マリオンは赤竜の元から離れ、魔理沙をゆっくり立たせて水場へと向かう。
体を清めさせ、スカートが乾くまでの間と、持っていたマントを宛がい、マリオンは近くに生っていた木の実をいくつか持ち帰って魔理沙へと手渡す。
「食べておけ。
此処に自生する木の実の多くは、精神を落ちつかせる効能がある…私も、少し食べておくつもりだ」
魔理沙は恐る恐るそれを受け取り、ゆっくりと口にする。
先に食したベリーとは違った、素朴ながら優しい味わいの果実に、ようやく僅かながら表情を緩める彼女の姿に、マリオンも少し笑う。
やがて、魔理沙はゆっくりと問いかける。
「…あの、ギルド長…なんだよな。
その、迷惑かけちゃって…ごめん」
「マリオンでいいと言っただろう…ん、そうか、お前に素顔を見せるのは初めてだったな。
気にするな。
私は…かつてあの竜に何もすることが出来ず、目の前で大切な仲間を失い…自分自身も生涯消えぬ傷を身体に…いや…身体ばかりではない、心にもいくつも残した。
今のお前よりもずっと、情けない姿を晒しておめおめと今も生き続けてる」
マリオンは寂しそうに笑うと、魔理沙の隣に腰を下ろす。
「この話をするのも初めてだったな。
私は…もう十年以上も前、この地で最強を謳われたギルドの一員だった」
「だった?」
「この地の気温異常上昇の原因である、あの竜に私以外の全員が成す術もなく殺された」
あまりにも淡々と事実を告げるマリオンに、魔理沙ははっきりと顔色を変える。
マリオンは自嘲気味に笑うと、言葉を続ける。
「私はあの日…仲間が皆殺しにされる光景にも何も出来ず、恐怖で指一本動かせずにいたあの日から…どれほど時間が経とうとも前に進めずにいる。
あの恐怖の記憶を拭い去ろうと、ダンフォード老の計らいでギルド長の職務に就き、忙殺されようともした。
…実際、それは充実した日々だったよ。私は素顔を隠すことで、新しい形で街の者に馴染み、受け入れられ、新しい場所が出来たと思った。
だが……どれほど時が流れても、私のこの傷の疼きは消えなかった……!」
マリオンは、今だ輝きを失なわない…微かに光を放つその魔剣を抜いて示す。
「私は、ギルド長の職務に忙殺されながらも、あの竜の喉元を突く剣のウワサを探し求めた。
私は、子飼いの部下を使ってお前達からこの剣を奪い…それでも、このざまだ。
本当に私はあの日から全く変わってはいない…何一つ、進歩してなどいないのだ…!」
口を噤むマリオンに、その言葉の端からでも解る凛とした強さは何処にもなかった。
苦悶の表情で歯がみするマリオンの姿が、魔理沙は、自分と彼女は何処か似ていると、そう思った。
魔理沙が霊夢やアリスのもつ才能への嫉妬と、自分が二人の事を親友として愛しているという板ばさみの感情に苦しみもがくように…マリオンも、決してあの竜に敵わないと知りながら、かつての恐怖と苦悶の記憶を拭い去ろうともがいている。
魔理沙は、何かを決意したかのようにすっと立ち上がる。
「あたしも…そうだ。
あたしも…きっと、大切な友達の事を助けてやれなかったあの日から…ずっとずっと変わってなんかいなかったんだ」
「…魔理沙?」
再び頬を伝うその涙が、先に見せたものとは別の理由から来るものだということに、マリオンはすぐ気付いた。
「えらそうなことばかり言って、全て解った風な口を利いて…あんたみたいに、どうしても乗り越えられない壁にぶち当たることも出来ずにいた友達を…あたしは、追い詰めた。
これは、きっと、罰なんだ。
あたしなんかは今さっき、あの赤い奴に殺されちまった方が良かったんだ…!!」
マリオンは事情を知ることはできなかったが、そのただならぬ様子に何事か察した様子だ。
マリオンもゆっくり立ち上がると、その姿をそっと抱き締めて告げる。
「逃げることは決して、恥じゃない。
お前が現れてくれなければ、私は勝ち目のないまま、むざむざあの竜に殺されていたかもしれない。
だが…私はお前の仲間を騙して、この剣を奪い取ったのだ。その落とし前は、付けなければならん」
「マリオン…あんた、何処へ?」
「そのマントは、まあ私の代わりに持って帰っておいてくれ。
私は…例えどんな結末を迎えようとも、過去を清算しなければならないんだ」
その、悲壮ささえ漂わせる背に…魔理沙はたまらずに叫んでいた。
「ま…待ってくれ、マリオン!
