スキュレーとの戦いを終えたのちも、フラン達はそのままハイ・ラガードへ戻ることなく次の階層…伝承で「桜ノ立橋」と呼ばれるエリアへ探索を続けようとした。
傷ついたアーテリンデはライシュッツと共に街へと戻ったが、フラン達は誰が言うともなく、彼らの事については言及しなかった。
フランは、最後の一撃を繰り出す瞬間…スキュレーが哀しみと安堵が入り混じったような表情をしたのを確かに見ていた。
それはきっと、その生前の姿であるマルガレーテのものであっただろうことも。
(あの人は…ずっとずっと、苦しんでいたんだ。
魔物になっても、ずっと…大切な人の手で葬ってもらいたいと…!)
彼女もきっと気づいていたのだ。
アーテリンデ達が、自分の為に他の冒険者を殺めていた事を。
そして、それを止められなかったことを、嘆き悲しみ続けていたことを…あの一瞬に、フランは悟っていた。
もし、あれが自分の大切な姉であったなら…自分なら、どうしていたであろうか。
アーテリンデ達と同じように、それを護る選択肢を取っただろうか。
(ううん。
お姉様は…お姉様なら、きっとそんなことを望んだりしない。
マルガレーテさんがアーテリンデさん達にしたように…真っ先に私を襲い、そして…私に討たれることを望むはず)
穂先に受け止めた命はあまりにも重く。
だが、彼女の手はその柄を強く握りしめる。
見上げる先に、目指すべき城は見えない。
だが…彼女の哀しい瞳は、天を突くほどの怒りの色を滲ませていく。
(許せない…!
どんな理由があっても…他人の命を弄ぶなんて。
こんな悲しみを生みだす「支配者」は…この私が後片もなく破壊してやる!)
その次の瞬間だった。
天空より一片の羽が舞い降り…そこに信じられないものを、彼女達は見る。
「星のさだめは、我らにいかなる業を求めるか。
父なる太陽、母なる月よ。
この土の民に、新たな生命の祝福を」
そう言葉を紡ぎながら、その生物はゆっくりと彼女達の前に舞い降りる。
ヒトの形を持ちながら翼をもち、獣の耳を持つその生物の姿は…文達天狗種に共通するところも多かった。
だが、その姿は明らかに天狗とは一線を画する。
その風体や声から恐らく、雄である事だけはかろうじて解るその生物は、重ねて問いかける。
「土の民よ。
ここから先は我ら「翼人」の大地。
いかなる理由も手この先に進まんとするか」
「狐尾幻想樹海紀行 緋翼の小皇女」
第二十一夜 古の盟約に因りて
〜ラガード公国宮〜
フラン達はその「翼人」と名乗った男に、天の城を目指していることを告げたが、男は「星のさだめの下、汝らに聖杯を使う資格なし」とその目の前に立ちふさがると、それに呼応するかのごとく同様の「翼人」達が多数空を舞い、取り囲んでいるのを見て…多勢に不勢とこの場は引き下がることとなった。
彼女等は躊躇いながらも、アーテリンデ達の動向も気にならないと言えば嘘になる。
それ故、ハイ・ラガードへ戻り、その事も併せてダンフォードに報告することとしたのだ。
「仔細は解り申した。
彼らの犯した罪は決して軽くはない…ですが、多いに酌量の余地もありましょう。
無罪放免とはいきませぬが、我らの方でよきようにはかりますぞ」
ダンフォードはフランからその報告を聞き終えると、ゆっくりと、そして穏やかにそう告げる。
フラン達は何処かほっとした表情をする。
「かの者らに限ったことではないが、我らの樹海探索は冒険者ありきのこと。
それ故に、エスバットという広く名を知られたギルドが、このような事件を起こしたこと…それ以上に、彼らほどの力ある冒険者ですら、その探索香を断念するほどの出来事が起きていることが明らかとなれば、もたらす影響は測り知れぬだろうが…それでも、この真実を伝えることは、彼らの無念を継ぐ者である貴殿らの事もあわせ、かえって良き兆しになるものと、この老体は思うのですじゃ」
「ですが…ダンフォード殿。
私も報道に携わっていた身で申し上げますが…それでも、彼らがこの事件の黒幕として公表することは、宜しくないことと思います。
確かに、嘘など吐き通せるものではありません。しかし、ありのまま総てを明るみに出す事が、総て良い方向に繋がるとは思えない」
文の言葉に、うむ、と頷くダンフォード。
「然りじゃ。
無論、彼らの意も正さねばならぬが…その上で十二分に彼らの処分を協議することといたしますぞ。
それよりも」
「翼人とかいう連中のいう「聖杯」だの「資格」だのっつーのがな。
サラマンダーの羽に氷の花、こうした伝承が小出しにされている大元に、なんかそれっぽい情報はないもんかな?
