ミスティアがチルノ達と禁忌の森へ向かっている丁度その頃。
棘魚亭の、今だ賑わう夜更けの店内の一角、その喧騒からやや離れたテーブルに、白と黒のフードが向かい合って座っている。
一方の黒いフードを纏い、その頭に真紅の月飾りをあしらう、呪言師(カースメーカー)と思しき金髪金眼の女性…ルナサは、今回の依頼人である白いフードの男に詳しい話を聞くべく、アントニオを介して酒場に呼び出したのだ。
男はライルと名乗る、各地に点在する世界樹の研究を専門とする学者を自称する男だ。
とある学術機関よりハイ・ラガード公国へと訪れ、とある調査のために公宮に滞在しているのだという。
「…依頼の内容は、この地の「世界樹の迷宮」に存在する、ある魔物を封印した結界の修復…だったかしらね。
正直、なんの必要があって、どうやって事を進めればいいのかまるでわからなくてね。
そもそも、その結界には何が封じられているのかしら?」
ルナサは淡々と、抑揚のない事務的な口調で青年学者へ問いかける。
初対面だからとか、相手が異性だからというそういうものではなく、元々気心の知れた相手以外のルナサの受け答えはこの調子である。現在のカースメーカーの姿も相俟って、初対面のものなら大概面喰うことだろう。
しかし青年はそれを特に意に介した風もなく、穏やかな口調でこれまた淡々と返す。
「…ふむ、確かに、この店の主人は「自分には難しいことは解らないから、直接話してくれ」の一点張りだったからな。
僕としても、その方が説明の手間が省けて助かる」
彼は、傍らにおいていた一冊の古びた書物…その付箋のしてあるページを開いて示す。
「魔物の名は「ティンダロスの猟犬」。
これがいつ、いかにしてこの世界に現れたかは定かではない…「猟犬」の名を持つが、四足の獣のような魔であることを除けば、犬というには明らかにかけ離れた姿をした、異形の魔物だ。
文献によれば、その魔は袋小路という袋小路から己の仲間を呼び出し、樹海を満たすかのような勢いで増殖し続けた。
当時の公国はこの魔物が外に出ぬよう、苦心の末結界を完成させ、なおかつ樹海への道を閉ざしたと文献に記されている…」
ルナサは僅かに眉をひそめる。
ティンダロスの猟犬。
クトゥルフ神話に詳しい方ならご存知であろう、「猟犬」とは名ばかりの、おぞましい姿をした四足の異獣である。
「猟犬」と言われるのは、その執念深く獰猛な性質からであり、注射針の様な異常な形状の舌を持ち、その不浄の肉体からは常に、原形質にも似た脳漿の如き物体を滴らせるという。
常に酷い刺激を伴う悪臭と共に、本来ならば「90度以下の鋭角」から現世へ顕現するというが、それ故に球などの曲線の中では身動きが取れなくなるという性質を有している。
このような性質を鑑みても、ここに封印されていた「猟犬」が、ある目的のために召喚され、そして、この「球の封印」を持つ者に使役されていただろうことは想像に難くない。
それが何故ここに放置されたのか…否。
「どういうこと?
確かにこのハイ・ラガード迷宮は、ごく最近その入口が発見されたにしては、いやに樹海…特に、六花氷樹海にまつわる伝承が多いわ。
…意図して、昔から知られていた樹海の存在を隠ぺいする必要があったとでも?」
「恐らく、その原因の一翼を担っていたのが…この「ティンダロスの猟犬」だと、僕は思っている。
別の伝承によれば、この異獣は執念深く、なおかつ狡猾だ。この公国に何らかの因縁があるとも思われるし、蘇った暁にはいかな行動に出るか…そうでなくても、条件さえ満たせば無限に増殖する。竜神にも匹敵する強大な戦闘能力を持ち、なおかつ周囲の生命力を減衰する猛毒の霧を操るという。
そんなものが樹海からあふれ出れば、どうなると思う?」
「…聞かれるまでもないわね。
けれど、それを知っていて何故あなた自身が結界の修復へ向かわないの?
