「やったか!?」

森鬼の額を双銃の同時接射で貫き、霧散させた魔理沙が振り返る。

一瞬の間をおいて、黄金に輝く雷の陽炎がお空の体から突き放されるようにして分離すると、揺蕩う弾丸を核として爆発的に収縮し、乾いた大地に転げ落ちる。
リリカ達三人が、糸の切れた人形のように頽れるお空の体を支えるが、そこには傷は残っていない。
つぐみがその能力を上乗せして放ったのは、撃たれたものの傷を癒す治療弾(ドラッグバレット)。貫通した組織を同時に癒す魔法の弾丸は…つぐみや魔理沙のような卓越した術者が放ったものであればだが…例え脳髄や心臓のような重要な臓器を貫こうとも一切の損傷をそこに残さないのだ。

そして、弾丸を中心とした巨大な「陣」が大地に描かれると、他の者たちと対峙していた森鬼達は一様に動きを止め、光の粒子となって吸い込まれていった。






♪BGM 「戦乱 散るもかなり」(SQⅣ)♪


「どうやらあちらの決着はついたようね」

るりは対峙する『ブロート』へ、切っ先を向けたまま決断的に告げる。


悍ましき波動の走ったあの一瞬は、決め手の一撃を逸したるりだけではなく、『ブロート』にとっても想定外の事態だった。
しかし二人は、片やその好機を逃さず、片や次の手へ繋げるべく剣戟を交え、なおも互角以上に斬り合い続けた。
いずれも闘気や魔力を用いた技術を一時的に封じられながら、人知を超えたレベルの戦闘を継続し…気づけば、森とは別の場所に足を踏み入れている。

森から何かが弾けたような波動を合図に、機を伺うというお互いの利害が一致してか、間合を離した両者。
るりは対峙する『ブロート』から気を逸らすことなく、周囲の状況を確認する。

これまで彼女たちが踏破してきた「霊堂」に類する場所…壁の其処彼処が燐光を放ち、それが脈動している。
るりにも既に手遅れであることが分かっていただろう。
今ここにいない…恐らくは万全ではないだろうかごめが、この状況を如何に捉えているだろうか…否、それを判断することは、今の彼女の役割ではない。

自身と同じく、満身創痍になった目の前の剣士は、未だ闘志は失っていない。
暗く淀んだように見える、険しく細められた瞳の奥にも…信じる何かに殉じようとする確かな意思が垣間見れる。


るりは嘆息する。

彼が…『彼ら』が何を想い、何を終着点としてこのような行為に至ったのか。
漠然とではあるが見え始めていた。

瓦礫の山。
圧し潰されたような亡骸。
血に塗れ、倒れ伏して動かない…恐らくは肉親の傍らで、泣き叫ぶ者。

-ヒトは…平和である限り、幾度でも繰り返す…!-

幼い少年の声。
怒りと絶望の声色は、狂気すら帯びていた。

-愚かな争いを…奪い合いを。
ヒトは…己に脅威がない時こそ…他者から奪い、欲を満たそうとする…!
このままでは…ヒトは自らの手で、自らを滅ぼす…なれば…!
-

それでも『彼』の怒りは、狂気は、その行き着く先が『ヒト』を滅ぼすことにはないことを、理解した。

それが間違っているのか、正しいか…それを断ずることはできない。
しかし、少なくとも彼女には、否定する理由はなかった。できなかった。

だが。



「決着をつけましょう、『ブロート』。
あなたたちが何を思い、何を目指そうとしていたのか…あなたにその意思がなくとも、あなたの剣が教えてくれる。
…少なくとも『私』は…『あなた』と似ているのかも知れないわ…でも!

だからこそ、止めなければならない。
それが、かつて彼女自身が体験した…ブロートにとっては『ありふれた悲劇』にも見える、陳腐な事象から来る一時の同情に過ぎないとしても。
彼女の心は、今なお曇りなく輝く、鋭い穂先の如く、真直ぐに揺るがない。

「ほざけ…貴様等に…貴様などに、語るものなど、ないッ!!

