そこの岩系のスキマからなんか水が出ているようだった
まるで無限にわき続けるコリブリめいてHPとかTPとか回復しそうなふいんきを主張しているようだぞ?



みとり「見ただけで解る、すごくいい水だ。
   地底は勿論だが、河童の集落にもこれほどの名水はないな」
てゐ「河童のお前さんが言うなら間違いはねえだろな。
  こいつが、依頼にあった岩清水で良さそうだな」

【システムウインドウ】キーアイテム「石清水」を手に入れました

てゐ「浅層のクエストだからこんなもんか。
  遺都に素材集めとかいうものもやったけど、こういうものもあるんだな」
魔理沙「済ませることを済ませたらさっさと戻ろうぜ。
   ハリネズミに思いっきり体当たりされたあいつの治療だってあるし

フラン「ばたん牛ン><」

魔理沙「正直フォローの仕様がないなあ^^;
   樹に刺さって抜けなくなったとか、とんだマヌケもいたもんだが…だからって可哀想だから助けるって発想にはならねえよな。
   私なら問答無用で吹っ飛ばすけど」
文「それどこぞの目出度い色した腋巫女と一緒の思考パターンじゃない。
 後ろからスキ見て私達ごとマスパで吹っ飛ばすとかやめて頂戴よ? あんたやりかねないし」
魔理沙「状況に応じてはやるぜ。私も死にたかねえからな(迫真」


〜少女移動中…棘魚亭〜


マスター「よう、ごくろうさん。
    こいつが約束の報酬だぜ、受け取りな」

【システムウインドウ】 クエスト報酬として「解析グラス」2個を受け取りました

文「しかし、思ったより稼げないものね。
 基本的には探索中に採掘できるものとか、魔物からかっぱいだものくらいしか実入りがないから、やりくりも大変よね」
マスター「そりゃそうだ、新米に依頼される仕事なんて大体こんなもんさ。
    実入りの多い依頼を受けたきゃ、実績をつける事だぜ。エスバットやベオウルフみてえにな
魔理沙「その二つのギルドの名前、この街じゃよく聞くんだけど…そんなにすげえのか?」
マスター「おう、この公国でも二強と言われたギルドだぜ…数年前は、な。
    まあ、色々あったんだよ。エスバットはもっと奥地で戦ってるし、下馬評じゃ多分一番「空の城」に近いギルドだぜ。あんた達が何者かなんて俺たちゃ知らねえし、新米のあんたらがあのギルドに会えるくらいの実力をつけられるかも俺にゃ解らんがな」
魔理沙「まあそんなのはどうでもいいけどな。
   流石にロクな装備もねえとはいえ、こんなのじゃ装備の足しにもなりゃしねえしな」
マスター「随分ボロッちぃ鞭じゃねえか。
    売っても二束三文にもなりゃしなさそうだが…おお、そう言えばあんたらと同じような新米のダークハンターが、森で鞭が木に引っ掛かって取れなくなったとか言ってしけた顔してやがったな」
魔理沙「えっマジで?
   何処にもいるんだな、そういうマヌケ。
   森の奥の方で樹に刺さって抜けなくなっちまったハリネズミと、そいつを狩る立場にもかかわらずわざわざ助けて反撃の一撃を貰うような奴もいたけど、そんなんばっかりかよ」
フラン「も、もうその話は勘弁してください><
   もしかしたら魔理沙の取ったのその鞭も、その人のかもしれないですよ?
   …困ってるかもしれないし、どうせ私達で使えないなら、返してあげなきゃ」
魔理沙「お前御人好しにも限度ってあるだろ…まあ、捨てるよりはいいだろうが」



