♪BGM 「やる気のないダース・ベイダーのテーマ」♪
「もう正直我慢できないわ。
事あるごとにどいつもこいつも私を真っ先に巻き込みやがって…なんで私なのよなんで私なのよ!!><
もう許せないわどいつもこいつもまずは見せしめでどいつでもいいから適当な奴を私に八つ裂きにさせなさい!! もう二度と私をくっだらないことに巻き込もうなんてカケラも思えないぐらい残虐にぶっ殺してやるから!!!m9( ゚д゚ )」
こいし「あれ…この子ミスティアだよね?
ゆうかりんさんの変装とかじゃないよね?(;^ω^)」
リリカ「あんたの目がそう認識してるんだったらミスティア本人じゃないのかな;;^^
えっちょっとおねーちゃん、この子一体何があったの?」
ルナサ「(どよーん)…知らないよそんなのさとりに聞けば」
メルラン「こっちはこっちで随分景気の悪い顔してるわね…何よ姉さん今日のうつ病具合重篤にも限度ってあるわよ?」
ルナサ「ふざけんじゃないわよなんで私がこいしのアホの面倒に振り回されなきゃいけないのよあの小五ロリ速攻で逃げ打ちやがってしかもおまけに暴走みすちーとかなんなのふざけてるの私相手なら何したっていいのああもうふざけんなよあのクソロリマジでぶちおkげふっ!!∑( ̄□ ̄;)」
メルラン「(ルナサにボディブロー)うるさい黙ってろアホ姉(#^ω^)
困ったわね…まさかさとりがこんな形で逃げを打つなんて正直予想外だったわ」
こいし「あ、さりげに私が多方面からディスられてることについてはノータッチですかそうですか(しろめ
でもどこかのゆうかりんさんと違ってミスティアそこまで強くh」
メルラン「ミスティアは特別指定級だったかしらね。
上級魔性の中で、貴種や真祖ほどの強烈な個性がなくとも、こと戦闘能力だけなら真祖や上位貴種にも匹敵するって奴」
リリカ「えっそんなランク何時制定されてたの」
メルラン「ごく最近ね。命蓮寺の連中とか、紅魔館の門番とか、地底の連中とかそういうの多いしねー。
こいし、命が惜しかったらあの子より先にあの子の獲物をズタズタにしない努力をなさい。さもなくば…解ってるわね?(にっこり」
こいし「∑( ̄□ ̄;)ふぇ!?
いざとなったらなんとかフォローとか」
リリカ&メルラン「するわけないじゃんなんかあっても自業自得でしょ?」
こいし「アッハイゴメンナサイ(しろめ」
みすちー「おいこらそこ何私を無視して勝手にくっちゃべってんだしばくぞごるぁ!!m9( ゚д゚ )
無駄グチ利いてるヒマあったらなんか適当に調子くれてそうな魔物をズタズタにする系のクエスト探してこんかい!!(バンバン」
リリカ「そ、そんなこと言ってもなあ^^;」
メルラン「面倒事は大体片づけちゃったからねえ。
どうする? なんか適当に氷の大王とか八つ裂きにしに行く?」
店主「お? あんたら丁度いいところにいたじゃねえか。
ちょっと面倒な魔物絡みで持て余してる案件があんだが、ひとつ頼まれちゃくれねえかね?」
こいし「渡りに船キタコレ^^^」
メルラン「面倒、と言っても別にアホみたいに強いとかそうとは限らないからねえ。
とはいえ私達の竜狩りもだいぶ有名になってきたし、そんなところに持って来られるという時点であまりいい予感しないんだけど」
店主「まーそう言うなって、俺っちとあんたらの仲じゃねえか。
強力な魔物が所望ってんなら、うってつけだと思うぜ。
…むしろ、その希少性の方が問題かもしれねえがな」
メルラン「希少性…ねえ」