あなた…相当の手練だと見たわ。同じレベルの実力者を集めれば、十分に対抗できるんじゃなくて?」
ルナサの、静かな口調ながら鋭い視線が、目の前の青年を射ぬく。
僅かな沈黙の後に、青年はふっと笑い、既に周囲の温度を吸って常温に温まった樹蜜酒を煽る。
「…ウワサ通り、鋭いな。
タルシスでも伝説的な功績を残した「狐尾」、その中核を成すリリカ=プリズムリバーは、君の妹だったか。
プリズムリバーの姉妹は、いずれも聡明な女性と知己に聞いていたが」
「私達の事も、知ってのことだったのね。
その上で、私達を試そうとでも?」
「気分を害したなら、申し訳なかった。
だが、それだからこそ、君らの力を買って…今回の件をお任せしたい。僕には他の任務があり、なかなか同格の手練を集めるにも、アテもない。
結界が何故破壊されたのか、結界が損なわれたのに「猟犬」が増殖する気配を見せない理由が何故なのかは解らない…だからこそ、現状のうちに対処だけは済ませておかねばならないのだ」
ライルの真剣な眼差しと、ルナサの鋭い視線がしばし交錯し…やがて、ルナサはゆっくり頷いた。
「解ったわ。
…この依頼、私達で引き受ける」
「狐尾幻想樹海紀行 緋翼の小皇女」
第七十二夜 ティンダロスの猟犬
ミスティアが戻って数日後、パーティバトルの十分な仕上がりが出来たことを確信した彼女達は、いよいよ依頼にあった結界の存在する六花氷樹海…氷の花の咲くそのフロアへと足を踏み入れる。
その区画の奥まったところ、ライルが示した区画に人一人通れるかどうかの獣道を発見した一行は、その奥の区画へと足を踏み入れる。
「うぇっ…なんなの、このニオイ~><」
先陣切ってその区画に飛び込んだこいしならずとも、リリカもミスティアも、あとから続いて入ってきたメルランもその強烈な異臭に顔をしかめる。
クレゾール系の薬品臭を更に濃縮したような、酷く不快な刺激臭は、呼吸するだけでも気分が悪くなってくるような気さえする。
ルナサは懐から小瓶を取り出すと、その栓を開けて周囲にかざす…すると、少しずつその異臭が和らいでいく。
「この異臭そのものに害は特にないわ。
一時的にだけど、私達の鼻の機能をマヒさせた。それでも、完全に匂いの感覚は断てないけど」
「それ問題ないの、姉さん?」
「このニオイに気を取られて勝てるような相手じゃないのも承知の上よ。
調剤した因幡の素兎曰く、この薬の効果は10時間程度。もしこの薬の副作用やら、その他の要因で何か体に不調があったら言ってくれとのことよ」
「まーてーさんのお墨付きというならいいんだけど」
匂いの感覚が和らいできたところで、一行は周囲を見回す。
すると、広間の中心に淡く光る球体めいたものを見出し…こいしが恐る恐るそれを拾い上げると、それは例えようのない不思議な光沢を持った透明の球体だった。
それはバスケットボールよりも一回り大きい程度のもので、見た目はガラス球の様であったが、驚くほど軽いらしかった。
それを目の前まで掲げてくるくると回していたこいしは、その一面を見て気づいた。
「あれっ、この玉みたいなの、ちょっと欠けてる」
こいしの指示したその部分、透明でわかりにくいものの、確かにその一部分だけが抉れたように大きく欠けていた。
なんの力も感じない不思議な球体であるが、その賭けた部分に顔を近づけてしまったこいしが、大袈裟に顔をしかめて振り返る。
「…どうやら、この中に本来なら封印されてたらしいわね、やっこさんは」
メルランの言葉に、ルナサは頷く。
「ライル(あいつ)が言うには、これ自体が「猟犬」の封印であったことは間違いないわね。
この区画が今まで目に止まることがなかったのは、ここの入口自体が何らかの封印を施されていたという事」
「誰かが意図してここの封印を破ったとでも?
