♪BGM 「迷宮 遺都シンジュク」(SSQ)♪


「ここは…?」

光の洪水が収まると、五人は見慣れない場所に立っていた。

そこは…まるで城というより、近未来的な何かの基地や研究施設のようにも思える。
ゆっくりと歩を進めると、その入り口と思しき扉…文やフランなど、ポケモンの世界を旅した者たちにも見慣れた、自動開閉ドアのようなものがある。

「城、ね。
確かにそう見えなくもねえが、こりゃあもう城というよりは宇宙ステーション的な何かだな。
…んや、この世界でいう超古代から浮いていたUFOか
「かごめ達の居た世界でこんなモノが製造されていたなんて話、聞いた事ないわよ」
「まあそうだろうな。多分だろうが、秘密裏に建造されたもんだろうしな。
それにしても、こんなのが千年以上も空に浮いてたってか。まるでラピュタだな」

冗談めかして肩を竦め、てゐはその扉の前に立つ。
その頭上から不意に、不思議な声が響き渡る…。




-天の御座、我が居城に訪れたる者は何者か?
此処は天の主「オーバーロード」たる我が、英知を込め築きし場所。
許可なく立ち入ることは許されぬ-


てゐは「はっ!」と悪態を吐き、剣呑な表情を崩すことなく強い語調で返す。

「ふざけんなよテメエ。
テメエの様な三流研究者が神様気取りで、どんだけ下の連中に迷惑かけてやがると思ってんだ。
何考えてやがるか知りたくもねえ、とっとと地面にたたき落としてやるから首を洗って待って居やがれ」

しばしの沈黙の後、まるであざ笑うかのように再び声が響く。

-愚かな。
汝等がいかなる存在かは知らぬ…だが、ヒトを越え、この新たな世界の神となった我に歯向かう不遜は度し難い。
とはいえ、今だ地に生きる者には理解しえぬことか-

「うるさいわね。
それに、無知蒙昧、想像力欠如も甚だしいあんたにこそ教えてあげるわ。
この世界の無限の星海…その果てを越えた世界には、ヒトを越えた力を持つ数多の妖怪と神格が、ヒトと共に生きる世界があることをね…!」

-汝らこそ、神にでもなったつもりか?
フン…まあよい。
ならば問おう、汝らがヒトを越えたものというなら、自然の摂理というものをどう捉える?-

不意に投げかけられるその問いに、魔理沙が答える。

「私は一応人間なんだがな。
人間に限った話じゃねえ、人間よりずっと長く生きる妖怪も、同じようにいずれ死ぬんだ。
カミサマだって、信じてくれるものがいなくなっちまえば消えちまう。それが、カミサマにとっての「死」だ。そういうもんだろ」

-そうだ。
生きる者は皆、いずれ死ぬ。それがこの世の抗えぬ摂理。
…だが、それに抗い、死を乗り越えられるとすればどうだ?-

「くだらねえな。
確かに、私も死ぬのは怖いぜ。
でもな…死ぬこともできずに、何千年も苦しみ続けてきた奴を知ってる。
終わりのない永劫の恐怖に苛まれて生きるなんて、少なくとも私は真っ平御免だぜ
「あなただけじゃないよ、魔理沙。
私だって、イヤだ。みんなみんな、大好きな人がいなくなってしまうのに…自分だけが一人で生き続けていくなんて…!

-我は、その「死」から逃れる術を探り、幾星霜にもわたり独りで研究を続けた。
汝らと我は、永劫にその思想に一致を見ることはあるまい…ならば、せめて我が研究の贄となってもらうとしよう。
人間を越えし者…汝らの言う「妖怪」が、人間を凌駕する生命力を持つのであれば…我が研究の大いなる糧となろう。
それを恐れぬのなら、進むがよい。我が作りし守護獣…ジャガーノートが、汝らに引導を渡すであろう-

オーバーロードの哄笑と共に、声はフェードアウトしていく。


そして…重々しく開く扉の先には、巨大な魔獣のシルエットがそこに佇んでいた。



「狐尾幻想樹海紀行 緋翼の小皇女」
第二十四夜 守護獣ジャガーノート




かごめ「いよいよここから本編最終幕だ。
   ところがどっこいっ…ここでストーリーが終わるとは言ってません…!
   現実です…!
   これが現実っ…!(クワッ