ルナサ「えっちょっと待ってそれ…なんかすっごい嫌な予感するんだけど。
希少性で強力って…まさか、アレじゃ」
店主「そいつはまあ、依頼人に直接聞いてくれや。
そいつもだいぶ変わり者の魔物研究者でな…ああ、そいつもうちの常連でな、今日も部屋の隅っこで一人魔物図鑑眺めながらニヤニヤしてるヘンな女がいるだろ? 詳しい話はそいつからな」
「狐尾幻想樹海紀行 緋翼の小皇女」
第六十五夜 狂歌の翼、再び
女性「あー…ど、どうも。
私…魔物が大好きで…以前も、学者の金細工駒をお譲りした女の子に、いっぱいの魔物が記載された図鑑を見せてもらったのですけど…どうしても、見せてもらいたい魔物がその中にもいなくて…。
他の多くの冒険者さんからも、魔物図鑑を見せてもらってはいるのですが…」
メルラン「見当たらない、と。
基本的にここの魔物図鑑も、狩らないことには登録できないシステムですものね」
リリカ「でもそれって、誰も出会ったことがないか、遭遇出来ても手が出せないぐらい強い、ってことじゃ」
みすちー「そんな細かいこたどうでもいいのよ。
御託はいいからその魔物の名前と何処にいるかぐらいわかんでしょどうせ。
もったいぶってないでとっとと言いなさいよしばくわよ(#^ω^)」
女性「∑( ̄□ ̄;)ひゃああ!」
メルラン「あーそこほら威嚇しない威嚇しない。
御免なさいねこの子今気が立ってるのよ」
リリカ「そういうもんかなあ…で、その魔物って」
女性「は…はいぃ…。
えと、皆さんは禁忌の森にもよく行かれますよね…?
その最上層部に、幻とも言える両棲竜種が生息していると言われてるんです…ウワサではタルシスにも類するものが生息しているとか…」
その言葉を聞いた瞬間、ミスティアは僅かに表情を強張らせる…
女性「魔物の名は「ディノゲイター」。
私も、大公宮で見せて頂いた、古い書物でしか見たことがありません…上帝が生み出した「守護者」のひとつですが、ある問題があって上帝に閉じ込められていたっていう」
ルナサ「∑( ̄□ ̄;)きゃああああああああああああやっぱりディノゲイターだったあああああああああああああああああ!!!
やめてマジであいつ探しとかちょっと勘弁してよ!!><」
メルラン「うるさい馬鹿姉(キリッ
上帝に閉じ込められている…まるでヘカトンケイルだわね、ヘカトンも狩ったんでしょ姉さんそんな怖がることなんて」
ルナサ「違うわよアホめるぽ!><
強さもヤバいけどあいつの何が面倒かって、まず出現しないのよまともな手段で!
無印2で多くのボウケンシャーを絶望させたのは、まずあいつに遭遇できないことだったんだから!!」
リリカ「えっ、もしかしなくてもそれ通常モンスターなの!?」
ルナサ「ええそうよ。
確か無印での出現方法は、禁忌の森最上部の扉を開き、その扉トラップからランダムでのみ出現…その出現率は5%以下とも言われてるのよ。そして折角遭遇しても、ラスボスをはるかに超えるHPと頭のおかしいダメージ耐性、そして三竜を超越する攻撃力で、せっかく出会ってもあっさりと返り討ちにされるという」
こいし「えっそれなんて赤獅子」
女性「というわけで、皆様にはなんとしてでも、ディノゲイターを探し出して、その図鑑を見せてもらいたいのです…。
あ、その時でもかまいませんから、狐尾の皆様の図鑑も是非とも…何しろ、樹海のほぼすべての魔物を登録されたと…(*´ω`*)」
リリカ「そ、それはいいんだけど」
メルラン「まずそいつを探し出すところからなんて…ねえ。
