(;*゚ー゚)「え…?どうして…?」
川; ゚ -゚)「……!?」
その曲目を見た瞬間…それを知らなかった二人は困惑の表情を浮かべる。
一曲目はツンの、現状のクリアレベルぎりぎり…しかもそのレベル域でも屈指の難攻略譜面かつツンが得意とする譜面。
ならば、指定された楽曲はそういう譜面であると想像するのが自然だ。
ξ;゚−゚)ξ「………」
その曲を選ぶよう指示されたツンにしても、困惑していることには変わりなかった。
クーが選ぶよう指示された曲の正体を知ったら尚更である。
だが当然ながら、それを知っているショボンの顔色が変わるべくもない。
逆に…怒りと笑みがない交ぜになった表情で彼に一瞥されたビロードが、慌てて目をそらせる。。
( ´w`)「ふふ…ショボン君、面白いことを考えたな」
[ー。ー]「何でもありの神部屋で、この世のKWMを見てきたトッププレイヤーらしい考え方だよ。
んまー普通に『クリアレベルありき』でプレイしてる中級者どうしで戦ってると、“こういうヤバさ”なんて普通気づかないだろーからな。
見物だぜ…ことこのレベル帯であれば」
これまで無言だったふたりも、口の端に笑みを浮かべながらその画面を眺めている。
Stage2(ツン選曲)
「HAPPY MUSIC」(AC7・サニー)N/12
<ξ゚听)ξがポップンでランカーを目指すようです 第六章>
(;*゚ー゚)「っていうか…めっちゃくちゃ、簡単な曲ですよね…?」
( ><)「そーですねー、1分半ちょいでノート数300くらいしかないですしねー。
ポエスレ住人のショボンさんにとっては、死んでも負けられない譜面ですよこれw」
(;*゚ー゚)「じゃ…じゃあツンは別の曲と間違えてこれのNを選んだとか…あの娘よく、ネームカテゴリから曲探すから」
( ><)「いーえ、間違いなく僕が選んでもらった曲です」
小憎らしいくらいしれっとした表情で応えるビロード。
(#*゚ー゚)「じゃあどういうことなんですか!
これじゃあまるで、ツンがこんな曲しか選べないって馬鹿にしてるみたいな!」
( ><)「そんなことはありませんよ。
さっき僕は言いませんでしたか?
『クリアレベルの高さでは勝負が決まらない』って」
凄まじい剣幕で食ってかかるしぃにもビロードはなおも涼しい顔だ。
( ><)「純粋な『ポップン対戦』において…互いの総合的な力量を測る上で、実はクリア能力の高さなんて本来二の次です。
先ほどのラメントにしても、それを考えて僕が選んだんですから。
しつこいようですけど、この譜面に関しては、僕の技量では絶対ツンちゃんには勝てません…そして、当然これも」
(*゚ー゚)「…」
しぃはなおも釈然としない表情であった。
ビロードは不意に、険しい表情になる。
( ><)「…解らなければ、3人のリザルトが意味を教えてくれると思います。
僕に言わせれば…ツンちゃん自身がそれを自覚しているのであれば…この能力を彼女自身が熟知し、それに特化されたら」
( ><)「僕が彼女に勝てる要素は、ただのひとつもありません…!」
(*゚ー゚)「え…?」
ビロードの意外すぎるその言葉にしぃは言葉を失った。
ξ゚−゚)ξ(……どういう…こと?)