諏訪子「オメェは本当に誰に喧嘩を売ってるんだ誰に。
   しかし一気に第五層まで進んだのかよ」
かごめ「あーうん、なんか色々面倒になってきたから極力馬鹿話抑えて、ストーリーのメインだけ一気に進めちまおうとかそういう風に思ったわけよ。
   まあ例によってストーリー(笑)部分はしっちゃかめっちゃかに作りますがね(キリッ」
諏訪子「あーはいはい知ってた知ってた。
   で、一体どういう流れで進行してくの、この解説?」  
かごめ「今回はまず第五階層というか、23Fまでの解説とジャガーさんのスペックについて解説するよ。
   実際リメイク前の実況動画とか見てると、マップは勿論仕掛けが既に全然違ってるから」
諏訪子「まあそりゃそうさな、FOEで残留してるのは御馴染ジェダイと漆黒さんだけだし」
かごめ「一応また後の方…24Fの解説の時に回すけど、銀盤の監視者は超絶強化されて居残ってるのぜ。
   あと魔眼さんはクリア後エリアに追放されました(キリッ」
諏訪子「えっマジで」
かごめ「立橋の18F19Fの外周部にさ、不自然なスペースがあってFOEらしきものが行き来してる所あんだろ?
   あのFOEが魔眼」
諏訪子「へーそーなのかー…って何言わす。
   いやほんとうにフーンって感じだな。あいつそんな所にすっとばされたのか」
かごめ「あと強制移動床もない。
   その代わり、22Fから爆弾射出装置のあるエリアがあって、一定間隔で射出される追尾型爆弾を回避したり、それをうまく漆黒さんとかにぶつけて戦闘回避したりとかそういうのが求められる。爆弾に当たるとスタンダート以上だと全員に100ダメージとかいう結構しょっぱいトラップだ」
諏訪子「うわあ…」
かごめ「まあ後で説明するけど、実はジャガーさん攻略にもこの爆弾をうまく利用することで難易度が下げられるって寸法だ。
   もっともな…ここでもうぶっちゃけるけど、弱体化させてすらジャガーさん相手に3回hageたがな」
諏訪子「原初のジャガーさん知ってると、たった3回で済んだってところが逆にすごいと思うんだけどな」


かごめ「まず21F、通路を塞ぐように配置されているFOE緋緋色金の剣兵…通称ジェダイさんがいる。
   強追尾型でHPは13000ちょっとあるが」
諏訪子「名前ちょっと変わってるけど、もーSQ2の第五階層と言ったらこいつが真っ先に出てきて、ついで畳みかけるようにジャガーノートが絶望を与えてくるっていう狂気の二段構えだからな。
   どうせ今回もロクでもないんだろうなコイツ」
かごめ「お察しの通り、こいつの殺戮の光刃が滅茶苦茶過ぎる。
   4〜6回の近接斬攻撃で、なおかつ3ターン攻撃力が上がる。もうこの時点で意味不明だな」
諏訪子「( ̄□ ̄;)おいそれリメイク前よりヤバいじゃねえかよ!!!
   リメイク前は火力が基地外だった以外は斬炎複合属性なだけだぞ!?」
かごめ「しかもリメイク前ではある程度体力減ってから使用開始だが、今回は必ず初手で使い、それから効果が切れるまで通常攻撃、効果が切れた次のターンで光刃、というループが基本になる。結局初っ端から高火力で殴られ続けのは変わらねえけど、まだ何とかなるレベルだな。
   ところがHPが赤に突入すると狂ったように光刃を連打するモードに入る。まさにアビ=インフェルノ、古事記に記されたマッポー世界の一側面だ(しろめ」
諏訪子「しかもこいつ弱点の雷以外はほとんど通らねえからな。
   まー煌天破のラフレシアが本当にボーナスタイムにしか見えねえレベル」
かごめ「防御面耐性はなくなってるからその辺はマイルドにはなってるんだが。
   一応55まで上げてから斬耐性装備で固め、なおかつジビエカレーライスを喰った上でなおかつ最後に立ってたのはてーさんとみとりだけだったという時点でお察しのレベルだな。
   まー下手しなくてもハルピュイアよりもよっぽど強いな、FOEらしいFOEというべきか」
諏訪子「このわけの解んないのを、こともあろうに3ターン以内で倒せってのがレアドロの条件だったんだよな。
   もう頭わいてるとしか」
かごめ「その条件、あんま変わってないぞ
諏訪子「えっ」
かごめ「一応3ターンから5ターンに延長されてるが、HPがそもそも4倍近くなってるから難易度は然程変わらんだろうがな。
   レアドロ素材は、サラマンダーを倒すという馬鹿な事をしない前提でならクリア前に買える最強の剣の材料になる。
   付加効果が超優秀だから、サラマンダーを倒してもこっちの方でもいい気はするがな」

