「珍しいもんだ、お前さんが手ぶらで無縁塚(こんなとこ)に来るなんてな」


無縁塚。
幻想郷の外延部に存在し、冥府との境目が存在すると言われる重霊地。
年中、本来なら秋にしか咲かない彼岸花が咲き乱れる、此岸にあって最も彼岸に近い場所。

気づいたら立っていたその場所で、背後から聞きなれたような、そうでもない様な声がして、メルランは振り返る。
「よお」と、能天気そうな笑顔で紅髪の死神が笑いかけるが、メルランは何処かつまらなそうに視線を戻す。


小野塚小町。
この無縁塚を根城としている…否、本来の職務のサボり場所としている、幻想郷担当の死神。
担当と言っても、この幻想郷にも多数存在すると言われる仙人や天人の類を「御迎え」に来るような係ではなく、専ら「死んだ者の魂を閻魔の元へ送る」という「渡し」担当。

もっとも、メルランも彼女の真の役目がそのような「閑職」にないことは知っている。
彼女は今もその職務を第一任務としていることも…幻想郷の多くの者が知らないであろう、その真の力も。



知らない間柄ではないのは当然だ。
自分はこの無縁塚に集まる無縁仏の為に葬送曲を吹きに来る時にも、気づけば何時の間にか、その辺りに腰かけて酒を飲んでいる奴。
いや…それだけではない。



「ごめんね。
今日はなんか、一曲やりたい気分じゃないの」
「見てりゃなんとなくわかる。
旅に出た頃、リリカが何時もそんな顔をしてたよ。
そんなイメージない奴だと思ってたけど、流石に姉妹だけあってそういう顔はそっくりだ」

笑うでもなく、馬鹿にするでもなく、ただただ飄々とそう言ってのける。

メルランは少しばかりむっとしたが、何処から持ってきたのだろうか瓢箪から手酌で酒を飲んでいるその姿に、何を言ったところで無駄そうな事だけはすぐに分かった。
仕事が終わってから来たのか、それとも小言ばかり言うあの閻魔の元から隙を見て逃げてきたのかは解らない。
否、そもそも目的があってここに現れたのか、何かの気まぐれで現れたのかも。


メルランだけに限った話ではないだろうが、この小野塚小町という死神にはいまだ謎な部分が多い存在である。
達観しきった好々爺めいているように見えながら、話してみれば思ったより思慮深い。
自分はほとんど記憶していないが、自分が「辺土」の牢獄から解放されたその際にも目の当たりにしたが…「異界神」の戦いで西行妖を討った際も、普段の飄々とした姿からは決して想像できないような圧倒的な戦闘力を振るったなどという話もある。


そして、何より彼女は…「独り」になったリリカをずっと見護り続け、そして今も守護者として見守ってくれている存在だ。



「あたいはここ最近忙しくてさ。
信じられるかい?
あの四季様が珍しくほっぽり出していきやがった仕事を、今しがたやっとこ片付け終えてきたところさ…その四季様から聞いた範囲の事でしか、此間の話は知らないつもりだが」

何故だろう。
小町がそうして、優しく肩を叩くより前に、メルランは泣いていた。


だが。


「あたいにどれだけの力になれるか解んないけど…よかったら話しておくれよ。
仕事柄、他人の話はいくら聞いても飽きないクチなんでね」



彼女になら、話していいと思った。
このくやしさのすべてを。



ポケモン対戦ログ(2015年8月2日) そのいち



~バトルリゾート・宇宙開発公団保養所大宴会場~


文「(シャッターを切ってる)」
はたて「(シャッターを切ってる)」

文。「それでは…今回の解説資料紛失の件について謝罪会見をお願いします」


かごめ「このたび、8月のログを始めるにあたり、8月初頭に行われた対戦前見せあいの写真紛失、持ち物のメモを取ってな…いやメモの紛失、あまつさえその日付すら忘れるなど、関係者の皆様、及び視聴者の皆様に謝罪させていただきたく、このような席をもうけさせていただきました><」


