♪BGM 「僕らのスペクトラ」/きただにひろし(「ウルトラマンブレーザー」)♪
靄がかかっていたような思考と視界がクリアになると、まり花の視界にも異様な姿となった明夜の姿が映る。
その腕と刃は悍ましく脈動する肉の組織で繋がれ、赤熱した光を放ち脈動する。
露出した腕にも脚にも、昏く脈打つ文様が刻まれ、その毛先は焔のように揺らめき、空気を焦がしているかのよう。
まるでそれは、地獄界に住まう猟犬…否、それよりもずっと禍々しい…対峙する『蛇』よりも、この世界とは相容れないものにみえた。
しかし…同時にまり花の瞳にも、それは映っていた。
明夜が、自分と、その遙か後ろで腕をかばい、その後ろ姿を見守るつぐみを…庇うかのように立つその姿を。
まり花は瞬時に理解した。
明夜もまた、戦うべき理由を…その真の姿を、取り戻した事を。
そして…その生まれが如何様なものであったとしても…自分と同じ道を歩むことの出来る、大切な仲間であると言うことを。
掌に輝く、一片の雪の華。
迷いなくそれを握りしめ、振り上げ合わされた両の掌に、絶対零度の死の光が爆発的に収束した。
「わたしに合わせて、めーやちゃん!!
いっけえええええええええ!!」
解き放たれた絶対零度の魔力が、空気を切り裂いて『世界蛇』を捉える、その刹那。
吹き上がる焔を推進力に、明夜は飛ぶ。
死の吹雪の斜線から飛び退きながら、絶好の一撃を加える高度へ。
そして、同じように飛び出してきた、雷鳴を纏うもうひとつの影。
「こっちも合わせて!
一緒にぶったたくよ!!」
満身創痍、限界なんてとうの昔に超えている。
雷を載せた杖を振り上げた腕だって、腕の骨は骨折なんて生易しい状態ではない。
だが、持てる魔力を集中させて、この腕一本まるごと竜の如き雷光の切っ先へと変え、振りかざすつぐみ。
捨て身の一撃だ。
だが、玉砕など微塵も考えていないだろう。
その姿は…明夜の瞳にその母親の姿がフラッシュバックする。
「はい!
いきます、姉さんっ!!」
雷のカートリッジを装填した明夜の砲剣も暴走した電荷を纏う。
鏡合わせのように空中で一回転、勢いのままに掴んだその手を軸に、稲妻が円を描く。
「稲妻、重力落としいいいいいーっ!!!」
劈く轟音。
そして、閃光。
突き破られた額から、緋色の軌跡を描き―鳥は発った。
~新・狐尾幻想樹海紀行X~
その40 ザ・ホームウェイ
閃光が視界を埋め尽くし、 少女たちは、その散逸するエネルギーの中に、その影を見た。
どす黒い影が、世界に破壊と災厄をもたらそうとする何かが、大まかな貌を造り、眦を裂くと怒りと困惑、絶望、そんな感情が渦巻く恨めしげな光をまき散らし、絶叫する。
-おのれ…おのれ…!おのれええええええええええ!!
貴様らは何故、この私の計画を阻もうとする!?
この愚かな人間共!奴らの間で醜い奪い合いを無くすために!
