-新・狐尾幻想樹海紀行-
その7 「帰ってきた古明地こいしのドキドキ樹海探索ラウンド2」
♪BGM 「夜が降りてくる」(緋想天)♪
藍「( ̄□ ̄;)あれっ前のログあんな終わり方したのに今度はこんなんですか!?」
諏訪子「はいはい馬鹿話馬鹿話(呆れ顔
実は第二階層辺りでこいしの野郎がちらっと言ってた話も未消化だったしね。
とりあえずケルヌンさん撃破後どころかもっと後で受注できるクエストも混ざってるがまあ、気にしないでやってくれ」
藍「そ、それでいいのか…というか、実は本編がサクサク進み過ぎてて余りネタがないとかそんなオチはないだろうな?」
諏訪子「ところがなあ、基本が「ストーリークリア後」という前提で話作ってるからね、真面目にその通りかもしれないね。
だからかごめの馬鹿が何かやりだしたわけだ。
それに、居なくなる前にちらっと言ってやがったんだ。あたしは混じらないけど、メンバーチェンジはするか、って」
藍「えー('A`)」
諏訪子「だからもう解説は今回私達でやれってことなんじゃねえのかな。
静葉とレティは穣子を阻止する系の仕事で忙しいみたいだし」
藍「この場合もうひとり野放しにできない奴っていない?
ほら、最初にチがつくあいつ」
諏訪子「そうだなあルーミアとリリカが絡んでる時点で大分危険な匂いはするよなあ。
……むしろその件に関しては既に手遅れな気がしなくも……」
藍「そんな調子で本当に大丈夫なの…?」
Mission.5 「こいしちゃん式樹海エスコート」
女将「この依頼なんだけどね、此間あなた達が樹海へエスコートしてくれたシリカ紹介の子がね、密林にある癒しの泉ってところに行きたいからボディガードが必要だっていうのよ」
リリカ「えっ、またなんですか」
こいし「ふーんまたあの子かあ(ゲスい顔」
リリカ「おい馬鹿その顔止めろ、しばくわよ。
けど確か癒しの泉って、この間私達が復活させてきたところだったような…近道も開いてあるし問題ないかな、そこの無意識以外は」
女将「もしよかったらだけど、あの辺りに行くならもう一件ほどついでに頼まれてくれると嬉しいのよね。
うちの常連さんが、あの辺りでコインを落としたらしいのよ。
通貨とは関係ない記念品の古びたコインだけど、彼が重要な行き先を決めるとき、必ずコインを投げて行方を占うっていう験担ぎの品らしくって…それを、その近くに棲んでるらしい火喰い鳥から逃げる時に落としちゃったらしいのよ。
見つかるかどうかはわからないけどねえ…小さなものだし」
リリカ「はあ…別にかまいませんけど」
〜原始ノ大密林〜
シリカ「ひゃああ…あっついところだねえ(´Д`)」
こいし「えーそんな薄着なのに暑いとかおかしいよー。
というか暑ければ脱げばぁ?(ゲス顔」
シリカ「……いや、ボクもうこの時点でかなり薄着なの自覚してるんだけどさ。
これ以上はあんまり意味ないと思うんだけど…ん? この場合スケベって当てはまるのかな…」
こいし「女の子同士だから別にいいと思うんだ(迫真」
シリカ「( ̄□ ̄;)!!??」
リリカ「あーその…なんかごめん今黙らせるから(こいしにウメボシ」
こいし「( ̄□ ̄;)ひぎゃあああああ軽いアメリカンジョークだからやめてやめてやめて!!!」
アンナ「のん気なものねー」
ポエット「アンナさんそんな恰好で暑くないんですか(げんなり」
アンナ「私の得意属性を忘れてもらっちゃあ困るわね(ドヤッ
泉と言えば、この辺に水源があると思ったけど、そこじゃダメなのかしら」
シリカ「水源があるの?」
アンナ「ええ。
此間、そこでウメボシされてる奴の所為でバケモノみたいなカニと戦う羽目になった場所だけど」
シリカ「カニかー。
あいつらの甲羅っていい盾の材料になるんだよねー(ちらっ」
アンナ「…戦わないからね。
けど、泉になんて行って何がしたいの?