一体、なんのために」
「そこから先は想像の域を出ないと思うわ。
誰かが意図してやったかも解らないし、何か偶然があって封印が解かれたのかもしれない。
…にもかかわらず、「猟犬」が自由に出現できないのは…まだ結界の機能が完全には死んでいないということなのかもしれないわ」
ルナサは決断的にメンバーに告げる。
「みんな、改めて説明するけれど、私達の目的はこの結界の復旧にある。
恐らくこの球のカケラを発見し、再びこれを真球に戻すことによりそれが成されるはずだと、依頼者は言っていたわ。
…ああ、先に言っておくけど、何故それをそいつがやらないのかというツッコミはナシよ。既に結界に封じられた魔物が動き出してる可能性が高い、そこまで言えば何故、私達に今回の件が依頼されたか説明する必要もないでしょう?」
「ってことは、このくっさい匂いもそいつが出してるってことなのかな?」
いまだに完全に機能がマヒしていない鼻をつまみながら、わざと嫌そうな顔をしたこいしが返すと、ルナサは真剣な表情のまま頷く。
「注意しておくけど、不用意に袋小路の場所に入らないことだけは注意して。
そしていつも以上に周囲の警戒を怠らないこと、いいわね?」
必要以上に神妙な顔でわざとらしくがくがくと頷くこいしを小突きながら、リリカやミスティアも頷く。
それを確認すると、五人はその区画の奥へと歩を進める…。
…
…
-なんかもう馬鹿馬鹿しいから私は寝る あとよろしく ルナサ-
魔理沙「それで私にこの話全部押しつけられても正直困るんだけどなあ。
ヒマこいてたのは確かだが、面倒な予感しかしないぜ」
烈「別にいいじゃねえかそんな細かいことはよ。
オレ達としてはさ、結局なんだかんだあって戦うことはできなかった強敵の話が聞けるってだけでわくわくしてるんだからよ!」
風雅「それも余りいい傾向だとは言い難いんだがなあ。
というより、ここに俺達しかいないというのもなんか意図されたのかどうなのか…鈴花や氷海は、乱麻を着飾らせるんだって息巻いてチャスコに連れ立って行ったから、まあ鈴花(あいつ)が余計なタイミングで混ぜっ返しに来ないだけマシな気がするが」
魔理沙「まーな、正直ここ(ボーダー商事)がシャノワールの真ん前だからもっと面倒な奴らの乱入がもしかしたらあるかも知れんが」
烈「誰だ、そりゃ」
風雅「多分卯花さん(めう)…否、もっと面倒な人がいるな、山形さんか」
魔理沙「そこまで解ってるんだったら説明不要だと思うけどな。
まあいいや、たまに他の連中がどういうことをしてたのか気にはなってたし」
烈「むしろ魔理沙達の話とかも気になるぜ」
魔理沙「いちいちそれについて触れるのもめんどいし、それは前回のログでも見てくれと」
風雅「メタいなあ^^;」
魔理沙「つーわけで、ここで触れるのはDLCクエスト「強襲!異界の猟犬」だな。
冒頭で登場したライルとか言う胡散臭い学者の依頼で、氷樹海にある「破損した結界」を修復して、そこに封じられている「ティンダロスの猟犬」って魔物を再封印してくれ、って内容だ。
ティンダロスの猟犬は本来は、茶番の解説中にもある通りクトゥルフ神話に登場する異形の神話生物で、まあここに登場するティンダロスもその類縁と言っていいんだろうな」
烈「クトゥルフ…んーと、なんか聞いたことがあるぜ。
サイコロ振ってSAN値とか言うのがピンチとかそういう奴だったっけ?」
風雅「それはTRPGの話だなおもに。
詳しい話が知りたければまあ、wikiなどを調べてもらってもいいだろうが…簡単に言えば、ハワード・フィリップス・ラヴクラフトの著した一連の作品群と、彼を支援したオーガスト・ダーレスらがそこからまとめ上げ体系化した架空の神話が「クトゥルフ神話(クトゥルー神話とも)」だな」
魔理沙「補足すると、所謂コズミック・ホラー(宇宙的恐怖)を前面に押し出したシェアード・ワールドがクトゥルフ神話だな。
大体そこで語られる「神性」って奴らは、私達が知ってる諏訪子だの静葉だのと違って見た目が人間っぽくないどころか、星みたいに巨大な触手の塊だったりぐちゃぐちゃのどろどろだったりで、見ただけで発狂しそうなキショい見た目の連中ばっかりだ」
烈「う…うーん?
