♪BGM 「戦闘!伝承者ヒガナ」(ポケットモンスターオメガルビー・アルファサファイア)♪


現世(うつしよ)とは異なるその部屋では、刃を振るう少女たちの壮絶な戦いが展開されている。

凛とした咆哮と共に、渾身の力で巨大な紅き刃を振り卸す美結。
それと同時に、紫電を放つほどに高速で氷の魔力渦巻く貫手を繰り出す透子。
しかし、かごめは僅かに口の端を釣り上げると…軽く鎬を当てがって事も無げに美結の一撃をいなし、凍子の方へは振り向きすらせず、無詠唱で放つ炎熱魔法の大火球を無造作に投げる。
二人の攻撃の間隙を縫うように放たれたつぐみの弾丸さえ、その影を捉えることすらもできない。

炸裂する大火球は透子だけでなく、その衝撃波で美結も諸共に大きく吹き飛ばし…かごめは落胆した様子で呟く。

「…こんなものか、あんた達の力は」

つぐみは二人の回復にも動く事も忘れ、その威圧の前に息を飲む。


異常の数倍。
誰かが、彼女の戦闘能力を評してそう言った。

にも関わらず、それでも全盛期の七割にも満たないと、そう評価する者さえいる。

悪い冗談だ、とつぐみは心に吐き捨てる。

身内贔屓がないわけではないし、つぐみ自身もその事情から、自分が生まれるはるか昔からかごめを知っている。
当然、その桁外れた戦闘能力がいかにして培われてきたのかを。
つぐみは直接戦う事で、改めて自分のその認識が謝りでなかったことを確認し…思い知らされる。


しかし、そこには一抹の後悔もない。
それはきっと、共に戦う三人の仲間も。


かごめが剣を構え、残ったつぐみに飛びかかろうとした刹那、左足に違和感を感じて見やる。
そこには、全身に火傷のダメージを負いながらも、しっかりとその足首を掴む透子が…不敵に笑う。

かごめがその手首を斬り飛ばすべく斬撃を振りおろそうとするより前に、絶対零度の域まで高められた氷の魔力が弾ける…!

「…っ!!
この野郎っ!!」

圧縮されて放たれた凍気がクッションとなり、透子は剣圧で弾きとばされると共につぐみの目の前まで吹っ飛ばされてくる。
つぐみもすかさずに彼女を抱きとめて治療を施し、再び戦闘に支障のないレベルにまで回復させる。

先に凍子が戦闘不能に陥らなかったのは…かごめはすぐにその理由に気付き舌打ちする。
紅蓮のオーラを障壁のように張って、悠然と歌うように声なき声を張り上げるのは…開始早々に気を失わせていた筈のめう。
歌っているのは恐らく、仲間を炎の脅威から守り、あべこべに相手を炎の脅威に晒す炎幕の幻想曲。

かごめが次の一手に動くより前に、幻想曲の効果でこちらもさしたるダメージを受けていない美結の刃が再びかごめに迫る。
受け止めようとするその瞬間、彼女はバックステップで切り返し、そこへ背後から透子の振り卸す氷の鎚がかごめを捉える。

さらにそこへ…つぐみの放つ特殊な属性弾が、拡散した冷気を巻き込んで、体勢を崩したかごめを容赦なく吹き飛ばした。

「…入った! みんなの攻撃が、初めて!」

さとりの腕の中で、驚きと喜びが綯い交ぜになったような声で針妙丸が声を上げる。

したたかに地面へ打ちつけられたかごめに、追撃を打とうとする美結を、つぐみはそっと制する。
訝る彼女へつぐみは、険しい表情で頭を振る。体勢を立て直せ、というのだろう。

「ここからが多分本番だよ。
お母さんの力は…こんなモノじゃない。今の今まで、ずっと本気じゃなかった」
「…薄々解っちゃいたが…これでもかよ。
もうめうの「開幕早々死んだフリ作戦」も通用しないんだろうな。どうすんだ?」

まだ僅かに火傷のダメージが残る腕を庇いながら、透子はつぐみと視線を合わせることなく問いかける。
そのとき…つぐみが見せたその横顔は。


「大丈夫だよ。
もう一つ、策はある。今考えついたのだけどね。
それで確実にお母さんを…「詩姫」を沈める!!



