遡ること半月前…てゐ達が『レムリアの秘宝』に関わる重大な秘密に辿り着き、レムリアを出奔してから間もない時期。

てゐの唐突な脱走劇に、当然ながら、残された「狐尾」のメンバーにもマギニア首脳部より、宝物庫破りの罪科を追求される事になったのは当然の成り行きであっただろう。
だが射命丸文や、今回さとりの名代という名目で参加していた件の霊烏路空、火焔猫燐といった大半のメンバーが当局により捕縛、監禁される一方、リリカ、こいし、チルノの3名は旧知であったネイピアの元に匿われ、難を逃れることが出来た。
ネイピアは商人としても、人間的にも信用できると踏んだリリカの目利き通り…無論多額の協力金を支払う約定の上でではあるが…海都アーモロードの英雄王ザイフリートへ書簡を送ることに成功し、事情を鑑みたザイフリートが使者を寄越したことで、リリカ達にてゐの捕縛を行わせるという条件で、一時的に捕縛されたメンバーの解放を成功させるに至った。

彼女達が、『ブロート』と出会ったのは…そんな折りだった。




~新・狐尾幻想樹海紀行X~
その31 血濡れの供物




諏訪子「(ぶわっ)」
てゐ「ケロ様が泣いた!?」
かごめ「涙などとうに枯れ果てたものだと…!!」


美結「何してるのあの人たち^^;」
つぐみ「ウマ娘プリティーダービーSeason2第10話耐久視聴チキンレースだって(真顔
めう「10話は全神回と名高いSeason2の中でも屈指の涙腺崩壊ポインヨめう。
  絶対にあきらめないターボ師匠の魂の叫びがテイオーの心を実際震わせ動かすクライマックスで泣けないのは人間として間違ってるのだ。
  もちろんまりりにも研修させといためうっ未視聴だったらみゆゆも早く観るのだっ」
美結「えぇ(困惑」








極北ノ霊堂。
『ブロート』の案内でたどり着いたその遺跡で、浮遊する不思議な足場に揺られながらリリカ、ミスティア、そしてこいしの三人はその最奥を目指す。

一行は既になんらかの「封印」が施された四つの霊堂のうち、二つまでその最奥のまで探索を終えていた。
それは『ブロート』の導きによるもので、どの道行くあてのない彼女たちは、協議を重ねた末に「マギニアに先んじて遺跡の謎を解き明かし、可能であればその果てに待つだろう何らかの災厄を対処する」事を決めた。
てゐが持ち帰った断片的な『情報』、それを裏付ける知識を有していた『ブロート』という男の存在を鑑みた上でのことだ。



信用できると思う?

わずかに重苦しい雰囲気の支配する探索の最中、口火を切ったミスティアの表情は硬い。

「てーさんがいつも通りに嘘をついてるって?
それだったらさー、こんなことしなくたって」
「そうじゃない。
あのブロートって男、正直胡散臭いなんてどころじゃないよ。
いくらあんたでもそのぐらいはわかるだろ」

あくまでノーテンキな風に見せるこいしの茶々を鋭く遮るミスティアに、こいしも「なんで?」みたいな感じに肩を竦める。
その二人の視線を受けるリリカは、鼻で息を吐くと、己の考えを吟味し終えたという風に頷く。

「ぶっちゃけ、私も信用できない。
っていうか、しろって方が無理でしょ。
私がてーさんとかかごめさんだったとしても、多分あいつの言うこと鵜呑みにしないで動くと思うし、現に今そーしてる感じ?」
利用するだけ利用しようってこと?
「危険なのは承知の上だよ。
そもそも、あいつは多分、私たちが何者かっていうのを知った上で近づいては来てるね。
相手の手の内が解らないからまだ結論は出せないけど…その気になれば、殺す『だけ』ならいつだってできる
「わあ、リリカにしては物騒だねえ。
私言えた義理あんまりないけど~」

何がおかしいのかけらけらと嗤うこいし。
リリカは二度目の溜息を吐くものの、先の見えないこの探索行において、こいしの無駄に能天気な言動はある意味では救いでもある。
ミスティアもそれをよく理解しているのだろう、窘めはするものの本気で怒るような素振りは見せない。

そんな三人の前に、キチキチと牙を鳴らして立ちはだかる大芋虫の姿が見える。
この階層でも非常に強力な、一端の冒険者なら戦うことを必ず避けるだろう強敵…だが少女たちは、その魔物が腹を空かせて、逃げ場のない自分たちを食料とすべく待ち構えてることを本能的に感じ取っている。