その時初めて…血や土埃で煤けた、精悍ながらも端正な表情が、眦を割き怒りに顔を歪ませた。
紡がれるは、静かではあったが、強い拒絶の言葉。
それは初めて、彼(ブロート)が見せた激情のようなものであったかもしれない。

燐光はまばゆく、そして冷たく輝く光となって、『ブロート』の後ろ手に構えた刃へ収束していく。
るりが槍で取る構えも、切っ先へ集まる閃光も、まるで鏡写しのように。


霊堂の壁が、脈動する『世界蛇』の鼓動を受けて砕けるとともに…狂気の剣士と紅き戦乙女が、跳ぶ。



~新・狐尾幻想樹海紀行X~
その37 「最終ミッション」




かごめ「いやーどうやら我々がスマキになっていた間にいろいろと事情が変わっているみたいですねえ(プヒー」
諏訪子「お前マジでどうやってその状態でスマッホン操作してんだマジで」
かごめ「そりゃスマキにされてようが中の腕はフリーだし(ドヤヤーン」
諏訪子「見えねえだろそれ」
かごめ「カンです、カンですよナナチ(キリッ
諏訪子「私ぁ何時からなり果てになったんだっていうかテメエは何処の界隈の黎明卿だ(イラッ」
静葉「なんだかテラスタルシステムも随分面白いことになってるみたいだわ(くわえたタッチペンポチポチ
  すごいとっくんの適用レベルが引き下げられてたり、いつものバトル系施設がなくなった代わりにほぼ全部の持ち物もデリバードポーチで買えるみたいだし、何よりダイジェットゲーだのキョダイカビゴンレイドだののクソゲー仕様なくなったみたいだし、こっちのトレーナー復帰してもよくない?」
諏訪子「…お前はお前で何器用なことしてんだよ…つーかまず世界樹の話しろよお前ら…じきに世界樹の無印から3までのリマスター出るんだぞ…」
かごめ「ケロ様あんたハラバリーとかどうだ?
   対戦する気まではなかなか起きねえけどレイド荒らしとか面白そうだぞ、でんきがえるポケモンとか書いてあるしこいつ
静葉「鈍足単電気で攻撃を受ける限り常時充電状態みたいになって挙句にパラボラチャージ遺伝するって書いてあるけど、このガマガエル採用したらつぐみの出番なくない?」
かごめ「いやー何かあいつ、もうメガデンリュウも帰ってこないからマルスケムーミンにでもなるかとかそんな話してたって、めうの野郎が言ってたしいいんでね?」
静葉「カイリューにも炎の渦とアンコールが搭載されたとかノーマルテラス神速だとかえげつない話いろいろ聞くんだけど…えー怖すぎるわねつぐみが600族って」
諏訪子「だーかーらーポケモンの話はそこまでにしろあと貴様ら私がカエルだって言ってるな祟るぞゴルァ!!!><」
つぐみ「(納屋の扉バーン)あんた達結局真面目に解説してないから今日の夕食抜き!!!一晩そこで反省してなさいあとスマッホンも没収!!!><
三人「∑( ̄□ ̄;)アイエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!?