かごめ&早苗&てゐ「大変…申し訳ありませんでしたああ><」


文「(シャッターを切ってる)」
はたて「(シャッターを切ってる)」
モブ天狗s「(シャッターを切ってる)」


かごめ「ここからは記者の皆様の質問にお答えしたいと思います><」

文「写真の紛失は意図してやられたのですか?(#^ω^)

早苗「えーと…えーと…><」
てゐ「(小声)上を見て、大きな声で」
早苗「意図は、してぇ…><」
てゐ「(小声)ないです」
早苗「ないですっ!!><」

はたて「でしたら、以前の会見で出場ポケモンに責任がないとおっしゃったのは何故ですか?」

てゐ「(小声)頭が真っ白になった」
早苗「(´・ω・`)?」
てゐ「(小声)頭が真っ白になった」
早苗「えー…初めての記者会見でありまして、頭が真っ白になったと申しますか…」


諏訪子「えええええええええええええええええいもうやめんかバカチンどもがー!!!m9( ゚д゚ )
   貴様等の不具合になんも知らん早苗まで巻き込むんじゃねええええええええええ!!!!(かごめとてゐの顔面にそれぞれの膝を叩き込む
かごめ&てゐ「∑( ̄□ ̄;)げらはっ!!!???」





♪BGM 「妖怪寺へようこそ」(東方神霊廟)♪


かごめ&てゐ「(返事がない…フートンの下に埋められているようだ)」


諏訪子「ったくこのボンクラどもめ、最近テメエらの不始末をネタで濁そうとしてやがるの見え透いてんだよ。
   おいこらそこの天狗ども茶番は終いだとっとと去ね!散れ!!><」
文「あーはいはい解りましたよー皆さん撤収ー」
文。&はたて&その他天狗「ぶーぶー!><」
早苗「あーその諏訪子様そんな邪険になさらなくても…」
諏訪子「うるせえよこんな文字通りの烏合の衆が居ても邪魔なだけだろが。
   ったく…こんなんで
見せ合い写真の紛失の件をチャラに出来ると思ったら大間違いだ。
   私の眼の黒いうちはそんなふざけた真似はさせねえからな」
文「気持ちはわかるけど本当に容赦ないわねえ。
 たった二戦しかないけど、今回の為に態々ギリギリアウトなところまで突っ込んで今回の伏線にしたんじゃない。
 ピンポイントで今回の写真だけ紛失とか何事よマジで。
 それに七月分とかマジでどうすんのそれは残ってるんじゃないの?」
諏訪子「なんでえお前は残るんかい…まあ居ても邪魔にならねえっていうか、事情知ってんならいてもらった方がいいのか」
文「そういうことよ。
 っていうか、ポケモンZが出るから云々みたいな話してたら、二月にはサトシゲッコウガがどうのとかそんな話してるうちにZすっ飛ばして第七世代が年内に出る(2016年末予定)とかで、私達がカロスに行くとかそんな話も完全に有耶無耶になっちゃったじゃない。
 この落とし前こそ本当にどうつけてくれんのかっていう。
 あの馬鹿共を燃えないゴミで自然に帰したところで何の解決にもならないわ」
諏訪子「そもそもてゐ貴様何時まで寝てんだっていうかここで何油売ってんだよ、さっさとハイラガに帰れ世界樹5の発売間に合わんだろが」
てゐ「(布団から顔出す)別にいいじゃねえかよまったくもー。
  というか、シチュエーション的にどうなん今回?
  どうしても過去のある回のオマージュになりそうな気がしなくもないんだけど」
諏訪子「んあー? 思いっきりそのつもりなんだろ。
   つかお前居座る気かよ」
てゐ「ミスティア周りの話でややこしくするの眼に見えてるからな、これもう5の発売までに話完結しないだろどうせ。
  終わり次第5やるか、俺達の戦いはryで5の解説始めんじゃねこの調子だと」
文「その辺普通にそうなりそうな気しかしないんだけどさあ(しろめ
 それにあとリリカがギガブレぶっ放したところでもう展開読める奴はいるんじゃない?
 ギガブレイクと天地魔闘、ここまで露骨なキーワード揃えば