その言葉は、ツンの耳にも届いていた。
メインで活動する部屋はツンが大関〜ヒーロー、ビロードが将軍〜仙人。
このことだけを鑑みれば明らかにビロードのほうが実力上位のプレイヤーである。
そのビロードが「(自分がツンに)勝てる要素がひとつもない」と言った。
ツンは一瞬、しぃがそう感じたように、馬鹿にされているのではないかと思った。
しかし、そう言いきったビロードの顔も、その曲目を書いたメモを手渡した時のショボンの顔からも…そんな意図を読み取ることは出来ない。
共に過ごし始めてまだひと月と経たない関係ではあるが…ツンは彼らがそういう冗談をいう人間でないことを知っている。
そのことが彼女の混乱を更に加速させた。
(´・ω・`)「ツン」
(´・ω・`)「四の五の難しいことを考えるな。
お前はただ『普段どおりにプレイして見せればいい』。
それでも意味が解らないというなら、あとで改めて説明してやるよ」
ξ;゚−゚)ξ「…(こくり)」
ツンがオプションを決め終えると、画面はプレイ画面へと移行する…。
閑話。
サニーNに限った話ではないが、基本的にレベル30以下の曲は一律に「低難易度譜面」として括られる。
特に上級者…「超高難易度」といわれる41〜の譜面を選べる仙人部屋クラスになると、こうした「低難易度曲」を選ばれることを非常に嫌う者も少なからず存在する。
さらに「低難易度」と一口に言っても、実際の話ノート数が500を超えるレベル24前後の譜面と、ノート数が300を下回り始めるレベル15前後の譜面では、その難易度もかなりの差がある。
「低難易度」を投げられることを嫌うものは大体「オブジェが少なくて物足りない」などというが…著者の経験上、神部屋クラスで勝ちぬける人間は大まかに分けて三つのパターンしかない。
クリアできるほどの技量を持った人間が限られてくる、強烈な発狂譜面を得意とするクリアラー。
その凄まじい集中力を武器に、低難易度譜面で反則的な素点をたたき出すスコアラー。
そしてそのどちらにも満遍なく対応できる、ランカークラスのプレイヤーのいずれか…。
閑話休題。
サニーN。レベルが二桁の曲ではかなり簡単な部類に入る。
「入門者」が「初級者」となる際に、まぁもしかすればクリアが覚束なくなるかも、程度の譜面である。
取り立てて特徴的な構成もなく、コンボをつなぐことそのものは、恐らくレベル20をクリアできるくらいになればフルコンも可能であろうが…ただ、クール判定がある中で90kを超える高得点を安定して出すためには、やはり将軍部屋クラス以上で勝ち抜ける技量は必要となる。
95kも安定して出せるなら、先ず負けることはない。と言うよりも…。
川; ゚ -゚)(……くっ!)
意外にも出遅れたのはクーだった。
その才能があっても暦が浅く、大方の譜面に習熟するほどの時間が彼女にあったわけではない。
クーはその「高難易度譜面処理能力」を恐れられているプレイヤーだが…実は、裏を返すと「大体どの譜面でも似たような点になる」という特徴を持っている。
つまり「クリアできるのがやっと」な高難易度曲には強いが、「高得点とコンボボーナスが当たり前」な低難易度譜面の戦いでは、これが大きな足枷となるのだ。
ξ゚−゚)ξ「…」
ツンはこのことに気づいていない。
いや、正確には「気づくはずもない」というべきだろう。
彼女は恐ろしいまでに正確なタイミングでオブジェを捉え、クール判定を量産し続けている。
時折ショボンが撃ったらしいダンスの効果で、彼女のキャラクター…ちょっと太り気味で愛嬌のあるペンギンのマッスル増田が、その風体に似合わない激しいギタープレイを披露していても、変わることはなかった。
可愛いけど少し変わったモノが好きな彼女にとって、このキャラクターのモーションは特にお気に入りらしい。
緊張感が和らいでか、わずかに笑みすら浮かべる彼女は…ノートを拾いつつ、自分のキャラクターの動きを楽しんでいる余裕すらあったようだ。
(;*゚ー゚)「うそ…」
しぃがその言葉を発したのは、中盤…この譜面がそれこそ完全に疎らな状態になるサビに入った直後だった。
(;*゚ー゚)「…順位…動かない」
しぃはツンがこのゲームをプレイしているのを、それこそ知り合った頃から見ている。
しぃが見る限りではツンのプレイも普段と変わることはない。
「こんなの簡単だし息抜きでしかやらない」といっていた、このレベル域の曲でも。
しぃはクーが新たに遊び仲間に加わった時でさえも、ツンのこれが「当たり前」になっている。
ツンも同様だろう。
しかし…。
(;*゚ー゚)「…ツンが…1位…?」
呆然と、その事実を口にする。
川; ゚ -゚)(……だめだ、やるしかないっ!)