かごめ「…というわけでつぐみのA全振り逆鱗を鎮めるために全身全霊(オールボディオールゴースト)でドゲザして何とか許されたので真面目に解説するですタコですみません(しろめ」
紫「まあその…これに懲りたらまずこちらを片付けることに注力することだわね^^;
 ちなみに全身全霊だけど、後で翻訳サイトで見てみたら概ねマエレナがぱかライブで答えたあれとほとんど同じ感じの単語が羅列されてたんだけど」
かごめ「いやそれトンチキ翻訳に定評があるエキサイト翻訳じゃねえのか?…ああいや確かにwhole body and soulだとそれっぽく見えるかもしれないが。
   他にも意訳としてcomplete devotion(美結注:直訳すると「完全な献身」という意味になるそうです)ってえのがあるみたいだな。
   ついでにだがこれ四字熟語ではあるけど、定番の中国の古典由来ではなく、有島武郎の小説「或る女」(1919年)の一節に使われた表現が元だという説があるらしい」
紫「あら、意外ねそれ」
かごめ「本当かどうかはわからんが、時代的にもなくはないって感じなのが実に大日本帝国チックというか大正浪漫よな。
   ちなみに世界樹リマスターだが徹頭徹尾つぐみたちでいろいろやらせる予定ではいるよ。
   今回は極力あたしたちも絡めない、本当に何のトンチキ話もなく純粋にゲームだけを攻略する方向で」
紫「メンバーにもよるけど、どうせつぐみメインってことはあの子を中心に『狐尾』の厄介者が全集合するって感じにならない?」
かごめ「明夜に鈴花、あとまり花ちゃんが絡んだらまーあいつと美結の胃壁の寿命がマッハになりそうではあるが」
紫「ちょwwwいつものヤバいメンバーじゃないそれwww」
かごめ「まあそれは先の話だしひとまずおいとこ。
   とりま「世界樹ノ迷宮」で触れてないのってなんだっけ」
紫「逆に出現する通常魔物しかまだ解説してない気がするんだけど」
かごめ「ゑっそだったっけ?
   実際新ギミックっていうと何だろうな、それともFOEが先か?」
紫「新ギミックはあるものとして解説するの?
 私的にはどれもこれまでにあった霊堂のギミックの延長線上な気もするけど」
かごめ「んまあ…屁理屈って言えば屁理屈なのかも知れんけど、一応今までの霊堂にはなかった、といえばなかったしなあ。
   こっちはこのまま最終戦に突入するような流れだし、とりあえずやれるところまでやってみるか。
   というわけでクリア前最後の迷宮で登場した、モノレールじみた固定ルート移動する移動床と通過すると高さが変わる床
紫「前者は今までの移動床のパワーアップみたいな感じはするけどねー」
かごめ「ルートは決まってるけど煩雑化してるし、ワープゾーンに近い扱いかも知れんね。
   しかしこちらも地味に新ギミック「通過すると高さが変わる床」…めんどくせえな浮沈床でいいか、そいつが進行ルート上にあって、かつ下段にそれがあると通過後に上段となる。
   通過するたびに進めるルートが変わるっつーか、基本先に進むしかなくなっちまうんだよなああれで。
   あ、言うまでもないだろうけど、モノレール床(仮称)も浮沈床も迷宮を出ると配置がリセットされるよ」
紫「そうねえ…ただでさえ通常魔物が激烈に強いのに、ルートを開拓しながらなんとかしろはかなり…」
かごめ「途中で抜け道を解放せずに糸で戻ったら、次同じ場所まで行くのが本当にだるいというのが。
   しかもその床系ギミックのうち、モノレール床は最初のフロアにしかないと来た」
紫「そんな大掛かりなものを単発で…というのも簡単だけど、アレが全フロアにあったらさすがに笑えないわねえ」
かごめ「ただでさえ五階層もあってしかもマップ全体を埋める広さだぞ、ラスト行く前にダルさMAXになって投げるに決まってんだろあんなの。
   そしてモノレール床がなくても普通に全フロア上段下段まんべんなく行かされる。
   今回こういうところで間違ったボリュームアップしちまったのが、不評の原因ではあるんだろうなあ」
紫「地味にレベルキャップが130にもなったし、余計にダルく感じるんでしょうね。
 そこまでやるんだったらいっそディスガイアみたいにインフレの概念放り捨てる勢いまで突き抜ければいいものを」
かごめ「あれはあれで特殊だからそこはな。
   ギミックはこんなもんだが、FOEも基本的には特に浮沈床でルートを変えて進行ルートを変えたり、区画に閉じ込めるなりして回避するのが基本になるかな。
   3種類登場するFOEはそれぞれ周回追尾、直線突進、位置固定で向きだけ定期的に変更、という行動パターン」
紫「ふいんき()的に最後のはある意味それ自体がステージギミックになってる、という感じかしら?」
かごめ「お察しの通りで。
   とりあえず登場する順でまずは周回追尾、こいつはシリーズおなじみのカマキリ野郎「全てを狩る影」ですな」




紫「角鹿は序盤だったけど、こいつは終盤に来たのね。
 終盤のカマキリというと3がそうだったかしら」
かごめ「概ね強さ的にも3のカマキリが印象としては近いかな。HPも28000ぐらいある。
   行動パターンは2のクエボスだった時に近い」
紫「というと?」
かごめ「基本は力溜めしてからの全体近接斬、HPが減るといつもの大鎌乱舞も入ってくる。スキルの名前は微妙に違うけど。
   つまりカマキリをカマキリたらしめてたトラウマの一つ大切断を使ってこねえんだわこいつ」
紫「あー即死は飛んでこないってこと?
 全体近接壊が全体近接斬になっただけの5のキリンかしら。十分イカレてるけど」
かごめ「その認識でいいね。
   大体世界樹は行動パターンが単純で分かりやすいほどえげつないのが常だし、カマキリなんてその典型例だしなあ。
   実際HPが減ってくれば力溜めからイカレた威力の大鎌乱舞(仮)も飛んでくるんだし、即死がないからって普通にこれの一撃で後衛の紙耐久は一刀両断にされるんだから大差はねえわな。
   ちなみに腕を縛れば無力なのと、そもそも縛るのがかなり大変なのもいつも通りよ」
紫「十分すぎるほどカマキリね。
 で、この「吶喊する鼎角」ってあれ、新2の六層にいた三本角のサイみたいなやつ?」