早苗「そこネタばらししていいところなんです?^^;」
文「詳しくはその時に触れるけど、あんたトレーナーやってたんでしょ?
 あの局面の立ち回り、総合的にわざわざロジックしなくても三秒で解るでしょうに」
早苗「う、うーん…確かに欲を張り過ぎた感はありましたが」
諏訪子「その辺はその時に触れればいい。
   今回は特に新規勢はいないというか、強いて言えばヤンフィアを一匹作ったぐらいだ。
   前回から増えたのはそいつぐらいだな」
文「あのイモ臭いのは?
 バクーダなんていつの間にこさえたのよ」
諏訪子「以前マツブサ&アオギリが出てただろ?
   あの時マツブサの厳選に使ったメスの方の再利用が今回の穣子だ」
早苗「そのマツブサもどんな型だったんだか詳しく触れられてもなかったような…」
諏訪子「単純だよ、物理を性格補正かけただけであとはHC全振りの特殊型だ。
   ぶっちゃけ攻撃に補正かけたのは岩なだれを刺すためだな。
   力づく原始でもいいんだろうが、ガモス意識だなこれは。
   指数はエッジと大差ないが命中を取った、それだけの話だな」
文「あの穣子で岩なだれってなんかやらかした記憶しかないんだけどねー」
諏訪子「まあ厄い組み合わせではあるがな。
   なおヤンフィアであるが、めざ炎を粘ったがめざ電が出た時点で心が折れたらしい。
   一応範囲は取れるからいいとは思うんだが」
文「どのみちメガネ持たせてハイパーボイスぶっ放しモードいなるんだったら、めざパに拘る必要性があるのか解らないけどね。
 霊+妖+超の組み合わせで大体ほぼ全部のポケモンに等倍以上取れるんだし、めざパ枠に寝言突っ込んでおいてもいいんじゃないかしら」
諏訪子「ごもっとも、実際ハイボしか使わんからなアレ。
   そもそも論理wikiでも確定技にめざ炎or地がある時点でお察しなんだよ。
   スキンハイボは確かにイカレてるし特殊耐久は十分高いから最低限役割果たせるとはいえ、所詮は技範囲不足に定評のあるブイズでしかないってもんだ。
   ヤランブルも二軍候補落ちして久しいし、軸とした場合の強力な構築例もない事だしじきに二軍候補落ちすんだろ。
   ヤリルリはまあ…コイツかヤジアイスいないとヤザンドラがわりとどうにもならんから、入手難易度の低さからなんだかんだ絶対残るだろうが」
文「マリルリは勿論ニンフィアもギリアタリとしても…環境も煮詰まってきて、六世代初期みたいな混乱状態のどさくさで追加されたようなのがどんどん叩き落とされていくでしょうしね。
 バクーダなんてそもそもメガシンカさせない方が優秀なんじゃないかしら、当然耐久は足りなくなるけど」
諏訪子「せめて基本のバクーダのHBDが最低20ずつ高けりゃな。
   あと今回、その回しか解説しねえっていうかそれすらほぼ茶番で終わる。
   前準備も含めてな

文&てゐ&早苗「うわあ(しろめ」









一方、神界。

幻想郷とホワイトランドを繋ぐ次元境界線上に存在する、幻想郷の仙人達が居を構える小世界。
その一角、豊聡耳神子の構えるそのひと際大きい道場の一角で、血相を変えて飛び込んできた布都に強引に連れられてきたその場所で、諏訪子は想像を絶する光景を目の当たりにしていた。


訴えるかのような悲痛な表情で凄まじい電圧の気を纏う屠自古、その目の前に突っ伏しているのは…神子。
所々火傷と、それによる裂傷で傷つきながら、鬼気迫る表情でなおも立とうとするその姿に、諏訪子が声をかけようとしするよりも前に布都がその間に割って入る。

「もう、もうやめて屠自古!!
太子様…太子様ももうやめて、くださいっ…いくら仙人の肉体でも、これ以上は!!」

しかし、神子は弱々しいながらも、布都の手を払いのけてなおも立ちあがろうとしていた。
最早余裕もないのだろう、布都の口調はいつもの時代がかったものではなくなっている。