あたし…あたしも、いっしょに連れて行ってくれ!」
マリオンは寂しそうな表情で振り返る。
「解ってるよ…もしかしたら、また腰抜かして、その、恥ずかしい事になっちゃったりするかもだけど…でも、あたしも、このままでいるのは嫌なんだ。
あたしは銃士だ。剣士の技には属性に反応して威力を上昇させる技がある…あたしの属性弾があれば、戦える…!」
魔理沙は震えた声のまま、そう訴える。
逃げたくはなかった。
目を背けたままじゃ、自分も前に進んではいけない。
マリオンは僅かに視線を逸らすと、微笑んで頷く。
「アレが人間に太刀打ちできないものだと知っても、か?」
「あんただって、そうしようとしてるだろ…?
一人じゃ、どう考えたって無理だ。でも…一人じゃなきゃ…」
「だから一緒に…一人で駄目なら協力をすれば…誰かを頼ればいい、そう言うことか」
魔理沙は頷く。
「あたしは…もう頼ってきた誰かを、あたしの身勝手な言葉で突き放して、知らん顔なんてしたくない。
だから…一緒に戦わせてくれ…!」
その涙の理由は、解らない。
それはきっと魔理沙自身にもだろう。
マリオンはゆっくりとその手をとる。
「この気温ならもう乾いた筈だ。
使い慣れたスカートの方が、戦うにはいいだろう?
……魔理沙、お前の力を貸してくれ。あの竜を、過去を、乗り越えるために!」
「狐尾幻想樹海紀行 緋翼の小皇女」
第四十二夜 鮮血よりも紅き絆
「魔理沙!!」
再び竜の間に来たとき、ふたりをレミリア達が待ちうけていた。
泣きそうな表情で飛びこんできたフランを抱き止めながら、魔理沙は困惑した表情で三人を見やる。
「まさか、もうひとりの探し人と一緒に居るなんて思っても見なかったわ。
その上であなた、まさかふたりであのデカブツに挑もうとしていたと? ブレスを止める盾役も無しに?
…相変わらずの無鉄砲さね」
「レミリア…それにパチュリーまで…なんで」
「なんでって…決まってるじゃない。
あなたを探しに来たのよ。
今頃リリカ達も美結達も、あなたを探して樹海じゅうを駆けずり回ってるわ…何がそうさせたのか、落ちついたら聞かせて頂戴。
そうでなきゃ納得できないもの」
憮然とした表情で口を尖らせ、責めるような口調のパチュリーとは対照的に、レミリアは何処か優しげに微笑んで告げる。
「とはいえ」と、レミリアはその傍らまで来て、肩を叩いて続ける。
「あなたは、私と似ているところがあるわ。
多分…そうじゃないかって心当たりも、もってるつもりよ。
だから、私に言えることはひとつだけ」
レミリアはその手を取って告げる。
「あなたは、フランだけじゃない…あの異変の夜、私の心にまで風穴を開けてくれたわ。
かごめにぶちのめされるまで、気付かなかったことだけどね。
だから、あなたは妹の恩人であるだけじゃない、私達姉妹の恩人…あなたの苦しみを取り去ってやれることはできなくても、支えてあげることはできるかもしれない。そうでないと、あなたからの借りを返すことはできそうにないもの」
「レミリア…?」
「だから、もう少し私達を頼ってもいい。
ううん、あなたはわりと強情だから、あえてこう言うわ。
一人でウジウジ悩んでばかりいないで、この私達を頼れ! 解ったかこの強盗白黒!!」
真剣な表情のレミリアから凛とした檄が飛び、魔理沙の瞳から再びぼろぼろと涙が零れ落ち…そして、フランの身体を抱きしめたまま告げる。
「ごめん…ごめんね…みんな。
もっと、もっと早く、みんなに「たすけて」って…そう言えば、よかった…!
