〜鋼の棘魚亭〜
人払いされた深夜のカウンターで、てゐはいつものようにゆっくりと酒の味を楽しんでいた。
そこへ、今ではすっかり見慣れた栗色髪の少女が当然のように腰をかけると、気を利かせたアントニオがその目の前にグラスを一つ置いた。
「…何があったのか、聞きにでも来たのか?」
「別に。
あんたが話したいっていうなら、聞いてもいいわよ?」
「そか」
てゐはコインを詰めた小袋を置いてボトルを要求すると、受け取ったそれを自分と文のグラスにそれぞれ注いでいく。
「…なあ、文。
お前なら、あと一年もしないうちに死ぬことが解って…それを回避するには、まっとうな生き物として死ぬことを代償に捨てなければならないと解ったら…どうする?」
「唐突ね。
私だってあんたほどじゃないけど、もう千年以上やりたい放題やって生きてきたクチよ。
正直、想像もつかないわ」
それもそうか、と溜息を吐くと、てゐは自分のグラスの中のものを口に注ぎ込む。
「美結、って言ったっけ。
あの子がそうだったの?」
「………あの子は、藤野の元頭主の一部から生み出されたクローンだったんだってよ。
誰かに似てると、あんたは思わないか?」
「残念ながら、心当たりは一つあるわね。
あの子は相変わらず抜け目なく動いてるそうね。事が全部済んだら、連中と顔合わせした時が本当に怖いわ。
向こうは直接戦略に絡んでないアルマムーンの奴らが動いてるのに対し、こっちは企画立案から戦略に至る大半を好き勝手してる奴らが、雁首揃ってこっち来て悪さしてるじゃない、私達に隠れてこそこそと」
「らしいな。
静葉とさとりが動いてるとなれば、どうせどっかにカエル野郎もいるんだろうしな」
苦笑を隠さず、てゐはグラスに追加の酒を注ぐ。
同じようにして笑う文だったが…不意に、表情を険しくする。
「氷樹海の話、色々調べてるんだけどね…どうも、キナ臭い話をいくつか聞くのよ。
ダンフォードのじいさん曰く、この公国内でも氷樹海以上の階層へ行ったギルドはたった一つしかない。
同じぐらいの実力があるか、そこまで及ばなくても、現在の私達くらいまでの力をつけていたギルドは少ないながらもいくつかあったにもかかわらず」
「随分久しぶりだな、あんたが真っ当な情報集めのために動いてるとは。
で…それが、今現在エスバットがハイ・ラガード公国最強ギルドの座に君臨していることと、何か関係があるのかい?」
「そのエスバット周りの話よ。
現在は術医師アーテリンデ、銃士ライシュッツの二人のみで構成されるギルドも、元々は四人のギルドだったそうよ。
けれど、同じように魔物との戦いで仲間を失ったベオウルフが、パーティの役割を重視した本当の意味での冒険者パーティというのであれば…それぞれ単独でも強豪パーティとやり合える一騎当千の四名が、同じ目的のうちに結集していたのがエスバット。
仲間を欠いた現在でも第一戦の実力を保ちえてることが、何よりもそのことを雄弁に物語っている」
「…だろうな。
感情的には認めたくないけど…あの二人はフロースガル達と強さのケタが違うと言わざるを得ない。
…だいぶ制限が解かれてきてはいるが、今の私達でも勝てるかどうか」
てゐは首元に巻かれたその首輪…ベオウルフの勇者・クロガネの遺品であるそれにそっと手をかける。
「話はそれたけど、ここからが本題よ。
氷樹海とその上の階層…文献で「桜ノ立橋」と呼ばれるエリアとの境界近くに、その行く手を遮る「氷姫」という怪物が棲んでいるらしいの。
下半身が巨大蛸の、キマイラのようにいくつかの猛獣を合成させた、美しく冷酷な女の上体を持つ恐るべき怪物だと」
「ふうん…姿を想像するに、スキュレーっぽい感じの魔物だなそりゃあ」
「そうね。
けど、それに挑んで生きて帰れた者は皆無に近い」
「件のエスバット以外は、か?」
文は頭を振る。
「エスバットがこの怪物を制したという記録はない。
それどころか…この魔物が報告されたのは、エスバットが「桜ノ立橋」から帰還し、その探索行で一人を犠牲にしてからの話…今からほんの四、五年ほど前からという比較的新しい話よ」
「………どういう事だ?