「狐尾幻想樹海紀行 緋翼の小皇女」
第三夜 狼のギルド




かごめ「どうもいつものかごめさんとゆかいな仲間達です」
諏訪子「おいおい端折るな端折るな。
   前回まではチュートリアルみたいなものだったが、今回から本格的に色々進むんだろうな?」
かごめ「この辺りはもう主要なイベントというと精々フロガネさんをリーダーとするあのギルドぐらいですからまあ」
ヤマメ「誰だよフロガネさんって…。
   まあある意味では世界樹で最も有名なキャラだね、フロースガルとクロガネ」
諏訪子「あまりにもネタ過ぎて逆に覚えた、なんてボウケンシャもいるわな。
   どっかでレティ達が触れてたかも知れんが、ギルド名ベオウルフにもかかわりがあるところに元ネタがある。叙事詩「ベオウルフ」に登場し、のちに勇士ベオウルフに王位を譲るデネ(デンマーク)王フロースガルなんだが」
かごめ「3のウェアルフと4のウィラフも出典はその「ベオウルフ」だな。
   この三人の中で地味にウィラフだけ生存するってのも元ネタに沿ってるんかな」
ヤマメ「っていうかリメイク前の運命がどうなるかとかそういうのはここではNGかね?」
諏訪子「それはまあおいおい触れていけばいいんじゃねえかと思うんだが。
   一応オープニングにはクロガネらしき犬が出てくるから、実は…みたいな話もそこかしこに」
かごめ「ストーリー特典ですな(キリッ
   あと鞭の話だけど、石清水の近くにポイントがある。
   AGIの高いキャラを木に上らせて、鞭を解くを選択すると無償で手に入るが、木から叩き落とすだと森マイマイとの強制戦闘が待っている。
   今回は天狗が頑張ってくれたらしい」
諏訪子「これを棘魚亭にいる、新人ダークハンターに渡せば足縛り効果のある鞭がもらえる。
   毎度の、攻撃力が極端に低いシリーズだし、アイテム枠も無駄にひっ迫するから、とりあえず交易場に放りこんでおけばいいんじゃねえかな」
ヤマメ「あ、その辺は一緒なのね」








みとり「おいなんなんだここ…階が変わった途端にあのイモ虫といきなり群れバトルとか頭わいてんのか(しろめ」
魔理沙「世界樹にはありがちなこと(しろめ
みとり「それだけじゃねえよなんなんだあのトカゲのバケモノ!!><
   こっち見た途端に追い掛けてきやがるし追いつかれたフランが一瞬で吹っ飛ばされたんだぞなんなんだアレ!?><」

フラン「(へんじがない…ただのしかばねのようだ)」

てゐ「くそっ…まさかここまで来るのにネクタルまで全部使い果たしたどころか、そもそもその材料がないからすぐ品切れとかなんなんだ…。
  縦しんばあったとしても高額すぎて手が出ねえ。まさかこんなシビアな世界だったとは」
文「なんとか目当てのシュガービート?らしきものは手に入ったんだけど…どうもこの食材めいたものは、それ単品じゃおカネにならないみたいね。
 レジィナっていうあの子に調理してもらって、それを積極的に売り込ませなければフィードバックもなさそうだわ。
 大臣の話では、売り上げの幾許かを私達に還元するってことらしいけど」
てゐ「気の遠くなりそうな話だなそれも…欲しいのは今なんだよそんなの待ってもらんねえよ。
  それにネクタルの材料なんてレア素材みたいだし運絡んでるときてやがる。
  あーっもうどうすりゃいいんだこんなの!><」

「うふふ、どうやらお困りのようですね皆さん。
こんなこともあろうかと、色々準備して来ましたわ」


♪BGM 「夜が降りてくる 〜Evening Star〜」♪

てゐ「うわ、なんか胡散臭そうなの出てきやがった」
文「何しにのこのこ出てきやがったのよこのスキマ。
 どうせ碌なこと考えてないんでしょ、お呼びじゃないわよ」
紫「御挨拶ねえ…別に嫌がらせに来たわけでもないし、純粋に得にしかならない話を持ってきただけよ。
 任意で何度も受け直せる私からの超楽勝な特別クエスト、受けてみる気はないかしら?(チラッチラッ」
魔理沙「なんだよー特別クエストって…あまりロクな予感がしねえんだけど」
紫「百聞は一見しかず、というわけでフリップどーん」




魔理沙「なんじゃこりゃ、この中から一つ選べってか?」
紫「別に3つ一度に受けてもらっても結構よ。
 どれも、ある魔物を倒してきてもらうものだけど、その魔物はごくごく弱い魔物。
 手っ取り早くおカネが欲しいのなら、1番のクエストだけおためしでとりあえず受けてみればいいと思うわ。
 私は一応、酒場じゃなくて料理店の方に行ってるからよろしく〜♪」







てゐ「なんだこれ」
魔理沙「私も知らん。
   紫の話だと、なんか倒しても倒しても生えてくるとかそんな感じだが」
みとり「何かしてくる気配もないが、とりあえずこれを倒してあのスキマのところに持っていけばいいのか…?」


