〜ギルドハウス〜
「…エトリアのモリビトか。
この先へ進むのに、それと遭遇する可能性があるのであれば…避けては通れぬ道か」
ギルドハウスに戻ってきたつぐみから、新たなミッションの報告を受けたキバガミ達。
「それでね…そのミッションを行うに当たって、事情を知っている人と一緒に行ってくれって、その人も来ているの。
なんでも、以前にこのギルドハウスを使ってたギルドの一員だったとか…」
「へえ、それだったらローザも知ってる人かもしれないね。
だって、私達の前のギルドの時から、ローザはここにいたんでしょ?」
「それは…そうなるのかな?
兎に角、紹介しますね。えっと…」
つぐみがドアを開き、フレドリカを招き入れる。
「…へえ…私達がいた時と余り変わってない。
なんだか、ちょっと安心した」
感慨深げにつぶやくフレドリカは、居並ぶ面々に軽く自己紹介する。
そこへ、人数分のカップを運んでくるローザ。
「お元気そうでなによりです、フレドリカ様。
まさか、またお会いできるなんて思ってもみませんでした」
「やめてよ、ローザ。私の事は「リッキィ」って呼んでくれていいって言ったよ。
…でも、安心した。あなたに会えなかったら、この街では私を知ってる人はほとんどいなくなっちゃうもの」
フレドリカは当たり前のように、カップを受け取りテーブルの一角に腰を下ろす。
恐らくはそこが、彼女の定位置だったのだろう。
「…だけど、おかしな話だわ。
モリビトは、あの時シララ以外はみんな居なくなっちゃったって話を聞いたもの。
そのシララだって…」
「どういうこと?」
「そうね、説明が居るわね。
…あなた達の事はオレルスさんからも聞いた。だとしたら、今度は私の見聞きしたことを総て、あなた達に私が話す番。
聞いて。かつてこの地で起こったこと、私の知る限りの総てを。
それがこの先になるべきことにもつながる筈なの」
-新・狐尾幻想樹海紀行-
その10 「モリビトの幻影」
かごめ「まいどどうもかごめさんです。
今回からあたし達も樹海からの現地リポーターとしてお送りします。スタジオの藍さん聞こえてますかー?」
藍「私がちぇえええええん分を補給している間に一体どうしてこうなった…(茫然
というかあんたは絶賛失踪中じゃなかったのかよ!!」
かごめ「細かいことだ、気にすんな。
というかラスボス回りではもう完全にストーリーに合流することになると思うんで、そうなればまあてーさんでも呼んで解説してもらえばいいかと」
藍「( ̄□ ̄;)そういう無茶苦茶な事をさも前から決まってる当たり前のようにさらりと言うな!!」
諏訪子「いやもう逆らうだけ無駄だろ、こいつ4の時も大体そんな感じだったしな。
てー呼ぶの面倒くさけりゃ別に静葉でも構わんぞ」
藍「…なんだかんだでお前も止める気皆無なんだな…くっそ、こいつら紫様と別のベクトルでやることなす事滅茶苦茶だ…」
諏訪子「こういうときは開き直りが肝心だな。
ところで何気に我々は一歩御先に枯レ森まで来てるわけだが、今回はコロちゃんか」
かごめ「コロちゃんだな。
3の大航海の時にもいたが、こいつも面倒くさいだけで強さ的には同じくらいに大したことなかったわけで」
藍「というかコロちゃんってなんだコロちゃんって。CV明坂聡美の毒舌キノコじゃあるまいに」
諏訪子「まあニュアンス的にはそう聞こえなくもないが…コロトラングル、名前はアイヌ語で「海上に来る者」という意味があって、暴風を起こす海の魔物だそうな。なんで世界樹だとイトマキエイみたいな姿をしてるのかは知らん。
余談だがそこで引き合いに出たコロコロさんの元ネタもコロポックルらしいがな」
かごめ「四層ボスのイワォさんもそうだが、やたらアイヌ関連の言葉も多いんだよな世界樹」
諏訪子「モリビトのモデルも、そのコロポックルらしいという話は聞いたわな。