…ちょっと待って、そう言えば、盗賊騒動の時にかごめがなんか言ってたかも…!」
-そうそう、アリの巣はもう行き道潰しちまったんだけど…もうひとつ、妙な区画があったんだわ。
行く方法限られてるから放置してたんだけどさ、大量の恐竜みたいなワニが放し飼いになってる場所があったんだよ。
普段は探索区域と繋がることはないみたいだけど、確実にその一部と繋がる区画が一か所だけあってさ…-
ルナサ「…えっ、それマヂで?」
メルラン「百聞は一見に如かずよ、兎に角、準備できたら行ってみましょう」
騒々しく方策を話し合う面々をよそに…ミスティアだけが表情を強張らせているのを、リリカは見逃してはいなかった…。
…
…
静葉「おばんでーす、秋神の姉の方です」
ヤマメ「おい、なんかそこで雪女が死んでるけど大丈夫かい?」
レティ「かゆ…うま…('A`)」
静葉「ああ、そう言えばもうそんな季節ね。
初夏頃からのこいつ大体こんなもんよ、放っておけばいいわ。
邪魔ならバスタブに水でも張ってそんなかに放りこんどけば?」
ヤマメ「扱いがぞんざいだなあ(レティの足を引きずってフェードアウト」
静葉「というわけで、クエスト自体は既に終わったものだけど、ディノゲイターに会いに行くクエスト「終焉で踊る」よ。
何気にクエストリストでも一番最後になるクエストなのね、これ。実は新規追加クエストだったりするわ」
ヤマメ「本編でルナサが喚いてるけど、そんなに出現率低いっけこいつ?
なんか30Fの真ん中辺にある宝箱のある区画の扉で、確定出現した気がすんだけど…希少種が」
静葉「ええそうね。
因みに、30Fの扉を開くと必ずエンカウントする仕様はリメイク前にもあるわ。というよりもリメイク前だと、30Fは扉のエンカウント以外で通常敵は出現しなかったわよ」
ヤマメ「へーそーなのかー」
静葉「当時のディノゲのHPは10000だけど、ヘカトンケイルが12000、上帝(笑)第二形態が8000だということを考えれば、まあどんだけイカレた生き物かってすぐわかると思うわ。
即死無効、至高の魔弾でも時々スタンしないことからスタン耐性があるとも言われてるけど、テラーが低確率で効く他、眠りがかなりよく効くから、アザステからの催眠でハメ殺すことも可能っちゃ可能よ。まともにやりあった日には、甘噛みで一人当たり800前後の与ダメが飛んでくるからそれで普通に開幕殺しされるけど」
ヤマメ「おいィ渾身のギャグがスルーされたことにショックを受けるヒマもないくらいおかしなこと言ってんだろお前?
なんだよ通常雑魚から与ダメ800って」
静葉「タルシスでは狂血噛みちぎりでダメージ四ケタ喰らったナイトシーカーがいたらしいわね(しれっ」
ヤマメ「そういう情報はよろしい(しろめ
で? この頭のおかしいのが、リメイクされてどんなんなってんだよ?」
静葉「というわけでフリップどーん」
第六階層特殊通常モンスター ディノゲイター
レベル90 HP31243 物理全体に耐性/属性全般が弱点 即死・石化無効/混乱・麻痺・盲目・頭縛り耐性
甘噛み(頭) 全体に近接斬属性攻撃
ぐずる(頭) ランダム10回近接斬属性攻撃
じゃれる(依存部位なし) 全体に全個所の封じを付与
ヤマメ「えっなにこのステータス、こいつFOEじゃねえの?」
静葉「本編最後のFOE超危険な花びらのHPが28177、STRは82に対してこいつのSTR93もあるわ。
参考までに、偉大なる赤竜のSTRが95よ」
ヤマメ「∑( ̄□ ̄;)アホか!!
