〜翠緑ノ樹海 B3F〜
♪BGM 「全人類ノ非想天則 〜 核熱造神ヒソウテンソク」/SOUND HOLIC feat.匠眞♪
リリカ「なんぞ…これ(しろめ」
あらすじッ!
翠緑ノ樹海に眠るという伝説の山族王・エドゥの宝を探しに来ていたリリカ達だったが、その宝があると思しき部屋に待っていたのは巨大な石造りの魔神であったッ!
この恐るべき守護者を打ち倒し、リリカ達はお宝を手に入れることができるのかッ!?
リリカ「そういうナレーションはいらん!!><
いや、そりゃまあ確かにこの手の話にこういうハプニングはありがちな話だと思うんだけど…」
こいし「うおーかっけぇー!!守矢神社のヒソウテンソク(笑)とかいうのとは大違いの迫力だーひゃっほーい!!><」
リリカ「( ̄□ ̄;)喜んでる場合かー!!
いやちょっと待って、流石にこんなのとは戦ってらんないんだけどっていうかもうなんか逃げられそうな気配ないでしょこれ…」
ルーミア「ねーポエット、なんか私すっごくこいつに見覚えあるんだけど…」
アンナ「私もどっかで見た記憶があるんだけど…うう、私の封じられた記憶(トラウマ)がッ…!!」
ポエット「…あ、そういえばなんかアレだ、バタビアの近くにある島の遺跡にこんな奴いたねえ。
なんかどっかで見たことあるようなふいんき()の三人姉妹とえーと…ってなんでアンナさんそんな珍妙な苦しみ方してるんですか^^;」
アンナ「そりゃあ見たことあるものこいつ!!><
ハイ・ラガード公国領の外れにある禁忌ノ森、その番人である石造りの古代魔神ゴーレムよ!!
あのアホ女王の所為で私こいつに酷い目にあわされたんだからー!!なんでこいつこんなところにいるのよふざけんなあああああああああああ!!><」
ルーミア「あーそうだ、ゴーレムゴーレム^^
あのシグナルみたいな三姉妹楽しかったよねえ、みーんな調子に乗ってカウンター喰らって吹っ飛ばされて何しに来たんだって感じで」
ポエット「うーん、てことはこの手の動く石造系の何かってわりとそこいら中に配置されてるんだ…^^;
もしかして、一度倒しても再稼働する性質も一緒だったりして」
アンナ「ひぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!><」
ルーミア「…ポエットやめよう、なんかアンナが色々限界だ^^;」
ポエット「でもなんか戦闘が回避できない気配みたいだけどねえ、どうしましょう」
こいし「決まってるじゃない、ぶっ壊そう!!(きっぱり」
ルーミア&ポエット「( ̄□ ̄;)なんかこの無意識無茶苦茶言ってるー!!」
-新・狐尾幻想樹海紀行-
その21 「帰ってきた古明地こいしのドキドキ樹海探索ラウンド6」
ルナサ「ああああリリカ大丈夫なのか…(;´Д`)」
メルラン「ここで私達がくっちゃべってるってことは大丈夫でしょ何狼狽してるのよ。
というわけで、クエスト「冒険者の魂に安らぎあれ」ね。
実はこれ、第二階層に入ってすぐに受領できるクエストなんだけど…」
ルナサ「あ…なーんだ図体でかいだけで見かけ倒しかー私達の愛するリリカの敵ではないn」
メルラン「ところがどっこいゴーレムはHPこそ6000とケルヌンノスとそうは変わらないけど、攻撃性能は三層ボスコロトラングル以上のバケモノよ。
故に受領可能時期で挑むのは愚の骨頂、適正攻略時期はイワォに挑む直前辺りと専らの評判の地雷クエストよ。写真のリリカ達のレベルで気付きなさいよ」
ルナサ「( ̄□ ̄;)おいィィィィィィィ!?」
メルラン「というわけで解説していくわね、まずはゴーレムの能力よ」
クエスト「冒険者の魂に安らぎあれ」ボス ゴーレム
HP6000 弱点なし/物理強耐性
フラッシュ(頭) 全体に盲目付与
ロックハンマー(腕) 拡散近接壊属性攻撃
トリプルハンマー(腕) ランダム対象に3回の近接壊属性攻撃
リジェネ(頭) 3ターンの間HPがターン終了時回復(500前後)
フォースウォール(頭) 3ターンの間属性防御力アップ