わたし、どうすればいいのか、わかんなくなって…」
「もういい、もういいよ、魔理沙。
でも、辛かった時は、今度からはちゃんと言って欲しいな。
解らないことも、一人で考えるより、みんなで考えれば…きっとわかるから…!」
「うん…!!」
魔理沙はフランの姿を抱きしめたまま涙し、何度も何度も頷く。
レミリアはその姿に、鷹揚に頷き、そして、傍らのマリオンに視線を移す。
マリオンはその視線を避けることもなく、真剣な表情で頷く。
「まずは…お前達に詫びねばなるまい。
この剣の事を。
そして…今また、私の身勝手にお前達の大切な者を巻き込もうとしてしまったことを」
「やっぱりあなたの仕業だったのね。
今はその理由は聞かない…それに、魔理沙のことだわ。
この子自身が、あなたに手を貸す…そう言ったのでしょう?」
マリオンは頷く。
「ならば、話は早い。
パチェ」
「やっぱり、戦うつもりなのねあなた。
ま、私は最初からそのつもりだったわ。どうせ、あなた言っても聞かないでしょうし…ううん、私も本音言っとこうかしら。
私も血統云々とかであの人形使いにでかい顔させとくのもそろそろ我慢ならないのよ。
竜でも狩って、私の経歴に箔でもつけられるなら願ってもないことだわ」
「べっつにアリスそんなこと思ってないとは思うけどねえ…ああ、確かに「そう、かんけいないね」でしれっと済まされるのは想像するとちょっと頭には来るわよねそうよね。
フランの言葉じゃないけど…一人ではできない事でも、誰かと…信頼できる仲間とならば成し遂げられる。
そうよね?」
「ああ。その通りだ。
レミリア、魔理沙、改めて頼む。
あの赤き竜の討伐に、手を貸してくれ。
先に魔理沙が申し出てくれたことだが…私が頼まねばならぬことだ。だから、言わせて欲しい」
深々と頭を下げるマリオン。その手をレミリアが取り、魔理沙がその上に手を重ね、さらにフランもその手を添える。
泣き笑いのような二人の少女と、静かに決意を秘めるその少女が、頷いて応える。
「ったく…これで本当に私も引けなくなっちゃったじゃない。
なんだか蚊帳の外なのも腹立つし、私も一応手を乗せておくわ」
なおも憮然とした表情のパチュリーの手も重ねられ、四人も笑う。
そして、その紅き者が待ち構える扉へと振り向く。
♪BGM 「神々との戦い」/伊藤賢治♪
「行くわよ!
今日が紅き森の王、その最期の日とするために!!」
レミリアの宣言と共に、再び開け放たれた竜の間に、傲然と構える竜の姿が見える。
呪文の詠唱を始めるパチュリー。
槍と杓を構え、戦闘の体勢を取るスカーレット姉妹。
そして、この場に居る者の想いを受け取ってか、一層強く輝く剣を抜き放つマリオン。
(そうだ。
迷うことなんかない。ただ真っ直ぐに、目の前に聳える壁を突き抜けて進む。
それが、あたし…私自身の在り様なんだ!だから!!)
まだ手に馴染まぬ筈の魔銃が、まるで彼女のそうした思いを受けたかのようにしっくりとその手に収まる。
魔理沙にはもう、一片の恐怖もなかった。
共に戦う仲間が、一緒に歩んで行ける仲間が、そこに居る。
例え、それが無駄な行為なのだと知っていても…ただひたすらに高く聳える目標に向かって、突き進んでくことが自分の生き様であるのなら。
「私は最後までそれを貫く!
