かごめ達を加えた狐尾の面々は、そのままギルドハウスへ戻ることなく、枯レ森の樹海地軸へと向かっていた。
エトリアに戻るつもりなら何故糸を使わないのか、というキバガミ達の疑念を余所に、かごめはこれまでのことを順を追って説明し始める。
先にリリカが話したように、この異変を知った切欠は彼女らにあったが…その頃にはつぐみもまた異変のことを知っていた。
それもそのはず、魔装の暴走で傷ついたリリカを陽溜丘へ連れてきたのは、他ならぬつぐみであったのだ。
つぐみもその時には、リリカの魔装を鎮めるために自分の魔装を使い、その為に彼女の魔装も全く力を喪ってしまったという。
「…八雲の家がどの座標にあったかは知ってるから、あたしはそれをすぐに紫へ伝えようと思った。
だが…手遅れだったんだ。
そこに残っていたのは式の落ちた化け猫と、見る影もなくボロボロになった狐…藍の奴を叩き起こして聞いてみれば、紫はその精神と肉体を分離された状態にされて、小人の鎚の力で事もあろうに北極眼に囚われたと。
その時、不要と判断された紫の肉体もまた次元の狭間に放りこまれたって話を聞いたんだ」
「あたしは紫を探すべきか、異変の首謀者を見つけてとっちめるか、どっちを優先すべきか迷った。
そのとき、つぐみが言ったんだよ…私が紫さんを探す、お母さんは異変から幻想郷の子達を護ってあげて、ってな。
…紫の奴、精神が切り離される瞬間に、肉体に色々仕掛けをしてたらしい…あいつがすぐに、タルシスやエトリアのあるこっちの世界にすっとばされたことは、すぐに分かった。
あたしは限界までその可能性を切り詰め、エトリアの近辺に紫が落っこちたということまで確認してからつぐみを送り込むことにした。
紫の肉体が何らかの生命活動を行っているなら、恐らくは記憶を喪っていることは想像に難しくなかったから…もしそうなら、その紫が記憶を取り戻すまで面倒を見て欲しい、そうことづけてな」
「じゃあなにか!?
まさかつぐみの奴、メリーの正体が紫だって最初から知っていたのか!?」
「リリカの話を聞く限りだと、そうでもなかったみたいだな。
恐らくは紫の奴、同時に認識阻害の術式も組んでたんだろう…北極眼に閉じ込めた紫が精神体だけで、肝心要の「紫の魔力」を手に入れそこなった事を連中に気づかれた時の保険としてな。
そもそもお前らだって、紫の古い名前を知ってるだろうが。何故あいつ見たとき初見で解らんかったか考えてはみなかったのか?」
そういえば、と顔を見合わせるヤマメとリリカ。
「幻想郷は、さとりの言葉を聞く限りほぼ壊滅状態だ。
紅魔館の連中も魔界へ引いたし、白玉楼への境界もふさがれている…山や地底の連中も散り散りだ。
もっとも…一部の連中はこっちに連れてきてはいるがな。
今はそこが、あたし達に遺された最後の砦だ」
樹海地軸にたどり着くと、そこには一人の少女が立っている。
それは、コロトラングルの一件から行動を別にしていたフレドリカだった。
「待たせたな、リッキィ。
…ごめんな…シララは連れてこれなかった。あいつは、森へ還ったよ」
「ううん、いいんだ。私にも解ってたから。
それより」
「ああ、グラズヘイムへの道を開いてくれ。
最後のひと仕上げの為の確認もしておきたい」
わかった、と頷くと、フレドリカは懐から取り出した端末を操作し始める。
それと共に地軸の色が変化する…。
「リリカ達は既に呼んである。
あんた達も来てくれ…詳しい説明は、そこでする」
-新・狐尾幻想樹海紀行-
その18 「
ルナサ「どうせまだ元に戻ってないからポジション的にはヒマだろうとか言われて引っ張り出された…どういうことなのわけがわからないよ」
メルラン「まあかごめのやることだし仕方ないんじゃないかしら。
