〜六花氷樹海15F〜


♪BGM 「戦場 そびえたつ双つ」(SSQ)♪




「ついにここまで来てしもうたか。
あまりに早く…そして危険すぎる」

その広間の如き区画…静かで、それでいて激しく強い殺気の支配するその場に、その老銃士は佇んでいた。
先へ進む扉の前に立ちふさがり、凄まじい殺気を放ちながらも、ライシュッツは何処か憂いを帯びた表情でそう告げると…そして、再び殺気を込めた言葉で続ける。

「先に、我は警告したはずだ。
命惜しくば、先に進むな…とな。
その言葉に逆らい樹海を進み、ここまで来た以上…相応の報い、覚悟せよ!」
「待ってくれ!
じいさん、一体どうしてそこまでするんだ!?
確かにあんた達はここでの古株だし、相応の事情があるんだろうが…冒険者同士がこんなところで争う理由なんてあるのかよ!?」

魔理沙の言葉に、ライシュッツは強い視線のままじっと、こちらを見やっている。


「…それは昔の話。
一人の優れた術医師が、この樹海に挑んだ」



その言葉は、背後から響いてくる。

「術医師のいたパーティは、皆一騎当千の強者揃い。
この森に踏み込んで僅かな期間で、樹海の奥…空の浮島である「桜ノ立橋」の直前まで辿りついたわ。
けれど」

その声は…初めてであった時のような明るいトーンは影を潜め、深い後悔と憂いに満ちている。

「“彼女”は、この氷樹海で命を落としたわ。
悪意ある存在に作られたその邪悪な飛竜から…仲間を護るため、たった一人で挑んで

次第に声が震え、苦痛に耐えるような表情で言葉を切るアーテリンデ。
その後に続けるように、ライシュッツが再び語り出す。

「…それだけなら良かった。
それだけのことであれば、樹海に挑んだ身の程知らずの冒険者の末路として…よくある話ぞ。
だが…事はそれだけではすまなんだ…!!」

老銃士は何かを耐えるかのように…奥歯をかみしめる。


「天の支配者が樹海を支配している…という話を、貴様等は知っているか…?
…彼女はその死後、その天の支配者に…樹海の上に坐する邪悪なるものに魅入られた…!
そして…おぞましき永遠の生命を与えられ…この氷樹海の主となったのだ!!



「狐尾幻想樹海紀行 緋翼の小皇女」
第十四夜 死闘! 狐尾とエスバット




さとり「どうもさとりさんです」
諏訪子「えっお前なのかよ?
   っていうかかごめのアホはどうした?」
さとり「ああ、なんでも「鳥を探してくる。敗北を知るために」とかわけのわからない書き置きを残して今朝から姿が見えないんですが」
諏訪子「何処の最凶死刑囚だあいつは…ビリー兄弟の鳥どもでも丸焼きにしてくるつもりか?」
さとり「一応チップンロールなんてのもあるんですけどね。
   まあ、あのひとのやることですから気にしてもしょうがないんじゃないでしょうか」
諏訪子「オメエ本当にかごめのやることには深入りしたがらねえな…まあ、普通心を読んでからかう側の心を読んでからかうような奴と一緒にいたら、胃壁の粘膜の寿命的なものがストレスでマッハだもんな」
さとり「というかむしろ私が直接絡んでないのまで私のせいにされるとか本当に勘弁してほしいですよ(しろめ」

