リリカ達がサラマンドラと戦っているその頃。
レミリア達は別件で氷樹海の探索を行っていたフランドールと合流すると、そこからすぐに常緋の森へ降り、マリオンの示したポイントよりその最奥を目指す。
そこには、古跡樹海でよく目にした追撃者とも違う、鋼鉄のような鱗をもつ強力な恐竜種が多く屯し、さらに先へと進むと、ベビーサラマンダの炎を受けて巨大化する溶岩塊のような魔物が待ち受けていたが、若くとも幻想郷の次代を担うに相応しいと称された吸血鬼姉妹の戦闘能力、そして、幻想界幻想郷含めた全世界最高の大魔導師と言われるパチュリーの卓越した魔法は、未知の魔物たちを危なげなく退け、順調な探索を続ける。
「それにしても…途轍もない暑さだわ。
いえ、もう、暑いというよりは」
「……そうね。
最早「熱い」と言った方がいいのでしょうね。
まるで空気そのものが燃えているかのようだわ。地熱と言う話ではあったけど、明らかに、地熱とは別のところから発せられている」
パチュリーは気温を一定に保つ最低限の大きさの結界を張りながら、ゆっくりと周囲を見回す。
「それにつけても、不可思議な森だわ。
これほどの熱が発生しているのであれば、木々は自然発火してもおかしくはない。
余程多くの水分を蓄えられるように進化したか、それとも」
パチュリーは冷気の魔力でコーティングされた手を伸ばす。
触れようとした木の枝葉と、彼女の指先の間でにわかに水の爆ぜるような音がする。
「木、そのものがすでに高熱を帯びている。
信じられないわ、幻想界魔界通じても、このような進化を遂げた植物は存在しない」
「木そのものが燃えているってこと?」
「そうでもないわね。
気温の異常上昇の原因は、そこではない。
触れかけて解ったけど、この木々も緊急回避として一時的に高熱を発することで、かえって自身が燃えることから身を守っているのでしょう。
……熱源、多分近いわ。あなた達はこの結界から出てはダメよ」
「へーへー解りましたよっと」
お互いわざとなのだろう、子供にそうするようにレミリア達をたしなめるパチュリーに、うんざりしたように肩を竦めるレミリア。
勘違いされがちであるが、紅魔館当主であるレミリアと、その地下大図書館の管理人であるパチュリーはあくまで「館の主人とその食客」であると同時に、互いに「同格の友人」の関係であって主従関係にはない。近しい関係を挙げるとすれば、魔界神・神綺とその相談役を自称する悪霊女王・魅魔のそれであろう。
フランドールは地下牢の幽閉を解かれて既に10年近くなるものの、いまだにこの二人の関係には首を傾げたくなる時があるが…実際、本気の戦闘となった場合、レミリアには勿論、パチュリーに対してすら全く勝てそうな気がしないのは確かだ。
過小評価されがちなきらいのあるパチュリーの実力であるが、実際に相対すればその卓越した魔法の腕前と膨大な知識量は勿論、大局的な戦略眼のみならぬ細かな機転機知、そして身体能力も魔法使いである以前に病弱であるという世間一般の認識と違い、中国拳法の足運びを基本とした無駄のない所作を見せる。ホワイトランドの天界執行部が、単純な能力の危険さでは紅魔館随一のフランドールよりも彼女を高いランクに序列していることでも、総合的に評価した場合、攻撃力と血統以外のあらゆる全てにおいて、パチュリーがフラン以上の「危険極まりない怪物」である事を証明している。
そもそも、地下にフランを幽閉する為の結界を作成、400年以上の長きにわたり維持したのは、紛れもなくこの目の前に居る大魔導士なのだ。
「…ぼぉっとしてる場合じゃないわよ、フラン。
目的地はここのようね」
レミリアに促され、上の空だったフランははっと我に返り、歩みをとめた。
取り留めもない思索に想いを馳せているうちに、目的地についていたようだ。
フランは周囲の気配を注意深く伺う。
目の前にそびえる扉の向こう側から、途轍もない熱が発せられているのが扉越しにも解る。
パチュリーの展開している結界内でなければ…この場に立つだけでも全身大火傷を負いかねない凄まじい熱量だ。
「参ったわね、結界越しにもこの熱。