「狐尾幻想樹海紀行 緋翼の小皇女」
第十八夜 血戦!焔の詩姫




諏訪子「どうも、引き続き毎度の諏訪子さんです。
   しかしあの馬鹿自分の娘相手でもまるで容赦ないんかい」
静葉「そもそも紗苗(サナ)がそんな性格よ。
  基本がバトルマニアなんでしょうねあの家系」
諏訪子「そういうもんかいな。
   さて、それはさておき今回はデミファフニール戦だな。
   ストーリーのネタバレも十分含むから閲覧には注意だな」








最後のフロアへ到達するわずか前、つぐみ以外の三人は、少しでも攻略の糸口を見つけるべくつぐみの意見を求める。
つぐみは、僅かなためらいもなく…だが、真剣な表情で語り始める。

「お母さんは…純血統ではないけど、それでも幻想界を代表する吸血種。
猛毒でもあらかじめ一服持っておくとかなら話別だけど、そうでなければいわゆる状態異常系の搦め手には滅法強いよ。
特に精神面(メンタル)に絡むものは一切受けないと思って。
恐怖とか混乱とか、向こうからむしろさせてくるから」

だよなあ、と透子は苦笑する。
つぐみも、場の雰囲気を少しでも和らげようとしてか、小さく笑う。

「あと…知っての通りだけど、お母さんの得意技は炎熱術。
炎の技はまず通らないし、電撃だってそんな通りがいいわけじゃない…けど、どうしても持って生まれた属性の相性には、流石に勝てない。
お母さんが紗苗さんに勝てないのは、紗苗さん自体がお母さんに輪をかけて強いからっていうのもあるけど…紗苗さんの繰り出す氷と水の剣が、お母さんすごく苦手なんだ。
…勿論…今の私達でそうした弱点を突いていっても、通用するかどうか解らない。紗苗さんか…あとはるりさん位の力量があって初めて、戦況を左右する程度になる弱点だから」
「けど、有効な手段には変わりませんよね?
そうすると攻撃の軸は」
「必然的にあたいになるんだろうな。
あたいが氷術師ということが、あたい達に与えられた数少ないアドバンテージの一つだと思う。
あとは」
「幻想郷最強種「炎剣の詩姫」の繰り出す上級炎熱攻撃魔法、そして、それを最強たらしめてきた東郷示現流ベースの剛剣。
その二つを合わせた、炎熱の魔法剣。
それらの猛攻をいかに耐えきり、反撃の糸口を見つけ出すか…ですね。
…ヤマメさんの時みたいに、腕一本で許してもらえるのかどうか」
「うみゅみゅ…どの条件を見てもうんざりするほどの鬼畜条件めう。
まだレベル150パステルくんさん相手のほうがボーナスゲームに見えてくるお…」
「先日あの優男から分けてもらったグリモアでも、何処まで通用するかだよな。
ファイアガードというあたりがまだ救いになってるんだろうが、そもそもどのタイミングで飛んでくるなんてわからねえしな。じゃないとガードでは防ぎきれねえだろ、あのひとの炎技」

難しい顔で腕組みする透子。
その時、同じようにして考え込んでいためうが、ぽん、と手を叩いて提案する。


「…いい事思いついたお!
うまくいけば一撃必殺!とまではいかないかもだけど、少なくとも一矢報いることぐらいはできるかも!」






事実、目論見通り攻撃サポートの軸になっていためうは、開幕早々かごめに吹っ飛ばされたが…めうはそれを承知の上で、最初はあえて受けるつもりで防御を固め、気を失ったフリをしてこっそりと、炎の攻撃を緩和する歌の陣を張り続けていた。
それが、かごめの放つ強烈な炎の気によるダメージを減殺し、反撃の糸口をつかむきっかけとなった。

めうのサポート能力が面倒である事はかごめも承知のことだったろう。
それ故に早々に潰させ、なおかつつぐみの回復もも間にっていないようにさせる風に思わせることで、この千載一遇のチャンスをものにしたのだ。
とはいえ…彼女等が思ったように、それが決め手になるとは思ってはいない。