というかランダム10回斬属性って何事だ!! 赤竜並の攻撃力からそんなもんぶっ放す雑魚とかなんだよ一体!?」
静葉「そしてこれが、あなたがさっき言った確定出現する扉から必ず希少化して登場する。あとは言わなくても解るわね?」
ヤマメ「意味解んねえよ…しかもなんだ? 依存なしの全体全個所縛り? なんだよこれ…」
静葉「行動パターンはHPが半分切るまでは甘噛みを連打して、HPが赤ゲージを切る頃になるとぐずりだすわ。
じゃれるは使用頻度低いけど、スキルが頭に依存しているせいか頭を縛ると他に出せるスキルがないせいで、優先的にじゃれついてくるわよ。頻度はごくごく稀だけど、出会い頭にじゃれついてきたりぐずってきたりするからそうなったら天を仰ぐしかないわね」
ヤマメ「…ここまでツッコまないでいたけど、効果が頭おかしい割にスキル名なんでこんな甘えんぼさんなんだこいつ…?」
静葉「それに関してはモンスター図鑑を見てもらえればいいんじゃないかしら。
上帝が作った失敗作の一つという説も、ボウケンシャーの中にはあるわね」
ヤマメ「まー上帝じゃあなあ…。
というか確定で希少種しかでねえの? 危険度変わらない気がするけど、通常と会う方法ねえのか?」
静葉「ごくごく低確率だけど、30Fの該当の扉以外の扉エンカウントで通常のディノゲイターが出現するそうよ。
そして、30Fの扉エンカウントはワープゾーンを一回通ることで復活するわ(さとりメモ:フロアジャンプ、階層移動では復活しないようです)。
それで粘る方法もあるにはあるけど、確実なのは桜肉のしゃぶしゃぶを食べて希少種の出る扉にのりこめー^^する方法よ」
ヤマメ「絶対希少種のでなくなる料理だっけ?
経験値的にそんなの意味あんのかって思ったけど、このクエストでディノゲーター狩るための救済措置かなんかだったのかよそれ…」
静葉「ついでに言えばそのディノゲイター希少種に必ず会える扉の場所へ行く方法だけど、実は初回に限り行くのがかなり面倒くさいわよ。
30FのF-3にあるワープゾーンは通常、階段の近くにショートカットを作れるA-5付近にワープするんだけど、ここのワープゾーンに入るとごく稀にその区画へとワープする。そのすぐ近くに、階段からすぐ来れる道へのショートカットがあって、そのショートカットを開通すると、F-3のワープゾーンからはワープできなくなるっぽい代わり、階段側からその区画に来れるようになるわ。
そうなれば、ピクニック前提でのディノゲ道場開業、ってところかしらね。四葉茶+ホーリーギフト★×5で1体あたり560万程度経験値がもらえるわ」
ヤマメ「ふーん…ってちょっと待て、1体とか言ったがまさか複数体同時出現とか」
静葉「稀に、するわよ(しろめ」
ヤマメ「ですよねー(しろめ」
静葉「パターンはほぼ⑨割がた単体、あとは2体セットで登場だけど、前後に1体ずつと前衛に2体並んでる時とがあるわ。
2体出るのは本当に稀よ、もう50体以上は狩ってるけど、2体で出た時は3、4回くらいしかなかったわ」
ヤマメ「ピクニックの単体でも持てあます生き物を2体とかなあおい…」
静葉「このことを踏まえて、こっちからの攻略メンバーを見ていきましょうか。
あ、勿論相手は単体よ」
ミスティア ダークハンター
ヒュプノバイト7 ショックバイト7 ミラージュバイト7 ソウルリベレイト★ ドレインバイト★
スコーピオン★ トラッピング★ トラッピング2★
剣マスタリー★ HPブースト★ 物理攻撃ブースト★
ルナサ カースメーカー
力祓いの呪言1 軟身の呪言★ 幻惑の呪言9 病毒の呪言2 睡眠の呪言★ 狂乱の呪言★ 罪咎の呪言★
封の呪言:頭首1 封の呪言:上肢1 封の呪言:下肢1 畏れよ、我を★ 命ず、自ら裁せよ★ 呪鎖の恩恵★
