〜ギルドハウス〜
ヤマメが幻想郷へ連れ帰られて翌日。
つぐみは一人、ぼんやりと窓の外を眺めていた。
-私…どうしてもメリーを守らなきゃならないと思ったんだ。
あの時のように、誰かに託すんじゃなくて…私自身で…だけど-
彼女が意識を閉ざす前、幽かに聞こえた最後の言葉。
ヤマメは最後、何を言おうとしたんだろう。
幽かに笑ったように見えたその表情も、何処かあきらめにも似た何かがあって。
メリーとはあれから、言葉を交わしていない。
つぐみにはもうひとつ、気にかかっていたことがあった。
キバガミがヤマメに応急処置をほどこしていたその時、彼女が発した言葉の意味。
メリーは「自分が何者か解らない」と言っていた。
単純に考えれば、メリーは記憶を喪っており、ただ何らかの理由で、樹海へ行かなければならないと思っている。
それが証拠に、恐ろしい魔物と相対し、最初は怯えていながらもやがて必死にその障害を乗り越えようとし始める。
だが、つぐみはメリーの目的が「樹海の最深部を目指す」事とは違うのではないか、と思うようになっていた。
何故かはわからないが…まるで「誰かと一緒に樹海を旅するということそのもの」が、彼女の目指すところではないのかと…そう思うようになり始めていた。
「失礼しますね」
不意にドアがノックされ、一拍遅れてローザが姿を見せる。
そのトレーには、暖かな湯気を立ち昇らせるパンケーキと、一つのカップ。
「あの…差し出がましい事かとも思ったのですが…。
せめて、こちらで気持ちを落ちつけてもらわなければと思いまして…つぐみ様もメリー様も、昨夜から何も召し上がってなかったですし」
「……ごめんなさい、心配かけてしまって」
いいえ、と首を振って、ベッド脇の机の上にそれを乗せるローザ。
つぐみはその香りに誘われるかのように身を乗り出す。
「あれっ…これ」
それは普段、ローザが出してくれるコーディアルとは明らかに違うものだと気がついた。
その優しい香りは、何もかもを包み込むような包容力に溢れている。
「このコーディアルは…私の家に代々伝わる秘伝の調合。
おばあ様が、本当に大切に思った人に作ってあげなさい、と、私に最後に教えてくれたものなんです」
「…そんなのを、私が飲んでもいいの…?」
ええ、と頷くローザ。
「私がこれを作ってもいい、と思った方はあなた方で二回目…お屋敷の旦那様方にも、まだ出したことがないんです。
…このコーディアルは、私のせめてもの気持ちなんです…だから、召し上がってください」
そう言ってローザは微笑む。
ローザは自分たちの事情についても、込みいったところまでは知らないだろう。
だが、ローザは機転も利くし、カンも鋭い。つぐみの悩みがヤマメの離脱とは別にあることも気づいているのかもしれない。
だが…その問いをぶつけるべき相手はローザではない事は、つぐみにも解っている。
「…ありがとう、ローザさん。
私、これからメリーとも少し話をしてみようと思うよ」
「そうですか。
でしたら、メリー様の分も作ってありますので、お持ちになってくださいますか?」
「うん!」
-新・狐尾幻想樹海紀行-
その9 「ミレニアムの少女」
かごめ「やあどうも、いつものかごめさんです」
諏訪子「やれやれこんな展開にしやがってからに、これからどうs…ってアイエエエエエエエエエエエエエエエエ!!?( ̄□ ̄;)
テメエ何してやがる!? みょんな置土産残して樹海逝ったんじゃねえのかよ!!??」
かごめ「里帰りだ!!(ドヤッ」
諏訪子「いやそれはおかしいだろ。
なんじゃいな、なんかケルヌンさんのところで意味深な登場しやがってからに。
一体何を考えてやがる本当に」
かごめ「だがどうもわちきの登場もっと早くなりそうではあるんよね。
実はこのログを書いてる時点ですでにイワォルームでの猛特訓が開始されてるという体たらくで」
諏訪子「( ̄□ ̄;)そういうメタい話はすんな!!!