ここで連続して与太話が続いているのもなんかアレだけど、今回は本来ストーリーモードで攻略する場所、新ダンジョンのグラズヘイムについて解説する気みたいね。
クラシックでは一切登場しない場所なんだけど…そもそも、樹海とは別の場所にあるし」
ルナサ「攻略に絡まないならしても仕方ない気がするんだけど…」
メルラン「まあ、一応これが新世界樹の目玉でもあるからねえ。ここでカンタンに触れておけって事なのかしらね。
一応言っておくけど、ストーリーモードのストーリーに関わるネタバレ満載だから、ネタバレいやだって人は今回スルーしてもいいわ。
君はこの先を読み進めてもいいし、ネタバレを恐れて引き返してもいい(キリッ」
メルラン「ストーリーモードを始めると、地図作成ミッションのすぐ後にミッションが発令されて、主人公ひとりでエリア1の下半分の探索をすることになるわ。
固有の敵はまだこの段階では出てこないけど、相変わらずひっかきモグラが厄介ね。エキスパートだとモグラにタコられてそのままhageるというパターンが続出する危険地帯になるから、出来れば地図作成ミッションで5くらいまで上げて、ハーベストにも振っておかないと辛いわね。あと、ミッション受領中は街にも帰れないから注意が必要ね」
ルナサ「強制で一人って事は回復も難しいって事だからね。
何気にエンカウント率も低いし、入口付近の兵士に話しかければセーブと回復も可能なんでしょ?」
メルラン「けどさすがに戦い続けるのは難しいんじゃないかしら。
そして、奥の隠し通路にある端末を操作すると、コールドスリープしているフレドリカがいる部屋に入れるようになって、イベントが起きた後に彷徨いし駱駝とボス戦よ。
一応、ここで探索中だったサイモン達3りを加えた5りパーティで挑めるわ」
グラズヘイムA1(前半)ボス 彷徨いし駱駝
HP1120 耐性なし/炎、氷、雷弱点
ハンマーヘッド(頭) 一列に近接壊属性攻撃
メルラン「クラシックの血塗られた隻腕っぽいけど、こっちの方がHPも低い挙句弱点もあるからはるかに倒しやすいわね。
けど、何故か強制的に前列に来ているメディックさんをそのままにしてると、ハンマーヘッドされた時に高速でサイモォン!!して回復役がいなくなって死ぬ(迫真」
ルナサ「メディックは前衛に立つべきじゃない…とはいっても、伝家の宝刀ヘヴィストがあればむしろ前衛で殴れって事にもなるわけだけど」
メルラン「サイモンは剣のグリモア持ってるけど、この時点じゃ火力にもそんな期待はできないしね。
主人公レベル5と仮定して、槍マスタリー5振ってATKブースト1振りからハーベスト1振り、余りをHPブーストに振れば一人でも死にづらいし、そうすればボス戦では強力な必殺スキルとなるスピアインボルブも使えるわ。
基本はラクーナにフロントガードさせつつ、アーサーの三色術式とフレドリカの三色ショットにインボルブをセットで使えば、おおよそ4ターン程度でけりがつくんじゃないかしら」
メルラン「そして、ミッションを報告して異変…エトリアに頻発する地震の原因を探るべく、この5人でギルドを作って樹海探索と同時進行でグラズヘイムを調査するというストーリーの大筋がここではっきりするわ。
因みに例の三人、駱駝戦の直後の選択肢でいっしょに行動するかどうかの選択肢が出て、別れて進んでもまたすぐに合流することになるわ」
ルナサ「まあ…ストーリーに関わるんじゃあまり意味のない選択肢ではあるわな」
メルラン「そういうことね。
で、とりあえず樹海地軸からグラズヘイムの別のエリアに行ける事が解るので、基本的には新しい階層に来て地軸を見つけるたびに、グラズヘイムの新しいエリアに行けることになるわ。
第二階層の樹海地軸から行けるエリア1の別区画は、明りを端末で操作するとFOEが眠ったり動きだしたりするわ。FOEを移動させてやり過ごしてもいいし、明りをつけなければFOEは寝てやがるからバックアタックしかけて狩ってもいいし」
