死闘の終わりは、厳かに訪れる。

魔理沙の放った魔砲で胸部に風穴を穿たれ、さらにレミリアの放った神鎗に喉部分の大半を吹き飛ばされ、呻くような唸り声を上げながら紅の王が膝をつくと、周りの木々を巻き添えにして轟、と大地を響かせて巨体を横たえた。


「やった…のか?」

茫然とつぶやく魔理沙。

古来より、この手のセリフを言ってしまったら、倒れた相手が起きあがり…などという悪例は枚挙に暇がない。
しかし、大地に血だまりを作り、微動だにしない竜の姿は、明らかに致命傷どころか、普通の生物なら間違いなく即死のダメージを負っていることは間違いないだろう。

言葉とは裏腹に、魔理沙はまるで縋るかのように、銃を構えたまま微動だにしない。
それは、傍らで険しいままの表情のレミリアも、少し離れた辺りで槍を構えるフランも同じ…この場に居る皆が竜の動向を伺っている。


その時…竜の身体が燃え上がるようにして紅い光の粒子へと変化し…そして、魔理沙とレミリアの二人を包み込む。


-見事なり、小さくも勇敢な戦士たちよ-


何処からかそんな声が響く。

-汝はその生命の限界を超え、全ての恐怖を越え、竜神たる我を制した。
受け取るがいい、古来竜を狩りし者に与えられるべき証を。
汝には、その資格がある-

紅い竜の光は、茫然と構えたままの魔理沙の銃へと収束していく。
燃え上がるような緋の光のオーラが、燃えるようでいて、何処か心地よい熱となって彼女の身体にしみわたっていく…。


「これ、は」
「…竜は、あなたを代表者として選んだ。
紛れもなく、あなたがそれだけの成長をした証よ」

手を添えてくる傍らのレミリアが微笑む。
魔理沙はようやく、この死闘を制したことを実感し…まるで糸が切れた人形のようにへたりこむ。


一方で…宿願であった「偉大なる赤竜」の打倒を果たしたはずのマリオンは、何も言わずその光景を眺めている…。

「どうしたのかしら?
横からしゃしゃり出てきた部外者のあの白黒に、全部いいところをもっていかれた…その事が不満なら、そう口にしてもいいと思うわ」
「いや…そうではなくてな」

死闘の後とは思えぬほどの、戦闘前と変わらぬ憮然とした表情のパチュリーの一言に、マリオンは我に返ったように溜息をつく。

「形はどうあれ、私はこうして宿願を果たし…喜ばしく思っているさ。
これで、私は晴れてあの日の因縁を果たし、前に進んでいくことができる。
お前達が…魔理沙が居てくれたからこそ、私はもう一度気を改めて戦いに望むことが出来た。感謝こそすれ、恨む道理はない」
「じゃあ、その気難しそうな表情の理由は何かしら?」

そうだな、とマリオンはもう一つ溜息をついて、何処か困ったように二の句を注ぐ。

「私はあの竜の打倒を宿願としたが…その先の事をまるで考えてなかった事に気がついてしまってな…さて、どうしたものか」

なあんだ、とパチュリーはその時になってようやく、ふっと笑みを浮かべる。

「難しく考えることはないと思うわ。
考える時間は、いくらでもあるでしょう?
これからゆっくり、今まで通り職務に忙殺されながら、考えていけばいいんじゃない?

マリオンも表情を緩める。

「確かに…私の気持ちに区切りはついたが、日々は続いていくのだものな。
なら、まずは何が変わったのか確かめるため、今を懸命に生きながらゆっくり探していくのが一番、か

そう言う彼女の言葉は、何処か軽やかで…その時間がしっかりと動き出したことが感じ取れる。


そのとき。
抜身のままだったのを鞘におさめようとしていた名剣…それが浴びた竜の返り血がまるで燃え上がるようなオーラをにわかに放つ。

さらにいったん収まった光が、再び魔理沙の銃から…それどころではない、レミリアの身体からも、先の竜が放ったのと同じ赤い光を発して視界を奪い去っていく。
まるで、その三者が共鳴しているかのごとく。

呆気にとられる間もなく、光に奪われた視界がはっきりしてくると、その剣がより一層輝き、赤竜のみならず、氷竜や金竜のオーラさえも纏ったひと振りの剣へと変貌する!