かごめ「22F、爆弾解禁エリアに登場するFOE漆黒の魔騎士、こいつも性質はリメイク前と一緒だな。
   正面に立たない限り戦うことすらできず、ただ道を塞いでいるだけだ。ただし、1体にでも気付かれるとフロア全部の魔騎士が追尾状態になって、フクロにしようとしてくる。
   しかもフォレストバットを一匹にしとくと、何故かこいつが召喚されて入れ変わるという狂気のおまけつきだ」
諏訪子「もうやだこの城!!><
かごめ「こいつのパターンも決まっていて、まずは全体に盲目効果つきの全体斬攻撃を仕掛け、それから低命中高確率即死付与の一列斬攻撃を仕掛けてくる。一応どっちもグリモア化できるが…まあ、殺戮の光刃ほどの使い勝手はねえな。
   あと後者、死の黒刃はグリモア化して使っても即死付与率は大したことない。相手から撃たれると効果絶大だが、こっちが使っても大したことがなくなってるスキルは結構今回多いな」
諏訪子「まあ敵側から使われた方がべらぼうに性能いい事が難易度の上昇に繋がってるんだろうしな…っていうか、やっぱり戦闘時の行動パターンまるっきり変わってんのかよ…ここまでくるともう別モノだな」
かごめ「そういうこった。
   一応こいつも雷は通るが、腕と足縛りだけは全く入らねえ。しかもこっちはジェダイと違って斬・突にやや強めだから出来れば爆殺してもらった方がいいな。リメイク前と違って、こいつと戦闘を始めるとジェダイがわらわらとログインしてくることはねえからそこは安心していい。挙句、戦闘前にこいつへ爆弾をぶつけると無条件で消滅する
諏訪子「はい!?」
かごめ「要は第三階層の目玉と一緒で、フィールドギミックでシンボルを消す事により戦闘回避したり、塞がった道を開いたりできるってことだ。
   ああ、因みにこいつの初遭遇はピクニックで探索してる時にフォレストバットから変身されたのだから、もうこいつに関しては縛り無視してじゃんじゃん狩ることにしたわ。こいつのレアドロ、ダクハン最強小手の材料だし」
諏訪子「無茶苦茶だな」
かごめ「復活周期は爆弾で消した時も7日だが、一応フォレストバッドをなんやかんやすればいつでも戦えるから、経験値稼ぎのお供にって感じだな。安定して狩るにはピクニックにするのが一番だが」

かごめ「雑魚では…まー基本的に面倒くせえのしかいねえからどれを重点すればいいのか」
諏訪子「ただひたすらに固いアイアンアーマー、バットマン変身野郎フォレストバット、フレイルオーラでこっちの火力を下げてくるノヅチ、こっちらも御馴染の全体即死撒き植物マンドレイク…いやもう、見てるだけで頭痛くなってくるな」
かごめ「アイアンアーマーの四肢潰しが本当に面倒だからな。腕脚封じつきの拡散壊攻撃とかなんなんだと。
   ただ相手にするとうざいけど、イエローキューブのパワーゲルが強化として非常に強力だ。バフかける際にダメージを受けるのは御愛嬌、攻撃力だけじゃなくて行動速度までアップする
諏訪子「恐ろしい事に、パワーゲルの行動速度アップには設定ミスなのかバグなのか解らんが、何故かAGI依存攻撃の威力まで強化する副次効果があるらしいな。
   レンジャー三人並べ立てて幼子狩りしてる動画もある始末だし」
かごめ「バフに強化減算もある筈なんだけど火竜の猛攻とパワーゲル普通に重ねがけしてたから、減算分と行動速度強化による火力補正は別計算なのかも知れんね。
   丁度、序曲系とそれ以外のバフが競合して補正率減算しないのと同じように」
諏訪子「そのくせ先の先は他のパッシブと食い合って補正率下がるんらしいんだよな、頭悪い事に」
かごめ「強化減算しないバフをうまく重ねるのが高速撃破のカギみたいなもんだからなこのゲーム。
   とりあえずこんなところかな、第五層序盤の解説は」