パワーウォール(頭) 3ターンの間物理防御力アップ
※HPが0になった時1度だけ、HP3000回復して復活する。毒ダメージで撃破した場合この効果は発生しない。
メルラン「ゴーレムは世界樹でも4以外でほぼ皆勤してたボスね。
3でも大航海クエストのボスとして登場してるけど、実は初撃破のメンバーはシグナル三姉妹のクエストでリリカとポエットね。
これも本当に面倒くさい奴で」
ルナサ「なんかざっと見る限りだとそんな大したことがないように見えるんだが…復活しても実質HP9000くらいじゃないか」
メルラン「3の大航海クエストの時は三色弱点だったけど、まずここでは弱点がないわね。
何よりもこいつ、火力がメチャクチャよ。適正レベルで挑んだ場合でも、バフデバフ抜きでロックハンマーのダメージがエキスパートで250近く食らうわ。トリプルハンマーだと一発200くらい、どっちもアンナかルーミアが受けたら余裕で一発蒸発するわね」
ルナサ「えっなにそれこわい」
メルラン「その上に物理が通らないと来てやがると。
もっとも、50くらいまで上げてあるから攻撃面では心配ないわ。次は挑んだ時のリリカ達の紹介をざっとするわね」
リリカ(60でレンジャー→ハイランダーへ転職)
槍マスタリー★ HPブースト1 ATKブースト5
ロングスラスト★ スピアインボルブ★ シングルスラスト1 レギオンスラスト1 ブレインレンド1
ディレイチャージ3 クロスチャージ1 スティグマ★ ブラッドウェポン3 リミットレス1
血の暴走3 ハーベスト3
グリモアスキル
アクトブースト9 リカバー5 定量分析7 アクトブースト3 槍マスタリー8 リチャージ3 ホーリーギフト5
こいし(60で引退引き継ぎ、ソードマン)
剣マスタリー★ HPブースト2 TPブースト2 ATKブースト3 DEFブースト3
レイジングエッジ★ トルネード5 パワースラップ1 ハヤブサ駆け1
追撃の号令★ トライチャージ★ ウォークライ5 リカバー1
採掘1
グリモアスキル
ヘヴィショルダー★ 沈黙の爪★ チェイスファイア7 カタストロフ7 剣マスタリー4 ホーリーギフト4 AGIブースト5
ポエット(60で引退引き継ぎ、パラディン)
盾マスタリー★ HPブースト★ DEFブースト2
フロントガード1 バックガード1 ファイアガード5 フリーズガード1 ショックガード5
パワーディバイド1 シールドスマイト1 挑発5 パリング5 キュア5 エリアキュア3
安息の祈り7 採掘1
グリモアスキル
ロングスラスト★ スピアインボルブ8 猛き戦いの舞曲4 聖なる守護の舞曲4 火劇の序曲5 癒しの子守歌1 歌マスタリー8
アンナ(60でカースメーカー→アルケミストに転職)
術式マスタリー★ TPブースト★
火の術式1 雷の術式1 氷の術式5 火炎の術式6 氷結の術式3 雷撃の術式3 大氷嵐の術式★
握壊の術式1 定量分析★
博識1 精神集中1 伐採1
グリモアスキル
炎の渦★ 水乱射9 森の結界7 フリーズガード5 氷幕の幻想曲1 盾マスタリー★ 術式マスタリー8
ルーミア(60で引退引き継ぎ、レンジャー)
弓マスタリー★ AGIブースト★ HPブースト3 先制ブースト3
パワーショット5 エイミングフット★ ダブルショット5 サジタリウスの矢1
シュアヒット1 アザーズステップ★
エフィシエント1 先制ブロック1 採取1 伐採1 採掘1
グリモアスキル
力溜め8 森の結界8 弓マスタリー8 TPブースト7 ATKブースト8 樹海錬金の知識1 ホーリーギフト4
メルラン「基本はルーミアに結界を張らせて、アンナの火炎の術式をチェイスしてアクトブーストからのインボルブね。
単体火力として一番威力あるのが火炎の術式だから炎メインにしたというか」
ルナサ「普通にそれってこいしの野郎に持たせるチェイスがファイアしかなかってだけの話とか言わんか?」
メルラン「引退前に取れたチェイスがこれしかなくってねえ(´Д`)
