つぐみははっとして目を覚ます。
彼女は朦朧とする意識の中で、辛うじて自分が今、石畳の地面に突っ伏していることだけ理解した。
痛覚ですらも麻痺し、自分の身体がどうなっているのかすらも把握できず、彼女は僅かに視線を上げ…そして、視界に広がる凄惨な光景に、その意識が一気に現実へと引き戻された。
♪BGM 「情景 鮮血と闇」♪
見紛う筈もない。
遺跡の床を引き裂き、その中心部から幾条ものおぞましき触手をくねらせ、傲然と自分を睥睨する異形…それは、ほんの半年程度前に死闘の末倒したはずの「世界樹の禍」フォレスト・セル。
否。
ヴィオレッタは「遺跡そのものが禍と化した」と、そう言った。
ならば…今その網膜に焼きつけられたその異形は、セルと化したギンヌンガの「中核」ともいうべきものなのだろう。
しかし、問題はそこではない。
恐らくは、一瞬のうちに自分や仲間達を吹き飛ばしたそれに向けて、全身朱に塗れたアリアンナが、それでも己の腕で這いずりながら、その異形へと向かっている光景…!
つぐみは彼女を止めようと、立ちあがり叫ぼうとする。
だが、吹き飛ばされた瓦礫により砕かれ、あらぬ方向へ曲げられた左足で立つこともできず、そのまま突っ伏してしまう。
「ダメだ…アリアンナ、にげ…!」
禍の放つ瘴気で喉も潰されかけ、苦悶の表情で絞り出すようにつぐみは少女へ呼びかける。
この喉からでは届かないかもしれない。
それでも、つぐみは全身に走る激痛をこらえながら、少女の名を叫んだ。
♪BGM 「情景 蒼と銀」♪
アリアンナはその声に気づいたのか、渾身の力で上体を起こし…そして、蹲るようにしながらも、震える足を叱咤して立ちあがろうとする。
そして、つぐみの無事を確かめて微かに笑い、告げる。
「つぐみ…様。
どうか、どうかあなただけでも…逃げて。
…わたし、が…禍を…止める、からっ…!」
つぐみは苦悶の表情で頭を振る。
アリアンナは、異形の方へと向き直り、なおも足を引きずり、立ち向かおうとする。
「これは…私がなさねばならない役目…!
あの時…私やフラヴィオ様を庇って、目の前で燃え尽きてしまったあの方の分まで、生かされてしまった私の成すべき…責務!」
つぐみは目を見開く。
「やっと、やっと思い出せた。
私が…わたしが、あんな誓いなどしなければ…!
あの方にあのような呪わしい結末を与えずに済んだのに…私さえ、いなければ!!」
その悲痛な叫びに、嗚咽が混じる。
彼女は思い出したのだろう。
その記憶の空白にあるべき、残酷な別れの記憶を。
そして、彼女はその記憶に縛られるかのように…己を苛み、無残な死を望もうとしている。
「ダメだ…そんなのダメだ、アリアンナ!
あなたのせいなんかじゃない!」
つぐみは渾身の力を振り絞り、制止の言葉を叫ぶ。
そして、彼女もまた、悲鳴を上げる全身を叱咤し立ち上がろうとする。
「あなたは…過去に囚われていちゃいけない…!
フラヴィオ、言ってたんだ…あなたと彼の目の前で消えたそのひとは…きっと、あなたが過去に囚われて生きていくことは、望んでいないって!
だから、ここであなたが死んでしまったら…そのひとは絶対悲しむよ!!」
はっと足を止め、立ち止まるアリアンナへと…つぐみは、己の腕に渾身の力を込めて近づいていく。
「だから…あなたは生きなくちゃ…ダメだ!
こいつは…この「禍」は…私の落とし前なんだから…私の力で、倒すッ!!」
力なく崩れ落ちる二人の両手が、重なる。
悲しみに表情を歪ませ、血と煤で汚れたアリアンナの頬は、彼女が流す大粒の涙で洗われていく。
「そんなの…だめです…!
だって、ぜんぶ…私のせいじゃ、ないですか…。
私は…私はあの方を選んで…そして、つぐみ様まで巻き込んだ…!
私っ…こんなことなら、あなたに…出会わなければ…!!」
「ちがうっ…!
私のこの、運命は…!
私、自身が、選んだもの…だからっ…!」
つぐみは、アリアンナの手を強く握りしめる。
「だから!
この運命はだれにも否定させやしないッ!!