でなきゃ、あの連中と一戦交えて屍山血河を作って突き進まにゃならんのじゃないかと思うんだが」
てゐはあえて、冗談めかしたようにダンフォードへ問いかける。
その時、謁見の間に一人の衛士が来て、ダンフォードに耳打ちする。
老大臣は珍しくも、驚いたように目をかっと見開く。
「な…なんじゃと?
して、姫様は今どちらへ」
「我らが国の為に力を惜しまぬ方々に失礼があってはならぬと、正装にてお迎えするとお召し物を変えられておられます。
大臣様には、何卒彼女らを此処にお留めするようにと」
狼狽した様子の老大臣と衛士の声は、こちらに聴き取れるかどうかの小声だった。
しかし、風を操る力を持つ文と、飾りではなく実際に優れた聴力を持つてゐの耳は、その会話をしっかりと聴きとっている。
「失礼を承知で聞くが、じいさん。
一体何があったんだ? 上の方で何かあったようなら、私らに構わずそっちに行ってもらっても構わねえよ?」
てゐはあえて悪戯っぽくそう切り出す。
ダンフォードは半ば観念したかのように、溜息を吐いて衛士を促して下がらせる。
「…我が公国の姫…病に伏せておられる大公の名代として国を治められる姫君が、是非とも皆様がたにお会いしたいとのことです。
先にも申し上げたかもわかりませぬが、姫君はこうと決めたら、必ずそれを押しとおすような頑固なところもありましてのう…皆様に他用なくば、姫君にしばしお付き合い願えませぬかの?
伝承の件、実はみな姫様が御調べになったことですじゃ…もしかしたら、何かご存知やも知れませぬ」
困ったような表情で告げる老大臣に顔を見合わせる5人だったが、すぐに承諾の意を告げる。
…
「話は、何時も爺や…ダンフォード大臣よりお伺いしておりました。
本来は私自ら剣を持ち、先陣切って樹海に挑まねばなぬところ…困難なミッションを多く乗り越え、私達の望む品を揃えてくださったこと、どれほどの感謝の辞を述べても到底報われぬことでしょう」
その場に姿を現した、自身の背ほどもある巨大な剣を携える簡素なドレスの少女が、上客に対する礼をもってそう述べる。
歳の頃は恐らく、かごめの娘であるつぐみとそう変わらない…魔理沙よりも、ひとつふたつか年下に見えるあどけない顔立ちではあったが、国を護るものとしての威厳というより、その重圧に耐えるかのような必死さが表情に出ているのか、非常に大人びた印象を与えるこの少女こそ…ラガード大公の娘、すなわちこの国の公女であった。
「…そうです、本来ならば、この私自らが樹海に赴かねばならないのです…他でもない、父の病を治したいのは、私の我がままに過ぎないのですから。
この身が公女でも、まして一人娘という立場でもなければと…何度己の境遇を呪ったことか」
「まあその、なんだな。
姫様ってのもいろんなのがいるけど、あんたは多分好き勝手動いたらまずいクチだろ?