何を持って貴様らはそれを否定するのだアアアアアアアアアアアアアアア!!-
影は悍まししく紡がれ、巨槍のような渦となって明夜へ迫る。
その目の前に、幾条もの緋と白の軌跡が奔る。
「勘違いしてるんじゃないわよ、敗けた分際で何時までも愚痴愚痴と。
疾っ疾と地獄に落ちろ、下種野郎」
「美結ちゃん本当に容赦ないね、まあ気持ちわかるけど。
誰もあんたなんかの考え、はいそうですかなんて受け入れるもんですか。御目出度いこと」
鏡合わせに飛ぶ、緋色の鳥と稲妻の竜。
瞬時に再生し、引き落とそうとする触手は、一瞬のうちに凍り付いて動かなくなる。
「いくら悲しいことがあっても、苦しいことがあっても…それ以上の苦しみと悲しみで世界を満たしても、誰も笑えないんだ。
みんなみんな壊してしまった先になんて、何にも残りはしないんだよっ…!」
悲しげな少女のその言葉すら、拒絶するかのように新たな触手が迫る。
飛び込んできた炎の刃が、それをことごとき焼き払い…その切っ先を向ける。
「それに、なによりも」
古の世界に生きた高潔な魂を、その純粋な思いを受け継いだ娘が、決然と言い放つ。
「あんたが、この私たちに喧嘩を売った。
たったそれだけの、簡単な理由だ」
呪わしき咆哮が、空間を劈く。
トンボの形から、上段の横構えにした明夜の砲剣が、再度姿を変える。
無骨で、彼女の背丈とほぼ同じ長さの、長大な刃を持つ剣…その駆動部が、まばゆく光りながら回転し、集まってくるエネルギーを一点に収束する。
「これで、
セイリオス・グランクラッシュっ!!」
黒き影、そして天を衝くかのように伸びあがった『世界蛇』の体を、輝き燃える
一泊遅れ、その巨体に亀裂が入り…そして、噴出するエネルギーと共に巨体が裂け、崩落を開始した。
断末魔の咆哮にも似たエネルギーの奔流が、迷宮の床を走る。
それは、先とは真逆に、『世界蛇』から散逸していくように。
力を失い、形を保てなくなった巨体はゆっくり、ゆっくりと…姿を現した迷宮の裂け目へと沈んでいく。
断末魔の光も…やがて『世界蛇』を飲み込んだ裂け目が閉じると共に、消えた。
-ありがとね-
どこからか、声が聞こえる。
-いまは、これでじゅうぶん。
このこは、わたしがねむらせておくから。
でも…みんながわすれてなかったら…いつかは-
その声の、最後は聞き取ることは出来なかった。
…
…
かごめ「おうこれで終わりだぞ文句あるか(目が据わっている」
紫「あらあらちょっと席を離した隙にこんなあるさまになってるなんて^^;」
てゐ「んまー私達も実際やり過ぎたとは思っている(キリッ」
諏訪子「つってもあらかた推移には触れたしあとはなんだ、感想ぐらいしか喋ることもねえけどな。
実際マジで長かったよな、しつこいようだが」
静葉「長かったもそうだけど、余計な駄文の肉付けをしすぎて着地点がいつも以上に見えなくなってたわね。
最初の時点でネタ選びを間違えていた説は無かったのかしら」
諏訪子「いつものこったそんなん。
ヘンに大風呂敷を広げ過ぎずある程度上首尾に着地できたSSQ2が奇跡だったんだ」
てゐ「大風呂敷になってなかったかどうかの真偽はともかく私の性格が魔改造されすぎ説はないんですかねえアレ…」
静葉「それこそ今更だわ。
おかげで大体どこに持って行っても物語の潤滑油として扱いやすくなってるところはあるかもだし」
紫「もうここでは当たり前になりすぎてるから感覚マヒしまくってるけど、冷静になって考えてみれば確かにここまで物語の重鎮的な存在感ある因幡てゐって他にいない気がするわね」
てゐ「おかしいねえ…大体普通私ぁ後方でこそこそして時々アホ鈴仙を落とし穴に押し込む系の仕事しかしてない愉快ないたずらウサちゃんポジだろ(口から砂
たまにはもっと気楽な仕事させてもらえないもんかね、それ系の」
諏訪子「やかましい働かざるもの食うべからずじゃキリキリ働け(キリッ
時にゆかりん、この話って未だに着地点もへったくれもないSQ5の話とリンクさせるのっていつからの気まぐれなんだ?」
紫「何時からも何も、最初からそれありきだと思ったけど?」
諏訪子「…mjd?」
紫「多分途中で明夜の売り込みしたいところはあったんでしょうけど、そのくせキャラ自体しっかり固まってなかったし。
青少年のなんかに危ない話満載ではあるけど、つぐみからしてSQ5に出てきた時点からめちゃくちゃよ」
