チルノ「うわああああああんヒマだよヒマだよ!!
   あたいも対戦に出せええええええええええええ!!!><」



かごめ「(半分凍っている)…というわけなんだよ。
   つーわけでちっとアレを遊ばせてやってくれないかな?
   まー嫌だとはほざいたらとりあえず二回分の貸しを返せっていうけど」
幽々子「謙虚に頼みに来たと思ったらさらりととんでもないこと言ってくれるわね。
   というかその辺りはあくまで私個人の言い分だから多分ダメ、って理屈は通るかしら?」
かごめ「いやお前らのバックにいるお祭り好きな神は二つ返事で承諾しやがったから問題ない筈だが」
テトラ「( ̄□ ̄;)相変わらず無茶苦茶ですねあなた方!!

シグマ「というかあのバランスブレイカーがフルで何かしでかしたらどうなるかわからんから調べてこいとか…。
   なんだ? 私達は下っ端役人か何かかええオイ?」
フローラ「まあまあいいじゃないですかシグマさん^^
    私としては手ずからポエットちゃんをズタズタにして差し上げたかったですがこのさいちっこい子なら誰でもいいですね(ニタァ
フレーム「( ̄□ ̄;)おいこらお前なんだその悪い顔は!!??
    というかその顔でさらりとイメージに合わない物騒な事を言うなー!!」
フローラ「うふふ嫌ですねぇフレームさん、ほんの冗談じゃないですか♪」
シグマ「私もう帰っていいだろうか(しろめ」




ポケモン対戦ログ(2014.3.9) その2+おまけ



フルバトルのラウンドですぞwwwww

我の手持ちの先発ですぞwww
コーデリア(ネオラント@のんきのお香)
控えですぞwwww
ひな(ユレイドル@食べ残し)/ちぇん(ブニャット@シルクのスカーフ)/ウェルダン(バクフーン@突撃チョッキ)/こがさ(ワタッコ@王者のしるし)
何故か出番がなかった枠ですぞwwwどういうことですかな?wwwww
グレイシア

お相手の先発ですぞwww
うた(オンバーン@ノーマルジュエル)
控えですぞwww
テンコ(ゾロアーク@多分タスキじゃなかったかと思う)/ニア(ランクルス)/シグマ(メガサーナイト)/フローラ(ニャオニクス)/フロウフロウ(ポリゴン2@輝石以外思いつかん)


かごめ「前置きはさておき続き入ります(しろめ」
さとり「というか見せ合いの記述から既に半分ネタバレになってる所が何とも」
紫「正直狐野郎も「これはひどいwwwww」を連呼してたくらいもう酷い内容だったから仕方ないのかしらね。
 まあそれなりに見せ場というか、想定通りの活躍もあったんだけど」
さとり「ここも要所ごとに触れていきましょうか。
   先ずは初手ですね。コーディの持ち物を見抜いたオンバーンがジュエルからの爆音波来ましたが」
紫「速攻でとんぼ返りしたはいいけど、他にできる事って無かったのかしら」
さとり「実はHCで特化してるのですしアタッカーでもよかったのでは?」
かごめ「というか振りを今度変えてサポート特化にしようかと思案中でして」
さとり「答えになってないじゃないですか」
かごめ「能力値的にアタッカーができるポケモンじゃねえし、呼び水発動したところで繰り出し先に刺さる技も覚えねえからな。
   水相手に出して呼び水発動、そのあとなんかこまごまと嫌がらせするのが結局こいつ一番いい気がしてるんよ」
さとり「随分昔の話ですけど、ガルーラ相手にタイマン張ったことだってあったじゃないですか。まあ、あの時は物理でしたが。
   水相手にどくどくぶち込むことに妥協して、吹雪辺り持たせとけばいいんじゃないですかね?」
かごめ「せめてハイポンが欲しいところでもあるがな」
紫「まあそれはさておいて…トンボの交代先はユレイドル。
 こちらは、まあとりあえず負担をかけようとしたのか前歯を受けてしまいました」
さとり「クロバの場合は教え技ですけど、オンバーンはなんか自力で覚えるんですよね。
   というか見た目完全にコウモリなのに、なんでこいつドラゴンタイプ持ってるんでしょう
かごめ「ナゾですな」
紫「ナゾね」
さとり「いやそんな「わからんもんは語れませんわ!」で片付けられても。
   向こうもポリゴン2を交代で繰り出してきましたが…中身はゾロアークと」
かごめ「タスキ持ってる気配はなかったよな。
   どうせ冷凍ビーム撃ってくるんだろうし、みたいに考えて、とりあえずミラコ張ったら気合玉でゾロアーク特定余裕でしたという」
紫「ほとんど1対1交換になったけど、意味があったのかどうか疑問よね。
 死に出しからの橙も結局トンボしただけで、出番もこれっきりになってしまったわね」
さとり「しかも瀕死のゾロアークに止め刺しただけですしね。
   ただ、意外と活躍していたのが8ターン目に登場したウェルダンですね。
   ニャオニクスに対して撃った岩石封じはポリゴン2にはあまり効果がなかったようですが…」
紫「というかこいつ、物理型よね。
 意地っ張りのA特化だったっけ、いくらグロパンの威力が低くても、4回殴ってそれでもポリ2に受けきられるってのもなんなのかしら」
さとり「挙句、このポリ2物理型ッぽい感じでしたよね。
   実際は補助技入れたところに恩返しだけ入れた、みたいな感じでしたけど」
紫「ダウンロードでA上がったwwwざまあwwwwとか思ってたらまさにKonozamaでした、と
かごめ「だから輝石ポリ2の耐久がおかしいんだっつーの><
   だがなー、ここからが本当にひどかった。具体的にいえば、小傘が全部」