欲を言えば追撃の号令もグリモア化はしたかったみたい」
ルナサ「前提が馬鹿みたいに重いしなあ。
そういえばあの無意識斧持ってなかったっけ?」
メルラン「秋神に持たせることにしたらしいわ、斧。
あとこの頃からその汎用性に気付き始めたのがトライチャージね。係数は力溜めに劣るけど、属性もチャージできる事と何より命中率補強が大きかったみたいで」
ルナサ「水乱射かなり外れるからねえ」
メルラン「その為にシュアヒットあるんだけど、レベル1だとほとんど焼け石に水ね。
あと幻想曲ねじ込めば弱点は無理矢理作れるけど、意外と時間がないのよ。
後は守護の舞曲張ればかなりダメージ軽減できるし、その上に絶対ミストまで撒いて防御面は万全。あとはひたすら殴るだけよ。
因みに最初の方でこいしが持っていた斧が、こいつの条件レアから作れる最強斧よ」
ルナサ「もう本当になりふり構わず裏技駆使して金稼ぎしてたんだな…260000エンとか書いてあるんだけどあの斧の売値」
メルラン「ストーリーで偶然に腕縛って終わったんだけど、実は腕封じはかなり入りにくいらしいのよね、ゴーレム。
あとゴーレムのスキルのうち、グリモアにできるのはロックハンマーとトリプルハンマーなんだけど、ロックハンマーはスキルレベルが変わっても性能に差がない挙句、オオナマケモノから取れるひきさく剛腕のレベル1と同じ威力で消費TPが倍近くあるという地雷スキルよ。
トリプルの方は滅茶苦茶性能いいんだけど」
ルナサ「地雷と言えば、無印では挑発とかシャドウエントリとかが実際効果を発揮しない地雷スキルだったらしいねえ」
メルラン「一応その辺も是正されているんだけど、4からさらにタゲ取り・タゲ回避系のスキルは弱くなってるわね。挑発レベル10でも7割引きつければ御の字って感じみたい」
ルナサ「折角修正されたと思ったらさらに歴代から下方修正されてるとか酷い話だなあ」
メルラン「で、このクエストなんだけど…。
第二階層で手に入る白い水晶の扉が開けるカギというか、水晶入手しないと進行しないわ。そもそも、ゴーレムの居る区画に行くためにはB5Fの水晶の扉から行かなければいけない場所ですもの」
ルナサ「そういえば、地味にその解説がまだだったよな。
白と紫があったけど…」
メルラン「白はB7FのF1にある宝箱、紫はB13FB2にある宝箱に入っているわ。
なんか重要な秘密があるのかもと思ったらそうでもないみたいでねえ」
ルナサ「ただのカギでしかないってオチなのかしら」
メルラン「まあそれはさして重要でもないことなので。
実はこの依頼、ゴーレムに殺された孫の敵を討ちたかったおじいさんが、伝説の山賊の宝をでっちあげて出した依頼なの。
ゴーレムを倒して調べるコマンドをしても、何も見つからなかったことを報告に戻ると、その事が解るの。
おじいさんは結局、自分が愚かなことをしたと後悔して取り下げようとしたところに、ゴーレムを倒した冒険者たちが戻って来て…みたいな感じの話らしいわ。
ストーリーだと、ラクーナがかなり釈然としない感じの感想を漏らした所に、アーサーが「そんな嘘なんか吐かなくてもいいのに」みたいなことを言ってたしなめられるシーンが入るんだけど」
ルナサ「けどさ、ストーリーを追っていくと、アーサーはお調子者に見えて実は結構純粋でいい子だってことが解るのよね。
最初はなんかノリが軽くてお調子者丸出しの彼をウザがってたボウケンシャー達も「もう男の娘でもいいや」とかいって一気に裏返ったとか何とか…」
メルラン「…うーんニュアンス的には間違ってないところがツッコみにくいわね。飛竜イベントだとわりとヘタレな面も見せるし。
ストーリー終了者も増えた現在ではもう、アーサーは愛すべきアホの子として認知されてるわね。
なんていうのかしら、二次創作周辺でだけど私達の近辺で似たような奴を挙げるとすれば…チルノ?」
ルナサ「あー、解る解る。
男の子版チルノとか、そんな感じだよね」
メルラン「お空ほど鳥頭じゃなくて、所々でそこそこ頭使ってる形跡があるあたりもチルノっぽいわね。