昔、エトリアには腕のいい調剤師の居る施薬院があった気がするんだけど…」
シリカ「その施薬院がなくなって、ボクん所で薬の取り扱いも始めたからねー…あ、勿論職人さんとは別に、調剤師さんもいるからそこは安心していいよ。
その調剤師さんに、この泉の水を分析してもらって、新しい薬を作ってもらおうと思ってさ。ハマオの材料も取りに行くの大変だし、なるべくなら身近にあるものでもっといいものが作れないかと思ってねー」
ポエット「調剤師…そういえば、酒場にいつもそんな人がいたようないなかったような…」
シリカ「っても、それでも大変なモノは大変なんだよねえ。
こうも暑いと干からびちゃうよ(´Д`)」
こいし「それだったらこの通気性抜群のスク水をってぎゃあああああああ!!( ̄□ ̄;)」
リリカ「(こいしにウメボシ)あーはいはいごめんなさいねーすぐ黙らせるからー(#^ω^)」
シリカ「…………ごめんこの子なんなんかな(しろめ」
アンナ「あーその…なんかもう本当にごめんなさい><」
そんなこんなで一行は紆余曲折ありながら泉へとたどり着いたわけだが?
シリカ「ほへー、これが回復の泉かー。
それじゃあちょっとこれを…」
こいし「きゃードロボー!!><」
シリカ「( ̄□ ̄;)ゑっ」
こいし「この泉は私達が復活させたんだぞー!
どうしてもって言うならこのスク水を着て水浴びしてる写真を撮らs」
リリカ「やかましい貴様黙ってろおおおおおおおおおおおおお!!!ヽ( °Д °)ノ」
リリカは全身全霊のスピアインボルブの構え!!
無意識妖怪をズタズタにした!!
こいし「( ̄□ ̄;)うわらば!!」
シリカ「なにこのこたちこわい(ガクガクブルブル」
アンナ「すいませんマジすいませんこいつらこうなんで><」
そんなこんなで泉の水を回収した一行はさらに森の奥へと歩いていくわけだが?
シリカ「ねえ、ボクの用事は終わったんだけど、こんな奥まで来て何するの?」
リリカ「女将さんからもうひとつついでに頼まれた用事があってねー。
この辺で鳥におっかけられた冒険者の落とし物を探すのよ」
シリカ「鳥…そういえばこの辺、ちょっと変わった火喰い鳥が居るって聞いた事があるよ。
とんでもなく縄張り意識の強い奴で、しかも普通の火喰い鳥のとは違う火の息を吐いてくるのがいるらしいんだ」
リリカ「違うタイプの炎の息? どういうことなの?」
シリカ「ボクもそんな詳しい話は知らないよ。
ただ、普通の火喰い鳥の息って、確かに威力はシャレになってないけどそれでも火傷が怖いくらいなんだ。
その火喰い鳥の息は、火傷ばっかりじゃなくて息苦しくなって眩暈を起こす事もあるって」
ポエット「眩暈…頭封じの状態になるってことでしょうか…?」
アンナ「周囲の酸素を一気に消費させられて酸欠状態になる、ということかしらね。
だとしたらかなり厄介ね、封じ効果つきの恐らくは全体攻撃は正直勘弁していただきたいところだけど」
…
…
諏訪子「途中だけど「冒険者の冒険観察2」と「幸運のコイン」だな。
因みに火喰い鳥絡みではもうひとつ「ジャクソン料理店の奇妙な依頼」という依頼もある。こいつは、火喰い鳥のレアドロップ赤玉石を納品する依頼だな」
藍「たしかヒクイドリってダチョウ目ヒクイドリ科でオセアニアに分布してるアレだよな?