「はっ、芋虫の分際で態度でかいじゃない」
「あいつ毒あるんだっけ、てーさんが似たようなのアルカディアで見たとか言ってたし。
芋虫おいしいんだけどなー」
「馬鹿言ってないで構えろあんたは。
来るよ、痛い思いしたくなければ、二度目は避けて。
私も今巫術使えないし」
「りょーかいっと」

険しい表情をさらに険しくしたミスティアと、表情を禍々しく歪ませるこいしが、白刃を両手に芋虫へと躍り掛かる。








かごめ&諏訪子&美結&めう「(ぶわっ)」

てゐ「まあそんなこんなであの連中が使い物にならなくなったんで、奴らは放っておいてこっからは私がやるか」
つぐみ「てーさん意外と普段は鉄面皮だよね。
   まあ人数減った方が進行楽でいいけど」
てゐ「お前自分の顔を鏡見てからそれ言ったらどうだ?
  つっても10話はもう飽きるほど見てたし最終回か7話8話だったら私でも危なかったな、ライスシャワーはいいぞ(キリッ
つぐみ「その子『馬なり1ハロン劇場』だとありとあらゆるレコードブレイクに命賭けてるヘンな馬だって聞いたんだけど」
てゐ「それなぁ一介の女子高生が読んでるような漫画じゃねえんだわ(真顔」
つぐみ「そんなことより霊堂っていうと新規で出てきたあのハエと、あとはなんかシリーズでも面倒というかあからさまにヤバイ面々のオンパレードって気がするよね」
てゐ「…んまあ今更かも知れんが、ここのハエ野郎はマジでアカン奴よ。
  エアロダイバーっていう青いやつだが、こいつの悪質タックルは貫通に加えて眠り付与。
  マジで後衛職だと一回眠ったら永眠モノだな」
つぐみ「それ睡眠というか昏倒だよね。
   あと久しぶりにスカンクがいるみたい」
てゐ「第一迷宮以来のスカンク野郎の亜種・豹柄スカンクか。
  流石にこの時期まで来ると毒ダメも笑えない水準まで来るが、こいつ全体に撒いてくるんよ。
  しかもスキル名が「睡魔の毒霧」ときたもんだ
つぐみ「なんだろう花びらがすっごいヌルい気がしてきた…複数異常付与ってこっちから使うと産廃なのに、使われると厄介なスキルの代表選手だよね。
   過去からの出張組だと、結構昔懐かしい感じの奴がいたっけ。4の眠れる獅子とか」
てゐ「私ぁタルシス逝ってねえからそいつ良く知らねえが、上位種の金獅子…じゃなくて赤獅子のほうが話題に上るからそっちはなんかよく聞くな。
  軽くネタばらしすると隠し迷宮にいるらしいんだが」
つぐみ「いるんだあれ…おかーさんですら「見かけたら問答無用一撃で絶対殺せ」って言ってるからねえ、赤獅子。
   相方のホロウメイガスがいない分多少はマシ…と見せかけて激おこぷんぷん蟹とかいるから面倒なのは一緒か。
   それはまあ置いといて、何気にこの霊堂、5からの出張組結構居るよね。
   とびつきカラカル、氷雪リス、オオナナフシ、あとオオマダライヌ」




てゐ「あとは2のサウロポセイドン=サンだのエリマキトカゲ=サンだのか。
  全体回復もめんどくさいが、アイアンアーマーもいるしこのタイミングの範囲壊が雑魚から飛んでくるとかやっぱり笑えねーな。
  据え置きなのはまあ…タイミング的に氷雪リスの危険度は時期が時期だけにまあそうだよなみたいな謎の安心感」