私のこの手で、必ず私の…「私達の」未来をつかみ取るッ!!」
つぐみの想いと、その言葉に呼応するかのように…チョーカーの中心に光るメガストーンに、力が萃まっていく。
アリアンナは、この絶望的な状況の中でも、なおも輝きを失わないつぐみの瞳に惹き込まれるかのように、その手を強く握り返した。
そして…彼女の手の甲にも、不可思議な紋様が浮かび上がり…そこから放たれた光がつぐみのメガストーンと共鳴する…!
「これは…!」
その瞬間、凄まじい雷の魔力が、つぐみの全身を駆け…視界が暗転する。
-汝の理想を示せ-
そして、その脳裏に響く声。
目の前に浮かび上がるは、二本の足で立つ黒き竜のシルエット…まるで巨大なタービンの如き尾に紫電を走らせる、見たこともない竜の魔物…否、つぐみはそれを、ポケモンだと認識した。
-汝のその運命が、我をここに呼び寄せた。
汝のその理想が、救世の英雄の示すに足るものであれば、我が汝の力となろう-
真実を求める英雄に従う白陽の竜と、理想を求める英雄に従う黒点の竜。
イッシュ地方に伝わる建国秘話に登場する伝説のポケモンの一柱。
「これは…一体!?」
気づくと、隣にはアリアンナが立っている。
お互い立つこともできぬほどの重傷を負っていた筈…否、そんなことは些事に過ぎない。
つぐみは彼女の手を取り、黒点の竜に告げる。
「私は…世界の全てを救うなんて大それたことなんて言えないよ。
けど、今。
私の目の前で悲しむ人がいる。
私は、私のこの眼に映る限りの人たちを、悲しみから守ってあげたい…それが、私の理想だよ!!!」
つぐみの勝ち気なその言葉には、母親譲りの確かな覇気が籠っている。
黒き竜は嘆息し、そして、告げる。
-汝の其の道は、艱難に彩られることであろう。
だが、汝であれば、それを成すこと叶うやもしれぬ。
我が力、その一助とならん!!-
♪BGM 「戦乱 千尋の底、干戈の響き」♪
ほどばしる竜の気が、二人の身体を駆け廻り…そして、つぐみの姿はこれまでとはまた異なる姿となっていた。
元のメガデンリュウの様な意匠の上に、所々黒いプロテクターの様なものが纏われ、そして尾の形は、黒い紡錘形のタービンの如くなっている。
「つぐみ様…その、お姿は…!」
戦慄く様なアリアンナに、つぐみは己の身体の感覚を確かめるように掌を握り、開きを繰り返して、頷く。
「そう言えば、ひとつ言い忘れてたことがあったっけ。
私のこの姿が、
私のファフニールとしての姿は、本来は進化を越えた進化…メガシンカの姿になるんだ」
「メガ…シンカ、ですか…?」
「うん。
そして、メガシンカは本来…ポケモンと、そのポケモンと真に心を通わせたパートナーの人間であるトレーナーが起こす、奇跡なんだってこと。
私ひとりだけじゃ、本来とても扱える…引き出せるような力ではなかった」
つぐみの両手が、アリアンナに重ねられる。
「このチカラなら、あいつを倒せる。
…一緒に行こう、アリアンナ!