諏訪子「んまあそれは狐野郎が己の性癖満載にしたからなあ…っても大筋は変わってねえだろあいつ。
精々最近てーにも木クレオソートの臭いが染みついたぐらいなもんだ」
てゐ「甚だ遺憾である(真顔
木クレオソートって言うと話はちぃとズレるが、実は正露丸の機序って最近明確にされたばかりで、製造当初はよくわからんけどなんかいろいろ効くみたいな感じのオーパーツめいた代物だったらしいな」
静葉「随分と臭いのきついSCP-500もあったもんね」
諏訪子「全くだ…っていうかマジであの臭いだけでなんでも治りそうな気がするから笑えんなその例えも。
つぐみっていやあいつがメインに絡んでくるのも早かったな今回。
当初の予定ではもっと後半に出る構想だったんだろ」
かごめ「ぶっちゃけると海の一族と協力してる構想はあった…アテリンとも面識あるし二重スパイみたいな…」
てゐ「それで唐突にここなつ出してきて途中合流させたってか、本来はあいつらにその役目を担わせようとしたと」
かごめ「まあのう、実際はご覧の有様だよ!!(ヤケクソ」
諏訪子「微妙に懐かしいネタで逆ギレしてんじゃねえよ」
…
…
♪BGM「東方緋想天」♪
島全体を揺らしていた鳴動、エネルギーの奔流が消え去り、それと共に彼女は力をすべて取り戻した。
これまでの疲労と怪我が嘘のように癒え、リリカは指の動きを確かめるように手のひらを握り、開く。
そして…握りしめた拳を険しく見つめ。
「このちからは…やっぱり、行き過ぎたモノだ。
然るべき形で、手放さなくちゃ」
その力の余波か、こちらも五体満足の状態で目を覚ましていて、リリカの覚醒を喜び合ったこいしとメルランが顔を見合わせる。
「手放すって…ナニを?どゆこと?」
小首をかしげるこいし。
「私の『幻想を操る程度の能力』。
私だって全部を理解しているわけじゃないけど、これはきっと、何時までも私のところに在ってはいけないものだと思う。
これまではいつか必要になると思った…でも、多分それは違うんだと思う。
これはもう、行き場を失ってしまったなにかが、偶々私の中に来ただけなのかもしれない…!」
困惑するこいしに対して、メルランは鷹揚に頷いた。
「あなたがそう感じたのなら、そうかも知れないね。
確かに、言っちゃ悪いけど…そのちからが、ここ数年ずっと何かしらのトラブルにしかなってない気すらするわ」
うん、と頷き、リリカは開いた手のひらに意識を集中させる。
「思い描いた幻想を意のままにできるのであれば、それを終わりにすることもできるはず。
私は…これを、失うだけでいい。ううん。
同じ時間を共有する…これからもしていくみんなの元へ、等しく」
立ち上る魔力が虹色の光を発し、そして、世界へと混ざり込んでいく。
喪失感はなかった。
むしろ、その行為を祝福するかのように…見守る二人にも、空が瞬いて見えた。
「ああ、最後に一つだけ…私の些細な『
この戦いで傷ついた『すべて』のひとの、怪我を治して」
…
…
静葉「ところで…さっきからダレたダレたを連呼してるのはいいんだけど。
例の緊急事態宣言を考えれば、ゲーセンでDDRする時間を全部こっちの構想に当てられたんじゃね?と考えるのは浅はかな考えかしら」
てゐ「そこはほら、あれだろ…例の」
かごめ「話脱線しまくるの承知でもう色々ぶちまけるけどまあ…ウマが思った以上に面白すぎた。
狐野郎が現役時代をリアルタイムで知ってるテイエムオペラオーが速攻で育成解禁されたのが完全にトドメだったな」
静葉「狐野郎は割とガチで実馬のオペラオーが好きだったらしくて、当時の競馬民に思いっきりツバ吐きかけて回ってるみたいね。
ウマの方は…」
諏訪子「解禁直後に比べると最近何か異様に強くなりましたね(キリッ」
かごめ「常時ハナ差圧勝再現しろとかひかえめに言ってアホかと。
つーかウマと史実では逆で、最終局面で先頭を爆走するメイショウドトウをギリギリのところで差して勝つのがオペラオーの勝ちパターンなんだよな。
実際当初の発動条件だと差しの方がどっちかと言えば比較的発動しやすくはある」
諏訪子「覚醒スキルがほぼ全部先行向けだからな、アレが完全な罠だろ。
つーかあのクソ狐が姉貴派閥に走った理由は何なんだ」
かごめ「ワカンネ。
こっちも固有スキルクソ雑魚呼ばわりされてたから判官贔屓じゃねえの?
オペは勿論ハヤヒデも二周年でなんかクソ強くなったけど、使用率はどうなんよあれ」
紫「それ以上は脱線具合もひどいからその辺にしとかない?