飲み込んだモノが食道を通るスピードが余りにも早いから、発火した石炭でも平然と飲みこんでしまうってのが名前の由来らしいけど」
諏訪子「ついでにいえば絶滅危惧種だけどそんな事はこの際どうでもよろしい(きっぱり
勿論、原始ノ大密林じゃあイヤってほど出てきて火属性全体攻撃をガンガンばら撒いてくる面倒臭い連中だぞ」
藍「それじゃあむしろ火吐き鳥じゃないか、というかそいつなんてバードンさん」
諏訪子「そういうどうでもいいツッコミもよろしい。確かにバードンさんに似てるってのは私も思ったが。
後者のイベントでは、回復泉の近くにあるポイントで、聞きなれない鳥の声を聞いた場所に落ちているコインを回収すれば終わりだが…その時、このクエストでしか遭遇しない「怒りの火喰い鳥」と戦うことになる。
こいつは通常の火喰い鳥に比べてHPが約5倍の1564あって、なおかつ火の息じゃなくて火炎の息を使って来る。この火炎の息は第六層FOE魔界の武王が使って来るものと一緒で、全体炎属性ダメージに加えて腕縛りを追加してくる。
ポエットの発言はミスリードだな、どうでもいいことだけど」
藍「……結構前半の階層なのに、イベントボスで全体攻撃プラス異常追加ってなんなのこのゲーム一体(しろめ」
諏訪子「それが世界樹だよ(迫真
もっともボスに関しては、メタ張ってそれ用にカスタマイズするという荒技を駆使すれば案外なんとかなったりする。
スキルのカスタマイズが自由にできる世界樹ならではの攻略手法だな」
藍「というより、結構それをうまく駆使しないと二進も三進もいかなくなる気がするなあ。
その為に「休養」があるんだね」
諏訪子「もっとも休養に関しては昔はもっとペナルティでかかったんだけどな。
SQ3で大分緩和されて5レベルダウン、SQ4と新でさらに緩和されて2レベルダウンだから、その分「休養」を駆使して進めって事になるんだろうな」
藍「2以前ってどうだったの?」
諏訪子「10レベル落ちる」
藍「それもうメタ張るならそれ専門のキャラ作れってレベル?」
諏訪子「だなぁ。
その意味ではやっぱり全体的には難易度下がってるわな。
…とまあ大分脱線したが、怒りの火喰い鳥は通常の火喰い鳥と違って、図鑑には登録されるけどドロップアイテムは一切落とさないし、同じ周回での再戦も不可能。
氷属性に弱いから、一気に片付けてしまうといいな。第三階層前半も氷属性技があると非常に楽に進むから、ここいらで氷の術式、氷劇の序曲、アイスショットにSP多めに振っておくのもいいだろう」
諏訪子「余談だが今回クエストの会話選択肢には、結構みょうちくりんなモノが混ざっている。
例えば女将が出すクエスト「金鹿の酒場の特別依頼1」は、女将が姪っ子に香水を作ってやりたいから、ネクタルの材料にもなる「小さい花」を3つ集めて来いってクエストなんだが…これの報告時の選択肢の一番下に「(女将の姪っ子を)紹介してください」っていう選択肢がある。
まあ、軽くあしらわれちまうんだが…」
藍「なんというか、下心丸だしじゃないか」
諏訪子「お前の式神に対する態度に比べれば可愛いもんだと思うがな。
まあ、こういう選択肢があると言う事は、リメイク前からその余りの薄着っぷりに定評があったシリカのクエスト内でも毎回の如く存在する。勿論ここのワンシーンではな」
諏訪子「…こんな事を言われちまうわけだ。
因みにこれ、野中藍のボイス付きという力の入れようだ。無駄に労力を割き過ぎだな(キリッ」
藍「野中さんというと佐倉杏子の中の人か」
諏訪子「直近で解りやすい例を出すとそうだな。