つぐみ「オオマダライヌは第二層だから大出世みたいな感じだけど、本家には丁度同時期にビクトリードッグなんてのもいたはずよね?」
てゐ「ああビクトリーは同時期に解禁される小迷宮にいる。
  名前は変わったけど使ってくるスキルはほぼ一緒」
つぐみ「ほぼって何ほぼって」
めう「最大HP50%減から65%減に地味にパワーアップしてるめうっ(キリッ」
つぐみ「∑( ̄□ ̄;)アカン奴でしょそれ!!!」
めう「そしてこのヤベーメンツの中にしれっと混ざるアクタイオンの微妙さ加減は異常ですらあるめう。
  まあその微妙な奴も普通に攻撃力たけーから笑えねーめう。
  そしてそんなヤバイメンツを地獄の回避ゲーでサポートしてくるオオテントウ=サン」
つぐみ「ナチュラルに復帰してしれっと混ざってくるのはもういいや。
   テントウムシ混乱させると条件ドロップあるけど、虚弱★の支援を受けたまりかさんが混乱香で2回に1回失敗するくらい耐性あったような」
てゐ「それでも2回に1回通すのかよあいつ。
  驚忍じゃなくて態々混乱香用意しなきゃならんあたりはヤバみを感じるところだが」
めう「まりりでなくても★で驚忍なんて基本成功率四割めう。
  耐性表でも混乱は普通に通るはずめうけど、クエスト条件にもなってるから内部的にはわざと低く設定してあるけど表示だけしてないとかいう説もありそうめう」
てゐ「んまーそもそも混乱自体が今回あからさまに基本付与率低いんだけどな。
  あとこいつの条件ドロップ、十分最終装備候補になる優秀な籠手の素材になるから頑張って乱獲したいところだが、降魔の小手みたいに水溶液案件とするには微妙な辺りもいやらしいな、所詮は雑魚だし」








♪BGM「廃獄ララバイ」♪


霊堂の最奥部。

だが果たして、正確にそう言ってよいのか否か、わかりかねるところであった。
そもそも道中からして、何らかの遺構の内部というよりも外観、あるいは外郭とも言うべき雰囲気を漂わせており、蔦蔓で覆われたその光景は、年月を経て打ち捨てられ、寂れ崩れていっただけとはどうしても思えない。

何よりも、そこに聳える中心部、そこに至る扉は何らかの封印で固く閉ざされている。
また、道中でいくつもの、人ならざる知性体の痕跡を見いだせている。
それも、ごくごく最近、遺されたもの…遺体だ。

全身数箇所に、まるでほぼ同時に他方向から受けた刃傷。
敵対する何者かに、数人から奇襲を受けたにしてはあまりにも不可解…周囲に怪物級の剣士が掃いて捨てるほど存在するリリカだからこそ、その違和感に気付くことができた。

その太刀筋が、全て一人の人物から放たれたということを。

そしてそれ以上に、その「被害者」が人に似て、なおかつヒトならざる存在であることを。
それが何者かに、心当たりが有る点まで含めて。


まさか…モリビト…!?
 どうして、この地にモリビトがいるの?
 それに…)

鍛え上げられたその肉体からも、被害者であるモリビトが相当な武芸の持ち主…戦士である事からも、その殺害をやってのけた何者かの怪物じみた技量をうかがわせる。
彼女の記憶の中でも、それだけの芸当をやってのけるだろう人物も、限られている。


魔物の仕業じゃない。
 低く見積もっても、妖夢や慧音さんレベル…下手すれば、静葉さんやかごめさんに匹敵する技量の剣士。
 それだけの戦闘能力を持った何者かが、このモリビトを…いったい、何の目的で)

彼女の思索を打ち破ったのは、その異様な静けさだった。
瞬時に、その事実を悟ったリリカは戦慄し、背後を振り返る。

いつからだ。
いつから、自分は一人だった!?


そのときには既に、周囲の気温は著しく下がり、そして周囲は凍りつくほど冷たい靄に覆われていた。
姿の見えないこいしやミスティアの名を叫ぼうとした瞬間、自分の腹を貫く冷たい感覚と…一泊遅れ、火のような痛みが、次の瞬間体の奥底から体温が奪われる感覚。

リリカは、己の身に何が起きたのか…即座に理解することが出来なかった。
己の背から腹に貫通した、冷たく輝く魔性の刃。
凍りつく眼を、驚愕に見開きながら…最後に見た氷精の、友たる者の表情は、冷酷な怒りに満ちていた。