♪BGM 「おてんば恋娘」(東方非想天則)♪


小傘「いっつあしょーたーいむ!!><
  小傘ちゃんのびっくり芸でみんなおっどろけー!!!」


小傘は剣の舞の構え!
小傘の攻撃力がひゅんひゅんアッポしていったんだが?


テトラ「…?
   あのユルールさん、カロス地方ってどっかにノーマル以外のジュエルってありましたっけ?」
ユルール「見てない」
マタン「何それ?」
文。「小生のログには何もありませんな」
テトラ「誰がネタをやれっていいましたか誰が(#^ω^)
   おっかしいですねえ…飛行のジュエルがないとなれば、アタッカーワタッコのアクロバットを一体どうやって発動させるんでしょう…?」
文。「ふむ…サポート型にしてはいきなり舞ってきたところが気にはなりますな。
  というか、サポートをするわけでないなら、バトンを持っていないあのポケモンで剣舞を積む意味はほとんどないような
テトラ「何してくるのかわからないけど、とりあえず回復しておいた方がよさそう…」
文。「あっ」

フロウフロウは自己再生の構え!
フロウフロウの傷が回復しt

小傘「だったらそのままゆっくりしていってね!!!>ヮ<

小傘はすかさずアンコールの構え!
アワレにも自己再生以外の技は出せなくなった!!

テトラ「( ̄□ ̄;)!!!
文。「あんた学習能力ないんですかマジで…あれに限らず、河童からとかも何べんもアンコ食らったじゃないですか(しろめ」

小傘「そしてこれだけじゃ終わらないぞー!
  倍プッシュだっ…!!ヽ( °Д °)ノ

小傘はさらに剣の舞の構え!
小傘の攻撃力がさらにひゅんひゅんアッポしていったんだが?

シグマ「お、おい! アレさすがに拙くはないのか!?
   あそこまで積んでしまえばほとんどどの技を撃たれても必殺技レベルだぞ!?」
文。「ま、まさか自然の恵み…いや、アレは搭載するに遺伝はできないし、第四世代の技マシンのみの習得の筈。
  それにそんなもの入れたら技スペースが全く足りない…とすると、もしや」
フローラ「とりあえず一回止めてきますかねー」

フローラは猫だましの構え!
小傘はびっくりして動きが止まってしまった!!

小傘「( ゚д゚ )!!??
  お、おのれこの私をびっくりさせて止めるとは…お主さてはさぞ名のある唐傘だな!!?」
フローレ「あらあら私は何処にでもいる貧弱一般大天使ですよ〜♪」

フレーム「いやもう…大天使の時点で何処にでもはいないから…(しろめ
シグマ「というかさっき恩返し一発食らってる筈だが…まだピンピンしてるなあの唐傘オバケ」
フレーム「いくら私でもポケモンの予備知識くらいはしっかり頭に叩き込んできた。
    フローラはただでさえ攻撃力が低い上にそれを補正で下げてるじゃないか、どれほどのダメージが期待できるという」
シグマ「まー確かにそうなんだがなー」

小傘「むむむこれは実際油断ならぬ相手!
  ここは私のタネマシンガン=ジツで早急に爆裂四散させるしかない! ニンジャ死すべし、慈悲はない!!m9( ゚д゚ )
フローラ「だから私は大天使で…ひゃああああああああ!!??( ̄□ ̄;)

小傘は最高最速のタネガン=カラテを使った!
想像を絶するカラテでフローラはしめやかに爆発四散!

