〜白玉楼〜

アリス達に連れ出されていった妖夢を見送り、奥の間に引っ込んだ幽々子。
程なくして姿を見せた彼女の姿もまた…旅装だった。

「さて…これで準備は整ったわね。
リリカの話を聞く限り、アーモロードの樹海を探索するとなればそうそうすぐには帰ってこれないことは明白。
……紫、いるんでしょう?」

その言葉に応えるかのように、幽々子の背後にスキマが開く。

「準備は出来たようね。
…けれど、本当にあなたも行くつもりなの?
確かに今のタルシスその周辺は、既にかごめ達がやるだけやりつくして危険も少なくなったけど、裏返せばもう特別やるべきことなんて残ってはいないわよ?」
「そうね、ただの物見湯山で終わるのが関の山かもしれない。
でも、それならそれでいい。
妖夢がいたら、それこそ何を差しおいてでも私にくっついてきちゃうだろうしね…あの子はあの子のやりたいように。私もまた、私のやりたいようにやってみたくなった。それだけよ
「あなたもなんだかんだで、気持ちが若いわねえ。
むしろ、西行妖から解放されてから、本来のあなたらしさを取り戻した、というべきかもしれないけど」

幽々子はスキマの中に歩を進める…。

「シャドウやるりちゃんには、予め了承は取って置いたわ。
私のいない間、白玉楼の管理よろしくね、紫」
「はいはい、気をつけて行ってらっしゃいね。
…というか、幽々子」




「なんでそんな(バニーガールの)格好してるのあんたは^^;;;;;;;;」
「あー気にしない気にしなーい^^
それじゃ逝ってきまーす♪」



-続・狐尾幻想樹海紀行2-
その14 「狂気の殿を越えて(後)」




<モノノフ>
キバガミ メディック
静姉 ソードマン
ゆゆ様 ナイトシーカー

諏訪子「お前はタルシスとその周辺の生きとし生ける者を餓死させる気か(しろめ
かごめ「いざとなったら穣子をイケニエに捧げる、問題ない(キリッ
静葉「( ̄□ ̄;)問題大ありだっつの!!!
  冗談は置いといて、まさかこの子をモノノフとはねえ」
かごめ「忘れられがちな設定をもう一度おさらいしようか?
   そもそも妖夢のポジションってなんだ?」
諏訪子「白玉楼の庭師だろう。あと雑用係?
静葉「意外と忘れられがちな設定があるわね、白玉楼の庭師「兼、西行寺幽々子の剣術指南役」という
諏訪子「( ̄□ ̄;)えっ…あっ、そういえばそんな肩書があったなあいつ!
   じゃあ本来妖夢が果たさなきゃならない役割って、庭師だけじゃなくてこの食いしん亡霊に剣を教えることもなのか」
かごめ「しまむら妖夢とかYYYとか斬れば解るとかが有名になり過ぎて、この事実を忘れてる奴はマジで多いと思うぞ。
   何気に萃夢想とかでも幽々子の通常打撃の威力はかなり高い方だから、肉弾戦は決してできないわけじゃない。みょんはヘタレ属性の方が二次では強いけど、あの高攻撃力も妖夢の指南の賜物だったとすれば、剣が使えないとは思いにくいだろう」
静葉「多少穿った見方かもしれないけど、原作の設定に従えばあり得なくはないわね」
諏訪子「サブナイトシーカーだと追影の刃があるから、萃夢・緋想で妖夢がやる半霊アタックを再現できるわけか。
   さしづめ無双神楽がギャストリドリームになるのかこの場合」
かごめ「火力を維持する為に食いしばりはわざとレベル2で止めてある。
   流石に1だと羅刹の反動で即死するからな」
静葉「そういえば私含めてだけど、本職なのに羅刹は皆1振りなのね」
かごめ「1でも十分高倍率だからな。
   それに、上げたところでも劇的に補正が上がるわけでもない上に、特に3以上はHPTPの減少が割に合わんレベルだし。
   キバガミはいざとなったらデバフ解除やリザレクトという仕事もあるし」
諏訪子「意外に器用なんだよなあの牛。
   刀と靴の補正でわりと先手取って高火力からヘヴィスト打てるから」
静葉「彼に玄翁持たせても良かったわね」
かごめ「その意味ではオーソドックスな火力職に仕上がったのがあんただな。
   あんたはとりあえず羅刹にもう1か2振ってもいい気は正直してる」
静葉「欲を言えば羅刹マスタリを伸ばしたいけどね、そうするならだけど。
  整理すると、キバガミはメイン鎚で緊急時にはデバフ解除にも回れる型、私が剣中心の速攻型、幽々子は積極的に高威力の無双神楽を狙っていく型になるのかしら。
  地味にハイドクロークや残滓の存在も大きいわね」
諏訪子「あーそれで一回被弾誤魔化すのか。
   しかし、実際の運用はどうなんだこいつ?」
かごめ「じゃあこちらをご覧いただこうか」








