学校の帰り道。
クーは一人、覚束ない足取りで…まるで当てもなく彷徨するかのように歩いている。

川  - )「…」

伏し目がちに歩くその姿は、どこか虚ろで。



<ξ゚听)ξがポップンでランカーを目指すようです 第四章>



最初は、そうすれば周りが自分を認めてくれるから、そうしてきた。
幸いにも、彼女はあらゆることを人並み以上にこなせる才覚を持っていた。
そして彼女は、より多くの人に認められたいと願い、その才能を磨くための努力を惜しまなかった。

両親だけは、なにをしても認めてはくれなかった。
だからこそ、彼女の「すごいところ」を認めてくれる人々を拠所に、彼女は更に才能を磨くことが出来た。


しかし…そんな彼女への見返りは…『孤独』だった。


彼女の存在に追随できる者がいなくなってしまったのだ。
挙句に大切な幼馴染すら、そのことで深く傷つけてしまったことを知った彼女は、自暴自棄になりかけていた。

そんなある日。


ξ゚听)ξ「…へぇ…あんたでもこういうところ、遊びに来たりするのねぇ」
川;゚ -゚)「え…」

クーはその鬱憤を紛らわすため、たまたま立ち寄ったゲーセンでツンと鉢合わせた。
常に優等生を演じ、そのため結果的に苦しめてしまった相手に見つかり…報復のためにこのことを散々に言いふらされるかとクーは戦慄した。

しかし。

ξ゚ー゚)ξ「安心した。
    あんたでもこういうの、楽しいって思うところが、まだあったんだね」
川;゚ -゚)「…!」

その一言が、クーを救っていたのかもしれない。

そして彼女はツンとポップンを介して、しぃと知り合った。
『孤独』に苛まれていたその心は徐々に癒されつつあったが、彼女はそれゆえ、早く友達と同じ場所までたどり着こうとして。


ξ#゚听)ξ(最低…そうまでして、あんたはあたしのやることなすことを否定して…あたしの存在を、この世界から消したいのね…!)


再び、彼女は『独り』になってしまった。

解っている。
自分が、そうしてしまったのだということを。



ξ;゚听)ξ(…クー…一体何処に)

ツンは何時の間にか繁華街まで出ていた。

彼女は真っ先にクーの家…つまり、お隣さんに駆け込んで彼女の行方を尋ねていた。
クーの母親は、近所でありながら最近とんと姿を見せなかったツンの来訪に驚いたものの、

「ごめんね…折角訪ねてきてくれたのに。
あの娘まだ帰ってきてないのよ…」

と告げた。

クーは携帯電話も持っていたはずだが、何故かいくらかけても「ただいま電波の届かない場所にあるか電源が切られています」というアナウンスだけが帰ってくる有様。
ツンはただ、心当たりのある場所を闇雲に走り回っていた。


クーを…なんでもできてしまう「自慢のともだち」を探して。



その頃『バーボンハウス』。

(;><)「あれ…しぃちゃん一人ですか?」
(*゚ー゚)「ビロードさんこそ」

それなりに人出があるこの日のバーボンハウス。
ポップンの台は珍しくそこそこの人数がプレイをしている。
しかし、そのなかにツンとショボンの姿はなかった。

( ><)「うーん…まさか来てないとは思いもしませんでしたけど」
(*゚ー゚)「ツンも先に来ていたはずだけど…そういえばツンもいませんね」

( ><)(*゚ー゚)「まさか…ねぇ」

なんとなく思うところはあったものの「それも何か違うだろ」と心の中でツッコむふたり。

( ´w`)「おや君たち…丁度よかった」

そのとき、ふたりの姿を認めて気の良さそうな中年が歩いてきた。
彼こそ、このバーボンハウスのオーナー・カワイさんである。
ビロードとしぃが軽く挨拶を返すと、カワイさんはにっこりと微笑んで返す。