さらに後ろにいたフロウフロウもついでにネギトロめいた姿に!
周囲はマグロの散乱するツキジの如き惨状…!

シグマ「( ̄□ ̄;)おおおおおおおおおおおおおいなんだあの破壊力!!?」
フレーム「うわあ…これアカンやつや…
シグマ「っていうかお前も唖然とし過ぎて口調がおかしいぞ!?」


かごめ「…そしてなんかこっちも命の危険が危ない状態なんだが?(背中から凍り始めている
諏訪子「奇遇だな、私もだ(首の下がすでに凍っている
文「(氷の中にいる)

チルノ「うわあああああああああああああああんあたいに出番を寄越せえええええええええええええええええええええ!!!><(無差別パーフェクトフリーズ中)」
大妖精「(氷の中にいる)








かごめ「実際アクロバット要らなかった(迫真
さとり「しかも王者のしるしまで発動して本当に相手に何もさせませんでしたね。
   というか、タネマの一発でメガサナの体力半分以上持ってきましたね」
紫「最早名状し難いわね…実際これ、タネマシンガンだけでしょ攻撃技」
かごめ「一応つばめがえし持ってますが(キリッ
さとり「えっ飛行技持ってたんですか」
かごめ「まあその辺の話する前に、この小傘について話しとこうか。
   群れバトルで余りにも見つかる気配なかったから、とりあえず、PGLで捕獲しておいた夢特性のハネッコを連れて来て、メタモンで増やした。それがことの発端だ」
紫「えっハネッコなら別にメタモンを使わな…あ、まさかオスしかいなかったとか?
かごめ「ご名答。
   それでもなんかの役には立つかと思って取っておいたんだが、今回の仕様変更だしな。
   元々晴れパはほとんど趣味領域だったし、それが天候パ全体の弱体で葉緑素にする意味がほとんどなくなっちまった。
   身代わり貫通という強化を加えられたすり抜けもさることながら、そもそもワタッコは無理に加速させなくても110族だし相当速い」
紫「神秘の守りや白い霧を貫通して補助技をぶち込めたりするしね。
 でも…基本がアタッカーなら、どうしてもアクロ抜きだと火力不足じゃないかしら?」
かごめ「懸念材料はそこだった。
   一応、ノーマルジュエルで恩返しや、フシギバナから遺伝できる捨て身を試したり、アッキやタラプ持たせて強引に気の実を発動させるとか考えてみた…が、飛行ノーマルですぐに技スペースがなくなっちまうし、木の実にしたって後出しが前提になるし、能動的に発動させるのは相当難しい。
   そんなこんなやってるうちにだんだん、そこまで手間かけてアクロバットを無理に使うのもアホらしくなってきてな」
さとり「まあそれだったら…草技以外ほぼ同じ事が出来て、投げつけるが使えて、攻撃力も技威力も高いルチャブル使えって話になりますよねー」
かごめ「そこなんだよな、どうしてもあのジュウシマツ住職が高過ぎる壁になる。
   だったらいっそアクロバット切って、粉技読みで繰り出してアンコで縛ることもできるようになったし、剣舞ガン積みすればそれなりに殴れるんじゃないか…と思ったわけで
紫「で、タネマツバメ剣舞アンコの構成にしたと」
かごめ「シンプルでわかりやすいしな。
   その結果どうなったかは、御覧の通り。
   お陰で、裏にいたチルノなど全く出てきてすらいねえ。完全に置物状態だったな」
さとり「もっとも出てきたところでポリ2に止められる未来しか…あ、ああいやあの子のことですしどうせ吹雪ぶち込んで凍らせる気がしますね(しろめ」
紫「Hゲーになるか傘ゲーになるかの二択しか存在しない(キリッ
かごめ「まったくもってその通りだった。
   ランドフォルム(=パンプジン)もランドフォルムで派手さはないけど仕事はきっちりこなせるし、チルノみたいに滅茶苦茶はやらないけど相手にしてみたらタチの悪さに大差はないだろ」