「…邪魔、です。
危ないから、離れてなさい…!」
「ですが、神子様」

諏訪子の来訪で水が差されたことを転機と悟ったか、屠自古も神子を制止すべく言葉を投げる。


諏訪子はすべてを悟った。
あの日…蓬莱山輝夜という強大な畏怖に自身の全てを打ち砕かれた神子のとった方法は…あまりにも原始的で、なおかつ、悲痛に満ちたものだったことを。


「諏訪神様!
お願いです…諏訪神様も、なんとか説得を!!
このまま、このままこのような無茶を続けられたら…太子様が!!」
「…ああ、わかってる。
私の目の前で、こんな馬鹿をこれ以上続けさせてたまるか」

屠自古が悲痛な表情で放つ雷に、満身創痍のまま立ち上がり、立ち向かおうとする神子。
その両者の間へ…一瞬のうちにポケモンの力を解放し、ゲッコウガの俊足を活かして滑り込んだ諏訪子は、屠自古の雷を自身の祟りで相殺してのけると、そのまま神子の身体を大地に組み敷いた。

したたかに地面に打ち付けられ、苦悶と怒りの表情に染まった視線で諏訪子を睨む神子へ、元の姿に戻った諏訪子は静かに告げる。

「もう、これ以上はやめろ。
あんた、自分でも解ってんだろ…神子。
こんなことして、あんたになんのプラスになるってんだ」
「邪魔を…しないで下さい…!
私は…どうしても越えなければいけないものが…あるッ…!!」

渾身の力でもがく神子だが、やはり相当のダメージを受けていることは明らかだ。
にもかかわらず、なおかつ立ち上がろうとするその身体を、諏訪子は更に強く地面へ押しつける。

「いいから、もうやめろ!
どんなに自分自身を痛めつけたって、できることには限度って奴があるんだ!!
「その通り…私はあなたや、輝夜さんのような「適合者」ではないッ…!
持たざる私に出来ることなど、もうこれしか」

そのとき、諏訪子の平手が、乾いた音を立てて神子の頬を張った。
一瞬、何をされたか解らず呆ける彼女へ…諏訪子は、絞り出すように告げる。

「馬鹿野郎…それが差だと思ってるんだったら多分それ以前だ。
今のあんたごときが、例え何度死んで生まれ変わろうが、あのテルヨフをぶっ殺せるもんかい。
戦いになりゃまだいいが…かごめと東條の小娘がそうだったみたいに、あんたは対面する都度心を折られて…それで終わりだ

諏訪子の容赦ない言葉に、神子はついに抵抗を止めた。


そう。
神子自身にも解っていたのだ。
そこにあったのは、単純な「格」の差ばかりではなかったという事を。


神子が無茶をこれ以上続ける意思を放棄したと悟った諏訪子は、その身体を解放する。
そして、泣きじゃくる布都に抱きかかえられた格好の神子へ、立ち上がった諏訪子は告げる。

あんたのその無念…今回だけは、私が預からせてもらう。
ここまで気持ち悪いぐらいデジャブを感じるのも不思議な事だが…こればかりは私がやらにゃならんことのような気がしてんだ。
布都が私を呼びに来たのも、きっとそういう運命だったんだろうな」

そして、その手を取ってさらに言う。


「まずはその傷を治してからだ。
その後、ひと仕事手伝ってくれんか?
…そこの布都と屠自古、あんた達もだ。
あんた達の力が、そこで必要になるはずだからな」





♪BGM 「業火マントル」♪


数日後、旧灼熱地獄。
諏訪子についてその地に訪れた神子は、その凄まじい光景の一部始終を目の当たりにした。


「こいつはたまげたぜ…!
その暴れ亡霊、俺様やさとりでも手を焼く代物だったってのによォ」

今ではすっかりその主となって久しい炎の精霊王ウェルダンが、事が済んだその炉の中心の光景に、呆れたような口調で吐き捨てる。

炎が舞い散るその炉の中心に、燃えるような灼熱の気に包まれた諏訪子が膝をついている。
その禍々しい燐光を放つ方陣が光を失っていくとともに、それまで荒く肩で息をしていた彼女の呼吸が落ち着いていく。