「これは…!」

それは「神の鍵」と呼ばれた「世界樹の剣」が、三竜の力を得て変化した剣。
全ての竜を制し者が、その大いなる三柱の力をも宿す証として得られるという「真竜の剣」…タルシスで穣子が得たものとまったく同じひと振りだった。

マリオンは、その神々しい輝きにしばらく見入っていたが、やがてその剣を鞘に納めると、レミリアへと差し出す。


「この剣を、お前達に返させてくれ。
…お前達を騙すような真似をして、申し訳なかった。
最初にこの剣を禁忌の森から持ち帰ったかごめと、この剣を鍛え直して来たリリカ達…アントニオにも、いずれ私の口から詫びよう」

そして、彼女はふっと笑うと踵を返す。

「さて…私もその剣を見てやらねばならぬ事を思い出した。
一足先に、私は街へ戻り、公宮のダンフォード老に報告し…しかるべき罰を受けねばならぬからな。
始末書の枚数を考えるだけでも、うすら寒さを覚えるが、な」

なおも何か声をかけようとするフランを、パチュリーは制して頭を振る。
パチュリーは、呆れたような笑顔だ。
ぼやきながらもその場を去っていくマリオンの足取りの軽さに、もうなんの心配もない…そう言うことなのだろう。


レミリアと魔理沙も頷きあい、同じような表情でふっと笑うみとりが、懐から取り出したアリアドネの糸を掲げる…。





「狐尾幻想樹海紀行 緋翼の小皇女」
第四十三夜 メイガスナイト…ビギニング





街に戻ると、そこには美結達も、リリカ達も待っていて…そして、騒ぎを聞きつけて駆けつけてきたかごめ達も待っていた。
魔理沙は、罰の悪そうな表情のまま、レミリアに促されるままにして歩み出て…そして、深々と頭を下げた。


「みんな…ごめん。
なんか色々迷惑をかけちまった」

そうやって顔を上げ、彼女は淡々と、ゆっくりと確かめるように、それまでの自分の思いを語り始める。
今まで自分が抱き続けていた劣等感や焦燥感のことも。
それと同じぐらい、大切に思う友である霊夢やアリスに対して抱き続けていた感情を。


「私は…霊夢にもこのことを話して、謝りたいんだ。
あいつは面倒くさがるかもしれないけど、でも、私自身がこの言葉をあいつに伝えなきゃ、私も前に進めない気がしてるんだ。
だから」
「だったら丁度いいじゃない。
私だって…本当は心配してたんだから」

魔理沙は思っても見ない声を聞き、はっと目を見開く。
丁度、かごめと透子の影に隠れるようにして…その少女はそこに居た。

姿を現した霊夢も…何処か、気恥かしそうな、ほっとしたような笑顔で歩み寄ってくる。


「私も、あんたに言わなきゃならなかったことがずっとあったのよ。
姉さんが最初に死んだあの日…意地張ってないで、まずあんたに泣きついておけばよかったって。
そうすれば、もっとあんたに対しては、友達として素直に接することができていたのかもしれないって

「霊夢…?」

霊夢ははにかんだように笑いながら、魔理沙の手を取る。

「私達もさ、ずっとずっとすれ違い続けてたんだとすれば、本当に滑稽なくらい似た者同士なんだって、今ならそう思うの。
今更こんなこと言っても、急にイメージが変えられるものじゃない事だって、知ってる。
でも、あなたも、わたしも…チルノの事を笑って居られないくらいの馬鹿だから」
「……大きな、お世話だっ!
ごめん、ごめん霊夢…私、あの時っ…!!
「…そんなこと、謝らないでよ…!
私は、私は嬉しかったんだから…魔理沙が、そんなに真剣に私の事を思ってくれたんだって事、それまで気づけなくて…!