かごめ「だねえ、それがFOEになった。
   マップの同じ軸かつ同じ段差にいて、ある程度近づくと認識状態になり、次の瞬間に猛スピードで突っ込んでくる。
   大体上段の細くなってる通路、しかも進行ルート上に陣取ってる挙句、道の端で下の段に落っこちたら今度はそこに陣取って、同じような挙動をしてくるけど基本は壁にぶつかるまで止まらなくなるわけだ。
   上段部分限定で一応進路上からは追っ払えるけど、立橋と違って吹き抜けはないから完全にスルーはできないね。その代わり復活周期も長いけど」
紫「地下階があるわけだからそこにサイが増えてた、とかだったら笑えないけど」
かごめ「メタい話すると階層をまたいだFOEギミックなんか容量的にはさすがに無理っしょ。
   HPはカマキリよりちょっと多い程度、地味に弱点はサイともカマキリとも一緒だから所詮はサイなんだけど」
紫「所詮って…どうせえげつない強化はされてるんでしょそいつ。
 新2の時点で六層雑魚とはいえ普通に貫通即死持ってたじゃない」
かごめ「ご安心くださいゆかりん、こいつもしっかりトライ・デスしてきやがります(キリッ
   一応こいつ頭封じはアホみたいに入るが、サイと一緒で徹底抗戦でHP回復とバフ乗せてきて手が付けられなくなりやがる始末だ」
紫「ちーっとも安心できないわねいつもの世界樹だけに」
かごめ「高攻撃力と高耐久、そして貫通即死のサイだけど性質上カマキリより背後をとりやすいから、エンカ切りにも使えなくはない。
   因みにカマキリだけど、モノレール床に乗ってる状態で接近されたり、浮沈床で区画に閉じ込められたり、あとカマキリ基本下段にいて上段で通りかかっても反応して近づいてくるけど、区画で遮られている場合は当然モノレール床などで段が違っていれば隣接しても接触はしないよ。
   なので上段にいたら下段のカマキリに襲い掛かられたーという事案は発生しない。
   裏返すと、その意味ではカマキリを狩りたい場合に戦闘に入るのが大変ともいうが」
紫「といってもこいつそんな積極的に狩りたいかしら?
 歴代のカマキリで狩るうま味あったのって、ちょっと思いつかないけど」
かごめ「素材がいつもの妖刀ニヒルの他に、装備するとSTR+5してくれる優秀な靴の素材になる。
   クリア後も普通に使っていける速攻撃破の友だねえ。
   あと鼎角の素材はトライ・デスを使える槍サンサゲキの素材になる。こちらもやはりクリア後迷宮に入っても十分通用するし、今回即死手段少ないから意外に頼りになる。そもそもにしてクリア後迷宮は即死の有無でとあるFOEの狩りやすさが段違いだから、あると便利だねえ」
紫「即死の通るFOEねえ…そんな簡単に乱獲できるものかしらね、5みたいに」




