♪「シンデレラケージ ~ kagome-kagome」♪
「待って、かごめ」
今だ負傷者が帰還を続けるモリビトの里。
その流れに逆らうかのように、再び、封印の地に続く禁足の森へと向かうかごめの目の前に、先刻傷ついた魔理沙を伴い戻ってきていたメルランが姿を見せる。
どんな苦境の中にあっても、常に場違いなぐらいの笑顔を絶やさない彼女の、思い詰めた表情にかごめは無言で、その言葉を促すかのように対峙する。
彼女は言葉を躊躇うかのように一度俯くが、意を決すると。
「もう…知ってるんだよね。
リリカと…チルノの間に、何が起きていたのか」
「ああ」
かごめは悲愴でもなく、無感情でもなく…ただその一言だけを、頷いて返す。
「そう…なんだ」
「あたしが行って、やることはただ一つだ。
あいつらがあたしに牙剥いてくるんだったら」
かごめはそのまま、メルランの脇をすり抜ける。
それを追いかけてきたらしい葉菜が、その異様な気配に足を止め、ふたりの交互に見合わせる。
そして、かごめは振り返ることなく。
「ぶん殴ってでも、連れ帰る。
あいつらがそれを、自分の意思で決めたんだったら…それに文句付ける理由はあたしにない。
…ないけど」
彼女はそのまま、一度立ち止まり。
「もし、あいつらが…自分たちの選択が間違ってることに気づければ…気づかせてやれれば。
…安心しなよ、あたしも…紫も、そのぐらいのことは解ってるつもりだから」
この時、葉菜にはまだ、メルランが流す涙の意味も…そして、かごめに待ち受ける運命も、知る由はなかった。
~新・狐尾幻想樹海紀行X~
その30 堕ちた霊知の鳥
かごめ「…ハッ!?∑( ̄□ ̄;)
セミの数数えていたらうっかり三途の川渡りかけてたわふう危ない危ないあぶな(ドゴォ」
諏訪子「貴ッ様あああああああああああ今までどこで何油売ってやがった!!
つかこれ何年前のログだ!!今更こんなもん引きずり出してきやがって!!!(早苗注:その29と今回で実は1年ほど期間が空いています^^;)」
かごめ「(前が見えない)いやーいきなり沢村ばりの真空飛び膝蹴りとは御挨拶じゃないかカエル様」
諏訪子「御挨拶もへったくれもあるかつーかカエル言うな祟るぞ!!
重要なことだからもう一度言うがなんなんだ今更!!
大体にして世界樹X発売してからもう何年過ぎてると思ってるんだブッダだって激怒すっぞ」
かごめ「んまー言いたいことはわかるわかるよー。
なんかポケモンを再開したりうたた寝している間にこんな期間が空いていようとは!!
よもやよもやだ!穴があったら入りたい!!」
諏訪子「何処の炎柱だテメーはしかもそれだって結構前のネタだろが。
とりあえず言い訳は聞いてだけやる全部正直に吐けば苦しまず速やかに殺してやるから(邪眼の鎚ぶんぶん」
かごめ「落ちつけよケロ様んもーひさしぶりの登場でフラストレーションたまりまくりじゃねえか。
正直あたしも今更とは思うが、流石にこれ放置しっぱなしというのもまずいだろ。
一応色々な編集作業とかあったんだよ、昔の案件で」
つぐみ「そらそーでしょ。
東方CBで最後の1ケ月前にいきなりログイン不能にさせられて、はいクソー二度とソシャゲやらねーとか言ってたくせに、よりにもよってトレセン学園のトレーナーになってからずーっとトゥインクルシリーズ周回しっぱなしじゃない。
これまでサイゲにぶち込んだ課金額と、年末年始にかけて鬼滅全巻衝動買いした合計額、ここで公表してもいいんだけど?」
諏訪子「∑( ̄□ ̄;)よりにもよってお前までウマに手ェ出したのかよ!!」
かごめ「ついでにシンデレラグレイも買いましたベルノライトはかわいいですね(キリッ」
諏訪子「∑( ̄□ ̄;)その言い回し止めろテメー何処の黎明卿だ!!