さとり「というわけでとうとうここまでやってきました、中盤のヤマ場ですね」
諏訪子「ですな。
   しかしでも、世界樹って冒険者相手との戦闘、伝統的にあるような気がすんね。
   3にはなかった? 忘れとけ(キリッ」
さとり「ああ、海都のロリコン大将軍もといクジュラさんは除外されるんですねその場合。
   4はそういえば…諏訪子さんがイモくさい神様と一緒になってなんやかんやされてましたよね、キバガミさんに(ニヨニヨ」
諏訪子「お前かごめいない所だと絶好調だな…あれは物語上の演出であって実際あっさりsageてっから(キリッ
   無印のレンツスは最後半だったけど、エスバットの連中は中盤の壁としてこっちに牙抜いてくる。戦闘能力は時期的にさほどでもない…という事もないというか、世界樹的な意味でさほどでもないというか」
さとり「まあトチ狂ってますよね、色々と。
   ローゲルさんのショックドライブが可愛く見えてしまう程度には」
諏訪子「ローゲルには悪いが、実際あいつはまだ対処楽な方だったと思うよ中ボス的には。
   エスバットは正直時期的におかしい。というかリメイクでは輪をかけて凶悪になってやがるとか意味解らん、特にアテリン」
さとり「魔弾の方はいいんですか魔弾の方は」
諏訪子「よくはねえけどまだライシュッツは止める手段結構いろいろあるから。
   アテリンはなにがヤバいかというとまあアレだ、こいつがマグスってのが色々ヤバい。
   こっちのスキルで言えば乱疫を全体に対してぶっ放してきたり、霊攻衰斬と霊防衰斬のいっしょくたになったのを使ってくるとか、巫剣三点縛りセットがワンセットになった奴使うとか、明らかに超強化されすぎてる再生陣使うとか本当に何なんだあんたレベル」
さとり「そのうちの一つでもこっちが使えたら、どれもぶっ壊れスキルですし…なんというかエスバットが2りでも樹海探索に支障が出てない事が本当によくわかりますね。
   とりあえず氷の花のミッションをクリアすると先に進めるようになりますが、まず12Fでアーテリンデが、13Fではライシュッツがそれぞれ「ここから先に進んだら命が致命的な致命傷になる(キリッ」とか脅してきます。この時点ではまだ何も起きないんですけど。
   そして13F14F共に、15Fの仕掛けのチュートリアルみたいなのがありますね」
諏訪子「氷床に滑らせる氷塊だな。
   押してやると、氷の床を滑って氷塊がその端っこまで飛んでいく。
   これをストッパー代わりにして先に進むわけだけど…13F14FのF.O.Eは第三階層ボスの攻略ヒントにもなる重要な特性がある。
   まずは13Fの虚空を見る邪眼、リメイク前ではイビルアイだが、こいつに氷塊をぶつけると即死していなくなる」
さとり「HPは狼と同じぐらい、第三階層の魔物としては珍しく氷弱点で、突攻撃も通るからそこまで固くもないです。
   問題は、初手で確実に使用してくる一列混乱もしくは麻痺の「狂気の瞳」と、HPが減ってくると多用してくる単体壊攻撃「突進」。
   異常付与は勿論キッツいですが、こいつで危険なのはむしろ突進のほう。適正以下だとパラディンかペットでも一発で吹っ飛ばされかねない超高威力で、無論パラディンとペット以外が食らえば大概即死するという」
諏訪子「混乱を兎に角どうにかできれば、あとは突進で確実に死ぬと割切ってゾンビ戦法で切り抜ける手はある。
   狂気の瞳は大体前列に飛ぶから、先手取れるキャラに予防の号令張らせるのがベストだな。氷で滑っている間は止まるまでが一歩でカウントされるし、巡回から弱い追尾の切り替わり型だが、バックを取ること自体はそんな難しくない。
   ギミックで即死する為か復活は1日と早いから、慣れてきたらこいつの希少種化を待って狩り殺すと経験値稼ぎが捗るよ」
さとり「クエストに絡むし食材も落とすので、なるべく早めに狩りたいところですね。
   うちは35で狩ったけど、異常さえどうにかできればもっと早いレベルの討伐は可能でしょう。
   そしてそれ以上に初見殺し一発芸なのが14FのF.O.E青嵐の粘塊」
諏訪子「キューブF.O.Eか。
   こいつは通常攻撃と、通常攻撃の強化とは全く関係のないエレメントゲルしか使わないから一見楽勝かと思えば、死に際に凍りつく体液で爆発四散してこっちまで巻き添えにしてきやがる。
   裏返せば、エレメントゲルはこの死に際の一発の破壊力を高めるためのものだな。エレメントゲルが乗ってようがいまいが、エキスパだと一人頭200前後という超威力だ。というか、フレイムキューブ大爆発の氷版と思っていい」
さとり「こちらも氷床の上を巡回して、索敵範囲に入ると氷の床のある範囲でだけ追尾してきますね。
   こいつに氷塊をぶつけると、氷塊が跳ね返されてしまいます。なので、こいつに当たらないようにして氷塊を押してやるのがベストですが…一番いいのはフリーズガード5以上のパラディンもしくは耐氷ミスト・氷の守り等で氷軽減策を採って狩ってしまうことです。
   特に最後の小部屋は氷塊を移動させながら氷の上を移動しなければならず、その場所にいるキューブ野郎が本当に邪魔ですから。
   というかあれ、キューブ倒さずに潜り抜けられる人がいるとすれば相当パズル得意な人ですよね」
諏訪子「元々世界樹のF.O.Eは極力避けて進むべき対象なんだけどな。
   まあ今作はボスに至るまでフィールドギミックで難易度変わったりばっかりだし、あくまでこいつチュートリアルだってことを忘れないようにな。
   もっとも粘塊はただの初見殺しでパターン覚えれば到達時でも十分討伐出来るから、狩った方が正解かもな」









