「…というわけだつぐみ。
無事に期末試験も終わった事だし、今この時点で夏休みにしといてやるからこれからハイ・ラガードへ行って来てくれ


夏休みを間際に控えたある日の昼休み。

入学からこの三カ月の間、かごめが至極どうしようもな用事でわざわざ校内放送まで使って自分を呼びつけ、やれ「今日の夕食の献立はどうする」だの、「帰りに酒を一本買ってきてくれ」だのしょうもない用事を言いつけられることにもすっかり慣れたつぐみにとっても、今回のかごめの言いつけはあまりにも唐突かつ、理解し難いものだったと言っていい。
学業に専念させるべく、別世界軸のハイ・ラガードに行っていたはずの烈達「四天王」やニアトア姉弟なども呼び戻されていたものだが…。



「…ねえお母さん。
まさか私も、あのトンチキな神様のヘンテコな縛りのある環境で樹海の養分になってこいって言った?」
「馬鹿言ってんじゃねえ、むしろあの馬鹿神がんな提案してきたらその時点で天界に乗り込んでいって野郎を一生両断だ。
…まあ、大分無茶を言ってるのは承知の上だがな。だが、正直これ、あんたにしか任せられない案件でもあるんだ。
ギンヌンガの秘密を知るあんたじゃなきゃな

「どういう事?」

つぐみはかごめの意図を測りかねて首を傾げる。


ギンヌンガ遺跡。

ハイ・ラガードの街から一刻ほどかかる場所に存在する、渓谷の壁に存在する古代の遺跡。
これまで、都市にも名を冠するハイ・ラガード公国と遠い縁戚関係にある大国・カレドニア公国が百年に一度、とある儀式を行うため、僅かな供を引き連れた「印の娘」と呼ばれるその代の公女が訪れるとされる、千年以上からあるとされる遺跡である。


だが…つぐみは知っている。

この遺跡の奥底には、そこまで根を伸ばす「世界樹」が、かつて世界を滅ぼした戦争の兵器がもたらした核兵器、あるいはそれ以前から人類が垂れ流し続けた様々な汚染物質を「穢れ」として取り込み、やがてそれを再び大地に「災厄」としてばらまくと予言された「世界樹の禍」フォレスト・セルを、「ヒト」を超えた超人類「ファフニール」の生命力をエサにその場にとどめ置くという「封印」を担っていた超古代の施設だという事を。
そして、百年前のある出来事により、既に機能を失いつつあったその地で、覚醒を始めていたセルを討ち滅ぼしたのはほかならぬつぐみと…彼女と共にさまざまな試練を乗り越えた仲間達なのだから。

それ故に、ギンヌンガは既にその役割を終え、そのあらましはかごめによってハイ・ラガード公国の按擦大臣ダンフォードに報告され、ハイ・ラガード公女の名において再び禁足の地として「封印」された。
理由はいくつかあるが、「施設」としての機能のうち完全に死んでないものがひとつあり…それは、知らず踏み込んだら最後、二度と生きては出られない致命的なものだったからだ。すなわち、その施設の一部分が、超自然的な力を利用して半分は「彼岸」、つまり死後の世界につながっているためなのだ。



「理由は簡単さ。
当代の「印の娘」が、この地で儀式を行おうとしている。
しかも、とうのカレドニアでは色々御家騒動周りのごたごたがあったらしくてな…故に、騎士候補抜きでたった一人、「儀式」の名目でお国を放りだされちまったというわけだ」
「ちょっと待って、お母さん。
私だって儀式の内容なんて、ほとんどわかんないよ?
「護り手」の言葉だって断片的なものだったし…」
「そらそうだろ、本来は先代の「印の娘」が、「騎士の誕生」に立ち会って「封印となるまでを見届け」、そして国元へ帰って次代の「印の娘」にそれを伝承することで成り立たせてた儀式(システム)だ。
そうか…お前も詳しい話を知らんかったか…あたしも話してなかったしな」

かごめは少しさみしそうな顔をして視線を落とす。

「ただな、お前を選んだ理由はそれだけじゃない。
持っている能力の高さは勿論、実生活のヒマさ加減を考慮しても透子が一番の適任者だろう。
…つぐみお前、あの遺跡で少し自分本来とは違う力が、あんた自身に働き掛けていることを感じなかったか?