〜セフリムの宿〜

「いや、誰か寄越したい奴がいたら別にかまわんと言ったけど…まさか本当に送ってくるとは思いもしなかったな」
「あら、ご不満かしら?
ルナサ達の話は紫から聞いているわ、もしテストが要るようなら、これから天子ちゃんと一緒にやって来ても構わないわよ?」

無言で睨むように立ちつくすままの天子を余所に、あっけらかんとした笑顔で幽々子が言う。
首を振るかごめ。

「いや、特にあんたの実力はよく知ってるよ、お嬢。
戦力的にはいてくれた方が有難い部類に入る…が、妖夢はどした? 何時もあんたの後ろをカルガモのヒナみたいにくっついてくるカリメロ剣士は」
「妖夢なら、今頃アーモロードを奔走してる筈よ。
紫から聞いたところ、最初はしばらく剣を使わずに戦うんだって…修行のためにあえて剣を封じる、とか言ったらしくて

ほう、と感心したように息を吐くかごめ。

「…知っての通り、もうここでやるべき大仕事は「殿の蟲」を討つことしかない…あたし達は、その最終戦に向けてのメンバー選出を中心とした下準備の真っ最中だ。
だから、あんた達の詳しい能力を把握したいのは事実。
テストとは微妙に異なるが…あたしにつきあってもらおうか」
「あらあら…「狐尾」ギルドマスター直々の御検分とは、光栄だわ。
それで、何をすればいいのかしら?」

口の端を吊り上げるかごめ。


「そろそろ、魔力は十分に溜まった筈だ。
アレの準備も十分にできているだろう」





かごめ「よし我が弟子ルーミアよ!準備はいいな!」
ルーミア「了解なのかししょー!!><
    イワォさんでておいでー!!

ルーミアはエペタムの刃を振りかざした!!




ルナサ「それで私達にもアレと戦えってってのか」
かごめ「本格的なパーティバトルは初めてだろうお前ら」
ルナサ「そりゃあ…それに、白玉楼のお嬢は知らん間柄じゃないけどなあ」
幽々子「確かに、顔合わせとしては滅多にない組み合わせねえ。
   これはあれかしら? 即興のPTでもチームワークが発揮できるかどうかのテストも兼ねてるのかしら?」
かごめ「どう受け取るかはお任せするよ。
   あたしの目的は「あんた達がどう戦えるのかを見る」、それだけだから
幽々子「なーるほどねえ。
   …みんな、指示は私が出させてもらっていい?」
フラン「私はいいですよ、そもそも、私あまりそういうの向いてないし^^;」
メルラン「私も苦手だなー」
ルナサ「お嬢わりと回りよく見てるしな、そうしてもらえればありがたい」

天子に眼をやると、彼女は険しい顔のまま無言で頷く。

幽々子「おーけー、解ったわ。
   アリスやリリカみたいにうまくやれるか解らないけど、一丁やってみますかね!」


♪BGM 「戦乱 吹き荒ぶ熱風の果て」♪


イワォさんが粘着してきた!

イワォさんはソニックブームの構え!
天子とルナサはスタンで動きが取れない!!

幽々子「(…紫の言った通りね、特定の条件がそろってない限りこの攻撃は被害が小さい。
    けど、あのスピードから全体スタンはなかなかに厄介だわ)」

イワォさんはさらにカオスブリンガーの構え!
天子はアワレにも混乱した!