かごめ「その話はまたその時にすりゃええな。
   最後の位置固定FOE、SV新準伝のチオンジェンがはるかに可愛く見えるレベルにキモいナメクジ野郎「鰾膠の散禍塔」なんだが、こちらが近づいてなおかつこちらを認識している状態になると、奴が向いている前方3×3マスの範囲内に毒液なのか何なのかをぶちまけてダメージ床を作ってくる
紫「あー…新2のベビーサラマンダーみたいな?」
かごめ「概ねそれと似てるんだが、あいつの炎と違って吹き飛ばされたり侵入不可になったりではないな。ただある意味もっとえげつない。
   ダメージゾーンは第二迷宮なんかの茨と同様エンカ率が爆上がりして、なおかつそのうえで戦闘開始するとこっちだけ全員麻痺状態からスタートする。
   新2のセルのとこにいた触手に捕まった時の封じが麻痺に変わったと思ってもらえればいい」
紫「で、仮に雑魚と戦闘になった時は」
かごめ「とーぜん麻痺ってるのはあたしらだけだねえ。
   ついでに言うとこのダメージゾーンからナメクジにバトル仕掛けた時ももれなく麻痺状態でスタートするし、当然ナメクジも五体満足で元気イッパイダゼときたもんだ」
紫「でっすよねー世界樹がそんな甘い代物のわきゃなかった」
かごめ「ナメクジは初手が頭・脚封じ付与の貫通頭突きで固定、HPが減るとHP回復量がダウンするデバフ付きの列氷攻撃を仕掛けてくる。
   実はどちらもダメージは大したことはなく、しかもこのタイミングで出てくるFOEとしては珍しいことに、条件ドロップの条件になってる割には頭封じに耐性を持ってないらしい。
   だからまあ頭さえ封じてしまえばキモい頭突きは防げるんだけど」
紫「さっきの鼎角から想像すると、こいつ頭封じるとロクなことしてこないわけね」
かごめ「そういうこと、脚依存でランダム状態異常を付与する全体壊攻撃パンデミアマーチを仕掛けてくる。
   これ自体のダメージも結構痛いが、それ以上に何かしらの異常を付与させられるので、場合によってはもっとえらいことになる。毒受けたら普通に200ダメージは飛んでくるな」
紫「世界樹はこれが基本だからちぃっとも驚くところじゃないわねえ。
 まあどうせあなたのことでしょうし、これも乱獲案件だったりするんでしょう?」
かごめ「何しろ動かねえから先手取るのも簡単だしな。
   通常は小剣、そしてLUC上昇のついている優秀な軽鎧パンドラベストの素材、条件はパンデミアマーチとほぼ同じ効果を持つ固有技がある「災禍砲」の素材だ。
   こいつはサイやカマキリと違ってチオンジェンと同じ炎弱点、HPも他と比べて30000をわずかとはいえ超えてくる。クリア前最後の強敵といっても差し支えはないな」
紫「ところで話はちょっとズレるけども、私まだポケモンSVそんなよく知らないんだけど、そのチオンジェンとかいうやつタイプ何なの?
 語感的には蟲簡(チオンジェン)? 巻物カタツムリとかそんな意味っぽいけど」
かごめ「ノクタスとかダーテングとかと一緒で草悪だねえ。
   今回の準伝、共通してドストレートに中国語名になってて全員共通して悪タイプ持ってる。
   パルデアの四方に封印されてたし、ストーリー的にも中国の四凶みたいな扱いみたいだよ。
   古代の王様がこいつらを商人から買って国を滅ぼしたとか言ってたし」
紫「ふむ…鼎鹿(ディンルー)豹剣(パオジアン)玉魚(イーユイ)ねえ…今までにないパターンだわこれも」
かごめ「これもまあ本来は封印してたままの方がいい的な意味では、ヨルムンガンドとそう大差ないのかもわからんねえ」
紫「強引に本編に話引き戻してきたわね…まあ、察するわよその辺^^;」








突入の時間から考えれば、現時点で既に丸一日以上が経過している。

「枯レ森」がその機能を取り戻したことで「森鬼」達も戦いをやめ、なによりあの異様な気配に、森に住まう野生の魔物達も、恐慌を起こして森から多くが逃げ出していった。
大規模な戦闘も、しばらくは起こりえないだろう…そう判断したつぐみたちは、戦いを終えた後の感傷に浸る間もなく、まだ戦闘に耐えうるメンバーの手当てや、可能な限りの準備を整えつつ、交代で休養を取っていた。

後方で待機していた彼女とまり花は、半ば一方的に紫の魔力を分け与えられており…勿論、つぐみもそれが最善の手であることを承知してはいたが…この中でも万全に近い状態にある。
しかしながら、暴走したお空と直接対峙していたリリカ達三人、乱戦の中で『ブロート』との戦いをるりに任せ、魔法発動までの時間、文字通り五体をまり花の盾として護り抜いたレティの消耗は大きく、結果的にわずかな休息と準備で動ける者は、つぐみを含めた若手の10名足らず。
『ブロート』と闘いながら先の迷宮へ突入しただろうるりと合流できたとしても、戦力となりうるかは怪しい。

そして、何よりも…戦いのさなか感じたかごめ達の気配も、森にはない。
最悪の事態は考えたくはなかったが、かごめの性格を考えれば、また無茶をしでかして…良くても戦える状態にないだろうことは明白だった。

明らかに、未知の迷宮…まして、災厄と呼べるだろう存在が待ち受けるその先へ挑むには、無謀ともいえる戦況。
こちらの戦力を最大限に殺ぐというのがそうだというなら、この森を最終防衛ラインとした『ブロート』達の目論見通りになったといえるだろう。
それどころか、咆哮のように鳴り響き、空を走る昏い稲妻が、既に手遅れの状態になっているということを、否応なく認識させる。