因みにセクハラ選択肢を選び続けてもそれ以降の通常会話で何か変わるってことはない。
あったらそれはそれで面白かったんだが…あと何気にストーリーパートだといかにもアーサー苛めを示唆するような選択肢がいくつか出てくる。「アーサーの癖に生意気だ」なんて選択肢もあったな」
藍「それなんてジャイアン?」
諏訪子「あと確かフレドリカやラクーナに対するセクハラ選択肢もあった気がするんだよな。
一応主人公はクールで無口って言う設定があるらしいんだが…こういう選択肢を選びまくってただのムッツリスケベ野郎にしても構わない(キリッ」
藍「それをそんな口調で言われてもなあ^^;」
…
…
女将「お疲れ様あなた達…というか、商店のお嬢ちゃんもずいぶんげんなりした表情で帰っていったけど、いったい何があったの?」
リリカ「あー…話せば長くなるんですが…(遠い目」
こいし「(スマキにされてぐったりしている)かゆ…うま…(´Д`)」
アンナ「あの蒸し風呂みたいな密林でこれはかなり効くわよねえ…。
あれだけあの子にセクハラ発言とセクハラを繰り返せば自業自得って気がするけど…けど、この子は懲りないんでしょうね、経験則上」
ポエット「(頭を抱えている)」
Misson.6 「植物天国」
〜金鹿の酒場〜
その日リリカ達が酒場を訪ねると、珍しい人物がカウンターに腰掛け、女将と何か話をしている。
彼は用件を伝え終えたようで、そのままリリカ達には気付かず立ち去っていく…。
リリカ「あれっ…あの人確か」
ポエット「オレルスさんですね、執政院の」
女将「あら、あなた達丁度いいところに来たわね。
どう? イキのいい入りたての依頼があるんだけど…」
リリカ「いやその、「新鮮なネタ入りました」みたいに言われても…」
ルーミア「面白そうな依頼を見つけたのかー^^(依頼書ひらひら」
リリカ「あんたも余計なモン拾ってくるんじゃないっての。
…まあ、話だけは聞きますよ話だけは」
女将「んもう、そんなあからさまに嫌そうな顔しなくたっていいじゃない。
…でも、なるべくなら実力のあるギルドに受けてもらいたい依頼なのは確かよ。執政院がこうやって、冒険者を広く募って依頼を出してくる事は珍しいの。
ミッションにするほどじゃないけど、まあ厄介事には変わらないからね」
リリカ「へえ…タルシス辺境伯は結構何でもかんでも依頼出してくるんだけどなあ」
女将「あの辺境伯はその辺り変わってると言うか、街と冒険者のつながりを大事にしたいスタンスのようだからね。
その点でいえばうちの執政院は文字通りのお役所というか、メンツみたいなのを大事にするところはあるわね。
内容は魔物討伐…最近、樹上に潜んで通りかかる冒険者に奇襲する植物の魔物がいるらしいんだけど、なかなか用心深い奴のようだし、捜索して討伐だから結構面倒な依頼ではあるわ」
リリカ「(ルーミアの持ってる紙を取り上げて指さし)ついでに聞きますけどこれは?」
女将「ああ…それも同じ、大密林最下層絡みの依頼ね。
なんでも、最近そこへ資源採集に出掛けたレンジャーの子達が、獣道の行き止まり辺りで変わった植物の魔物を見たって言うのよ。
それの正体を確かめて欲しいらしいわ。
執政院のそれとはまた別種の魔物のようなんだけど…」
リリカ「ふーん…二種類の植物の魔物…ねえ」
〜原始ノ大密林 B10F〜
ポエット「…というわけでカカッとやって来てはみたのですが」
兵士「おおっ、あなた達は「狐尾」の…もしや、あなた方も人喰い植物の討伐を!?」
リリカ「ええまあ一応。
というか、この階層意味解らない植物結構いっぱいいますよね?