天子「…っ!?」

メルラン「( ̄□ ̄;)うわあ盾役がいきなり頭ヒットしてどうすんの!?」
幽々子「落ちついて!あなたリフレッシュワルツは使えるでしょ!?
   それやったら次のターンでアタックタンゴ!ルナサは奴の攻撃力を殺いで、フランはヴァンガードから脚封じ狙って!」
フラン「は、はいっ!!」
ルナサ「了解っ!!」


〜少女戦闘中〜


イワォさんはグロッキーになっている…。

メルラン「あと一息っぽいよお嬢!どうすんの!?」
幽々子「丁度圏内にはいったっぽいわね…私が決めるわ、メルラン、クイックステップの援護頂戴!
メルラン「いえすまむ!><」

抜刀術の構えのままクイックステップの援護で幽々子はイワォロペネレプの懐に飛び込んでいく…!
裂帛の気合と共に放たれた氷刹の一撃を受け怪鳥は真っ二つに切り裂かれた!!


怪鳥の姿が一瞬ぶれて揺らぎ、そして消えてゆく…。


「ふむ、御見事。
…というかお嬢、それさな姉の技だな。氷雪魔法の術式装填はあの茶巻髪の十八番だ」
「直接教わったわけじゃないけどね。
妖夢とやりあってるの見てるうちに覚えたの。実戦で使うのは初めてだけど、思ったよりうまく使えたわ」

ふむ、とかごめは息を吐く。

「しかしこいつはなかなかの強敵だったな。
少しでも回復のタイミングが遅れたら危なかった」
「私達が、でしょー?
殆ど前衛に攻撃集中してくるし、異常のオンパレードだったじゃない。そこの天人さんが何度石化食らったことか」
「お前もだろうが」

あっけらかんと笑うメルランをたしなめるようにルナサが小突く。
とうの天子はというと、少し悔しそうな表情で口を真一文字に結んだまま。

その天子を労うように、幽々子が彼女の肩を叩く。

「慣れない環境でよく頑張ってくれたわ、御苦労様。
…あなたの攻撃技は隙も大きい。火力とスピードを兼ね備えた相手に対して使うのは、よく見極めをしなきゃダメよ。
一回目に打とうとした時は見事に隙を突かれてる、気をつけなさいね」
「…………うん」
「フラン、あなたの技の切り替えは良かったわ。
あなたが着実にダメージを稼いでくれたおかげで、目算より3ターンほど早くケリがついた。
その感覚を忘れないで頑張ってみてね」
「は、はい!ありがとうございます!」

そのやり取りを見てかごめは感心したように頷く。








かごめ「実は赤竜氷竜にもぶつけてみたんだけど、意外とそつなく仕事をこなしてくれてなあ。
   氷竜には弱点突けないけど、その代わり出の速い閃刃でガンガンダメージを重ねていけるし、追影の刃でTP回収力もあるからかなり息切れせずに戦える。
   正直あたしの代わりに金竜にぶつけても十分戦えるんじゃねえか?」
諏訪子「鉄火持ってんだっけ?」
かごめ「持ってる。十分弱点は突ける」
静葉「こういうときは二刀流してると範囲が広がっていいのよねえ。
  ただ、鎚の行動マイナスはなかなかに痛いところだけど…」
諏訪子「だねえ。
   つか無双神楽はどうなったん?」
かごめ「実戦だとあまり使う機会に恵まれなくてのう(´・ω・`)
   ある程度閃刃や鉄火・氷刹に振っておいてもいいかも知れんな」


<ミスティック>
ウーファン スナイパー
大ちゃん ダンサー

かごめ「それでは残り2クラス分の解説に戻りましょうか。
   正直ミスティックって何ができるのか、なんかよくわからんのだが
諏訪子「うまく育てればバステ撒きとして超優秀なんだがなあ。
   実際にウーファンは後列からスナイプさせるのが目的なんだろこれ」
かごめ「いや…狐野郎としてはぶっちゃけ後列に置いて方陣張った後はちまちま殴れるようにしたかっただけらしい…もっと言えばwikiで単に「いい組み合わせぞ」と書いてあったのを見て脊髄反射で決めたとか
諏訪子「( ̄□ ̄;)なんの考察もなかったのかよ!
静葉「道理で方陣スキルの取得状況も適当だと思ったら…何も考えてなかったのね」
かごめ「んだなあ。
   コーディにしても単に後ろから殴れるようにしたかっただけだしな。
   一応抑制から霞の舞のスタンを狙えるようにしてはあるが、実はミスティックのAGIもフォートレスやインペリアル並みに低いという事実があって。
   実質バーストセーブくらいにしか役に立ってない気がするなあ」
諏訪子「靴装備にAGI補正がっつりいれた短剣差せばある程度は解決するだろ、そこまで考えろよやるんだったら」
静葉「太古の呪縛を使うならバーストセーブの生かし所はあるけどねえ。
  でも、特にウーファンは考察し直しの余地はいくらでもあると思うわ。
  スナイプがあるなら縛り方陣は切ってもよさそうだし、スナイプからチェイスバインド、あとカモフラージュ辺り取っておけばサブに割くSPも少なく済むだろうし」
かごめ「だなあ。考え直してみるか」