「永遠の命…ですって…!?
どういう事ですか!?」

フランの戦慄くような問いかけに、老銃士は哀しげな表情のまま続ける。

「…支配者(ヤツ)の言う永遠の命…それは、我ら人間にしてみれば、人ならざる者になると…人間である事を辞めることと同義。
彼女は…支配者の手により人間ではなくなってしまった…否、人に仇なす樹海の魔物となったのだ。
もう我らの言葉も届かぬ…彼女の姿のみを残す、ただの魔物に…!」
「そんなっ…!
そんなの…そんなの、死ぬよりももっとひどい…!」
「そうね。
でも…それでも、あたしたちは…彼女を護りたいの。
たとえ、それが人間の道を外れる行為だとしても」

アーテリンデはゆっくりと、巫剣を構えて距離を詰めてくる。
後悔の色を強く滲ませる哀しい瞳のまま…巫剣にこもる力は強く、そして、静かに殺気が放たれ始める。

「このままあなた達が先へと進めば、変わり果てた彼女との戦いは避けられない。
どんな姿になっても…私達すら敵と認識しているとしても…彼女はあたしにとって、大切なの」

魔理沙とみとりが何か言おうとするが…てゐはその前に立つと、二人を制する。

「てゐ、お前なんの…!」
「止めろ、二人とも。
もう…あいつらに何を言っても、多分ダメだ。
ああいう目をした連中は、もう理屈じゃ止められっこない…知ってるだろ、ああいう目をした奴を何人も」
「だからって!
だからってここで私達が戦う事になんのメリットがあるんだ!?
あいつらがそうせざるを得ないのは、その「支配者」とか言う奴のせいなんだろう!?」
「ああそうだ。
でもな…それが解ってたからって、どうすりゃいい?
もし、この先にいる「氷姫」にその意思が残っているならまだ説明の余地はある…多少反則な手でも、採るべき手段はあるんだ。
だが」

てゐは文に視線を送り、文は険しい表情のまま頷く。

「もはや「氷姫」に、人間としての心は…記憶は残っていないんでしょう。
それは、ただ「人間だったもの」が、魔物としての本能に従ってのみ活動していることを意味する。
……彼女らにその覚悟がないのなら、せめて……私達が引導を渡してやるほかない」