私達の未来を勝ち取るために!!」
未来。
アリアンナはその全てを受け入れ、強くその手を握り返す。
「はい!」
その表情に、煩悶は既にない。
過去を受け入れ、決別した少女。
運命を受け止め、未来へ突き進もうとする少女。
今、その二人と異形の魔による、呪われた歴史の幕を引く戦いが始まる。
「狐尾幻想樹海紀行 緋翼の小皇女」
第五十三夜 未来への道標
静葉「まー解ってると思うけど本来ここは主人公の一人舞台ですしおすし」
レティ「これもうさとりや諏訪子だったら完全にニューロン焼き切れてるわよねえ(しろめ
何故CV高橋秀樹さん(映画話)を出現させたし」
静葉「何気にメガデンリュウとゼクロムはタイプもそうだし特性もほぼ一緒ですからまあ」
レティ「そういう問題じゃねーっつの><」
静葉「大分端折った挙句大分トンチキな事になってるけど、とうとうストーリー最終決戦ね。
しつこいようだけど、本来第二ラウンドは主人公一人で戦うわ。
っても…イベント戦闘だから間違いなく負けることはないんだけど」
レティ「TPは変わらないのにHPこれですもんね。
挙句自己再生も入ると来たもんで」
静葉「それどころじゃないわね。
おそらくだけど、フォースエナジーとってなくてもTPも回復するんじゃないかしら。
一応フォースブレイクの弾数は一発だけだけど、それで変身が解けるわけでもないみたいだし」
レティ「あ、それも試しはしたのね」
静葉「というわけで今回こそ茶番大重点なので、簡単に最終戦のスキルとか紹介していくことにするわ」
つぐみ(スラッシュ)
ソニックレイド1 フレイムセイバー1 フリーズセイバー1 ショックセイバー★ ディレイチェイス1 オーバーキラー1
レゾナンスソード1 フォースシールド★ フォースリセット5 アブソーブ★
刀剣マスタリー★ フォースマスタリ★ 属性攻撃ブースト★ 限界突破★ フォースエナジー★ HPブースト1
静葉「実は後半になるにつれて、意外と使う機会が多かったのがフォースリセットね。
たとえばあとは主人公何もしなくてもFOEに止め刺せるときに使って、伝説のフォースアップグリモアですぐに次の戦闘で変身したりとか」
レティ「確かに、ブレイクしっぱなしで戦闘終わるのもったいない時もあるわよね。
一応最速発動みたいだし、フォースをキャッシュバックしてまた必要な時すぐにフォースブーストできると嬉しい職はいっぱいあるわね。ファフはいうに及ばずマグス、ダクハン、プリあたりとか」
静葉「あと地味にマインドシャットね。
メインが属性攻撃になるから、何故かやたらグリモアを持ってるバイタルよりマインドの方が欲しくなる場面が多くて多くて」
レティ「ファフのLUCですらそこそこ縛り成功率高いらしいわねこれ」
静葉「一点しか縛らないからっていうのもあるんでしょうね。
まあ、その辺はクロエの巫剣である程度カバーは出来るわけだけどさ」
アリアンナ
攻撃の号令★ 防御の号令3 予防の号令4 不屈の号令★
ホーリークラウン1 エクスチェンジ1 リセットウェポン1 リンクオーダー★ ショックサークル2
号令マスタリー★ HPブースト5 TPブースト5 ロイヤルベール★ レイズモラル1
レティ「とりあえず都度必要なサポート揃えましたみたいな感じね」
静葉「リンクオーダーはクロエにも持たせたからがっつりサークル振りに行ってもいいとは思ったんだけどね一瞬。
なお24Fで悲劇を増大させたのがそこに装備されてる攻撃の号令」
レティ「至極どうでもいいわね。
実際、アリアンナはサポート特化にするか自分でもある程度殴りに行けるようにするか、その辺がちょっと迷うキャラではあるけど。実際今作のプリはTECがアルケミ、メディックに次いで第三位の高さですもの」
静葉「透子とかつぐみがそうだけど、LUCが補強されるメディ、HPとVITが補強されるアルケミはプリからの有力な転職候補になるものね。
まあ今回は、おぜうがいなくなったから基本的にはおぜうと同じような振りよ。HPが満タンのままやり過ごされる機会も多いし、ロイヤルベールが兎に角鬼みたいにPTの生存率を高めてくれるわ」
レティ「しかも地味に重ねてやがるし。
それに中途半端にサークルに振るくらいだったら、TPブーストとサークルに振った6TP全部レイズモラルに振る選択肢なかったの?
グリモアまで装備しておいて」
静葉「何気にそれ結構無駄だって後で気づいたのよねえ。
実はアリアンナ、ほとんど強化枠入れずに過ごすこと多いのよ。つまり彼女自身に対してはレイズモラルが発動しない」
レティ「何してんだか…一応、主人公は強化のってるわけだし、主人公が何時でも変身できるってことがアドバンテージを生むしね」
静葉「まあね。
それにレイズモラルの補正値が思った以上に低いらしくて、本気で運用するなら限界突破するくらいじゃないと効果が実感しにくいらしいわ。
まあ…そうよね。そこに関しては返す言葉はないわね」
フラヴィオ
フランクショット4 ブラインドアロー★ スリープアロー1 パライズアロー1 ドロップショット5
ダブルショット1 サジタリウスの矢1 トリックステップ★ アザーズステップ★
弓マスタリー★ 素早さブースト★ 抑制ブースト★ エイミングフット★ 野生の勘1
静葉「最後まで歪みねぇフラヴィオね」
レティ「あえて何も言わないわよ(呆
しかしこれまた、本当に歪みねぇサポートっぷりだわね」
静葉「普段は物理攻撃の枠に、途中で取得した暴風の翼8を入れてるわ。
本編ではほとんどやらずに終わった「うさぎとからす」戦略をまさかフラヴィオとクロエでやることになるとは思ってもなかったわ」
レティ「あ、そのネタ生きてたんだ。
けどさ、なんかウワサで色々言われてた気がするんだけど、結局先の先の強化減算云々の話ってどうなの?
