとヴァンガ乗せる関係で足早過ぎるし、魔理沙や幽香一人だと微妙に火力足らんのよ。
あんたのところで魔法使い(ルンマス)一人出張させてくれるって話だったし、そいつが劫火使えるんだったらアイスシザーズ相手でも行けるかなって思って…仮にレモンのアホだったらまた別の手を考えるつもりだったが」
ラ・ターシュ「いやはや、恐れ入るねえ。
うち軍師役っぽいのっていうか、そういうアイディアを出してくれる奴がいないから、勉強になるよ」
アルテミス「ったく…姐さんそういう話に興味あるの解るけど、もうちょっと気楽に飲もうと思わない?
折角今回の無茶の礼に飲ませてくれるって言ってんだしさあ」
ラ・ターシュ「いやあこれだけじゃまだまだだろ。
なあ諏訪子さん、よかったらあたしらも竜討伐に連れてって見る気はないかい?
あたしらの力をあんた達の戦略に乗せたらどうなるのか、ちょいと興味があるよ」
アルテミス「( ̄□ ̄;)えちょ姐さんマジで何言ってるんスか!?」
諏訪子「ふむ…技量的には十分だしお願いしてもいいかなあ…」
アルテミス「( ̄□ ̄;)あんたも断ってお願いだから!!!」
ラ・ターシュ「何言ってんだい、ヴィーナスさんだって言ってるだろ、苦難には嬉々として飛びこめって。
というわけで、よろしく頼んだよ!」
諏訪子「あいよー^^」
アルテミス「こ…ここからが本当の地獄だ…('A`)」
…
〜一方その頃、雲上域〜
ルナサ「わたしもうかえりたい('A`)」
メルラン「んもーしっかりしてよ姉さん。
あなたがリリカと一緒にいたいって、我慢しきれずに飛び出してきたんじゃない。
…私達がこうしている間に、あの子はどんどん強くなっていくわ。
きっと、そのうち追いつけなくなるくらいに」
項垂れる姉の手を、メルランはそっと取って話を続ける。
「私だってさ、あの子と一緒に冒険できたら楽しいって思うわ。
でもあの子ったら…何時の間にか私達の元を離れて、今ではたくさんの仲間ができて…。
寂しくないと言ったら嘘になる。
だから…今回姉さんを止めなかったのは、私自身、あの子に頼らずに自分で何をできるか確かめる、いい機会だと思ったのよ」
「…メルラン?
お前…何を」
「今の私達はもう、あの子の力で生み出された仮初の存在じゃない。
一個の妖怪なのよ。
だから…「騒霊としての私」にどんな可能性が秘められてるのか…あの子と共に戦うそのときまでに、見つけておきたいの!」
メルランはひと振りの名剣を構え、その魔物に向き直る。
それは、雲上域の「幻の池」に主としてウワサされる巨大カメの魔物。
高質化した甲羅の一部が鋭利な刃となり、攻防一体の恐るべき要塞と化している。
僅かに気負いを残しながらも、覇気のある表情で魔物に相対する妹の姿に、ルナサも悟るところがあったのか、その傍らに立つ…!
♪BGM 「熱情の律動」/伊藤賢治♪
「姉さん…!」
「…そうだよな。
何時までも弱い私のままじゃ、あの子をただ心配させるだけじゃないか…!
…何処までやれるか解らないが、私がサポートする。
メルラン、アレを八つ裂きにする役目は任せるよ…!」
「おっけー。
行くわよお化けガメ、この私達の刻む戦いの
…
二人の姉がこの世界に乗り込んで来ていた事を知らされたリリカは、これまでだんまりを決め込んでいたかごめから二人の居場所を聞き出すと…その場所へ飛空艇を走らせる。
「無茶だよお姉ちゃん…!
お姉ちゃん達の力で、そんな魔物と…!!」
不安と焦燥の入り混じったその表情で舵を取るリリカだったが、たどり着いた先で見たのは、思いもよらぬ光景だった。
その巨大な甲を持つ魔物は、ピクリとも動かなかった。
大地を朱に染め、息絶えた魔物の亡骸の傍らに立つのは…。
「やっほ、リリカ」
カメの甲にもたれれながら、能天気な表情で手を上げるメルラン。
「やれやれ…流石に羊と比べると面倒な相手だった…硬いし。
けど、なんとか私達だけでもうまくいったね」
甲の上に座り、やれやれと首を振るルナサ。
気球艇から降り立ったリリカは、ふたりへどう言葉をかけていいのか解らず、所在なくその場に立ち尽くしていた。
そこへ、気球艇にこっそり乗り込んでいたらしいかごめが姿を見せる。
「どうやら、あたしの課したノルマは本当に達成できたみたいだね。
…あたしに文句はない、ギルドの一員として歓迎するよ」
「……かごめさん、なんで」
「なんでお姉ちゃん達にこんな危ない事をさせたか、か?