ルナサ「鳥と駱駝だっけ。
カーマインビークはボス部屋にも出てくる上に追尾型だから、寝てるうちに狩りたい相手ではあるよね」
メルラン「盲目攻撃も面倒だから、弱点を突いて手早く倒したいわね。
突・雷が通るのでインボルブとフレドリカのサンダーショットがあればそんな苦戦する相手ではないわ。
駱駝も基本的にはボス駱駝をちょっと強くした程度、カマキリが狩れるなら恐れる相手ではないわね。
で、奥の部屋に辿り着くといきなりボスの奇襲を受けるんだけど…」
ルナサ「クァールってFFにもいたよね、確か」
メルラン「ええもうブラスターが凶悪で凶悪で。
今は特に関係ないけどね。一応こっちのクアールはこんな感じ」
グラズヘイムA1(後半)ボス クァール
HP2980 雷耐性/氷弱点
常闇のゆりかご(頭) 全体に睡眠付与
這い寄る悪夢(腕) 単体近接斬攻撃
鬱屈した黒塊(腕) 前列に近接壊攻撃+物理攻撃力ダウン(3ターン)
無明の使者(脚) 全体に遠隔斬属性攻撃
※フロアに明かりがついていない場合、一部除いた一切の攻撃ダメージを与えられない。毒などの状態異常にはできる。
メルラン「これこそ本当に戦闘前の仕込みが必要なボスね。
何しろダメージが通らないから、倒す手段も限られてるわ。一応方法がないこともないんだけど」
ルナサ「あるんかい。
でもなんかロクな方法じゃない気がするなあ」
メルラン「サイモンに毒殺してもらうか、あるいはアーサーに光掌の術式をさせて光撃の術式のカウンターをさせる方法ね。
その方法でなら見えない状態のクァールにもダメージを与えられるわ」
ルナサ「気が長そうだなあ。
怖い異常は全体催眠が目につくけど、地味に攻撃力ダウンって痛いな」
メルラン「この時点で解除できる手段が少ないからなおの事ね。
フォレストウルフからデビルクライをグリモアで取れれば、サイモン辺りに持たせておくのもいいかもね。一応、ブラッドウェポンでも相殺はできるけど。
攻撃面はまあ、駱駝なんかと一緒ね。氷弱点なので氷の術式とアイスショット、インボルブの組み合わせで大ダメージを狙うという」
ルナサ「というか基本的にはみんなそれでいいんじゃないか?
ストーリーは進めやすさ重視なのかパーティバランスが面白みないくらいバランス取れ過ぎてる、ってかごめが愚痴ってたような」
メルラン「確かにそうかもね。
今までの世界樹はシステム面に比重を置いてた感じするけど、ストーリーを重視した結果かしら。
まあエキスパートならそれなりに死ねますが(迫真」
…
…
〜グラズヘイム エリア5〜
無機質なその建造物…その一角に転移してきたかごめ達を出迎えたのは、恐らくはここで外部の魔物の侵入を防ぐ見張りをしていただろう見慣れた冬の妖怪。
「遅かったわね。
それに…随分手酷くやられたじゃない。早く治療設備に連れて行ってあげなきゃ」
「ああ。
それよりあいつらは来てるか?」
「エトリアでウロウロしてたのを、さっき早苗が連れてきたところよ。
マイクとか言ったっけ? あいつの解析結果も出たから確認してって教授も言ってたわ」
かごめは頷き、扉を開けた先で出迎えたミスティアとルーミアにつぐみ達を託し、奥の部屋へと進んでいく。
その整備された区画をきょろきょろと窺いつつ、ヤマメは感心したように呟く。
「へえこりゃすごいな、最近できた核融合センターみたいだ」
「あんたそんな所に何しに行ったのよ…普通、私達でも用事のない場所じゃない」
「物見湯山ってやつだ、山の神様と河童どもが何しでかしたのか気になるじゃん」
呆れ顔のパルスィを余所に、ヤマメは興味津津と言った感じできょろきょろと見回している。