そうすると、ほとんどこの魔物については正体が知られていないという事になるが」
「そうね。
でも本当にキナ臭い話は、ここからよ。
最近この魔物と戦って生還し…薬泉院での治療の甲斐なく間もなく息を引き取った冒険者は、死ぬ間際にこう証言したというわ。
戦っている最中微かに銃声を聞いて、その都度仲間が一人ずつやられて…自分も逃げる間際に撃たれたと。
現にその冒険者の身体には、銃創と思われる傷跡が残っていたそうよ。仮にそうだったなら、貫通してたとみえて、弾は検出されなかったそうだけど」
ふむ、とてゐは難しい顔で腕組みをする。
「するってえとなんだお前、ひょっとするとあの連中が、そのスキュレーめいた魔物を他のギルドが倒そうとしているのを妨害してると?
なんでそんなことをする必要がある?
あれほどの名声と実力のありそうなギルドなら、むしろ手を貸しこそすれ妨害する理由もあるまい」
「真相はわからないわ。
特に…ライシュッツが露骨なまでにその態度を取ってきてる事を考えれば、危険な賭けかもしれないけど…直接その二人から事情を聞きだす他にないと思う。
どんな事情があれ、冒険者同士で殺し合う理由はないもの」
「私もいよいよ、数千年の生涯にピリオドを打つ覚悟を固めたほうがいいかもしれねえ…という事か」
「……私達、がよ。
無論、むざむざ死ぬつもりはないけどね」
二人は静かに、グラスを突き合わせる。
…
〜それからちょっと時間はさかのぼり…六花氷樹海〜
狼たちが縄張りとするその森の奥地で、冒険者の一団が黙々とスコップやツルハシを地面に突き立てている。
その一団はかごめ率いる狐尾別働隊…ギルド「森狼」一行であった。
彼女等はひとつの試練を超えた美結たちに、次の冒険に備えての休養を取らせる一方…ある山師の依頼を受けて六花氷樹海へとやって来ていた。
その依頼とは「氷樹海の入口付近にあると思われる温泉を探してこい」というものだった。
ハイ・ラガードに聳える世界樹の樹皮上に展開する樹海の迷宮、しかもその中腹と思われる場所にそんなモノがあるのかを考えれば、一見荒唐無稽な話ではあったが、かごめの「面白そうだから行ってみよう」の鶴の一声で彼女らは現地に向かい、せっせと掘削作業に精を出していたというわけである。
しかし…一番最初にキレたのは、言いだしっぺの当人であった。
かごめ「あああああああああちくしょおおおおおおおおおお!!!ヽ( °Д °)ノ」
かごめは半ばヤケクソ気味に…というか、明らかに八つ当たりの勢いでスコップを勢いよく壁めいて聳える世界樹の方へ向けて思いっきり投擲する!!
諏訪子「( ̄□ ̄;)おいそこの馬鹿何してんだ!!」
かごめ「ええいもうやってられるか!
つかこの下に炎の魔人だとかサラマンドラとかそんなのがいっぱい巣食ってるからもしかしたらワンチャンあるかと思ったあたし自身を叩き斬ってやりてえわ!!><」
静葉「やめてよー自分で言いだしておいて一番最初に匙投げるってもー(溜息」
ところが、かごめが憤然と雪の上にどっかりと座りこんだその次の瞬間、突如スコップの刺さった幹から勢いよく水が噴き出した!
かごめ「( ̄□ ̄;)なんじゃあ!!??」
さとり「水!?
い、いえこれはまさか!!」
そう、それは水ではない!
濛々と湯気を伴い吹きだして来るのは、空気を伝わってくる熱からも熱湯…いや、恐らくは入浴するに適した丁度いい湯加減の温泉というべきものだ!
そしてその噴き出した湯は、その近くのくぼみに丁度露天風呂めいて溜まっていく。
ヤマメ「こりゃあたまげた。
幹から水が出てくるっていう樹の話ぁ聞いたことあるが、まさか温泉が出るとは」
静葉「最初にかごめが考えたように、すぐ下の階層が常冬のハイ・ラガードにあるとは思えないくらい気温の高いエリアだったものね。
かごめが言った通り、そのエリアにこもった熱で、世界樹に吸い上げられた水が温められた…という事かしら」
かごめ「理屈はどうあれサイオー・ホースって奴だ。
丁度いい、いい運動して汗かいたこったし暖を取ろう♪(懐から酒」
諏訪子「( ̄□ ̄;)オメェ何持ってきてんだ!!」
わいわいとその傍へ行って服を脱ごうとする一行だったが、不意に何かの気配を感じて振り返る。
なんか水場の気配を露骨にかぎつけてきたらしいカエル野郎がチョーシこいてるようだった
フラチなカエルはおもえらに温泉を掘らせて呂布の利を狙っていたらしい
それどころかおもえらを性的な目でみているらしく盆暮れ正月がいっぺんに来たみたいなことを考えてるらしいぞ?