大体競馬ゲームやったことないどころか実際の競走馬ほっとんど知らんだろお前!!
マルゼンスキーとかミホノブルボンとか言われて何それ食品会社?とか言いやがったのは何処のどいつだ!!」
かごめ「馬鹿にすんなオグリキャップとトウカイテイオーとメジロマックイーンぐらいは知ってるわい」
つぐみ「それ『行け!南国アイスホッケー部』の競馬回で知ったとか言わないよね。
まあ、そこだと名前の改変がひどいことになってたけど」
かごめ「内容が内容だからそこはな。
因みにメタな話すると、基本あたしのその辺の知識は狐野郎のそれがベースになってるから、一応テイエムオペラオーの世代は大体知ってるよ。
ダービー馬アドマイヤベガ、菊花賞馬ナリタトップロード、あとラスカルスズカもこの世代だったよな。ステイゴールドってひとつ前の世代だっけ?」
諏訪子「…ラスカルスズカとはまた渋いところが出てきやがったな…ステゴは二つ前だ、サイレンススズカとかエアグルーヴとかあの世代」
つぐみ「でもなんかメイショウドトウの名前は全然知らないとか言ってなかった?」
諏訪子「∑( ̄□ ̄;)なんでラスカル出てくんのにドトウ出てこねえんだよアホか!!」
かごめ「あたしが知りてえわんなこと。
ちなみに後世代だと流石にディープインパクトとオルフェーヴル、キタサンブラック、ブエナビスタ、あとジェンティルドンナの名前ぐらいはわかるかな。
Dr.コパがヤベー馬持ってたとかそんな話も聞いたかも知れんが」
つぐみ「今更だけど私だって競馬さっぱりわかんないけど、どれもCMとかで出たしかなり有名な馬だよね。
めうめうならなんかダビスタもやってるみたいだからいろいろ知ってるかも知れないけど」
諏訪子「あいつもあいつで何やってんだ、女子高生が競馬ゲームなんてやっててどうすんだよ。
つーかコパの馬っていうとまあ真っ先に出てくるのはコパノリッキーとかラブミーチャンとか辺りになるんだろうけどなあ。
というかゴルシはどうなんだあれも超有名だぞ」
かごめ「あたしそいつ知らねえんだよな。
ジャスタウェイなら「銀魂」に出てきた気がするから名前だけ知ってるんだけど」
めう「ゴルシシことゴールドシップは「葦毛の気分屋」とあだ名された超有名な2012年年度代表馬めう!
皐月賞では重馬場になった内ラチ沿いを駆け抜けて何時の間にか最後方からトップに躍り出て優勝、菊花賞では明らかに他馬を馬鹿にするかのように舌をペロペロしながら余裕で一着入線。
そして2013・2014年宝塚記念連覇という大偉業を打ち立てて三連覇がかかった2015年には、スターティングゲートで興奮して立ち上がり、超大幅出遅れした上にすっかりやる気なくして一番人気ながら15着に大敗、合計約120億円の馬券を紙くずに変えた伝説を持っているんだめう!
他にもトンチキエピソードに事欠かない、良く言えば最強のエンターテイナー、悪く言えばぶっちゃけトチ狂った馬なのだ!!」
つぐみ「頼んでないけど説明ありがとう(キリッ」
かごめ「調べれば調べるほど頭おかしいエピソードがわんさか出てくるやつっぽいな。
ドリームジャーニーとかいうやつもだいぶおかしいと聞くけど」
諏訪子「なんでゴルシ知らねえのにドリジャとジャスタは出てくるんだよ…いやもう馬の話はいい、そこのボケナスがウマに手を出してやがったのが解れば十分だ」
めう「ウマに限らずソシャゲゲはハマると時間泥棒になっちゃうのだ。
これが世の中の摂理めう」
つぐみ「よもやよもやだ!!(CV:日野聡」
かごめ「私のウルトラマッスルでも見抜けないとは不覚の極み!!(CV:同上」
諏訪子「∑( ̄□ ̄;)確かに中の人一緒だけどそういう界隈に喧嘩売るようなネタはやめろー!!