一体この先に何が待ち受けているのやら」
「気の所為ならいいんだけど、この扉の先にも何か居そうな気配はないわね。
それとも、あまりに中に居る奴がヤバ過ぎて感覚でも麻痺してるのかしら」
「その辺は心配ないと思う。
質量反応、魔力反応共にないわ。
第一、竜かそれに類するものがいるなら、フランがまず反応してる筈」
パチュリーの視線を受けて、フランは神妙な表情で頷く。
先にワイバーンの存在を察知できたように、かつてアーモロードで得、現在はその魂と深く結び付いているフランのドラゴンハートは、それそのものが強大な魔物に対する検知装置の役割も持っている。
フランも、この周辺の空間に、扉向こうの強烈な熱源以上のものを感知していない。
「開けるわよ」
結界を展開しつつ、奥義魔法級の氷の魔力を鍋掴みめいて展開するパチュリーが、扉の取っ手を掴んで押しあける。
…
その圧倒的な熱量の所為か、紅く色づく木々すら燃え盛る炎の如く見えるその広間…その中心に果たして、ひとつの石板のようなものがあるのを三人は見出す。
煌々と紅く、熱された空気が地面の水分をも気化させ、揺らめく陽炎を絶えず作りだしているその石板こそが、状況的に異常気温上昇の原因であろう事は間違いないだろう。
「原因は解ったけど、どうしたものかしら。
持って帰って調べてみる?」
「調べるのはいいけど、明らかに持てそうな気配はしないわよあんなの。
相当ガードしてるつもりだったけど、あの扉触っただけで火傷するかと思ったわ」
憮然と言い放つパチュリーだが、放置はしておけないと思ったのは確かだ。
暫くそれを眺めていたが、仕方ない、とばかりに溜息をつく彼女の横を、何かを直感したフランが通り過ぎていく。
「待ってフラン、何を」
「私、持ってみる。
なんか、やれそうな気がする」
なおも制止しようとするパチュリーだったが、レミリアがそれを制して「やらせてみせましょう」と言うかのように頷く。
フランは吸血鬼としては珍しい、炎熱魔力の持ち主であり…なおかつ、灼熱紅蓮の主たる紅い竜のドラゴンハートを持っている。その直感に任せようというのだろう。
フランはまるでそうしなければならないと解ってるように、自分の両手に魔力を自然と集中する。
魔力で赤熱する手が、その燃え盛る石板に触れたその瞬間……莫大な熱が石板から解き放たれ……そして、雲散霧消する。
それと共に、気温は少しずつ下がり始めていくのを感じる三人。
「うまくいったみたいね」
「レミィあなた、こうなることを解って?」
レミリアは頭を振る。
「んや。
でも、フランには赤竜のドラゴンハートが宿ってる。
あの石板…ひょっとすると、赤竜に関わる何かかもしれないわ。持って帰って、大公宮の資料を漁らせてもらうほかないわね」
レミリアは、石板を抱えて立ちつくすフランの肩を叩いて労うと、懐から取り出したアリアドネの糸を掲げる…。
「狐尾幻想樹海紀行 緋翼の小皇女」
第四十夜 緋の竜王、其の名は絶対の死
~それからしばらくして、狐尾紅茶館~
「なんか色々あったけど、またしばらくはこっちと向こうを行ったり来たりになるんだなー。
二匹目の竜は幽香さん達がなんとかしちゃったって言うけど、最後の竜ってどうすんだろな」
一カ月ぶりくらいになる樹海のデザートを口に放りながら、頬杖をつく透子が他の三人を見まわす。
「というかとーこさん、まさか四人で挑むなんてこと言わないよね?
そもそもここにめうめうがいたところで誰が盾役やるんだって話で」
「あたいはそんなに粗忽者か」
「今、目が本気だったっすよとーこさん…」
透子、つぐみ、翠里の三人がそんな話題を繰り広げるのを、追加のデザートを運びながらため息をついて眺める美結。
その目の端に、窓際に陣取ったまま険しい表情で座る魔理沙の姿が視界に入る。
「どした、美結」
「あ、はい。
なんだか、入学してすぐのころから、魔理沙さんずっとあんな感じだなあって」
美結が席につくと、ああ、と何かを思い出したように透子も横目でその姿を見る。
「まさかとは思うっすけど、私達と同じ学年だったのがそんなにショックだったんすかね?