スキルというなら世界樹の方で」
てゐ「介錯弱体化したとか聞いたけど実際どうなん(キリッ」
諏訪子「いつも通りムイシキがムイシキしてる、それで答えは十分だと思うが?(真顔」
かごめ「一騎当千の弱体化がひどすぎて、介錯がボスに通らなくなったなんて些事よなあ(日常顔
実際ウマ始める少し前の時点で、クリア後小迷宮のカボチャをこいし連れて狩りに行ってるんだけどまー効率いいのなんのって」
静葉「3りがかりで兜割りするだけの簡単なお仕事(真顔
そういえばリメイク出たけど、エミットとか多元抜刀とか使ったことないスキルもまだまだたくさんあるわねえ。
そもそもビーキンとアンドロなんて使った記憶もないし」
諏訪子「ゑっアンドロは知ってたけどビーキンもか?」
紫「(過去ログ参照)サブですら使ってないわね。
ついでにクリア後なんてプリも消えたわ」
かごめ「リニューバグどころかQOのクソ仕様すら知らずに終わった感はあるなあれ」
諏訪子「実際リニューバグは準備も地味にめんどくさいしな。
リメイクは3から入るにしてもその辺のバグは使うか微妙なところね」
かごめ「休養を駆使してでもプレイ当時よりも低いレベルで攻略する程度の努力はしたいところねえ。
禍神はまあアレだ、触手狩らなくてもまっとうな手段で瞬殺できる手法あるみたいだからそれを使う予定だが」
静葉「触手放置って時点で真っ当じゃない気もするんだけど。
ときにバグも有利な奴全部残すとか公式ページに書いてあるけど、それは使わないので?」
かごめ「リニューバグ以外はめぼしいものもねえし…」
…
…
「本当に…成し遂げてしまったのか…!
卿らの手で、『世界蛇』の再封印を」
その光景を見届け、長い沈黙の後…ペルセフォネは驚愕と歓喜が入り混じった表情でつぶやく。
そう、封印だ。
その言葉の意味するところを、つぐみは理解している。
この忌まわしき『過去の遺物』は…この世界にあってはならないモノだ。
だから、ここで滅ぼさねばならなかったのだ。
未だ、完全な復活を遂げる前に。
「…はい。
でも…これは必ず、滅ぼさなければならないもの。
ごめんなさい…今の私たちにできるのは、ここまでみたいです」
「何を言うのだ」
項垂れる少女の肩に手を置き、若き女王は鷹揚に頷き…微笑んで告げる。
「あのような恐るべき存在を、卿らの奮闘により『封印』という結果に辿り着けたこと…それを偉業と言わずなんとしよう。
『世界蛇』は、我々の手に過ぎたるモノ…二度と呼び覚まされることがあってはならぬ。
以後『ブロート』の如き者を出すことなきことも含め、教訓として此度のことは記録に残し、確と語り継いでいくことを誓おう」
それが気休めであることは、彼女にも解っていただろう。
だが、自分達だけで断ずるにはあまりにも巨大で、あまりにも危険。
性急に動いても解決にはならない…今為すべきことをするべき。
聡明な女王は、それをしっかりと理解していた。
…
「…いやーまさかこんなことになろうとはな。
なんか余裕出てきたしもうちょい続けてみてもよかったんだけどなーあひゃひゃ」
何故かスマキにされているかごめがげたげた笑う。
「ふざけんなよオメエにガチで火ィ点いたら『世界蛇』どころじゃねえわ。
にしても何が起きたか説明頼むわゆかりん、まるでわけわからん。
ただ『影』を乗っ取ってたはずがなんで実体化してんだよ、しかもこいつだけじゃなくてオメーやリグル達もなんか五体満足になってピンピンしてやがるし。
どいつもこいつも因幡大先生の見立てじゃ最低半月ベッドの上が固定位置の重症患者のはずだろうが」
その目の前で苦虫を噛み潰したような表情の諏訪子。
紫は、少し寂しそうな…そして、納得したような表情で瞠目する。
「…リリカは…自分に宿ったその力を手放したのだわ。
『幻想を意のままにする』という、神の御業に等しいその能力を…手放す時の最後に、その力で私たちの傷を癒してくれたのでしょう。
『世界蛇』の復活なんかより、遥かに小さな奇跡に過ぎないわ」
その言葉の意味を図りかね、顔を見合わせる一同。
「現世から離れ、幻想と化した『音』を集めるのが彼女の存在意義でもあった…それは、私がこれまでしてきたことと、極めて近しい行為だった。
幻想郷の根幹を成すあのちからは、今の『幻想郷』となる世界に元から存在したものであり、それまで私が管理していたその力は、『狂気の異変』を介し…其の縁ゆえにプリズムリバーの姉妹に紐づけられた。
そして…一度は『霊としての死』を迎えたルナサ達から離れ、ひと所に集められたことでリリカを真祖級にまで引き上げることとなった」
「強大に過ぎる力は、時に強大過ぎる災厄を招く…余の一族にも、戒めとして長きにわたり伝えられてきた言葉だ。
そのような大それたものを押し付けられる、さしもの余とて願い下げではあるな」
カスティルの言葉に、「そうね」と紫は頷く。
「リリカはその意味をずっと考え続けていたのだと思う。
あの子は、賢い子だから…そのちからが己自身に与えられた意味を、ずっと」
「いまあの子がしたことも、その末のことなんだろうかね。
ずいぶん時間がかかったような気もするが」
諏訪子のセリフを受けて、スマキのまま横に転がったかごめが悪態を吐く。
「はっ、んな瞬時に何でもかんでも結論を出しちまえるシロモノにできるとは、両生類らしいせっかちさじゃねえか。
良いも悪いもリモコン次第っていう名台詞を知らにぃのか」
「相変わらず減らず口も治らんなそんな祟られてえか。
…いや…確かにオメエが言う通り、真面目な話私にもすぐにどころか、永劫、結論なんか出せねえかもな。
『祀られること』の意味も、未だに私は考えることがある…ましてや何を以て『神』なんていうんだろうな。
てゐが自分をカミサマ扱いされたがらないのも、わかる気するよ」
「あの『世界蛇』も、言うなれば人の手が作り出してしまった『神の紛い物』なんだろうな。
しかしどーすっかねあれ、多分あれいいとこ立下げして原点復帰しただけだぞありゃあ」
眉根を寄せ、大仰に溜息を吐くヤマメ。
「原点復帰に持ってくだけでもこの有様だ。
第二、第三の『ブロート』が出てくる前に、後腐れなくぶっ壊しちまう算段立てるってもんだな」
「…正気か?
