♪BGM 「甲論乙駁」(東方緋想天)♪
店主「なんでえ結局あんたたちも「狐尾」のお仲間だったのかよ。
…かごめ姉さんもそうだが、あんた達、一体いくつ別名義のグループ持ってやがるんだ?」
リリカ「すいませんなんかもう本当すいません><
これからは狐尾あんこうチームとかウサギさんチームとか解りやすいグループ名名乗るようにしますから何卒><」
店主「いやま別にいいんだけどよ…っていうか何処の大洗女子の戦車道チームだそりゃ。
で、あいつら止めなくていいのか?」
メルラン「うおおおおおちくしょおおおおおわけわかんえねええええええ!!><
なんなんだよマジなんなんだよラノベ系ご都合主義バカップルとか!死ね!マジで死ね!!60cmカール自走臼砲で街外れごと吹っ飛ばしたろかこんにゃろおおおおおおおおお!!!><(酔ってる」
こいし「泣いている私の第三の目が泣いているッ!!><
こんな無法が許されてたまるかニンジャ殺すべし慈悲はないいいいいいいいいいい!!!><(酔ってる」
リリカ「あ、すいません煩かったらすぐ黙らせますんで(しろめ&槍を構える」
店主「あ、うん、なんか俺が悪かったそのままにしておいていい(しろめ
…クッソ、あんなクソくだらん依頼書とっとと焼き捨てちまえばよかったぜ…多少のペナルティはあるが、俺だって人の子だ、気に喰わねえ依頼なんざなかったことにして破り捨てちまいたい時だってあるんだ」
リリカ「そういうもんですかね。
そういえば親父さん、さっきちょっとさとりさん…ああ、さっきいたカースメーカーのひとなんですけど」
店主「おお、そう言えば俺もその事であんたらに少し頼みごとがあったんだ。
本来は「森狼」の方で受けた依頼なんだが、都合があって三人ほど人手が足りんらしくてな」
リリカ「…えらいまたピンポイントですねそれ」
店主「気分転換ッてわけでもねえし、結構強力な魔物を相手にしてもらわんきゃならねえから、ピクニック気分というわけにもいかんだろうが…あの緑色の頭の子、ちと毛色が違う気もするがブシドーだろ?」
リリカ「え、ええまあ一応」
店主「だったら存外、依頼主と気が合うかもしれねえな。
そいつらがちと厄介事を抱えてやがってな…どうも、奴らだけじゃ手に余るらしい。
…俺の、っていうかこの酒場の常連でもわりと古くからの顔馴染でな…どうだ、迷惑ついでに、ちと手を貸してやってくれやしないか?」
「狐尾幻想樹海紀行 緋翼の小皇女」
第五十八夜 古明地こいしのドキドキ樹海探索・殺(キルズ) そのに
エピソード3 冒険者の絆
リリカは、アントニオに案内されるがまま、いまだに酒を飲んでは愚にもつかないことを喚き散らすメルランとこいしをひとまず放置して、その奥の席へと案内される。
「ようクロウド、連れて来てやったぜ。
「狼」の姉さんがたの代理だ」
声をかけられたのは、一目見てブシドーと解る、使いこまれた刀を小脇にかかえながら飲む若い男だった。
そのブシドーは、一瞬だけ刺すような、値踏みするような視線をリリカへ向けるが…すぐに、上機嫌な軽い口調で答える。
「旦那こいつぁまた、可愛らしいお嬢じゃねえか。
…小うるさいだけのうちの連中とは違う、なんつーか気品もあるな」
「そんなこと言ってるとオメエ、オメエんトコのドクトルの姉さんにまたどやしつけられるぜ?
それに、このお嬢も「狐尾」の一員だ」
ほう、と、そのブシドーの男は何処か得心がいったかのように短く唸る。
「海都で活動していた狐尾のリーダーが、確かブロンドのクセ毛と聞いていたが…成程、ウワサと現物じゃ随分と印象が違うな。
…まあいい。お嬢、あんたは飲めるクチか?」
「いえ…すいません、私下戸で」
いやいや、と男は笑いながら、差し出したジョッキを引っ込めると、その代わりに自分の注文した料理をリリカに勧め…互いに簡単な自己紹介を済ませると、本題を切りだした。
「あんた、「怒れる猛禽」って呼ばれる魔物を知ってるか?