<インペリアル>
ローゲル ソードマン
魔理沙 ナイトシーカー
ゆうかりん モノノフ

かごめ「ラストはバ火力担当の3りだな。
   ローゲルそのまんまなんだが、この組み合わせ普通にヤバいからな、火力的に」
諏訪子「お前がやってる事の本職だからな。
   実際ヴァンガ乗せてシャープとインパルス繰り返してるだけでも十分過ぎる火力が出るしな」
静葉「けど本編進行中は、魔理沙のやってる組み合わせに移行する計画もあったのよね?」
かごめ「一応な。
   だが追加火力が運に左右される残滓という時点で疑問があって、それだったら素直にサブ変えずに行ってもいいんじゃないかと」
諏訪子「これはこれでシナジーのある組み合わせだけどな。
   オーバーヒート解除ループでシャープやクールが連打されると非常においしい
静葉「ドライブの遂行回数が稼げるという事は、イグニッションまでの時間も短縮されるってことだしね」
かごめ「ただあまりドライブマスタリ振ってないんだよねこいつ」
諏訪子「( ̄□ ̄;)振れよ!折角撃ちまくれるんだから!!」
静葉「そしてローゲルとは別の意味で解りやすい幽香ね。
  弱点突くと羅刹チャージドライブで普通に5ケタ近いダメージ出してくる」
諏訪子「ぜひとも睡眠とセットでやってみたいもんだな。
   …案外バフデバフ駆使すれば普通に叩き出せそうな気がするが」
かごめ「条件そろえば精髄は一撃にできそうだな」
諏訪子「あと地味にこいつイグニッション全振りしてるんだな、気付かなかったけど」
かごめ「なんかあってもなくてもそんな変わらねえ気もしたけどな、羅刹との相性は悪くねえけど」


かごめ「さて、これで一通り終わりましたな」
諏訪子「後半さらりと流し過ぎじゃねえか」
かごめ「仕方あるまい、残り人数も少ないし、そもそも薬液の話だってここでするつもりなんだから。
   というわけで、VTRスタート
静葉「えっ回想シーンってそういうことなの」








「えっ、解ったというのかい?」
「ええ」

何時もと変わらぬ宿の朝食風景。
自信満々といった表情の、眼の下にがっつりと隈を作ったさとりに、女将の出す朝食を久方ぶりに堪能していたローゲルもいささか間抜けにも思える表情で問い返す。

かごめの言葉を受けて皆思い思いに方々へ散り、現状拠点である宿に常駐しているのはほぼさとりただ一人、という最近の状況だった。
彼女は薬液の調合を確定させるため為、恐らくは何日もろくに眠らず何かしていたことが伺えた。


発見された薬液タンクの残量計からも、「殿」に残されていた各薬液の量はそれほどの余裕はない事が伺えた。
故に本来なら無駄使いは許されなかったが、幸いにもというか幻想郷にはその手の知識に明るい者がいる。サンプルを永遠亭に送り、その製法の解明から薬液の生産を行うことは可能であったが…それを手がけた八意永琳いわく。

「単体でも極めて毒性が強く、なおかつ材料も稀少。
故に一度に大量の生産が可能なものではなく、さらに調合が仮に成功した場合、高い揮発性を発揮する猛毒となる可能性が極めて高い。
取り扱いを誤ればあなた達もただでは済まないわよ」

と、渋い顔をしていた。

さとりは中でも毒に強い妖怪…具体的に言えば地底でも顔見知りの土蜘蛛である黒谷ヤマメに協力を仰ぎ、彼女の力をもつ式神を生み出して、それに効果のある組み合わせを探すことにした。
ありとあらゆるものを貪欲に喰らい、熱病を振り撒く土蜘蛛と、殿の「蟲」に似た性質があるのではないか、という推論からだ。