…私達はあくまで冒険者だ、報酬さえちゃんと積んでくれれば、頼まれた分の仕事はきっちりさせてもらうさ」
肩を竦めながらも、歯に衣着せぬてゐの言葉が飛ぶ。
公女の後ろに控えるダンフォードが目を丸くしながら恐れおののいているのを余所に、公女はその時初めて、年相応の笑顔で笑う。
「そうですね、それで構いません。
我儘を言っているのはこちらであり、それに応えるのは当然の義務。
…ラガード大公の名において、天空城到達の暁には、必ず相応の報償を持って報いることをお約束します」
そうして恭しく頭を下げてみせる公女だったが、少し、表情を曇らせる。
「そう…皆様にこれを申し伝えるのは非常に心苦しいことですが…実は、皆様にお持ちいただいた二つの品だけでは、父の病は治せぬのです。
もう一つ、皆様のお力を借り、手に入れて頂きたいものがあります」
「そりゃそうだよな。
どうもいまひとつどいつもこいつも信じちゃくれねえ気がするが、私にも医術と本草学の心得はある。
その目から見て、あれだけじゃ足りねえというより…どう見ても、あの二つの素材は直接薬効には結びつかねえ。
ある種の特殊な器械で精製する必要があるな」
てゐの言葉に公女は頷く。
「仰るとおりです。
文献により解ったことですが、あの二つの素材は「諸王の聖杯」にて調合、錬成することで初めて、ありとあらゆる病を癒す秘薬を生みだす。
その「聖杯」は、今も天の城…「天ノ盤座」の中心に安置されているという」
「ふむ、ひとつ気になっていることがあるのですが、宜しいですか?」
文の問いかけに公女は「どうぞ」と促す。
「その文献のことです。
私の方でも少し伝手がありましてね…ミズガルズにそれに関するものが所蔵されていないか、可能ならその写本を送れないかと問い合わせしたのですよ。
ところが、それはハイ・ラガードの公家が所蔵する門外不出のものであるという回答がありましてね」
「我々ハイ・ラガードの民は、その天空城の民の末裔であるという伝承があり…その文献もまた、公家に代々伝わる門外不出のもの。
本来なら公家の者とはいえ、おいそれと見て良いものではないのです」
「親父さんの病気を治す為、か」
「はい。
大臣からお聞きになられたかもしれませんが…私には、父が唯一この世に残された家族なのです。
父の病を治すため、出来得る限りのことをしてきました」
哀しそうにうつむく公女の瞳に嘘はなく…それ以上に、彼女はその幼い顔立ちに反して憔悴しきった顔をしている。
唯一の肉親である父親を見舞い、その快癒を願いながら、その代理として国のトップに立ち…そうした諸々の事が、この幼き公女を蝕んでいるのだろう事が伺える。
「故に…皆様方には、この「聖杯」の入手をお願いしたいのです。
父に残された時間はもうさほど長くはない…どうか、何卒」
「…どのみち、私達の目的もそこにある。
フロースガル達やアーテリンデ達…否、それ以上に多くの連中の命を弄んだ馬鹿野郎を八つ裂きにしに行くってな。
そのついでで良ければ、持って帰って来てやるさ」
「本当ですか!?」
顔を見合わせ、頷くフラン達。
そして、てゐは苦笑して告げる。
「だから…あんたも少しくらい休みなよ。
ろくすっぽ寝てもないのに、そんな仰々しい鎧まで身につけんじゃ身体も限界だろ?
依頼主であるあんたにまでぶっ倒れられちまったら、私達は誰に褒美をもらえばいいのかわかんなくなっちまうからな」
一瞬呆けた表情をした公女であったが、同じように「はい」と笑い返していた。
…
…
さとり「どうもさとりさんです(キリッ」
諏訪子「( ̄□ ̄;)うおっ!?
なんだお前復活早いな…っていうかなんだそのテンションの高さは!?」
さとり「この私とした事がすっかり取り乱してしまいました!
しかしご安心ください諏訪子さん! 私の愛するお空から直接ラブパゥアーを注入してもらった私はすっかりしょうきにもどりました!!」
諏訪子「…いやそのセリフ絶対まともじゃねーヤツのだから(しろめ
おいヤマメ、こいつ一体何があったんだこの短時間の間に?」
ヤマメ「(ぐったりしている)苦労したんだよマジで苦労したんだよ。
あンの馬鹿鴉寄り道しやがるどころか勝手に方々飛んできやがるし…あの火車はまっっったくストッパーとして役に立ってねえな異変の時も思ったけど」
お燐「(返事がない…ただのしかばねのようだ)」
諏訪子「おい止めろよあの時だって私間接的に絡んでるんだからさ…ってことは何か? マジでお空借りてきたの?」
ヤマメ「ああ、効果てき面だったよ。
だがこっち連れてきたらきたでまたそれももう大変でな、まー考えなしにサラマンダーの巣に突っ込もうとするわ邪龍に片っ端から喧嘩は吹っ掛けるわで。気付けばさとりのアホまで一緒になって暴れてやがる始末だし。
でもまあなんとか、お空にグリモアひとつこさえさせてお守り代わりに持たせたから、当分大丈夫だろ」