かごめ「というわけでそろそろ本当にあのH出してやらないと我々の命の危険が危ないわけであるが、今回はとりあえずここまでだな。
   因みに暫定の対策だがとりあえずコーディに氷属性を持たせる方向で
さとり「いやそれ何の対策になるんですか?」
かごめ「ぶっちゃけると、あいつ単品でもチョッキ着せてミラコなり礫なり入れるとか色々あるわけだけど、天候は弱体化したとはいえサポート系メガユキノオーとかやっぱ強いから、ヤキノオーとは別に御大用意してもいいかと」
紫「まーた全国の大妖精ファンを敵に回すようなことを…レティでやんなさいよレティで」
かごめ「ただでさえマンムーさんで色々あるのにこれ以上あからさまにあんなの勧めたら本気で凍死しかねんわ!!><
   …というか、あたしとしてもあの黒幕がギガドレとかでねちっこく立ち回るのが想像できねえ」
さとり「確かに総合的にロジックすれば、前作環境みたいに威力差がないならギガドレでも問題はないですが…エナボの威力が10もアップした以上はエナボを持たせる以外あり得ませんね」
紫「ああつまり、ギガドレ持ちのノオーはそれで別個にキープしておきたいと」
かごめ「となると適役は大さんしかおるまい(迫真
   まあ大丈夫だろ、何しろ大妖精のソードワールドシリーズでは下半身から触手が生えまくってて常によからぬ方向へ妄想をオーバードライブさせてるとかそういうのに定評もあるから、ユキノオーならどんだけきれいな大ちゃんになるのかと」
さとり「ギガドレの時点で結構アウトな気がしますけどね、その解釈だと。
   これでヤドリギの種とか持ってれば完璧じゃないですかやだー!!><」
かごめ「まあ次回はなんとかチルノを活用しましょうという方向で」
紫「今回はここまでですわ(キリッ
 あとはちょっと…色々補足的な裏話で」
さとり「まあ、件の方の話もあるし仕方なかったですね…。
   じゃあ、そういうことでー」


三人「ノシ」













全ては、手遅れだった。

お互い幻術でそれと気づかず、死闘を繰り広げたかごめと紗苗。
紗苗のいた全盛期に及ばずとも、手練の猛者達を相手に一人で戦い続けた紫も。

それでも死力を尽くし、復活の始まっていた九頭竜を止めるべく死力を振り絞る彼女達を待ちうけていたのは…。


「どうして…どうしてこういうことになっちゃったんだよッ…!!」

力なく地に伏したまま、悔しさに歯がみするかごめ。

なんとか原形をとどめている岩にもたれかかり、虚ろな表情のまま項垂れている紗苗。
力なく膝をつき、涙する紫の掌中には…弱い光を放つ何かが収まっている。


「あなた達も見た筈です。
彼らが…何を成そうとしたのか。
そして…彼女達が何を止めようとしたのか…その意味を…!」

茫然と見守る幾人かの青年達に、乱れた緑の髪を整えようともせず、鎧を纏ったその少女が告げる。

彼女…九頭竜解放により「厄神」という役目を喪った美しき明王が、ゆっくりと紫の傍へと歩み寄る。

「紫さん。
「彼女」を…いったい、どうするおつもりですか?
…このまま放置していても…その程度の「陽神」であれば、早晩消えて封印の「彼女」へと戻るでしょう。
あなたがそれを用いて何をしようとしていたのかは解りませんが…」

紫は振り返ることなく、ゆっくりと言葉を返す。

「…この程度の力が戻ったところで…戻らなかったところで、大勢に影響など生じえない。
私は…彼女が何を成そうとしたか知ってしまっていたわ。
だから」
「そんな誤魔化しがきく相手ではなかったことも、お分かり頂けたと思います。
この九頭竜も…かつて貴女と西行寺幽々子が封じた「西行妖」とほぼ同質の存在。
数多のヒトの命を贄として喰らい…ただただヒトの世に害を成すことそのものを目的とする怪物。

……私がこいつを封じるために支払った代償がなんであったのか、知っている筈です」

雛は睨みつけるように…物言わぬ大岩と化したその唾棄すべき魔を見やる。

「封印の楔であった私の「元身」の代わりとなれるほど、彼女は…藤野珠姫は、人智を超える力の持ち主であった。
だからこそ、いざという時には自分が人柱になる覚悟を決め、今それを実行した。
あなたがその身代わりとなれるほどの力を持つ「式神」を作るには、相応の長い年月を必要とする筈…否」
「彼女は…私とかごめの関係すら、見抜いていたんだわ。
彼女の魂の一部を持って、私自身にそれを融合させれば…私が封印の楔になることができる。
そこまで知った上で…!