さとりはありとあらゆる組み合わせの可能性を考察し、時に伝へ通って「蟲」のイメージを式神ヤマメにフィードバックさせながら、境界操作で生み出した空間で効能を試した。
ほとんどの組み合わせは効果を成さず、それどころかときにはかえって式神を凶暴化させる結果に終わりながらも…彼女はついに、劇的な効果を発揮する組み合わせを見つけたのである…。



投入の順番はグリーン、ホワイト、ブルー、レッド、イエローです。
この順で行けば、失敗した実験結果の条件には抵触しません」
「というと?」
「まずは、前後に投入不可能な薬剤が一番多いものをピックアップします。
それが、こちらになります」

直前に入れられない薬液
グリーン…ブルー、レッド
ブルー…グリーン、イエロー
ホワイト…イエロー
レッド…グリーン
イエロー…グリーン、ホワイト、レッド


「数の上では、イエローの直前に入れられないのは三種類。
一見、イエローを先頭にした方がよいように見えますが、イエローにはクセがある。
一種類以上はさんで、グリーンを先に投入した方が効果を発揮する

「そうだな、さらに言えば、ホワイトよりも先にグリーンを入れると、相乗効果を発揮するという研究結果もある。
イエローに関する記述を見る限り、グリーンは早期に投入した方がよさそうだとは思ったが」
「そうです。
さらに、この表から類推すると、グリーンの直後には実質的にホワイトしか入れられないですが、ホワイトの次に入れられないのはイエローだけで、グリーンを一番最初、次にホワイトを入れるべきなのは、間違いないでしょう。
実は最後にグリーンを入れることも試しましたが、うまくはいかなかったですね…私とした事が、ホワイトとイエローの件をすっかり忘れてたのに気付かなかったなんて間抜けな話です…」

うんざりしたように頭を振るさとり。
何か、とんでもない目に遭ったのかもしれないとローゲルは苦笑するが、それには触れないことにした。

さとりはさらに続ける。

「そうすると、次にはイエローが投入条件をクリアできる筈ですが、ホワイトの直後にはイエローを入れられない。
そうすると残り三つの組み合わせ、レッドとブルーの間には因果関係はありませんが、ブルーの直前直後にはイエローの投入はできません。
ホワイトの次にはブルーもしくはレッドとなりますが…レッドを次にすると残りがブルーとイエローになってしまう。
そうすれば後は消去法でブルーを3番目、レッドを4番目に挟み、最後にイエローを投入、とすればいいわけです」
「成程…じゃあ後は、そいつを試してくるだけか。
…さとり君、君も大分疲れているようだし、試すのは明日にしよう。
昨日キバガミさんからも連絡をもらったが、依然として「蟲」の様子は変わらないようだ…今すぐ、何か起こす可能性は低いだろう」
「そうさせてもらいましょう…」

さとりは覚束ない足取りで部屋を後にする。
その数刻後、道中で力尽きたのか廊下でぶっ倒れていた彼女は、苦笑するローゲルの手によってベッドまで運ばれたという話である。





〜翌日 暗国ノ殿B3F 蟲の間の前〜


その鉄扉の向こうからは相変わらず、濃密な緑の臭気が溢れだしている。
奥の部屋からは何かを砕く音や、粘着質な液体の滴る音が途絶えることなく響いていた…。

かごめはそっと、その鉄扉を開けて中を伺ってみた。





その部屋の中には、強烈な臭気を放つ、視界を埋め尽くさんばかりの巨大な何かがうずくまっている…!
目を凝らすと、その緑色の物体が、硬質な体皮に覆われた醜悪な蟲の魔物だと分かる。



かごめ「…成程、蟲だねえ」
諏訪子「紛うことなく蟲だねえ。
   しかし、なんて圧迫感だ。虫けらの分際でこんなプレッシャーを放ってきやがるとは生意気な」

軽口を叩く二人の表情も硬い。
その形容しがたい威圧感は、かつて穣子達が倒した世界樹の巨人や、あろうことか冥竜すら遥かに上回っているように感じられた。

蟲の魔物は、その様子を伺うかごめ達のことなど意に介さず、足元の草木を貪っている…。

ウーファン「おぞましいものだ…。
     人間は、このような怪物を生み出し何を成そうとしていたのだ…」
かごめ「今となっては解らん。
   ただ、こいつの力は日増しに強くなっている。
   そろそろここいら辺りで手を打っておかねえと、拙いことになるな…」