『ヨルムンガンド』の覚醒が『ブロート』達の勝利というのであれば、彼らの目的は果たされたのだ。
あとは、目覚めた『ヨルムンガンド』が無差別な大破壊を巻き起こし、この大地の生きとし生ける者は常に、その脅威に晒され続けることになるだろう。


『ブロート』がいうように、人々同士が争いをやめ、団結して耐えることができるなら、確かに彼の言うとおりに人々同士が相争うことはなくなるかも知れない。
だが、それは同時に、新たな嘆きと悲しみを生み出してきたことも、つぐみたちは知っている。

かつて、エトリアで世界樹の核(フォレスト・セル)に半ば浸食されながらも、大地の再生と人類の発展のため尽力したヴィズル。
滅びた大地を再生する世界樹と、この世界の行く末を見守ろうとするあまり、狂気に陥ったハイ・ラガードのオーバーロード。
やがて来るだろう森核の災厄を打ち払うべく、悲劇と狂気に彩られた研究を続けてきたギンヌンガの主や「暗国ノ殿」の研究者達。

そのどれもが、己の正しきを信じ、何よりもこの世界のために、この大地に生きるものすべてのために尽力し、そして…



お母さんなら、どうするんだろう

押しつぶされそうになる不安に表情を歪めながら、昏く轟く空を見上げるつぐみ。


体感にして二年前、星を食う魔を打ち破った時も、そのさらに前、樹海最大の魔を討ち果たした時も。
共に戦うことはなくても、それでも振り返れば多くの先達が自分たちを見守り、万が一の敗北すらも考えずに済んだ。

しかし、今回はそうではない。
もはや彼女らの多くは戦える状態にない。
世界の命運を賭けるものとなろうここからの戦いは、自分たちの力で乗り越えなければならない…その重圧が直に、己の双肩へのしかかる。

だがこの戦いは、もはや自分たちの領分を超えているのではないか?
いや、自分だけならいい。
いくら自分自身の命を天秤にかけることを強いられていたとて、他の者にまでこれを強いる事などできるのだろうか!?
世界の再建に総てを擲ってしまった彼らのように、新たな悲しみと絶望を生むだけで終わるのではないか!?



ここで逃げ出してしまったとしても、多分かごめさんなら…怒らないと思うんだ

振り向くと、何時の間にか隣にはまり花の姿がある。
見上げるその表情は、どうしようもなく不安そうにも見えて…今にも泣きだしそうなのに、それでも。

「怖かったことも、つらかったことも…泣き出して逃げちゃいたかったことも、いっぱいあったよ。
でも、わたしあきらめたくない。
ここで投げ出してしまったら、きっと、帰った後もそのことをずっと後悔し続けるんだと思う。
…そんなの、わたし…嫌だよ。
だから」
…わたしも…いやだ

絞り出すように。
小さな呟きだったが、取って握りしめるその手の力は強く。

後腐れなく…ここで全部終わらせるんだ、私たちの手で

その言葉に応えるかのように、ひとつ、またひとつ手が重ねられていく。
そこには、あとからこの地へとたどり着いた者たちもいる。




「かつて…私も一族の元から逃げるようにして、タルシスにいたとき…どうしていいのかわからず、正しい道が見えないでいたとき。
私はあなたたちと出会えたおかげで、私と…私が尊敬する人のことも、救われた気がしたの。
だから、今度は私がそれを返す番だわ」

口火を切ったウィラフが、ウインクしながらつぐみへ告げる。




「私だって、『竜殺し』の端くれなのよ。
人間の…あたしたちの底力ってヤツを、あの大馬鹿野郎たちに見せつけてやろうじゃないの。
それに」
僕も…いや、ここにいる皆も、『狐尾(あなたたち)』のおかげで行くべき道を見いだせたんです。
海の女王からも聞きました。
世界蛇は途方もなく大きく、強大な存在。だけど」

レオの視線を受けて、カリスとロブが力強くうなづく。




ワタシ達がそこへ挑めなくても、そこまでの道はワタシたちで守りマス!
モチロン!」
当然だ、オレ達も無事に帰って見せる。
そうでなければ…あんた達へ、借りも返せないからな」