〜少女戦闘&移動中〜

紫「早かったわね。
 どう? 簡単だったでしょう?」
てゐ「なんかもうすっかり当たり前みたいになじんでやがるし…つかこいつ、経験値もしょぼいし落とすのはなんか食材っぽいのだけだよ?
  こんなモノ何の意味があるん? そりゃあ楽勝だったが」
レジィナ「お、待ってくれその植物見た覚えがある…これはひょっとすると、あるコーディアル作りの奥義書というべき書物に記されてた…。
    私にそれを渡してもらえないか?」
てゐ「別にいいけど、どうせこんなのカネにならんし」
レジィナ「うん、それじゃ少し待っててくれ」

フラン「コーディアル?」
てゐ「わかりやすく言えば、薬効のある植物なんかを煮出して作った薬効のある飲み物だな。
  薬膳茶とでも言えばいいのか…なんだ? こいつを飲むとなんかいい事でもあるのか?」
紫「飲んだら採集にでも行ってくればいいと思うわ。
 ああ、別に専門の採集部隊を組む必要はないし、まだそういう支援は送る気ないから」
文「胡っ散くさ(ジト目」
フラン「ま、まあまあとりあえずモノは試しだって言いますし…」


〜数時間後〜

てゐ「おい紫なんだこれ!?
  なんか知らんが滅茶苦茶素材取れてすぐに持ち物枠埋まったぞ!?
紫「ふふふ…どうやら効果あったようね。
 この世界樹の新芽で淹れた茶は、探索能力を天元突破させる効能があるそうよ。
 あとの二つで提示する双葉、四葉ではそれぞれ、あなた達ももっているグリモアの強力なものを生成しやすくなったり、私がかけた力の制限を解くスピードを速めたりできるわ。
 まーぶっちゃけると経験値アップね」
みとり「そういうメタい話は禁止させていただきたいのだが(キリッ」
紫「あと、このクエストの特典として私達からお小遣いも出すわ」

【システムウインドウ】 Yukariさんから1500エン受け取りました

文「( ̄□ ̄;)えっこんなのでお金までくれんの!?
紫「違う階層に到達したら、その階層に応じた額のお小遣いを出すわ。
 あとの2つのクエストは、受けてくれれば、報告の時一件ごとにネクタル2つ渡しましょう」
文「( ̄□ ̄;)なにそのボーナスゲーム!?」
てゐ「…なんだこれ…いったいどんなトラップがあるのこれ…」
紫「別に裏はないわよ。
 今回は初体験の子も多いし、本隊からの支援活動みたいなもんよ。
 まあ、そのコーディアル含めて色々チートだから、ご利用は計画的に、と言ったところかしら


〜再び2F〜

てゐ「なんとか最低限うろつき回れる装備が整ったな。
  ってもあの恐竜にせよ鹿にせよ、まだとても歯が立つような相手じゃなさそうなのは確かだが

しかしその部屋の恐竜はなんか行く先を露骨に立ちふさがっている気配のようだった
おもえらこれをズタズタにしないと先へは行けないようだぞ?


魔理沙「っても…この場合は一か八か戦うしかねえか…?」
文「それができるようなら苦労はいないんじゃないかしら。
 何しろ、みとりが防御の上から一撃で持ってかれる現状、勝つ見込みはゼロだわ」
てゐ「それとだなー」




てゐが指さした先には一頭の犬めいた生き物が、こちらを値踏みするようにうかがっている…。

てゐ「敵意はねえようだが、あいつ私達を見張ってるみたいだな。
  多分、私達が挑みかかろうとするより先に、あいつが乱入してきそうな感じだが」
フラン「ひょっとするとあの子、何かを伝えようとしてるんじゃないでしょうか?
   出会った時、さっきの通路にあった色の違う床を、しきりと気にしてるみたいですし
魔理沙「この部屋にも同じのあるぜ。
   というか、あいつの態度は気にしてるというより…私達にあの床の事を調べさせようとしてるんじゃねえか?
   他はちゃんとした土なんだけど、あそこだけ石畳になってて感触も全然違うし
みとり「何のためにそんな事をする必要があるんだ?」
魔理沙「そんなの知るかい。
   さとりじゃあるまいし、私にドーブツの言葉が解ってたまるか」
てゐ「こいつはひょっとすると…ふむう、確かめてみる価値はあるな」

てゐはおもむろに恐竜の方へと歩いていく…。

魔理沙「あっおい不用意に近づいたら」

魔理沙の制止より早く、恐竜はてゐを獲物と認識したのかものすごい勢いで突っ込んでくる!
だがてゐはその石畳の辺りでくるりと方向転換して立ち止まる…そして、恐竜のキバが迫るその一瞬前にバックステッポ!!