ヤマメ「…なんだ、こいつ。
態度でけえぞ、ムカつくななんか(イラッ」
かごめ「このあたし達に向けてガンくれてくるたぁイイ根性してるじゃねえかこのクソカエル。
おいケロ様よ、お前のお仲間なんだし、八つ裂きにされたくなきゃ大人しく帰れってちょっと命令してこい」
諏訪子「うっさい黙れ馬鹿。
だがこいつ調子に乗ってることは確かだな。殺るか?(親指下に向けてくいっ」
さとり「…………………そのようですね。
どうやら私達を見てハーレムか何かだと思ってやがるみたいです、殺っちゃいましょうこのクソ両生類(#^ω^)」
静葉「なんでこのメンバーこんなに血の気多い連中ばかり集まってるのかしら(呆」
「狐尾幻想樹海紀行 緋翼の小皇女」
第十三夜 「祝い歌うこの日君が為に」
かごめ「というわけで氷樹海の温泉からこんにちわかごめさんです。
あたしたちの入浴シーンの一枚絵がない? クラシックにんなもんねえ、歯ぁ磨いてさっさと寝ろ!!!m9( ゚д゚ )」
諏訪子「何いきなり喧嘩腰になってんだよ落ちつけよ。
というわけでDLC「名湯!六花氷樹海」のワンシーンから今回は解説か。
実はストーリーモードだと、イベント一枚絵が追加されるどころか、アリアンナとクロエの入浴バージョン立ち絵がコマンド入力時のカットに追加されるらしい。正直アトラス何してんねんの話なんだが」
かごめ「ひむかいさんロリキャラ専門じゃね?とか思ってたボウケンシャーは今回あまりにアリアンナが色々けしからん為に大混乱してるらしい」
諏訪子「知らんわいそんな話。
まあ、日向悠二がアリアンナを相当気に入ったらしくて、アホかってくらい表情差分描いたなんて話聞くわな。
男キャラに比べるのもナンセンスだが、クロエと比較しても比較にならんくらい差分多いらしいぞ、アリアンナ」
かごめ「おさげいらないだの下系ヒロインだの散々な言われようのリッキィに比べてこの差はなんだろう(しろめ」
諏訪子「リッキィは犠牲になったんだ…公式いじりの犠牲にな(しろめ
それはさておきジェントルトードと戦える追加クエスト、追加のボスクエの中ではこれひとつだけが何故かやたらと難易度が低い。
というか他が軒並みアホかってくらい難易度高いんだよな。もっとこういう中難易度っていうか、クリア前でも挑める程度のボスクエ増やせって割と批判轟々なわけだが」
かごめ「推奨レベル(27)からも解るだろうがジェントルトード自体は炎の魔人よりもずっと弱い。
しかもDLCの宿命で何度でも受け直せる挙句、こちらもDLCなら大量に食材入手できる四葉茶とマスターしたホーリーギフト1つでジェントルトードからもらえる経験値が75000、クエスト報告時に四葉茶飲んでると12万(さとりメモ:ひとり8000の5人分×3倍の補正です)という凄まじい量の経験値がもらえる。
報酬でもらえる解析グラスや角鈴は売ってもおまけ程度な収入にしかならんが…まあ、手っ取り早くレベルを上げたいときには便利だな」
諏訪子「こいつのドロップ品から作れる防具ってなんの意味があんのかね、特に条件ドロップから作れるビキニアーマー」
かごめ「防御力はカスだが耐性が超優秀、実はこの三色耐性がクリア後とかに役立つ事だってあんだよ。
狐野郎はフォーセットアムールの主人公が着てるようなハイレグレオタードのアーマーが良かったとか、相変わらずそんなくだらないことをほざいてるようだが」
諏訪子「至極どうでもいいな。
ところで、これ今回何すんの?」
かごめ「一応前回までが無駄にシリアル()だったので今回が本当の意味でのインターミッション(´・ω・)」