「だろうな。
こいつはかつて、私と神奈子二人がかりでも手を焼かされたバケモノさ。
私一人で本来屈服させられるような奴じゃねえし」
「にしてもよ、まるでこの辺のマグマまで焼いちまうんじゃねえかと思ったぜ。
ケロ神様よ、一体そんな物騒な奴を手下にして何処と戦争仕出かそうってんだい?」
「というよりも…あなたは何故、それがこの地に流れ着いていると思ったのです!?
あなたは確信を持ってこの地に来た。
そして…その言葉通りに…!」

戦慄くような神子の言葉に、諏訪子は頷く。

「ああそうさ。
幻想郷には、未だに「外の世界で忘れられたもの」が多く流れつく。
こいつだって、ついこないだまでいなかったはずだ…そこの牛野郎(ウェルダン)が、最近の炉の変調を訴えていたのを聞いて、私は直感したんだ。
こいつが今頃になって幻想郷に流れ着いたのも…そういう流れだったんじゃねえのかってな。
事実、私は今、このチカラを必要としている…!!

「で、ですが諏訪子さん!
その力は!
そのチカラは…あなたにとって…!!」

諏訪子は不敵に嗤い…そして、立ち上がって振り返る。


「こいつは、私達が元いた世界の「祟り神」。
七ツ釜の主・大焔蛟だ。
私が「ヤケモン」として戦うなら…このくらいの怪物を眷族として手懐けられるようでなけりゃ…始まらねえよ!!」



その獰猛にも思える、緋を帯びた視線に…禍々しさすら感じるその闘気に呼応するかのように、周囲のマグマが激しく波立ち、渦を巻く。

「と、屠自古…諏訪様はいったい…どうなってしまったの…!?
あれじゃ…あれじゃ、まるで…!」

この灼熱地獄に不似合いなくらい真っ青な顔で、がたがたと震える布都。
屠自古は気丈にもそれを見据えているが、彼女は「解らない」と言わんばかりに首を横に振るので精いっぱいだった。
ウェルダンもまた、難しい顔で腕組みをしながらそれを見守っているだけだ。

神子とて、心中は三人とさほど変わるところはないだろう。
だが…その生来の聡明さから、彼女はその事が何を意味するかを理解する。


あの日、対峙した中にもいたその凄まじい熱量の源。
光を飲み込み、通さぬ赤銅の主。
諏訪子が必要としたその力は…確かに、あの時何よりも欲した力の一つだった筈だと…!


「今の私に…「私達に」足りないモノを、こいつは持っている。
とはいえ、こいつは元々私や神奈子でも手を焼くほどのバケモンだ…あんたたたちの力を借りるのはここからだよ。
戦いながら、こいつに言うことを聞かせる…多分かなり骨を折る「作業」になるな

その祟りの気が、鈍く燃える炎となって、その周囲を舐め…神子は息を飲む。
その視線に、諏訪子の意図を悟った神子が手で合図すると、それを理解した屠自古が頷いて、おろおろと成り行きを見守るばかりの布都を小突く。

「…解りました。
今のあなた相手なら…私達三人ぐらいがちょうどいい。
そういうことですね…!

「あんたぐらい頭のいい奴には、説明の必要が少なくて助かるよ。
予めそこの牛野郎を通じてさとりに話は通してある。
多少、派手にやるぞ…あんた達の「修行」も兼ねてな!!」