かごめの少し真剣な、何か確証をもっての有無を言わさぬ迫力を込めた視線が、つぐみを射抜く。


そう。
つぐみ自身も、「それ」を感じ取っていた。

つぐみは、同じように表情を改め、ゆっくりと頷く。

「うん。
お母さんと…戦ったあの時から。
最初は違和感しか感じなかったけど…でも、クランヴァリネを倒した時、まるで自分の中に最初にあったみたいに
「そうか」

かごめは少し、哀しそうな表情で目を伏せるが。

「単刀直入に言うぞ。
それが多分、「黒の護り手」…初代カレドニア公が持っていた、原初の「ファフニールの騎士」の力で間違いはないだろう。
…本来は「印」に選ばれた者にしか宿らない超常の力が、何故お前に宿ったのかは解らない…それこそ、神様の気まぐれなのかもしれない。
あたしの方でもできうる限りのサポートはする」

そして、その手を取って告げる。


「だからつぐみ、お前はもう一度…「ギンヌンガの歴史」を終わらせなきゃいけない。
百年前に起こった、あの遺跡にまつわる悲劇も。
それはきっと、あんたにしかできないことなんだから」





「狐尾幻想樹海紀行 緋翼の小皇女」
第四十六夜 印に導かれる者達




さとり「おばんでーす、さとりさんです」
諏訪子「∑( ̄□ ̄;)アイエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!?? 今頃ストーリー!? ストーリーナンデ!!??
さとり「落ちついてください諏訪子さんSRS(世界樹リアリティショック)を起こしてる場合じゃないです。
   というかもうショック症状通り越して三度宇宙と交信して色々なんかもうだいじょうぶになりました(しろめ&吐血」
諏訪子「いや今のお前見てるととても大丈夫には見えねえよ(しろめ
   しかしなんだここ半年ぐらい更新空いて今更続編だと? あの腐れ狐何考えてんだ」
さとり「まあ…色々メタい話すると回りが続き書かないからじゃないですかね。
   ポケモンにしたってなんか、マッチングした時点でデータぶっ飛ぶ改造厨がうろついてるからってんで通信対戦にも尻込みしてるし、かといって身内戦は予定合わせのなんやかんやとかでおいそれとできないというか普通に勝ててなくてモチベだだ下がりしてますし
諏訪子「何処からツッコんでいいものやら。
   だがアレじゃないか? 確か今回も普通に主人公は男性だし、しかもCVは天下のグリリバだぞ。
   シヨンのようなチョイ役のモブ扱いじゃなくておもっくそメインはってんだぞ。そのへんどうするんだよ」
さとり「いやまだウォーロック=サンはムーホンを企てて粛清されたとはいえ、腐ってもシックスゲイツじゃないですか。
   第一部最終章でナンシー=サンのけしからんバックからの「なんて苦しい戦いだったのかしら」テンドンで片づけられなかっただけ、マシな方だと思うんですが
諏訪子「いやそりゃあそうなんだけどさあ…って先に振ったのは私だけど話脱線してんじゃねえか。
   一体その辺の兼ね合いどうすんだって言ってんだよ、まさかこの為だけに紫とかその辺りの能力で性転換とかそんなんじゃねえだろうな」
さとり「いえまあ…なにしろもう既に攻略したボスの話はすべからくすっ飛ばされるというか、まあ普通に茶番重点になるので話の中ではつぐみは普通につぐみのままですよ。
   ただ、ファフニールの変身についてどんな扱いにするのかのプロットは私も聴いてないんですが」
諏訪子「不安しかねえじゃんよそれ…私ら二人してNRS起こしたら誰が解説すんだよこれ…」
さとり「もう先のこと考えてもしょうがないんじゃないですかね…私達のニューロンとずのう指数が爆発四散しないことを祈るだけですよ。
   それではVTR、どぞ(超しろめ」













「ふう…やっと着いたんだよなあ。
ハイ・ラガード公国に」

その全容も八割が、とあるギルドの超人的な活躍により白日の元に晒されたとされながら…それでもなお、樹海に眠る多くの冒険のタネと、今だ豊かな樹海の資材を求めて一攫千金を目論む冒険者の類が数多く訪れるハイ・ラガードの街に、その少年は足を踏み入れた。

歳の頃は十七、八といったところか。
やや線が細いが、華奢なイメージの顔立ち、その瞳の奥にはある種の才気も伺わせる…少年の名はフラヴィオ。
孤児ではあったが、名門の誉れ高いミズガルズの学徒のひとりであり、今回彼が単身この街を訪れたのも、ある任務を受けてのことだった。