レベルアップ時の「オレ、えらい!」が「あたいったら最強ね!」に通じるモノがあるわ」
ルナサ「火力的には一番頼りになる辺りは…二次創作のチルノもその辺り侮れないからなあ。
アーモロードでは真祖の頭をハンギングで封じたりもしやがったしね」
メルラン「リリカが言っていたわね、あの時のチルノにはなんか降りてたって。
あの日リアルで9月9日(2011年9月9日)だったのはなんかの因縁だったのかしらってくらいのレベル。
…っと、話は完全に横道それちゃったけど、報酬は額面通りキチンともらえるし、経験値も見合った量もらえるわ。
このクエスト受領可能時期で攻略した猛者はいるのかしらね…?」
…
…
女将「…おじいさんも悔しかったんでしょうね。
余りにも、お孫さんを殺した魔物が強過ぎて…魔物の名前を出した時点でみんな断ってしまう。
だから…実在も定かでない、大昔の山賊王の宝をエサに冒険者を騙そうとした…けど、そうやって受けた冒険者が命を落として、その家族が苦しんだら…その事に気付いたって。
……でも、あなた達がそれでもそいつを倒してきてくれて、おじいさんは本来の報酬の他にこれを使って欲しいって」
女将はリリカに、立てかけてある盾を指さす。
質素ではあるが、整ったフォルムの気品さえ感じさせる盾だ。
女将「彼は、前途有望なパラディンだった。
同じように樹海に挑んで…ある事件に巻き込まれて死んだその父親から受け継いだ、この地方では最高級の盾。
彼は…最後まで仲間を守ろうとして、一歩もゴーレムの前から引かなかったそうよ」
アンナはその盾を見て息を飲む。
アンナ「聖騎士の盾だわ…!
「仲間を守る」という精神を体現する、所持することそのものが一流の聖騎士の証とされる」
ポエット「そんなモノを戴いてもいいんですか!?」
女将「あなた達を騙した自分に、これを持っている資格はないと…その方が、きっと孫も喜んでくれるって。
もっとも、受け取るかどうかはあなた達次第よ」
…
こいし「ちぇーっ、さぞすごいお宝があるって思ったのになー」
リリカ「そういうこと言わないの。
でも…そんな嘘なんか吐かなくたって、良かったのにね」
ルーミア「そうだね。
…だけどさ、良かったじゃん。私達があいつを倒したおかげで、おじいさんもきっと救われたんだと思うし…それでいいよ」
リリカ「そうね…って、アレは…」
リリカは目の端に、その人物の姿を見つける。
何処か覚束ない足で歩くそのコートの人物は…彼女らも知る探偵、オースティンだ。
常に寝不足でいるため、最初はそうなのかと思った。
しかし…その額から血が滴り落ちており、明らかに尋常でない様子に顔を見合わせ、リリカ達は彼のもとへ駆け寄る。
一瞬警戒したオースティンだったが、安堵したのか、その場に力なく崩れ落ちる。
「オースティンさん!?
…大変!凄い怪我…!」
「そ…そうか…君たちも戻ってきたところか…。
僕の運も…まだまだ尽きてはいなかった…な」
「しゃべっては駄目よ!
…良かったわ、ギルドハウスはすぐそこだわ」
アンナとポエットは肩を貸してやり、傷ついたオースティンをギルドハウスに運び込むと…リビングの長いすに横たわらせる。
そして運良くと言おうか、丁度樹海からキバガミとつぐみも戻ってきたので手当てを受ける…。
Mission.10 「名探偵、暁に倒れる(後)」
「…ふむ、決して軽いものではないが、命に別条はあるまい。
腹部の刺し傷は深いが、やった者の手並みが鮮やかだったおかげで…ふさがるのも早いだろう」
「そう…良かったわ。
でも、いったいどうして」
アンナの言葉に、オースティンはポエットから飲ませてもらったコーディアルを飲み下すと…弱々しいながらもふだんの調子で話を始める。
「…なに、ちょっとバラデュールの奴と…決着をつけに行っていたのさ。
少々腹を破られてしまったが…僕は昔、東国で不思議な術を学んでね…そのお陰で、僕が死んだと思って近づいてきた奴の隙をつき、最後の一手を打つ事が出来た」
「決着!?