アーテリンデは僅かに悲しそうな表情をする。

彼女にも解っているのだろう。
最早、そこにいるのは「彼女」の抜け殻でしかないという事に。
倒すべき敵でしかないという事に。


しかし、彼女はそれでも…その想いを貫くために叫ぶ。





「さあ、ここであなたたちの冒険を…終わりにしてあげるッ!!」









諏訪子「そしてフロアのF.O.E総出演の15F、邪龍や狼が屯しているフロアを超えると、いよいよエスバットとの直接対決が待っている。
   ここではかなり、真相に込み入ったところまで解るのだが」
さとり「もうこれも最後の敵(笑)なんて有名だから触れちゃいますけど…バーロー(笑)が全て悪い(キリッ」
諏訪子「一応新のストーリーモードでヴィズルにもだいぶフォローが入ったというか…アーサーが総てを代言してくれたけど、ヴィズルは本当に大したおっさんだったのに、バーローは本当に最後の最後まで救いがなかったというかなんというか。
   アリアンナの言葉とかがいかにも取ってつけたようにしか聞こえないというか、むしろニュアンス的には「こいつもうダメだったのかも知れんね」みたいなのが本当にもう」
さとり「振ったの私ですけど、とりあえずバーローの話はその時することにしてエスバットのデータ触れましょう」




アーテリンデ
レベル40 HP4900
氷弱点/耐性なし スタン・毒以外すべて無効(スタンと毒も通るとは言ってない
盲人独笑(腕) 単体に近接斬攻撃。対象が状態異常なら、物理・属性攻撃力ダウン付与。
もつれ糸(腕) 単体に近接斬攻撃。対象が状態異常なら、全個所縛り付与。
百鬼夜行(頭) 5ターンの間、味方(エスバット側)一人の物理・属性攻撃力をアップ。
亡者の灰(頭) 全体にランダムで状態異常付与(即死・石化・スタンを除く)。1ターン目と5倍数ターンに使用。
描かれた花(頭) 味方(エスバット側)全員のHPを200程度回復。異常、縛りも解除する。最速発動かつターン終了時にもう一度発動する。
大巫術:森羅万象(依存なし) ランダム対象に16回の必中無属性極大ダメージ。使用後、アーテリンデは戦闘不能になる(撃破の扱いになる)。
※HP30%以下もしくはライシュッツが戦闘不能になると、そのターンの終了時に巫剣解放をする。
 解放後、盲人独笑ともつれ糸が全体化し、なおかつ対象が状態異常でなくても付加効果発動。
 巫剣解放後3ターン目に大巫術:森羅万象を使用する。

ライシュッツ
レベル40 HP4700
炎弱点/耐性なし 即死・石化無効/呪い、毒に弱い/盲目耐性
フレイムショット・アイスショット・サンダーショット(腕) それぞれ、ガンナーの同名スキルに準じる。
高速乱射(腕) 全体に発生の速い近接突攻撃。
魔弾の射手(依存なし) ランダム対象に16回の必中突属性極大ダメージ。使用後、ライシュッツは戦闘不能になる(撃破の扱いになる)。
※HP70%以下で通常攻撃が高速乱射に切り替わる。
 HP30%もしくはアーテリンデが戦闘不能になると、ターン終了時にアクセルブーストを発動。
 フレイムショット、アイスショット、サンダーショットがそれぞれ3〜4回のランダム対象攻撃となる。
 発動後3ターン目に魔弾の射手を使用する。