それ以上ふたりに言葉は繋がらなかった。
貰い泣きするものあり、何処か優しげな表情で溜息吐くものあり、周囲の面々が見守る中で、かごめが二人の姿を抱き寄せてから、集まった面々に告げる。


「色々あったが、これで全て一件落着だ。
さ、レジィナの奴が言いたいことあるんだとよ…なんぞ豪壮なディナーを用意してくれてるらしいから、とりあえずみんな店にはいったはいった。
別件で色々駆けずり回ってる烈達だの、アルマムーンの一部連中だのも痺れを切らして待ってるだろうしな」
「ディナーはいいけどよ、酒がねえのはどうするよ。
終わったらまた棘魚行くのか?」

どこか悪戯っぽく口を釣り上げるてゐに、んや、と頭を振るかごめ。

「レジィナの奴、何を思ったか棘魚からかなり酒を回してもらっててな。
店主公認で酒を解禁するとさ。
まあ…乾杯はあいつの口上を聞いてからだ。おい魔理沙、透子も、他の連中も今日は飲みたきゃ飲んで構わんぞ。理事長としてあたしが許す」

待ってました、という幾人かの笑い声と、たしなめるようなつぐみの声がして、涙に暮れたままの二人を促して一同は店の中へと吸い込まれるように入っていく。





「ったく遅いぜみんな!
俺ぁもう腹が減っちまって…こんな御馳走目の前にして待ってろとか本当に拷問だぜ」
「ほんとほんと。
というか私達まだ見たことないメニューもいっぱいあるんだもん…」

だらしなく涎を拭う烈と鈴花。
それをたしなめるどころか、見たこともない見事なメニューの数々に目を輝かせているフェデリーニの姿まである。
一部の者は外で何があったかを察していた様子で苦笑いをするが、少なくともこの三人にとっては目の前の馳走の方が重要なのだろう。かごめはもちろん、諏訪子やさとりすらももうあきれ笑いで顔を見合わせるだけだった。


「とはいえ何か一部おかしいのもあるんだけど、そこは」
「世の中見た目がおかしくとも、食ってみれば絶品というものも多い。
お前達若い者は知らぬだろうが、テッポウムシなども意外と美味いぞ。
ふむ、このようなものがあるのであればわしもかご姉の誘いを受けてこっちきてみればよかったのう」
「えっ茜さん喰いつく所そこですか」

眉を顰める氷海と風雅を余所に、明らかにゲテモノの極みにしか見えない大イモ虫の料理を指して笑う茜。
そこには、今回探索行に参加していなかった茜や早苗の他にも、倉野川で夏のひと時を過ごしたメンバーも多くいる。
その片隅で何故か雁字搦めに縛られているトアの隣に、憮然とした表情で構えている見慣れぬ少女もいるが…。


「決着はついたみたいだな、いろいろ。
まずは皆、席についてくれ。大人数で手狭なことと、直接関係のないものも多くいるところ申し訳ないが」

そこへ、店の主であるレジィナが姿を見せる。
彼女に促されるまま、めいめい気の合う仲間、初めて見る者達のところに就いたりと一通り席に着いたところへ、カウンターのところに立つレジィナが、何処か真剣な面持ちで口を開く。





「…まずは…見ての通りだ。
今ここに並んでいるもので…アキピウス氏のレシピが全て再現された。
これも皆、お前達の…否、狐尾の方々。
失われたアキピウス氏の味が蘇ったのも、貴方達あってのことだ。
貴方達は、この国の失われた歴史の一部を復元してくれた…レジィナ・ダンフォードという一人の料理人としてだけではなく、ハイ・ラガードに生きる者として、貴方達に感謝したい