探偵さん、そのすっごい悪い奴を捕まえるんじゃなかったの!?」
眼を丸くして、珍しくも少し呆れたような口調のこいしに、オースティンも苦笑が隠せない。
「勿論そのつもりだったさ…僕はまず…酒場にいた奴に近づいた。
…奴は間抜けにも、自分の変装がまだ見破られてないと思いこんでおり…僕の誘いにまんまと乗って来たよ。
そして…蒼樹海の滝へと奴を呼びこんで…ああ、あの最後のひと幕は君たちにも見せてやりたかったなあ…!
あの大滝を背にしての僕らの巧妙たるやり取りは…君らが、樹海で得る危険に比しても決して劣るまい…!」
怪我と疲労で弱々しくはあったが、その口調、その表情はリリカ達のよく知るオースティンそのものだった。
リリカ達も呆れたように溜息を吐きながらも、興味津々でその話に目を輝かせるこいし、ルーミアを中心に、彼の話すその顛末に耳を傾ける…。
…
その話に引き込まれて手に汗握りながら聞き入るこいし達に、どこか嬉しそうな様子で語るオースティンの長い長い話が終わると…彼は、溜息を吐いて僅かに表情を曇らせる。
「…奇妙なものだね。
ヤツを止める事が出来たならば、僕の経歴に最高の瞬間がおとずれると思っていた」
「違うの?」
わけがわからない、と言わんばかりに小首をかしげるこいしに、オースティンは何処か自嘲的に笑う。
「今はなんというか…気が抜けてしまった、というのかな。
奴は僕諸共、滝つぼに落ちた。
僕は運良く流木に捕まり難をのがれたが…奴の姿が滝つぼの激流に飲み込まれていくのを確かに見た。
だが…僕にはどうしても奴が死んだとは思えないのだ」
「バラデュールの生死を確かめたわけではない…と申されるか」
キバガミの言葉にオースティンは頷く。
「長年、追い続けた僕だからこそ解るんだ。
奴は…この程度のことで死ぬ様にはどうしても思えない。
…が…今となっては埒のあかない事さ」
彼はゆっくりと身体を起こす。
「明日にでも…本国に使いを出すよ。
件の宝玉は取り戻せた…とね。あとは国元に帰って、依頼した貴族から報酬をもらえば、それで終わる。
だが」
そして、何時になく真剣な表情でこう告げる。
「僕は…バラデュールの一派がどう動くのか、それをもう少し見届けたいと思う。
宝玉は、信頼できる者に取りに来てもらうことにして…この街で、探偵の仕事をしながらね。
でも、それは建前だ…正直言って、この街は…このギルドハウスは、居心地がいい。
出来れば、もう少しこの街で…君らと共に過ごしてみたい」
その言葉に顔を見合わせるリリカ達。
「私さんせーい♪
だって、探偵さんいつも私達に話してくれる以外にも、色々な所に行ったり色々な事件を解決したりしてるんでしょ?
私、もっとそのお話聞きたい! 探偵さんのお話面白いもん!」
「私も聞きたいのかー♪」
ふたりの言葉に僅かに口元をひきつらせるリリカが、つぐみのほうを見やる。
つぐみも困ったように笑う。
「私は…構わないですよ。
…でも、あまりローザさんに迷惑掛けることは止めて欲しいかなって…」
「そういうのははっきり言った方がいいわ、つぐみ。
私も正直もっと聞いてみたい話があるけど…たまに、夜中にも関わらず破裂音を響かせてくれるのは感心しないわね。
必要とあらば地下室使うとか、考えて欲しいわ。何しろ、うちのギルドは約一名除いて女の子ばっかりのギルドよ、そういうところはもっと気を使って然るべきよ」
何処かたしなめるようなアンナの言葉に、オースティンは一瞬口の端をひきつらせるが…「善処しよう」と頷く。
かくして…この不思議な探偵はまだまだこの街で活動を続けていくこととなった。
その数日後、バラデュールから探偵宛てに「今回は君の勝ちだ、だが、次はこうはいかない」という内容の手紙が届き…何処か嬉しそうなその様子に苦笑することにもなったが。
…
…
メルラン「以上、オースティンの顛末ね。
これで解禁される最後の探索準備はちょっと特殊で、一回の探索で1度しか発動しないわ。
一度発動させちゃうと、もうその探索中は効果を発揮しないの。GOOD効果やBAD効果は残るけど」