つーかつぐみお前もノるなあと居座る気だなそこのエロサイドテール!?」
かごめ「改めてやあ皆。我はKagome, the world talkerだ。
今回はいよいよ最後の霊堂である「極北ノ霊堂」について語るときが来たようだ( ˘ω˘ )」
諏訪子「もうひなビタおじさんの黒歴史に等しいよなそれも。
いつからかは知らんがコンマイの過去作新曲のライナーノーツ、オンライン上から消し飛ばされて久しいというに」
めう「甚だ遺憾なのだ。
どこぞの狐野郎はビーマニのコンテンツを人員諸共セガにでも売り渡せ、なんてほざいてるめうけど、実際セガだってPSO関連の不祥事だのイロドリ関係で荒れただのの数々聞いてるとどっこいどっこいの気がしなくもないめう。
どっちに向かっても地獄めう、天皇賞の魔物も激おこ案件めう」
つぐみ「そもそも利権が絡むゲーム業界でそんな話したらキリが無いと思うのよね。
一応私ここではオリジナルキャラだからあまり関係ないけど(キリッ」
諏訪子「お前もなんだかんだで時々メタい上に薄情だよなそういうところ。
あとセガはけものフレンズ3でかなりがんばってるからそこは許してやれよ」
めう「ドールショックを発生させてるあたり奴らはわかってるのだ(キリッ」
諏訪子「何だよその謎の上から目線」
めう「前置きはさておいて、ここからはほぼ後々使う馬鹿話のタネになりそうな一部小ネタを除いて、一気にかつ手早く最後の霊堂の解説をしていくめう。
基本的にはボス戦以外にめぼしい展開もないめう。
実際ただひたすらギミックがめんどくさいだけだめう。あーまた君かー壊れるめうー」
つぐみ「隙あらば語録使うのはやめなさい(キリッ
でも実際、これまでの霊堂に登場したシステムギミックの総集編的なところあるよね」
諏訪子「というかナチュラルにお前が仕切るのかよ、まあいいけど。
何気に南の霊堂のダンゴムシみたいなのは居ないけど、FOEのギミックはあるわな。
そのFOE自体はメチャクチャ弱いんだが」
かごめ「弱いんかい」
諏訪子「先にそいつの話をしておくか、B2Fから登場するFOE異形の天邪鬼。
HPは24000弱、植物らしく斬炎弱点。条件ドロップにもなってる眠りにも耐性はないし、混乱耐性があるくらいで厄介な特徴はない。
開幕と3nターンに使う、HP吸収効果を持つ近接一列斬攻撃「アイビードレイン」と、HPが半分を切ると使い始める腕脚封じ付与の全体斬「絡みつく葉爪」が面倒なのを除けば、非常に与し易い相手だ。何しろ基本火力が低い」
つぐみ「十二分に面倒だと思うんだけど。
物理がひたすらに強いから、それ対策すれば楽って言うこと?」
諏訪子「おいしい話じゃなくても余計な裏がある、が世界樹クオリティだからな。
アイビードレインの面倒なのは、ダメージよりも回復量。
一説には与ダメージ合計の4~5倍程度回復するそうだ」
つぐみ「なんかどっかでそんな話聞いたことあるね、ずいぶん昔に」
かごめ「イソギンチャクですね解ります(キリ
カタログスペック上だと盲目が劇的に効くみてーだし、それで回避しろって言うところか?」
諏訪子「まあ、私らもボウケンシャーやって長いからそのくらいは容易に察しつくよな。そゆこった。
で、こいつの挙動だけど、実は一切能動的には動かない。
基本行動は「逃走」で、プレイヤーが一歩進むと後ずさっていく」
つぐみ「え? 居なくなるの?