紫は何かを決意したかのように立ちあがる。


「この子は…私が式神として、この世に留める。
せめて…その役割を終えるまで、愛子と共に歩める夢を、この子に見せてあげたい。
たとえそれが残酷な結末を招こうとも…!」






「それがあの子…か」
「ああ。
次代の博麗巫女を嘱望されながら…無意識異変で一家全滅の憂き目にあった冴月家のひとり娘の名を与えて、な

藤野家の縁側で、かごめは諏訪子の盃に酒を注ぎ、自分の盃を一息に煽る。

「…紫にとっても苦渋の選択だったんだ。
あいつは…お嬢が「西行妖」を封じる人柱になった時も、総てが終わった現実を突きつけられただけだった。
だから…今度は自分が、それを背負おうとしたんだ。
あいつ自身が犠牲になることで、あいつは愛子がタマちゃんと一緒に生きていくことができるようにと」

かごめは立ち上がり、庭先へと歩いていく。

「だが、結果は話した通りだ。
タマちゃんは…あの僅かなやり取りで、あたしと紫の関係を気づいてた。
昔から、カンのいい子だったし、何よりも、責任感が強かった。

元老連中の暴走はもう止まらないと知ったとき、あの子は…得るべき幸せもすべて捨て去って、自分自身が犠牲になる道を迷わず選んじまったんだ」
「でも、それじゃあ」
「あの子にとっても苦渋の選択だったんだよ。
自分が犠牲になれば、愛子を悲しませることも…最悪、愛子があたし達を憎み、争う未来だって招くかもしれない。
…だから…最後に「自分の一部」を紫に託したんだ。愛子に、自分のやったことの意味を、自分自身の言葉で伝えようと。
あの子は…ずっとずっとそうやって、リスクだけを背負い込んできたんだよ。
自分自身が生まれ持った、強大過ぎる力の代償を生涯かけて支払うことを…絶対の責務と思って生きてきたんだと思う


背を向けたままのかごめの表情は解らない。
しかし…その背には、何処までも深い悲しみを滲ませている。


「紫は、あたしとさな姉の血で符の術式を組んで、それをベースにして「式神の身体」を作り上げた。
姿だけは、紫の魔力の影響で大分違うものになってしまったけど…幸か不幸か「タマちゃん」はすぐにその肉体に馴染んで、「藤野珠姫」としての記憶も喪わず、自分が何者になってしまったのかも全て理解してた。
元の姿に極力近づけることだって出来たけど、あの子は、今のままでいいって言ったんだ。
自分が何者であるのか、愛子には明かさない…あの子が大人になって、九頭竜と戦うその日が来る時まで…ただ見守ってやりたいと


「あたしはレミィとパチェ、あとロキちゃんに事情を明かして彼女を愛子に引き合わせた。
愛子はあの子を「長く魔界を放浪して力を磨いてきた、魔界北方公ロキの弟子」としか知らない。
同じ、修行中の魔導師として、共に力を磨き合う関係になりたいと…愛子は、あの子をすぐに受け入れてくれた。
式神になったとはいえ、現時点でも紫の補助なしで十分、本気の霊夢やアリスと互角に戦えるくらいの能力を持ってる。いい目標ができただろうよ」


「けど、それはそれだ。
あの子は、死ぬよりも残酷な結末を選ぶことしかできなかった。
でも…それを止めることができなかったあたし達も、同罪だ。

映姫さんは目を瞑ってくれるとは言ってくれたけど……あたしも紫もさな姉も、みんなみんな、連帯責任で極刑にされなきゃいけないくらいの事をしちまったんだよ…!」
「紫の奴、あいつやっぱり色々甘いんだよな。
そもそも…愛子にしたってそんな深い付き合いがあるわけじゃないのにさ。
………でも、私にも解って来たよ。それが、あいつのいいところなんだろうな」

何時の間にか傍らに立っていた諏訪子は、かごめの手を強引に手繰り寄せ…そこに収まったまま盃に酒を注いだ。

「どいつもこいつも、本当にバカばっかりだ。
自分の大切なヤツのために、自分の事を顧みない無茶ばっかやりやがる。
…そういう奴がみんな泣かないで済むような力も持てないで…本当に、何が神様だよ…!」
「おいおい、あんたが気に病むことじゃねえよ。
それに、カミサマだってやれることには限りはあるんだ。
でもさ」

かごめの見上げる空には、雲一つない夜空に煌々と光を放つ満月。


「愛子達だったら、やれるような気がするんだ。
あたし達が雁首揃えてもできなかった事を。
「冴月麟」っていう「仮初の夢」を…「藤野珠姫」という真実に変えて取り戻すことだって…きっとな」



振り向いたその姿に、諏訪子は泣き笑いのような表情で吐き捨てる。

「…なんて顔、してやがるんだよ」
「お互い様だよ。
まあ、あたし達のやったことに納得頂いたなら、もう重ねて言うこともないよ。
…今日は、付き合ってもらえるだろ?」

そして、ふたりはまた、元いた縁側へと戻っていく。


いつものように笑うかごめにも、諏訪子は確かにその気配を感じていた。

自らの滅びを待ち望むのではない。
何時かそうやって、自分を超えていく者が現れる事を。
目の前のその真祖は待っているのだという事を。