♪BGM 「戦場 朱色の雨」♪


その大きく開けたフロアの中心部、そこには巨大な一対の角を持つ猛牛の如き…否、同じようでさらに巨大な角を背からも生やす四足の、雲突くような巨大魔獣が鎮座している。

「なんだ…こいつは…!?」

茫然とそれを見上げ、呟く魔理沙の頬を冷や汗が流れおちる。
その魔獣はその巨大さに比例したすさまじいプレッシャーを放っており、その姿は見ただけでも魔物の強靭さを容易く連想させる。

悠然と構えるその魔獣…オーバーロードと名乗った声が言う、ジャガーノートの威容に圧倒されながらも、フランはその疑問を口にする。

「この魔獣も…まさか、冒険者を」

-そうだ。
確認したか、異界から来し者どもよ。
あれこそ、我が「聖杯」の研究の副産物がひとつ…そして、我の研究を護るガードマシン、不死の命を得し魔獣ジャガーノート-

てゐは不機嫌そうに顔をしかめ、吐き捨てるように呟く。

「…ヴィシュヌの八番目の化身クリシュナの異名…「圧倒的破壊」を意味する名の魔神か。
守護獣にしては物騒な名をつけやがる。
あんたはキマイラでそうしたように…こいつを地上にけしかける気でもいたのか

-くくく…汝は先より、随分我に…神である我に喰ってかかるではないか。
遠き西方の地に、野生の獣を「使徒」として使役したなどという記録があったが…その獣どもも、神の如き力を誇る世界樹に逆らい、その呪いを受けた。
汝もその愚を繰り返す気か?-

「イクサビト…ああ、私は直接あの場所へ行ったことはねえが、キバガミほど立派な存在じゃねえさ…だが、神を狩ったというなら、私にも経験がある。
ゴミみてえなクソガキの八十柱もこの手で撫で斬りにして来てやったんだ、今更、頭のおかしい神を一柱叩き殺したところで一緒だな。
あんたも、大国主様を殺そうとして……そして、死にかけてた私を嘲りいたぶり殺そうとしたあのゴミ共と一緒だ……!!」

凄まじい怒りから、鬼気迫る表情のてゐが、伝説の金属ヒヒイロカネの刃へ換装した愛剣を抜き放つ。
しかし、声の主・オーバーロードは、彼女を嘲るかのように笑う。

-その剣の紋章…滑稽だ、汝もそれを持つか。
今のジャガーノートの素体になったあの男も、最後まで逃げぬどころか…犬ころ一匹の為にその身を我が尖兵の前に投げ出した。
だがその愚直さこそ、守護者にするにはうってつけよ…もっとも、生前の記憶などというつまらぬものも残してはおらぬし、戦闘能力は比べ物にならぬがな…!-

「なん…だと…!?」

てゐの表情が凍る。

彼女は悟った。
その、ジャガーノートと呼ばれる魔獣が…生前、どのような名で呼ばれていたかを。


-さあ、踊るがよい。
そして汝らの力と、我の作りし力…いずれが勝るか見せてみよ!!-



オーバーロードの哄笑が響く。
それを合図に、生前の気高く優しい心を地獄へ置き忘れてしまった男の熟れの果てが…殺意を剥きだしに天をも揺るがさんばかりの咆哮を上げる。









諏訪子「あ、此処ではフロなんとかさん=ジャガーさん説を取るので?」
かごめ「まあ時代考証的には、もっと古い時代に作られたやつらしいんだけどねジャガーさん。
   あとジャガーノートは英語読みで、クリシュナの化身とされたヒンドゥーの神ジャガンナートと同じことを指していながら、意味するところは真逆らしい。ヴィシュヌの化身には破壊神カルキもいるけど、ジャガンナート(世界の王、の意)をジャガーノート(恐るべき悪意で破壊破滅をもたらす者、の意)と読み替えると、ほとんどカルキと同質の存在になっちまうな」
諏訪子「あの辺の神々も日本の神々に通じるところあって面白いよな。ただ、同じ神様なのに時代や生まれ方によってそれぞれ異なる意味と名前と姿を持つっていうところがまた独特ではあるが。
   その辺はとりあえずどうでもいいか。兎に角ジャガーノートと言えば「SQ2真のラスボス」とか当時からも色々言われてる気がするが、こいつリメイクでどんなんなったの?」
かごめ「そこはまあアレだ、とりあえずデータ紹介から」