てゐ「FOEはさっき解説した草野郎以外だとなんだっけ、アルカディアにいた芋虫とシリーズではおなじみのカエルだったっけ。
  芋虫はなんかものっそい今更感もあるけど」
つぐみ「名前も微妙に変わって「這い回る毒蟲」だったっけ。
   行動パターンは完全巡回で変わらないけど、HPは当時の15倍近い23088、単体斬+毒付与攻撃がランダム4~6回斬+毒付与になった挙句「流星毒牙」なんて無駄に中二病臭い名前のスキルになってるよ」
てゐ「どこぞのゼンノロブロイ(せかいじゅのすがた)とは別方面でイタくなってるな
つぐみ「…いや確かに鐚呀怒狼()と中の人一緒だけどさ?
   この時点だから毒もわりと笑えないダメージになってるけど、ただスキル名がイタくなっただけに飽き足らず「反応牙」とかいうこれまた面倒なスキルを持ってるの。
   こちらにひたすら毒撒いてきて、1りでも毒が入るとこの貫通斬スキルで即死させてくるよ」
てゐ「つまりこの「反応」って、アナフィラキシーショックの暗喩かもしかしなくても?」
つぐみ「でしょ?
   ちなみにこれ、他の魔物から眠りや盲目とかの他の異常を貰ってるときにもきっちり反応する心折仕様。
   先手取って異常さえ回復させてしまえばそんなに痛い威力じゃないし、そもそも滅多にはしてこないけど、スキル威力係数が低いのかこいつ自身の通常攻撃より毒牙とかの威力が遥かに低い」
てゐ「毒ありきって感じの威力なんだろな。
  にしてもこれまで何らかの状態異常やバフをトリガーにするスキルはあった気もするけど、即死ってなあ…普通裏ボスだろそういうの」
めう「ありがちなインフレと関心するけどそれほどでもないめう。
  そしてシリーズお馴染みかも知れないカエル野郎「飛び跳ねる殿様蛙」、タカがカエルと舐めてると本当に痛い目を見るってぐらい超強化されてるめう」
諏訪子「当たり前だカエルをなめてると死ぬぞ(キリッ
てゐ「なんだよもう復活してきたのかカエル様。
  まあいいや、実際にその通りなんだからマジでsYレなってねえんだよな」
めう「そうめう。
  主力スキルの全体近接壊「ジャンピングツイスター」と、HPが65%下回ると使う氷属性列攻撃「フリーズジャンプ」の威力がアホみたいに高い挙句、開幕と5倍数ターンに「舐めまくり」っていう、防御力を激減させてくるデバフをぶち込んできやがるめう。
  この低減率が物理・属性共に50%とかいうふざけた値なんだめう」
てゐ「∑( ̄□ ̄;)アッタマ悪いにも程があるな!?
  えっ何そんな状態で高威力の全体壊飛ばしてくるとかバカじゃねえの!?」
諏訪子「だからカエルをなめるなつってんだよあとてめえも祟られてえか(キリッ」
   こいつの挙動、基本はSSQ2の立橋にいたカエルと一緒なんだが、こっちには段差はあっても落とし穴なんて気の利いたギミックはない。
   段差を挟むと2マス移動が1マス移動になって段差の上に登るから、それ利用してうまく避けろって話だな」




めう「だけどー、コイツの素材からはその「舐めまくり」を搭載した弓と、HPを16も上げてくれる超強力な服が作れるめうっ。
  こちらからの「舐めまくり」は効果時間が3ターン、低減率20%と敵スキルだった頃から大幅弱体しているけど、それでもこっちからぶっぱする分には十分ヤベー軽減率めう。
  サポートレンジャーかサポ職のサブレンジャーなら最終装備になるめう」
てゐ「なるほど乱獲案件か(キリッ
  おいつぐみ、そこのカエル抑えとけついでに狩ってやる」
諏訪子「∑( ̄□ ̄;)いや私関係ないよな直接は!?」








「これが…あたいの答えだ」
「貴様はそのために、友と呼んだ者を斬るか」

『ブロート』は、冷笑をもってその者に問う。

「あたいは…許せないんだ。
わずかなことでほかのだれかを疑い、疑ったらすぐに閉じ込める。
身勝手な人間達を…いっぱい、いっぱいみてきた。

だから」
「そうだ。
奴らは、口々に正義を唱えながら、無辜の命をいくらでも奪っていく。
つまらぬ思想の違いでいがみ合い、互いに殺し合う


男の瞳が狂気と憎悪に染まる。


「だからこそ…その愚かな人間共をまとめねばならぬ。
そのためには、奴らがやるように、奴らの首の根を掴み従わせる等では何の解決にもならぬ…!
我らが奴らに、絶対の恐怖を、滅びの脅威を与えることで!
あの愚かな人間共をひとつに纏め上げねばならぬのだ!!!」



哄笑する男に、少女は冷たい視線を向けたまま。

「約束は、守るんだろうな。
穣子を依代にして、『ヨルムンガンド』をよみがえらせる。
目的を果たせば、お前はリリカの力を…大ちゃんや穣子のことも、ちゃんと元通りに返すんだよな…!!