後ろ向いたら襲いかかってくるとかは」
めう「ないめう。
でも直進しか出来ないらしくて、脇から回り込むとその方向へ後退するめうけど、壁際まで追い詰められるとそこで停止するのだ。
その状態でようやく粘着できるけど、区画を離れると二倍速ぐらいの速度で元の位置に戻るめうっ」
つぐみ「つまりそいつをうまく退かして先へ進めと」
諏訪子「ギミックとしてはダンゴムシの亜種みたいなもんだ
ちなみにこいつの素材は優秀な鎌と盾、睡眠状態撃破の条件ドロップの素材が強健の守りの素材になる。
条件ドロップ素材を要求してくるクエストもあるし、一度は倒しておきたいところだな」
…
…
ブロートは元より、群がる森鬼や森魔をも隔絶するミスティアの焔の壁、その外側へ逃れたつぐみ達は、その攻防の間隙を縫って救出した紫の治療を行いつつ、その成り行きを注意深く見守っている。
幸いに、と言うべきか、この「儀式の間」と呼ばれる区画に、森の浅い階層に巣くうような魔物が侵入している気配はほぼなかった。
そして、ブロート自体に何らかの変事が生じたのか、焔で区切られたこちら側に、新たな森鬼や森魔が現出してくることも。
意識を取り戻さぬままの紫は元より、三人にも言葉はない。
焔の中で何が起こっているのか、それを知る術は、今はない。
その沈黙を、意識を取り戻した紫の、呻くような声が破る。
つぐみに支えられながら、彼女はゆっくり上体を起こす。
「ミスティアが、完全に力を取り戻したのね」
つぐみが頷くと、紫は神妙な表情のまま、その事実を語り始める。
それは、ブロートの秘密に直結するものであり…それだけでもつぐみ達にとって想像だにしない事実だった。
だが、それですら些事でしかないことを、次に紫が語る、俄に信じがたい現実が思い知らせた。
…
「じゃあお前は、ブロートに会ったってのか!?」
その事実に驚きを隠せないてゐに、ヤマメは感情を押し殺したようなトーンで応える。
「ああ。
あいつがただの人間なら猶更…妖怪だったとしても、あれだけの瘴気の中では絶対に動けない…動けない、ハズだ…!
あたしはあいつを殺すつもりでやったんだ…本気で、な」
「だったらブロートだけじゃなく…奴に操られてるそいつらも、死んでいる可能性が高い、と?」
「いや」
そうじゃない、とヤマメは強く否定し、頭を振る。
「生きているさ…あのクソ馬鹿は。
そいつに、それができたってだけの話」
「おい…そんなことができる奴が、いるのか?
幻想郷でお前の毒を度外視して動けるやつなんて…あのかごめにすら、効く猛毒だろう?」
「そこまで答えが出てるんだったら、あんたの知る例外をカウントしていった方が早いだろ。
当然、あんた以外でだよ因幡先生。
もっとも、あんただってそんな出会い頭完全無効化なんて離れ業、できねえだろ…まあ、あんた一人応急で、ならいけるかもだが」
困惑の隠せないてゐを他所に、ヤマメの表情はさらに険しさを増す。
「あいつらの出来るやり方は、てゐ、あんたみたいにスマートじゃないさ。
あいつは…あいつらは!!
そもそもそんなクレバーな方法が取れるような、上等なオツム持っちゃいなだろうしな…!!」
てゐはその尋常じゃない、激昂するトーンに戦慄を覚える。
「幻想郷で、あたしの毒を完全に真正面から無効化できるやつは、五人。
一人はメディスン・メランコリー、当然だ、こいつにはそもそもあらゆる毒が効きやしねえ。
次に勇儀姐、あのひとの能力も私の能力を打ち消せ…いや、発動そのものを踏み倒せる。
私の瘴気に対しての上位互換、「祟り」を操れる諏訪子と雛の野郎にも凡そ効かない。
そして…かごめや…藤原妹紅の…あいつら以上の速度と温度で私の瘴気を焼き払える焔…太陽の焔をその身に宿す…!!」
てゐは息を呑む。
「そんな、馬鹿な話があるか…!
いくらあいつらが超弩級の大馬鹿野郎でも」
「事実なんだよッ!!」
怒号に近いその言葉に、てゐは言葉を失った。
「答えてくれよ、因幡先生よ…!
だっておかしいじゃねえかよ…ただ操られてるだけだったら、どうしてリリカがチルノに後れを取るんだよ…!?