ルナサ「へえ。
いったいどんな効果なの?」
メルラン「オースティンの最終準備「起死回生の手筈」は、探索中一度だけ、全滅しても即座に全員がHP1で復活するっていう効果なの。
その時点で当然ながら状態異常や封じも回復してるけど、バフは消えちゃうわ。
勿論そのままだと即全滅もあるから、足の速いキャラにソーマプライムとかを使わせてすぐ立て直さなきゃならないし」
ルナサ「なんか気休めっぽい感じしかしないなあ…」
メルラン「まあ、六層なんかだと本当に「死ぬのが1ターン伸びただけ」みたいなのは否めないけど。
因みにバラデュールなんだけど、クエストにも登場した「赤ら顔の唇がねじれた男」がそうよ。けど、これもバラデュールの素顔じゃなくて、変装だったみたいね」
ルナサ「クエスト「探偵さんを探して」だと、実は女将になり済ましていたらしいわね。
その解決の段で、オースティンまで女将に変装していたけど…なんかそんな人をもうひとり、ポケモンの世界で知ってるような」
メルラン「ああ、コードネームがマンサム所長の都合のいい幻聴と同じなあのどっかすっとぼけた人ね」
ルナサ「( ̄□ ̄;)解りづらいよその例え!!
まあ兎に角、これ以後もオースティンはエトリアというかギルドハウスに居座るのね」
メルラン「バフ系の探索準備は効果がピンポイントなぶん強力だし、レベリング作業中の「賦活の手筈」はなかなか便利よ。
死なない限りは回復量的にほぼ一発分ダメージを「なかったこと」にしてくれるしね。奇禍、固縛も便利だし、ローザに比べてお金はかかるけどその分見合った効果はあると思うわ」
ルナサ「コーディアルは解るけど話聞いておカネ取られるってなんか理不尽だよなあ」
メルラン「まあ…その辺はここでの解釈は随分前に触れたけどね。
オースティンだからこそできる特技って感じで」
ルナサ「まあ確かに、性質的にはカスメの呪言っぽいけど」
メルラン「あ、そうそう言い忘れてたわ。
ゴーレムのクエストだけど、報酬は10000エンだけよ。
聖騎士の盾はB15F、エンディング前には行けない区画に登場する魔物・アイアンタートルの条件レアが材料よ。「炎・氷・雷属性を含まない攻撃で撃破」がその条件だから、卸し焔のような複合属性攻撃はNGになるわ」
メルラン「さて、本当はエンディング前のネタはもっと色々あるけど、とりあえずめぼしいところはここまでにしておくわ。
最後に馬鹿ネタだけひとつ触れて終わりよ。クエスト「薬師からの依頼3」からね」
ルナサ「あー、新薬の実験するから石化した奴連れてこいってクエスト?」
メルラン「そそ。
因みに石化はB19Fのアークピクシーから狙うといいわ。首尾よく石化させてきても、結局直せないってオチがつくんだけどね。
文脈からすると、この依頼主はどうも、酒場の女の子…少年のクエストとかでキーマンになってるあの女の子っぽい感じね」
ルナサ「まあなんというか、ドジっ子で笑って済ませられないようなネタの気もするけど…」
メルラン「というわけで次でお話はいよいよクライマックスね。
私達の出番も近いわよー?」
ルナサ「えっまた樹海逝くの?(しろめ」
…
…
〜少年の依頼より数日後、金鹿の酒場〜
かごめ「(アワレにも石化しているようだ)」
諏訪子(with邪眼の鎚)「…とりあえず石化させてみたがこれでいいのか?」
女将「とりあえずってあなたねえ^^;
目的のためとはいえ躊躇なく仲間を切り捨てるようなのはいくつも見てきたけど…こういうパターンは斬新過ぎるわ」
少女「あ、あのその…すいませんそれじゃあ失礼して」
女将「…あなたもちょっとは遠慮しなさいよ」
-10分経過-
かごめ「(アワレにも石化しているようだ)」
諏訪子「…なんも起きる気配ないな」
女将「あなた、見るからにカスメみたいだけど呪言でジャマしてない?」
諏訪子「いくら私でもそこまでせんわい。
こりゃあ見なくても効いてねえって解るよ。つーか、石化しか回復しないって時点でもうそれ、テリアカβの劣化品じゃねえか」
少女「( ̄□ ̄;)はうっ痛いところを!!