ストーリーを鑑みると、中世ぐらいまで続いた大和民族の侵入とそれに対抗するアイヌの民みたいな構図のオマージュなんじゃないかって気もしてくるわな」
かごめ「蝶★余談だがアイヌ語で狐は「シュマリ」だが狐の神様の事は「チロンノップカムイ」と言うそうな」
藍「関係ねえよ」
…
…
〜千年ノ蒼樹海 B14F〜
つぐみ「例のモリビト?の目撃情報が多発してたのは上の階層だったんだよね。
…結局それっぽい影は見当たらなかったような」
キバガミ「ふむ…姿を知っているフレドリカ殿が居るのであれば、知っている相手ならと向こうから接触してくるやもしれぬと思ったが…」
「ううん。
先にも言ったけど、私達と共に暮らしていたモリビトは、シララだけよ。
彼女は…もう「この世界」にはいない筈だから」
キバガミ「…そうであったな。
「彼」の槍に「神送り」の力となって宿り…消えてしまったのだったな」
「そうよ。
後にも先にも…彼女が私達に心を開いてくれたのは、その時だけだった。
彼女は…その少し前に、自分の果たすべき役割を思い出した、そう言った。
…推測にしか過ぎないけど…モリビトはきっと、時が来るまで自分達の神であるフォレスト・セルを守り…セルが浄化の役割を終え、暴走する前に、セルを自壊させる役割を持っていたのかもしれない。
けれど…この地のセルは、あまりにも生への…「自身の存在」に対する執着が強かった。それが、依代となったヴィズルを介して「モリビトの殲滅」という暴挙に走らせたのかもしれないわ」
パルスィ「…随分手前勝手な考え方ね。
そんな都合のいい話が、そうホイホイと転がっているものかしら。
…だとしたらそれは妬ましいどころの騒ぎではない…」
キバガミ「既に起こったことに対してそのような事を言っても仕方あるまい。
…気にされるなよ、彼女はそういう性質を持つ存在なのだ」
「妖怪…か。
私が知ってる人の中に、そういうものを含めて研究している人たちがいたわ。
お父さんの、大学の教え子で…私も小さい頃、遊んでもらった事があるの…幽かにだけど覚えてるわ。
……もう、名前も忘れちゃった」
フレドリカは少し寂しそうな表情で笑う。
「つぐみ、って言ったっけ。
…あなたの顔は少し、その人の友達と、似てる気がする。
髪の色は違った気もするんだけど…」
つぐみ「そうなの?」
「うろ覚えだから、自信はないけどね。
……そういえば、あなたが使ってるグリモアとその銃」
つぐみは不思議そうな顔でそれを差し示す。
「それ。
両方とも、元々私が使ってたものよ。
サイモン達に…使い方と作り方を教わって、私が生まれて初めて作ったグリモア。
…どうかな? 少しは役に立った?」
つぐみ「はい!
最初はちょっと、戸惑ったけど…まるでこのグリモアが、力の使い方を教えてくれるみたいだった。
私…剣の心得はあるけど、基本が魔法使いだから…だから、こうして戦えるのは、フレドリカさんのお陰…なのかな?」
フレドリカは「よかった」と、嬉しそうに笑う。
「ねえ、みんな。
形はどうであれ、今は同じパーティを組んで行動してるんだから…余所余所しいのも私ちょっと、嫌なの。
だから…私の事はリッキィって呼んで。私も、みんなの事は名前で呼ぶから」
パルスィ「…わりと会って間もないのに社交性の高さを見せつけようとしてくる…妬ましい」
つぐみ「そういうこと言わないの^^;
解った。みた感じ私とそんなに歳も変わらない感じだし…改めてよろしくね、リッキィ」
二人が笑顔のまま手を交わすその光景を見やりながら、キバガミはその気配を察知して周囲を探り始める。
魔物とは違うその気配が、自分たちの様子を窺っている…キバガミはそれを確信し、何時でも攻撃の体勢に入れるよう刀に手を添える。
(敵意も殺意も感じぬ…ただ、様子を窺っているようだが…?)