かごめであれば、受けた瞬間に恐らく自分が一杯喰わされた事を理解するだろう。
そして、受けた屈辱は倍返ししなければ気が済まない性分だ。
吹っ飛ばされた瞬間、もし美結があのまま追撃を敢行していれば…彼女の上半身と下半身が泣き別れする羽目になっていただろうことは想像に難くない。

「ちっ…やってくれるじゃねえか。
わざわざこっちから追撃のチャンスをくれてやったというに」
「わざわざ、そんな見え透いた罠に飛びこめるほど、今の私達だって強くはないもの。
…でも…次に私達が仕掛けたら…その時点でこの試験もおしまいにするよ。
私達が勝つにせよ、負けるにせよ

「おもしれえ…!」

何処か不敵にそう宣言する娘に、かごめは獰猛な肉食獣の如き表情のまま、口の端を釣り上げる。
静かに、ゆっくりと立ち上がるその姿が…さらに強大な炎熱のオーラを纏い、周囲の気温を急上昇させていく…!


「見せてみろ、あんた達の力を総て!!」








静葉「ストーリーだとアレよね。
  B4Fで「ファフニールの騎士=黒の護り手」ということが明らかになって、実は「禍」封印の為の人柱だったという事が発覚する。
  この展開は読めた人いるのかしら」
諏訪子「うんまあ…序盤のやり取りとか、宿屋イベントを見てれば薄々匂わせられる程度ではあると思うんだが、どうなんだろうな。
   先に注意はしたからここでは容赦なくネタばらしするけど、実は百年前の儀式の時、次の「ファフニールの騎士」となるはずだったベルトランは、当時のカレドニアの政争に巻き込まれる形で儀式を完遂できず、印と異形の手だけを残した不完全な不死的存在になっちまったらしいんだよな。
   国に居場所を失ったベルトランは、事情を知るクロエの一族に身柄をかくまわれていたらしい…でもイベントでクロエのことを「ジェルヴェースの娘」って呼んでたし、これはベルトランのファミリーネームでもあるみたいだからガチであの二人親戚同士みたいだな。正確にはベルトランは、クロエのご先祖様になるのかも知れんが(射命丸メモ:ベルトランのセリフから察すると、彼の義妹の一族がクロエの一族に当たるみたいです。直接の血のつながりはないみたいですね)」
静葉「クロエも彼の事情をよく知らされてなかったみたいで、ただ「自分が生まれた時から家にいる、家族同然の存在」としか思ってなかったようね。
  ただ、プロモーションのサンプルでも使われてるセリフからも、彼のことをとても大切に思っていた事が解るわ」
諏訪子「あれも大概な公式ネタばらしなんだけどな。
   まあここまで書けば想像つくかもしれないが、ストーリーにおけるデミファフニールはベルトランの変わり果てた姿だ。
   この辺の事情もすごくややこしいし、一言で説明するのは無理ゲーだが」
静葉「此処からはストーリーのネタバレね。
  ファフニールの騎士とは、その人間を越えた生命力をもってギンヌンガの最奥に閉じ込められた「禍」…ぶっちゃけ、フォレスト・セルを閉じ込めるために自分の力を喰らわせ続ける人柱なのよね。その事を指して「封印」と言っているわ。
  主人公はすべてを受け入れたフリをして、最後の儀式を受けるため単独で境の扉を超えるのだけど、同じようにして「印」を持つベルトランの策で、ベルトランが継承の間に入ることでギンヌンガのシステムに誤作動を起こさせたの。
  けど、異常事態なのには変わりない。本来、印を持つ騎士がふたりいる事までは想定外だし、黒の護り手の指示で4つのポイントの力の流れを止めることで儀式を中断させることになったんだけど…」
諏訪子「ところが、既に主人公に受け継がれるはずだった力の一部がベルトランに宿り、その力の負荷に耐えきれなかったベルトランは不完全なファフニール…デミファフニールになってしまうんだよな。
   で、それを解放する為に主人公に緊急で最後の力の継承が行なわれ、彼と戦う事になるわけだ。
   まーそんな展開なもんだから、一見イベント戦闘と思いきや」
静葉「しっかりこっちを殺しに来ると」
諏訪子「うんまあそれ、新世界樹のフォレスト・セルもそんな感じだったし(しろめ
   というわけでストーリーでは四人、しかも盾役抜きでボス戦をやれときたもんだ
静葉「ストーリー的には盛り上がらなきゃいけない所なのに、もうスッタフの鬼畜ぶりばかりが印象に残っちゃうわね此処。
  フリーズバグの存在もあるし」
諏訪子「そこはもう触れてけばキリないな。
   というわけでデミファフニールのデータはこんな感じ」