呪言マスタリー★ 抑制攻撃ブースト★
リリカ プリンセス→パラディン
フロントガード★ バックガード1 ファイアガード1 フリーズガード1 ショックガード1
ヒールガード★ センチネルガード★ シールドスマイト1 挑発9
盾マスタリー★ 先制挑発★ HPブースト★ 物理防御ブースト★ 属性防御ブースト★ 決死の覚悟★ パリング★
こいし ソードマン→ブシドー
逆袈裟1 斬馬3 卸し焔★ ツバメ返し★ 無双の構え★ 無双連撃★
後の先1 月影1 地走撃1 阿吽の尾撃1
刀マスタリー★ 物理攻撃ブースト★ 上段の構え★ 青眼の構え5 居合いの構え8
メルラン バード
猛き戦いの舞曲★ 聖なる守護の舞曲3 軽業の旋律3 慧眼の旋律3 火劇の序曲★ 氷劇の序曲1 雷劇の序曲1
蛮族の行進曲3 耐邪の鎮魂歌★ 活力の重奏3 韋駄天の重奏3 生命の重奏★ 音の反響★
歌マスタリー★ 素早さブースト★ HPブースト★ 癒しのリズム★
ヤマメ「何この歪みねぇみすちー」
静葉「ここまで殴り特化にするならブシドーかソードマン辺りから転職でいいでしょっていう。
あと、今後の事を考えるといらないスキルもかなりいっぱいあるわよ。トラッピング2、属性防御ブーストなんかそうね」
ヤマメ「まあ私はわかるんだが…確かに、属性ダメージを受ける機会がないからな。
これはアレか? みすちーが霊攻大斬やソウルリベレイト持ってて、ルナサが裁せよ全振りしてるってことは」
静葉「お察しの通り、テラーで停止させて殴り倒す構えよ。
希少種にテラー決めて、裁せよ★★ぶっ放せばおおよそ一発で3500~5000程度持っていけるわ。ピクニックなら3発決めればほぼ殺し切れるわね」
ヤマメ「だが静葉さんよ、テラー入れる手段はまあ何時もの呪鎖だとして、一体何回ぶちこめるんだ?
状態異常なんて早ければ1ターンで切れる、こいつは耐性ないからいいがあまりにも不安定すぎやしないか?」
静葉「そこが今回の肝ね。
ここでもうひとつ、今回は実際に採用した探索準備について触れるわ。
今回採用したのは、危険な花茶よ」
ヤマメ「…危険な花茶?」
静葉「そう、恐らくはボウケンシャーの大多数がリアルで出されたらHRS(花びらリアリティショック)を引き起こしてアビ・インフェルノ・ジゴクの様相を呈するであろう恐怖の料理ね。
この効果は単純明快、こっちから叩きこんだ異常・縛りが3ターン絶対に解除されない」
ヤマメ「ほう。
3ターンっていうと、トランスの効果をフルで活用できるって読み変えることもできるな」
静葉「そうね。
せっかく異常入れてトランス大斬しようと思ったり、トランスの尽きるターンで超火力のリベレイトをぶちこもうと思ったって、最悪1ターンで切れてるなんて悲しみにつままれたボウケンシャーも多いでしょうね。
この、一見トラウマメーカーそのものの料理は、その不確定要素をとり払ってくれる。3ターン、フルで超威力の攻撃を叩きこめるし、それがテラーなら、3ターン確実に裁せよで実質的に動きを止めることもできる」
ヤマメ「それにカスメのブレイクを絡めて、さらにプラスアルファ稼ぐこともできるってか」
静葉「そうそう。
今回は後々のティンダロス戦も視野に入れて、花茶+黒霧でどのぐらい稼げるかのテストも兼ねてたのよ。
黒霧に関しては誤解もあってね、何故か勝手に3ターン延長とか考えてたけど、仕様としてはSQ4のバーストスキル「黒霧」と一緒で最低1ターン延長が確約される程度。
今回はどうも一番短いパターンだったらしくて、3ターン目に黒霧入れて、5ターン目に解除されてたわね。あと、黒霧使うターンはどうしてもルナサから裁せよを撃てなくなるから、別件でリリカにも裁せよのグリモアを持たせて、プラスふたりがかりで撃ったらどうなるかも試したんだけど」