お前がその行く手を遮るなら、粉々に吹っ飛ばしてでも罷り通るぜ!!!」
そして、魔理沙の放つ氷の弾丸の銃声が、強大なる赤竜との戦いの号砲となった。
…
…
かごめ「どーもかごめさんです。
というわけですが、戦闘前に頭がヒットしてるギルド長を連れ出して会話イベントがあったのち、3つの選択肢から「一緒に戦おう」を選ぶと、マリオンさんがゲスト参戦するわけですが」
文「あ、どうも清く正しい射命丸です。
さっき結界の範囲がどーたらこーたらいってたけど、実際は結界で防御できる回数は最大5回と決まっているから、5人パーティだと疑似的に全体の異常を防げる、というだけなのよね」
かごめ「ぶっちゃけるとそーだな。
一方予防の対象は列もしくは全体、ホワイトノーブルは全体だからまあ問題などあろうはずもなく」
文「予防の全体がけはフォース必須なんですがそれは。
まあでも、今回本当にプリンセスがかなり便利よね。むしろ状態異常を未然に弾くことのできなかったSSQがしんどかっただけかもだけど」
かごめ「SQ4もなんだけど、疑似的にその役割があるリフレッシュワルツあったしな」
文「とりあえず無駄話はどうでもいいわ。
マリオン以外のスキル一覧紹介すんでしょ? さっさとやんなさいよ」
かごめ「実は写真取り忘れてた(キリッ」
文「∑( ̄□ ̄;)またかよ!!!!
というかあまりにあっさりゲロってくれたわねマジで」
かごめ「まあなのでスキル・装備に関してはうろ覚えだがこんな感じだな。全員レベル90だ」
魔理沙 ガンナー アグネヤストラ/巨人の衣/雷の手甲/全能の指輪
フレイムショット5 アイスショット5 サンダーショット5 チャージフレイム5 チャージアイス5 チャージサンダー5
ヘッドスナイプ1 アームスナイプ1 レッグスナイプ1 チャージショット1 バーストショット★ 跳弾1
ドラッグバレット1 零距離射撃★
銃マスタリー★ 物理攻撃ブースト★ TPブースト★ ペネトレイター★ ダブルアクション★
グリモア:銃マスタリー★ 物理攻撃ブースト★ ダブルアクション★ ハーベスト9 トライチャージ(突1)★ 予防の号令(雷2)★
フランドール ハイランダー 飛竜の槍/アポカリプス/竜兜/聖騎士の盾
ロングスラスト★ ブレインレンド1 レギオンスラスト1 シングルスラスト1 ディレイチャージ4 クロスチャージ★
スピアインボルブ★ ブラッドウェポン3 リミットレス★ 防衛本能★
槍マスタリー★ 物理攻撃ブースト★ 物理防御ブースト1 HPブースト5 ハーベスト★ 血の暴走★
グリモア:槍マスタリー★ 物理攻撃ブースト★ ブラッドサック(斬1)9 盾マスタリー★ ダブルアクション★ パリング★
レミリア プリンセス クリムゾンイーター/ロイヤルバーニー/聖騎士の盾/銀星石の手袋
攻撃の号令★ 防御の号令5 予防の号令★ 不屈の号令★ ホーリークラウン1
リセットウェポン2 エクスチェンジ3 ホワイトノーブル2 クリアランス1
リンクオーダー★ リンクオーダーII★
号令マスタリー★ HPブースト8 TPブースト★ レイズモラル★ ロイヤルベール★
グリモア:号令マスタリー★ 攻撃の号令★ 属性攻撃ブースト★ ファイアガード★(壊2) 盾マスタリー★ 不屈の号令★
パチュリー アルケミスト ケリケイオン/ウロボロスローブ/アタノールオリジン/英知のピアス
火の術式5 氷の術式5 雷の術式5 火炎の術式3 氷結の術式3 雷撃の術式3 暴走の術式★
大爆炎の術式3 大氷嵐の術式3 大雷光の術式3 圧縮錬金術★ 核熱の術式★
術式マスタリー★ 属性攻撃ブースト★ 属性防御ブースト3 TPブースト★ HPブースト1
グリモア:術式マスタリー★ 属性攻撃ブースト★ リフレッシュ★ バインドリカバリ★ 巫術:再生陣8 巫術:反魂(TP回収)8
みとり パラディン 神樹の杖/聖騎士の鎧/グレートヘルム/聖騎士の盾
フロントガード5 バックガード5 ファイアガード★ フリーズガード★ ショックガード★
ヒールガード1 センチネルガード★ シールドスマイト2
盾マスタリー★ パリング★ 決死の覚悟★ HPブースト★ 物理防御ブースト★ 属性防御ブースト★
グリモア:盾マスタリー★ 忠義マスタリー★ パリング★ みがわり(炎1)★ かばう(オートHP回復)9 杖マスタリー★
文「∑( ̄□ ̄;)うわなによこれ!!