ギンヌンガB4Fボス デミファフニール
レベル43 HP10800
雷弱点/炎無効 毒・脚封じに弱い/呪い・頭封じ耐性/盲目のみ通常でそれ以外すべて無効
フレイムアリズン(頭) 全体炎属性攻撃、1ターン目に確定で使用
威圧(頭) 全体にテラー付与+3ターンの間物理・属性攻撃力ダウン
断罪の双刃(腕) ランダム対象2回近接斬攻撃
虚無の閃刃(腕) 拡散近接斬攻撃、腕封じを付与
静寂の闇刃(腕) 貫通近接斬攻撃、盲目と頭封じを付与
炎陣展開(依存部位なし) 制御装置(HP400、デミファフニールと同列に2体出現)を起動し、ターン終了時に全体に炎属性ダメージを与えるフィールドを展開する。制御装置を2体とも倒せば解除される。デミファフニールの残り体力が85%、60%、15%程度を切った時にターン消費せずに発動する。
爆炎陣(依存部位なし) ランダム5回炎属性攻撃。発動が遅く、予備動作あり。制御装置が存在するとその数分回数が増え(最大15回)、威力も倍加する。


諏訪子「四人での戦いを余儀なくされるせいもあるだろうが、特に耐久能力がさほどでもない。
   その所為かクラシックでやると途轍もなく楽なボスだ。いかに直前のスキュレー戦が地獄だったかよく解るな」
静葉「あ、本当の意味でさほどでもないのね
諏訪子「たりめーだ。
   このボスはぶっちゃけ、炎陣をどうするのかが最大の課題だ。そのままにしておけば爆炎陣はほぼ耐えきれない」
静葉「そう言えば例えば、フレイムアリズンのような全体攻撃は一回で防げるけど、ランダムヒットは最初の一発しかガードで防げないのよね」
諏訪子「マヌケな事に狐野郎は最初それをすっかり忘れてやがってな。
   ドヤ顔で透子にガード張らせた瞬間ものの見事に全員一瞬で吹き飛んだ。レベル40近くあった筈なんだが」
静葉「それも酷いわね」
諏訪子「あと爆炎陣なんだが、wikiでも触れているように「当たってない奴に優先的に当たる」仕様で、例えば5人いて10回ヒットする場合、5人全員が一発ずつ食らってから6発目以降を一度食らっているやつが食らう。4人パーティなら、最大火力でひとり3回か4回喰らう勘定になるな」
静葉「どうせそこまでになってれば一発目で壊滅するんじゃないの、ダメージ的に」
諏訪子「まあ普通に一発で200ダメージ喰らいましたが(しろめ」
静葉「うん、知ってた。
  ここではかごめがなんかやってるからミスリードに見えるけど、実際のデミファフニールは雷弱点なのよね。
  炎メインだと思ったら氷の効きはさほどでもなかった、と。見た目メカっぽいしね」
諏訪子「それ以上に面倒なのはこいつの異常耐性の多さだな。
   入る項目も脚封じは依存技ないから意味ないが、適正レベルなら毒は勿論、盲目が結構効く。呪いが入らないわけではないから呪いカウンターなんて荒技もできなくはないが、まあこっちは耐性があるから極めて入れにくいだろな。
   あとこいつ特に決まった行動パターンはない。威圧がかかったらストーリーならクリアランスの出番になるわな。
   勿論こっちは舞曲で打ち消しできるけど」
静葉「舞曲と言えば、実際は幻想曲使ってないわよね。耐熱ミストで」
諏訪子「今回は幻想曲本当に使いでないからな、強化枠喰わないサークル系の方が便利だし。
   ともかく初回は範囲攻撃ないこともあって爆炎陣をフルパワーで打たせる結果になったが、レベルを2つあげて雷術掌からのアイスブラッシュで制御装置を処理出来てからは非常に楽だったな。あとはめうが適当に美結を雷序曲で強化して殴り勝った」
静葉「ここで紹介するのは再戦時のデータね」