諏訪子「まー見てもらえれば解る通り、さっき私が言った通りだよ。兎に角アーテリンデが色々狂ってる。
   行動パターンもあとでちゃんと触れるがこれだけはとにかく言っておきたいんよ」
さとり「というか清々しいまでにあの爺さん直接攻撃技しか持ってないんですね。
   その代わりアーテリンデなんですか実際これ(しろめ」
諏訪子「基本的にはどれも、通常ごく一般のドクトルマグスができるのと一緒の事ができる。ただそれが無駄にパワーアップしてるだけだ。
   百鬼夜行にしたって単純に考えればレベル10鬼力化なんだろうが」
さとり「大体にして巫剣解放でバルカンフォームがおまけについてくるとか嫌がらせかなんかですか?」
諏訪子「実際、こいつら相手に2回もhageるハメになったの大体アテリンの所為だからな。
   最期の自爆攻撃だけ防げばいい? そんな幻想見事にブチ壊されたよ!!!m9( ゚д゚ )
さとり「その自爆攻撃にしたって二人分じゃないですか。
   回数からして十二分トチ狂ってますけど、単発の威力どんなもんです?」
諏訪子「エキスパだとバフ重ねまくったペットが一発300ずつもらう
さとり「……………………………マヂで?」
諏訪子「まあ基本的には、発動したら防ぐ手段がない限り全員ナマス切りかハチの巣になって終わるな。
   対処法は二つ、パラもしくはペットのフォースブレイクでしのぐか、もしくは発動前に、可能なら両方同時に3ターン目までにHP削りきること。
   自爆技ではあるが、どちらも死に際の一撃じゃない。発動前にHPを削り切れれば発動させないことも可能だ」
さとり「ですが二人ほぼ同時って…ピクニックならまだしもエキスパで一人あたり1500前後を3ターン以内で削るとかどう考えても難易度高すぎません?」
諏訪子「魔弾の射手が最速発動説もある。なのでじじいは実質2ターンしか猶予がない。
   となれば重点的に削る相手を決めなきゃならんわけだが…危険度の少ないのはライシュッツの方なので、爺さんはむしろ放っておくほうが攻略難易度低くなると思う。
   じじいは通常攻撃→三色のどれか→最初に使わなかった二色のどっちか→残り→通常…のローテが基本で、HPが7割を切ると通常の部分が高速乱射に切り替わる。これも結構痛いダメージが来るし、実際に2回目のhageは中途半端にじじいのHP削ってた所為で高速乱射かーらーのーアテリン全体もつれ糸で瞬殺されたからな。あれは本当に何が起きたのかと」
さとり「めちゃくちゃじゃないですか。
   そうすると…攻略法としてはパラディンのブレイクで防ぐ前提として、片方を速攻で片づけてもう片方の必殺技をブレイクでやり過ごす…という戦法でしょうか」
諏訪子「そうなるな。
   攻略wikiだと「アテリン残すべきそうするべき。描かれた花がめんどくさ過ぎる」という理由からのようだが」
さとり「だが?」
諏訪子「実際はアテリンを先に潰した方がいい。
   奴は状態異常がほぼ全部通らない、というかそもそも、封じや異常があっても描かれた花を使われると元の木阿弥だ。
   HPと防御面も地味にこっちが高いし、HP削ると回復の方を重点化していくが、裏返せば描かれた花を乱用するようになったら少なくとも攻め手を一つ潰したのと同じ意味だ。そういう意味では、じいさん完全放置でアーテリンデを兎に角先に落とすのが戦略としては正解だろう」
さとり「そうすると、あとは巫剣解放後の処理をどうするかですけど」
諏訪子「解放後は盲人独笑かもつれ糸のどっちか→使わなかった方→森羅万象の順に飛んでくる。
   全体盲人独笑、全体もつれ糸の時点でも大分ハードだが、少なくとも両方捌くのは必須だ。もしくはソードマンがいるなら、巫剣解放した瞬間にフルゲインを叩きこんで一刀両断にするのがいい。少なくとも35前後なら1400程度のダメージがぶちこめるはずだ。
   でなきゃどっちも斬攻撃なので、斬撃の守りでしのぐ手もある。兎に角こいつが森羅万象を発動して、これをブレイクで防がなきゃならない状況だけは全力回避したいところだ」
さとり「要するに、どっちを先に倒すにしても、先に倒す方は必殺技を使わせてはならないと。
   そうすると、ターン猶予のあるアーテリンデを先に潰す方が理にかなってますね」
諏訪子「こっちは実際、フランも文もフォースブレイクが全体攻撃だからじじいの体力も無駄に削っちまうのが難点だな。
   なので火力重視で文は五月雨撃ち使わせたが、フランは英雄の戦いからのインボルブ、そして3ターン目に魔理沙の至高の魔弾で止めだ。魔弾ならごく稀に通るスタンで運ゲーに持ちこむことだって可能だしな。
   そしてあとはじいさんがアクセルブーストをかけた瞬間に腕縛って、魔弾を完全防御でやり過ごして終了だ。じじいは腕縛り通るといっても耐性は通常、アテリンが描かれた花で回復させないようにギリギリまで腕は縛らないのがポイントだ。
   あとここまで地味に触れてなかったが、アテリンは定数ターンで全体異常をブチまいてくる。これもアルルーナの太古の花粉から石化を抜いただけで危険度はさほど変わらん、予防の号令か結界で確実に防ぎたい。3回目は運良く、トレードして入手した防衛本能が入って、早めに文の手が空いたところで予防の号令使わせたからうまくやり過ごせた。最初のhageん時は状態異常で機能停止したところを全体独笑でぶっ飛ばされたからな