魔理沙さん確かえーと」
「れーむさんと同い年の筈だから、私達より二つ上だった筈だよ、確か。
まあでも、高校は義務教育じゃないから、ごく稀にそう言うことだってあるし…そんなこと言ったら、早苗さんの立場がないよ」
「そりゃまあな。
あたいはてっきり、早苗も大学に来るもんだとばかり思ってたが…あんた達と同じクラスなんだっけか?」
「早苗さんも色々あったから、高校通ってないって言ってたしね。
本人は、折角だからゆっくり高校生活をエンジョイさせてもらうって言ってたけど」
「氷海の顔は見モノだったがな、それが解った時の。
ふたつも年上の後輩がいるってのはあいつも落ちつかねえかもな。なんか知らんがそう言う体面滅茶苦茶気にするし、あいつ」
冗談めかして笑う透子。
不意に、寂しそうに笑って続ける。
「あいつにはあいつなりに、事情があってのことなんだと思うよ。
あたいには詳しい話は解らんが…喋り方からはそう思えなくても、魔理沙結構ナイーブなところ、あるからさ。
あいつ自身が言ってくるまでは、暫くそっとしておいてやるのがいいと思う」
透子は恐らく、何らかの伝手でその事情を知っているのだろう。
そして、暫く四人でデザートと雑談を楽しんだ後、めいめい使い慣れた獲物を手に店を後にする。
魔理沙はその事すら気に留める風もなく、ただじっと、険しい表情のまま窓の外を眺めている。
彼女は、聖杯を求めるその旅路をやり遂げてから向こう、何もない時はそういう表情でいることが増えた。
そんなとき、彼女が思索の先に置く一人の存在がいる…すなわち、かごめ達が幻想郷に乗り込んでくるずっと前から付き合いのある少女…博麗霊夢。
だが、その理由は、暫く会う機会もなかった彼女が恋しくなったとか言うものではない。
その奥底には、黒い淀みのような感情が必ず付いて回る。
それが、彼女の思索を懊悩へと傾ける。
しばらく前にあったある出来事…「博麗巫女継承の儀」。
当代最強と称される二人の巫女の、力と技と意地、そして互いの命すら抜身の刀で斬り合うようなその戦いを目の当たりにして…否、それ以前に、「博麗の巫女」ではない「等身大の霊夢」と言うべき少女の姿に、魔理沙はどう接するべきだったのか…彼女の懊悩の根底は、そこにあった。
魔理沙にとって霊夢とは、気心の置ける友人であるとともに、同時にどうしようもないほど高く聳える壁の一つであった。
恵まれた身体能力と、生まれ持った強大な法力。
その一つ一つが、凡人にとっては最大の個性となり得るほどの才能を、これでもかと言うほど多数有するという天祐。
そして、多く同格以上の神妖に好かれ、その出会いと協力を得られる運命力と魅力。
その何ひとつもが、自分にはないものだ。
ある意味では、霊夢もまた、かごめや紫、幽々子を筆頭とする魔性真祖・魔性貴種とさほど変わらない…否、ややもすればそれ以上の怪物に他ならなかった。
何処か浮世離れしている、その底抜けの暢気さも、ある意味では得体の知れなさに拍車をかけていると言ってよかった。
その霊夢に対する印象が、少しずつ変化を見せ始めたのは「異界神戦」の頃だったろうか。
紫によって施されていた「封印」が解かれ、「博麗の巫女」が「幻想郷における絶対の存在」でなくなったあの日から…霊夢は少しずつ、多少ぶっきらぼうながらも近寄りがたい得体の知れなさが薄れ、歳相応の少女らしさを見せるようになってきた。
そして…無事「継承の儀」を乗り越えた霊夢は、それまで以上にのんびりとしたペースで、自分らしさを追求し始め…そして、今も少しずつ確実に進歩をつづけている。
そして…あの雨の夜、本当はアリスの部屋で何が起きていたのかを、彼女は知っていた。
魔理沙はその時、頭の片隅に漠然と追いやっていた事を…霊夢もまた自分と同じように、弱さを抱えた普通の少女でしかない事を、強く思い知らされることとなった。
(私は…霊夢にどうあって欲しかったんだろう。
あいつも本当は…あんな言葉、欲しかったわけじゃないのかもしれないのに)
博麗霊夜という、おおよそ人間にはどうしようもないほど高い壁を目の前に突き付けられ、それを強要されたことに困惑し続ける霊夢に対して、魔理沙は己の積年の思いをそのままぶつけてしまった。
決して、やっかみがなかったわけではない…むしろ、霊夢のその存在全てが、狂おしいくらいに妬ましく思える時すらあった。
だが、彼女は霊夢の事が嫌いなわけではない。
得体の知れないところはあったが、その変わらぬ暢気さが作りだす雰囲気が好きで…ただそれだけの理由で博麗神社に足しげく通う理由になっていたこともまた、事実なのだ。
霊夢も嫌顔ひとつせず、嫌味を言いながらも迎え入れてくれるその日常は、彼女にとって捨てがたいものの一つだった。
(私は…あたしはあの時、あいつを無駄に追い詰めただけだったんじゃないのか…!?