轟音と共に上がった土煙が晴れるとそこにはアワレにも地面にはまってもがいているトカゲの姿があったらしい
その石畳めいたものは古代からよくいるマヌケな恐竜の足をスナイプする系の何かだったらしいぞ?


文&魔理沙&フラン「( ̄□ ̄;)!!??」
てゐ「あひゃひゃひゃひゃひゃばっかでー!!^^
  やっぱり、あの石畳の下空洞になってやがったな。ただ石畳が敷いてあるだけなら、ごくごく微かにだがあんな響くような足音はしねえ筈だ。
  私達が乗っても落ちない程度の強度があって、あのトカゲが乗ったらその重みで床が抜けるようにでもなってたんだろ
文「えっあんたそれに気がついてたの!?」
てゐ「とーぜんだろ。竹林にいた頃はバカ鈴仙を落とし穴に嵌めんのが私のヒマつぶしの一つだったからな。
  あいつはあのトカゲと違ってそこそこ頭使ってくるが…学習能力はねえから、忘れた頃に同じ仕掛けに引っ掛かったりすっけど」
魔理沙「(鈴仙…不憫な奴…)」

トカゲはなんとか落とし穴トラップから抜け出したようだが足を挫いたらしく元気がにいようだった
おもえ調子ぶっこきすぎてた証拠だよ?


みとり「大分弱らせたと思ったが、まだ、私達に襲いかかってくるつもりみたいだぞ。
   どうする?」
魔理沙「どうするって…いくら落とし穴に引っかけたからって、おいそれと戦えるような相手でもねえだろ。
   あいつを退かす事は出来たんだ、今は先を急いだ方がいいんじゃねえか?」
てゐ「魔理沙の野郎の言うとおりだな。
  いずれは戦う必要も出てくるだろうけど、必要ないなら余計な戦いは避けた方がいい」




「ふむ、流石だな。
主力部隊じゃない、新顔グループだと聞いていたけどそこは腐っても強豪ギルドの一員か。
気を見るに敏…兎耳の彼女が、このグループのリーダーなのかな?」

マヌケなトカゲ野郎をやり過ごしてカカッと過ごした先に歪みねぇナイトっぽいのがなれなれしく話しかけてきた

フラン「あなたは?」
文「恰好はブロントさんっぽいけど、いきなりなれなれしく話しかけてきた辺り謙虚さが足りてないわね。
 なに話しかけてるわけ?(キリッ
魔理沙「ちょおま」

騎士「おっと…なんだかよく解らないけど失礼なことをした…のかな?^^;
  まあいい、私の名はフロースガル。ベオウルフという、今は落ちぶれてしまったギルドの一員、さ
魔理沙「ベオウルフ?
   そう言えば酒場の親父が言ってたけど、この辺で有名なギルドの一つだって…あんたがそれなのか?」
騎士「有名…か。
  まあいい、私達も色々あってね。今はある目的のためにクロガネと自分を鍛えながら、時折ここまでたどり着く新人冒険者にアドバイスを送るのが日課になってるんだ。
  駆け出しの新人であれば、ここまで来る事が出来たことそのものが、前途有望の証と言えるが…君たちは、私のような辺境の冒険者が知っている位の有名人だ。クロガネも、君達に余計な手出しをせず、簡単なヒントを与えるにとどめていたようだしな」
てゐ「やっぱり、あんたの仲間のあのわんわんおに、そういう駆け出し共の値踏みだってさせてるってことか。
  あのマヌケなトカゲに喰われて終わっちまうようじゃ、とてもじゃねえがこの先やってけねえんだろうしな」
フラン「どういう事です?」
てゐ「あの犬…いや、狼が身につけてる首輪と、そこの兄ちゃんの鎧に同じエンブレムが刻まれてる。
  無関係にしちゃ出来過ぎてるわな」