つまりなんか、正体のよくわかんねえグロい神様と戦ったりするとかそういう話か?」
風雅「概ね、その認識でいいな。
もうひとつ余談だが、「世界樹の迷宮」シリーズを生み出したアトラスの名作RPG「女神転生」シリーズにも時折、クトゥルフやニャルラトホテプといった、クトゥルフ神話系の「仲魔」が登場するシリーズもある」
魔理沙「余談はその辺にしといて、とりあえず話戻すぜ。
依頼で行けるようになる隠し区画の入口があるのは、12Fのマップ右隅、氷の花があったすぐ近くだ。
基本的に邪竜のいる区画を通らずに行くことが出来るけど、まーまずそこに行くまでが長いぜ。
そしてその隠し区画に入ると、そこから奥に行くまでが馬鹿長いんだが…」
烈「長い長いはいいけどよ、ならお決まりの近道とかあるんだろうからそれ開けば一発じゃねえの?」
魔理沙「それが素人の浅はかさって奴だぜ。
実はこの長い道のりこそが、むしろこのクエストの真のキモだな。このクエストはな、単純にその「猟犬」をぶっ倒しただけじゃ終わらねえんだ。
その「猟犬」を倒した後、フロアの袋小路という袋小路から湧いておっかけてくる別の「猟犬」の追跡をかわしながら、最初に「欠けた結界」のところまで戻って来なきゃいけねえんだ。
しかも、当然ながらその間糸やフロアジャンプは当然、角鈴や猛進逃走なんかも効果を発揮しねえし、当然ながらエンカウントも普通にする。
だからこのクエストは、兎に角長いフロアをノーセーブで逃げ切ることまでがセットになってるわけだ」
風雅「ふむ…俺達はなんだかんだで触れてはいないが、ギンヌンガの3Fと同じ要素に超強力なボスバトルがついてくる、という認識でいいわけだ」
烈「うぇ…なんかそれすっげえめんどくせえな。
ただボス倒して終わり、でいいじゃねえかそんなの」
風雅「というか、まさかボスであるティンダロスと同じ魔物が、道中で何体も湧いて追いかけてくる、そういうことでいいのか?」
魔理沙「その通りだぜ。
因みに最初に固定で存在するティンダロスのみ、戦闘中の逃走は不可能だが、そいつを撃破して元の道を引き返す時に出てくるティンダロスからは逃げることが出来るぜ。
勿論そいつらはひとつの袋小路から1体しか出現しない、なおかつサイズがでかすぎるから、複数存在する場所で戦っても乱入はされないぜ…まあ、これから紹介するティンダロスのステータス見れば、連戦して切り抜けるってのが如何に無謀な試みか解ろうってもんだがな」
DLCクエスト「強襲!異界の猟犬」ボス&特殊追加F.O.E. ティンダロス
レベル99 HP135000 炎弱点 即死、石化、頭封じ無効/テラー、呪い、麻痺、毒、盲目、腕封じ耐性/脚封じに弱い
カオススラッシュ(腕) 近接拡散斬攻撃、混乱か盲目を付与
ベノムネイル(腕) 一列に近接斬攻撃、毒か呪いを付与
ショックスイング(頭) 全体近接壊攻撃、麻痺を付与
テンタクルレイジ(頭) ランダム3~6回近接突攻撃
パワースポイト 単体に近接突攻撃し、3ターン物理・特殊攻撃力ダウンを付与。このスキルが対象にヒットするたびにティンダロスの攻撃力が上昇する。この攻撃力上昇効果はいかなる手段によっても打ち消し出来ず、しかも使用するたびに効果が累積する。
※戦闘開始時より頭部に「トキシンコンテナ」(HP15000、炎弱点、全ての状態異常が無効)が存在し、これが生存しているターン終了時にも猛毒ガスを噴き出してくる。猛毒ガスがあると一部除きHPを回復させるスキルの回復量が激減し、なおかつガスが噴き出す(ターンが経過する)たびに効果が累積してくる。