そうして、彼女は深々と頭を下げる。

困惑して顔を見合わせる面々。
烈や鈴花、早苗のように事情をよく知らぬ者は勿論だろうが、今回の探索行に深く関わったフラン達も言うべき言葉が見つからず、互いに顔を見合わせている。


「んー…まあ、そのなんだ。
別にそんな改まる必要なくね?」

肩を竦めるヤマメ。
それに相の手を打つようにてゐや諏訪子も頷く。


「そうだよな。
なんか、いつものレジィナらしくないぜ。
色々メーワクかけちまった私の言えたことじゃねえのかもだけどさ」

今日一日でどの位泣いたのか…すっかり目の周りを腫らした魔理沙が、何処か悪戯っぽく言うと…レジィナは何処か不機嫌そうに口を尖らせ面を上げる。

「なんだ、頑張って人が畏まったのに、甲斐のない奴らだなお前らは。
…ん、まあ、確かに柄ではなかったのは認めるが」

そうして溜息を吐くと、レジィナは穏やかな表情のまま続ける。

「しかし、なんだか妙な心持ちだよ。
初めてお前達に会って…店を任されることになった時、この国の歴史なんて頭になんてなかったのにな。
ただ、自分の独立の事だけを考え、煩い親類どもを…周囲を捩じ伏せることしか考えてなかった。
何時の間にか人数が増え、そのどいつもが色々と仕出かして回るお前達を見て…お前達のおかげで、私は変われた気がするんだ。

ここに今いない、あのエロサイドテールも含めてな」
「えっめうめうとかいたのマジで」

目を丸くする鈴花ら一部に、苦笑するつぐみや美結達が頷く。

「まあ、あいつは今別件で忙しいしな…だが、そんな大げさなもんかね」

肩を竦める諏訪子に、レジィナは笑いかける。


「…ふふっ、お前達はもっと、自分たちの影響の大きさを理解した方がいい。
お前たち同士でも及ぼし合う影響の大きさだって…この数日、何があったか後で聞かせてもらいたいところだが…そこの魔理沙みたいにな」
私達の影響なんて、きっとそんな大きくはないわ。
変われたのは、あなた自身の力よ、レジィナ


シャッターを切りながら、文も笑う。
一瞬光るシャッターにも…当初嫌悪感を示していたはずの彼女は、穏やかにそのされるがままに微笑んだまま。


「ファインダーはウソをつかない、だったな。
お前がそう言ってくれるなら…私は、もっと私自身を信じてもいいのかもな。
それでも…私が一族の者ともひとりひとりの客として向き合うことができ、今こうして一端の料理人として立っていられるのは、お前達あってのこと、なんだ。
私が料理人を志したその理由を、その原点を見つめ直させてくれたのは…文、お前だったよな」

かつて、レジィナは客入りが少ない事への苦悩を、丁度居合わせた文に打ち明けた事があった。

当初から一流の腕をもつ彼女の料理は申し分ないものであったが、文は早い段階でレジィナの最大の欠点を見抜いており、ときにはっきりとそれを指摘することがあった。
レジィナ自身もそのこと…自分の親族に対する反発から来る人あたりの悪さは承知の上だったが、今ひとつ承服できないことも多く、時にこの口達者な天狗と口論となることも一度や二度ではなかった。

そんなある時…フラン達が立橋から天空城まで一気に登り詰めて最後の決戦に赴く前の夜、文はその根幹に関わる問いかけを残した。
「あなたは何故、料理人を目指そうとしたの?」という。
相変わらず客入りのない事を常に気にし続け、時折つまらないミスを犯すようになり、心が折れかかっていた矢先のこと…彼女は、記憶の糸を辿り、その事を語った。


「私は…つぐみ達よりもずっと小さい時に、誕生日を迎えるおじい様のために何かしようと思い立って、屋敷の料理人から簡単な料理を教わった。
それまでロクに刃物を扱ったこともないし、なんの処理も施されていない食材なんて当然見たこともなかった。
初めて作ったものは惨憺たるもので…それでも私は懸命に料理を習い、おじい様の誕生会に出したそれだってきっと、褒められたものではなかったと思うんだ。
でも……それでもおじい様は満面の笑顔で「美味しい」と笑ってくれたんだ。
私は…こうして大切な人の笑顔を見るために、料理人を目指そうと思ったんだと、思い出す事が出来たんだ。
そして今、私はお前達の笑顔を、私の料理で見せてくれている。こんな嬉しいことはない…!