少し驚いたような、心から感嘆したといったような表情で、フロースガルは口を鳴らす。
それを合図としたのか、何時の間にか何処へ行くともなく姿を消していた黒い狼が、フロースガルの傍らに行儀よく腰を下ろした。

騎士「まさかクロガネと私の関係すら見抜いてしまうとはね…恐れ入った。
  いや、もし気分を害したようなら謝る。少なくともこの迷宮に関して言えば、私達の方が先輩だからと、そういうお節介を焼かずにはいられない性分でね…だが、それとは別の理由で、君たちをここから先に通すわけにはいかない
文「あやっ、それはどういう意味で?」
騎士「ほんのついさっき、公国宮から布令が出されたのさ。
  探索中の衛兵隊が、この眼と鼻の先のところで襲撃者の群れに襲われて全滅したらしい。
  襲撃者など、そんな群れを成してやってくるような魔物ではないはずだが」
魔理沙「えっ…あのでっかいトカゲの…群れ…?」
てゐ「穏やかな話じゃねえな。
  どっかから、ボス格の魔物がやってきて呼び寄せてるとかそういう話じゃねえだろうな」
騎士「その可能性も、私はあると睨んでいる。
  そして…恐らくそいつは…!

それまで、何処か頼りなくも見えるほどの柔和だったフロースガルの表情が、一瞬だけ鬼気と、悲壮な決意を孕んだものに変わったのを…てゐと文は見逃してはいなかった。

騎士「っと、まあ私の話がウソだと思うのなら、一度公国宮に行ってみるといい。
  この先へ強硬に踏み込むにしろ、一度街に戻るにしろ、それほどの手間にはならないと思うが?」
てゐ「…そうだね。
  アワ食ってもいいことはなさそうだ」
文「なーんかすっかりあんたが取り仕切ってるわね…まあ、別にいいわ。だいぶ荷物も溜まってきたし、一度戻るなら頃合いだと思うわ」

少女達はフロースガルの提言を受け入れ、糸を取りだすと街へと戻っていく。
それを見届けたフロースガルは、傍らの相棒へと語りかける。


「奴が…戻ってきた。
…決着をつけるぞ、クロガネ」







〜公国宮〜


大臣「そうでしたか、彼に会ったのですな。
  かのギルドが、昔の如く強健なギルドであれば、この一件は彼らに任せても良かったのですが…」
文「ダンフォード殿、支障がなければで構いません。
 いったい、彼ら…ベオウルフに、過去何があったのですか?」

老大臣は悲しそうな表情で逡巡していたが、やがてその事情を語りだした。

大臣「…実は、樹海最下層部でも時折、上層から強力な魔物が何の目的か出現し、森の強力な魔物が凶暴化する事があったのです。
  その魔物は非常に強力で、上層に当たる常緋の森まで辿りついたギルドですら返り討ちにする尋常ではない強さを持ち…数年前から活動をはじめていたエスバットや、件のベオウルフなどがほぼ専属で討伐を行っていましたのじゃ。
  ところが…先年、これまで以上に強力となったその魔物を止めきれず…ベオウルフはリーダーのフロースガルと、彼のパートナーである黒狼のクロガネを残し、その魔物の犠牲となってしまったのです
魔理沙「同じ魔物なのに、ずっと強くなってたっていうのか?
   そんなことがあり得るのか?」
大臣「詳しい事は解りませぬ…ですが、かのギルドが同じ魔物によって壊滅させられたのもまた事実。
  その魔物は獅子の顔を中心にヤギの頭を二つ持つ、コウモリの翼と大蛇の尾を持つ三頭の百獣王“キマイラ”
魔理沙「キマイラ…って、あれか、ぬえの親戚みてえなやつだろ」
文「いやそれはちょっと違うんじゃないかと思うんだけど…」
フラン「そうですよぬえちゃんは普通に女の子の顔が一つあるだけじゃないですか」
文「そういうどうでもいい物言いもよろしい(迫真
 合成獣キマイラは何処の業界でもわりとメジャーな魔物だと思うけど、大体にして強豪モンスターの印象あるわよね。
 まあヴァナ・ディールのベヒんもスほどじゃないとしても」
てゐ「誰がどんな目的でやってんのか知らんが、作ってる奴がいるんじゃねえか?
  交配であれ、普通に魔法やら何やらで合成したのであれ…でなきゃ、同じ魔物が突然強くなったなんて説明がつかんだろ」
魔理沙「魔物をか?
   そんなことして何の意味があるんだ? よくある魔王みたいに、世界征服のためか?」
てゐ「アーモロードの禍神が先兵としてのフカビトを創っていただろう。
  それに類するものが…ひょっとしたら樹海迷宮の上に眠る「空の城」にいるのかも知れんぞ。
  …まあこんなのは論拠のない妄想に過ぎんが、少なくとも事実としては、そいつが手下の魔物を森に呼びこんでるってことだ
大臣「左様。
  故に、皆様方の腕を見込んで、受けて頂きたいミッションがある。
  エスバットのリーダーは気紛れ故、何処にいるのやも解らず…他に、これを任すに足るギルドもいないわけではないが…いずれもベオウルフの悲劇を知っておる故、傍観するか、他の者の手柄を横取りするつもりなのか一向に動こうともしませぬ。
  最早、恃みになるのはあなた方「狐尾」のみ…どうか、かのギルドの無念を、雪いでやってはくれまいか…!」