ひとり、輪の中から外れた格好になったらしいメリーもそれに気がついたのだろうか、不安そうな表情でキバガミの傍らに立つ。
彼はそれとなく注意を促し、やがてパルスィもその事に気がついたようだ。
「どうしたの?」
「……見られているようね。
すぐ近くにいる…こういうとき位はさとりの「眼」が欲しくなるわね…妬ましいわ」
周囲に緊張が走る。
やがて、それは姿を現した。
♪BGM 「戦場 そびえたつ双つ」♪
「警告する。
…これ以上この先に足を踏み入れるな」
それは声からもわかる通り、幼い少女のようだった。
しかし、その風貌は人間に似て、人間とは明らかに異なる異形の容貌だった。
僅かに緑がかった白い肌、そして、煌々と赤い光を放つ瞳。
その存在を眼にしたとき、フレドリカの表情が変わる。
「うそ…シララ、どうして…!」
驚愕の表情でつぶやく彼女の言葉から…そのモリビトは、かつて彼女と生活を共にしていただろう存在であることがうかがえた。
だが、件のモリビトは何の反応も示さず、その冷たく赤い光を放つ双眸でこちらを見ている。
「これ以上の問答は不要だ。解ったら立ち去れ」
「待ってよ!
私達はあなた達と争いに来たんじゃないの!
あなた達と私達が」
「共存できる道を探りに来た、と言うのなら、我々にその意思はない。
…神が送られた以上…それも早晩無意味なものになるのだからな。
だが…もしそれでも先へ向かおうと言うのであれば」
モリビトの少女は不思議な文言を唱える。
それと共に、凄まじい冷気を吹きつけながら舞い降りてくる巨大な影。
「モリビトの水の守護者…コロトラングルが貴様等を討つ」
巨大なイトマキエイにも似た魔物が、少女の傍らで咆哮にも似た強烈な冷気を放ってくる。
「そんな…!
待って、シララ! あなたは私を覚えてないの!?
それに、あなたはすべての力を「神送り」に使ったはず…一体どうして!!」
「……これ以上は無駄のようね。
あの生意気な小娘を締め上げる為には、まずあのデカブツを倒せ…そういうことなのでしょうよ」
パルスィの余りと言えば余りなセリフにフレドリカは絶句する。
「悪いけど、最近の私は常に機嫌が悪い。
…やり過ぎても恨まないで頂戴」
そして、アルマスの刃を抜き放ち、コロトラングルに対峙するパルスィ。
モリビトの少女は眼を見開く。
「愚か者め。
コロトラングルよ、けがれた侵入者どもを討ち砕け!!」
…
…
かごめ「というわけでコロちゃん戦ですな」
諏訪子「ですな。
まあ本来はB15Fでボス戦なんだけど」
かごめ「こまけえことはいいんだよ!!(AAry
ではまあ恒例にしたいボススペック紹介に参りましょうか」
第三階層(B15F)ボス コロトラングル
HP9260 炎弱点/氷耐性(完全耐性)、雷耐性(やや弱めの耐性)
アイスブレス(頭) 全体に氷属性攻撃、高確率で開幕に使用
大海原の浸食(腕) ランダム対象(同じ対象に2回以上ヒットしない)に遠隔氷属性攻撃、睡眠を追加
体当たり(脚) 貫通壊属性攻撃
テイルコイル(脚) 単体に全個所封じ
フリーズオーラ(頭) 3ターンの間自分の物理・属性攻撃力アップ
水のヴェール(頭) 3ターンの間自分の物理・属性防御力アップ
かごめ「ぱっとこれだけ見るとあまり弱い感じはしないんだがな」
諏訪子「というかこいつのアイスブレスって氷竜のと同じなのかどうかが激しく気になるけどな。
こいつからブレスのグリモア取った奴いんのかね」
かごめ「いや初手からそんな威力の狂った全体攻撃撃ってくれば普通に狂ボスだろこいつ。
まあ無対策なら200前後は飛んでくるが、ブレスグリモアの補正率を見る限りコロちゃんのブレスと氷竜のブレス別物じゃねえのかって気はする。
というか、仮に取れたとしてもTP消費が鬼過ぎて使い物にならんだろ。もうちょい軽ければイワォ戦の切り札になったかも知れんが」
諏訪子「なんにせよ解らんものは語れんか」
藍「おいちょっといいかお前ら…これ、本当に弱いボスなのか?