諏訪子「…まあ大袈裟に話作ったけど、今回用意できたヤードランも実は理想個体といい難いんわけで」
てゐ「マジでさっさとドラン捕まえなくてよかったなあ、っていうよりかは、このためにキープしてたんだろこれ?
  っていうかめざパ水ってどうなん実際」
文「えっまさかそれ狙ったんじゃないでしょうね!?」
諏訪子「ちげえよ、とりあえずC26あったしめざパ見たら水だし「どうせ守矢のカエルにするからいいや」とかぬかして狐野郎はそれで妥協しやがった。
   H31A28B14C26D31S31、せめてAB逆なら良かったんだろうが」
てゐ「思ったよりひどい個体だな…いざというときにはアロー受けてもらわにゃならんだろうのに大丈夫かこれ」
諏訪子「まったくだ。リリカもだいぶ妥協したみたいだけどこっちはもっとひどいな。
   そもそもゴキブロスはそんなめざパが必要なポケモンじゃねえから、炎鋼竜地または岩で大体総てのポケモンに当倍以上取れる」
早苗「そう言えば地味に竜の波動とか大地の力とか覚えますものね、ヒードラン」
文「使うかどうかは解らないけど、悪の波導も覚えるわね。
 そんなこんなで今回の選出はっと…」



この日唯一資料が残っていたバトルがYT同士の戦いとは役割持ててますなwwwwwですが総茶番はありえますかな?wwwwww

狐野郎手持ちですぞwwww
メルラン(ヤンフィア@こだわりメガネ)/リリカ(メガヤティアス)/ケロさま(ヤードラン@木炭)
控えですぞwww:ルナサ(ヤラミドロ@命の珠)/オクタヴィア(ヤャラドス@ゴツゴツメット)/よりHARD(ヤサイドン@こだわりハチマキ)

メリー氏の手持ちですぞwwwwww
エリス(ヤザンドラ@こだわりメガネ)/しんきさま(メガヤチート)/おふぃーりあ(ヤドラン@恐らく命の珠と思われますぞwwww)
お相手控えですぞwwwwww:ヤンギラス/ヤルガルド/ヤャラドス



文「今回は控えのデータも晒してみたわ。特に意味はないけど」
早苗「えちょ最後のヤサイドンどなたですか」
諏訪子「依姫だ依姫。
   名前がゆっくり界隈の静葉と被ってるがまあ気にすんな

早苗「アッハイ(しろめ
  お相手は多分ですけど、メガヤチート軸でしょうか?
  ヤチートに飛ぶ地震や炎技をヤャラヤザンで、ヤザンへの竜技をヤチートでケアする感じに見えますが…電気技の通りがわりといい様な
文「対してこっちはメガ妹軸になるのかしらね。
 フェアリー、特にヤリルリを処理するにはいささか足りない気がするけど…というかこの構成だとヤリルリクッソ重くない?」
諏訪子「それは知ってる。ヤラミのところにヤットレイが欲しいところだがまあ…私の持ち物も珠かメガネが欲しいところだなあ」
てゐ「ヤラミドロの火力をこれ以上割くわけにもいかんだろうに。
  そこそこ技範囲も広いし、まあ帯でもいいなっていうところではあるが」
早苗「向こうもYTと解ってれば、概ね持ち物もそれなりに見えてくるところですけどねー。
  ヤンギがメガするか鉢巻、ヤルガルドは鉢巻かプレートか帯、ヤャラはゴツメ辺りでしょうか?」
諏訪子「2メガ体制は十分考えられるな。
   ヤチートかヤンギラスのどっちが通りいいか決めて、残りを相手の構成との兼ね合いで補完していく格好ならガルド帯、ヤャラ鉢巻ってところだろうな。
   ちょっとネタばらしになるが、ヤドランをほぼ一蹴したことで奴の持ちモノがさっぱりわからん。
   あん中でもヤドランの攻撃範囲の広さはかなりのもんだし、ヤドラン帯の特殊ベース冷静最遅珠ガルドは十分考えられる。
   っていうか、ガルドまで物理だったら相当物理に寄っちまうぞ」
てゐ「こっちもがっつり特殊に寄ってるし、そもそも三体選出した全員が特殊ATじゃねえかよ。
  やっぱりこのPTルナサ要らねえだろどう考えても」
文「速攻で長女に不要論叩きつけられるとかマジで怖いわねこの界隈。
 そもそも攻撃範囲がリリカとまるかぶりしてるものね」