下手こけばお前、今度はつぐみにただ制裁食らうだけじゃ済まねえぞ」
どのようにしたのか、ナメクジめいた動きでスマキから抜け出したかごめが、そのまま胡坐を組んで溜息をつく。
「わーってるよ。
久々にタルシスの酒も恋しくなってきたころだし、資料集めついでだ」
…
…
かごめ「というわけで表は決着、いやー何とかここまでは形になりましたな」
諏訪子「ほんとそれな。
気づいたらつぐみ達がアーモロードでなんやかんやしてるし。
しかもこれだって当初の予定とだいぶ違うだろ」
静葉「しかもこの時点でまだアルカディアの方はケッチャコついてないですがその辺は」
かごめ「あれもう星喰の解説だけしてこっちに続く!!みたいなのでもいいんじゃねえかって割とマジで思ってる…丁度役者はもう揃ってるし、あとはどのタイミングでケロ様登場させるか」
諏訪子「…あっそういえば私巻き添え喰ってたことになってんじゃん(しろめ
でさ、その星喰なんだけど攻略はすんの?」
かごめ「どーすっかねーそれも。
ただ今回のリマスターで、昔のストーリーテリング上完全放置してた禍神、つぐみで狩る事でほぼ決定してるし」
諏訪子「…待てお前何を言ってる?」
紫「正確にはつぐみとオランピアの二人ね。
逆に言うと、それ以外の頭数がいるとまた別の算段立てなきゃいけなくなるし」
てゐ「禍神の低人数攻略だの低レベル攻略だのは普通に手法確立してっからな。
むしろあのドマゾ竜の方がしんどい気がするんだけど」
諏訪子「……そういやもう十数年前のシリーズだもんなそりゃそうだよな(しろめ
だけどまさか道中も二人攻略とかはないよな」
かごめ「そんなマゾプレイいきなりしねえよ流石に、どっかの遊牧民じゃあるまいし。
ただストーリー上今回は版権枠抜きで行きたいんですよというか現状そうなってるな」
諏訪子「ゑー?」
かごめ「あと難易度変更が使えるから初回撃破以降はどのボスやFOEもピクニックでサクサク狩ることにしてる。
あー…でも六層のヤドリギだけ召喚めんどくさいんだよな、あいつだけどうすっかな。
SSQ2のアノマロカリスも最初からピクニック以外で狩った記憶ないし、同じ扱いで捨て置いててもいいんだけど」
てゐ「だがⅢって経験値稼ぎ手段なんかあったか?
パサラン狩りが有名だがあれ結構準備とか専用編成とかめんどくさいけど、する?」
かごめ「いやーキツいっス(真顔
そもそも探すの面倒だし…時間はかかるの一緒だけどピクニックでヤドリギ乱入祭りか、同じくピクニックで大王ペンギンをキリカゼ師匠に片付けてもらうかかね。
スキュレー道場健在らしいけどいちいちゲーム再起動する手間がダリィし」
諏訪子「あーやっぱ残ってるんだあれ…まあサガコレクションでもポケモン赤緑でも普通にバグ健在だったしなあ」
てゐ「しつこいようだけど世界樹リマスターはⅡのフォースバグとか死地バグとか不利なバグだけ軒並み消して、リニューバグとかふざけたバグは全部残ってる。
乱数固定使えば単騎で禍神狩れたりもできるんじゃね(ハナホジ」
諏訪子「いやまあ知ってるけどさ。
てかアンドロ使うってことはリニューバグ全く関係ねえじゃん、どうせボットぶん投げるんだろ確かあれ無属性攻撃もできるし」
静葉「4体分身多元抜刀とどっちが効率的かわかりにくいところね」
かごめ「とりま脱線しすぎたしちょいと戻すぞ。
エンディングの後、ロードし直すことで引継ぎして最初から始めることだの、クリアデータを再開するとマギニア司令部に赴いてミッション報告と、クリア後のご祝儀である『マギニアの旗印』を受け取り、いつもの第六階層が解禁される。
まあ今回はあれだ…第六なんてもんじゃねえな、裏ダンジョンは第十四迷宮か」
てゐ「十四とかマジであたおか(キリッ
…まあそれどころかプラスで小迷宮二個も解禁ですよもうおなかいっぱいですよぶっちゃけ」
諏訪子「一応三竜フラグも解禁だがこいつはどうすんだ?