どう見てもイカレてるんだが」
諏訪子「テイルコイルが全体対象だったらなあ」
かごめ「( ̄□ ̄;)それは逆にトチ狂ってるわ!!
まあ、総じて弱くはないが…似たような全体攻撃の激しいボスは第二層ボスに多いから、相対的に弱く感じるという説もあるにはある。
あとこいつ高レベルのフリーズガード持ってるだけで力押しできる説もちらほら」
諏訪子「ストーリーだとラクーナがフリーズガードやって、でもってアーサーとリッキィさんの炎属性技から主人公のインボだけでもう体力ごっそり持ってけるからな。
まあ体当たりの当たり所悪いとサイモォン!!してることもままあるが」
かごめ「安心と信頼のサイモォンですな」
藍「後列下げろよ…。
ランダム攻撃でもヒット数がやたら多かったり少なかったりする技も多いけど、この辺もどうなんだろう」
かごめ「4の竜乱錐は鬼でしたね(迫真」
諏訪子「3クラーケンのテンタクルビートもな(迫真
バランス調整したにしても、この辺はもっと容赦なくても良かったな」
藍「あんた達攻略難易度の上昇望んでどうすんのよ」
諏訪子「まあ元っからそんな強くはなかった挙句、今回ケルヌンさんが馬鹿みたいに強くなったからなおの事コロちゃんはコロちゃんでしかなかった状態でして。
そう思ってナメきってたら結果がブレス連打防げなくてhageと」
かごめ「記念すべき初hageは事もあろうにコロちゃんだった(迫真」
藍「( ̄□ ̄;)やっぱり強いんじゃないかよ!!!」
かごめ「いやあ一回フリーズガードしなかったタイミングでガード役が眠らされた直後に氷漬けにされりゃあ流石にどうしようもなかった」
諏訪子「グリモアのガードはレベル3だからGOOD茶の「グリモアスキルレベル+2」で無効化して挑んだにもかかわらずこれですからな。
弱いのは確かだけど油断して勝てる相手ではなかった(迫真」
かごめ「かと言って決めてかかると今度はものすごく弱く感じる謎(迫真」
藍「コロトラングルとはいったい…うごごご…!
…って何やらす!!><」
かごめ「自分で勝手にやったんじゃないか。
キバガミさんが卸し焔だけで2000近く持っていきますからなあ(´ω`)」
諏訪子「インボルブなくてもこの有様だからなあ。まさにコロちゃんはコロちゃんでしかなかった」
…
…
♪BGM 「戦場 朱にそまる」♪
独立した数対の鰭が激しく羽ばたきを始め、吐きだされる冷気を孕んだ烈風が引き起こされる。
最早凍えるというレベルではなく、結晶化した大気中の水分が細かい刃となってつぐみ達を襲い、凍傷によるダメージが彼女らの戦闘能力を著しく奪っていく。
「おのれっ…なんというバケモノだ…!」
キバガミはなおも、よろめく足を叱咤し、刀を構えて対峙しようとする。
「来るわよ!みんな伏せて!!」
パルスィの絶叫と同時に、暴風を纏った巨体が飛来する。
まるで、皮膚を剥ぎ取るかのような風圧が彼女を襲い、直撃は免れたものの体勢を大きく崩される。
状況は極めて絶望的だった。
フレドリカも、つぐみも気力を振り絞って立ち上がろうとするが、戦う力などほとんど残してはいない。
ひとり遠距離で間合いを取って、その猛攻の隙をついて炎の術式を起動するメリーも、魔力が尽きるのも時間の問題だった。
しかし、キバガミの危惧はそこだけではない。
彼は気がついていた。
パルスィがあの一件以来、メリーに対して強い不信感を抱いていることを。
メリーが術式でフォローをしようとしても、わざとその射線上に躍り出るかのようにパルスィが振る舞っている。
撃てるものなら、撃ってみろ…そう言わんとするかのように。
メリーが故意であれ不慮の事故であれ、自分を彼女に撃たせるように仕向け、パルスィの言うところの「化けの皮をはがす」という目的のためなのだろう。