噛みつき草とか危険な花びらとかヤシの木オバケとか…」
兵士「いやまあ確かにそいつらもわりかしsYレなってないですが…兎に角ですね、この密林最下層では最近、手当たり次第に人を襲う植物の魔物が出没して困ってるんですよ。
犠牲者も少なからず出ていますが、なにしろ神出鬼没な奴で一体何処に潜んでいるのかも皆目見当がつかずで…こちらが奇襲を見破るとそそくさと姿を消してしまうという非常に狡猾な所もあるようです」
リリカ「神出鬼没で手当たり次第ねえ…(じろっ」
こいし「( ̄□ ̄;)そこでどうして私の方を向くの!!!」
アンナ「…出没場所の特定はできていない、という事だったら面倒ね。
このフロア、結構広いじゃない」
兵士「ええ…ですが、比較的多発する地帯は押さえられてはいるんですよ。
地図でいえばここと、ここと、あとこちら(と、地図を指さす」
ルーミア「小部屋相当の区画ばかりだね」
ポエット「区画…そういえば、以前ここに猛毒アゲハ退治に来たとき、こいしさんが木の上に植物の魔物を見た、って言った事がありましたよね。
リリカさん全く信用してなかったけど^^;」
アンナ「そういえば…確か、今示したもらったうちの一番、森の奥の小部屋よね」
こいし「ほらみろー私の言った通りじゃないかーあそこに本当にたんだってばあああああああ!!><」
リリカ「……確かにこいしがこの中では一番気配に敏感よね。
じゃあ、ひょっとするとそいつが」
ポエット「でも、今の兵士さんの話を聞く限りでは、その魔物はこいしさんが気付いた事を察知して逃げてしまったって事ですよね。
そうなれば、発見は出来ても退治は非常に難しい気はします」
兵士「それなのですが…植物系の魔物に劇的な行動阻害効果があるという香木から生成された香がありまして。
こちらをこの区画で使っていただければ、潜んでいるそいつにも効果があると思われますが…」
【システムウインドウ】 HEISHIさんから「アヤしいピンクのお香」を3つ受け取りました
リリカ「えっこんなモノが用意されていながら今までも不発で終わってるんですか!?」
兵士「お、お恥ずかしい限りで…。
一度それらしき奴がかかったのですが、寸でのところで取り逃がしてしまったのです…それどころか、返り討ちに遭って入院生活を余儀なくされている者もいる有様で」
ポエット「…そうすると、思ったよりも強力な魔物かも知れませんね。
動きに自由を喪っても、それでも反撃で向かってこれるだけの生命力と攻撃力を兼ね備えてる」
リリカ「こいし並みに面倒くさい奴だと分かれば十分よ」
こいし「うぐぅ(´・ω・`)」
〜少女捜索中〜
リリカ「おっかしいわねえ…さっきから噛みつき草とヤシの木はやたら見るんだけど」
ポエット「…そうですねえ。
香も使い果たしてしまった挙句、どの部屋でも結局成果はあがらなかったですし…どうしましょうか?」
リリカ「むー…仕方ないわね。
さっきの兵士のところに戻りましょうか、香をまだ持ってるかもしれないし、分けてもらいましょう」
ルーミア「ちょっと待って、そういえばこの先にちょっと袋小路になってる場所があったよね。
もうひとつの依頼の魔物がいるかもしれないから探してきていい?」
リリカ「…あー、そういえばそんなのもあったっけ。
別にいいわ、いい加減疲れたし私一休みしてる」
アンナ「私も」
こいし「じゃあ私ルーミアと行くー♪」
ポエット「私も一息つきたいですねー。
二人とも、気をつけてね」
ルーミア達が嬉々として袋小路の中へと入っていく…。
リリカ「…本当、のん気な連中ねえ」
ポエット「まあまあ、いいじゃないですか。
(小声で)リリカさん、気づいてますか…木の上」
リリカはポエットの声に感づくものがあったのか、顔を上げずに気配を注意深く探る。
樹上に、血なまぐさい匂いと濃密な草の匂いが綯交ぜになったようないやな臭気を放つ何かの存在を感じ取る…!