…………あたしはそうは思わんよ。
ルナサもメルランも、十分に実力のある妖怪だ。だがリリカ、あんたの目に映る姉さんたちは、そんなに頼りなく見えるのかい?」
リリカは泣きそうな表情で、二人の姉とかごめを交互に見やり…首を振る。
ルナサはリリカの身体をそっと、抱きしめようとするが、その前にリリカの方が強く、その体を抱きしめている。
その傍らで、一瞬困ったような表情の長女に次女が笑いかけると、こちらも穏やかな笑みで返し、末妹の身体を抱き寄せている。
「あんた達は三位一体の騒霊楽団。
だが、その真価は三様の個性のぶつかり合いであるべきだ、とあたしは思う。
今のあんた達には改めて言うような事でもないだろうが」
ふっと笑うと、かごめは背後の姉妹を振りかえることなく、気球艇に戻ろうとしたそのときだった。
濃密な殺気が雲上域全体を支配していく。
その異様な気配に、リリカは反射的に振り返り、姉達を守るかのように砲剣を構え…その傍らに歩み出たメルランもまた、神妙な表情で剣を構える。
しかし、その恐るべき殺気は次第に、ある一点へと集束されていく。
丁度、それは雲上域の北西部。
幾度となく訪れた、その謂れも解らぬ不思議な紋様が刻まれた盆地の辺り。
「…………あいつら、まさか!!」
かごめの脳裏に、その恐ろしい予感が過る。
「君のその予感は間違ってはいない。
君がそう感じるように、まだ君たちが挑むには時期尚早の相手だった。
…それ故、君たち冒険者の手順に則り「依頼」を出す機会をうかがっていたのだが…」
何時の間に乗り込んでいたのだろうか。
気球艇から一人の兵士が現れ、そう言葉を発しながらかごめ達に近づいてくる。
誰何するよりも先に、謎の兵士はさらに言葉を紡ぐ。
「予想より、「冥闇に堕した者」の復活が早まってしまった。
…君たちを僕らの問題に巻き込んでしまった事、すまないと思っている。
だが、あいつの存在に引き寄せられた、粗暴な僕らの同胞…あいつの気に中てられ狂わされた者たちが来たらここは間違いなく焦土と化す」
「同胞…?
あなた、まさか…」
「…君も何処かでその力を受け継いでいるんだね。
まあ、君の想像に任せるよ。
こうなってしまった以上、一刻も早くあの忌むべき者を討ってもらいたい。
…異界の力ある者とはいえ、本来僕らの間でどうにかしなければならない問題だが…僕らにとっても苦肉の策だったんだ、君らを頼る事は。
僕らは、あいつに近づくだけでも影響を受けてしまうから」
その兵士は、踵を返す。
その姿は空間へだんだん、消え入るように溶けていく。
-依頼は改めて提出しておく。
もし、無理そうだと思ったら、断ってもらっても構わない…本来、君たちは巻き込まれるべきではないのだから。
…それと今、無謀にもアレに挑んだ者達の身は、僕が責任を持って無事に送り返す-
それきり、その声も姿も感じられなくなっていた。
…
〜それから数刻後、タルシスの診療所〜
寝かされていたのは古明地姉妹、ルーミア、コーデリアと…諏訪子。
皆、かろうじて一命を取り留めた状態で…五体を保っているのが不思議なほどの状態だった。
その中で唯一、意識を保っている諏訪子が、帰還したかごめへ呻く様に告げる。
「す…済まねえかごめ…私とした事が、何の考えもなしに…!」
「諏訪子様…まだ起きては」
傍らに座る早苗の表情も重い。
気丈にも、痛みを押して起きようとするその体を、治癒の魔力を送りながら制する。
「…あんたが身を張って見せてくれたように…私も、自分の限界を試してみたくなった。
はは…でも結果はこのザマさ…私に出来たのは、着いてきた連中全員を危険な目に合わせることしかっ…!」
自嘲的に笑うその歪んだ表情から、悔し涙が零れ落ちる。
「………勝敗は兵家の常、あんたも軍神だったらそのくらいわかるだろ………。
多分あいつのお陰だろうが…生きて戻って来てくれたなら、それでいい…」
かごめも早苗の傍らにしゃがみ込み、諏訪子の手を強く握りしめた。
…
…
静葉「はい、というわけでここからちょっとだけ次回に絡んだ解説をするわ。
いよいよゲーム内最後のクエスト「決戦、冥闇に堕した者」を受領することになったわ。
まず相手がどの程度の実力かを試す意味で、適当…ってわけじゃないけど、あるコンセプトに沿ったパーティで一回試しに挑んでみたわ」
静葉「メンバーは触れた五人ね。
相手をルーミアの陣で縛りまくって、催眠からのチャージドライブを狙う感じね。
実は途中…20ターンくらいまでは結構うまく回ってたわ。思ったほど催眠が決まらなくて、夜賊の乗ったチャージアクセルを突っ込んでいくことでダメージを重ね、25000くらいまでは削れたと思うわ」
静葉「相手の能力やスキル解説は次回に回すけど、最大のポイントになるのは5倍数ターンに撃ってくるスーパーノヴァ、そして初手と特定の状況で使用する冥闇の呪縛。
このふたつの対応がカギになるのだけど…20ターン目までは解魔と陣でなから無力化出来てたから、正直行けるんじゃないかと思ったくらいだったわ。
そのときはそのときで話の展開を考えるつもりだったんだけど」
静葉「戦法としては悪くなかったけど、それを維持できなかったのが敗因だったわね。
さて、このhageを受けて一体どう対応していくか…それは次回のお楽しみ、ということで」
静葉「最後に、アルマムーンから出張頂いた二人のうち、こちらと向こうさんで「姐さん」と親しまれているラ・ターシュに関してはほぼキャラはつかめてるんだけど、狐野郎が過去の世界樹・ナナドラログとかきっちり目を通してないから、アルテミスに関してはちょっと「これでいいんかいな?」みたいなところはあるかも知れないわ。
まあこの辺私信だけど…大目に見て頂ければ幸いね」
静葉「…それじゃ、今回はこの辺りで。
これを超えてしまえば、いよいよこのログも本当の意味でのフィナーレが近づくんじゃないかしら。
なにしろ、あと倒すべき大物は六層ボスだけになるもの…それまでは、もうしばらくお付き合い頂けると幸いだわ」