というかお前今回何に…あ、いやもう何でもない」
かごめ「別に今紹介しても構わんのじゃよ?(ちらっ」
諏訪子「うるさい黙ってろ。
…というか藍の奴はいったい何処n」
-ちょっと橙成分が不足してるので補給しに帰ります今回休ませてください 八雲藍-
諏訪子「あンの駄狐は〜…!(ビキビキ」
かごめ「というわけで今回はわちきが混ざる(キリッ」
諏訪子「ええいもう勝手にしろ!!><
…ストーリーでも何気にこの時期くらいにイベントが起きて、ローザの最終準備が解禁されたなそういえば」
かごめ「値段の割には運用の難しい効果ではあるがな。
ただ、レベリングするんだったら存外優秀かも知んないね。殴れば殴るだけ回復するし連続攻撃スキルだとむしろおつりが出たりする」
諏訪子「後列だって毎回殴るわけじゃねえだろが。
結局いつものアムラアウェイクかジンジャーライフくらいしか使ってないんだろ」
かごめ「ええまあそこはそこで。
クイーンアントをズタズタにすると13Fから敵さんの顔ぶれもガラッと変わってくるな。
とりあえず何処から紹介するよ、モリヤンマ辺りか?」
諏訪子「今回のモリヤンマは狂ってるね。具体的にいうと強襲」
かごめ「縛りがないだけマシかどうかはわからんが。
ただ強襲はグリモアでとってもそこまで使えるかどうかは…ヤンマが使って来るとほとんど外れないのに、こっちから撃つとお察し、みたいな」
諏訪子「B14Fヘルアングラーの水乱射もそうだな。
全部当たる前提だと凍牙の印術よりコストも安くてヒット数も多いんだが…というかあのアンコウなんで外さないんかな」
かごめ「というかリュウノオトシゴとヘルアングラーが炎弱点というのはポケモンやってると十分違和感が」
諏訪子「グドラとランターンはとりあえず置いとけよ。
リュウノオトシゴもレベリングに出かけたらルーミアが水鉄砲貫通ダメージで即死するなんて毎度の光景ですしおすし」
かごめ「その割にはHPがそれほど変わらないアンナが死なないと」
諏訪子「TECの差だろどう考えても。
あと何気にB13Fと言ったらアレだよな、フォレストバット6連星」
かごめ「あれは本気でしょっぱい。
ただでさえ同レベル帯だと確定で先手取られるのに一斉に超音波撃ってくるとかばかなの?しぬの?(しろめ」
諏訪子「エキスパだとまあ最初のターンで既に同士討ちタイム突入してるからなあ(しろめ
こうなるとこっちの武器攻撃力の高さが完全に死亡フラグになるわけで」
かごめ「実際初hageこいつらだったっけか」
諏訪子「あれはどうしようもないだろう…ちなみにhageてはない、すんでのところでキバガミが正気を取り戻して逃げたんだよ」
かごめ「そのキバガミが正気を取り戻すまでの間に3人ほど叩き切られてたな…(しろめ」
諏訪子「だからもうそれはしょうがないと。
B14Fはもうちょっと触れたが、まあここは移動が特殊だな。
蓮の上にのって小島から小島へ移動する」
かごめ「そしてソードフィッシュの疾風斬りが(しろめ」
諏訪子「あれ発生が早い上に威力補正率も高いんよね(しろめ
グリモア化してこいし辺りに持たせると殲滅力にも期待できるんだが」
かごめ「あいつ斧ソドだからこういう斬撃技持ってると火力の高さが生かせるんよね。
まああいつにこそ切断咬持たせたかった気もするが、実はダクハンやレンジャーは存外LUCが低い事が最近分かりまして」
諏訪子「そーれも今更だなあ。
そして何気にLUC高いのがソードマン」
かごめ「ただダクハンの異常剣は付与率高いから、これをバードなんかに持たせるとそれはそれで面倒くさいことになるんだがな。
あとエクスタシー」
諏訪子「あれは異常だな。
縛りなくてもマスターなら1縛りと威力一緒とか酷い高倍率、んで消費も意外と軽いからあれでもう充分なんじゃないかと」
かごめ「本当はヤマメを剣ソドに変えるつもりでいたんだけど、別に剣ソド作ってもいい気はしてるんよね。
レベリングは始めたんだしもう3人くらい追加してもねえ」
諏訪子「フランでも連れてきたらどうだ、フラン」
かごめ「そういえば最近何気に活躍の場がないからそれでもいいんだよなあ。
赤髪だとなんか違う気もするが、一応最初穣子は考えたが」
諏訪子「漢字使わない縛りは生きてるのか」
かごめ「だったら最初から静姉とお前呼んでくるだろが。
その方が数倍楽に進むんだし」
諏訪子「どうだろうなあ…今回鎚系のマスタリも技も強いのないのがなあ。クリアストライクは面白そうだけど」
…
…
「メリー?