諏訪子「無駄だなあ(迫真
ああ、そう言えばこっそりあの裏で氷の花回収のミッション触れてたけど、そっちは」
かごめ「まあそれから解説していこうかねえ。
ミッションで回収すべき氷の花だが、12Fの丁度東西南北の端にひとつずつ存在する。
ただ単純に全部巡ればいいと思いきや、まず面倒なのはこのフロアにある氷の床。
SQ4でホムラミズチの鱗を壊したあとの金剛獣ノ岩窟を想像してもらえば早いと思うが…ここもリメイク前はなんか一面スケートリンクみたいだったっていう話だが」
諏訪子「リメイクでは入り組んだ細い迷路を強制スクロールで彷徨い歩くハメになる。強制移動床があるという意味も含めて、SQ3の26Fによく似たマップになってるな実は。
階段そばにあるひとつが一番取りに行きやすいが、面倒なのはマップ右下だな。氷床に囲まれた宝箱のところで邪龍が陣取ってる近くだ」
かごめ「しかももっと面倒なことに、氷の花は夜にならないと入手できない。
挙句、昼間は寝ていて動かない邪龍は、夜の間巡回パターンで行動を開始する。HP9009で斬・雷以外の攻撃の通りが悪く、しかもランダム壊攻撃+毒追加の古蛇の毒牙を連発してくる。元々の威力もかなり高いが、毒ダメージがエキスパで90前後喰らうから生き残っても毒がついたらほぼ死ねる。
条件レアの条件だけあって石化が通るが、特に石化に弱いわけじゃないしそもそもこの時点で直接石化させる手段はねえ。
まあ三層では最強の生物だし、こいつが狩れるならむしろ先にスキュレーを狩れってくらいの強さがある。何しろ38平均で挑んでも4回くらいhageて討伐を諦めたからな」
諏訪子「何してんだよ本当にお前…まあ、やるんなら昼間のうちに寝込みを襲うのがベストだな。
配置上バックアタックを取るのはほぼ不可能、睡眠補正が入ってるうちに霊攻大斬で叩き切ってやるといい。あとは流れで」
かごめ「流れで。
一応39で狩ったが初回でやはり魔理沙はきのこってなかった」
諏訪子「なんだあいつ生贄要員かなんかか?」
かごめ「あいつきっとそういう星の下に生まれてるんだろうな(しろめ
ミッション中に先のエリアに進もうとすると、アーテリンデに止められて進むことはできない。かなり広いし邪龍の動きの兼ね合いもあるから、一個とったら帰還を四回繰り返すといい。
12Fには全体氷攻撃をばらまいてくる氷トカゲ、全体壊攻撃でこっちを容赦なく踏みつけてくるスレイプニルといった、広範囲攻撃の激しいザコがいっぱい出てくるから、休みながら行くのが正解だな。
33くらいまでレベル上げてれば行き詰まることはなかろうし、角鈴を持って邪龍との遭遇事故を防ぎつつゆっくり回収するといい。
…さて、そろそろ次のクエストがあるし街に戻りますか」
諏訪子「マイペースにも限度ってあるよな。
あ、そうそう温泉だが、HPTP共に999回復する。ジェントルトード相手に全力出しても探索続行できるよって読み換えてもいいな、流石にフォースゲージは復活しねえけどな」
かごめ「この温泉は以降も回復ポイントとして使えるかと思ったら、そうじゃないらしいしな。
そこがまあ残念というかなんというか」
…
…
〜フロースの宿〜
かごめ「ふーやれやれすっかり樹海で酔っ払っちまったわい('A`)」
諏訪子「オメェ本当に樹海に何しに行ったんだよ」
女将「おや、お帰りあんた達。
丁度良かったよ、あんた達に頼みたい事があったんだよ」
かごめ「なんだい女将、また留守番の手伝いかなんかか?