「ミズガルズからの指示では… 『ハイ・ラガード公国に着いたら、まずはギルドに行け』 だったよな?
確か、そこで今回の任務の協力者と、その依頼主と合流…エトリアの件で活躍した先輩達を差し置いて、まさか俺だけが調査隊に任命されるなんて夢にも思わなかったけど」

そう一人ごちるも、彼は気を取り直して誰に向けてでもなく宣言する。


「まあ、一丁やってみますか!」


その先に待ち受ける試練が、彼が過去に経験したある出来事とも関わる、過酷なものであることを今は知らぬまま…命ぜられた通りにギルドへと向かう。









なっ…ばば、馬鹿者ッ!?
ノックもせず突然入ってくる奴がいるか!!

「うええええええっ!!??」

そんな彼を待ちうけていたのは思ってもない光景であった。

それはそうだろう、ギルド長が居る、と言われて訪ねた執務室で、妙齢の女性が着替えをしているなど普通は予測もできまい。
まして、フラヴィオにはその女性が件のギルド長であることなど解ろうはずもない。女性が怒り任せにぶん投げた、見た目にも重そうな小手から逃げるように後ずさろうとした彼が、背後に一人の少女が立っていることに気づいた時、その一瞬の不運を呪う間もあったかどうか。


しかし…フラヴィオが目にしたのはさらに信じられない光景だった。


「えっ…!?」

不意のタイミングで飛んで来た筈の小手を、少女はこともなげに掴んだ。
そう、掴んだのだ。

「貴様いいからまずドアを閉め」
「んもー、マリオンさん何してるんですか。
いくらなんでも執務室で着替えしてる方がどう考えたって非常識でしょうに」
「…………つぐみ!?
お前、何時こっちに…あ、いや、そのだな」

半狂乱になりかかっていたマリオンは、思っても見ない顔と、つぐみが顔面寸前で掴み取っている己の小手に状況を把握できず混乱しているようだった。





それから、つぐみが共に部屋に入って数分。
落ち着きを取り戻したらしいマリオンに促され、フラヴィオが入室した時には、既に重厚な鎧兜を身に付けたマリオンが居た。

「…先程は失礼をしたな、少年」

まだ僅かに動揺しているのだろうか、席を促してからの一言目も僅かに上ずっている。
気が気でないのはフラヴィオも変わらなかったが、それでも彼は生返事ながら、気にしてはいないという風に帰したつもりだったが、一体どれほど相手に伝わっているのか疑問ではあった。
隣に立っているつぐみが呆れたように溜息を吐く。

「トンチンカンな女の人なんて、うちのお母さんを筆頭に私も見慣れてるつもりだったんですけどねー」
「…もう言わんでくれ。私も配慮に欠けているのは認める。
あー…とりあえずフラヴィオと言ったな。ミズガルズより任務を受けた調査隊が一人送られてくるという話は聞いていたが…」
「あー…はい、そうです」
「かの地には君のように、多くの若く有望な学徒が集い、時にその知識を活かして様々な探索任務を与えられるという事は聞いている。
察するに、今この街に「儀式」のため訪れているカレドニアの姫君の護衛…という認識でよいのかな?」

その声のトーンが冷静さを取り戻してくるにつれ、マリオンから静かに、はっきりとプレッシャーが伝わってくる。
それに中てられたのか、フラヴィオは緊張のあまり僅かに身体をこわばらせ…神妙な表情で頷くのが手いっぱいだった。

「え、ええ。
本来なら、もっと経験豊富なその、先輩方が選ばれるものと思っていました」
「そんなに緊張することはない。
君は観る限り、探検者(レンジャー)としての資質が高いように見受けられる。
もうひとつの「連絡」を加味する限り、君の将来さらなる活躍を見込んで、先達につき経験を積んで欲しいという事なのだろうな。
…紹介が遅れたな。彼女が君と共に、カレドニア公女アリアンナ嬢の「随伴」を任務とする…「狐尾」の藤野つぐみ嬢だ」
「っ…!
「狐尾」!? 「狐尾」っていうと、確か…タルシス最強の冒険者ギルドで、南の海都アーモロードでも名誉騎士に任じられたっていう…!?」
「えと…まあ、私はアーモロードは行ったことないんだけどな。
まあいいや、つぐみって呼び捨てにしてもらっていいですよ。よろしく、フラヴィオさん」