( ´w`)「実はショボン君に伝言を頼まれててね」
( ><)「え?じゃあショボンさんここに来てたんですか?」
( ´w`)「ああ…もう一時間くらい経つかなぁ。
      ツンちゃんもいたんだけど、なんか彼女が血相を変えて飛び出して行ってね。
      ものすごく焦っていたとか、そんな感じだったみたいで」
(;*゚ー゚)「どういうことですか?」
( ´w`)「いや…僕も詳しいことまでは…それでショボン君は彼女を心配して、あとをつけて行ったんだ。
      そのことを君らに伝えて欲しいって言ってね」
( ><)(*゚ー゚)「…」

顔を見合わせるふたり。

ショボンからその顛末のメールがビロードの元に送られてきたのは、それからさらに一時間後のことだった。
現時点では…そのあと何が起こるのか、今はまだ誰も知る由もなかった。



日はすっかり暮れて。
気づけばツンはその日の朝、クーと一緒に通りかかった公園に来ていた。

ξ゚听)ξ「…ここは…」

あたりは夜の帳に包まれていたが、その場所を間違えるはずはない。
何故ならこの日、たまたま通りかかった場所ではないからだ。
彼女が良く使う通学路でもあり…それこそ昔から馴染みの場所であった。


人気のなくなった並木道。
中央の噴水。
広場のブランコや滑り台。

彼女が物心ついた頃から、そこは彼女にとって日常的に訪れる場所でもあった。
高校生になってしまった彼女は、ブランコや滑り台に乗ることはなかったが…。


ξ゚ー゚)ξ「そういえば…昔はよくここでクーと遊んだんだよね」

そんな頃には、まだ張り合うということもなくて…クーの習い事がない日に、ふたりで日が落ちるまで遊んでいた。
クーが新しい「スゴ技」を覚えてくるのが楽しみで楽しみで、それが見たくて、仕方が無かった。

ふと懐かしくなった彼女は、すっかり小さくなってしまったその遊具に近づこうとした。

ξ゚听)ξ「…!」

暗がりの中に人影がひとつあった。
まるで人形のように動かないその影がツンの接近に反応し、わずかにその長い髪を揺らす。

川 ゚ -゚)「…」
ξ゚听)ξ「…クー」

そこにいたのは、まさしく彼女の探し人であった。

暗がりで解りづらかったが、ツンには憔悴しきったクーの顔がはっきり見えていた。
それが何故なのか…あるいは単なる思い込みの所為なのかは彼女には解らなかった。


かすかな星明りと、遠くの街灯の明かり以外にないそのなかで、ふたりはブランコに腰掛けていた。
その状態でどれだけ経ったことだろう。

川 ゚ -゚)「…なぁ、ツン」

最初に口を開いたのはクーだった。

川 ゚ -゚)「帰らなくていいのか?
    親御さん…心配してるんじゃないか…」

淡々とした口調のクー。
まるで、努めて自分の感情を押し殺しているかのように、ツンには聞こえていた。

ξ゚听)ξ「そんなのお互い様じゃない。
     あんただって家にも寄らず、こんなところで優等生サマが何を道草食ってるのよ」

ツンはあえて、普段どおりに応対する。
しかしそこには…ここ数週間にあった敵意のようなものは愚か、拒絶の意思さえもなかった。

川 ゚ー゚)「優等生か」

ふっ、とクーが少し笑ったように見えた。

川 ゚ー゚)「私は…そんなにいい娘でばかりいたくはないよ」

その笑みは…自嘲の笑みだった。

川 ゚ー゚)「…私は…そうやって独りになるのは…もう嫌だよ…」

川 ;ー゚)「私は…皆と一緒にいたいだけなの…に…」
ξ゚−゚)ξ(…クー…)