みとりなんて居たのっていうか回復役抜きとか何してんのよ一体!!!」
かごめ「しかも魔理沙の零距離が全く役に立ってないのなんの(しろめ
普通に後方支援でよかったかなあ感が」
文「そんなことはどうでもよろしい(しろめ
でもあれよね、ダブルアクションって重ねても確定発動ではないでしょ確か」
かごめ「重ねて2割弱だな。ポケモンで言えば先制のツメが発動するのとそんな変わらないか」
文「重ねてすら気休め程度っておま…」
かごめ「ただ、ガンナーのフォースが発動すると、どうも連動して確実に発動するらしいんだよなこれ。
アクトとの相乗効果で実質的にTP2倍消費の3倍ダメージだから恐ろしい瞬発火力を発揮する。魔理沙らしいっちゃらしい必殺技だな。
でもその場合も普通に重ねる必要はないという悲しいオチが」
文「反応に困るところねそれ。
まあ、レンジャーほど狂ってはないけど、それでもパワーゲルやトライチャージを重ねればえらいことになるわね」
かごめ「実際魔理沙が普通にメインアタッカーだからなこれ。
あと見れば解ると思うが、おぜうと河童の二枚盾でアムリタ2を大量に持ち込んだうえでのドラゴンハート放置戦略を取った。
最大威力共鳴でおよそ100~150回復できるし、これでおぜうがHP満タンになればロイベ発動するしわりとその機会も多かった。実は回復役いなくてもそんな困らないというワケ解んないことになっててな」
文「ロイベなんてそんな使いでのないスキルだと思ってたけどねえ。
考えてみれば、号令マスタリーでバフかけた時にHPも回復するものね」
かごめ「あとマリオンも一般的には色々ツッコまれてるけど、チェイスフリーズ全振りしてるしパワーブレイクも地味に役にたつからわりと居ると助かった感じかな。普段はパワーブレイクで攻撃力を殺ぎに行って、フランやおぜうの体勢が整ったらチェイスで攻撃に移る感じで。
マリオンのチェイスがおおよそ号令込みで500前後、魔理沙のチャージアイスが1500程度、紫もやしの氷の術式が1000前後入って、これにフランのリミットレスインボルブがおよそ2000、おぜうのリンクオーダーも1500前後入るから、マリオンのチェイスが仮に3発発動すれば1ターンで7500程度持っていける勘定だな」
文「十分過ぎる火力ね。
防御面は号令、パワーブレイクがあるから生き残る率も十分高いし」
かごめ「実際誰も死んでないしな。
混乱は予防の号令で防ぎ、あらかじめ攻撃の号令が貼ってあるから攻撃力も強化が打ち消されるだけ。結果的にほとんど手を休めることなくコンスタントに殴りに行けたから、十分な火力も維持できたのが大きいな。
結果的にロケハンのつもりだったんだけど一発でsageちまった。ラストは魔理沙のバーストショットからおぜうが華麗にリンクオーダーという名のグングニルでヤツのドタマをぶち抜いてくれたわ。ブレスのターンだったけど、そっちは紅河童の完全防御使ってな」
文「最強竜ってなんだったのかしら(しろめ」
かごめ「結局どのシリーズでも一番最初に狩りにいった奴が一番強かった、というオチだよ。
いやまあ本当にクランヴァリネ相手の20hageはもう心が折れるどころか、完全にネギトロレベルになってたから」
かごめ「てなわけでだいぶ長く引っ張ったが赤竜にまつわる話はここまでだ。
次はアレだな、攻略には全く絡まない茶番話になるんじゃないかな」
文「どうせアレでしょ、折角ここまでやったんだし全部のDLCクエスト始末するんでしょ? ん?(チラッチラッ」
かごめ「魔神は多分やらんぞ(しろめ
まあでも、確かに折角だし、幼子まではやろうと思う。
現時点では幼子までやって、五十夜台で終わりみたいな感じにしようと思うよ。まだどんなパーティで挑むかは未定ではあるが…」
文「先の話はおいおい決めればいい事ですもんね。
じゃあ今回は」
かごめ「ここまで」
…
…