この樹海の最上層部…ごく最近、他の多くの冒険者が立ち入れるようになった「桜ノ立橋」を飛び回る、巨大な鳥のバケモノなんだが」
「え、ええ…タルシスにも、同種の魔物がいましたので。
あれの起こす「暴風」は眼つぶしもされるので、見た目以上に厄介な魔物と記憶していますが」
ほう、と、ブシドーの男は目を細める。
「…流石、世界をまたにかける百戦錬磨のギルドでリーダーを務めるだけあって、経験豊富ってわけだ。
なら、この魔物が繁殖期に必ず、三つの番をひとつの群れとして共に行動する性質を持ってることは知っているか?」
「いえ…タルシスのものは、ハイ・ラガードから渡ってくる若鳥ばかりとだけ」
「そうかい。
まあかくいう俺も、そんな性質を持ってるなんてのはここで初めて知った。
んや…おそらく、それを見つけ出したのは流石に、俺達が最初だろうな」
男は何処か嬉しそうに、口元を釣り上げる。
「まあそれでだ、この面倒な魔物のコロニーを潰すという依頼を受けて、俺達は色々あったが、その番の一つを潰してやったんだ。
この俺様の鍛え抜かれた剣技と…そいつを活かした俺の仲間たちの活躍でな」
男は得意そうにそう言って、酒を一口煽る。
「だがな、面倒なことに残りの二つの番が、それぞれ二手に分かれちまってな。
四羽同時にぶっ潰さなきゃならんというのに、だ。
奴らは、群れのひとつの番がやられたこともあって大人しくはしているが…当たり前と言えば当たり前だが、その為にひどく興奮している状態でな。次に俺達の姿を見たら何をしでかすか解らん。最悪、片方の番がそのまま下層に降りて他の冒険者にも被害を出しかねない。
そこで、だ」
「私達と共同で事に当たり、ふたつの番の魔物を同時に討つ…ということですね」
「理解が早くて助かるぜ!
まあ、そういうことなんだ。俺らがもうひとつ別働隊でも持ってりゃ話が別なんだが、なかなかそういうわけにもいかねえからな。
最初に受けてくれたあの黒髪の姉さんが色々都合がつかなくなっちまったらしくてな、難儀してたところだ。
あれほどの使い手は惜しくもあるが…事情ができちまったってんなら俺らも無理強いはできねえしな」
リリカは溜息を吐く。
かごめの気まぐれは今に始まったことではないが…それでも、理由なく約束事をすっぽかすような事はしないことも、リリカは知っている。
男も責めるような口振りではなく、詳しい理由は解らずとも、その事情を慮ってくれている事がリリカにも解った。ならば、かごめのやり残したことを自分が引き継ぐことに、躊躇いなどあろうはずもない。
リリカが承諾の意を告げようとしたその時、ついさっきまでよって喚いていたこいしが急に覆いかぶさってきた。
「話は聞かせてもらったあ!!m9( ゚д゚ )
そこのお兄さん!どこぞの黒髪とか文科省の役人とかと違って私達は口約束も反故にしないから安心していいよっ!!!」
「えちょこら待てこいし!!っていうか酒くさっはなれろくっつくな!!><」
「あらあ結構男前じゃないのあなた。
どうお兄さん、これから一緒の仕事に当たる運命共同体として、ひとつ親睦を深めるために乾杯と行きましょう♪」
「お、姉さんノリがいいねえ!
おい旦那、こっちもう一杯追加だ!この姉さんにも一杯ついでやってくれ俺のおごr」
「……ほう、貴様いい根性をしているな。
依頼人と話をするのに都合がいいと単独で酒場に行くと言ったのは、四方や女遊びをするための方便か!!」
凛としたというか、僅かにドスの利いたすさまじい迫力の女性の声に、男は嫌そうな顔で背後へ振り向く。
「いや誤解だぜ、俺はただ協力してくれるこの嬢ちゃん達と親睦をだな」
「聞く耳持たんわ!