ややばつが悪そうに、視線を逸らすロブだったが…その言葉尻に反して、表情はどこか晴れやかでもあった。
傍らに立つ妹と頷き合い、燃えるように鮮やかな髪を翻し、星海を超えてきた猛き「女王」も愉快そうに吠える。

「あの日垣間見た「覇王」の意思を受け継ぐ者。
間近で見物するだけでは到底足らぬ!
それに…祖先(かこ)の過ちなどという下らぬもので、その者の現在(いま)を縛るなど、笑止千万この上ないわ!!
余も力を貸すぞ、例え断られようが勝手についていくがな!!」
「へぇ…マジで気が合うね…!
それに、世界を滅ぼす兵器に囚われちゃった姫様を救いに行くなんて、冒険者として最高のシチュエーションじゃない!
つーわけであたしたちも行くわよ、アテリンいないけどまーどうにかなるっしょ!!」

苦笑する魔理沙を他所に、道中ですっかり意気投合していたらしい二人の御転婆女王ががっしりと手を合わせて掲げる。




「ハッハッハ!すげえことになってきたなマルコ!
これだけいりゃ1+1が10どころじゃねえ、千にも万にも、それ以上になっちまいそうだ!
「フフ…珍しいこともあるものだね。
私も同じ気持ちだ。
この戦いを終えて、必ず皆で生きて戻る、それだけしか考えられない…!

陽気な相棒に釣られるようにして、いつも穏やかな表情を崩さないように見えた術師の男も、恐怖を塗りつぶすかのような、自身の熱い感情を抑えきれずに拳を握り締めた。
当のオリバーも、やはり似た者同士意気投合したのかエンリーカ達と一緒になって鬨の声を上げ始めている。

そして。




…お前たちの姿を見るまで…私は、姫を置き去りにしてでも、マギニアのためにこの地を即刻離れるべきだと…それも已む無しと思っていた
姫は、私のような、家柄も定かならぬ叩き上げすらも、実の兄同然に慕って下された。
それ故に…姫であれば、まずは己の身よりもマギニアを第一に考えられることだろうこともわかってしまう。だが」

生き残ったわずかな兵士と共に、傷ついた紫達を引き上げる手助けをしていたミュラーが、気炎を上げる冒険者たちの前に進み出る。

「何時だっただろうか…姫が、楽しそうに話されたことがある。
狐尾(おまえたち)』のことだ。
言葉の節々は冒険に倦んでいるように見えながら、彼女らの目は未知への希求と希望に溢れ、無謀に見えても、その行動には勇気に満ちていると。
もし何か、この世界の在り方を揺るがすような事態になろうとも…彼女らなら、何とかしてくれる気がすると

そして、つぐみの手を取り、一度深々と下げた首を上げると、そこには、見慣れた厳粛な武人の顔。

「『ブロート』が言うように、人間は愚かで、悲劇は繰り返すもの…そういう者もいるだろう。
私も少しは知っているつもりだ。
君が…君たち母娘も、そうした人間達に翻弄されて生きてきたことも」

その真剣な瞳に「そうかも知れません」と、つぐみは頷いて、続ける。

それでも、私も…お母さんも…信じているんです。
その悲劇を断ち切ることも、人間(わたしたち)の手でできることだって


ミュラーは、わずかに笑みを見せ、頷く。

「これ以上、余計な言葉は要るまい。
マギニアの王家につかえる臣下としてではなく…マギニアの一個人として、公私混同甚だしいことだが…姫を…どうか、頼む。
そして…マギニア王の全権代行者として、最後のミッションを「狐尾」諸君、そしてここに集う冒険者全員に託す」

しかし、その表情には憂いなどなく…その命を託す彼らの勝利を…否、彼ら全員の帰還を、疑っていないような笑みすらもあった。




「ミッションは『世界蛇』ヨルムンガンドの撃破!!
そして、ペルセフォネ姫及び穣子君を必ず助け…ここにいる誰一人欠けることなく、マギニアへ帰還し、大団円を迎えるのが目的である!!
頼むぞ、勇猛なる冒険者諸君!!」