諏訪子「あえて聞くが、何作った?」
ヤマメ「核熱に決まってんだろ(迫真」
諏訪子「でっすよねー(しろめ」
さとり「うふふふこの核熱の術式マスターはお空から私への愛の証ッ…誰にも渡しませんからね!!!><」
諏訪子&ヤマメ「とりあえずいらねえから安心しろ(しろめ」
※藍しゃまメモ:ん? ああ私に解説しろってかこれ? まあいいけど。
グリモア製作者の名前ってのは「作成した時点でのそのキャラの名前」が反映される。
実際にこの核熱のグリモアを作った奴は、もう少し後でに登場する予定だが…現在はお空ではない。まあ、システムを利用した一種のイタズラだな。
狐野郎はこのためわざわざグリモアマラソンを敢行たが、本当は炎をつけたいところ氷で妥協したんだそうだ。なんのこっちゃだな。
諏訪子「それはさておき第四階層の話はざっとしたから、前半は割愛するよ。
実際は階層入ってすぐにモブの翼人が出現し、18Fの上り階段のところでもう一度別のかどうかわからんけど翼人が登場する。
とりあえずSQ2経験者なら説明の必要ねえと思うが…あの翼人、クァナーンに会えるのは20Fだ」
ヤマメ「どうでもいい事かも知れねえけど、新で何故か名前が「カナーン」に変更されてるんだよね。
なんか急に安っぽい感じの名前になったというか」
さとり「中の人が言いにくかったから変更した説も実しやかにささやかれてますね。
一応意味というか、元ネタは変わりませんよ。椛さんのスペカの元ネタと一緒で、聖書に言う「約束の地」カナン(クアーナン)から来てるみたいですね」
諏訪子「こっちでは一応SQ2の表記に倣って「クァナーン」で押し通るらしいからそういう事で。
理由? 狐野郎はアホだ。以上」
ヤマメ「まるでわけがわかりませんな(しろめ
とりあえず、18Fから先に行くのと、20Fの先に進むには、それぞれ公国宮に戻って公女に会う必要がある。
実際公女の登場するのはもっと前…氷の花を採ってきたあとなんだけどな」
さとり「見た目からしてもう中の人があのめうめうと同じとか色々信じられませんがね」
諏訪子「そんなことはどうでもよろしい(迫真」
…
…
「翼持つ者の伝承は、文献にはこのようにあります。
天の支配者は空を自在に飛ぶ従者を生みだした。
それは翼持つ者、ヒトであり、ヒトではない異形の種族」
「彼らは天空への道を守護すると同時に、同時に天空への道を知る唯一の種。
空に戻りたくば、その翼を借りよ。
必要な言葉はひとつ。
太古の盟約に基づき上帝の言葉を告げる。我らに天の帰り道を開け。
…いかなる意味を持つかは解りませんが、文献にはこのように記されています」
「そしておそらくは、この「いにしえの飾り」が必要になると思います。
この公国の王家に伝わるこの首飾りが、その盟約持つ者の証になる…そう読み解ける個所もあるのです。
皆様が皆様の事情で天の城を目指していることが分かった以上、これも必ず必要になる筈です。
……皆様の進まれる先に、加護あらんことを」
フラン達はその盟約の言葉と、古より公家に伝わってきたという、剣の紋章が刻まれている古びた首飾りを手に、再び立橋へ訪れた。
そして同じように、幾人かの翼人たちが飛来し…そのリーダー格と思しき、何処か高貴ささえ漂わせる男に、フランは首飾りを示して告げる。
「太古の盟約に基づき上帝の言葉を告げる。
我らに天の帰り道を開け!」
凛としたその声と、堂々としたその態度は、これまでどこかおどおどしていたフランのイメージとは一線を画するもの…姉のレミリアにも似た、引き込まれるようなカリスマを感じさせる。
それは翼人達にとっても同様だったらしく、なおかつ、古の盟約と証の効果はてき面だったといってよい。
驚きと、何処か喜びの表情で、そのリーダー格が口を開く。
「我ら空の民は、長き時を待ち続けてきた。
それが、汝らの持つ古の証と、今告げた太古からの盟約だ。
天と地、空と土を行き来していかなる定めを求めるか?」
「私達は天の城…そこに眠り、人々の命を弄ぶ「支配者」を止めるために、天の城を目指しています。
あなた達が「上帝」の眷族として、それを止めるというのであれば…それもいたしかたない事だと思っています」
フランは躊躇いなく、その言葉を返す。
彼ら翼人が、盟約に言う「上帝」…おそらくはアーテリンデ達の言う「支配者」の眷族であれば、看過できぬ言葉ではあっただろう。
しかし…予想されたのとは異なる反応が、その男から返ってきた。
「……それも、星の定めなのやも知れぬ。
土の民よ、汝の名は?」
「フランドール。
フランドール=スカーレットです」
「我が名はクァナーン。
父なる太陽、母なる月と星の定めに従う、この空の民の長を務めている。
土の民でありながら、古の盟約と証を持つ汝らには、この先に進む資格があると認めよう」
「ちょっと待ちな。
フランの言葉を聞いたんだったら、わかるんじゃないのか?