焦燥感に駆られたクーは、それでも何処か躊躇っていた…ツンへのオジャマ攻撃を断行する。
クーは始めてわずかの期間で「低難易度譜面ではコンボを切らせる事」が、どれほど戦略上の痛手になるかを感覚的に悟っていた。
彼女がツンを狙うのを最後まで戸惑った理由…それは、彼女に新たなトラウマを与え、修復しつつある溝を広げたくなかったからに他ならない。
一方で彼女は、自分より上に居るツンを狙わずに居れば、それが本気でないことを相手に印象付け、余計にダメになってしまうかも…という思いとでジレンマ状態に陥っていた。
しかし…彼女にとって不幸だったのは…ひとつは、既に撃つべきタイミングを逸していたこと。
サビ前の2メロ部分で撃てば、それなりの効果が期待できたはずだった。
そして、もうひとつの不幸は…。
(´・ω・`)(やはりか)
横目で見て、ショボンの表情も険しくなった。
ショボンはそれよりも前に一度「ランダム」のオジャマをツンに撃ち込んでいる。
ランダムは、自分の習得したオジャマ(道連れを除く)のいずれかの効果を、撃たれた相手に発動させる効果がある。
無害に近いレベル1オジャマが飛んでいくことがあれば、強力なレベル3の、通称「キラーオジャマ」が飛んでいくこともある。
兎に角博打要素の大きいオジャマである。
ちなみにツンがこのときに使っている「バラバラスピード」は、その「キラーオジャマ」と呼ばれるひとつ。使用可能になるヒーロー〜仙人部屋クラスの戦いともなれば…一部のド変態共を除けば…ほとんどのプレイヤーに致命の一撃を与える超兵器のひとつだ。
ショボンは知り得なかったが、彼の撃ったランダムが化けたオジャマと、それをツンがどう処理したかを知り得るのは…この時点ではギャラリーとなったビロード達だけだった。
川; ゚ -゚)(どうして…どうして動かないの!?
いくら得意譜面でも、クルバドでコンボが切れないなんて…ダンスも重ね撃ちされてるはずなのに…)
川; ゚ -゚)(…ッ!)
クーははっきり見てしまったのだ。
そのときについていた自分とツンとの絶望的なまでの得点差を。
彼女が主戦場としている仙人部屋では決して見ることの出来ない、信じられない値の点が其処にあった。
彼女がそんな「馬鹿げた」素点を見たのは…記憶にある限り…神部屋で一度あっただけだった。
偶然遭遇した、インターネットランキングの総合1位として知られるプレイヤーが居合わせた、第三者選曲のとあるN譜面でたたき出した時のみ…。
ξ゚听)ξ 99k/コンボ賞・クリア・フィーバー 1位
川 ゚ -゚) 93k/コンボ賞・クリア・フィーバー 3位
(´・ω・`) 96k/コンボ賞・クリア・フィーバー 2位
(´・ω・`)「やはりこれが現実か…くそうポエタソ曲で負けるとは痛恨のKWM…。
じゃねえやビロード、俺が撃ったランダム…何に変わった?」
( ><)「聞かない方が幸せだと思いますけどねえ…なぞ色ですよ。
あの局面であんなの飛んできたら、僕確実に切ります」
(´・ω・`)「なぞ色ぉ!?…くっ………はははは!そいつは傑作だ!