文「着て早々、命を張ってくれ、という事かしらね」
魔理沙「普通に考えれば、命あっての物種って奴だ。
   傍観が正解だと思うが」
フラン「何言ってるんですかふたりとも!
   魔理沙だって、タルシスでずっと、自分の限界に挑み続けてたでしょ!?
   なんでそんな事を言うんですか!?」
魔理沙「…お前、冷静に考えてみろ。
   私達の力は、ここで経験を積むごとに少しずつ取り戻されてはいるが…正直、あの恐竜一匹倒せないで挑めるような相手じゃねえことは確かだろ。別に戦いたくないとは言ってねえ、時期が早すぎる」
文「そうね。この世界、来る時に守矢のカエルに聞いていた情報と余りに違いが大きすぎる。
 どこにどんな落とし穴が待ち構えているか…ある意味、私達はこのギルドのネームバリューで動けてる気もするしね」
みとり「…私はギルドの名誉云々とか知ったことじゃないし、正直どうでもいい。
   でも…ここで逃げを打つのは嫌だ。
   お前らが嫌だとほざくなら、私とフランだけで行くまでだ
フラン「みとりさん…!」
魔理沙「待てよお前ら、何を勝手に」
てゐ「まあ、いいんじゃねえのか別に」
魔理沙「えっ!?
   お、おいお前まで…っていうか、お前がそれを言うのか!?」

てゐ「別に今回、誰がリーダーに立つかなんて決めちゃいないんだろ。
  私もずっと気にも留めてはなかったけどな。
  だが…ここまで見事に烏合の衆になっちまってたら、やれそうなこともまるっきり出来やしねえ

文「随分、舐めた口を利くわね兎詐欺。
 まさか、手より先にデタラメが口から出るあんたが、ここを本気で取り仕切ろうとか言いだすんじゃないでしょうね」
てゐ「何かにつけては他人を煽ることばかりほざく天狗より数倍マシだと思うがな。
  存在年数から行ってもあんたの倍以上は生きてんだ。
  まあ、安心しろや。私だって死にたかねえし、第一に全員で生き残ること考えてやるよ
フラン「あ…あのそのえっと…」
魔理沙「……なんか妙な雰囲気になっちまったなあ。
   つーか、まさかてゐがこんなことを言い出すなんて思っても見なかったが…」


てゐ「沈黙は肯定と受け取るよ。
  じいさん、過去のものでいい。キマイラの生態や行動パターン、資料があったら見せてくんないかな?
  他に出来る奴がいないなら…私達で狩るから