美結 ダークハンターLv42
ヒュプノバイト1 ショックバイト1 ミラージュバイト5 ドレインバイト6 スコーピオン1 スネークアイ5
剣マスタリー★ 抑制攻撃ブースト★ 物理攻撃ブースト5 七転八起★
グリモア:剣マスタリー★ 抑制攻撃ブースト9+ドロップボーナス トライチャージ+氷 巫剣:霊攻大斬★ アタックハウル7+炎




透子 アルケミストLv42
炎撃の術掌1 氷撃の術掌7 雷撃の術掌5
術掌マスタリー★ 属性攻撃ブースト★ 加撃の術掌★ HPブースト5 TPブースト5 拡散の術掌1
グリモア:巫剣マスタリー★ ファイアガード7 フリーズガード9+突2 属性攻撃ブースト★ アイスブラッシュ9




めう バードLv42
猛き戦いの舞曲3 聖なる守護の舞曲3 軽業の旋律3 慧眼の旋律3 火劇の序曲1 氷劇の序曲1 雷劇の序曲1
蛮族の行進曲3 耐邪の鎮魂歌1 活力の重奏3 韋駄天の重奏3 生命の重奏3 音の反響1
歌マスタリー★ 癒しのリズム★ HPブースト5 素早さブースト4
グリモア:弓マスタリー7 歌マスタリー9 アザーズステップ4 ダブルショット8 素早さブースト7




つぐみ メディックLv42
キュア5 エリアキュア1 ヒーリング3 ラインヒール1 チェイスヒール1 リザレクション5
バインドリカバリ9 リフレッシュ9 オーバーヒール1
回復マスタリー★ HPブースト3 TPブースト3 属性防御ブースト2 最後の癒し1 博識1
グリモア:リンクオーダー★ 後方支援8 銃マスタリー9 回復マスタリー9 攻撃の号令8


諏訪子「( ̄□ ̄;)おいこら一人装備おかしい奴がいるぞ!!!
静葉「言ったじゃない、別にカボチャのドロップ品で弓作る必要ないって。
  つまりはこういう事」
諏訪子「そりゃああれだキマイラなんて所詮は一層ボスだからやろうと思えばなからな時期にレアドロップ狙えるよ狙えるけどな。
   だからってそれをこんな速攻で買うかと」
静葉「実は新芽クエストなんだけど、第四階層突入で報酬が80000エンと一気に跳ね上がるわ(射命丸メモ:因みに第五階層では20万エン、第六階層では50万エンもらえるんだそーです。一体何処からこんな大金出てるんでしょうねマジで)。
  ザミエルボウの価格が430000エンだから、まあ6回やれば買えるわね。
  過去、ボス級のレアドロは結構いい値で売れたから、第三階層くらいでザミエルボウ持ちだっているにはいたじゃない」
諏訪子「そりゃあそうだけどよー…今回ボスのレアドロも、高値は高値でもこれほどの金額は賄えねえしさ。
   まあ他にもグリモアが色々おかしくはあるが、いつも通りか」
静葉「そそ、そっちはもう言ってもしょうがないし。
  因みにつぐみのもってるリンクオーダーはリップの作ったものよ。だからどうしたって言われると困るけど」
諏訪子「そこまでやるんなら属性ブーストも持たせたい気がするけどなこいつ」
静葉「やりたい事を詰め込むと、どうしてもグリモア枠が足りなくなるのは仕方ない事だわ。
  あとザミエルボウのせいも多分にあるけど、ヒマな時は結構あるからこいつ自身が序曲積んで殴りに行ってたりもしたわね」