諏訪子「というわけで今回はここまでだ。
   話を詰め込み過ぎたせいで触れるスペースが足りなくなったからな、スキル紹介とかは次でスキュレー戦の時のとまとめるよ。
   ぶっちゃけ装備もグリモアも一緒だし」
さとり「いいんですかそれここでぶっちゃけても」
諏訪子「いいんだよ、どうせこのまま続くんだし」
さとり「適当ですねえ。
   じゃあ、そう言うわけで今回はここまでです。
   次回はスキュレー戦になります
諏訪子「………なんか淡々と終わったなあ、いやこれでいいんだけどよ別に……」









熟練の冒険者、という言葉の枠では収まらぬエスバットの二人の尋常ならざる戦闘力は、数で勝る筈のフラン達を圧倒するものであった。
しかし…フラン達もまた、ここまでの過酷な旅路の中で少しずつ、封じられた自分たちの力を解放しつつあり…否。

(これは…!?)

最初にその事に気がついたのは、魔理沙だった。

彼女は銃士を相手取る文、魔理沙の盾となってその攻撃を防ぐ役割を担っている。
ライシュッツが放った銃弾を、かろうじて彼女が受け止めたことで開かれたその戦闘の中で、彼女はただその射線から二人を守ることに専念し、それに手一杯になっている…はずだった。

(みとりの奴…まさか見えているのか!?
 あの弾丸の動きが)

この森へ初めて足を踏み入れた頃のように、ただ闇雲に盾を構えて立つだけじゃなく…彼女はその都度、盾を微妙な角度に構え、その衝撃をいかにして効率的に殺ぐかを経験として身につけ、その技術の習得により戦闘空間の視野を広く持つことができるようになっていたのだ。
そして…その視野の広さが、相対する魔物の動きに対して次どう動けば良いのか、より正確な判断が出来る洞察力に繋がっている。


それは、針の穴ほどの標的も正確に撃ち抜くと言われた「魔弾」の射線すら見切るほどの。


その変化に気づいていたのは魔理沙だけではない。
その後ろにいて、今回の旅路でみとりの姿を追い続けていた文の方が、それをより深く理解する。





「お前が私を呼び付けたそうだな。
なんのつもりだ」

樹海最初の試練を終えたその夜、明らかに敵意を向けてきたその姿に、文は溜息を吐いて気だるそうに応える。

「只の興味本位よ。それが何か?」
「要はヒマつぶしか。
いい気なものだ。お前達天狗は鬼が山からいなくなった後、私達河童や猩々のような、自分たちよりも格下の妖怪を追いまわしては晒し者にして楽しんでいる。
鬼を恐れて地底にも近づかなかったお前らが、地底に住む私を引きずり出そうとするなど、随分身の程知らずになったな」
「…いい気になってる、ね。
鬼が山にいた頃の記憶なんて、にとりだって持ってはないわよ。
河童はそうやって不必要に格上を作って無駄に恐れ近づかない…正直、今のにとりが異常にも思えるけど」

みとりは奥歯を噛みしめ、その敵意を強めていることは文にも解った。

文がこれほどまでに挑発的な言葉を繰り返すのも、単純に能力が封印されている現在なら、与しやすい相手だと思っているから…だけではない。
分身体とはいえ河童族、本能的に鬼や天狗に逆らえない性質があるから、という論拠であれば、それも地底で鬼を相手に修理工を営んでいる彼女が、商売上のいさかいで鬼と悶着を起こして返り討ちにしたなどという話はさほど珍しいことではなく、彼女にそれは当てはまらないだろう。

単純に…みとりにはそんなことはできない事を、悟っているからだ。
現在はかなり解消されてはいるものの、大元のにとりが生来憶病で、他人との揉め事を嫌う性質をもっている。
一方でこの紅河童は、いまだにその心の弱さを持っていることを…大体にして、彼女と揉め事を起こした鬼の方から仕掛けてきた喧嘩を、その降りかかる火の粉を払ったにすぎないことも。