それでグレ一個叩かせたなら上出来だちくしょーめ!wwwwなきゃクルパ確定だわクソァ!!wwww」
なぞ色。正式には「?色ポップ君(ナゾイロ)」。
降ってくるポップ君の種類がそのラインとは無関係のランダムになる(例えば、赤のラインに緑や黄色のポップ君が降ってくるようになる)というこのオジャマは、いろはで開始されたネット対戦で習得できるオジャマでも、ある特定の条件を満たさなければ入手できない…所謂「ご祝儀」の意味合いもある。
カーニバルの環境であれば、総てのトランプを入手した「トランプマスター」になった時に入手できるのである。
しかし「ご祝儀」とはいえ…大多数のプレイヤーにとってその視覚効果はシャレで済まされるものではない。
仙人部屋クラス以上でも、これをマトモに食らってただで済ませられる技量の持ち主は極めて少ないのだ。
それを…ツンは「戦略的に本来クーがクルバドを打つべき場所」で受けながら…ほぼほぼノーダメージで切り抜けている。
いや…むしろそのお陰でツンは「グレート判定を1個出している」のである。
もしなぞ色もしくはそれに匹敵する威力を持ったオジャマが飛んでいかなければあるいは…決して、英雄部屋の戦いで見ることのないふざけたスコアが、鎮座していたことだろう。
ξ;゚−゚)ξ「…なんで?」
ξ;゚听)ξ「…なんで…こんなの普通じゃないんですか?」
ξ;゚听)ξ「たかだかレベル12の譜面で100kくらい、誰にでも」
(´・ω・`)「おいそれと出せるようなシロモノじゃないんだよ、ツン。
ましてアレだけのオジャマをくらいながらなんてな…それどころかお前、ずっと自分のキャラ見てやがったろ?
N譜面とはいえ譜面ひとつまるまる暗譜してクルパ、そんな芸当ランカーでも出来る奴なんて多分いねーよ」
呆然と呟くツンの言葉を遮り、淡々と告げるショボン。
そのツンの言葉も…ネット対戦に興じる人間にとっては、あまりにも浮世離れし過ぎていた発言といえる。
もし彼女らがショボンたちに出会わなければ。
ツンはこの「異質」に気づくことなく、終わっていたのかもしれない。
(´・ω・`)「今その意味を理解できていないのなら、この現実だけを受け止めておけ」
(´・ω・`)「…『天才』はクーばかりじゃない…ことポップンに関してなら…あるいは他の音ゲーでも。
お前の出来ることは、多分俺にも出来ない…恐らく、お前が持っているだろう天賦の才。
生まれ変わってひとつなんか才能もらえるなら、俺でも欲しいよそんなモン」
ξ;゚−゚)ξ「…」
なおも狐につままれたような表情のツン。
だが、彼女は思い返す。
これまで自分の練習にあわせて、手本として課題となる曲をプレイしてきたショボンとビロード。
その彼らが、それに無関係のプレイ…ネット対戦ですら、低難易度の曲をプレイしていない。
思い当たることはある。
彼らとの練習に入る前。
一度だけ低難易度の曲をして見せて…そのときは彼女が目標としていたメルトのN譜面だったが…そのプレイが終わった時に二人が見せた驚愕の表情を。
(´・ω・`)「時間も惜しいし、無駄話はここまでにしようか。
最後はこの戦いを締めくくるに相応しい曲を選ばせてもらう」
そう宣言するショボンが見せたのは。
「やはり楽しい…ポップンは楽しいな…久しく忘れていたよ。
月並みだけど、お前達は本当に『強い』な…こんな楽しいのは何時以来だ。
初めて全国の猛者と戦った…いろはの対戦が始まったときか…!」
ξ;゚−゚)ξ川; ゚ -゚)「…」
ツンやしぃ…おそらくはビロードでさえも。
「やはり、コースIRの結果だけじゃ見えないモノがある。
回線の向こうで、リアルタイムで競い合う相手がいる…それどころか、今同じ場で直接戦えるなんて。
こんなうれしいことってないじゃないか…!」
(;*゚ー゚)「…」
(;><)「ショボン…さん」
彼と出会ってから初めて見る。
(`・ω・´)「今の俺の掛け値なしの本気、出し惜しみはしねえ!
さあ…最後まで楽しませてくれよ、クー…ツン!!」
蟹IRでも五指に入る最強のランカー『DJシャキン』としての、彼の顔を。
(第六章終わり)