静葉「で、ストーリーでは勝利すると…ベルトランは元に戻らず死んでしまったかと思われた矢先、総ての力の継承を終えたことで元の姿を取り戻した「黒の護り手」、先代印の王女・ヴィオレッタの力でベルトランは元に戻って…というお話
諏訪子「ベルさんがあんな無気力のダメなおっさんになってしまったのは、自分の身代わりとして「黒の護り手」になってしまったヴィオレッタを護る事が出来なかったからなんだろうな」
静葉「ヴィオレッタはベルトランを解放した後にじきに消えてしまうんだけど、その後にギンヌンガのシステムを作ったとかいう初代の護り手が現れて、真相を全部話してくれるわ。
  ベルトランの話まで含めて総合すると、ベルトラン達は儀式を進めて「境の扉」まで辿りついたんだけど、事情により国元へ還らなくてはならなくなった…ヴィオレッタはベルトランを国へ返し、自ら継承の間へ向かってしまった。
  黒の護り手は彼女を帰そうとしたけど、ただの人間でありながら「印の娘」であったヴィオレッタがもし「常世」で死んだら、今後の儀式に不具合をきたすのではないかと考え、仕方なしに彼女を「護り手」にしたんだけど」
諏訪子「儀式の重要なファクターではあったが、ただの人間であった彼女には封印となるべき生命力が足りず、結局ギンヌンガの機能も大きく失われちまった…というわけか。
   主人公に最後の力を継承したことで、儀式ももう二度と行えなくなっちまったというおまけつきだ。
   初代の護り手は「世界樹計画」も知っていたな。しかも初代のハイ・ラガード公女が初代の護り手と来たもんだ」
静葉「結局初代公女とバーローっていつの時代の存在なのかしらね本当に。
  でもあれよね、特定の条件で人知を越えた力を得る存在に変身する、その「継承」が主人公の代で終わる、本来同世代にいるべきでない「騎士」がふたりいる、あとストーリーのずっと先の話になるけど…それまでの「継承者」をはるかに超えた力を得て最強の禍を倒して、最後の戦いの後主人公だけどっかに行ってしまう…なんか「ダイの大冒険」の竜の騎士に似てない、これ?
諏訪子「………………………あれ、確かにそういえばそう言えなくもねえか?
   確かにそれまでの竜の騎士で例外を引き起こしたのは先代のバランだし、こっちもベルトランの代でなんか起きてるし」
静葉「アトラスのRPG関連のスタッフはジョジョネタ大好きだっていう話よく聞くけど、案外ジャンプコミックス全般とかありそうよね。
  何気にSQ4のカンガルーの技、まんまリンかけじゃない。あんなニッチなネタは知ってればすぐ解るレベルよ」
諏訪子「ううむ…その頃のジャンプコミックスはよくも悪しくも各ジャンルの王道しか存在しない時代だからなあ…」

静葉「というわけで今回はここまでね。
  次回も本編とはちょっと外れるけど…まあ四階層はイベントの関係もあって一気に進む予定だし」
諏訪子「大体にして嫌な予感しかしねえんだよな。
   なんか、来る奴も来るやつ見てえだし」
静葉「呼んで来ちゃったものは仕方ないわよ。
  むしろ、一度呼んできたものを門前払いさせるにしても、容易にそんなことできるような相手でもないし
諏訪子「おいィ…お前本当にそれでいいのか(しろめ」











かごめは一足飛びに、ある一点を狙って剣をトンボに構える。
その対象は…果たしてそれも目論見通りであったのかどうなのか。

つぐみはその一撃を銃の背で受け止めるが、余りの圧にそのまま壁際へと叩きつけられる。

「つぐみ!!」
「大丈夫………目論見通り止めた! 今だよ!!

かごめはその時初めて狼狽の色を見せる。
間髪入れることなく、猛然とその背を狙って美結と透子が突っ込んでくる…!