ヤマメ「あれ? 裁せよってふたりがかりで撃って意味あんの?」
静葉「なかったのよねえ。片方しか発動しないわ。
ついでに命ずスキルは最速発動だけど、アザステよりも優先順は後だから、メルランアザステ、ルナサ呪鎖畏れよからリリカ裁せよで一発目から確定動きを封じて行けるってことまでは残念ながらできないわね」
ヤマメ「流石にそこまではうまく行かねえか」
静葉「なんにせよ2ターンはルナサが限界突破から裁せよして、黒霧の時だけリリカが裁せよをかければ4ターンは確実に動きを止められることが分かったわ。累積耐性もあるから何種類かの異常をうまく使い回して、うまく動きを停止させながら立ち回ればトキシンコンテナを破壊しなくてもティンダロスを叩き潰せるんじゃないかという」
ヤマメ「現実そんなうまく行くもんかなあ。
大体にして、ヘカトン狩りの時もなんかかなりグダってた気もするんだけど」
静葉「アレは腹立つことにかごめの言ってることの方が正しいからねえ。
まあ、この辺は机上論ですから」
ヤマメ「実験台かよ…」
静葉「今回はディノゲイターの説明だけでほぼ終わり。
次回はインターミッション回にするわね。雷の女王の解説も込みで」
ヤマメ「インターミッションねえ。
その単語が出てくるだけでも、軽く目眩がするのは気のせいかね?」
静葉「気にしたら負けよ、今更でしょう?
ではここまで、次回も後ろ向きにヨロシクぅ!」
ヤマメ「オメェ何処のズノウ・タノシイ社員だよ」
…
…
禁忌の森最上層部、歪空間がごく稀に接続するそのフロアの最深部に、目指す魔物はいた。
「希少種」と呼ばれる、同種の魔物の中でも明らかに個体能力と、それと一線を画す重圧を放つ個体…否、この魔物に関してだけ言えば、それ本来の姿がそうなのだろう。
ディノゲイター。
本来なら、この森においても封印された恐るべき魔物の一種。
一部その封印を逃れたものが、アーモロードやタルシスなどで生息している事も知られる…水棲小竜種。
その恐るべき戦闘能力は、本来ならば竜神にも比肩するとされる…上帝の生み出した禁忌の生命だった。
「出会いさえすれば私でどうにかできる。
サポートは任せたわよ」
本来、呪言師の持つ鈴の代わりに、ルナサはこの恐るべき魔物を前にして怯むことなく、愛用の六弦を構える。
彼女は、「言葉」ではなく、己の操る「陰の音」を呪言と成す独特のスタイルを編み出しているのだ。
第一印象では想像もできない、見栄っ張りで、特に末妹の前ではいい恰好をしたがるが故に空回りをする傾向の強いこの長女だが…やるべきところはしっかり締めてのけることをメルランは知っている。現在のミスティアは呪言の技と相性の良い
メルラン、こいし、リリカの順に視線が走り、頷きあうと同時にルナサの周囲を魔力の枷が奔る。
“呪鎖の恩恵”という、あえて自らの自由を呪言によって縛ることで、呪言の効果を最大瞬間風速的に高める呪言師の業だ。
獲物の存在を察知したのか、喜悦の表情を浮かべながら雄叫びを上げ、ディノゲイターの恐るべき咬撃が迫る。
「リリカ!」
「はいはい解ってますって!!」
メルランの鋭い檄が飛び、リリカは無骨な盾に魔力を込める。
これまで、遊撃をメインとしていた彼女だが、アタッカーの過剰在庫状態となりつつあったパーティでの役割を読み取って、樹海探索に初めて赴いた時の体験を思い出して聖騎士へと転向していた。
そのたての放つ妖しい光に誘われるかのように、大鮫めいて牙の並ぶディノゲイターの大口が、彼女めがけて飛ぶ。
「いい子だね…でも、それは通らないよッ!!」