入ってもいいかな?」
ローザからあてがわれた食事を持って、つぐみはメリーの部屋を訪れていた。
彼女は先ほどのつぐみと同じように、ぼんやりと中空を眺めている。
つぐみはその返事を待たず、ローザがそうしたようにトレーを机に置くと、メリーの横へ腰かけた。
しばしの沈黙が場を支配し、やがてメリーが口を開く。
「…わたし…なんであんなことを言ったんだろう。
ヤマメさんは、ここに来て初めて会った人だったのに…私…ずっと昔にあの人にあった気がするんだ。
……あの時と同じように……悲しい別れをしたような気がするんだ」
「大丈夫だよ、ヤマメさんは必ず帰ってくるって…それに、ヤマメさんはメリーを助けるために、必死だったんだと思う。
ヤマメさんは…メリーに会った事があるって…そう言ってた。
今度は、自分の手でメリーを守りたかったって…でも」
「…わたし…そんなのやだよ…!
ヤマメさんも…誰も、傷ついて欲しくなんてなかった…!!」
メリーの瞳から涙が、あとからあとから零れ落ちてくる。
つぐみは彼女をそっと抱き寄せる。
「私だって…そんなの嫌だよ。
あなたが、今あなた自身が何者か解らなくても…メリーはもう、私にとっては大切な友達なんだから。
きっと、ヤマメさんだってそう思ってるはずだよ。
…友達が友達を助けようとするのは、当たり前だし…そんなのもう理屈でどうこう言えることじゃないんだ」
「どうして…」
「同じことなんだよ。
メリーが、ヤマメさんがあんな目に遭わないで欲しいって思ったことと、ヤマメさんがメリーを何が何でも守ろうとした気持ちも。
…それに、私にもひとつだけ、メリーのことで解った事があるんだ」
「わたし…の、こと…?」
うん、とつぐみは頷く。
「メリーの目的はきっと「樹海の奥を目指す」事じゃないんだ。
「誰かと一緒に樹海を旅する事」…それ自体が、メリーにとって意味のある事なんじゃないかって事。
樹海の旅で経験することそのもので、メリーの失われた何かが、取り戻せるんじゃないかって気がする」
「そう…なのかな」
「でも、そうだとしたらきっと、目的の決まっている私よりもずっと過酷な旅になるのかもしれない。
これだけ怖い、悲しい経験をしながら、それでもメリーが樹海を旅して行ける理由があるなら…きっと、あなた自身が心の何処かで、それを知ってるからじゃないかと思う」
つぐみはメリーに向き直ると、その涙をそっと拭う。
そして、彼女の手をしっかりと握りしめる。
「私も…改めてメリーの事、知ってみたくなったよ。
あなたにどんな秘密が隠されてるか分からない…だから、知りたいの。
もう、私からただ一方的に守ってあげる、なんて言わない。一緒に行こう、メリー!」
メリーは言葉を返せなかった。
だが…つぐみに抱きとめられたまま、子供のように声をあげて泣いていた。
…
「しっかしまあ、ヤマメちゃんが暫く戦線離脱ってなると…これからどうすんのかな」
樹海で何か一仕事終えてきたらしいこいしは、ローザの用意した食事を夢中に食べる一方でそうつぶやく。
「あんた食べるかしゃべるかどっちかにしなさいよ…。
でもそうね、確かに4人というのは流石に心許ない所だわ。最近は私達もルーミア込みで5人じゃないと、色々厳しくなってきてるのは事実だし」
「…新たな階層にも少し踏みいってはみたが…見たことのない強力な魔物も多い。
一時的な離脱とはいえ、サポート能力に長けたヤマメ殿がいないのは大きな痛手ではあるな。
誰か他に協力してくれそうな者でも居ればよいのだが…ただ居ればよいというわけでもないが」
キバガミは、隣で不機嫌そうにしているパルスィを一瞬見やり、言葉を濁す。
態度はともかくとして、今回彼女とて少なからずともショックを受けたことは確かだろう。ただ、知った顔が戦線離脱せざるを得なくなっただけとは、事情が根本から違う事をキバガミとて解っていないわけではない。
その心中を知ってか知らずか、相変わらず口に食べ物を放りこみながらこいしが言う。
「なんでか知らないけど、幻想郷からはもう有力者は動かせないみたいなことをお姉ちゃん言ってたよ」
「えっ!?