何処か泣き笑いのような表情でそう語るレジィナ。

いつしか、共にこの店を盛りたててきた料理人と冒険者の絆もまた、深く濃いものとなっていった。
目の前の料理には、そんな思い出がいくつもつまっていることを、狐尾の面々は改めて認識する。


「メニューはすべて完成したが、少なくとも私が料理人として立っていられる限り、店は変わらずここにある。
お前達が何時までこの地で冒険をし続けるかは解らないが…この地で探検を続ける限り、この店に寄ってくれ。棘魚の店主が嫌がるかも知れないが、可能な限り、料理に合う酒もこれからは饗するつもりだ。
私からは以上…待たせたな。今日は、心ゆくまで樹海の料理、味わってくれ!

待ってました、とばかりに歓声が上がる。
かごめが盃を掲げ、それが打ち鳴らされるのを合図に、ここ最近の様々な事件に関わった者達の慰労会をも込みの宴が幕を上げる。









早苗「というわけで宴の一角からこんばんわ、今回は私で解説しますね」
諏訪子「あれっかごめじゃなくてお前なのか?
   というか、なんかお前すっかり主人公組からハブられてるよな。立場とかそのへんどうなんだ?」
早苗「うーん…そもそも今回私がお呼びかかってないという時点で色々お察しのような。
  一応参加する予定はあったんですあったんですよ本当は(しろめ
風雅「それを言ったら俺もらしいのですが…まあ、俺は別件で連れ出されてしまいましたし。
  正直先の展開のネタバレになりかねないのであまり深く食い込めないのが哀しいところですが」
諏訪子「まあその辺はもう、気にしなくてもいいんじゃねえかな。
   とりあえずしれっと混ざってやがるあの紅白をここに連れ出す予定もあったらしいが、色々地雷を踏みそうな予感がな」
霊夢「別にいいじゃない今更でしょう?
  どうせ今私攻略には絡まないし、そもそも、地雷承知で私を何処かで使う予定すらあったらしいじゃない
風雅「えちょ霊夢さんまで唐突に…ちょっ何か近いっていうか酒くさっ!!∑( ̄□ ̄;)」
早苗「えっ滅茶苦茶出来上がってるじゃないですかって魔理沙さんとか透子さんh」

魔理沙「(へんじがない…どうやら霊夢に潰されたようだ)」
透子「(犬神家状態)」

早苗&風雅「∑( ̄□ ̄;)えええええええええええええええええええええええええええええ!!??」
諏訪子「∑( ̄□ ̄;)おいこら一体この短時間でどうやったらあいつらあんな状態に」
霊夢「(完全に目が座ってる)つべこべ言わないで付き合いなさいよ祟神。
  かごめはどっか行っちゃうし私だって流石につぐみ達や下戸の早苗には飲まさないわよ…だから飲める奴が必要なの解るわね解ったわね。
  というわけで早苗、こいつ借りてくから(キリッ
諏訪子「おいこら待て離せうわあああああさなえええええええええ!!><」

早苗「諏訪子様…オタッシャデー(棒読み」
風雅「えっそんなんでいいんスか早苗さん?(しろめ」
早苗「触らぬ霊夢さんに祟りなしです、いいですね?(キリッ
風雅「アッハイ(しろめ」