確かにあの⑨がヤベえのは知ってる…だけど、だけどよ…私達は知ってるはずだろ…第一位貴種リリカ・プリズムリバーがどんだけ恐ろしい存在であるかぐらい」
てゐは瞠目し…そして、絞り出すように。
「あんたは口を濁したな、ヤマメ。
あんたをこの森でやったのは…いや。
あんたとリグル…あと多分、美結を襲った本当の下手人、誰だ。
あんた達の傷は刃傷じゃない、どう見ても」
問いかけではない、その答えに確信を持つかのように、てゐは険しい表情のままヤマメに言葉を投げかける。
彼女より先に…全身に「重度の火傷」を負い、半死半生の姿で村へと戻ってきた美結の姿が…既にその恐ろしい予感を、彼女にもたらしていたのだから。
…
…
つぐみ「FOEの話とりあえずおいといて、通常敵とか普通のマップギミックとかどんな感じなのかな?
私たち地味にこの時点ではまだいってないことになってるけど」
諏訪子「まあまあ慌てなさんな、つかいちいちメタな話へ突っ込んでくるなよ。
基本は段差移動するいつもの霊堂なんだけど、ここではさらに面倒な仕掛けである移動床が登場する。
概要からいうと、桜ノ立橋や桜花天空楼とかにあった移動足場みたいなモノなんだけど」
かごめ「え、確かこのクソ霊堂って二段構造だったよな。
まさかその移動床にハシゴとかついてて上に登れるとかそういう?」
諏訪子「
かごめ「うへぇやっぱりかよ(うんざり
でもマップ見ると初期配置で広間のど真ん中にある奴あるけど」
めう「登った時に向いている方向へ滑っていく仕様めう。
かごめ「あー、登る方向次第で行き先を調整できるわけね」
めう「当然、行き先次第ではマップ切り替えてやり直ししなきゃならないんだけど、さっき話したアマノジャクその他のFOEが進路上にいるとそこで止まってしまうのだ。
アイツら地味にどっかのハゲや目玉みたいに轢殺爆発四散させられないのだ」
つぐみ「ハゲってなによハゲって」
かごめ「ハゲと言ったらアマクダリ12人の一人スターゲイザー=サンだろうが何言ってんだ(キリッ」
つぐみ「∑( ̄□ ̄;)世界樹関係ないよね!?
それにスタゲは中継衛星電波シャッタアウトしないとそもそも無限再生するよね!?」
諏訪子「だからおめーも変なところでノるな」
…
…
「そう。
毒も瘴気も…なにもかもを瞬く間に「焼き尽くす」旧地獄の八咫烏…「熱かい悩む天の焔」霊烏路、空。
かごめや妹紅の焔でも焼き尽くせないヤマメの瘴気を、あの子だけは後出しからすら完全焼却できる…!
秋穣子とチルノ、そして…空の三人が、リリカの力を奪った張本人。
ひいては、今回の「異変」の中心人物と言っていいでしょう…!!」
紫の告げた、その残酷な真実に…少女たちの表情が凍りつく。
「うそ…だよね?
どうして、そんな…!」
「現実よ、紛れもなく。
『今此処に居るブロート』は確かに、リリカの力を手にした呪言師。
けれども…羅喉で力を奪うには、その持ち主を殺さぬ程度に、痛めつける必要もあるわ。
…あの三人の誰もが、単独でそうできるだけの力量はある筈」
「本当に…ほんとうに、操られてるとかかじゃないんですか!?
だって…だって穣子さん達はっ…!」
信じられない、というよりも…信じたくはない。
紫の袖に取りすがるまり花の心中は、今にも泣き出しそうな表情からも窺えるだろう。
紫は…苦渋の表情で唇を噛む。
目の前の少女に関して、紫自身が何故そのような感情を抱くのか…不可思議に思うことすらある。
出来うることなら、この少女には毛先ほどの悲しみを、苦しみを、背負わせたくないと。
しかし、この真剣な、澄んだ眼差しの前で…嘘は絶対に吐きたくはないと思っていた。
その非情なまでの覚悟で、唇から一筋の血を零しながら、紫はその残酷な事実をまり花へ告げる。
「私だって、信じたくないのは一緒だわ。
けれども…ある意味で「かごめの血」をもっとも色濃く…実の娘であるつぐみと同等に近いほど継いでいる美結に、あれだけのダメージを負わせられる存在も、既に限られてきている。
今の私の、結界防壁を力業で破ることもあの子に…お空になら、出来てしまうのよ!!」
その言葉が、終わるか終わらぬかの刹那。
森を灼く迦楼羅の焔が、稲妻を伴う神の紅蓮…かつて地底にもたらされた「熱かい悩む天の焔」に、突き破られる…!