「技術的には、核融合センターよりも一段階上…というより、多分に魔力的なものを含むあの施設と、純粋に科学技術の粋とも言えるこのグラズヘイムとでは、方向性が別と言えますね。
この世界は、それほどまでにかつては、物質文明が発達していたということなのでしょう」
さとりはどこか悲しそうな表情でそう呟く。
「物質文明からは、精神的なモノが失われていく。
人間の精神世界の恐怖から生じた妖怪や神の生きられない世界」
「…メリーお姉ちゃんや蓮お姉ちゃんみたいに、それでもその世界に存在する不思議なものを研究していた人もいたけどね。
あの人たちがいなくなってから数年のうちに、国々は戦争を初めて、お互いを滅ぼし合ってしまったわ…世界浄化の遺産である世界樹と、それがもたらすであろう災厄に対抗する兵器…「グングニル」起動施設であるこのグラズヘイムを遺して」
そう話すフレドリカの振り向いたその表情も、悲しそうに笑っている。
「…蓮お姉ちゃん…ううん、かごめさんからも総て聞いて、思い出せたんだ。
あなた達と一緒に居たあのひとが、私の知ってるメリーお姉ちゃんで…つぐみの顔はメリーお姉ちゃんにも、蓮お姉ちゃんにもそっくりだったのにね。なんで気付けなかったのかな」
「あんた、この連中を知ってたのか?」
頷くフレドリカ。
「時間軸がだいぶ無茶苦茶になってるが、確かにこの世界はあたしと紫が元いた世界だよ。
ゼミの講師だったアーヴィング博士が世界浄化のプロジェクトに関わってた関係で、あたしもちっこい頃のこいつの面倒よく見てやったんだ。
…まさか、その後に飛び級に飛び級重ねて十四で博士号取ってるまでなるとは思ってなかったけどな」
かごめが乱暴にフレドリカの頭を撫でまわす。
不機嫌そうな表情で僅かにそっぽを向く姿に微笑みながら、目の前の扉のパネルをかごめが操作すると、音もなくその扉が開く。
そこにはにとりを筆頭とする見慣れた数人の河童と、夢美の姿があり、何やら忙しそうに作業をしているようだ。
その奥には、重厚な黒い柱に何か明滅しているのが見える。
「よお、ようやくお戻りかい。
…決戦の時は迫っているようだね」
奥の方からのそのそと、その場所では場違いにも見える一頭のカイリューが、何処か偉そうに歩み寄ってくる。
「あんた今の姿だと本ッ当に威厳のカケラもねえな、神奈子。
大人しくモンスターボールにでも入ってろよ、どうせ此処じゃろくすっぽ戦えないだろ」
「うっさいね。なりはこんなだが一応ポケモン界が誇る600族ドラゴンなんだ。
…人間の身体を持ってるあんたや秋姉妹と違って、信仰が無くなっちまったらあたしゃ消えるしかなかったが、ベースにこの姿持ってて正直助かったよ」
守矢二柱のやり取りもよそに、かごめはその黒い柱…グラズヘイム中心端末であるそれに話しかける。
「ハロー、マイク。
調子はどうだい?」
その言葉に応えるかのように、黒い柱に明滅が走り…そして、その声が響いてきた。
-極めて良好です、かごめ。
計算結果はすべて出ています。
治療設備からのフィードバックにより得られたデータからも、それを裏付ける結果が出ました。
残るは、遺都最下層、「天地の玉座」に眠る膨大な魔力を全て「グングニル」のエネルギー機関に集束するのみです-
「起動時に発生する衝撃波による周囲への影響は?」
-余剰エネルギーを格子状に形成した荷電粒子によって、射出口より擂鉢状に展開することにより、この施設含め周囲へ放出される衝撃波は99%まで緩和される計算です。
この施設は勿論、エトリア及びその周辺区域に一切の被害を出さないことを保証いたします。
あとは、この引き金を引くつぐみ次第、というところですが…彼女の回復率が99.5%を超えた状態であれば可能です。
その為に治療ユニットでの三日間の療養が要求されます-
「上出来だ」