ヤマメ「まさかの兎詐欺(迫真
かごめ「えちょてーさん何があったの(おろおろ」
ヤマメ「( ̄□ ̄;)あんたが混乱すんのかよ!?
   ま、まあいいやとりあえず簡単な流れを説明するか。
   まず2階に辿りつくと、3か所の駆け寄る襲撃者をかわして奥の方へ行くことになる。
   最初の2部屋は区画が狭いし、襲撃者は等速の追尾型。前回で触れたけど、昼間だといきなりクローラー3体とか出てきてもたついてると恐竜に乱入されるから、手早く切り抜けたいところだね。
   特に2部屋めは、うまく障害物を使って誘導し、やり過ごさないといけないよ」
諏訪子「……前回触れたけど、HP3200あるFOEがこの襲撃者だ。
   レベルは恐らく12、氷弱点だから鹿を倒せるなら相手できるレベルだろう。
   3部屋めは広いし、障害物も豊富にあるからやり過ごすのもさほど難しくはない。2部屋目を切り抜けたところ、3部屋目を抜けて少し行くとショートカットできる場所があるから、少しずつ時間をかけて進むといい。何しろ、このフロアで登場するニチリンソウの溜めあり範囲攻撃、そして御馴染の猛毒アゲハとわりとしんどい奴も多く出てくるからな」
かごめ「なんじゃいないままでだんまりで居やがったのが。
   まさか、てーさんの話お前一枚かんでるんじゃねえだろな? あんなつまらない理由で命張ってこいとか、お前さんそういう事言わねえタイプだと思ってたが」
諏訪子「今はそんなの重要な話じゃねえな。話、続けるよ。
   マップで言うと右上の方に来ると、石畳の床があって、そこにクロガネがいるからイベントが発生する。
   一応、床がどんなものかを調べることが可能…そして、次の部屋にいる恐竜が、落とし穴の仕掛けのチュートリアルになっている」
ヤマメ「マップでなんかすると難易度が変わる奴って言うと…まあ、4のホムラミズチなんてそうだったかも知れんね。
   でも、マップの仕掛けに関するボスは今回いっぱい出てくるみたいだから、今回は今まで以上に下準備が重要になるというか…難易度を上げて楽しみたいならこういうの使うなって感じで」
諏訪子「恐竜は一度落とし穴に落とすとHPが少し削られて足封じがかかるし、抜けだした後は移動速度が鈍速になる。
   2度落とせば、またHPが削られて、それ以上動かなくなるんだ。
   足封じにはかかったままだけど、バックアタックもできるよ。勿論落とし穴にはまってる最中もだけど…落とし穴にいる間は、2ターン行動不能になってるというおまけつきだ。
   2回落とせばHPも3分の2くらいになるし、適正レベルなら防御を固めながらならさほど狩るのは難しくない」
ヤマメ「世界樹的に「さほどでもない」は死亡フラグなんだけどなー。
   そう言えば、世界樹のナントカシリーズはDLCクエストだね。
   前作と違って経験値は本当にさほどでもねえけど、こいつの食材を使った探索準備するとなかなかふざけた効果が発生するっていう塩梅だね。一応、クエストダウンロードしなくても低確率でいろんなところに湧くらしい」
かごめ「DLCはクリアした後も何度でも受けられるから、特に新芽狩りは階層が進むごとに報酬がアップする。
   相変わらず、というか、博識や野生の勘前提なのかとにかく金が稼げないゲームなんで、本当に訓練されたボウケンシャじゃなければ迷わず使った方がいい(迫真

かごめ「4階の奥までいくと、フロなんとかさんに通せん坊をされて、とりあえずミッションを受けてくることになる。
   4階探索中に壊滅した衛兵隊の生き残りを探してくるっていう内容だが、大部屋にいる恐竜三連星をかわして奥の扉から行ける区画に、兵士が生き残っているのでそいつに話しかければミッションクリアだ。
   恐竜のうち1匹は黒いが、この黒恐竜はHP5500を超えるバケモノだ。しかも、穴を飛び越えてきやがったりする」
ヤマメ「穴が二連続してると飛び越しきれずにはまるんだがな。
   こいつも二回落としてから狩るのがセオリーだね。黒の索敵範囲は青より狭いし、青いの狩ってからか、あるいは青い奴らを穴に落として動けなくしてからにしないと、乱入祭りからhageることになるね。
   この黒いのを倒せるようになれば、まあ…ネタバレにもなるけどキマイラに挑めるんじゃねえかなっていう」
かごめ「本来FOEなんて階層ボスより先に倒さなきゃいけないとかそういう縛りねえんだけどな…。
   まあとりあえず、このミッションを超えるといよいよキマイラへ挑戦するミッションが発動する。早くも第一階層はクライマックスですな」
ヤマメ「ですな。
   私達の時もこれで話動いた感じだし、これでまた話が動く事も予想できますな。ん?」
かごめ「次回に続きます(キリッ」