第五階層中間ボス ジャガーノート
レベル58 HP72000
属性全般が弱点 即死・石化・睡眠無効/呪い・毒に弱い/それ以外盲目と腕縛り以外すべてに耐性
バーサクハウル(頭) 5ターンの間敵味方全員の物理・属性攻撃力を大幅アップ
腐った息(頭) 全体に毒または盲目を付与
蛮勇の障壁(頭) 5ターンの間、物理・属性防御力を大幅アップ
巨角の一撃(頭) 近接貫通突攻撃
ブン回し(頭) 近接拡散壊攻撃、腕封じを付与
完全破壊(脚) 全体に近接壊攻撃、3ターンの物理防御力ダウン付与
激しい咆哮(頭) 全体に遠隔無属性攻撃、強化を解除する
王者の爆進(脚) 全体に威力極大の近接壊攻撃、全個所封じを付与


諏訪子「うわあ(しろめ」
かごめ「もうなんというかHP量からしてキチガイじみた数値だが、例によってこいつも弱体化が可能になるな。
   爆弾の話はしたと思うが」
諏訪子「いやこいつ弱体化してもしなくても同じじゃね?」
かごめ「そうでもない。
   23Fの大広間、階段側に爆弾の射出口が三か所あり、まずはその爆弾をうまくかわしながらジャガーノートの居る方の広間へ行く。
   しかし、その爆弾をうまく誘導して、ジャガーノートにぶち当てることでHPを削れるという仕掛けがある」
諏訪子「そもそもその爆弾だって、誘導とかそういうの以前に性質がよく解らんのだが」
かごめ「射出口から飛び出した爆弾は、プレイヤーの居る方向へ倍速で向かってくる。
   うまく後ろから回り込めば、向かった方向にまっすぐ進んで行って、壁やFOEに衝突すると爆発だ。さっきは触れなかったが、勿論このダメージで死ぬことはない。
   で、ジャガーノートは最初動かないが、爆弾を一発当てると追尾型になって追いかけてくる。そして、4発当てると爆弾の射出が停止し、ジャガーさんもその場で動かなくなる。この状態は、フロアを出るまで有効で、ジャガーのHPもおよそ42000程度まで削れた状態からバックアタックも仕掛けられるようになる」
諏訪子「( ̄□ ̄;)そんでも40000以上あんのかよ!!
   爆弾もあるってのに、無傷でやれたとしてもHP削りきれんのかよそんなの…」
かごめ「ところが、初手と5倍数ターンもしくは王者の爆進の次のターンに使ってくるバーサクハウルをうまく活用すれば、属性弱点であることも手伝って意外とがりがり削れるんだこいつ。
   バーサクハウルの倍率は1.8倍とも言われてるから、ジャガーの方はさっさと解除してこっちで活用させてもらえばいい」
諏訪子「ただでさえ攻撃力トチ狂ってるのに強化までしてくんのかこいつ…」
かごめ「で、こちらに強化枠が一つでもついている場合、4ターン目の終了時に激しい咆哮を使う。この行動が入ると、5ターン目に飛んでくるのは御馴染王者の爆進だ。
   王者の爆進の攻撃力は据え置き、仮にバーサクハウルを解除してても適正ならほぼ全員一発で吹っ飛ぶ。縦しんば生き残ってもまあ、説明の必要はないだろうが」
諏訪子「まあその辺はな。お約束だからな。
   けどアレか? 強化枠を参照してくるってことは、まさかこっちが強化枠を使ってないなら王者の爆進使わねえとかそんなバカな話はないだろうな?」
かごめ「察しがいいじゃないかケロ様、実はその通りだ。
   今作の王者の爆進のトリガーは、直前ターンに激しい咆哮を使用しているか否か。
   つまりこっちもバーサクハウルをうまく解除してやることで、爆進を全く打たせないことが可能なんだ」
諏訪子「……成程。
   トリガーになる行動のトリガーも、相手側から自らやってくるということか。リメイク前ほどの理不尽さはないが、十二分に初見殺しだな。
   そうすると…ラウダナムやウニコウルを山ほど持ってく必要が…ああいや」
かごめ「此処でストーリーに何故プリンセスが居るのか、そこに答えがあると思うんだがな。
   一応、21Fのジェダイがうろついてる辺りにある宝箱に、クリアランスのグリモアが入っている。けど、クリアランスよりもリセットウェポンとホワイトノーブルを使った方が柔軟に立ち回れる。腐った息の異常付与も厄介だから予防も欲しいしな」
諏訪子「ん? そうすると爆進がらみの行動以外はランダムかこいつ?」
かごめ「一応3ターン、または強化枠のない場合は大体2ターンおきに腐った息を使用するとは言われてる。
   後、同じ行動は二度連続ではとらんらしいな。大体1、2周目はバーサクハウル→通常攻撃・ブン回し・巨角・完全破壊のどれかで重ならないように3つ→強化枠が残ってれば咆哮、なければ直前以外の行動→咆哮使ってれば爆進、なければ直前以外の行動→バーサクハウルという流れだ。
   3周目くらいからかな、腐った息が混ざってくるの」
諏訪子「つまり大分削れてきた面倒くさい頃会いに使い始めるってことか」
かごめ「だな。腐った息の周回が咆哮と爆進、バーサクハウルの辺りをまたぐ場合、息→咆哮→爆進→バーサクハウル→何か別の行動→息というパターンになるそうだ。初回の息のタイミングは運だが、うまくかみ合えば結界で防ぐことも可能だ。
   一応予防の号令とかでもいいんだけどまあ…解除のタイミングをミスったら大惨事だな」
諏訪子「蛮勇の障壁も効果変わってるんだな。アレ元々カウンター攻撃だったんだが」
かごめ「こっちでも属性攻撃に反応して使ってくる。
   軽減率かなりのものでな、体感半減以下までダメージが落ちる。一応グリモア化もできるが、グリモアで使うとすげえ性能落ちるんだよなあ。軽減率は十分高いんだけど」
諏訪子「そうするとアレだ、こっちから自在にバフの解除ができる環境があって、なおかつ爆弾をぶつけて弱体化させる所から始めるのがセオリーになるんだな」
かごめ「頭技多いから頭封じるか、爆進に合わせて足縛れればかなり楽だけど、どっちもそんなに入りがいいわけじゃない。
   バフをうまくコントロールするのは難易度たけえから、壊属性耐性ある装備で固めると幾分か生き残る確率はあがるだろうな。壊撃の護り、フェザーグローブ、ディノブレスト、クラポートドレス、可能なならウォールシールドまで装備させれば大体ダメージが半分ぐらいになるな」