温和な笑みを浮かべて、何処か拍子抜けしたのか、緊張も解けたのか…溜息を吐くとフラヴィオもその手を取り返す。

「…んや、俺も呼び捨てでいい、です。
俺は冒険者じゃないけど、多分この探索ではそちらの方が先輩になるんだし」
「うーん。
でもなんとなく、私よりも年上っぽく見えるんだけど」
「…俺、孤児だったから、自分の年も良く解らないんだ。
一応、十六年前に拾われたことになってるけど」
「じゃあ、やっぱりいっこ上ですね。私今十五だから」

その微笑ましいやり取りを見ていたマリオンが、ふっと笑って提案する。

「なら、お互い気兼ねせず、呼び捨てで気軽に接しあえばいい話だ。
これからどのくらいの期間か解らないが、しばらく共に探索をする仲間になる。違うか?

気づけば、マリオンから感じられる威圧感の様なものは感じなくなっていた。
いや、それもまた、初任務という不安からくる不安が成せたものなのだろう…フラヴィオは一度目を閉じ、そして強く少女の手を握り返す。

「…そうだよな。
これからよろしくな、つぐみ!」
「こちらこそ!」

その光景に…兜からは伺えぬが、恐らくは微笑んでるのだろうマリオンが鷹揚に頷いた。





つぐみとフラヴィオのふたりは、依頼人であるカレドニア公女アリアンナが、同行者を待つべく樹海迷宮の入口に待っているという話を聞くと、ギルドを後にする。
道中取り留めもない話をするうち、最初は何処か遠慮がちだったフラヴィオも、緊張が解けてきたようでもあった。


「とはいえ…カレドニアって言うと、ここからかなり遠い筈なんだよな。
それに、ハイ・ラガードに匹敵するくらいの力を持った大国だぜ。
そんなところのお姫様が、護衛どころかお伴もなしで単身、この国に来て何をするつもりなんだろうな…?」

フラヴィオの疑問ももっともな話だ。
しかし…つぐみは、いきなり自分の知り得たその「真実」を、この少年に告げることは、無用の混乱を招くだけと、当たり障りのない見解を口にする。

「うーん…私も詳しい話は聞いていないんだ。
けど何かの「儀式」の為で、その為に少人数での冒険をしなければならない、みたいな話ではあったし」
「それだったら、別にミズガルズがら呼ばなくても…みたいなところはあるんだよな。
つぐみ達「狐尾」のような強力なギルドだって、この街には他にいっぱいいるんだろ?
例えば…「エスバット」っていう有名な連中も、この街を拠点にしてるって聞いたんだけど」
「…んと…「エスバット」は今、別の国に訪問している公女様の護衛でこの街にはいないみたいだって聞いたよ。
狐尾(わたしたち)も今色々あって、すぐに動けるのは私しかいなくって」
「ふーん」

目の前の少年は、特に今の受け答えにも疑問を抱いた風にはないようだ。
やや臆病なところはあるが、基本的にはおおらかで、細かいことには拘らない性格なのだろう。

やがて、街の郊外…大きく口を開ける迷宮が見えてくる…。

「見えたよ。
あれが、迷宮の入り口。
一応、私の随伴があるとはいえ、依頼主であるアリアンナさんは、この街を拠点に「探索」するのに必要な試験を受けなきゃならない。
だから」
「俺達でそれをサポートするのが、最初の仕事ってわけか」
「うん。
でも、アリアンナさんを見つけたら、すぐにギルドハウス。
今はいない人たちが、今回の件のサポートとして、フラヴィオやアリアンナさんに使ってもらう武器とか防具とか用意してくれてるみたいだから。
試験はそれからだね。
…そう言えば、フラヴィオはアリアンナさんがどんな人かって聞いてる?」

その時…一瞬ではあるが、フラヴィオが僅かに悲しそうな表情をしたのを、つぐみは見逃さなかった。
フラヴィオはすぐ、困ったように笑って首を振る。

「んや。
でもお姫様だし、見た感じそれっぽい感じの服装なんじゃないか?
あのギルド長さんなら、毎日見てるっていうから顔知ってるだろうけど」

溜息をつきながら、ふたりは樹海へと足を踏み入れる。





「こりゃ…すげえな」

つぐみにとっては、幾度となく見た、欝蒼と茂る緑の天井を見上げ、フラヴィオが感嘆の息を吐く。
そんな余裕もなかったエトリアはともかく、改めて、当初気軽な気分で足を踏み入れたこの地で、自分もこの少年の様な顔をしていたのかもしれない。