かごめはそう言いながら、スキマを開く。
そこから例の容器を取りだす。

かごめ「さて、調合の順番があってれば、こいつが効果を発揮する筈だな。
   諏訪子、ウーファン、扉締めてくれるか。
   …月の頭脳いわく、こいつはあたしらだって浴びたらただじゃ済まねえ系の超猛毒らしいからな」

二人が鉄扉を閉じるのを確認し、かごめは備え付けのコンソールに容器をセットする。
そして、レバーを下げるとともに容器から混合薬液が装置へ注入され…。


程なくして、それは起きた。
奥の部屋から、迷宮を揺るがさんばかりに響く、苦悶に満ちたおぞましい絶叫。


穣子「なな、なんだよ今のは!?
  赤獅子もうちょっとってところで逃げてっちゃったじゃないかー!!><」
かごめ「なんじゃいなお前ら居たんかい。
   …丁度いい、最後の大物、ちょっくら拝んでいくかい?」
穣子「大物? 蟲とか言う奴?」
リリカ「まさか…例の薬を試しに?」
かごめ「そゆことだ。
   さとりの不眠不休の実験がドンピタ効いてくれたらしい。
   薬の毒があるからそんな長い時間は開けてはられんぞ」

穣子、リリカ、早苗、こいし、そしてレティの5人も、薄く開かれる鉄扉の奥を覗き込む。
薬剤の物と思われる強烈な刺激臭に顔をしかめながらも、面々はその光景を目の当たりにした。




広間の中には、先程散布した薬液が霧状になって漂っている…。
そして蟲の魔物は、苦しげな様子でその場から動こうとしない。

かごめ「この毒が効いている時間はわずか…恐らく、一日もあれば代謝されちまうだろう。
   …だが、あの図体でこれだけ効く毒だ。戦っているあたしらだってただでは済むまい。
   調合した薬剤の中和剤も作ってもらわんとならんわな」
レティ「そんなもん用意できるの?」
かごめ「追加の薬剤を永琳センセに作らせたって話を聞いたでな。
   あの先生なら、多分そんなに時間はかかんないと思うな。
   …そいつができ次第決戦だ。多分もう、こいつが本格的に暴れ出すまで時間は残されてねえだろう
リリカ「じゃあ…もうメンバーのめどは」


かごめは意を決するように言い放つ。


「悪いがこいつは、あたしが貰うぞ。
知られざる裏の歴史を幕引く役目、それは、あたしにこそふさわしい役柄じゃねえか!」









諏訪子「おまえはほんきでいっているのか(棒読み」
かごめ「ああ。ラストのラストはあたし回だ。
   冥竜は穣子の馬鹿に持ってかれちまったしな」
静葉「えっあの子主人公じゃないそれってなんかおかしいわよ」
かごめ「あ〜きこえんなぁ〜?
   つかね、多分弱体化させると穣子なんて連れてったら本気で楽勝なんじゃねえかと思うんよ。
   …衝破あるし、現状一番火力出るのはあの馬鹿絡めた組み合わせだしな」
諏訪子「あ、やっぱり最初のターンであの邪魔っけなの全部吹っ飛ばす気なんだな
かごめ「攻略動画見てる限り一番それが手っ取り早いみたいだしね。
   つか、弱体化させない前提だとそれがまず必須条件になってくる。
   …先にぶっちゃけると、裏ボスは二段階あり、第二段階では本体含め5体を相手にすることになるからな
静葉「じゃあもう、メンバーはそのつもりで決めてあるのね?」
かごめ「まあね。
   つーかお前ら来るんだよ(きっぱり
二柱「( ̄□ ̄;)おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおい!!」
かごめ「とりあえず最後くらいはあたし達で締めようじゃないか。
   大丈夫、多分ギリギリだけど勝算はあるから
諏訪子「ギリギリなのかよ!ギリギリなのかよ!!><」
静葉「あと二人誰かによっては遺書書いといた方がよさそうだわ…(げんなり」
かごめ「というわけで次は最終決戦!
   あたし達の世界樹探索もいよいよラスト。まあ、気楽に構えて見てやってくれたまえ!(キリッ」