アリスは霊夢の弱さを受け入れた。
でも…あたしはここぞとばかりに、あいつをどん底に突き落とそうとしただけ…二度と立ち直れないようなそんな場所にッ…!!)
暴れる感情が心の中で渦巻く。
(あいつは…霊夢は…私達の事を頼りにしてくれてたのかもしれないのにッ…それなのに、あたし…!!)
これは、怒りではない。
どうしようもないくらいの自己嫌悪。
(私はこの旅路の先で、一体何を得る事が出来た!?
あいつに負けないくらい努力することでしか、あたしはあいつに対して優位を示せない。
けど…あいつはもう、それまでの霊夢じゃない。あたしは…あたしは何一つ変われてなんて…いないッ!!)
彼女の目から、何時の間にか涙がとめどなく零れ落ちていた。
その収まらない感情が、嗚咽の声を発するより前…その様子を訝ったレジィナが声をかけるより前に、魔理沙は店を飛び出していった。
…
「なんですって!?
どういうことなの、それ!?」
同じ頃、棘魚亭。
少し困ったことが起きた、そう言って、店の若い者が持ってきた言伝に、店までやってきたレミリアがアントニオから聞かされたのは、思いもつかぬ事態だった。
「申し訳ない…と一言で済ませるのは簡単だ。
俺にも正直ワケが解らねえ。
あの時店に来た衛士は、間違いなく公宮詰めの奴だ。だから、間違いなくあの剣と石板は、大公宮に納められているはず…疑う余地もなかった」
「それが、大公宮に行ってないって時点で、どう考えてもおかしいわ。
あなたに落ち度がないのであれば、問題はその衛士にあるわ。大公宮に問い合わせは?」
パチュリーの言葉にアントニオは頭を振る。
「当然したさ。
だが…答えがどうもはしばしとしねえ。本当にそいつが店に来たのかだとか、そんなことを言いだしやがる始末だ。
間の悪いことに、ダンフォードの爺ぃも公務で暫く大公宮を開けてやがるときたもんだ。正直、八方ふさがりになっちまった」
「他人事のように言うけど…アントニオ貴方、立ち場としては大丈夫なの?
依頼事の取り仕切りをしている貴方が、依頼物に関わるものを遺失したという風にでもなれば」
「解ってるよそんぐらい。
依頼取り仕切りの権限は勿論だろうが、最悪、店を閉じて豚箱にぶち込まれるまで、腹をくくらにゃならねえ」
起こった事態に反して、神妙を通り越して超然としている風のアントニオだが、心中はそうではないのだろう。
何より彼は、この街で付き合いも長い「狐尾」というギルドに対し、個人的好意を通り越してある種の敬意を払ってくれている。
だからこそなのだろう、こうして起こった事をいち早く彼女らに、包み隠さず明かしてくれたのも彼なりの礼儀であったろう。
「何を弱気な…そうだわ、その衛士、他に関わりのありそうな場所って何処かある?」
「…そいつは確か、冒険者ギルドと大公宮の連絡係も務めてる筈だ。
うちの店に仕事で顔出す奴ぁ、大体冒険者の取り仕切りに関する役目を任されてる。
だが…道中マリオンの野郎のところに寄ったとして…そこで預かり物を置いてくるようなマヌケはいないはずだが…」
「………もし、彼女の指示でギルドにそれを置くよう命じられたとしたら?