大体貴様の詰めが甘いが故にこうなったのだ! 少しは反省しろこの粗忽者め!!」
「仕方ない。
色々全般的に詰めが甘いのが、そのブシドーの特徴…」
突然姿を現した、巫医と思われる女性とブシドーの男がいい合ってるのをこいしがニヤニヤしながら眺める脇、成り行きを見守るリリカの横に何時の間にか座っていた、呪言師と思しき少女がさらっと毒づいて、当然のようにリリカの目の前にあったサラダをもしゃもしゃと食べていた。
「親睦を深めるという意味ではこれはこれでよし、だわね!」
「いやこれもう収拾ついてないんですけどねー…まったくもう」
何故かドヤ顔で決めるメルランに、リリカももう溜息しか出てこなかった。
かくして、そのブシドーの男・クロウドが所属するギルドと、リリカ達「虹の眼」による協同作戦が開始されることとなった。
…
…
レティ「ガルパンはいいぞ(キリッ」
静葉「なによのっけから。
ミリタリーオタクに転身してもなにもいいことはないわよ、体重が減るわけでもなし」
レティ「別に特別な事はないわ、気分よ気分。つーか貴様その発言命がいらんのか(クワッ」
静葉「ほんの冗談じゃない(劇場版がルパンのパンフを仕舞う
でもって白岩殿、本日のテーマは」
レティ「…何よあんたもどっぷりハマってるじゃない(呆
今回はアレだわね、ある意味ではファンサービスとも言えるクエスト「冒険者の絆」ね。
…正直狐野郎コミカライズは読んでないわ、既に身内で話は作られているわでなんかもにょって感じなんだけど」
静葉「もにょってなによもにょって」
レティ「言葉にすると難しい感情って色々あるのよ(キリッ
そんなこんなでこのクエスト、もう先にネタばらしをしてしまうと、「世界樹の迷宮2 諸王の聖杯」コミカライズ版「六花の少女」に登場するマナリィ達のパーティと共同戦線を張って怒れる猛禽をヤキトリにして来い、というクエストよ」
静葉「あ、それもう当たり前のようにぶっちゃけるのね。
っていうか、この件に関してはSSQ2発売前のファミ通で二週にわたって、前後編でオリジナルストーリーの漫画が掲載されていて、ゲーム内本編で名前は出てこないものの、登場するブシドーーの男がクロウド、そして依頼達成後に酒場で会話イベントが発生するガンナーの少女がマナリィであることがほぼ確定してるのよね」
レティ「件の「六花の少女」が氷樹海で話が終わってるから、その後日談みたいな位置づけなのかしらねこのクエスト。
そもそもマナリィの持っていた竜槍銃の素材も、第四階層の素材がなきゃ作れないやろ!みたいなツッコミもあったわけだけど」
静葉「そういうのこそ気にしたらダメな話だと思うのよね。
ついでに言えば、SSQ2でも竜槍銃の素材は17Fから登場するレイヴンのドロップ素材が材料になってるけど、些細な事だから。いいわね?(威圧」
レティ「アッハイ」
静葉「まあそんなこんなで、特別話しすることもそんなないわけだけど」
レティ「リリカ達のデータは?」
静葉「まあ当然ながらそんなのなんぞ残ってる筈もなく」
レティ「いつもの通りの予定調和ぶりねその辺」
静葉「まあ代わりっちゃなんだけど、とりあえず猛禽のデータでも置いててみるわ」
第四階層F.O.E./クエスト「冒険者の絆」ボス 怒れる猛禽
レベル49 HP9418 突・雷弱点 即死・石化・呪い・腕縛り耐性/毒に弱い
暴風の翼(腕) 全体近接斬属性攻撃、盲目を付与
引きちぎる大爪(脚) 単体に近接斬属性大ダメージ
静葉「このFOEが登場するのは19Fからね。
特定個所を三倍速の直線で飛んできて、画面外へ到達するとまたスタート地点から同じように三倍速で突っ込んでくる、完全巡回型FOEよ。
攻撃パターンは特になく、面倒な盲目付与の全体攻撃である暴風の翼と、単純に破壊力のでかい大爪をランダムで使用してくる。
暴風の翼も適正レベル下では前衛で200前後もらうから、決して攻撃力は弱くないわね」
レティ「実際サイの方が強いのよね。
氷樹海のイビルアイと違って、シンリンサイは回避こそ簡単だけど火力がアホ過ぎておいそれと挑めないという有様で」
静葉「というか、タルシスのこいつは丁度戦闘ができる頃だと純粋に強過ぎて歯が立たないのよね。
SQ3のカマキリと一緒で、登場するのがかなり後半になったこともあって強さ自体はさほどでもないと。
「冒険者の絆」では追尾型になっている挙句に同じフロアに二体居て、一方をほぼ3ターン以内に潰さないと乱入されるっていう配置になってるわ」