このガスはトキシンコンテナを撃破すると即座に解除され、その代わりにコンテナが破壊されて以降は2ターンに一度、本体はパワースポイトを使用し始める。
烈「∑( ̄□ ̄;)なんだこのHP量!?」
風雅「これは…いくら別枠解禁とはいえ、流石にこれはおかしいのでは…」
烈「…なあ。
オレ達が絶賛攻略中だった金竜のHPが確か30000ぐらいだったよな…」
魔理沙「正確には33000だから、おおよそ四倍強だな。
ちょっと先のネタばらしになるが、本来の隠しボスである始原の幼子のHPが140000だから、ほぼそれ並だな」
烈「∑( ̄□ ̄;)うぉい!!
しかもこんなのがこのあともいっぱい出てくるってんだろ!?」
風雅「最初の一体以外は逃げられるとは言うが、これと複数戦うことが場合によっては強要されるとか…世界樹の世界ってどうなってるんだ…?」
魔理沙「幸いにもというが、こいつの攻撃力はさほど高くはないぜ。
データ上だと攻撃99とか書いてあるけど多分嘘だぜ。カオススラッシュ、ベノムネイルやショックスィングはどれも、赤竜の攻撃の半分程度しかダメージを受けない。
ただ、それを受けづらくしている要因がトキシンコンテナの毒ガスと、そのトキシンコンテナを破壊した後に使ってくるパワースポイトだぜ」
風雅「ターン終了時ごとに毒ガスが噴射され、HP回復量が下がる…そう書いてあるな」
烈「つまり何か、怪我しても回復しづらくなっていくってことか?」
魔理沙「そうみたいだな。
一応トキシンコンテナを破壊したターンから効果が解除されるが、ターンごとにどんどんHPの回復量が下がっちまう。
影響を受ける回復手段と、受けない回復手段はこんな感じだぜ」
◎毒ガスの影響を受けるHP回復手段
メディカ系統、ソーマ系統、ハマオ系統のHP回復薬
ネクタル系統の蘇生薬のHP回復量(蘇生はする)
キュア系統、ヒーリング系統、巫術の再生スキル系、ディレイヒール、慈愛の襟巻などの回復スキル
傷舐め、ドラッグバレット(HP回復以外の効果は正常に作用する)
ハイリジェネ、庇護の号令(ハイリジェネの状態異常自然回復率には影響しない)
巫術:脈動及び巫術:呼応、チェインヒールなど行動によってHP回復するバフ
巫術:反魂やリザレクションなどの蘇生スキル(ネクタルと同じ)
号令マスタリー込みの号令スキル発動時のHP回復
不屈の号令発動時のHP回復(食いしばり効果は発揮する)
エクスチェンジとホワイトノーブル
バフがかかっている時の癒しのリズム
伝説のグリモアの付加効果による被弾時HP回復
ドクトルマグスとメディックのフォースブレイク(HP回復以外の効果は正常に作用する)
◎毒ガスの影響を受けないHP回復手段
ドレインバイト、ブラックサバス、(恐らくは)ブラッドサック、虎咬撃などの効果によるHP回復
吸命発動時のHP回復
ハイランダーのフォースブースト発動時の槍スキル使用によるHP回復
ペットやファフニールのフォースブースト発動によってHPが全快する効果
魔理沙「こんなところだぜ。
あと、TP回復量は影響受けないし、どれだけ毒ガスの効果が累積しても最低1HPは回復するぜ」
烈「いや、竜より低いって言っても、HP1しか回復しないでどうやって受け切れって言うんだよ…」
風雅「ふむ、そうすると攻撃スキルの効果としてHPを回復する副次効果は影響を受けない、ということかな。
こういう手段を用意できるんだったら、トキシンコンテナを放置して戦うという事も出来るというわけか」