かごめはつぐみに押しつけている剣を引こうとするが、つぐみにとってはそれもまた狙い通りのことだ。
だが、相手は自分の母親だからこそわかる…戦いの申し子とも言える怪物なのだ。
この窮地に一体何を仕出かしてくることか解ったものではない。

その危惧通り、かごめはつぐみの想定外の行動に出る。

展開されていたその刃が瞬時に元のブローチへと戻る。
均衡を失ったつぐみが大きくよろめくと、その腕を掴んで背後に迫る二人の方向へ解き放つ。
そして、再び刃を成すその手には、凝縮された炎の魔力。

「惜しいところまでいったが…残念だったな」

スローモーションのように流れる一瞬の中で、ゆっくりと横構えになる刀に紅蓮の炎が奔る。

元魔王にして、現在はかごめの親衛隊長とも言うべき竜人ハドラー。
彼の代名詞とも言えるその炎刃の一撃は、現在もかごめが好んで多用する決め技の一つ。
この「超魔爆炎覇」の発動を許せば、標的が入れ替わり気を取られた透子も美結もまとめて一撃で吹き飛ばされるだろう。

しかし。

「お母さん、ひとり忘れてるよ」

つぐみはよろめく体制のまま、この状況では場違いな位の笑顔で、剣を振り上げる母親へ告げる。
かごめはすさまじい魔力を後方に感じ取り、振り向いた先には…。


「烏兎番天印…モード『無駄無しの魔弓(フェイルノート)』ッ!
貫けええええええええええええええっ!!」



周囲の氷の魔力を巻き込んだ魔弓の一矢が放たれる。


かごめは表情には出さぬものの、心中で戦慄する。

何故、今の今までめうの存在を認識していなかった?
否、何時からめうの存在を意識からはずされていたのか?

かごめはその時になって初めて、自分の右手に穿たれた異変…デフォルメされたウサギのような『刻印』が右手の甲にされている事を気付く。
その魔力光が消えると共に、かごめは自分にされていたことをはっきりと認識する。

(刻印術…だと!?
 これであたしの記憶を操作…いや、これの効果でめうの存在をあたしの記憶から消されていた…何時の間に!!)

先に一撃を受けた際だろうか?
否、最初にめうを斬り飛ばしたあの瞬間、めうは無防備に受けたフリをしながら、右手で自分の防御能力を最大限に引き出す刻印を施しながら、左手でかごめにその刻印を施していた。
この戦闘開始直後から、かごめはほとんど彼女の存在を「忘れさせられた」まま、戦闘を続けていたのだ。

(目論見通り止めた…その言葉は、美結と透子ではなく、めうに向けられたもの…!
 なんて奴だ…このあたしの目を盗んで、よくも!!)

かごめは歯がみしながらも、めうの放った魔の矢に、本来撃つ対象が他にあったはずの爆炎覇で相殺…そう、めうが放った渾身の一矢は、それほどまでに強大な威力をもって迫っていたのだ。

間髪いれず、炎の消えた刀身に銃口を宛がわれる。
みれば、大きく後方へ突きとばされたはずのつぐみの身体を、透子と美結が受け止め、支えている。

「これで、おしまいだよ、お母さん。
これが効かなかったら…私達の負け

ほんの僅か前に見たのと同じ…何処か不敵に笑うつぐみの言葉と共に、凄まじい雷と光の魔力が銃口に収束する。

「…そうだな。
残念だったのは、あたしの方か。
見事だ、あんた達…参った

その一言はつぐみの耳に届いていただろうか?
刹那、放たれた雷鳥の一撃がかごめを…幻想界最強の真祖を、光と爆風に包み吹き飛ばしていた。





♪BGM 「Have a good dream」/private states♪


「さとり、あいつらは?」
「皆疲れたと見えて、部屋に入ってそのままばったり、ですよ。
…今はただ、ゆっくりと眠らせてあげる事にしましょう」
「そっか」

それからしばらくのち。
磁軸を通り、ギルドハウスまで戻ってきた彼女等は…その一連の試練を終えた疲労もあって、皆ベッドへと崩れ落ちるようにしてそのまま眠ってしまっていた。
さとりは一人一人、術式で治療を施し、きちんと全員をベッドに納めると、既に店じまいの準備をしている紅茶館へと降りてきた。