凄まじい咆哮と共に突貫してくる破壊魔獣。
その正体を知りながらも、彼女達は闘志を奮い立たせ剣を突きたてようとするが…どうしても、クロガネの最後の姿が脳裏を掠め、決定的な一打を浴びせられずにいる。

その中で文だけは一人、ひるむことなく相手の射程外から射程外へと高速で回り込み、毒で変質した強靭な魔獣の翼骨に弦を張った魔弓を放ち、抵抗を続けていた。


言葉を張り上げるのは簡単だ。
しかし、彼女はその言葉では他の四人を動かす事は出来ないと覚っている。
気持ちが割りきれずにいるのは、自分だって同じなのだ。

それでも彼女は、儚くも見えるその抵抗を続ける。
魔獣の突進で成す術なく傷ついていく仲間達を余所に、冷酷にも見えるその行為を続けているのだ。

(ここで…私まで折れてしまうわけにはいかないんだ!!)

以前の文であれば、容赦なくその正論を並べ立て、言葉でフラン達を動かそうとしたのかもしれない。
だが、四人の姿を後方から追い続けてきた文には、それがどうしてもできなかった。

いまだに自分の中に眠る狂気と戦い続けているフランを。
過去の罪を償う方向を探し苦悩するみとりを。
気が触れそうなくらい高い目標を直向きに追いかける魔理沙を。
そして、自分の想像もつかないような長い年月を、強いられた孤独と共に生きてきたてゐを。

そんな四人に、これ以上重荷を背負わせたくはなかった。


自分はそれだけ気ままに生きてきたのだ。
ならば、呪われた永遠を与えられた「彼」を討てるのは自分しかいない…そう、自身に言い聞かせて。


風の速さで飛翔する文を、ついにその魔獣の突進が捉える。


声にならない絶叫を上げるてゐにも、彼女の心が見えているように思えていた。
此の、破壊の体現者が彼であるのなら、引導を渡してやらねばならぬのは自分であるのに。

(文…もういいッ…もうやめてくれ…!
 おまえが…お前だけがそんなもん、しょいこまないんでいいんだッ…!!