レティ「っても、このクエストが解禁されるのが22F到達後だから、流石にこの頃になれば二体同時でも十分やれるでしょ?」
静葉「一周目は面倒だったからピクニックでさっくり狩り殺した事もあったんだけど、何より狐野郎が「六花の少女」に振れていなかったから話にしづらかったのよ。そのへんは色々何かの気配を感じて恐れて引き返したと思ってもらえれば」
レティ「じゃあなんで今頃になって、しかもこいしとかにやらせちゃったわけ?」
静葉「簡単な話よ。
あの、殴れば人を殺せそうな凶悪サイズの設定資料集に、ファミ通で掲載されていたコミカライズが収録されていたからよ。
それで、マナリィ達の雰囲気を掴めたからここでネタにする方面へ踏み切ったというわけ」
レティ「めちゃくちゃな理由ねえ」
静葉「で、この猛禽のメイン兵器である暴風の翼なんだけど、金竜の竜の鉄槌同様、グリモア化すると何故かパワーアップして遠隔全体斬攻撃になるわ。
鉄槌同様AGI依存の全体攻撃だから、レンジャーやガンナー、バードに持たせるサブウェポンとして非常に重宝するわ。盲目付与率はさほどでもないとは言うけど、耐性のない魔物相手ならレベル50程度のレンジャーに抑制★★持たせた状態で★のをぶっ放せば5体中4体くらいは盲目にする程度の成功率があるわね、体感的に」
レティ「いやそれ普通にシカの盲目投刃並の高確率でしょそれ。
抑制伸ばしてるなら普通に、耐性ない奴にはほぼ入る程度の成功率はある、と見ていいレベルよ」
静葉「まあ単純にAGI依存の全体攻撃としても、突属性以外のAGI依存攻撃としても重宝するし、そこそこ威力がある割に消費TPも18と軽めなので、レンジャーやガンナーがいるなら粘って損のないスキルなのは確かね」
…
…
~桜ノ立橋~
翌日。
今頃は、フラン達もこの中層あたりを探索しているだろうその森の一角に、リリカ達は居る。
「ごめんなさいね。
まだあなた達はこっちの事情もよく知らないだろうに、巻きこんでしまった形になって」
この地のカースメーカーらしい、黒一色のローブをまとって、本来のカースメーカーが身体に撒きつけている鎖の代わりに「第三の眼」のコードを撒きつけているその少女は…こいしの姉、古明地さとり。
さとりは早くから、静葉や、今回行動を共にしているヤマメなどと共に、陰ながらフラン達を支援する役目を担っていた。
「別にいいよ。
まだ私達も、特別やることないみたいだし…それに、あれ以上そこの無意識を放置していてもなんかうまくなかったし」
「えー別に私だけがなんかしてたわけじゃないのにリリカひどーい」
口を尖らせるこいし。
「本当に、手のかかる子でごめんなさいね」
「まあ、ヒマはしませんし。胃に穴開きそうだけど」
「解ります解ります。
こいしと四六時中一緒にいるとなれば、胃壁を耐腐食性のブロック塀にでも換装しないとやってられませんから」
「うわお姉ちゃんまで何気に酷い!!」
大袈裟にショックを受けたようなこいしをなだめるメルランは、僅かに険しい表情で目の前の魔物…その番の猛禽を指差す。
「クロウドとか言ったっけ…あのブシドーが言うように、確かにやっこさん達の心は、何時暴れ出してもおかしくない不穏な音を奏でてるわね。
流石に二体一度、となるとなかなか骨が折れそうだわ」
リリカとさとりも頷く。
「そうですね。
私達も二手に割れて、各個撃破する手立てをとるとしましょう。
…丁度、あなたとこいしとメルランさん、そして私とヤマメさんで、組むと相性の良い戦法が取れるはず」
「あら、やっぱりお見通し?
こういうときってあなた達の「第三の眼」は説明要らずだから、本当に便利よねえ」
「それほどでもありません」
メルランの軽口に、少し得意げに口の端を釣り上げるさとり。
そして、五人は頷く。
「メルランさん、散会する前に「舞曲」で全員の魔力を高めてください。
その効果が消える前に、猛禽二羽を潰す…彼らの実力であれば、私達とそう変わらない速度で、あの魔物を制する事が出来るでしょう。時間勝負よ、みんな」
「了解っ」
「おうよ、任せろ」
「私達はいつでもおっけーだよ!」
メルランを中心に、左に愛刀・倶梨伽羅竜の白刃を青眼に構えるこいし、そのやや後方には、アーモロードから使い続けている魔槍・ロンゴミアントを構えるリリカ。
反対側には、この樹海で手に馴染むほど使い馴らした深紅の鞭を束めて構えるヤマメと、その背後で静かに魔力を解き放つさとり。
その異様の気配を鋭敏に察した、二羽の怪鳥が威嚇するように唸りを上げる。
「さあ、開演よ!