その見立て通り、みとりは怒りで頬を紅潮させながらも、ただ、文を睨みつけているだけだ。
文はあえて、小馬鹿にしたような笑い顔で言葉を続ける。


「悔しかったら、それが違うんだということを証明して見せなさいな。
…私がウソを吐いても…私の持つカメラのファインダーに映るものはウソを吐かない。
もっとも、こんな安っぽい挑発にホイホイと乗って、頭を沸騰させても爆発させることすらできない今のあんたには…到底無理でしょうけどね」






あの日、それ以上何も云わずに憤然と立ち去ったみとりの後ろ姿と、今の彼女の後姿は全く別のものだ。

文はあれから常にみとりの後ろに立ち続けた。
最初は、口先だけが凶暴に見える事がよくわかるくらい、盾の後ろで縮こまって魔物の攻撃を受け、ひと戦闘終えるたびに肩で荒く息をしていた彼女が…何時の間にか、魔物の攻撃をよく見て適切な行動を取れるようになってきている。
元々の職人気質が、必要な技術を必要に応じて使わせることを、経験則として身につけさせていることが、文には解っていた。


同じ盾役であるレティとは異なるが…黙々と作業をこなす貫禄の職人の如き盾役ぶりを、いまのみとりは確かに見せている。


文は何時の間にかその姿をファインダーに納めて笑う。
そして。

「魔理沙、こいつは私達で十分よ。
それよりも」
…先にアーテリンデを止めろ、だろ。
考えることは一緒だ、向こうも先にてゐを潰したがってる。だけど」
「問題ないわ。
今のみとりなら、安心して前衛が任せられるもの!

頷き、踵を返す魔理沙の動きに反応したライシュッツが、目にもとまらぬ早撃ちでその腕と足を狙うが…一瞬早く、盾を構えた赤髪の護り手が、そこへ滑り込んで、こともなげにその弾丸を明後日の方向へいなす。
驚愕に目を見開くライシュッツに、みとりは宣告する。


「その魔弾、ここから先は通行止め…否、進入禁止だ。
この私がいる以上、その射線が自由になると思うな!







(まさか…ここまで力をつけているなんてッ…!)


アーテリンデはてゐ、フランの波状攻撃を前に、単独でも十分互角に渡り合う鬼神の如き戦闘力を見せつけるが…それでも、時間が経つにつれ手数の差が徐々にはっきりとし始めている。

緋の森で遭遇した時には、確かにそれなりの実力は感じ取れただろうが、自分たちはおろか魔人の相手すら務まらないだろうと踏んでいた筈だったのが、現在はこうして自分を追い詰めつつある。
しかし…アーテリンデは剣戟を交えながら、そこにはっきりとした違和感を感じ取っていた。


実は、今目の前で自分に猛攻を仕掛ける少女達のその力が…彼女たち本来の力とは大きくかけ離れているのではないか、という、突拍子もないその憶測。


そんなバカな、と否定しようとするアーテリンデだったが、直接干戈を交えたことで、その論拠のない憶測が真実であろうことを、薄々感じ取り始めている。
彼女は二人の一瞬の隙を突き、剣を大きく振りまわして飛びのいて距離を取る。


「…ひとつ、教えて頂戴。
タルシスの英雄「狐尾」は、異界から来た人ならざる者達のギルドだと聞いた。
デタラメだと片づけるのも簡単だけど…そこのウサギのお姉さん、あなたの姿を見ればまあ、疑う余地もないのだろうけど」
「今更、隠すつもりもありません。
私は、異界の吸血鬼。本来は…魔物として、人間を喰らう側の存在です

フランは哀しくも、強い視線ではっきりと答える。

フランは姉のレミリア同様、時折どうしても人間の血を求める発作を引き起こす。
これは吸血鬼として存在している以上、仕方のないことであり…割り切って生きていくしかないことだった。
吸血鬼としての力が封印されている現状、その頻度は低いものの…それでも、発作で暴れ出そうとしていたところを、すんでのところでてゐが予備用に所持していた輸血用の血液を摂取することで納めていたのだ。