試練の開始から、四人は丸一日眠ることなくギンヌンガを駆けずり回り、そして…かごめ相手の死闘に臨んだ。
そして、形はどうあれこの「幻想界最強の吸血鬼」を見事、制して見せた。

「まあ、どうせあいつの事だ。
相当加減しながらやってたんじゃねえの?」
「そうでも、なかったと思いますよ。
何よりもあの子達と戦う事を、何より楽しみにしていたのが彼女なんですから。
……まあ確かに、最初から全力でかかっていたら、今のあの子達では肉の一片も残らず焼きつくされていたかもしれませんが」

そうだよな、と相槌を打つヤマメも苦笑を隠せない。
でも、とさとりは少し寂しそうな顔をする。

例の輝針城異変以降…いえ、恐らくはそれよりもずっとずっと前、春雪異変の頃から休眠を解いていた紫さんは勿論のこと…ゆっくりではありますが、かごめさんの魔力そのものも小さくなり始めている。
そんな話はまだまだ先の話でしょうけど、彼女が第一戦で戦える能力を有していたとして、時代を代表するような戦闘能力の持ち主と言い難くなるのは、決してそんな遠い未来の話ではないと思うんです。
だから…まだ自分が「幻想界最強」でいられるうちに、自分を越えていく者が出てきて欲しい…それが、きっとかごめさんの偽らざる思いなんだと思います
「そうなったら、あいつ速攻で自殺でもしちまいそうだよな。
もうやることなくなった、とかそんなこと言って」
「それはないでしょう、あのひとたちは命が尽きるまで、ゆっくり自分のペースで生きていくって明言してるんですから。
特にかごめさんなら、そう言った以上必ずそれを貫き通すでしょうし」
「まあ、そうだろうけどな」

ヤマメは溜息を吐く。

紫の野郎は勿論としても、かごめも…転生したってだけで、存在の長さそのものはあのスキマ妖怪と同等くらいだからな。
私だってそれを加味すれば、地底でも大分古株の部類になっちまった。

そうなれば…必然的にあんたやリリカ、レミリアといった、若い世代にどんどん代替わりしていくのを見守っていかにゃならねえ立場なんだよな」
「あのひとやあなた達と一緒に馬鹿やってると、自分が今度それを受け継いでいかなければならない立場だという自覚が今一つ持てなくなるんですよね。
何時か見た「例の世界」の私のように、それこそある意味では「八雲紫の幻想郷」を根底から覆そうとする気概でもあればと、少し羨ましくなる気もします。
…もっとも、今の私であれば、あんな風にはなれないだろうしなりたいとすら思いませんけどね……否定はしませんよヤマメさん、あなたが思ってるように、なんだかんだで私もあのひと達の事、大好きですから

気づいたら、このところ閉じていることも多かったさとりの「第三の眼」が、ぱっちりと開いている。
あべこべに閉じた眼のまま、少しはにかんだようにさとりが笑う。

「あんたのそういう、不意打ちで遠慮なく心を読んでくるところだきゃあたしは大嫌いだがな。
ま、あんた相手にそういう隠し事するのは意味ない事は昔から知ってるけどさ、いろんな意味で」

ヤマメはそう言って席を立つ。

「棘魚亭ですか?」
「ここにいたら店仕舞いの邪魔になるだろ。
あんたも来るか? 一仕事終わった事だし…どうせかごめの野郎も今頃アントン相手にクダまいてるんじゃねえかね」
「でしょうね多分。自分のダメージだって浅いわけじゃないっていうのに、まったく。
……ここから、忙しくなりますね」
「だな。
そろそろ私達も「立橋」に潜ることになりそうだ。アムリタの材料集め、多分あんたにしろって言ってくるぞあの馬鹿」
「かないませんねえ。
ヤマメさん、「畏れよ、我を」のグリモア作りますからあなたもちょっと手伝ってくださいよ」

口を尖らせるさとりを尻目に、ヤマメは笑いながら店を後にする。
さとりは溜息を吐くと…ギルドハウスの方を見やり、寂しそうな笑みで呟く。


「皆さん、今はお疲れ様。
本当に厳しいのは、ここからですよ…だから、せめて今はゆっくり休んでくださいね」