先頭に立つ格好になったつぐみが、母親がそうするように拱手して応える。

「僭越ながら、ここに残る冒険者を代表し!
我々の魂魄を賭け、拝命いたします!!」

皆もまた、誰が示し合わせたでもなく…彼女の姿に倣うように、同じように応えるのを見届け…武人は、鷹揚にうなづいた。


迷いは、消えた。

恐怖はあるし、不安も拭い去れない。
自分達の選択が、さらなる悲劇を招く結果になるかも知れない。

だが、それ以上に…何もしないで傍観して終わる、その後悔だけは、したくない。
進んだ先に破滅だの、絶望だのが転がっていても、それを踏み砕いて…進むのみ。



「行こう、みんな!
私たちの手で、ヨルムンガンドを…『ブロート』を止める!!」


少女の檄とともに…うら若く、可憐にすら見える勇者達が、最後の戦いへと赴く。










かごめ「まーそんなこんなでラストダンジョン、霊堂に引き続き最初に潜入した時だけは、今までの迷宮で出会った愉快な仲間たちが大集合しててんやわんやしながら奥を目指すことになるんよな。
   B1Fはマギニアの兵士たち、B2Fはマルコとオリバー、B3Fはレオ、B4Fはカリスとロブ、そして最終フロアではエンリーカとアーテリンデがついてきてくれて、探索効果もしっかり発揮してくれる。
   何故かウィラフはいねえんだけど」
紫「地味に最後のフロアはジュニアもいるから、気付くとアイテムがいっぱいになってその都度引き返すことになるわね。
 実際狐野郎は、エンリーカがTPを回復してくれるから容赦なくラストフロアのFOE狩って歩いたみたいだけど」
かごめ「霊堂の探索範囲なんていくら狭くしてくれてもいいからせめてレオとカリスとアテリンぐらいはNPC参戦してほしかったですね(キリッ
紫「それ一番最後が一番ぶっ壊れてるんじゃないかしらね。
 まあ、普通に全部一般的なマグスのスキルになってそうな気がしなくもないけど」
かごめ「描かれた花とかいう超絶ぶっ壊れ回復スキルがあればナメクジもタヌキも全然怖くないのに…」
紫「あれは敵だからこそ許されるスキルよ。
 世界樹とウィンキースパロボにそんな甘えはありません(キリッ
かごめ「ゆかりんはいじわるですね(憤怒
   冗談はさておいて、いよいよここからはクリア前最後のボス、ヨルムンガンドについて触れていくことになるね。
   マジで今回ここまでが長かった、何年も更新サボってただけだろって以前の話だよ、しかもまだまだ道中投げた話いくつかあるとかなあ」
紫「狐野郎的にはもう少しリンカチャンをどうにかしたい的なところがあったみたいだし、クリア後世界はムイシキの代わりにあの子が暴れだす話とか出てきそうよね」
かごめ「風雅ニキの胃壁の寿命がストレスでマッハになるなそれ。
   今からぶっちゃけると金竜はりんりん先生とエロサイドテールを除いたちくわバンド+ここなつ、氷竜はリンカチャン達とお目付け役のりんりん先生、赤竜は…うんまあファッキン綿飴頭がうちのイッヌを捕縛して乗り込んでったとかで葉菜先輩がげんなりしてたし顛末聞いとくか…
紫「そういえばそのムイシキとか穣子ちゃんとか地雷的な動きしそうな子も何人かいるわよねえ」
かごめ「そりゃあもう三竜案件といつもの第六層ポジダンジョン以外にもクリア後小迷宮ってありますしね(しろめ
紫「あっ(察し」


かごめ「というわけでおかーさんつかれました、おさけくださいねます(プヒー」

紫「まあそういうことなんでそろそろ大目に見てあげて^^;
 一応、最後は名目上あなたたちで終わらせてるんだし」
つぐみ「仕方がありませんね(フンス
   んまー、結構駆け足で雑に終わったところはあるけど、実際マジで長いからね。
   ついでにポケモン最新作もみょんに長かったらしいけど、そのへんどうなんですかゆかりん」
紫「あらあら確かに私もかごめ達と同じサークルで組んでトレセン学園で随分暴れまわったけど、連中と同レベルまで邪悪なことはしてないし、ちゃんと後始末に協力もしてるんだしその手には乗らないわよ^^」
つぐみ「藍さん最近紫様がウマにうつつ抜かしててヤバいとか言ってた気がするんですけどねえ(ジロリ」
紫「私てゐと一緒でガチの無課金勢だからおカネのムダ遣いしてねーですしおすし^^
 というわけで次回からはクリア前最後の大舞台、ブロートが復活させたヨルムンガンドを始末するお話になるわよ。
 一流ボウケンシャーの雄姿を見届ける権利をあげるわ!(CV:NU-KO)
つぐみ「いや声優としての名義違うんですけどもそこ…まあいいや、続きます」