諏訪子「というわけでここまでが導入部分。
   次回はいよいよバトル本編になるよ。
   私としても、4年前の借りをようやく返せる格好になるかな?」
文「そこで思いっきり露骨にばらしていこうとする…いやらしい」
てゐ「結論から先に言ってもいいんだけどまあそこまでは」
諏訪子「そこまでは。
   じゃあ早苗、適当に引きのセリフ(キリッ」
早苗「∑( ̄□ ̄;)えうっ!?
  きゅ、きゅ急にそんなこと言われてもえーとえーと」
かごめ「(布団からどーん!)後半でいただきじゃ!!!m9( ゚д゚ )
早苗「∑( ̄□ ̄;)アイエエエエエエエエエエエエエエエ!!?
文「うわーめんどくさいの復活してきたわよ、どうする諏訪子さん?」
諏訪子「いいよもうめんどくさくなってきたし、なるようになんだろ」








どのくらいそうしていたのだろうか。
ひっかり日は落ちかけ、幽玄の境界に咲く冥界の桜が、風に煽られてその燐光の花弁を舞わせる。

その一角に寄り添うように、同じように酒を煽る小町とメルランの姿があった。


「あの時ああしていれば、とか、こうしていればどうなった、とか。
でもさ。
それでも、思わずにいれないの。
あの時…私はどうして踏みとどまろうと、そう思ったのか」

自分が最後に立ちあがったあの時。
その瞳は、なおも輝夜の姿をはっきりと捉えていた。

「怖くは、なかったのかい?
死を超えた聖人すら、心を折られたあの月の姫が」
「どうだったんだろうな。
でも、なんていうか、向こうもきっと必死だったっていうか…一生懸命、こっちに向き合ってくれようとしてるのだけは伝わったの。
だから」
「逃げたくなかった、ってか。
本来守るべき役割論理のその基本さえも度外視して」

メルランは頷く。

「私達がやろうとしたバトルは、あんな結末を迎えるべきではなかった。
私…きっと、輝夜さんの想いを裏切っちゃった…彼女に嫌われちゃったかも、ね」
「あたいはそうは思わないんだけどね。
あの姫様は見た目ほど横柄でも、鈍くもない。
あんたは、全力を尽くしたんだろう?」
「勿論よ」
「だったら、それは十分伝わってる筈さ。
あんたはしっかりと目の前にあるものを見つめて進んでいくことができる。
もっとも…目指すべき答えは、目の前にあるだけとは限らないだろうけどね
「それって…?」

振り返った時、そこにはいつの間にか小町の姿はなかった。
何時の間にか煙のように、その場には気配すらも残さずに。


メルランも彼女の能力は知っている。
距離を自在に操り、瞬時に遠く離れた場所へ移動したり、逆に距離を無限にも引き延ばしたりという事も出来る。
そんな能力をなんの前触れもなく使い、逃げるようにこの場を離れた理由を、彼女は理解した。


「帰ろう、メルラン。
リリカも心配してたよ」

視界の端に、何時の間にかルナサがいた。
メルランはふっと笑って立ち上がる。

「なにも、聞かないの?」
「聞かない。
聞かなきゃわかんないことだろうけど、でも、あなたも言いたくない事の一つや二つ、あるでしょ
「そっか」

メルランが頷き、歩き出そうとした瞬間。
肩へ手をまわされて、姉の顔がすぐ横にある。

「でも、少しくらいは、私の事もアテにしてほしかったな。
あなたの事は何でも知ってるとか、そんなこと言うつもりはないけどさ」
「ねえ、さん」
「九十九の姉妹はどうか知らないけど、私達はかつて血の繋がった姉妹が霊になったのよ。
血よりも濃い絆があるなら、元々血の繋がった私達の絆だって決して負けてはいない…そうでしょ、メルラン?」

メルランもまた、姉の身体を同じようにして抱きしめる。

「今はリリカもいる。
それだけじゃない」
「解ってる。
次は、負けないから!
私達の力を、紡いできた絆を見せつけてやらなきゃ…!!