それを知った上であえて入れてく方向性?」
静葉「それでもなんだかんだで、10%程度は上乗せされるからでしょうね。
そもそも先の先だけの強化だったらたかが知れてるわ、組み合わせてナンボよ。それにこのメンバーだと他に活かせそうなのこいつしかいないし」
レティ「確かに減算されてるわりには幼子や魔神の3ターン撃破とかでも使われてるしねえ」
静葉「あと盲目はセルや、かなり先の話幼子にも地味に通るから腐らないし、ブラインドは全振りして損はないわね。
というか盲目も毒と同様耐性の穴になってること結構あるから、あれば非常に便利ね」
クロエ
巫術:再生5 再生帯5 再生陣1 鬼力化★ 皮硬化1 脈動5 呼応★ 乱疫3 転移3 結界★ 反魂1
巫剣:霊攻衰斬1 霊防衰斬4 霊封頭斬1 霊封腕斬1 霊封脚斬1 霊攻大斬1
巫術マスタリー★ 巫剣マスタリー★ HPブースト1 抑制防御ブースト1
レティ「何よこれ、普通にてゐじゃない」
静葉「そそそんなことないわよ大斬は重ねてないし攻撃特化してないし(狼狽」
レティ「…なんであんたがそんなに狼狽してるのよ。
実際この近辺のてゐここまでサポート特化してないでしょうが」
静葉「まあ確かにかなり諏訪子寄りの構成にはなってるけど、そもそも呼応は諏訪子で試し打ちしたし」
レティ「というか前々回も触れたけど、前提になる脈動だってかなり狂ったスキルよ。
似たようなもので、今回地味に追加されたチェイスヒールがあるけど」
静葉「チェイスヒールはだいぶ分かりづらいけど、脈動の効果はストレートに強力だってわかりますものね。
まあでも、鬼力化と結界は高速で抑えにいったかしらね。前衛にはいたけど、あまり殴りに行ったような記憶はないわね」
レティ「ぶっちゃけ前衛に置いてた意味がわかりにくいわよねえ。
だったら盾マスタリーか盾スキルとセットで聖騎士の盾でも持たせとけばよかったんじゃ」
静葉「それは私も思ったわ。
因みにクロエでパラディンのガード系スキルを使うと、ベルトランのセリフを真似してるようなボイスがあるそうよ。
センチネルは論外だとしても、フロントガードとかヒールガードとかで試してみるのも一興ね」
ベルトラン
フロントガード1 バックガード1 ファイアガード★ フリーズガード★ ショックガード★ ヒールガード1
センチネルガード★ シールドスマイト1
盾マスタリー★ HPブースト5 物理防御ブースト5 属性防御ブースト5 決死の覚悟6 パリング★
レティ「こいつもなんか、私とみとりをごちゃ混ぜにした様な振り方よね」
静葉「仕方ないわよ、パラディンとかその系統はどうしても似たり寄ったりな構成にはなるわ。
物理相手には身代わりとセンチネルをうまく使い分けて、あとはまあ何時もの通りね。盾マスタリーとパリング、さらに忠義マスタリーを重ねることで身代わりで乙という事態を防ぐと。
決死の覚悟もあるからかなり死にづらいわね」
レティ「もっともこの時点ではSP足りてない感が酷いわね。
というか今気づいたけど、聖騎士の盾の補正があるとはいえ結構LUC高いのねパラディン」
静葉「わりと花杖の追加効果決めるからねえ。
意外と手の空いた時に異常攻撃撃たせるのには向いてるクラスだと思うわ。まあ、アテにできるほどじゃないけど」
…
…
「つぅっ…」
ヤマメがうっすらと目を開け、起き上がろうとするも激痛に顔をしかめて大地へ体を預ける。
「まだ、起き上がっては駄目。
ようやく腹が繋がった…下手に動いたら、また破けるわよ」
「…ゆか、り…?」
彼女は傍らに立ち、治癒の魔力を放つその女性へ視線を送る。
トレードマークとも言えるナイトキャップのような白い帽子に、丈の長い紫のロングのワンピースを纏うその金髪の女性は、紛れもなく八雲紫だった。
だが、ヤマメの記憶が確かであれば、紫は輝針城反乱から向こう、あまりに多くの力を失って長い休眠状態にあったはず。
それに、背を預ける土の感触は、遺跡の冷たい石畳ではない。
ヤマメは必死に前後の記憶を辿り…そして、自分がつぐみとアリアンナ以外の全員を、降り注ぐ瓦礫から身を呈して護ろうと渾身の力で「鬼喰女郎」を再度発動させようとして…。
「…そっか。
あんたが、助けてくれたんだな…ありがと」
「礼には及ばないわ。
あなた達には、まだまだ返しきれないほどの大きな借りがある。
それに…あなたが死んでしまったら、つぐみも悲しむから」
「…!