その不協和音がこの状況を生みだしたと言ってもいいのではないか。
キバガミは奥歯をかみしめる。
自分が彼女を責めても仕方がないと思いながらも、それでもそう思わざるを得なかった。
そしてつぐみも、その事に気付き始めていた。
パルスィがメリーを敵視しているだろうことを。
その理由は知らずとも、時折メリーに向ける鋭い緑の眼が、敵意…否、殺気に満ちていることに。
つぐみは地底妖怪たちの過去をよく知らない。
彼女ら自身が自分の事を語りたがらないこともあったが、その機会は訪れる事はなかった。
そして、彼女が「さとりの知り合いだから」という理由以上に…地底の住人から憎悪と敵意を含んだ視線を浴びせられる理由は何なのか…それを彼女は知らなかった。
だが、つぐみはそこにこそ、パルスィがメリーを敵視する理由があるのでないかと、そう思っていた。
何時か、さとりが言ったただひとつの言葉。
「あなたは、母親よりも恐らく、「母親の友だった者」の方によく似ている」という、その言葉。
そこに全てのカギがあるのではないかと。
その思索を打ち破るかのように、冷気を纏ったコロトラングルの尾撃が飛ぶ。
つぐみは偶然に足をもつれさせてバランスを崩したことで回避したが、一瞬、回避が遅れたキバガミとフレドリカが昏倒させられる。
そして、そのするどい一撃が、つぐみに気を取られたパルスィを捉える…!
次の瞬間、二人は信じられない光景を目にすることとなる。
ぐしゃり、と骨と肉がきしみ砕けるような嫌な音がした。
だが、それはパルスィのものではない。
彼女を庇うかのように、割って入ったメリーの腹部に、深くめり込んでいるコロトラングルの尾。
「メリー!!」
つぐみの絶叫と同時に、血混じりの息を吐いてメリーの身体が崩れ落ちる。
パルスィは反射的にその体を抱きとめ、諸共に吹っ飛ばされる。
つぐみの怒りと悲しみが綯交ぜになった咆哮と共に、放たれた銃弾の嵐が僅かに魔物を怯ませる。
パルスィはメリーを抱き上げる…が、その深手はどう見ても致命傷だった。
「あんた…あんたどうして!
なんで私なんかを庇ったのよッ!?」
「………よかった……なんとも、ないんですね…」
「答えなさいよ!
いくら馬鹿のあんたでも」
「わかって…ました。
あなたは…きっと、わたしのこと…きらいだって。
…でも…あなたは…つぐみさんたちといっしょに…わたしと、いっしょにいてくれた…」
「そんな…そんな理由でッ…!」
その体を強く抱きしめる緑の瞳からは、何時しか涙が溢れてとめどなく零れ落ちる。
心の何処かで、パルスィ自身も気がついていたのだろう。
例え彼女が何者であろうと…「共に旅する大切な仲間」に、もうなっているという事を。
そして…ヤマメが自分のために傷ついてしまった事を、誰よりも悲しんでいるだろう者が、誰なのかを。
パルスィはそっと、メリーの身体を横たえ…立ちあがる。
立ち上る妖気は少しずつ激しさを増し、コロトラングルへ振り向いた瞬間一気に爆発する。
「許せない…許せないわ…私自身を。
この子が何者であるかなんて…そんなのは関係なかった。
こんな子をこんな目に遭わせてはいけなかった!!」
その瞳が緑から深紅へと変わる。
♪BGM 「戦乱 吹き荒ぶ熱風の果て」(SQ4)♪
踏み込みと共に抜き放たれた刃が、巨槍と化してつぐみを襲う魔物の尾を弾き飛ばし…周囲を覆いつくす魔物の氷ももろともに吹き飛ばす。
思わぬ反撃にたじろぐコロトラングルは、再び鰭を羽ばたかせ死の吹雪を巻き起こし始めた。
それに呼応するかのように高速で納刀、そして魔獣の如き咆哮と共に抜き放たれた刃が周囲の冷気を巻き込んで、コロトラングルの吹雪を完全に相殺する。
「黙ってろデカブツ!!