…クオナそんなに丈夫じゃねえんだろ、あまりあんな体の弱い子を放り出して店開けるのは感心しないよ?」
女将「アハハ、確かにあんたの言うとおりだけど、あんたに任せておけばうちの旦那より頼りになるからねえ。
あの時は確かに助かったよ、旦那もあたしも揃って店開けないようにはしてるんだけどね、あの子のことも心配だし」
かごめ「っていうかあの二日酔いの衛士どうなったんだろうな。
ギルド長があの兜でも解るくらいすっごいイイ表情してそうな感じだったのは覚えてるんだが…」
諏訪子「だな、クオナの手前触れねえことにしてたが、あいつどんな目に遭わされたことやら」
女将「国を守るべき衛士のクセに、二日酔いになるまで飲んだ挙句に公国章を失くす奴が悪いのさ。
ちらと聞いた話だと、なんだか樹海の石運びだとか何とかさせられてるみたいで、此間も何人かで魂抜けたような顔して石運びしてたのを見たよ。
流石にあれはクオナには見せられないねえ^^;」
かごめ「あたしも飲兵衛だが流石に同情できそうにねえな。
で、話脱線しちまったが頼みごとってなんだい女将?」
女将「そうそう、そのクオナの話さ。
実は明日、あの子の誕生日でね。祝いのパーティしようと思って、アントニオに頼んで店を貸しきらせてもらう事になったんだよ」
諏訪子「子供の誕生日パーティ酒場でやんのか!?
別にこの宿の食堂でもいいだろ、ここ泊る奴なら文句は出ねえと思うが」
女将「解ってないねえ。あの子、あんた達と留守番して以来、妙にあんた達のこと好きらしくってね。
っと、これは内緒にしてくれって言われてたんだっけ、ウフフ」
かごめ「…ははあ、読めたぞ女将。
確かにあの店なら、あたし達が飲みながらバカやっても問題ないもんな」
女将「察しが早くて助かるよ。
つまり、そういう事さ。あんた達もあの子の誕生日、一緒に祝っちゃくれないかい?
無理強いはしないけど…出来れば、あんた達が樹海で取ってこれそうな、街でめったに見ないようなものでもプレゼントしてやってくれれば、あの子喜んでくれるんじゃないかって思うのよ」
諏訪子「そうはいうがな女将…」
かごめ「いいじゃねえかケロ様よ。
いいよ、女将にはこの宿の部屋、専用部屋までもらって格安で世話になってるしな。
ほとんど居候身分のあたし達でも役に立てるなら、喜んでやらしてもらおう」
女将「本当かい!?
別にそんなレアな物まではいらない、あんた達がくれるようなものならあの子きっと何でも喜ぶからさ。そいじゃ、頼んだよ!」
…
かごめ「というわけなんだが」
文「えっ結局その無茶振りに私達まで付き合わされるの!?」
てゐ「っつーかなんでこんな部屋貸し切りで使ってやがるんだよ…ギルドハウスこいよあんたら…」
さとり「この方の馬鹿は今に始まったことじゃないでしょう。
まあ、あの子が私達に好意を寄せてくれていることは知っていましたし…一体、どうしたものですかね。
あの子の心を読んで欲しそうなものを持ってくる、という手もあるにはありますが」
かごめ「女将の言葉を信じるなら、それはあまりうまくねえだろ。
多分そんなの当人だって想像すらしておるまいし」
さとり「そりゃまあ確かに。
とすると…この街であの子を知っている人たち辺りに、アドバイスをもらってくるというのがベターでしょうか」
ヤマメ「せやね。
とりあえず私達で同じものを一つ贈るってのも味気ないし、何人かで手分けしてそれぞれ持ち寄るってどう?」
静葉「それもいいかもしれないわね」
諏訪子「そうだな。
誰と誰で組む?」
てゐ「私たちそんなに宿と絡みねえし、文と私はとりあえずレジィナに料理でも頼んでくるよ。
てかあの店でやるって手もあると思うんだけど、今更だが」
かごめ「あの店に酒はねえだろが(迫真」
てゐ「あーはいはい解ってましたよ(呆」
さとり「私はとりあえず、ヤマメさんと交易場に行ってみようと思います。
あそこの看板娘と、クオナさんが仲が良いと聞いた事がありましたので」
ヤマメ「ついでに酒場のおっちゃんのご機嫌伺いにも行ってみるよ。
あのおっちゃん、ちょいとつつけばいろんな情報持ってそうだし」
かごめ「じゃあ静姉とケロ様とあたし三人でギルド長のところ行ってみるか。
あの人、何気に樹海詳しそうだしな」
…
てゐ「というわけで今回はあのボンクラ共の代わりに私の方で解説だ。
今回のサブタイにもなってるクエストなんだけど、「お店番少女」から続く宿からの依頼を解決して11階到達で受領できるようになるよ。「至福の果実」の次だね。
女将からの話を聞いて、宿以外一通り会話して回るとそれぞれよさげなものの情報をもらう事が出来る…一応、リメイク前では情報で得られるうちの何か一つしか選べなくて、その品物によって報酬が違うっていう感じだったそうだ。
リメイクでは薬泉院の代わりにギルドハウスが追加されたけど、ギルドハウスでレジィナと会話すると、あの子がなんか用意してくれるってことになって、クエスト報告時にレジィナとクオナの会話シーンが挿入される。でも特にこれ、報酬に絡まないらしいよ」
…
〜シトト交易場〜
エクレア「うふふ、でもなんだかおかしいです。
みなさんはタルシスやエトリアでも有名な冒険者さんたちなのに、女の子の贈り物で困ってるって思うとなんだかちょっと可愛いなって…あっごめんなさい、悪い意味でいったんじゃなくてあのその(あたふた」
さとり「orz」
ヤマメ「ああ気にしないでいいよ。こいつ他人の心読む能力とかわけのわからん能力持ってるくせに、気の遠くなるような大昔から自分の妹にすら贈り物に困るようなところあるからさ。
まー実際困ってることは確かだしな、私にも基本無縁の世界だし」
エクレア「はあ…よくわかりませんけど、皆さんは皆さんで色々あるんですね。
あの子あの性格だから、基本的に何でも喜んでくれると思うんだけど…そうですね、花とかどうでしょうか?