その言葉に、かごめは鷹揚に頷いた。
…
…
メルラン「第二階層からはもうアレね、ボスラッシュみたいな感じで連続でボス戦が待ってるわね。
ケルヌンさんからエリア2のクイーンビー、クイーンアント、コロちゃん、そしてエリア3の牛公」
ルナサ「おい後半なんか滅茶苦茶だぞ説明。
おおよそ10レベルくらい上げるところでボス戦が連続して5回もあるってすごいよね」
メルラン「ここまでやるとやり過ぎ感も否めないけどねえ。
先ずはエリア2で、グラズヘイムの中枢システム「マイク」を起動する為に、非常電源盤に巣を作りやがった不貞なハチを駆除することになるわ。
そのボスがクイーンビーね」
グラズヘイムエリア2ボス クイーンビー
HP3888 耐性なし/炎弱点
ローヤルゼリー(頭) 5ターンの間リジェネ効果がつく
幻惑の花粉(頭) 全体に混乱付与
もどかしい激昂(頭) 全体にスタン+頭封じ付与、クイーンビー後衛の時にのみ使用
破砕する顎(頭) 拡散斬属性攻撃、クイーンビー前衛の時にのみ使用
飛散する毒針(脚) ランダム回数突属性攻撃+毒付与、同じ対象には1回のみヒット、クイーンビー前衛の時にのみ使用
仲間を呼ぶ(依存なし) ノーブルビー(HP1288)を前衛に二体呼ぶ
メルラン「ぶっちゃけるとこいつ、そんな強いボスじゃないわ。
毒や頭封じは面倒くさいけど、こいつの面倒くさいのは時々呼ぶノーブルビーや、配置によっては乱入の可能性があるFOE巡回する青蜂。こいつら麻痺攻撃を仕掛けてくる挙句、「風の瞬き」で全体の回避率を上げてきやがるの。
これがかかるともうほとんど当たらなくなるわよ。これでローヤルゼリーなんか併用されたら絶叫モノね」
ルナサ「ポケモンにも輝石ラッキーとかいうのがいたけどそれの親せきか何か?(しろめ」
メルラン「やめてよそういう冗談…。
ウニコウルが手に入るのはまだまだ先だし、対処法があるとすればこのエリアに出てくるかぎつめモグラから「必中の刃」を取得して対抗するか、強引に誰かのレベルを30まで上げてカースメーカーに転職、幻影の呪言で打ち消すくらいかしらね。
回避さえどうにかできれば、こんなハチどもは良く燃えるから焼却処分すればいいわね」
ルナサ「ビークインもスピアーも大したことないポケモンなんだけどなあ」
メルラン「ポケモンの話はもうよろしい(迫真
で、エリア3に来るともうマイクが機能をだいぶ取り戻していて面倒な仕掛けはなくなるけど、色違いワニの貪食の王者が重要なルートに陣取ってるから、こいつをうまく退かして進むことになるわ。
追尾タイプではあるけど、一度扉向こうに離れると、疲れて暫く動きが止まってるからその隙に通り抜けるといいわね」
ルナサ「追尾が解除されると、その後の行動中に追尾条件満たしても反応しないFOEはこの他にもいくつかいるよね」
メルラン「まあ、青ワニ退治出来れば強さそんなに変わらない上に、スキルも列範囲で狭くなってるから狩ってもいいんだけど。
で、ここで端末前に不貞な牛野郎がなんか電力勝手に奪ってるからなんとかしろ!みたいなことをマイクが言って来るから、その牛野郎をぶちのめす事になるわ」
ルナサ「えっなんか違う気がするんだが…」
メルラン「というわけでエリア3のボスが牛野郎グアンナ」
グラズヘイムエリア3ボス グアンナ
HP9494 耐性なし/氷弱点
逆巻く怨嗟(頭) 全体に呪い付与+物理防御力ダウン
荒れ狂う鼻息(頭) 3ターンの間物理・属性攻撃力アップ
かち上げ(頭) 近接列突攻撃+腕封じ付与
刹那の刺突(頭) 貫通突属性攻撃、即死効果あり
稲妻の突撃(脚) 全体雷属性攻撃
踏みにじり(脚) 拡散壊属性攻撃、麻痺を付与
メルラン「強さ的にはコロトラングルとそんなに変わらないけど、こっちは雷があるわね。