「ホント、ステキですね。
ここが危険な迷宮だという事を忘れてしまいそうな景色です」



そんなつぐみの思索を遮って、同じようにして一面に広がる緑を瞳に映し、広場の向こう側から近づく一人の少女に気付く。
人懐っこい笑みを浮かべながら、少女はさらに続ける。

「お二人は世界樹の迷宮探索に来られた冒険者の方々ですか?
樹海は美しいですが、危険な場所でもあるみたいなのでお気をつけ下さいね」

満面の笑顔を浮かべ、小首を傾げて見せるその仕草。
それに加え、身につけている飾りの袖や胸当てなどに施された装飾を見る限り、その少女の身分の高さを伺わせる。

「あ、はい、あなたもお気をつけて…って違うやろー!!!><

その少女が放つ、ほんわかとしたオーラのせいなのか、つぐみは反射的にノリツッコミをかましてしまう。
その隣で、何故か苦虫を噛み潰したような顔で手を構えるフラヴィオも、恐らく少女にツッコミをかまそうとしていたのかもしれないが…そんなことは瑣末な事だった。

「というかあなた、どうしてこんなところに一人で!?
私が言えた義理じゃないかもだけどここ一応超危険ですから!!解ってます解ってますか!?><」
「ちょ、おま、落ちつけつぐみ。
というか自分でボケて自分でツッコミ入れてどうすんだよ!?」

少女は一瞬キョトンとした表情をするが、すぐにまたにっこりとほほ笑む。

「私、アリアンナと申します。
この地で探索を助けてくれる仲間を待っているのです」
「いやだから待つにしたって別に樹海じゃなくても…ふぇ? アリアンナ?

興奮のあまり声を荒げそうな勢いだったつぐみが、その少女の名を聞きとめてマヌケな声で再び少女へ向き直る。
フラヴィオが得心いった、とばかりに手を打ち、そして告げる。

「そうか、すいません、俺がミズガルズの調査隊で、フラヴィオって言います。
こっちの子は、この街を拠点にするギルド「狐尾」のつぐみ」
「あらあら…奇遇ですね。
私がここで待っているのも、ミズガルズ調査隊の方と、狐尾の方なのです」

こんな偶然もあるものなのですね…と、何故か嬉しそうに話す少女を前に、つぐみとフラヴィオはまったく同じ仕草で困ったように頭をかく。

「いやその、そうじゃなくて…」
アリアンナさん、私達がその、合流する予定だった「ミズガルズ調査隊の方」と、「狐尾の方」なんですけど

呆れたようなつぐみの声を聞くと、アリアンナと名乗った少女は恥ずかしそうに染めた頬に手を宛がい、肩をすくめる。

「まあ、そうでしたか。
私、少々そそっかしくて……」
「そそっかしい…っていうか、なんていったらいいのか」
「ノンキだね、超ノンキ。
とりあえず、まず、私のギルドのギルドハウスまで行きましょう。
試験を受けるにしたって、それなりに準備って要りますから。いいですか?」
「ええ、お任せします…ええっと、つぐみ様。
これからよろしくお願いしますねっ」

ニコニコと楽しそうなアリアンナに、フラヴィオは彼女に悟られない角度からつぐみの袖を引いて小声で話しかける。

「なあ…つぐみ。
あの子、人を疑うってことしないのかな?」
「……実はだけど、私の友達にもお姫様っていてさあ。
まあ、全然毛色違うんだけど、基本的にお姫様ってみんなあんなんだよ。
世間知らずで、社交の場で「他人」は見慣れてるから物怖じしないっていうか、なんというか…言っちゃ悪いけど、あのひと多分その典型例」
「あー…なんとなく言いたいことは解る」

苦笑を隠せないフラヴィオと、能天気にニコニコしながらあとをついてくるつぐみは、これからこの三人で赴く探索の先に何が待ってるかと思うと、先が思いやられる気分だった。