魔理沙「そうだな。
あとは不屈の号令やネクタルを駆使してゾンビ戦法をする手段もあるぜ。
その場合ショックスィングをどうすんだって話だが」
烈「麻痺はなー…金竜で酷い目にあった記憶しかないんだけどなー」
風雅「そこはまあ、結界でも予防の号令でも使って何とかしろ、というところだろう。
ところで霧雨さん、パワースポイトの効果というのは」
魔理沙「使われるごとにティンダロスの攻撃力が増していく上、解除もできないしされないぜ。
トキシンコンテナを放置するにしろ、破壊しちまうにしろどっちにせよ、長引くとティンダロスの攻撃は受け切れなくなる、という解釈でいいぜ」
風雅「つまり…裏ボスに匹敵するHP量を持つバケモノ相手に、どんな戦略で挑むにせよ短期決戦が要求される…ということか」
烈「速攻勝負あるのみってか。
それはそれで、解りやすくていいな」
魔理沙「一応どうでもいい情報だが、パワースポイトの攻撃力増加は回避すれば発動しないぜ。
それに、あまりにもパワースポイトを使われまくると、逆にティンダロスから受ける攻撃のダメージが1ケタになったりするぜ。
パワースポイト22回受けるとダメージがカンスト(99999)してたのが1ケタになって、そこから二回パワースポイトを使われると元のカンストダメージに戻る。
その後も大体5~7回ごとにダメージが1ケタになったりカンストしたりするぜ」
烈「なんじゃそりゃ」
風雅「恐らく、システム上で攻撃力がオーバーフローしてるんじゃないか?」
魔理沙「そうらしいな。
因みに、パワースポイトで上昇した攻撃力は他のスキルにも影響してくるから、もし呪いでもかけてショックスィングを究極がまんで反射しようものなら凄まじい反射ダメージが出たりするぜ。低レベルで攻略したい人にはうってつけだな」
風雅「そう言えばそんな話を聞いたことがあったようななかったような」
魔理沙「ついでにこいつの行動はある程度決まっているぜ。
引用元は、その呪いカウンターで頭おかしい反射ダメージを叩き出したとあるギルドの活動記録からだぜ」
残りHP135000~101250まで
通常攻撃かベノムネイルをランダムで使用
通常攻撃の次のターンは確定でショックスィングを使用
残りHP101250~67500まで
カオススラッシュ→ショックスィングorべノムスラッシュ→先のターンに使わなかった方→カオススラッシュのループ
※HP101250を切ったターンにカオススラッシュを使いこのパターンに移行する(と思われる)
残りHP67500~33750まで
テンタクルレイジ→カオススラッシュ→ショックスィングorべノムスラッシュ(完全ランダム)→テンタクルレイジのループ
※HP67500を切ったターンにテンタクルレイジを使いこのパターンに移行する(と思われる)
HP残り101250から一気にこの残りHP量に到達すると、先のパターンをスキップする
残りHP33750以下
テンタクルレイジとショックスィングを繰り返す
※先のパターンを踏襲していると思われる(カオススラッシュかテンタクルレイジを直前で使っていればショックスィング、ベノムスラッシュかショックスィングならテンタクルレイジからスタート)
なおこのパターンとは別に、トキシンコンテナを破壊した次のターンからパワースポイトを使用し始め、2ターンに一度パワースポイトが混ざる。
そうなった場合、例えばHP67500以下パターンであれば次のようなパターンになる。