挙句面倒くさいのが貫通の即死攻撃」
ルナサ「どうでもいいけどかちあげって攻撃、シリーズ御馴染の鹿も確か使ってきた様な」
メルラン「一部漢字になってるから別性能なのよきっと(迫真」
ルナサ「適当なこと言ってるんじゃないよ。
しかし、直前のボスが氷耐性の氷属性メインボスで、直後に雷属性攻撃の氷弱点ボスとかややこしいな」
メルラン「そんなこと言ったら第三層は前半氷属性の通りがいいのに、後半は炎属性の通りがよくなってややこしいことこの上ないわ。
ああ、この牛は即死にさえ気をつければ、あとはおおむね雷を対策しておくだけでおkよ」
ルナサ「えっそんな簡単なのでいいのか」
メルラン「余り成功率は高くないけど、リッキィが牛野郎をのーみそぶー状態にしちゃえば後はショックガードをしながら定量氷からのインボルブを打つだけの簡単な作業に」
ルナサ「確かに狙うなら頭だとは思うがなあ」
メルラン「という辺りで尺もなくなってきたし、エリア4と最終エリア、そして第五階層の解説は次回しになるわね。
残りはまあ、いつものアレよ」
ルナサ「適当だなあ」
…
…
〜グラズヘイム・エリア5 会議スペース〜
「単刀直入に言おう。
第五階層…遺都の構造はあらかた把握できてるんだ。
…だが、一つ問題があってな」
狐尾のメンバーを含む、グラズヘイムに居る幻想郷の面々を集めたその席上で、かごめが重々しく口を開く。
「ぶっちゃけると遺都として探索できるエリアはまあ…ケロ様は知ってるか、新宿モノリスって。
まあアレや東京都庁に類する高層ビルで、あたしもヒマつぶしで何度か来た事あるんだが、地下層は特殊研究施設だったと見えて進入禁止だったんだ」
「モノリスってと都庁の近くの馬鹿でっかいビルか?
確かメガテンでもあの辺りになんか色々あったな。お前の元いた世界ってのも大概だなオイ…まあ、ここがそうなんだけどさ」
「まあそれはいいとしてだな。
リッキィの言葉を信じれば、この世界に起こった大異変が核戦争なのは十中八九間違いなかろ。
そいつを耐えて遺構が残ってるほどの場所だ。「天地の玉座」があるだろう区画の扉も恐らくは生半可な攻撃も通らねえだろうし、かと言ってあたしが本気で魔法剣でもぶっ放せば多分中身もおじゃんだ。
穏便に中に入る為には、恐らくロックを解除する為のカードキーが必要になるだろう。マイクのデータにもそれに類するものはねえってことだし、そいつを可及的速やかに探し出す必要がある」
「おめぇそれ自分ならぶっ壊せるって前提で話してるなオイ?
私の目は誤魔化せねえぞ、お前一度あの扉に爆炎覇ぶち込んでたよな?」
かごめは諏訪子の指摘を一切無視して話を続ける。
「兎に角だ。
一応ロックコードの解析もマイクにさせているが…何しろ文の遠隔望遠写真だけじゃ無茶なことこの上ない。なんせあそこには容易に近づけねえんだ。
何の目的でそこに居るか知らん二人組が邪魔してきやがるんでな」
「二人組?」
「ああ。
明らかにブシドーと思われる長身の、冷てえ眼ェしたスカした女と、それにくっついて歩いてる呪言師の小娘だ。
多分人間ではあるんだろうが…いや、正直あたしとケロ様でも手古摺りそうなんでな。出来れば穏便に済ませられればそうしたい」
かごめが差し出してきたその写真…恐らくは、文が撮ったものであろうが…を見たキバガミ、ヤマメ、パルスィの三人は眼を見開く。
そして、リリカの脳裏に過る一言。
-君らの力であれば、この樹海の真実が眠る枯レ森…そしてその先にある「遺都」へ辿り着くのも容易かろう。
その時、再び相まみえるかもしれぬ-
「執政院の資料も失敬して調べてみたが、こいつら、登録上は死亡扱いにされてやがるらしい。
どちらも、一年前の事件で死んだ前の長の懐刀のような存在だったらしいが…」
「…馬鹿な…この二人は確か、生きて…!