♪「霊知の太陽信仰 ~ Nuclear Fusion」♪
その姿を目にした時、果たしてこいしは驚愕に目を見開いていたのだろうか?
否、こいしだけではなく、リリカやミスティアも、それがこの地で初めて出会う凶事ではないことを…知っていた。
「お空…ッ!!」
こいしは、怒りを露わに、重ねられた剣戟の先にあるその姿を見据える。
まるでブロートを庇うようにして、彼女はそこに居た。
地底太陽の焔が生み出す光と熱が、漆黒の翼にビロードの如き光沢を走らせ、そして…何よりもその紅き瞳に、確かな彼女の意思がある。
森鬼も森魔も、その総てがミスティアの焔か、あるいはそれをかき消すお空の天火に拠るものか、それに総て吹き飛ばされている。
否。
倒れ伏したその姿も、地面に横たわる神鳥も、光の粒子となって舞い上がり、お空へと収束する。
「行けよ、ブロート。
秋のカミサマ、待たせると煩いし」
淡々と言い放つその言葉は、完全にブロートへ信頼を寄せているわけではないのだろう。
だが、それは呪言に操られているわけではない、彼女自身の意思があるからこそ、発せられた言葉だ。
そしてその言葉にもっともショックを受けたのは、まり花だった。
紫の語ったそれが、現実であったことを思い知らされた彼女は、その場に力無く頽れ…明夜がひどく悲しそうな表情で、それを抱き留める。
明夜も…つぐみも知っている。
そして、知ってしまった。
短い間ではあったが、同じチームの仲間として過ごした存在が…己の友を完膚なきまでに傷つけた、明確な「敵」となったことを。
そして、つぐみはその真相に至った。
チルノが何故リリカを手に掛けたのか。
何故、リリカが為す術なくチルノに氷漬けにされ、生死の境を彷徨う事態に陥ったのかを。
真相を理解しても、その感情までが納得できたわけではない。
混乱が隠せない彼女達の目の前で、ブロートが更にその森の先を駆け去って行くと共に。
「行かせない。
カミサマは、あいつとの約束を守るんだ。
その邪魔は、絶対にさせない…!!」
金色の光が、森の持つエネルギーが総て、霊知の力を得たその少女へ収束していく。
漆黒の羽は黄金色に染まり、神の焔に穢れなき雷光を纏う。
「上等だ、大馬鹿鴉。
あの異変の時に、あんたが霊夢にされた以上に…!」
対面するその少女も、怒りを闘志に伝わらせ、必殺の「無双」に構える。
そして、それをサポートするかのように、リリカとミスティアも己の獲物に闘気と魔力を全開に纏う。
「この私が!あんたをズタズタにしてやる!
その後は、金輪際そんな馬鹿ほざかないように!
お姉ちゃんに代わって私があんたの魂に!消えないトラウマを叩き込んでやるからなッ!!!」
こいしが大地を蹴ると、それを追うようにして竜脈のエネルギーが舞い踊る黒き死の薔薇となり、地面を覆い尽くす。
そこに併走する深紅の星の光と、毒々しく輝く魔鳥の瘴気がひとつとなり、空気をも焼き尽くすかのように猛烈な熱を放つ、禍々しき太陽と激突する!
…
…
めう「ストリーもついに終盤、すべての真相が明らかになってきたこのタイミングで次に続くめう!!
いよいよどっかの猪突猛進さんと一緒の声の奴の目的も明らかになるめう!!」
かごめ「松岡さんの名前(禎丞)もなかなか一発で読めないよねえ。
変換もめんどくさいし」
つぐみ「相変わらずひっどい温度差だね。
でも次はまあ、探索パートはリリカさん達の過去に触れる感じになるのかな。
本編は一気に最後まで行くと思うから」
諏訪子「そういうことだ、つーわけで次回へ続く!!(やけくそ」