アンナも静かに魔力を溜め始めている。
アンナ「…随分舐めた真似をしてくれる奴ね。
私達の人数が少なくなる瞬間を…いえ、ロングレンジの速い火力を持つルーミアと強力な近接火力を持つこいしちゃん、両方が居なくなるチャンスを狙ってたみたいね。
…私達三人なら手に負えると思ってたのかしら」
アンナが殺気を孕んだ瞳をその魔物に向ける。
魔物はその時になってようやく悟ったのだろう。
「先に狙うべきターゲットを誤った」というその事実を。
そして、既に自分が逃げられない事を。
アンナの足元を中心に、例の香の匂いを放つ魔力の光が方陣となり、結界を形成する。
「……あなたにその概念があるなら、祈りなさい。
ただし…いくら祈ろうが、行く先は地獄以外にないわ」
…
こいし「たっだいまー♪」
ルーミア「みてみてー、なんか変なの捕まえ…あれ?」
嬉々として二人が戻ってくる頃には、アワレな植物の魔物はアンナの放った氷の魔法で氷漬けにされた後だった。
それどころではなく…とばっちりを受けたらしい数種類の植物の魔物がことごとく氷のオブジェと化している。
リリカ「随分遅かったじゃない。
こっちはもうカタがついたわよ…もっとも、私とポエットなんもしてないけど」
こいし「( ̄□ ̄;)うっそーん!?
最初にそいつのこと見つけたのにその第一発見者様を差し置いて止め刺しやがるとか汚いなさすが忍者きたn」
その時こいしの鼻先を何かがかすめ、一拍遅れて頬から血がたらりとこぼれる…。
リリカが横目で窺うと怖い目をしたアンナがこちらに何か…恐らくは氷の矢を飛ばしてきたことが予想できた。
リリカ「……本気で命が惜しかったら今のアンナさんを刺激しないことね。
どんなスイッチが入ったか知らないけど、なんかすっごくキレてるから」
こいし「お、おういえぼす(滝汗」
ポエット「とと、とりあえずはそっちの依頼も果たされたようですしー…帰りましょうか^^;」
…
…
諏訪子「…というわけで、クエスト「執政院からの依頼1」と、「樹海を歩く不思議」だな。
だが実は後者、受領できる時期がもっと遅い。前者は第三階層入ってすぐに受領できるが、後者の受領はB13Fに到達してからなんだ」
藍「同じB10Fが舞台になるクエストなのに随分違うんだな。
まあ、後者は結構簡単なところを考えると、それだけ人が入り込みやすくなって平和な依頼内容が増えた、と受け取れなくもないが」
諏訪子「でも後者は後者で地味に難易度高いんだ。
因みに討伐する対象のモンスターは「世界樹の小葉」。HP100しかない挙句に攻撃らしい攻撃はしてこない、しかもドロップアイテムが結構いい値で売れるというボーナスモンスターなんだが…こいつの出現するポイントが限られているんだ」
藍「へえ、まさかヒンバスみたいにそれが蝶・ランダムに変わるとかそんな事は」
諏訪子「流石にそれはポケモンの方が極悪条件だった(迫真
因みにだがこいつの出現ポイントは、道の行きどまりの1マスが多く該当する。
クエストでは最奥…ダメージゾーンの奥の非常に凶悪なポイント(地図座標A-7のど真ん中)を指定されてるんだけど、ぶっちゃけ行き止まりならどこでもいいんだ。オススメは階段から降りてすぐの、渦巻状になっている道のそれぞれの先っぽ(D-3のA4とE2、D-4のE1)。
ここなら他の敵とエンカウントしてもヤシの木一本とか比較的ぬるいからな」
藍「そのヤシの木オバケのヤシの実アタックとかいうふざけた名前の攻撃でPTが壊滅したなんて話もよく聞くんだが」
諏訪子「あれは本気でシャレにならないわな。
実際、ヤシの実なんて普通に鉄アレイみたいなもんだし、あんなの頭に落ちてきたら当たり所悪いと普通に死ねるぞ(射命丸メモ:実際、落ちてきた実に当たって怪我した人とかもいるそうです。おお、こわいこわい)。