響け躁の音、騒符“ソウルゴーハッピー”!!」
メルランが呪歌の魔力を解き放つと同時に、ふたつの巨大な影と、四つの影が同時にそれぞれの相手めがけて動き出す…!
…
…
レティ「なによこのレベル。明らかに適正よりだいぶ上じゃないの?」
静葉「とりあえずは高速攻略するような企画じゃないもの。
ついでに、実はこの時ヤマメが持ってたのは剣よ」
レティ「は?どゆこと?」
静葉「ぶっちゃけこの辺りまでは、ヤマメを剣ダクハンで運用する方向でいたみたいなのよね。
ゴーレムの時にも触れた時と同様、基本的にさとりが呪鎖スティグマの三点縛りして、その隙にヤマメがリミットレス経由でエクスタシーをぶっ放す。一羽目は通常、二羽目にはトランスエクスタシーを決めてどちらも一撃で葬っているわ。
リリカの攻撃の号令、メルランの炎序曲が乗ってトランス抜きでもダメージが5ケタに達する凄まじい破壊力よ」
レティ「そりゃ99引退でマスタリーと物理ブースト限界突破してリミットレス経由から3点縛りのをぶち込むんでしょう?
レベル1ですらリミットレス抜きで5、6000ぐらいのダメージを叩き出せるんだから」
静葉「というかダメージが平然と5ケタ突破するなんて4以来じゃないかしら。
SSQは意外とダメージ係数小さいし」
レティ「ターン辺りの最大ダメージだったら阿吽、追撃、チェイス、そして最大攻撃回数が今の五倍だった血の暴走を絡めればセルを一撃で叩き潰すくらいはできるんだけどね」
静葉「まあここまでレベル上がってれば、こっちが動く前に暴風打たれても滅多にヤマメが盲目貰わないから、3ターン目にきっちり3点エクスタシー決めて瞬殺できるわね。
乱入されてもこいしが安定した全体攻撃撃てるし、そもそも相手のサイズがでかいから必ず後列に入る。スタン耐性もないから、後方撹乱を持たせたガンナーがいるなら乱入させた方がむしろ楽かもしれないわね」
レティ「前作はバルカンフォームとアクトブーストに目を奪われ過ぎてて、実際後方撹乱が神過ぎることに気がつかずに終わったわね」
静葉「今回は消費TP倍になったからだいぶ重くなったけど、効果そのものは変わらないから後列に面倒な魔物が配置され始める階層後半部だと輝くわね。
そもそもそのアクトブーストとバルカンフォームもかなり狂ってたしね。前作はヒロインポジションだっただけあってガンナーのスキルは全体的におかしかったわ」
レティ「今回も地味にペネトレイターが強化されてたり零距離射撃がまた別のところで大暴れしてるけどね。
ってなんでいつの間にガンナーの話してるのかしら」
静葉「今回のクエストのゲストがマナリィだから問題ないと思うわ(キリッ」
レティ「いやそのりくつはおかしい」
静葉「というわけで今回はここまでにしとくわ。
次回は…そうね、これも本来なら語るところの多い続き物クエストに触れながら、まあ他の色々なメンツの話に触れていく感じになると思うわ」
レティ「時系列的にはまだ本編クリア前の話なんだけどねえ。
っていうかフラン達がまだ四階層攻略中なのに、もうなんか四階層の魔物がどうとかいってるとかおかしい気がするんだけど」
静葉「こまけえところはいいのよ。
それでは次回へ向けて~…戦車前進(パンツァー・フォー)!!m9( ゚д゚ )(CV:渕上舞」
レティ「(あ、ピクピクさんの真似すんの飽きたなこいつ)」
…
…
ヤマメが全空間に張り巡らせた鋼の強度を持つ糸に全身を切り刻まれた猛禽と、リリカとこいしの同時攻撃を受けて首を飛ばされた猛禽それぞれの巨体が、力なくその場に崩れ落ち、石畳の床に重い音を響かせる。
「いえーい任務かんりょーっ♪」
「まだでしょ、向こうさんがどうなったのか解らないし」
全身に浴びた返り血も気にした風もなく、ハイタッチしようと駆けよってきたこいしの頭を押さえつけるようにしてとどめるリリカは、吹き抜けを挟んだ対岸の方を見やる。
既にそちらも戦いの気配は感じ取れず…猛禽の放つ怒りの波動も感じない。
まさか、向こうはやられたのでは…という考えが一瞬脳裏を過るが、何時の間にか隣に立っていたさとりがリリカの肩を叩き、にっこり笑って対岸を指差した。
対岸の方に、一人の少女が姿を見せる。