ツンにはわかっていた。

クーがただ、一心にツンに近づこうとしていたことを。
そして一生懸命になりすぎて、何時の間にか行き過ぎてしまっていたことを。


川 ; -;)「私は…私はただ、早くツンと同じところへ行きたかっただけなのに…すごいって、笑って欲しかっただけなのに!
     もう嫌だ…こんなこと…繰り返して…ひとりぼっちなんて嫌だよ…っ!」


自分の感情に任せたあの言葉が、クーの心をどれだけ深く傷つけてしまっていたかを。

クーはただ「何時か対戦を」というツンの言葉に応えようとして…その時が早く来るように、一生懸命練習していたのだ。
同じ場所で、あのときのように、すごいって喜ぶ自分を見たかっただけだったのに。


ξ゚−゚)ξ(…あたしは…馬鹿だ)

ξ゚−゚)ξ(…あたしのつまらないわがままで、あたしもクーを苦しめてたんだ)


そしてクーは…それが無駄なことと…どこかで気づいていながら、
何時かツンたちが自分のところへ戻ってきてくれるようにと願って…ひとりで戦い続けていた。
ツンがそのあと凄まじい勢いでポプに粘着し始めたのを知っていたから。

恐らくは自分に勝つためであろうとは思っていたが、クーにとってはそれでも良かったのだ。
同じゲームを続ける限り、まだツンとのつながりは絶たれていないと、そう思っていたから。


しかし、その距離はただ大きくなるばかりで…自分は一人でしかないことを思い知らされる羽目になって。


ξ;−゚)ξ「…ごめんね…」
川 ; -;)「…!」
ξ;凵G)ξ「あたし…自分のことばかり一生懸命で…あたしは…本当はもっと…クーと一緒のところに居たい…」
川 ; -;)「…ツン…」

クーを抱き寄せたツンの瞳からも、とめどなく涙が零れ落ちていた。

ξ;凵G)ξ「…あたしわがままだから…本当はクーともう一度一緒に遊びたい…もっとすごいこと、して見せて欲しい…!
      でも…でも解らないんだよ!今のあたしじゃどうしてあげればいいのか解らないよ!
      今のあたしじゃどうあがいてもクーには勝てな…」

(´・ω・`)「その結論はまだ早いぞ、ツン」

物陰から一人の青年が姿を現す。
街灯の明かりの下に姿を現したのは、ショボンそのひとだった。

ξノ听)ξ「! ショボンさん…!」

慌てて涙を払いのけるツン。
もっとも、その程度で都合よく止まってくれるものではないのだが…ショボンはばつが悪そうに頭を掻く。

(´・ω・`)「済まんな本当にスマン。
     心配だったんで少し後をつけさせてもらった。
     立ち聞きしていたのも詫びよう」

しかし…一転して真剣な表情で、ショボンは言葉を続けた。

(´・ω・`)「クーって、君のことか。
     自己紹介がまだだったな、まあそれはあとでいいか…だが、俺にもかつて、ツンにとって君のような存在がいたんだ。
     あいつは…誰にも褒めてもらえず、終いには心を病んで、今じゃどうなったのか知ることすら出来なくなっちまった…だから、お前達には、手遅れにはなって欲しくない」

ツンは初めて、ショボンがどうして此処まで、知り合って間もない自分たちにここまで心を砕いてくれているのか、理解できた気がしてきた。
彼にも、かつてそんな存在がいたことを。


(´・ω・`)「話が逸れちまったな。
     ポップンというゲームは至極奥の深いゲームでな…単純なクリア能力の高さだけで、技量云々を決められるゲームじゃないんだぜ。
     ツン、それから…クー。
     これから少し付き合ってもらうぞ。
     門限云々はしぃに頼んでおいたから、問題はないはずだ」

ξノ听)ξ「どうしろと」

(´・ω・`)「これからバーボンハウスに戻ろう。
     そして俺を交えて直接対決だ…店内対戦でな!」
ξノ听)ξ川 ; -;)「…!」

ショボンの思わぬ一言に、ふたりは目を丸くしていた。


(第四章終わり)