早苗「というわけでアキピウスのレシピ…風雅君達にはネタバレになるかもだけど、和洋中の各六章七十二品目と、世界樹の芽シリーズで解禁される三種類のお茶、三竜撃破で手に入る特殊食材を用いた特別料理三種をふくむ七十八品目を完成させることで、料理開発が終了になって、レジィナさんとの会話イベントが発生、ギルドカードに勲章がもらえます。
  一応第六章まで来て、あるクエストを終了させると中間報告的に、レジィナさんが親族に認められたという話もありますね」
風雅「とすると、俺達が相談を受けた後の話ですね」
早苗「そうなりますかねー。
  言うまでもなく三竜食材は勿論、レシピ完成で最大のネックになるのが世界樹シリーズ。
  DLCクエストだと第一階層であっさり解禁されるこのお茶達も、通常では二階層からランダムでイベント発生して、対応する芽を探しださなきゃならない。全階層の特定のポイントに稀に出現するけど、どこにどの芽が出現するかはランダム。
  拘りがないなら、さっさとDLCを買え、と言ったとこですね」
風雅「ざっと見る限りでも、六層の食材で入手に苦労しそうなものはないようですね。
  効果はどれも呆れるほど強力…地味に汎用性が高いのが、オレンジソースの怪獣ステーキでしょうか」
早苗「全能力+5の料理ですね。
  詳しくは説明してなかったけど、確かこれヘカトン戦で使用したんですよ。
  だからこの料理を使ってない場合の与ダメージはもうちょっと低くなるはずです。今更ですけど」
風雅「……いずれ戦えと言われそうなのは目に見えてるから、その辺の話はもう少し詳しく聞いておきたい気がするんですけどね。
  あ、いやまあ、聞くだけ無駄か…どうせ神(MZD)が絶対それ使うなっていうのが聞かなくても解る(しろめ」
早苗「そ、そこはもう…モザイクは東方の文化としか(しろめ


早苗「まあそんなところで、簡単な解説はここまでにしましょう…って、あれ?」

鈴花「くぉら風雅ぁー!
  この私を差し置いてなに他の女とイチャコラしてんだしばくぞああん!!?( ゚д゚ )彡」
風雅「うわなんだ鈴花おま…ってお前も酒臭あ!!∑( ̄□ ̄;)
  つーか誰だこいつに酒飲ませたのは!? っていうか烈、氷うm」

烈「(突っ伏していて動かない…どうやら潰されたらしい)」
氷海「(同上)」
茜「なんじゃなんじゃ情けないのう、お前達が飲むと言い出したんじゃから自己責任じゃぞ?
 というか一人だけ元気がいいのう、ええことじゃええことじゃ♪」
鈴花「というわけであんたもこっちきて飲めええええええええ!!>ヮ<ノシ」
風雅「∑( ̄□ ̄;)茜さんあんたの仕業かああああああああ!!?
  っていうかこいつ酒癖悪っ口調まで変わってうぷっ(口にボトルの先IN」
鈴花「おらああああああああこの私の酒が飲めねーってか!
  飲まなくても無理矢理飲ましたらああああああああああああ!!><」
早苗「さ、触らぬ神にたたりなしです私もこれで…ひゃあ!!∑( ̄□ ̄;)」

恐る恐る振り向いた先には同じように目が座っている美結がすごくイイ顔をしてボトルを近づける…!

美結「さなえさ~ん…かいちょーおねむさんなんでわたしさみしいんですよぉ~♪
  いっしょにのみましょ~? なんだったら口移し~ん~♪」
早苗「∑( ̄□ ̄;)きゃああああああああああああああ美結ちゃんまでええええええええええええええええ!?
  っていうか諏訪子様助k」

諏訪子「(へんじがない…ただのしかばねのようだ)」

早苗「∑( ̄□ ̄;)うわああああああああああああああああああああやっぱりいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!??