マリオンとフランが果敢に剣と槍を構えて斬りかかると同時に、多数の魔法陣から展開された氷の刃が巨大な翼を射抜く。
レミリアの下す的確な号令がその全ての攻撃力を限界以上に引き上げ、それまで侮りの態度を見せていた強力な竜王も、彼女らの力を認めたのか凄まじい戦いの咆哮を上げ、その巨躯を後ろ足のみで支えて立ち上がると凄まじいストンピングの嵐を仕掛けてくる。
その一発一発が轟音と共に大地を揺らし、攻撃を仕掛けようとしていたフランとマリオンが脚を取られしゃがみ込んだそのとき、その額辺りに凄まじい灼熱のオーラが収束し始める。
「いかん!
ドラゴンハートが発動する!!」
マリオンの絶叫よりも早く、本体の咆哮と共鳴するドラゴンハートからの熱波がレミリア達に襲いかかる…!
レミリアはとっさに、もっていた盾を構えてその恐るべき熱波を吸収するが…彼女の目はさらに輝きを増すドラゴンハートと、灼熱の吐息を吐きだす前準備に大きく息を吸い込む赤竜の姿が見える。
(あの炎と、同時ですって!?
ふざけないでよ、どうやって防げっていうのあんなの!?)
その事態に歯がみする魔理沙が、一か八か魔力を解放し、数発の魔力銃弾を赤竜の頭めがけて一斉掃射する。
ヘッドスナイプの集中砲火を受けながらも、怯むことなく竜王は死の灼熱を吐きだした。
「こなくそおおおおおおおおおおおっ!!」
レミリアは魔理沙を庇うようにその炎を受け止めるが、輝きを放つドラゴンハートからの第二射が迫る。
万事休すか。
そう思った瞬間だった。
「その炎がふたりに近づくことを禁止する!
禁域“ノー・エントリー”!!」
見慣れた赤い標識のオーラが無数に展開され、灼熱の波動はレミリアや魔理沙は勿論、フラン達にも届くことなく霧散した。
魔理沙とレミリアが声のした方を振り返ると、その広間と他の区画を隔てる門の上に…見慣れた赤い河童が、標識を担ぎ得意そうな表情で仁王立ちしている姿が見える。
「みとり!」
「探したよ、魔理沙。
リリカ達と別行動で、カンに任せて駆け付けた甲斐があったみたいだね」
必殺の二連撃を防がれ、剣呑に唸り声を上げて威圧する竜王と、ふたりの目の前にみとりが着地する。
「あいつの攻撃は、私が全て止めて見せる。
だから…あいつの頭をぶち抜く役目、任せたからね!」
「おうよ!」
再び立ち上がり、銃を構えたまま竜との距離を詰める魔理沙の脳裏に、厳かに声が響く。
-霧雨魔理沙。
何時かお前にした問い…私の課した最後の難題、その答えは出ているか?-
気難しい仏頂面の、見覚えのある雷の女神が、その目の前に立っている。
「そうだな。
あんたからは奥義魔法(とんでもねーモノ)を借りてた最中だな。
答えが出るまで貸してやる…そうだっけか。正直、あいつをどうにかするまで待ってて欲しかったんだけどな」
困った顔で、心で肩を竦める魔理沙。
しかし、目の前の雷の女神は、言い逃れは許さぬ、とばかりの厳しい視線を彼女に向けている。
魔理沙は表情を改め、目の前のシグマの幻影にはっきりと返す。
「あたしには…私には正直、自分の高みを目指す理由も、そもそもそんなものを目指してるのかどうかも、わからない。
でも、逃げたくはないんだ。自分の目の前に立ちはだかるありとあらゆるすべてから。
私は一度、私に助けを求めてきた霊夢の苦しみから目を背けて、それどころか、自分の迷いからも目を背けて逃げようとした。
自分でもあんな惨めな気持ちになるなんて思わなかった。私の言葉がどんどん、安っぽくて身勝手なものに聞こえてくるようだった」
その独白を、シグマはじっと黙ったまま聞いている。
「だから、私はもう、目の前に置かれたものから目を背けたくない。
逃げをかますなら、そいつも抱えて逃げて、落ちついてからじっとそいつをどうするか、答えを探して…そして、何処までも私らしく、見えてきた壁をいっしょにぶち抜いていくまでだ!