「解せないわね。
あなたはそれでありながら、ハイ・ラガードの街のために動いている。
…いえ、それは正確ではないのかもしれないわね…フラン」
「はい。
私は…私は自分の生まれもった力が、怖かった。
自分に流れる吸血鬼の血も。
私は……ずっとずっと大昔、その為に気が触れて……そして、お姉様の手で地下牢に封印されました。
………一人の、人間の女の子に出会うまでの、五百年近い時間を」

アーテリンデは驚愕に目を見開く。

「その子が外に連れ出してくれなかったら…私は一生外を知らず、自分を見失ったまま、いずれ討伐されて死んでいったのでしょう。
外を知った私は、こんなきれいな世界が…美しい世界が広がってるなんて知らなくて…でも、その世界に自分が解き放たれたら、自分の力で壊してしまうかもって…余計に怖くなった。
私のこんな呪われた力も、忌むべき血も、全部全部なくなってしまえばいいのにって…!!

フランの瞳から涙が零れ落ちる。
しかし…彼女はなおも独白を続ける。

「けど…それが違うんだって、教えてくれたひとがいました。
もって生まれた力も、その血も……きっと何か必要にされたからこそ、私に持たされたものなんだって。
同じ吸血鬼で、でも、私と同じように長い長い時間、自分の中にあるモノに怯えながら、恐れを抱きながら…それでも、自分自身のあるべき姿を貫き通して来たそのひとが」
「あなたは…その意味を見つける事が出来たのね。
どんなに恐ろしく強大な力でも、使い道次第では毒にも薬にもなる

フランは頷く。

「私の真の能力は「ありとあらゆるものを破壊する程度の能力」。
私は…この力で、私が知るひとたちの悲しみを…苦しみを、壊してあげたい。
その先に残るものが、例え虚無であろうとも………悲しみや苦しみに囚われたままじゃ、前には進んで行けないんです!!

アーテリンデはその、はっきりとした意思を受けて目を細める。

目の前の少女に秘められた真の力など関係はない。
フランの持つ強く悲しい瞳と、その奥底に確かに光る確固たる信念の光を。
その光が、とても眩しく見えた。

アーテリンデは再び剣を構える。
その表情は…戦う前とは別の覚悟を内に秘めたもの。


「ならば見せて頂戴、フラン。
あなたのその力を。
私も全力で応える!」



♪BGM 「亡き王女の為のセプテット」(東方紅魔郷)♪


解放された巫剣の力が、アーテリンデの魔力が瞬間的に膨れ上がり、嵐のようにその一帯へ渦を巻く。
駆けつけた魔理沙が反射的に銃を構え、てゐもフォローの為に剣を構え直そうとする…が。

「お願い…二人とも、手を出さないで。
この人の全力は、私が一人で迎え撃つ!
「正気か!?
今のお前にはそんな力なんて」

驚愕する魔理沙に対し、てゐはすっと後ろに引く。

「私達にはそんな権利、なさそうだな。
此の戦い、私達で見届ける!

魔理沙は銃口に手をかざされて困惑を隠せないままだったが、てゐはフランへ頷き…そしてフランは「ありがとう」と微笑み、再び槍を構えてアーテリンデに向き直る。

「今の私の魔装は、巨大弓。
でも…それはきっと、この子の本当の姿じゃない…!
応えて「星鴉」…私が本来、もつべきチカラのその姿に!!

フランのペンダント…竜珠(ドラゴンハート)の埋め込まれたそれが紅い輝きを放ち、そして、手にした無銘の槍と融合してその姿を変える!


「行くわよ…私の巫剣の総ての力を、此の一撃に!
大巫術「森羅万象」ッ!!
「翔び割け、紅魔八汰鴉!
全ての悲しみを砕け…「紅魔幻想」ッ!!


紅い光となったフランと、白く輝く竜巻となったアーテリンデの一撃が交錯し…劈くような轟音と、大気をも震わせる衝撃が永久凍土の森へ奔る…!