う、ううっ…テリアカが買えないけど石化だけ直せるっていうもっと安価な薬の開発ができないかなーって思ったのに…」
白衣の青年「これだったら素直にリフレッシュをかけたほうが早い気がするな。
そもそも、テリアカもそんなに高額な薬ではないが」
諏訪子「んだな。
ところでお前さんは一体何なんじゃい、藪から棒に話に加わって来てからに」
青年「ちょっと知人を訪ねてきただけさ。
そうしたら、何やら珍妙な光景に出会ってしまったものでね…とりあえず面白いモノを見せてもらった、礼はしておくよ」
そのまま青年は飲み代をカウンターに置いて立ち去っていく…。
女将「あれっ…?
彼、そういえば確か…」
諏訪子「なんじゃいな女将知り合いか?」
女将「ええ。
あなた達は聞いているかしら、この街に去年あった異変の話?
私の見まちがいじゃなければ彼はその時、それを解決したギルドの参謀的な役割をしていた子よ。名前は確か…サイモン=ヨーク」
「ほう、リッキィが言ってた「ダンジョンでも本を片手に歩いてる行儀の悪い男」ってのがヤツか。
成程、理屈屋っぽい顔してやがる」
諏訪子「あれっなんじゃいなかごめ、今頃薬効いたのか?」
かごめ「ドアホ、あの兄ちゃんがリフレッシュかけてくれたんだよ。
…つーかてめえ話の途中でいきなり殴りかかってきやがって…超魔爆炎覇で消し炭にされたいかええこらカエル野郎?(超メンチ」
諏訪子「やかましいカエル言うなまた石にされたいかああん?(超メンチ」
女将「ほらほらそこ喧嘩しないの。
彼はミズガルズでもわりと重要な役割を担ってると聞いたけど…それがこっちにまた来ているというのは、単なる観光目的じゃあなさそうな気がするわね」
ふたりをなだめるかのように葡萄酒を差し出す女将に、かごめはそれを受け取って一息に飲み干す。
「………リッキィの話では、ペース的にそろそろ黄金鳥の間に辿り着くかもって話だな」
「ああ…つい三日前に会ってきたばかりだ。
その関連でお前の耳に入れておかなきゃならない話がある…つぐみの奴、自力で魔装の封印を解いたぞ。
モノ自体は小太刀から銃に変わっちゃいるが」
二杯目を受け取り口へ運ぼうとしていたかごめの手が止まる。
「しかも…恐らくは反動そのものが消えてなくなっている可能性が高い。
あいつの魔装が最大解放できれば…かごめ、お前が無茶をしなくてもつぐみの力で解決できるかもしれねえ。
「北極眼の封印」を断ちきれる力がある奴が紫以外にいるとすれば、お前かリリカかさとり…でなきゃつぐみだけだ」
「そう…か」
かごめは難しい顔のまま杯をテーブルに置く。
諏訪子は何処かたしなめるように話を続ける。
「かごめよお…お前何時か私に言ったな?
早苗が私のことを必要以上にたしなめようとしてくるのは、私がそれだけ早苗を子供扱いしてるからだって…今のお前はそんときの私とそんなに変わんないよ。
今なら解るんだ…女の子って、親が見ているよりもずっと速いスピードで成長していくんだってさ」
かごめは黙ったまま応えない。
諏訪子は杯を飲み干して女将に返しつつ、さらに続ける。
「たまにはいいじゃないか。
世界最強の妖怪様が、自分の愛娘に命運を総て預け渡したってさ」
さらに僅かな沈黙の後、かごめは悪態を吐いて一気に杯を仰ぐ。
「…わーってるよそんぐらい。
欲を言えば…もうちょっとくらい命がけで頑張ってる所見せてやりたかったけどな」
「オメエの場合はそれをやり過ぎるからよくねえんだよ。
…予断を許さねえ状況なのは確かだ。そうと決めたからって、やらなきゃならねえことは山ほどある…違うか?」
「ああ。
それもわかってる」
顔を上げたその表情には、諏訪子にも見慣れた覇気に満ちている。
「もう、こそこそする理由もねえ。
つぐみ達がイワォロペネレプを制したら…作戦変更だ」