どういうことなのそれ」
思ってもみない一言に顔色を変えるリリカ。
「私もよくわかんない。
でも、お姉ちゃんの心をちょっとだけ読んだの。
すぐに気付かれちゃったせいでそれ以上読めなかったけど…もしかしたらもっと大変なことが、幻想郷に起きてるのかもしれないよ」
「…境界を繋ごうとしたとき、紫さんの気配がまったくつかめなかったこととも関係あるのかしら」
「ひょっとしたら、居ないのはかごめさんだけじゃなくて…紫さんもとか?」
「余り考えたくないね、それ。
結界は解かれつつあっても、少しずつ段階を踏んで徐々にじゃないと、次元間に大きなひずみが出来て危ないって静葉さんが言ってた気がするんだよ。
…そんな微妙な時期に、結界の元凶がいないっていうのは異変レベルの大事よ」
「そうだわ、八雲紫よ」
そこで唐突に声を上げたのは、それまで険しい顔で沈黙を守っていたパルスィだった。
「初めから何か引っかかってたの。
私は、あのメリーが誰かに似ているとずっと思っていた。
確かにあの妬ましいくらいびくびくしているところなんて似ても似つかない…でも、あの気配の根底にある胡散臭さまで消せるわけがない。
…間違いないわ…あいつが、八雲紫なのよ」
「馬鹿な!!」
素っ頓狂な声を上げるキバガミならずとも、パルスィの言葉はあまりにも突拍子もなく聞こえるのも当然だった。
「そうだよその理屈はおかしいよ。
確かに私達だってメリーに会ったのはこっち来て初めてだし、正体がつかめないのは確かだよ。
…私も何故かあの子の心読めないし」
「えっ!?
そういうことはさっさと言いなさいよ!
…その事だけでも、パルスィさんの言い分を何割かは裏付けてるって事になると思うわ。
さとりさんの「第三の目」ですら…紫さんの思考を読むことは完全には不可能なはずなの」
「何を…拙者はまだ八雲紫という人物を詳しく知らぬ…だが、伝え聞く人物像はメリーとは似ても似つかぬ事くらいは解る。
…それに、覚といえど完全に思考を読めぬ存在が人間にも時折居てもおかしくはあるまいに」
戦慄くようなキバガミの言葉に、異を唱えたのは意外にもというか、これまでこちらも沈黙を守っていたポエットであった。
「違うんです、キバガミさん。
それは私達が元々いる世界…「幻想界の覚」なら、精神力の強い人間の心を読めなかったりということは珍しいことじゃないんです。
けど…さとりさん達古明地姉妹は…幻想界では最早絶滅したと言われる覚純血種。
純血種となれば、私達四大天使クラスの存在でも思考を読み取られてしまう…それができない「人間」という時点で…おかしいと言わざるを得ないんです。
それに…」
「メリーは愛称で、本当の名前はマエリベリー。
その名前は…」
リリカは一度目を伏せ、その事実を告げる。
「郷の大賢・八雲紫が妖怪となる前の…人間だった頃の名前。
偶然の一致とはいえ、余りにもでき過ぎてる」
キバガミは驚愕の表情のまま息を飲む…。
「そんな…そんな事があるというのか…!
だとしたら何故彼女は、名前を偽った挙句…否、己の記憶まで封印して」
「ふん…恐らくは、私達を…私とヤマメを監視する為でしょうよ!
あの女は…危険で手に負えないという理由だけで…私達「地霊」を旧地獄へ追いやった!
…聞けば生まれ変わる前、かごめはそいつの無二の親友だったそうね…親友の娘を、危険極まりない「地霊」なんかと一緒に置いておけない…そういうふざけた理由でしょう!!
記憶を喪ったフリでは私達にばれるから、本当に記憶を封印して…恐らくは自分の息のかかった何者かに見張らせているに違いないわ…ううん、奴は式神の名手、何処かに監視用の式神を放っていてもおかしくはないわよね!」
言葉と共に、パルスィの声のトーンは怒りと憎悪を綯交ぜにして、その色を強めていく。
同じく、「地底の住人」であるこいしにも言葉はない。
「冗談じゃないわ!