私達はややもすれば、あんた達の言う「上帝」をぶっ倒す為に天の城を目指すという不届者かもしれないんだよ?」
眉根を寄せながら、てゐはクァナーンと名乗った翼人の男に問う。
クァナーンはその態度を変えることなく、何処か厳かに言葉を返す。
「我らは、古の盟約を持つ者に道を指し示すのが使命と、そう言い伝えられていた。
汝らが「上帝」を討つのであれば、それもまた星の定めであろう。
汝らは天への道の険しさを知り、その覚悟を持ち、この場に現れたのであれば私にそれを止める言葉も理由もない」
そして、彼はその先の道を指し示す。
「天の城…「上帝」の眠りし「星の座」への道は、この先に存在する。
だが、それは同時に死への道。
天への門を一羽の怪鳥がふさいでいる。
我らはそれを「天空の女王」と呼ぶ…我ら空の民を殺す魔鳥に、畏怖を持って名付けたものだ」
「どういう事だ?」
「あの魔鳥は、ある日突然、なんの前触れもなく我らの前に現れた。
天への門…我らが聖地にて星の声を聞く儀式を始めようとした我々の前に舞い降りたそれは…我と仲間達に突如襲いかかってきたのだ。
…あまりに突然のことだったため、空の民の多くが犠牲となり…我々は聖地を去ることを余儀なくされた。
以後も空の民の戦士を募り、奴を排除しようとしたが…犠牲は増え、我らは聖地を、星の声を聞く手段を失った…」
「星の声?
それにあなた達は、一体どんな役目を担っていたの?」
「我ら空の民は、この桜の森に生まれ育ち、星の定めの声に従い生活している。
我らを生んだ星の定め。その声が我らの掟となる。
告げられた命はいくつもあるが…私をはじめとした代々の長が聞いた、古き時代からあるものがいくつかある。
汝ら盟約と証を持つ者を、天の城へと導くことがそのひとつ。
そして…傷つき倒れた土の民を、天の城へと送る役目だ」
そのとき、明らかに表情を変えたものが三人。
そのうちの一人、みとりが口を開こうとした瞬間にてゐがそれを遮って返す。
てゐも心中では同じ気持ちであっただろうが、ここで彼らに非難を浴びせることが決してプラスになるとは思えない。
「何故そんなことをする必要がある?」
「何故…それは、我々にもわからぬ。
我らは古より、何十、何百と土の民を天へと送った。
その者がどうなったか、それも解らぬ。我らは星の座に立ち入ることはできぬ。
ただ言えることは、その者達が二度と天の城から戻ってくることはなかった…ただ、それだけだ」
クァナーンは深く溜息を吐く。
そもそも、クァナーンの態度からも、恐らく彼らもその意味するところをわかっていないことは明白だ。
彼はその言葉通り、あくまで「星の声」に従い、その言葉通りに傷つき死の間際にある冒険者達を、天空の城に送っていただけなのだから。
「解った。
つまりその「天空の女王」とかいうのを八つ裂きにすれば、天への道は開かれる…そういうことだな?」
「然り。
天への道を目指す汝らと、聖地を取り戻したいと願う我らの間に、利害の一致はある。
あの魔鳥の「声」に気をつけろ。あの金切声を浴びた者は、恐怖で精神を乱される。
そして、あの爪には猛毒があり、掠っただけでも頭であれば強烈な眩暈を起こし、腕や足は自由に動かなくなる」
そうして、クァナーンが合図すると、翼人達もそれに倣って彼女らの行く手から立ち退き始める。
「汝らに、父なる太陽、母なる月の加護あらんことを」
…
「…言いたいことは解るよ。
あいつらが「支配者」の元に冒険者達を運んでたんだ。
だが……あいつらはそれにどんな意味があったのか解っちゃいねえよ。
奴らのいう所の「星の声」…あの腐れ支配者の指示に従ってただけなんだからな」
てゐはなだめるように、みとりへ告げる。
「でも、地の民を天に導く役目も持ってるとも言っていたわ。
同じ「上帝」が出していた指示であるなら、彼らに指示を与える「聖地」から彼らを追い立てた事由は」