気付くのが遅すぎた。
それを、今更ながらに後悔する気持ちが、溢れる涙となって…頬の血と混ざり紅い雫となって地面に落ちる。


魔力は既に残ってはいない。
立つ力ですらも…それでも、立ちあがろうとするてゐを…ひとつの影が支える。


「あなた達に荷が重い相手なら、此処は私達の出番のようね」


片手で支える手でてゐを癒しながら、凄まじい魔力を凝縮した大火球を眼前へと放る。
その先には…文を刺し貫こうとした巨角を、紅い魔力の鎖ががんじがらめにしている光景。

ハルピュイアとの戦いで感じた、魔力の持ち主ふたり。
さらに…気を失っている文を支える影が、その姿を近くまで運んでくる。

「…藍…!」
「大体のことは把握したつもりだ。
お前達は、先へ行け。こいつの相手は、私達がする…!」

言うや否や、藍は手にした宝珠を中心に四重結界を発生させる。
結界の魔力は強力な癒しの魔力に変わり、失われた体力魔力を回復させていくのが解った。

「…少しは成長したかと思ってたけど、咲夜が心配するのも解る気はするわ。
でも…私はそれでもいいと思う。
あなたのその優しさは、あなた(フラン)あなた(フラン)であることの証だもの
「おねえ、さま…!」
「けど、あなたは少しくらい、遠慮が過ぎる。
怒るときやわめき散らしたいときぐらい、そうすればいいのよ。
……やり過ぎても、止めてくれる仲間が今はこんなにいるんでしょうに!

立たせた妹の背を、わざと乱暴に、背後に立つ魔理沙へと突き飛ばす。

「言ってくれるぜ。
今の私だけじゃ、フランになんて暴れられたらどうにもできねえよ」
「その為に私だっているんだ。
……あなたは……あれだけの事を仕出かした、私を信じてくれるのか?

真剣な表情で問い返すみとりに、レミリアはふっと笑って返す。

「そんなあなただからこそ、よ。
道中見させてもらったけど…盾としてのあなたは悪くないわ、河城みとり。
行きなさい、あなた達の正義を示す為に!!

レミリアの放つ血の鎖の束縛を破る魔獣が、即座に少女たちめがけて突貫してくる。
その前に滑り込んだ藍は、同時に展開された巨大な方陣の魔力を総て自身に集中させると…渾身の力で、その巨角を掴んで踏みとどまる!


立ちあがる五人は背後の階段へ向けて駆けていく。
そして、最後尾のてゐが三人へその言葉を、振り向きざまに残していく。


「礼は…帰ってからだ!
そいつを…そいつは、あいつと…クロガネと一緒に眠らせてやってくれ!!」



藍の承諾の言葉は、階段を駆け上がるてゐの耳に届いていただろうか。


魔獣と藍の組み合いの後ろで、体勢を整えるレミリアとパチュリー。

「とはいえ…私達でどうにかなるのかしらねこいつ?」
「あの子達が来るまでの辛抱よ。
空神の力を得てしまったあの子達は、磁軸に通す事も一苦労だって白蓮も言っていた。
…私達は私達のできる事をするまで」
「そうね」

再び、詠唱から生み出した巨大火球を、パチュリーは無造作にジャガーノートへと放り投げる。
横殴りに穿たれた一撃でその巨体が大きくよろめき、藍は術式で得た強力任せにその巨体を引きずり倒すと、こちらも体勢を整えて構える。

「まだ行けるのでしょう、狐さん?」
「…見くびるな。
式とはいえ、貴様等若造の下風に置かれる理由はない!」
「それだけの減らず口が利けるなら十分そうね。
恃みにさせてもらうわよ!」








諏訪子「なんかもう超展開過ぎて読めなんだけど、まさかパーティ変えてやった?」
かごめ「その通りなんだが今思えばよくこんなPTで挑んで勝てたのか」
諏訪子「適当だなあ。
   じゃあ、次回は連中の紹介か?」
かごめ「いやストーリー上なんかネタばらしにしかならないから、次は24F以降と簡単にバーローの紹介をするよ。
   というわけで次回に続きます(キリッ」