ヤマメはそんな奴を庇って、あんな大怪我を負う羽目になったのよ!
あいつは妬ましいくらい人の好い奴…前世の記憶とか何とか言ってわね。そこまで利用して、ヤマメ自らの意思でこの旅から外れるように仕向けさせたって事ッ…!
殺してやるわ…この私が、奴が力を喪っているこの機会に!!」
「ちょっと待って!!」
完全に激高したパルスィを慌ててリリカとこいしが止めにかかる。
「何するの!?
離しなさいよ!こいしあんただって悔しいとは思わないの!?
あんただって間接的にはあいつの所為で!!」
「ダメだっ!それだけはやっちゃダメだよパルちゃん!
確かにメリーの心は私読めない! でも、つぐみにはきっとわかってるんだ!
もしかしたら、紫さ…スキマ妖怪が監視のために送り込んできた式神かもしれないけどっ…!」
「ああ、そうかその線はあったわね…殺せば殺した分労力はかかるわね!
だったら、新しく送り込まれるたびに殺せば済むことよ!」
「ならそれでつぐみを泣かせることになって、それでいいの!?
本当は怖いからあまり読みたくないけど…パルちゃんつぐみの事、すっごく好きだって心の中で言ってるじゃない!
素直で一生懸命なあの子の事が大好きになってるんでしょ!?
だったら…だったら他の解決方法を考えなきゃきっとダメだよ! だから、だから…」
訴えるようなこいしも泣きそうな顔をしている。
パルスィはそれでもなお振りほどこうと、こいしに平手を振りおろそうとしたが…成り行きを見守っていたキバガミがその手をつかんで止める。
「もう止すのだ…お主も、心の内では解っておるのだろう。
…お主らの過去の事は…拙者も詳しくではないが、さとり殿からも聞いている。
お主らの苦しみは、拙者には生涯理解し得ぬものかもしれぬ…だが、だからこそ、一時の情に流されるべきではあるまい。
……仮にメリーがお主らを監視するべく送り込まれたとしても、ならば、それだからこそ「彼女」にお主らの本当の姿を見せつけてやるということだってできる筈ではないか…?」
キバガミは、その手から力が失せていくのを感じ取って、それを解き放つ。
所在なく振りあげられたままの手は、ゆっくりと下ろされる。
「それに…今最も重要なのは、メリーの正体ではないはずだ。
ともすれば、この旅の続行にも関わる問題でもあろう」
座は再び沈黙に支配される…。
…
〜一方その頃 執政院ラーダ〜
ギルドハウスでひと悶着起こっているその頃、つぐみはメリーとアンナを連れて、ミッション報告のため執政院を訪れていた。
「…そうか。
君らほどの実力者をもってしても、犠牲を払わずして打ち倒せる相手ではなかったということか。
だが、こうして生きて戻ってきた事だけでも十分、称賛に値することだ…報酬は後で、ギルドハウスの方へ送らせてもらおう」
事務的な言葉のように見えたが、オレルスはあえてそのことには強く触れないことで、気を遣ってくれただろう事はその表情からもうかがえた。
「そんな折で重ねて任務を受けてもらいたい、という事は心苦しいことであるが…それでも、今現在それを任せるに足るギルドが君ら以外思いつかないのが現状だ。
タルシスのウロビトやイクサビトと、我々人類の交流の懸け橋となった君たち以外には」
「どういうことです?