「考えるまでもねえ、あの連中に冒険者を運ばせる理由も…いや、あの連中を自分の手足として使う理由がなくなったんだろ。
もしくは、翼人達の中に、都合の悪い事実を知ったものが出たか。
いずれにせよ…奴はもう、翼人達を用済みとして切り捨てた。そう言い切っても間違いじゃあるまい」
「そんな身勝手な話なんて…あるのかよ。
散々自分のいいように使っておいて…!」
みとりは怒りに染まった目で、うっ血するほど強く拳を握りしめている。
「生み出した命は、軽々しく弄ぶべきではない…文(ふみ)と悶着あった時に、かごめが言っていたわね。
あの支配者は、自分の生み出した命どころか、そうではない多くの命すら弄んだ。
きっと…あいつも」
強い視線で文が見据える先には、その巨大なシルエット。
禍々しさと神々しさが入り混じったような、巨大な翼を持つ魔鳥…「天空の女王」ハルピュイア。
それは迦陵頻伽の如く美しささえ感じさせるが、それを見続けていると、何処か正気を失いそうな錯覚に陥る。
「あれも…かつて樹海で倒れた冒険者のなれの果てなのかな」
魔理沙が何処か悲しそうに呟く。
「かもしれねえ。
だがな、あれはもう生きた人間じゃねえよ。
…終わらせてやらにゃならんだろ、こんなふざけたことも全て!!」
てゐは…もう何度振るったか解らないその剣…柄に「ベオウルフ」の紋章が刻まれた剣を抜き放つ。
劣化と刃こぼれするたび、新たな素材を工房へ持ち込み、新たな刃を備えて彼女とこの過酷な旅路を歩んできた剣は、もはやその肉体の一部と行っても過言ではなかった。
彼女は今もなお、クロガネの託してくれた遺志と…フロースガル達の心と共に戦い続けているのだ。
「行くぞ!」
長き時を生きたその少女の号令一下、天への道をふさぐ冒涜の魔鳥との戦いが幕を上げる。
…
…
諏訪子「ストーリーは一気に進んだが、まあ、ここで大体の謎が明らかになるな。
クァナーンに関してはもう前から「底なしのいい人」というボウケンシャーもいれば、「ちと無責任というか流されすぎじゃね?」みたいなことを言う奴もいて賛否両論なんだが」
さとり「でも翼人が、上帝(笑)のやってる事を知らなかったのは確かですからね。
いくら生みの親だろうがなんだろうが、間違ってたら親の結婚記念のダイヤの指輪をはめたギガトンパンチで奥歯ガタガタ言わせてやる必要があるという事が解ってるんですから、この人はいい人でFAですんでこれ以上の審議はひ不要ですから(完全論破」
ヤマメ「なんだその謎理論…。
そうするとアレだよな、かなり前の話を蒸し返すが、フロースガルの亡骸はキマイラの所に残ってなかったのも、連中が運んだからなのかな」
諏訪子「それはもう想像に難くない所だし、フロなんとかさんがこれ以降の階層ボスやFOEに改造されたんじゃねみたいなことは昔から言われてたしな。
解説は次に回すがこの階層ボス・ハルピュイアのあまりのガッカリっぷりに「こいつ絶対フロなんとかさんだろwwww」という風評被害も昔から多々あった。今回はマトモに戦うと結構強いんだけどな、ハルピュイア」
さとり「それでもスキュレーほどじゃないと(迫真」
諏訪子「それは言うな。
あと先の話のネタばらしにもなるが、結局ジャガーさんもジャガーさんだったからなおのことおハルさん通常運転乙wwwみたいな感じになってるがそれはハルピュイアの所為じゃねえから。スキュレーとジャガーノートがみんな悪い(迫真」
ヤマメ「ああ、結局フロースガルのフォローはないのね(しろめ」
諏訪子「しゃあねえだろ一戦のみのゲスト参加なのになんで採集とかいらねえモノにスキル振ってんだよアホか。
結局フロースガルはいくらリメイク進もうがいじられ役の運命から逃れられないんだろ。
まあとりあえずどうでもいいな、今回はハルピュイア戦のスキル解説だけして終了だ」