望みならあんたから八つ裂きにしてやるッ!!」
さらに彼女は眼にも留らぬ足さばきでコロトラングルの懐へ飛び込み、閃光となって走る刃が無防備に晒されるその腹部を縦横に切り裂き、その紅い体液で周囲は緋に染まった。
「これは…!」
意識を取り戻したキバガミは、眼前の光景に言葉を喪う。
まるで、慟哭するかのような怒りと悲しみのオーラを放つパルスィによって、コロトラングルは彼の目の前で無残な肉の塊へと化していく。
「…くっ…コロトラングルが敗れるとは…!
……いや、お前達の力をもってすれば」
茫然とその光景を見守っていたモリビトの少女は、意味深なその言葉を残して姿を消す。
後を追おうとしたパルスィだったが、その瞬間力なく膝を突き大地に伏せる。
「わたし…わたしのせいで…メリー…!」
その涙は、樹海の大地へと吸い込まれていく。
キバガミもフレドリカもやるせない気持ちのまま目を伏せ、同じように泣き腫らした様な眼のつぐみが、動くことないメリーの身体を抱き上げ…そして、彼女は気付いた。
メリーの心臓が、はっきりとした鼓動を打っていることに。
はっとして、彼女はメリーの腹部を見ると、そこには何か塊のようなものがあるのが解った。
つぐみは一瞬ためらったが、ローブの下からその辺りに手を這わせ…やがて、ローブの下からそれを取りだした。
「これ…!」
それは、糸のようなものが絡みついている、壊れたキタラだった。
パルスィは恐る恐る、それをつぐみから受け取り…糸の正体に思い至る。
細く光る、蜘蛛の糸。
そして、このキタラを使っていた者が誰であったかを思い出した。
「…ヤマメの糸!
あの子の作る糸は…鬼の膂力をもってしても千切れない、魔性の糸。
…これが、盾になってくれたんだわ…!」
「なんと…!」
キバガミはすぐにメリーの脈から容体を探る。
そして、頷いた。
「少々、内腑に影響が出ているかもしれぬが、気を喪っているだけのようだ。
きっと、ヤマメ殿が彼女を守ってくれたのだろう…すぐに街へ戻り治療すれば、大事には至らぬかもしれん!」
「メリー…よかった…!」
メリーを抱きしめるつぐみは、もうひとつ対面から同じようにして抱きしめるその影に一瞬驚き、そして微笑んだ。
…
…
かごめ「とまあこんなあたりで第三階層は終わりやね。
最後は恒例となりましたスキル紹介をば」
つぐみ
回復マスタリー★10 HPブースト9 TPブースト3
キュア5 エリアキュア3 ヒーリング1 リジェネレート3 ディレイヒール1
リザレクション3 バインドリカバリ1 リフレッシュ1
博識1 伐採1
(グリモアスキル)
チャージサンダー1 チャージショット3 アクトブースト4 銃マスタリ8 TPブースト7 リチャージ4 ハーベスト3
キバガミ
HPブースト3 刀マスタリー★10
上段の構え★10 青眼の構え1 居合の構え2 無双の構え1
踏み袈裟1 斬馬3 卸し焔1 ツバメ返し5 一寸の見切り1 首討ち1 息吹1
採掘1
(グリモアスキル)
刀マスタリー4 憤怒の力7 TPブースト5 一刀両断5 血の暴走5 アクトブースト2 リチャージ3
パルスィ
剣マスタリー★10 ATKブースト5 TPブースト1
ヒュプノバイト1 ショックバイト3 ミラージュバイト1 ドレインバイト5 カタストロフ5
憤怒の力★10
(グリモアスキル)
猪突猛進★10 切断咬8 力溜め9 いらつく羽音★10 アクトブースト3 TPブースト9 リチャージ4
フレドリカ
槍マスタリー★10 HPブースト1
ロングスラスト★10 シングルチャージ1 レギオンチャージ1 ブレインレンド1
スピアインボルブ★10 ディレイチャージ3 クロスチャージ1