樹海の植物の魔物とかばっかり皆さん話題に出されますけど、普通に樹海でしか見られないような綺麗な花もありますし」
さとり「なるほど…そんなものでいいんですか…(メモメモ」
ヤマメ「…オメェ馬鹿真面目にメモ取ってんじゃねえよ…大体にしてそれがのちのちこいしに活かせるとは思えねえよとても」
〜同じ頃 冒険者ギルド〜
マリオン「宿屋のクオナ嬢への贈り物…?
そんなものを私に訊くこと自体、見当違いじゃないのか?」
かごめ「まーそういうなよーギルド長ぉー(CV:中村春香」
諏訪子「オメェ何のキャラだよそれ。
まーあれだ、ダンフォードのじいさんも「この老体は国のために学問に身を投じたが、うら若き娘の心はつゆ知らずじゃ」とか無駄に格好いいこと言ってはぐらかしやがったし、期待はしてなかったが」
マリオン「なんかそう片づけられるとそれはそれで腹が立つな(´・ω・`)
…世間も何かと物騒だし剣はどうだ?
あの年から鍛えれば、大抵の人間に負けぬ腕になれる可能性もある」
かごめ「うーんあたしがあの妖怪茶巻髪から刀渡されたのも十四ン時だからなぁー…ああいや正確にはそんな歳じゃねえ気もすんだが」
諏訪子「真面目に考えるなよ冗談だろどう聞いても」
マリオン「お、お前さんなら確かにもっと小さい時から刃物をブン回してそうな気がするが…確かに今のは冗談だ気にしないでくれ。
そうだな、木の実はどうだ? あまりもらって嫌がる子もそうはおらんだろう」
かごめ「木の実ねえ。
確かに常緋の森に甘柿とか野苺の群生地があった気がするが」
マリオン「………その常緋の森、水泡樹が群生する入口付近に上質のベリーの実る一帯がある。
水泡樹のみならず強力な魔物が徘徊する場所故、ほとんど知られてはおらぬがな」
静葉「あー、そう言えばあったかもしれないわね。
さとりが暫くそこから動かなくってねえ、気づいたらジャイアントモアの大群に囲まれてて何事かと思ったけど」
かごめ「あの小五ロリ意外とそう言うのに目がないもんな。
ところでギルド長、あんたなんでそれ知ってんだ?」
マリオン「知ってて悪いか! 私にも色々あるんだよ!!><」
静葉「別に逆ギレしなくても…」
…
てゐ「公国宮ではじいさんのヨタ話が聴けるくらいで大したメリットはねえ。
ギルド長からはベリーの情報が、ひまわり娘からは一層採集物小さい花の話が、棘魚亭のオヤジからは「3Fでキャラバンが魔物に襲われて積荷がそのままになってるから、それを漁ってみろ」みたいな話が聞ける。
3Fの真ん中あたり、恐竜三連星の部屋の左上の小部屋でキャラバンの残骸に遭遇するので、そこで「香りつきの蝋燭」が入手できるんだけど、入手の際にランダムで一人がTPを50も減らされるから注意な。今回は土蜘蛛が引っ掛かりやがった。
で、ベリーは水泡樹4体が回転してる区画、一番左側に面した袋小路だ。「ベリーを持っていく」を選択すると、大イノシシ1と大キノコ2との強制戦闘があって、「最高級のジャム」を手に入れられる。
要はこのぢゃむ…じゃなくてジャムと、蝋燭と、小さい花のどれか1つ以上を納品すればおk。全部揃えて持っていくと、当然その分の会話がすべて追加されて、報酬も増える。基本がテリアカ二種セット1個ずつなんだけど、全部納品で5個ずつもらえるよ。高レベルメディックがいるなら、荷物の邪魔にしかならないとかそんなのはいいっこなしだね」
…
「ありがとう…わたし、これまでの誕生日で、いちばん…たのしい、気がする」