パワースポイト→テンタクルレイジ→パワースポイト→カオススラッシュ→パワースポイト→ショックスィングorべノムスラッシュ→パワースポイト→テンタクルレイジ→パワースポイト(以下ループ)
烈「うわぁ(しろめ」
風雅「まあこの文章量だと、烈の情報処理能力では無理があるか。
最序盤から範囲攻撃、全体攻撃をまんべんなく使ってくるな。HP回復量減少、永続攻撃力強化どちらが絡むにせよ、受け切れない気がするんだが…」
魔理沙「まあ、額面通り考えればそうだが…リリカ達が取った戦略についての解説は次回にまわすことにするか。
何故、こんなわけわかんないステータスをもってながらさほど攻略そのものは難しくない、といった理由がこいつらの戦略で解ると思うぜ。
というわけで、そろそろ紙面も足りなくなってきたので解説は次回に続くぜ」
…
…
その奥まったところに、果たして、その異形は存在した。
遠目からも解るほど、おぞましくぬめる外皮を持つ、見ただけで正気を疑いたくなるような、そんな姿を持つ巨躯の四足獣。
それは時折、耳と思しき部分からびるびると湿った音を立てながら触手のようなものが出入りし、そして、だらしなく開けられた口から覗く舌めいた器官は、先端が注射針のようにとがっている。
そのあまりにもあまりな外見に、ルナサも思わず顔をひきつらせた。
「…成程。
見た目はもう猟犬の外見描写そのものよね」
「ねーさん冷静に言ってるけど正気度大丈夫? ダイス振っとく?」
「遠慮しとくわ、ファンブルする予感しかしない」
軽口をたたき合うメルランの表情もひきつっている。
そして、いち早くそれに気づいたこいしが、指さして示す。
「あっ、あいつの足元になんか落ちてる!」
リリカは目を凝らすと、その足元には雪や落ちた樹氷の欠片とは違う、光を反射する何かが落ちている。
彼女達はゆっくりと、その異形を刺激し過ぎないように近づいていくと…それは、何かの破片であることがわかる。
「あれが…さっきの結界のカケラかな?」
「そうかもしれないわね。
すると、あいつはそのカケラを封印に戻されないよう、守る役目でも持ってるのかしら」
リリカとミスティアはお互いに顔を見合わせ、そして、神妙な表情のままルナサへ振り返る。
ルナサは頷く。
「あいつを倒す以外の選択肢はないわね。
リリカ、ミスティア、打ち合わせ通りに動いて頂戴。
私の「呪言」がかかったら、そこから反撃に移るわよ」
「わたしはー?」
「あんたは適当に切りかかってなさい。
ダメージは蓄積してさせ過ぎなことはないわ…スキでしょ、あなたそういうの」
「おっけおっけ公認殺掠タイムktkr」
わざと悪い顔を作って舌なめずりをしながら刀を構えるこいしに呆れながらも、少女達は示し合わせたように各々の武器を構える。
♪BGM 「戦乱 紅炎は猛り白刃は舞う」(SQ4)♪
少女達に明確な敵意を発し始めた異形が動くより前に、居合に構えたこいしがさらに、納刀したままという独特の上段構え…「無双」へ移行し、その異形が行動を起こす前に一足飛びに間合いを詰める。
「散開ッ!!」
リリカの指示のもと、残る三人もそれぞれのポジションへ飛び、リリカがこいしの弾いた触手の流れ弾を盾でいなす。
メルランの呪歌の音色が響き渡ると同時に、呪歌の鎖で自身を戒めるルナサの妖気が極限まで高まっていく…!
「闇瞑に鎖せ、“十六夜陰月”。
…“畏れよ、我を”ッ!!!」
漆黒の六枚羽を展開したルナサから、凄まじい滅びの力を撒き散らしながら、放たれた呪歌がティンダロスへと襲いかかる!