そうだ、つぐみは!」
起き上がろうとするヤマメを制し、紫はその事実を告げる。
「つぐみは…あの印の娘と共に、最後の戦いに赴いている。
感じるでしょう、あのすさまじい力を」
地の底から伝わってくる、猛烈な戦いの波動。
その片一方は、あの一瞬感じ取ったフォレスト・セルのものであろう。
しかし…そのもう一つの巨大なパワーは。
「本来、メガシンカとは…その力を持つポケモンとトレーナーがそれぞれ特別な石を介し、その両者が結んだ絆を力として一時的に進化の壁を超える「超進化」というべき現象。
これまでつぐみは、無意識的に自らをトレーナーと位置づけ、宿したファフニールの力をメガシンカという形で引き出していた。
けれど…それは完全なメガシンカではない」
「あの姫さんが…つぐみに力を与えているって…そういうのか?」
紫は頷く。
「つぐみは、アリアンナの悲しみを受け入れ、アリアンナも、つぐみの示す未来へ、共に手を伸ばそうとしている。
その両者の心が起こした、紛れもない奇跡よ。
あの子は…あの子達は、絶対に負けないわ。私が、再び自分の足でこの世界へ立てたように」
治療を終えたのだろう、すっと立ち上がる紫の表情は、その生涯のパートナーとも言える誰かに、よく似ているような気がしていた。
そして、その放っている覇気も…ヤマメは、自分の中に眠る赤竜の竜珠が共鳴するのを感じ取っていた。
(そうか…そうだったよな)
全てを理解した彼女は、ゆっくりと目を閉じる。
今なお戦う少女が戻ってくることも信じ、彼女の意識は再びまどろみの底へ堕ちていく。
…
…
レティ「どゆこと?」
静葉「んまーその件に関しては、ストーリーが次回の大団円を迎えるので直後ぐらいに触れようかしら。
実はエトリアでも、わりと最近になって赤竜まで倒した、という事よ」
レティ「…は?
まさか前の氷竜の時みたいに、また勝手に私が絡んだことにされてるとかそんなことは」
静葉「あなたにその記憶がないんだったら安心してもいいんじゃないかしら。
とりあえずこの場にかごめがいない、ということで察して頂戴。また一人くらい入れ替ってたりするかもだけど」
レティ「そんなにあとから余計な歴史をつくるんだったら、もうちょっとその辺のプロット組んでから向かうとかそういうことは考えつかないわけ?」
静葉「いつものことじゃないそんなの。
今更の話だからもう容赦なくネタばらししていくけど、実は二十四夜で伏せられていたペットの名前、実は勇儀と見せかけて事もあろうに「針妙丸」なんて名前がついてたのよ」
レティ「それこそどういうことだってばよ(しろめ」
静葉「打出の小槌のチート効果…と片づけるのも簡単だけど、ここでの針妙丸は小槌を完全に失っていることになってるからね。
結局その辺のこじつけが巧く考えつかなかったから、あのペットは勇儀にしようか藍にしようか迷っていたけど、結局藍という話でまとめたそうだわ。もっとも、勇儀は氷竜戦でゲスト参戦してるわけだけど」
レティ「じゃあ小人を参戦させる可能性も微粒子レベルで存在はしていた、と」
静葉「結局可能性は可能性でしかなかった、ということね。
一応前作にはユグラドールっていうアクセあったけど、あれを常につぐみに持たせてそれを針妙丸に見立てる案もあったそうよ。
因みにユグラドールだけど、その赤竜戦でも…いえ、それはその時のお楽しみということで」
レティ「全然楽しみには聞こえないわねえ…どんなトンチキなプロットになってんのかしらねその話」
静葉「一応セル戦は基本的に上帝戦と一緒で、主人公がショックセイバーもしくはショックウェイヴを叩きこんだ端から、アリアンナとクロエがリンクオーダーを釣瓶撃ちにするだけよ。
ただ、ウェイヴだとセルメンブレン状態のセルにも当たってかえってダメージ効率悪くなるから、セイバーとフラヴィオの序曲攻撃メインで」
レティ「そういう意味では主人公の変身もどこで行うべきか迷うところね」