そうだ、拙者達は確かに会ったぞ。確か、狼の森で」
戦慄くように呟くキバガミにかごめは怪訝な顔をする。
さとりは頷く。
「キバガミさん達だけではないですね。
リリカ、こいし。あなた達も…彼女らに会っていますね?」
眼を閉じた代わりに第三の眼を見開いているさとりに、リリカは頷く。
「私達が二人に出会ったのは大密林だよ。
まるで…私達が遺都に辿り着くのを待ってるかのような事を言っていた」
頷くかごめとさとり。
「なるべくなら戦いは避けたいところではあるが…キバガミ、悪いがあいつらの事はあんた達に任せたい。
連中を始末する必要はない、あたし達が遺都最深部まで行く時間稼ぎをして欲しいんだ」
「私達三人でか。
だよな、つぐみも紫もそっちにいってた方がいいだろうしな」
「そういうこった。
あとの連中は、不測の事態に備えてグラズヘイムで待機。
枯レ森まで連中がやってきてしまった事を考えれば、ここだって決して安全地帯じゃねえ…鬼人正邪が見境なく小槌の力を振るえば、周辺の魔物は勿論樹海の連中までこっちに押し寄せてくることは想像に難くないだろう。
カナさん、そうなったときの指揮の全権はあんたに恃みたい」
「解ったよ。
ようやく、軍神らしい役割が持てそうだね」
そして、立ち上がるかごめ。
「つぐみ達が回復し次第、あたしとあんた達で遺都に向かう。
そして…その日が恐らく決戦の時だ。
奴らも黙っては見てはおるまいが…」
その時、けたたましいサイレン音が鳴り響く。
慌てて駆けこんできたみとりにかごめは誰何する。
♪BGM 「戦乱 深紅の剣戟」(新世界樹)♪
「何の騒ぎだ!」
「大変だっ…グラズヘイムの防衛装置が一部暴走を始めたんだ!
さらに端末からすごい勢いでコントロールが奪われ始めてる!」
そして、聞き覚えのある声がスピーカーを通して流れ始める。
-ははっ、こんなところでこそこそと隠れてやがったんだね!
けど愚かだ、このカラクリの塊は、言うなれば付喪神と同じようなもんさ。
私達の力を持ってすれば…ほぅら、この通りさ!!-
正邪の哄笑と同時に、グラズヘイム全体が轟音と共に揺れる。
「ちっ…本家本元のじゃねえから限度はあったか」
「今教授が必死で浸食を食いとめてるけど、正直気休めにしかならないよ!
攻性防壁がこっち攻撃してくるなんて…!」
さとりは頭を振る。
「ネットワークも何もあったものではない。
それぞれの端末単位に影響してくる力です、防ぐ方法が既に間違っているとしか言えませんよ…というか、世界を隔てても影響してくるとなるとどう手を打ってみようもありませんね」
「そんな御託はどうでもいいわこの際。
兎に角、防衛装置を黙らせるぞ」
-へえ、そんな簡単に済ませられるもんか。
お前らのもうひとつの切り札…今どうなってるか知らないわけじゃないだろ…?-
その言葉に顔色を変える面々。
勝ち誇ったようなその哄笑を打ち破ったのは…。
-御心配には及びません、みなさん。
私は…この力には屈しない-
かごめの持っていた携帯端末から流れてきたその声は…マイクのものだった。