赫怒にも似たその表情にも、狂気の笑みを崩さぬ男はまるで怯む気配を見せていない。
哄笑を止め、男は少女の背に告げる。

我らの望みが果たされれば、すべてどうでも良いことだ。
用を済ませば、我々にとって不要。

だが…それも一筋縄ではいくまい。邪魔者は、全て消さねばならぬ」
「わかった」

男は複雑な印を組み、頭上に禍々しく紫電を放つ方陣を展開する。


「ありとあらゆる幻想を、操る力か。
蘇った『ヨルムンガンド』を、いち早く完全な状態にするには…その力も必要不可欠。
有意義に使ってやるとしよう」






「お前がそうした理由が、これか」

枯レ森の一区画。
『儀式の間』とは隔絶されたその場所に、二人は対峙していた。

険しく細められたかごめの視線の先には、多くの戦いを経て傷ついた軽鎧を身に着けた、青い髪の少女。
その背後には…蔓草に覆われた緑色の髪の少女が、まるで抱かれるかのように、大樹に身を預けていた。
その蔓草は、枯れた大樹と一体化し、そこだけが青々と葉を茂らせている。

かごめにもその少女たち…そして、その蔓草めいたものの正体を知っていた。

「いつからだ。
何故…黙っていたんだ」

厳しい口調であったが、そこには怒りも憎悪もない。
少女は答えない。

「それとも…答えを知りたくば、剣で問え…とでもいうつもりか?
お前たちは中途半端に頭が回り過ぎる。
子供というものは、そういうものだと相場は決まっているが」

そこへ、異様な気を察した葉菜とエンリーカも姿を見せる。
葉菜の背にはぐったりと項垂れたままの、桜色の髪を持つ少女…これまで行方不明であったうちの一人である、古明地さとりの姿。

「手を出すなよ、葉菜先輩。
この大馬鹿野郎には、やっぱキッツい灸を据えてやらにゃならんらしい…!!
「ちょっと!!」

葉菜が制止するよりも早いか。

上段の脇構えを取るかごめが闘気を解き放つ。
それに応じるかのように…目の前の少女もまた、それに拮抗するほどの冷気と魔力を全開に、妖しく禍々しい気を放つ刃を抜き放った。

妖刀『似蛭』。
アーモロードの魔の眷属『フカビト』の呪いを纏う、忌まわしき刀。
チルノはこの刀の魔力に狂わされるどころか完全に順応しており、それ故…コーデリアを襲った「呪い」にも、彼女は屈することはなかった。

さらにはこの刀の呪いで、自身の冷気を呪いとして、リリカの力を封じ込めることができていた。
何人が放つ高熱をもってしても、この『呪氷精』を屈服させることなど不可能であろう。

空気をも焼き焦がす紅蓮を纏う緋の刃と、総てを凍てつかせる呪氷の刃が…古き森に激突する。








諏訪子「あー、あの⑨ずっと妖刀ニヒル持ってることになってたん?」
てゐ「狐野郎のプロット上ではそうみたいだねえ。
  狐野郎の中ではあの⑨も余裕でEX化してるんだけど、それでもここのリリカを氷漬けにするってなるとマトモな手法ではないわな、ってのを表現する意味もあった
つぐみ「あともうちょっと先でまた触れるけど、実際この先の展開進まなかった理由の一つを葉菜さんが背負ってるよね。
   いつもの如く話ややこしく作り過ぎるからこうなるって証拠なんですわ?」
てゐ「んまあちゃんと話が進んだからこそこうやって再開してるってのもあるけどな。
  5の話は5の話でちゃんと進むよ、実はこの時点でまだ裏ボス殺ってねえんだけど」
諏訪子「えっそうなん」
つぐみ「誰で挑ませようか迷ってるっていうのは聞いたかも。
   ここで組んでる私たち4りは確定なんだけど、あと一人誰にするかっていう」
諏訪子「そーいやお前らPTメン4りだったな、すっかり忘れてた。
   一応、あんた達と私らがどういう経緯で過去にすっ飛ばされたかの裏話ではあるから、そこもちゃんとケッチャコつけておかにゃ」
めう「それはさておきー、いよいよ次回はブロート野郎の解説に移るめうっ。
  プラス、霊堂のイベント集というか総集編的な何かをやるめう」
つぐみ「そういえば、結局のところ小迷宮の話とかどういう扱いになるの?
   第九迷宮以降にもかなりの数あった気がするけど」
てゐ「あー、それ面倒だからクリア後に全部回すみたいだぞ。
  何しろ数が多すぎるし、途中でぶっこむには話が軽くなり過ぎるからな」
めう「立派なバランス調整と感心するけどなにもおかしなところはないめう」
てゐ「そういうこった。
  そいじゃ、また次回(キリッ」