あれとビッグウーズやスリーパーウーズが組んで出てきたりすると本気で死を覚悟するレベル、眠りからのヤシの実は即死ルートだ」
藍「…最近だんだん解ってきたけど、世界樹の真の恐ろしさって見えてるFOEやパターンで攻略できるボスよりランダムエンカウントする通常敵なんだな」
諏訪子「まあそういうこった。
因みにもう一方の方だが、こちらは噛みつき草のパワーアップ版「殺人草」を倒すクエストだ。
こいつの動きを止める香を使える場所は三か所、正解は一番奥(地図座標B-7)の小部屋で、それ以外の場所だと普通の噛みつき草とのバトルになるが…実はお香の残り数でクエスト報酬のストナードの個数が変わる」
藍「でもそれ、防御陣形があるなら要らなくない?」
諏訪子「効果時間は5ターン固定、ボス戦とかだとレベル1陣形よりも有用なこともあるにはあるよ。
…ああ、殺人草はそんな強くない。全体斬属性攻撃の乱れ噛みを連打してくるが、厄介な状態異常は一切撒いてこないからケルヌンノスが倒せるレベルなら問題なく倒せるだろ。
ということで、今回はここまで。次辺りでかなり物語(笑)が動くらしいな。どうでもいいけど」
…
…
〜ギルドハウス〜
すっかり夜も更けたそのリビングに、この日は珍しい顔が座っている。
甘みとアルコール度数の強い樹密酒を静かにあおっているアンナは、その暗がりに向けて声をかける。
「…何か聞きたそうな感じね」
「あ、解りました?」
「私だってたまにはこうしていたい気分の時もあるわ。
……さぞかし、驚かせてしまったでしょうね。普段の私からは考えられない顔をしていたんじゃないかしら、あの時は」
暗がりから姿を見せるリリカを席に招き、アンナは少し寂しそうに笑う。
♪BGM 「情景 しじまに吹く風」(SQ4)♪
「今からどのくらい前の話になるかしらね。
私、物心ついて間もない頃、途轍もなく強力な魔性に殺されそうになって…目の前で母さんをそいつに殺されたの」
「えっ」
「…その魔性は…それ自体が強力な力を持っているくせに、無力な子供、とりわけ女の子を陰湿に追い詰め、残忍に殺す事だけを存在意義にしている悪魔のような奴だった。
挙句、自分のその行為を再三にわたり妨害し続けてきた私の父さんを逆恨みしてた。
奴は、私を嬲り殺す事で父さんに復讐するつもりだったんでしょうね。自分の歪んだ愉悦を満たす一石二鳥のアイディアとして」
アンナは歯がみする。
「そいつは結局、駆け付けた父さんに追い払われたけど…私はその日を境に、魔性を否定し憎悪するようになった。
大切な友達が魔性と知って、酷い言葉を浴びせて喧嘩別れしたこともあったわ。
…それを変えてくれたのが、かごめさんだった。
私を殺そうと、生まれ故郷の英国から日本に追ってきたそいつから、私を守ってくれた…折角友達になれたんだから、あたしが絶対守るって。
だから…私も「友達」を守ろうとして、今の力を得たの」
握り締めたり開いたりする手の中に、水の魔力が揺らめく。
「あの魔物は、他の魔物たちみたいに、生きるために人間を捕食しようとか、そういうことは考えてなかった。
ただ、ゲームのように人間を殺して…まるで、あいつと同じだった。
…許せないのよ。自分の快楽のためだけに、他の命を徒に弄ぶああいう奴らが」
リリカはじっとそれを聞いている。
アンナは樹密酒を一口あおると、表情を緩めて問いかける。
「意外だったかしら、私にそんなところがあるって」
「…ううん。
アーモロードの時の事を少し、思い出してたんだ。
…ペイルホースの依頼の時、チルノと同じくらいきっと怒ってたの、アンナさんだったんじゃないかって。
そう思ったら、なんか納得した」
「余り思い出したくないわねー、その時のこと」
苦笑するアンナは再び酒をあおる。
樹海を駆けずり回る少女達の一日は、そんなゆっくりとした時間と共に今日も過ぎていく…。