?「あらあらやっぱり予想通りの展開になってしまっていたわね。
 けれども早苗、貴方は自業自得だわ。ちょっと二日酔いにでも苦しみながら反省なさい(キリッ
 とりあえずこっちはここまで…さて」









~街外れ~


樹海とも外れ、北方の短い夏を謳歌するかのごとく短い草が茂るその開けた草原に、この街では見慣れたその人影が立っている。
時折吹く初夏の風が、月明かりに照らされ蒼みが勝った黒の髪を時々舞い上げる…その手に持っていたボトルを、彼女は無造作に放り投げた。



「ここであれば問題ないだろう。
結界の一つも張れば、ここであたし達がドンパチやっても見とがめることはあるまい」

月明かりの下でかごめが振り返った背後には、無造作に二つ括りにした山吹色の髪を揺らし、目深にかぶった帽子から剣呑な視線を放つ藍の瞳をもつ少女。
錯覚か、その眼には妖しくも、怒りと憎悪、はては狂気すらも孕む光を湛え、月下に別の光を生みだしている。


「あんたの事は調べさせてもらった。
東條乱麻…系譜上では東條茜の外孫にあたり、烈のアホとも又従姉くらいの関係になるのか。
…だが、それ自体は些細なものか。竜種にその一族を根絶やしにされ、外法をもってその外法の全てを転生の後まで引き継いだ……あんた達一族は、四季映姫にしてみれば決してその存在が許されるものではないそうだな
「……………当代最強最悪と謳われた化生に言われたくはない。
我らが全てを我が物顔で蹂躙せし金色の竜…人の世に禍を成す邪を屠り尽すために私は今ここに居る。
人の世に潜み誑かす貴様等も一緒だ。金色の邪の前に、貴様から叩き斬ってやる

「人間の味方にでもなったつもりか、外法者。
………ああいや、そんな如何にも正義の味方みたいな物言いはあたしも好きじゃねえんだ。
おい、小娘」

瞬間。
かごめの瞳が普段のアメジスト色から、はっきりと深紅に変わる。



♪BGM 「メイガスナイト」(妖精大戦争)♪


「舐めた口利いてんじゃねえぞ。
その思い上がりのツケ、鐚一文まからんからな!!」



凄まじい殺気が、恐るべき古豪の剣気が、周囲の大気を一瞬のうちに作り変えた。

それまで、微動だにしなかった少女…乱麻が、初めてその時目を見開いた。
ちりちりと焼け焦げるような大気の振動が、その頬を刺し貫く感覚がして、彼女は柄に手をかけたまま僅かに後退する。


その恐るべき戦闘空間めがけ、街の方から駆けてくる一人の少女の影がある。

つぐみは、宴も酣の頃、じっと部屋の片隅で沈黙を守っていた筈の乱麻と、かごめとの間にただならぬ雰囲気があった事に気付き、二人が人知れず店を出る光景に胸騒ぎを覚え、タイミングを見計らって抜け出して来たのだ。
二人の会話が聞こえていたわけではないだろうが、おおよそ、風雅から伝えられた通りに、乱麻という少女には「魔性総て」に対する凄まじい憎悪と敵意をもっていることは間違いなく、それが必ずかごめの逆鱗に触れるだろうということに妙な確信があった。

ギンヌンガの底で垣間見せた、否、それ以上に獰猛な、血に飢えたケダモノ同然の凶暴な妖気につぐみすらも一瞬たじろいでしまう。
頭の何処かでそうとは気づいてはいたものの、あの時ですらも、かごめは全く本気ではなかったことを今更のように思い知らされるが、そんなことは瑣末なことだろう。

それでも、その圧を耐えきりゆっくり刀を抜き放つ乱麻を止めようと、駆け出そうとしたつぐみの後ろ手を誰かが握り締めて止める。


「行っても無駄。
あいつ、決して踏んではいけない虎の尾を踏んだのよ…自業自得だわ
「れーむさん!?」

そこには…先程までハイ・ラガードの風変わりな酒の味を楽しみ、魔理沙達を速攻で潰しながらも浴びるように飲んでいた筈の霊夢の姿があった。