リミットレス1 ブラッドウェポン3 ハーベスト3
(グリモアスキル)
HPブースト4 盾マスタリー6 ファイアガード5 フリーズガード3 ショックガード4 バインドリカバリ8 リフレッシュ8
メリー
呪言マスタリー★10 TPブースト3
力祓いの呪言5 軟身の呪言3 幻惑の呪言1 狂乱の呪言3 昏睡の呪言3 石化の呪言2
封の呪言:頭首1 封の呪言:上肢1 封の呪言:下肢1
畏れよ、我を★10 命ず、言動能わず1 命ず、輩を喰らえ1 命ず、自ら裁せよ1
(グリモアスキル)
火の術式4 雷の術式4 フレイムハウル4 変性の術式3 定量分析6 デビルクライ9 術式マスタリー★10
※編注:コロトラングル戦では探索付加効果「グリモアのスキルレベル+2」適用した状態なので、グリモアスキルレベルはここの表記+2。
諏訪子「っていうか攻略したのレベルいくつだっけ?」
かごめ「つぐみとパルちゃん34、フレドリカ33、あと2人は35やね。
流石にB14Fの皆さまがやんちゃしまくってくれたおかげでレベリングせざるを得ない状態に」
諏訪子「まあそれでもワニ公のオーラ赤いままだけどなwww」
藍「いやお前らちゃんと解説しろよ…何処をどういじくったかとかそういう話をさあ…」
かごめ「そうは言うがな大佐、実際それほどでかい変更点がない以上語りようあるまい(´・ω・`)」
諏訪子「精々キバガミの首討ちが雑魚によく入るなあくらい?」
かごめ「そもそもこのあと大々的に引退ボーナス付与作業に入るからなあ。
ここまで露骨にやるなんて初めてのことだが」
諏訪子「実質二周目だからな、これ」
藍「そーゆー問題じゃねえだろ(イラッ」
かごめ「だが引退ボーナスのSP追加がないと話にならないところも多々あるからなあ。
勿論普通にゲームを進めるに当たってはそこまでやる必要はまったくないわけであるが…」
諏訪子「そもそもフレドリカにしてもクリア後に引き継いで転職ボーナスつけてるわけだしな。
ああ、こいつは簡単だな、兎に角雑魚にはロンスラ、ボス戦ではインボルブで大ダメージを生みだすのが仕事だ。
これもどうせ、レベリング作業で定量分析とアクトブースト、可能なら術式マスタリーも乗せるんだろ?」
かごめ「最終的にはメイン盾ポエットさんもいるからどうにかなるだろうということで」
諏訪子「えっじゃあ今回本当にレティはなんもしないのか」
かごめ「いても良かったんだけどそうするとヤマメとの二者択一になりそうな気がしてな。
まあ兎に角この先かなり滅茶苦茶な方向に進んでくだろうってのは間違いなさそうだ。何処かで輝針城の話も入ってくるんじゃないかなあ」
諏訪子「えっそれ関連してくるんですかかごめ者?」
かごめ「今回聞く限りでは、異変の元凶が清々しいまでの、狐野郎が最も嫌うタイプの小物みたいだからな。北斗の拳でいえばジャコウ、ダイの大冒険でいえばザボエラかマキシマムみたいな奴だし正直ぬえ以上に救い様ない、って言ってたからまあどう転んでも登用することはないんじゃないか?
機会があったらあたしか勇儀姉のどっちかがそいつを血祭りに上げる話でも書くかって言う話もあったようだが…まあそうなってないって事は、恐らくその尻拭いをする形であたしは樹海へ行ったことになるわけだろうが」
諏訪子「そういうメタい話は止めい><
つか藍がツッコむ前にいうけど世界樹の話しろよ」
かごめ「いやまあもうこの近辺ではないんですけどね(´・ω・`)
とりあえず次は恒例のこいし回だ」
諏訪子「はいはい馬鹿話馬鹿話」
かごめ「というわけで今回は以上。そろそろこちらも真相(笑)が色々明らかになっていくでよ」