その衛士が立ち去る前に、あとで自分が持って大公宮に向かう、とでも言ったとしたら?」
パチュリーの設問に、アントニオは難しい顔で腕組みする。
「ありえない話じゃねえが…あのカタブツがそんなことを果たして言いだすもんか…?」
レミリアは溜息をつく。
「…あなたには話した方がよさそうね。
アントニオ貴方、マリオンの素顔を見たことはあって?」
「あいつがギルド長になった頃、一度だけな。奴が執務室で鎧を着てる最中にうっかり入りこんでな、しこたま怒鳴られたぜ。
目が覚めるほどの別嬪だったが、右頬にでかい古傷があった。
なんでも昔、とんでもねえバケモンとやりあってついたっつーが…どう見ても、負って間もないような生傷だったのをよく覚えてるぜ。
それ以降は、傷を隠すつもりなのか今までの数年間ずっと、あの厳つい兜をかぶったまんまのしか見たことねえ」
「じゃあ、彼女が常緋の森で強大な竜王と戦ったって話は、知らないわね」
「……………そいつは初耳だ。
っ! まさかあいつ、あのギルドの…!?」
アントニオは目を見開く。
「心当たり、ありそうね」
「ああ。
あんた達の仲間に、斧の研ぎ直しを依頼したって古いギルド…そいつらは、常緋の森からあんた達の受けた依頼から帰ったのちに、突然の解散宣言を出したギルドだったんだ。
真相は俺も知らねえが、ウワサでは、ただ一人を除いて常緋の森で竜に皆殺しにされたって話だった。
まさか……マリオンは、あのギルドにいた剣士の嬢ちゃんか……!!
だとすると、あいつはきっと」
顔を見合わせるパチュリーとレミリア。
「私達はギルドへ行ってみるわ。
アントニオ、消えた剣と石板の話は保留にしておいて頂戴…もしかしたら」
「憶測の域は出ねえが、確かに良くない予感がするぜ。
解った。そっちの件は申し訳ないが、お嬢達に任せる。迷惑をかけちまって済まん」
「お互い様よ。
この店が無くなったら、かごめや諏訪子がうるさいだろうからね」
店を後にしようとした二人の前に、慌てたように駆けこんでくるひとつの影がある。
料理人服を纏ったまま、息を切らせているのはレジィナ。
そのただならぬ様子に、駆け出そうとしたレミリア達は機先を制された格好になったが…その事情を聞いて、ふたりは目を丸くした。
「魔理沙の奴が、急に店を飛び出していったんだ。
あいつ、なんでか知らないけど突然泣き出して…声をかけようとした矢先に…!」
…
…
かごめ「どうもいつものかごめさんと」
文「毎度御馴染清く正しい射命丸です。
ところで…ねえかごめ」
かごめ「何か用かな」
文「かごめさんまたこれよけいなじらいうめにいってませんか(棒読み」
かごめ「大丈夫だ霊夢およびアリスの動向には実際関係のないから大丈夫だ、マーケティング的にも問題ない(震え声」
文「既に受け答え支離滅裂で意味通らない時点で大丈夫じゃないでしょおおおおおおおおおおがあああああああああああああ!!!><(スタン・ハンセンのウエスタンラリアット」
かごめ「∑( ̄□ ̄;)うわらば!!!」
かごめ「(魂抜けてる)いや実際あの展開ほとんど魔理沙蚊帳の外だったし問題なくね?」
文「あんた本当にどうしてこういう危ない橋を好き好んで渡ろうとするのか私にはさっぱりわかんないわ。
作った「既成事実」だったら開き直りもできようものだけど」
かごめ「そっちはいいんスか文さん(しろめ」
文「いいのよ、んなもん先にでっちあげたもん勝ちでしょうが(キリッ
まあとりあえずそんな話はどうでもいいわ。
いよいよ今回から赤竜導入編、今回は本気で長く話を取る気満々なようですが…もうこの時点で色々お察しの事態だわ」
かごめ「実は何気に魔理沙竜狩りに参加したことなかったしな。
タルシスに居たような気がしたけどそんなことはなかった」
文「いや、居たから、紛れもなく。
意外と言えばレミリアよむしろ…っていうかまさかかごめ、それを加味した上でこんなメンツを?」
かごめ「いやまあぶっちゃけそうのつもりだった(確信犯」
文「(ザミエルボウを全力で引き絞っている)」
かごめ「いいじゃないかよそれぐらいやったって!!><
まあいいそれはおいとこう、赤竜の前提クエは前回触れた三つと、今回触れた第二階層の地熱の原因を調べる「古い傷跡の主」。
隠しフロア自体は世界樹の鍵があれば、第四層攻略中に来ることもできる。このフロアにのみ登場するうち、ディノティラノは即死で撃破すると落とす素材がソードマン専用小手・ブレイブガントレットの素材になる。
即死自体が入りにくいうえ、ディノティラノ自身が即死付与技撃ってくるが」
文「ディノティラノの死の眼光、今作ほぼ唯一の即死効果のみのスキルね。
グリモア化は可能だけど、単体対象で成功率もさほどでもないわりに消費は重いのが難点ね」
かごめ「70引退70のさとりメーカーからレベル20呪鎖絡めても成功率50%程度だが…そもそも、呪鎖乗らない気がするよねこれ」
文「そんなの今更言う~?