さとり「とりあえず今回はインターミッション重点なのでここまでにしときます(キリッ」
諏訪子「あんまりシヨンの話引き合いにし過ぎると脱線すること甚だしいんだが、実はわらいなく=センセイデザインの神話級豊満もといドラゴン・ユカノも、アリアンナと一緒で紫髪なんだよなあ」
さとり「しかも中の人も同じと」
諏訪子「タネキ(種田梨沙)ですな。
   新世界樹2が出た頃ってもう忍殺物理書籍発売してたはずだし、主人公が緑川光=サンじゃなくて森川智之=サン(射命丸メモ:言わずと知れたシヨンやドラマCD版における我らが殺戮者の中の人です。某ガンダムの愛馬が凶暴なにーさん役でも有名ですね)だったらボウケンシャーでもあるヘッズのニューロンは尽く焼き切られてたんだろうなあ」
さとり「やめてくださいよそういう話するたびに私のニューロンだってちょっと焦げくさくなってんですから!><
   これからもっととんでもないものを見る羽目になるかもしれないんですよちょっと休ませてくださいよ後生ですから!!」
諏訪子「グフフ、スミマセン(しろめ&棒読み
   …まあいい、気を取り直して概要の解説だな。
   言うまでもなく、赤竜まで撃破したデータでニューゲームをしてるんだが、その前に一応三週目の準備もしている。
   それに伴い、十人ほど探索からもう手を引いたことにしてあるんだ。これもストーリー終えた後、クエストで色々やる際に触れることになるだろうが…私とお前の他、かごめや文、レミリアとかが居なくなってる」
さとり「んまー、私としても地霊殿をそんな開けっ放しにできませんし、秋姉妹に至っては神社を丸ごと開けてるじゃないですか。
   レミリアさんにしても色々兼ね合いあるでしょうし」
諏訪子「かごめのアホも忙しくなってきてるからな。
   まあでも、フランやリリカ、あとなんだかんだでそのレミリアも残るみたいだな。てゐも継続して潜るみたいだし、藍も再参加することになるらしいから、おそらく全体指揮をてゐがとっておぜうと狐でサポートする形になると思うが」
さとり「おや、藍さんは紫さんの方で色々あるみたいですけど、大丈夫なんでしょうか」
諏訪子「その紫の話もどこかで触れるみたいだな。予定は未定だが。
   んでもって、一応99引退ボーナスつけている状態で三週目の準備をした際、魔理沙を引きずりまわして零距離射撃のグリモアを粘っている。理由は聞かなくても解ると思うが…」
さとり「あれ? 魔神速攻撃破動画から拾ってきたQRに零距離ありませんでしたっけ?
諏訪子「だったら聞かなくても解るだろ、付加ボーナス狙いだよ。
   まあ結局ロクなのでないんで諦めてたが」
さとり「素直に双葉茶飲んで31F潜ればいいものを…」
諏訪子「まあそんなこんなで、私やお前辺りでおもに解説を担っていくことになるわけだ。
   正直毎回毎回ニューロンを焼かれかけたり、やたらファンブル率の高いSANチェックをやらされまくるというのなら勘弁して欲しいんだが」
さとり「前門の希少種ディノゲーター後門の希少種アステリオンみたいな」
諏訪子「止めろよそういう吐き気しかしない例え(しろめ
   つーわけだ、まず、主人公の名前どうしたかとりあえずな」
さとり「アッハイ」





諏訪子「……なんだこの名前」
さとり「諏訪子さんギャザリストですよね?
   インベイジョンにDream Thrush(夢ツグミ)ってクリーチャーいたじゃないですか」
諏訪子「なんでえ藪から棒に。
   ん、まあ確かにリミテッドだと地味に強かったよな、擬似的な青版極楽鳥みたいな…ハッ!?( ゚д゚ )
さとり「…お分かりの通り、英語で「つぐみ」が「thrush(スラッシュ)」。単純な英訳ですね。
   斬撃を意味する「slash」にもちょっとひっかけてるみたいです」
諏訪子「まあファフニールはメインが斬属性だしな」
さとり「余談ですが、狐野郎はかごめさんの刀の名前を「夢鶫」にしたのはこのカードが由来じゃないそうですよ。
   まったくの偶然の一致です、いいですね?」
諏訪子「どうでもいい話だなあ。
   じゃあ、次は」
さとり「ギルドハウスにちょっと触れてギンヌンガですね。
   まあここで色々わけのわからないことが起きる予定ですが…ああ、諏訪子さん正露丸持ってますか(超しろめ」
諏訪子「やめろよ~ジェイクが出てくるんじゃねえんだから気をしっかり持てよぉ~><
   兎に角今回はここまで!!」