遠目とはいえ、妖怪である彼女らの視力は人間のそれを軽く凌駕する。それが、蒼い銃士服を身に付けた金髪の少女であることが分かったが、その後ろから、溜息をつきながらもペットと思しき虎の魔物を連れた巫医の女性、そして面倒臭そうな様子でそれに続くブシドーの男…クロウドであることを確認し、リリカも彼らのミッションが無事成功を収めたことを理解した。
その少女も、傍らの巫医に何かを確認し、そして彼女が頷くと…少女は、大声で呼びかけながらこちらへ手を振ってくるのが解る。
「おーい!こっちも終わったよー!!」
それに応えるかのように、無邪気に飛び跳ねながら手を振るこいしが、調子に乗って前へ出過ぎたのを慌ててリリカとメルランが止めに入り、向こうの少女が笑っているのも見える。
「ったく…のん気なもんだねどっちも」
ヤマメは腰のホルダーに鞭を押し込み苦笑する。
同じように、困ったように笑いながらさとりが相槌を討つ
「まあ、いいじゃないですか。
それよりも」
「かごめのアホの方ななんか進捗があったりしたか?」
ヤマメは表情を崩さないが、その声は少し真剣なトーンを帯びている。
さとりは「ええ」と頷き、樹海では見慣れた糸玉を懐から取り出した。
「恐らくですが、フォレスト・セルの覚醒にはまだ時間を要するという見立てです。
つぐみ達がさらなる力を得るには、十分な時間を稼げる余裕ができるのではないかと思います…あの子たちには、今はただ出来る限り、強くなってもらわなければ」
「…勝てると思うか、つぐみ達は?」
「それはきっと、神のみぞ知ることです。
私達はただ…それを見届けるだけ」
そして、さとりはゆっくりと、糸を発動して戻るクロウドたちを見送ったこいし達の元へ近づく。
「みんな、お疲れさま。
私達もこれから、少し別件があってそっちに行くことになるわ…ひとまず、ここでお別れね」
「えーお姉ちゃん達も行っちゃうのー?」
少し残念そうな、抗議するような口調で口を尖らせるこいしに、さとりは諭すようにその頭を軽く撫でる。
「こいし、あまりリリカを困らせてダメよ。
あなたは調子に乗ると、歯止めが利かなくなるから」
「うー」
「ほらこいし、さとりも忙しいんだから、あまりわがままばかり言っちゃダメよ。
その代わり、私やリリカが一緒にあなたと冒険するんだから、ね?」
その小さな背中へ、しゃがみ込むようにして抱きしめるメルランの顔と、姉の顔を交互に見まわしていたこいしだったが、頬を膨らませたまま渋々といった風に頷く。
ごめんね、というように寂しそうに笑うさとりへ、メルランは「気にしないで、私達も楽しいから」というように微笑んで頷く。
「リリカ、メルランさん、こいしのこと、よろしくお願いしますね」
「…子供扱いしないでよー」
「まあまあ。
さとりさん達も、お気をつけて」
リリカ達三人に見送られながら、ヤマメとさとりの二人が糸の魔力に包まれ、光が収まるとともにその姿は消え去った。
なおも不満げに頬を膨らませるこいしに、仕方ないなあ、と笑うリリカがその背を推して促す。
…
その日の夜。
しばらく三人で探索を続けていたリリカ達も、依頼人達に事の次第を報告すべく棘魚亭へと戻ってきた。
結構あれ以降、こいしは終始拗ねた子供のように、不満と寂しさが綯交ぜになったような表情でリリカ達の後をついてくるばかりだった。
リリカは勿論、メルランとて何も考えてないように見えて愚鈍ではない。こいしがどうしてそんな態度をとるか解っていたし、二人も戦闘に入らない限りは、極力余計なコミュニケーションを取らないようにしていた。
何処かぎくしゃくした雰囲気を漂わせながらも、三人は当たり前のように見事な連携を取り、襲いかかる魔物の類を危なげなく退け…何事もなく、この日も街へと戻ってきていた。
先陣切って酒場に飛び込み、メルランは一見普段と変わらない表情と仕草で大げさに店内をきょろきょろ見回すも…やがて溜息をついて振り返り、肩を竦める。
言うまでもなく、さとり達が戻っているかもと思って、それとなく店内を見回していたのだろう。
リリカがこいしの背を推して促そうとし、口籠っていたこいしが何か言おうとした、そのときだった。
「あーっ!