静葉「一応3回変身できたわよ。
レイズモラルもあるし、主人公やフラヴィオは常に何かしらの強化入ってるから、かなりのスピードでフォースが溜まるわよ」
レティ「だったらフラヴィオもブーストの機会多いだろうし、なんでこいつだけ死んで終わったのかナゾよね」
静葉「最後のハルマゲドン連打三発目の時だったと思うんだけどねえ…まあよく覚えてないわ。
最後は主人公がアクセラから零距離、ウェイヴ、アカシックノヴァで一挙に12000近い与ダメ叩きこんで終了」
レティ「頭おかしいわよその数字。
零距離の補正も★で1.85とかかなり狂ってるのは知ってるけど」
静葉「だからわりと最初から言ってると思うんだけどね、ファフニールが色々狂ってるって。
ああ、どうでもいい話だけど全開のストーリーセルと一緒で、第一段階のBGMは六層雑魚のよ。専用のBGM「戦乱 千尋の底、干戈の響き」は後半のイベント戦闘の時もしくはクラシックで来た時だけで、ストーリーだと実質六層雑魚戦BGMがラスボス戦のBGMになるわね」
レティ「それ本当にどうでもいい話ね」
静葉「というわけで短いようで意外と長かったストーリーモードの話も、次回でおしまい。
次回はストーリー大団円から、これからの方針とかなんやかんややると思うわ。っていうかインターミッション回ね」
レティ「はいはいどうせ茶番なんでしょそれ。
そろそろポケモン新作の発売も迫ってる(射命丸メモ:2016年冬発売予定という話です。そういえばポケモンZってどうなったんでしょうね)どころか、その前に世界樹5の発売日まで確定した(こちらは2016年8月4日)わ。いい加減こっちもケッチャコつけないと」
静葉「多分幼子までやると思います(キリッ
というわけで、ここまで」
レティ「∑( ̄□ ̄;)えちょおま」
…
…
あまりにも圧倒的に見えた禍の力。
しかし、つぐみが手にしたその「黒き伝説」の力はその比ではなかった。
放たれた雷は紫電を放つ刃の波となり、中心核を護る触手を残らず一瞬にして粉砕消滅させる。
解き放たれた竜の波動が、参集する踊り手たちを尽く爆散させ、苦し紛れに中心核の放つ高密度の破壊エネルギーも、その一喝で霧散せしめた。
紡錘形の黒い尾が、その闘志の高まりに呼応するかの如く紫電を纏って回転させ、咆哮するつぐみの姿に…改めて彼女が人間を超えた存在であることを、アリアンナは今更のように理解する。
だが、アリアンナは知っている。
つぐみが、自分となんら変わらない「ヒト」の心を持つ存在であることを。
自分が一度は捨て去ろうとした「未来」を、過酷な運命すらも乗り越え掴もうと必死にもがく、普通の少女であるということを。
だからこそ、アリアンナはこの少女を信じた。
彼女が灯してくれた未来への希望への道標…それを共に掴み取る道を選んだのだ。
-それでいい、アリアンナ-
彼女の脳裏に、忘れかけていたその声が響く。
彼女が知る少年の姿が…青年の姿に変わり…差し出された手に、彼女は触れる。
-君は、生きるんだ。
俺の分まで-
アリアンナはその決意を示すかのように、深々と頷く。
再び目を開けたその先には、その手に重ねられているつぐみの手。
伝わってくる熱い想いをしっかりと捕まえるように、アリアンナはその手をしっかりと握り返した。
「我らのこの手が真っ赤に燃える!」
共鳴し合い、高まる闘気がそれぞれの手の甲に、同じ翼の印象を刻む。
「未来を掴めと!」
「轟き叫ぶッ!」
鏡合わせのようにして、二人が同じ構えを取った。
重ねあわされ、竜の顎の如く開かれた二人の手の中心に凄まじいエネルギーが収束され、その中心点で臨界へと達する!
「石破!双翼!
天驚けええええええええええええええええええええええええん!!」
解き放たれた光が、禍も、二人の姿をも飲み込み…轟音と共に、遺跡から天へと巨大な光の柱を走らせた。