“挑発”で誘われたその牙の一撃を、リリカは最小限の動きで使い慣れた魔槍の穂先を合わせ、事も無げに大きくそれをいなす。
これまで長いこと、幻想郷最高のメイン盾と称されたレティの動きを、その真後ろで見続けていたリリカにとって、その程度の芸当は造作もない。リリカはさらに、その後ろ頭辺りを、全体重をかけた盾の一撃で小突き、勢い余ったその頭を地面へ激突させる。メルランの呪歌、こいしの“構え”の時間を、少しでも稼ぐためだ。
こいしの構えが居合から、変形的な上段の構え…“無双”へ至ると同時に、メルランとルナサの視線も交錯する。
「行くわよ、姉さん!」
解き放たれた風の魔力が、足を封じることによって自ら捨てた筈の機動力を補う。
“呪鎖”で高められたたっぷりの呪詛を孕む旋律が、起き上がろうとするディノゲーターを捉え。
「“畏れよ、我を”!!」
解き放たれた呪力に中てられ、起き上がろうとした巨体がまるで、高圧電流を流されたかのようにびくん、と一瞬跳ねる。
わなわなと震えるその巨獣へ、すかさずルナサはもうひとつの呪言を解き放つ。
「命ず…“自ら裁せよ”…!」
無慈悲な宣告と共に、彼女は弓を弦に這わせる。
その音を聞いた途端、わなわなと震えるディノゲイターは…なんと、自らの頭を再び地面へと叩きつけたではないか!
「…いつ見てもえげつないわね、呪言師の技は」
「で、でもこれ何時までもってわけじゃないんでしょ…?
後が怖いけど、さっさと…」
言いかけたこいしの言葉を遮り、それまで凍りついたように動かなかったミスティアが、絶叫にも近い咆哮と共に、動けぬままのディノゲイターへ斬りかかった。
ディノゲイターの巨体はその威力の凄まじさで強制的に後ずさりされる。
夜猟者には、短時間ではあるが相手の呪詛的な弱化に反応し、その精神のタガを取り払って限界まで力を引き上げる特性…“トランス”がある。
呪詛の種類によっては抵抗性があったり、まったく効果を与えられなかったり…例え効く系統の呪詛でも、時間が経てば解除される挙句、短い間ではあるが免疫を得ることもあることは、樹海探索を味めてそれなりに長い彼女らの中では常識だった。
それはミスティアとて例外でなく、相乗的に最大限の効果を発揮する“霊攻大斬”と“トランス”の併用で最大限のダメージ効率を追求することも、間違ってはいない。ルナサの狙いも、恐らくそこにあることは間違いない。
リリカは出立前に、ルナサがあるドリンクを、レジィナに注文している事を知っている…多くの冒険者がその恐るべき効果を恐れる、ある植物の魔物そのものを煮出した「茶」を。それは、こちらかから仕掛ける呪詛の効果を、ほんの数分であるが解除されずに確約してくれるという、恐るべきものだ。確約される時間は、熟練した夜猟者の“トランス”が保たれる時間とほぼ同じ程度。
今目の前で展開されている状況は、戦略上何ひとつ間違ってはいない。
だが。
(何故なの…?
なにか、ちがうよ…こんなの、まるで…!)
リリカは、そのぬぐい去れぬ違和感に困惑する。
狂ったように、遮二無二剣を振るうミスティア。
呪言により、怯えたようにうずくまるディノゲイター。
…怯えているのはディノゲイターだけなのか?
リリカがその事に気づいた時。
まるで、魂を引き裂くような慟哭めいて、絶叫するミスティアの剣を止めたのは…こいし。
「…ダメだよ…もうやめよう、ミスティア。
そんな悲しい剣は、振るっちゃダメだ…あなたも、ダメになっちゃうよ!!」
「うっ…うるさああああああああああああああいっ!!」
ミスティアはこいしを跳ね退けるが…ルナサの放つもうひとつの“呪鎖”が、その全身を拘束し…そして、脳髄を直接「呪言」で揺さぶられた彼女の視界が、暗転する。