ゲーム上ではクリア後小迷宮も三竜も終わってるけどやんの?」
かごめ「まあ時間があれば(震え声
氷竜についてはヒポグリフとセットで考えてたし最初にやるとすりゃコイツかなあ。
でも討伐順はSSQ2とかと一緒で金、氷、赤の順だけど」
諏訪子「まーた赤が最強()なんすか。
実際搦手が咆哮ぐらいなもんでえぐいぐらいに力押しだから、耐えられるのがどうしても前提になってくるんだけど」
かごめ「因みに今回もSSQ2で不評だったドラゴンハートシステム搭載してますよこのクソ共(キリッ」
諏訪子「∑( ̄□ ̄;)またかよめんどくせえな!!」
紫「SSQ2と違って単純に手数が増えるわけじゃないけど…SSQ2よりははるかに面倒になってるわね。
赤が一番わかりやすくていいわ、SSQ2と一緒だし」
諏訪子「残りの二つ聞くのヤなんだけど」
かごめ「ここでは触れんよここでは。
いずれするかもかも知れない解説の時たっぷり聞かせてやる…エチケット袋の準備はしとくといい」
諏訪子「私絶対参加しねーからなちくしょおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
静葉「無駄だと思うけどね」
かごめ「とりまキリいいところまでは何とかしたかったから表クリアまでってことだけは考えてたけど、この時点でSSQ2より長くなってるしねえ。
そしてこっちどうにかするぐらいなら、しつこいようだけど禍神を触手討伐抜きで狩る手法を知ったんでそっちでなんかやりたいなぁみたいな。
実際SQ3ログって尻切れトンボになってるわけだし」
諏訪子「うげぇ…そこは私も知ってたけどそっちこそ正直放置しておきてえ案件だなあ」
てゐ「あんたからそんな発言飛び出してくるとか世も末だなァ。
私は降りるぞ、ここ数作ずっと出ずっぱりでいい加減に疲れた(プヒー」
紫「私もパース」
かごめ「んまーいいんじゃないか、当初からつぐみに押し付けることにはしてたんだし。
だがケロ様、あんたは多分逃げられんからそのつもりで」
諏訪子「なんでやねん!!!
はっ…待てよそういえばSQ3って早苗が一時期絡んでたような」
かごめ「思いっきりヤグルシぶん回せるよ!やったねケロちゃん!!(しろめ」
諏訪子「おい、ばかやめろ。
そのログは早くも終了するべきそうするべき」
…
…
レムリアの戦いは終わりを告げた。
『狐尾』を筆頭とする、最終決戦に関わった多くの冒険者たちは勿論、マギニアの民、そして海の民も皆がこの喜びを分かち合い、大きな祝宴が開かれた。
帰還したペルセフォネは間を置かずマギニアの文武百官を集め、今後も探索事業を継続しつつ、今回の事件を含め詳細な記録を残すことを並行して進めるようにと令を下した。
マギニア、そして海の一族両女王の会見も開かれ、過去の蟠りもすべて清算されたことも…そして、この日を以て盟約を結び、互いに手を取り合って双方の発展のため協力し合うという声明が出され、レムリアの調査も両者合同の元で行われることも発表された。
そして…気の遠くなるような、あまりに長い長い旅路を終え…つぐみたちは、帰ってきた。
学園は既に新学期に入っていて、これまでの旅の疲れをいやす暇もなく、めいめい慌ただしく元の生活に戻り始め…そして、つぐみも、来年高等部へ上がってくる『候補生』と再会し、生活を共にするようになった。
戻ってくればあっという間の出来事であった。
決戦の翌日、すぐに元の世界へ戻るかどうか多少の議論めいたものはあったものの、既に帰還の段取りはできていたこともあり、僅差の多数決で翌々日の帰還が決定すると…この件を以て『狐尾』レムリア探索活動の大部分を休止するという申し入れがかごめ経由で申請され、程なく許可が下りた。
それに伴い、つぐみ達学生組の事情も鑑みた上で、彼女らの休日に合わせその業績を讃える式典を執り行いたい、という司令部側からの申し入れがあると、誰がどのポジションで立つかなどもめにもめたものの全員が参加、マギニアの民草が見守る中で『旗印』を授与された彼女たちが掲げて示すと、歓喜と祝福の声が町中にあふれた。