大体、抑制攻撃だって即死には確率補正つかないんだしちょっと考えれば解ることじゃない?」
かごめ「石化は余裕で乗るんだけどな。
まあ、こいつも初回でグリモア集めてからあとはさとりさんが3、4匹睨み殺して」
文「私知ってるわよ、フランがブレインレンドで削り殺した方が速いというお察しのレベルだったという事を(しろめ」
かごめ「お前らこそ何やってんだよハイランダーのLUC値どんだけだと思ってんだよ(しろめ
あとなんか黒いイノシシいたかもしれないけどイノシシはイノシシなんで」
文「いつも通り突進されて前後一人ずつミンチになると」
かごめ「世界樹のイノシシも花びらその他に隠れがちだけど地味におかしいからなあいつら。
まあとりあえずクエストの概要を」
文「前置き長すぎてもう次回予告するところまで来てるじゃない。どうすんのこんなんで」
かごめ「うるせえよ揚げ足取りしてんじゃねえよ。
まず「古き傷跡の主」だが、前提クエストは「眠り居る野生、我が真の力を見よ」。
穣子の馬鹿がヘカトンに挑むとか挑まないとかいってた時の冒頭のシーンがそれの概要だな」
文「解りづらいわねえ。
ギルド長がたまにドロップアウトしてた冒険者を回収しに行ってる事が発覚するクエストね。
そのドロップアウトした冒険者を回収してくる時に、自分の育ての親の形見の品を落として困っているのを探しに行くって内容だけど」
かごめ「自分たちのギルドにペットがいればそいつを連れて、そうでなければ、クエスト受領で登場する動物使い・メルシャンの頼みを聞いて彼女のペットを借りて16F東側の鳥の巣の近くに行けばイベントが起きてクエスト達成だ。
メルシャンの依頼の方が実際しんどいから、ペットこさえたほうが楽でいいよ。ペットがいなければ、24F以上に行って闇夜の魔馬を狩りに行かなきゃならねえ」
文「どういう事?」
かごめ「その物騒な馬公の肉をペットの餌にするからだとよ。
なお闇夜の魔馬だが、こいつを睡眠状態で撃破するとレアドロ、素材はフォレストランナーの材料になる。翠里が登場した時、あいつの装備品でそれと匂わせる描写を盛り込んでたんだが」
文「あーアレは実際苦労したわ、縛り以外全部の状態異常に強耐性もってやがるしねあのクソ馬。
あの馬も一応食材にはなるんだから、ペットの餌と言われてもそんなに驚きゃしないけどさ」
かごめ「乗り込んだ直後はそこそこあるHPに、列対象の睡眠かテラー付与の「ナイトメア」よりもむしろ単純に威力の高い全体壊攻撃「夜駆け」が非常におっかない。25Fの奥まった所だと、イベントでこいつ4体組と戦わされるんだが…」
文「あいつら一斉に夜駆けしてきやがるのよね…アレは流石に死んだかと思ったわ(しろめ」
かごめ「そして「古き傷跡の主」の後に「白刃よ、蘇れ」からの一連クエストを経て、いよいよ赤竜と戦うクエスト「紅き者、其の名は絶対の死」が解禁される。
もっとも「白刃~」が受領できるのは28F、「古の刃」が29Fで「紅き者~」は30F到達がもう一つの条件になるが」
文「本当に、最後に控える竜ということを強調してるのね今回も。
狐野郎はSQ3で一番最初に赤竜に挑んでたのに」
かごめ「SQ4でもだ(しろめ
まあSQ4までは三竜のスペック一緒で、どいつからでも挑めたからな。
赤竜は絡め手が少なかったから戦いやすいという前評判だったんだけど」
文「実際火力が高すぎて二度目以降の狩りが安定しなかったと」
かごめ「まあそう言うことでしてな(しろめ
つーわけだ、お約束通り今回はここまでで、次回はクエストの概要と赤竜のスペック紹介だ」
文「はいはいしってたしってた(うんざり」