この地の人ならざる種族…「モリビト」は、以前討滅されたという話を聞きましたが」
アンナはその疑問を口にする。
モリビト。
エトリアの樹海に住み、災厄の中心「フォレスト・セル」が自衛のために生み出したと言われる、「ヒト」に似て「ヒト」にあらぬ者。
アーモロードのフカビト同様、人類に仇成す存在として、かつて長・ヴィズルの命により掃討作戦が行われた事をアンナは知っていた。
「…そうだ。
世界樹に取り込まれていた長は…フォレスト・セルを滅ぼす研究のためただ障害にしかならない彼らを徹底排除しようとした。
覚醒の近づくフォレスト・セルの影響で多くのモリビト達が凶暴化したことも一因ではあっただろう。
…私は、意思の疎通が可能なら、対話によって争いが回避できるのではないかと主張したが…今となっては何が正しいことだったのかは解らない。
だが、僅かながらモリビトは今も、樹海の奥に住んでいるらしい手がかりが見つかった
「手がかり?」
「千年蒼樹海の最深部…その広大な地底湖で、それらしき生物を見たという報告が上がっている。
その討滅作戦の後、ある冒険者たちに保護され、暫くこの街で暮らしていたモリビトではないかと…私はそう思うのだ。
君らに依頼したいのは、その生物の正体の確認…そして、もしそれが私の言うモリビトであるのであれば…君たちの力で対話の糸口を探して欲しい」
オレルスの表情は真剣だ。
そして、その瞳の奥にある後悔の色。
「長は…かつてこの考えを「甘い」と仰られた。
世界樹に…セルに支配され、その本能に従ってモリビトを切り捨てようと考えていたことから見れば、そうも見えただろう。
だが…私の考えは「人間」としても間違っているのだろうか…?」
「…そうは、思いません。
もし、そのモリビトが、「人間」を知っているのなら…話ができるなら、やる前からできないなんて決めつけるなんて、やっちゃいけないことだと思います」
つぐみははっきりそう応えると、オレルスも表情を緩める。
「…その言葉を聞いて安心した。
ならば、ミッション受諾の意思ありと判断し…君たちには、ミッションの為に同行してもらいたい者を紹介したい。
…かつて君らと同じように樹海を旅し、同じようにしてモリビトとの共存の道を探ってくれた者だ」
オレルスは扉の向こうにいるだろう人物に、入るよう促す。
扉はゆっくりと開き…そこに現れたのは、無骨な槍を一本背負うひとりの少女。
背格好はつぐみとほとんど変わらない。
幼い印象を抱かせるその少女の風貌には精悍さもあり、その青い瞳には強い意志の光を宿している。
少女は会釈し、オレルスの隣に立つ。
「彼女の名はフレドリカ。
君らが今使っているギルドハウス…そこを利用していたギルド「グングニル」の一員でもあった」
「えっ…それじゃあ、グラズヘイムの探索をしていたのが…?」
「…そう。
というより、グラズヘイムで千年の眠りについていたというのが…彼女だ」
顔を見合わせるつぐみ達。
オレルスはさらに告げる。
「君らの力で、かつて起こった過ちが繰り返されぬよう…何卒頼む」
…
…
諏訪子「( ̄□ ̄;)アイエエエエエエエエエエエエエエ!!?? ハイランダー!?ハイランダーナンデ!!??」
かごめ「いやほら、そこはフレドリカさんのSTRの伸び具合見れば…。
確かにHPとVITは心許ないしAGIもそれほどだけど、あとは全体的に高水準だからやってやれない事は」
諏訪子「いやもうそういう発想に行く事自体何考えてるのかと。
素直にサントラジャケットとかおまけマンガみたいにバードにしちまえよ、普通のバードよりは死ににくいし攻撃力もあるぞ」
かごめ「実はレンジャーという線も考えなかったわけじゃなかった(迫真」
諏訪子「それもなんかおかしいだろ…。
まあ、バード前列に立たせるよりは幾分かマシにはなるだろうが…」
かごめ「グリモアは三色ガードなんですがね!!(迫真」
諏訪子「いや待てそれはだいぶおかしい」
かごめ「というわけでこれからしばらくはリッキィさんと一緒の旅路になりますよって。
またパル姉さんが嫉妬と血の雨を降らせる展開を期待しつつ」
諏訪子「というか地底妖怪の件といい本当は紫をどう扱いたいんだあの腐れ狐」
かごめ「その辺りももっと後で明らかにできたらいいなあ(しろめ
というわけでちょっくら先の方へ行ってくらあ、駄狐戻ってこなかったらてーさんでも呼んでくれ」
諏訪子「…………今更だけど私も行くか、チルノが見当たらねえのもなんかイヤな予感しかしねえし」
かごめ「えーケロ様くるのー?」
諏訪子「というかお前も十分野放しにできねえ代表格だ。
解説は樹海からでもなんかできる感じしてきたしな、駄狐と兎詐欺にはこっちの連絡役任せるんでよくね?」
かごめ「まあそれでいいなら別にいいけどさ。
…というわけで次回から樹海解説入りますって事で今回はこの辺りで。ちゃお( ゚д゚ )ノ」