また、かごめによるつぐみへの『依頼』も、『世界蛇』での戦いを以て完遂されたことが承認され、小遣いというには明らかに度を超している莫大な報酬を得ることとなったのだが…こちらの使い道に関しては、当面保留になりそうである。
その後も…マギニアに限らず『世界樹』のある街からは、時折、かごめを介して厄介事の解決依頼が舞い込むこともあり、その都度、誰かしらが徒党を組んではそれに挑みに行くこともある。
それと共に、取り巻く世界も少しずつ変わる。
最初、遠慮がちな様子だったレティが、十数年前同様に『シャノワール』のカウンターの隅を定位置にするまで、時間はかからなかった。
かごめも、学園理事の職務を正式に茜へ委譲した他、自分の持っていた多くの職務を後任とした者に押し付け、『魔法門』からタルシスの『殿』を行き来するようになった。
情報部へ顔の利くアンナの口利きもあり、凛がイギリス留学へ旅だったりもした。
菫子がメモ帳を持ち歩くのをやめたのと入れ替わりに、明らかに人ならざる非常勤の講師が学園に一人増えたが、それが学園理事長の茜と飲み屋街を梯子するようになるのも見慣れた光景となっていた。
不在をでっち上げた『充電期間』が継続しているのをいいことに、まり花達が『ここなつ』の二人まで唆して竜を討伐しに行ったとかで、連帯責任で凛以外の全員が紗苗から油を搾られていたりもした。
葉菜達と共に明夜を巻き込んで、竜を討ったるりは…思うところあってかいまだレムリアにとどまっており、帰ってくる気配もない。
とりとめのない小さな出来事の連続。
そんな日常を送りながらも、どこかで少しずつ大きなうねりを起こしているのを、つぐみは感じ取っていた。
レムリアを発つときに聞いた…少女のような者の声も、ずっとずっとその心に引っかかっている。
『
いったい、何を『封じている』というのか。
いや、後者は既に、つぐみも答えを知っている。
『世界蛇』は、動きを止めているだけに過ぎない。
このまま放置しておいても、後世に伝えられる伝承は孰れ捩子曲がり、変容し、不明瞭なものと化していくのだろう。
かつてのマギニアが伝えたはずの『世界蛇』の伝承のように。
隠されたものが強大で、脅威であるほど、その伝承は肝心な部分を秘匿され、朧にされていく。
カレドニアもそうだった。
そのために、百年越しの悲劇が、一人の少女を柵の中に閉ざそうとしたことを、つぐみは知っている。
そして、『ブロート』。
兄弟のうち、自身を贄として『世界蛇』へ与えた呪言師の兄は、『世界蛇』再封印の際にその意識も散逸し…死亡したと考えて差し支えないだろう。
仮に『世界蛇』から分離できたとしても…『世界蛇』復活の時点で、『羅喉の呪言』の反動によりその生命活動を維持できない状態にあったはずだ。
その妄執が、生死の概念を超越した状態でこの世界に存在を留め置いていたのだから。
彼の行動が、単純な善悪の二元をもって断ずることが不可能であることは、つぐみにも解っていた。
カレドニアの『印の娘』アリアンナや、百年前の儀式で不完全な『騎士』となり生を永らえていたベルトランのように…形は違えど、愚かな権力者の愚かな行いの果てに、大切なものをいくつも失っただろう…その嘆きと憤怒が、最悪のベクトルへ目的を傾けさせた…被害者の一人だ。
先日、無縁塚を訪れていた四季映姫に話した時も…あくまで私見に過ぎぬ、と前置きし…その魂を白か黒かで断ずるのは難しいだろう、と言っていた。
自分たちが彼の暴威を留めたことも含めて。
-あなたのその真面目さは、あの八雲紫や博麗の巫女にも爪を煎じて飲ませてやりたいほどです。
心を壊してしまうまで、無理に思い悩めとは言いません…ですが、己の中の正義に照らし、私のみならず他の何れの者が解を導けぬその問いを、貴女が生涯考え続けること。
私は、それが貴女にできる最大の善行であり…そして、今も続けていることこそ、尊いことだと思いますよ-
穏やかに微笑む、幻想の世界を司る閻魔の表情が、脳裏を過る。
その表情が、見慣れた母親のものに変わり、別の記憶を想起させる。
-掛け違えたボタンは、また掛け直せばいい。