フランドール ハイランダーLv50
ロングスラスト7 ブレインレンド1 シングルスラスト1 レギオンスラスト1 ディレイチャージ3 クロスチャージ1
スピアインボルブ★ ブラッドウェポン3 リミットレス★
槍マスタリー★ 物理攻撃ブースト★ HPブースト1 TPブースト1
血の暴走1 ハーベスト3
グリモア:ブラッドサック9(斬) 槍マスタリー8 フェンサー★ ダブルアクション★ アタックハウル9 素早さブースト9
てゐ ドクトルマグスLv50
巫術:再生5 再生帯5 再生陣1 鬼力化5 皮硬化1 脈動1 乱疫3 転移3 反魂1 結界★
巫剣:霊攻衰斬1 霊防衰斬1 霊封頭斬1 霊封腕斬1 霊封脚斬1 霊攻大斬9
巫剣マスタリー★ 巫術マスタリー★ 抑制防御ブースト1
グリモア:巫剣マスタリー★ 巫剣:霊攻大斬★ 巫術:結界6 ヒュプノバイト9 リンクオーダーII5 軟身の呪言8
みとり パラディンLv50
フロントガード1 バックガード1 ヒールガード1 センチネルガード1 シールドスマイト1
ファイアガード9 フリーズガード9 ショックガード9 挑発5
盾マスタリー★ 物理防御ブースト5 属性防御ブースト5 先制挑発1 パリング★ HPブースト2
グリモア:決死の覚悟8 ドレインバイト★(壊) 防衛本能8 パリング3 忠義マスタリー8 かばう9(伝説:HP回復補正)
文 レンジャーLv50
フランクショット1 ブラインドアロー5 スリープアロー1 パライズアロー1 ドロップショット1
朧矢1 ダブルショット5 チェインダンス5 スケープゴート5 アザーズステップ★
素早さブースト★ 弓マスタリー★ 抑制攻撃ブースト★ エイミングフット4
グリモア:弓マスタリー9(氷II) 後方支援9 フェンサー8(氷) 予防の号令4 ハーベスト9 決死の覚悟8
魔理沙 ガンナーLv50
フレイムショット5 アイスショット5 サンダーショット5 チャージフレイム2 チャージアイス2
チャージサンダー2 バーストショット3 ヘッドスナイプ1 レッグスナイプ1 アームスナイプ1
バーストショット4 跳弾1 チャージショット1 ドラッグバレット1
銃マスタリー★ 物理攻撃ブースト★ TPブースト5 ペネトレイター★
グリモア:トライチャージ★(突) 銃マスタリー9 素早さブースト9 ハーベスト9 ブラッドウェポン9 ダブルアクション★
諏訪子「これも今思えば見直したいスキル多いんだよなあ。
特に文の朧矢がマジで要らねえ」
ヤマメ「だよな。どうせ引きつけるんじゃねえし、それだったらスケープゴートもっと振れって気はするな。
今回挑発が本当に役に立ってねえみたいだし」
さとり「引きつけ率が本当に(笑)みたいな感じですしね。
そういえば、こっそり伝説のグリモア取ったんですね」
諏訪子「実は都市開発この時点で終わってるしな。
実質、宣伝最大数解放して、なおかつ美食王と祭りが解禁されないと、伝説グリモアも実質解禁されねえしな。
これもおいおい解説していくつもりだが」
さとり「逆に鬼力化やっと振ったか感も」
ヤマメ「単体補正としては鬼力と巫術マスタリー両方★★で火竜の猛攻に匹敵する超高補正率だしな。
みとりもここまでスキル振ってあると盾役として十分安心できるレベルですな」
さとり「忠義マスタリと盾マスタリはそれぞれパラとペットでトレードオフした時のシナジーがハンパないですからね。
SQ4のフォートレスでガードマスタリ振ったような」
諏訪子「その結果どうなったかは、次でがっつり触れるかね。
正直ハルピュイアが天空の女王(笑)になったの、大体みとりのせいだから。
つーわけで今回はここまで。次はハルピュイア戦と、先に触れなかった残り2種類のFOEの解説だよ