はにかみながらも嬉しそうな少女の手には、たくさんの贈り物。
楽しい時間はあっという間に過ぎゆき、宿の一家が去った後も棘魚亭では、かごめ以下数人が残ってカウンターでクダを巻いていた。
「しかし、オメエらも御苦労なこった。
姐さんに至っては登場タイミングまで狙い澄ました感じでよお。
なんだ? 一流の冒険者ってのはエンターテイナーとしても一級品の腕なのかい?」
「違うわよ。
かごめは単に、手に入れそこなったベリーの後始末どうにかしようとしてただけの話」
からかうような口調のアントニオに、呆れたように溜息を吐く静葉がしれっと答える。
「っていうかオメェ、ジャムなんて一体どうやって作った?
大イノシシを三枚に下ろすはいいが、オメエが後先考えずに暴れ回ったお陰でベリーはおじゃんになっちまったってのに」
「テメェこっそりあたしを馬鹿にしてるだろこのカエル。
ジャムなんて至極簡単だよ。潰した果物に適当な柑橘絞って砂糖ぶち込んで、あとは焦がさないよう水アメっぽくなるまでゆっくり煮てかきまわす。それだけだ。
………つぐみがちっちゃい頃、あいつそんな体丈夫じゃなくってさ。よく作ってやってたんだ」
「ふぅん。
オメエにもそういうところあったんだな。あとカエルいうな祟んぞ」
「いやちょっと待てあれまさか踏んずけたりした奴を」
「ちげえよ、そこのボケガエルが袋に入ってる奴におもっきり尻餅つきやがったんだよ。その所為だ」
「それはそれであまりよくはねえだろ…」
わざとなのか、AAのコリブリめいてオエーと吐く真似をするヤマメとかごめに諏訪子が噛みつくその少し離れた場所で、さとりとてゐが静かに残りものをつついていた。
「あなた達も災難でしたね、ミッションもあった事でしょうに」
「まー大したことしてねえけどさ。
もう色々あったから取り繕わねえけど…美結の話、なんか聞いてね?
あとで聞いたら、念のため倉野川へいったん帰して精密検査受けさせるとか聞いたけど」
あまりにあっけらかんと聞いてくるてゐに苦笑しながらも、さとりは応える。
「即日解るような結果では、特に体の変調は見られないそうですよ。
ただ…血液検査とかは、もう既に人間でなくなってしまったこともあって特別な検査が必要になるとかで…病院側としては、もっと長期かつ定期的な検査が必要と言っていたそうですが」
「建前だろうな。
外の医者どもは、慧音のことすら後天性魔性化の検体としてしか見てねえような感じだ。
それだったら…私にも多少の医術の心得はある、永琳師匠に診せるんでもねえならそっちの方がカネの節約になるってかごめに言っとけよ」
パーティの残り物を、まるでどこぞの三世怪盗の如く口に放りこむてゐに、さとりは穏やかな笑みを崩さずに続ける。
「あの子のこと、随分気に入られたようですね。
…でも、今あなたを外したら、フラン達のパーティも巧く回らないでしょう。
一応、藍さんは本来の仕事に戻るそうなので、代わりの監督者を手配したとか…藍さんも、名残惜しそうにしてましたが」
「あいつも意外とそういうところ、脆そうだしな。私が言えた義理でもないが。
しかし…代わりだと?
透子が一応前衛に立てるとはいえ、紙防御の奴ばっかりじゃねえか基本」
「その辺も加味しての人選なんでしょうね。
正直、血の雨が降らねばよいのですが」
さとりは溜息を吐く。
「近々、美結さん達と一緒に戻ってくるのは…幽香さんですよ」