間違った道へ行ったと思ったら、引き返したっていいんだ-
エトリアの最深部で、暴走する世界樹に飲まれた針妙丸に告げたかごめの言葉。
『ブロート』には、その言葉は届かなかったのだろうか。
心の澱みの中に浮かんでくる、レムリアに残る、と踵を返したるり。
-『ブロート』は…私と剣を交えた彼は、きっと生きているわ。
だから、もう一度確かめなきゃならない。
私がここに残る理由は、それで十分だわ-
剣士の弟は、るりが目を覚ました時には、その場にはいなかった。
遺跡の奥へ点々と続く、零れた血の跡だけを残して。
剣士ブロートとるり…何れもその行方は杳として知れず。
…
「忘れたくはないのですよ。
例え、それが万人の記憶の中から消え去ろうとしても。
それもまた、私にとっては捨てることの能わぬ使命」
背後から声がした。
どこか明るく、甲高くも聞こえる…だが、深い愁いを帯びた声。
振り返った先に少女が立っている。
学園の者ではないが、知らない顔ではない。
かつての主が身に付けていたという『刃の翼』を持つ妖精。
「あなたなら知っているでしょう、『
力を、貸して頂きたい、藤野つぐみ。
幻想郷の妖精オランピアとしてではなく…深王ザイフリート第一の臣下たる私として」
そこには…普段のこの少女にはない、鬼気迫る決意の表情があった。
つぐみも知っている。
『世界樹』の世界に最初に飛び込んだリリカ達が、その存在を認識しつつも…解決に至らなかった一つの事案。
『次元渡りの一族』と共にこの世界へやってきた世界樹の最初の一本が、かの世界にいた『星喰』に類する厄災を封じていることを。
目の前の少女が、その撃滅という目的をもって生まれた存在の一つであることを。
「断れば?」
二つの表情が、研ぎ澄まされた刃のように交わる。
しばしの沈黙の後、妖精は、困ったような表情で肩を竦める。
「なんとも、この世界はいけませんね…そこまで考えてませんでした。
ですが、それならそれで構いません。
何れどのような卑劣な手段を用いてでも、必ず」
「ちがうよ、そうじゃない」
つぐみは頭を振る。
理解できてしまったのだ。
彼女が…『彼』と、同じであることに。
かつてエトリアの『世界樹の核』を滅ぼすために用意された『超兵器』…それを起動するためだけに存在した、
「マイクにとってのリッキィ…あなたにとってはきっと深王、ザイフリートさんなんじゃないかと思う。
でも、あなたはもう、ザイフリートさんを巻き込みたくないと思ってる。
…それじゃ、目的を達することができても、きっとあなたは帰ってこれない」
「私は…それでもかまわないと思っています。
どうせ、私はこの世界の者では」
「それをお母さんが聞いたら、目的に移る前に八つ裂きにされるよ、オランピア。
承知の上で私の所に来たというなら…わたしも舐められたもんだね。
ま…確かに元々お腹弱いのに、今年の事件でそれが無駄に加速して、てーさんの薬がないとまともに日常生活も送れない私が言っても、とは思うけど」
ふたりの距離は、手の届くほどまで縮まる。
もし、目の前で嘆き悲しむ者がいるなら。
それが、心の奥底で、助けを求める声を発しているのなら。
「私が、貴女をサポートする。
その条件を飲めるなら、力になるよ」
彼女の信じる正義、その真実を貫くために。
彼女たちが海都へと足を踏み入れるのは、その一か月後のこと。
海都世界樹を巡る最後の戦いの幕が、静かに上がろうとしていた。
…
…
かごめ「というわけでとりあえずクロスの話はここで一区切りとして、続きはSQ3リマスターの方でお楽しみいただければと思います。
とりまサイト移転のどさくさで3のログもリファインしてるから、そこで話することにはなんだろうけど」
諏訪子「んでしつけーようだが5のログもどうすんだ、放置か?」
かごめ「まとまったらそっちもどうにかしたいんで気長に待ってもらえれば(震え声」
てゐ「そんなんばっかりか、しまらんなあ今回も」
紫「私達はきっとそんな程度でちょうどいいのよ。
というわけで、続きはもしかしたらやるかも知れないしやらないかも知れないしだけど」
一同「ノシ」