ただひたすらに真っ直ぐ、我武者羅に前に突き進んでいく…それが、私の貫き通す生き様だ!!」
両者の視線が交錯する。
幾許かの沈黙ののち、それまで気難しい表情をしていた雷の女神は、ふっと表情を緩めて笑いかける。
-身勝手で、幼い言葉と笑い飛ばすのは簡単だ。
だが…今のお前の言葉には、迷いも一片の後ろめたさもない…手を出せ、魔理沙-
その言葉に応え右手を差し出すと…そこに、凄まじい密度をもった光の珠が現れ、ほどばしる雷気とともに手の中へと吸い込まれていく。
己の手で起きるその光景と、シグマの顔を交互に見やる魔理沙に…鷹揚に頷くシグマ。
-お前は今この瞬間、この私…「理の主」シグマの課した七つの難問、全て乗り越えたことを認めよう。
その雷の奥義、今この瞬間から、正式にお前のものだ。そして-
-オウ、待ちかねたぜマジで。
久しぶりだな白黒野郎、何かついさっきは情けねえザマになってやがったが…まあいい、俺様はそんなこまけえことは気にしねえぜ-
-わらわの力を受け渡すには多少暑苦しいのう。
だが、その向う見ずなところは悪くはない。我が力…この冬の荒馬、見事乗りこなして見せよ-
深紅に輝く、燃える灼熱の珠と、何処までも冷たく輝く白銀の珠が、目の前に舞い降りてくる。
-持っていきやがれ、俺様達の力も。
そして-
-その真っ直ぐな生き方を、我々に見せつけて進むがよい!!-
♪BGM 「真・神戦」/笹井隆司(サガ3SOLより)♪
受け取った炎・氷・雷の奥義が、構えたアグネアの中で魔理沙自身の純粋魔力と混ざり合う。
その銃口が、魔理沙のもっていた八卦炉と混ざり合い…上帝との戦いで見せた時の様に銃口を変貌させていく。あたかも、今まさに必殺のブレスを吐きだす竜が如く!
「剋目しやがれ、天上の精霊王!
真・ファイナルマスタースパーク!!」
炎・氷・雷の奥義魔法を巻き込んだ必殺の魔砲が、天地を揺るがすような轟音と共に赤竜の巨大な身体を光へと飲み込む。
大きなダメージを負ってなお、竜は光の中から上半身を迫り出させ、魔理沙への最後の攻撃を敢行しようとする。
魔理沙はそれでもなお、銃を構え残心したまま、不敵に笑う。
「…悪いな、私一人で戦ってるわけじゃないからな」
「そう言うことだッ!!
落ちろ、竜王…神鎗ッ…」
傍らに降り立ったレミリアの、大きく振りかぶる右手に魔理沙の魔力をも巻き込んで巨大な槍が生成されていく。
「スピア・ザ・グングニル!!」
放たれた七色の光の槍が閃光となり、その恐るべき竜の上半身を次の瞬間後片もなく吹き飛ばした。