あなた達、依頼を手伝ってくれた「狐尾」のひとだよね!?」
明るい少女の声がして、三人は思わずそちらを振り返る。
その視線の先に居たのは、人懐っこい表情で笑う、金髪の銃士服…リリカは、思い出したように眼を見開く。
「あなたはさっきの!
そちらも、うまくやったみたいね?」
「勿論!
話を聞いたときはびっくりしちゃったよ、タルシス・アーモロードをまたにかけて多大な功績を残したギルドが協力してくれるなんて思ってもみなくて。
クロウド…ああ、うちのギルドのあのブシドーなんだけどさ、あいつが大法螺を吹いたのかと思ってたけど…本当に女の子ばっかりのギルドなんだねえ。まあ、私達のところも、あいつとルーク以外は女の子ばっかりだけど…」
何処か興奮したようにまくし立てる少女に苦笑しながら顔を見合わせるリリカとメルラン。
少女は溜息をひとつつく。
「まあ、細かいことはどうでもいいわね。
うちの受けた依頼、協力してもらってありがとね。やっぱり、直接言いたくて待ってたんだよ」
「冒険者は協力し合う理由があっても、邪魔し合ったり殺し合ったりする理由はない、それが流儀ですもの。
お役に立てたなら何よりだわ」
「おおー…流石、歴戦のギルドを束ねる人は言うことが違うなあ」
「あーいや、そのひとうちのギルドのリーダーじゃないから一応。
…そういえば、クロウドさんだっけ、あのブシドーの人は」
リリカの問いに、少女は何処かバツが悪そうに視線をそらす。
「あーその、あいつはね…。
依頼の報酬がいっぱい出たもんだから、景気づけだとか言って、ほんのついさっきまで一人でものすごくここで飲み食いしてたんだけど…まあこっちが止めてもあいつ聞かないから、気づいたシノン姉…あ、うちのリーダーがね、首根っこつかんでさっき宿に連れ帰ったところなの。
この短時間の間に一体どんだけ飲んだのか、完全にべろんべろんでねー…本当はあいつが持ちかけたんだから、あいつがお礼を言いに来るのが筋なんだろうけど、後で説教しておくから、許してあげてね?
まあおもに説教するのシノン姉だろうけど」
苦笑する少女に、リリカとメルランも同じような顔で顔を見合わせる。
そして、少女は最後に、それまで俯いたままでいたこいしの手を取って大袈裟に上下へと振ると、立ち去り際に振り返ってもう一度笑いかける。
「それじゃ改めて、私達の手助けしてくれてありがとうね!
あっ、報酬はちゃんと、親父さんとそっちの呪師の人交えて、公正に分配してあるって言ってたから!
お互い、良い冒険を!」
最後にもう一回、大袈裟に手を振って駆け去っていく少女を見送り、リリカとメルランがふと気付くと、隣にいたはずのこいしの姿はなかった。
二人が怪訝そうに周囲を見回すと、何故か彼女は既にカウンターに腰掛けており、ふくれっ面でこっちを睨みつけている。
「リリカー私おなかすいたー!
早く親父さんから報酬貰って、私達も食べようよ!」
「ちょ、おま、これ一応かごめさんが受けた依頼だから」
「まあまあいいじゃないの。
あいつはこの仕事を私達に押し付けていったんですもの、依頼を解決した私達が好きに使っても構わないんじゃない?」
「お姉ちゃんまで…ったく、どうなっても知らないよ私?」
理由はどうあれ、こいしもやっと普段通りの調子を取り戻したことにほっとするやら、戻った途端にこの有様な事に辟易するやら…靄はこの少女と知り合って数年、百から数えるのを止めた溜息をつきながら、リリカは親友の待つカウンターへと向かっていく。
次に待ち受ける、騒々しくも新たな冒険の旅に向けて、英気を養うかのように。